JP5520673B2 - 接着フィルムおよびウエハ加工用テープ - Google Patents
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Description
しかし、更なる半導体素子(チップ)の薄型化に伴い、個片の半導体素子に切断する際に、ダイシングブレードの回転振動により、隣接するチップ同士が接触して、チップ割れやチップ欠け等、ダイシング時のチッピングが発生するという問題があった。
また、ダイシング時のチッピングを低減するために、半導体素子の厚みをW(μm)とし、接着剤層の厚みをA(μm)、接着剤層の硬化後の25℃における貯蔵弾性率をE(GPa)としたとき、W×E/A=Qで表されるQの値が0.5〜80とするウエハ加工用テープが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、上記特許文献2では、チップ、接着剤層の厚さと硬化後の貯蔵弾性率の選択により、チッピングを低減できることが示されているが、ダイシング工程は、接着剤層の硬化前に行われるものであり、接着剤層の厚さと硬化後の貯蔵弾性率を選択しても、ダイシング時のチッピングを実質的に低減できるものではない。ここで、接着剤層の硬化前の貯蔵弾性率を低くすることによりチッピングを低減することも考えられるが、単に貯蔵弾性率を低くするのみでは、ウエハを貼合できなくなるという問題があった。
この構成によれば、接着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量が50万以上であり、分散度が4未満であるため、耐リフロー性を向上させることができる。
この構成によれば、エポキシ樹脂のエポキシ当量が100g/eq以下であるときに発生する硬化時の大きな収縮を抑えて、十分な接着信頼性を得ることができる。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000g/eq以上であるときに発生するGminの増大を防いで、貼合剥離力の低下を防止することにより、ダイシング時のチッピングを低減することができる。
この構成によれば、接着剤層の表面の無機フィラー凝集物等の異物の発生を抑えることができる。
この構成によれば、接着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量が50万以上であり、分散度が4未満であるため、耐リフロー性を向上させることができる。
この構成によれば、エポキシ樹脂のエポキシ当量が100g/eq以下であるときに発生する硬化時の大きな収縮を抑えて、十分な接着信頼性を得ることができる。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000g/eq以上であるときに発生するGminの増大を防いで、貼合剥離力の低下を防止することにより、ダイシング時のチッピングを低減することができる。
この構成によれば、接着剤層の表面の無機フィラー凝集物等の異物の発生を抑えることができる。
(一実施形態に係るウエハ加工用テープ)
本発明の一実施形態に係るウエハ加工用テープを図1乃至図6に基づいて説明する。図1は一実施形態に係るウエハ加工用テープ10を示す断面図である。図2は、ウエハ加工用テープ10上に半導体ウエハ1を貼り合せた状態を示す図である。また、図3は、半導体装置の製造工程におけるダイシング工程を説明するための図であり、図4は、エキスパンド工程を説明するための図であり、図5は、ピックアップ工程を説明するための図である。また、図6は、低分子成分とポリマーとの配合比と、フィラー量と、ρ×Gminとの間の相関関係を説明するための図である。
ウエハ加工用テープ10は、半導体ウエハ1を半導体素子2(チップ又は半導体チップ)に切断するダイシング工程と、切断されたチップ2をリードフレームや他のチップに接着するダイボンディング工程との両工程に使用される。ダイシング工程については図3を参照して後述する。
以下、本実施形態のウエハ加工用テープ10の各構成要素について詳細に説明する。
接着剤層13は、半導体ウエハ1等が貼り合わされてダイシングされた後、個片化された半導体チップ2をピックアップする際に、粘着フィルム12から剥離して半導体チップ2に付着し、半導体チップ2を他の半導体チップや基板やリードフレームに固定する際の接着剤として使用されるものである。従って、接着剤層13は、ピックアップ工程において、個片化された半導体チップ2に付着したままの状態で、粘着フィルム12から剥離することができる剥離性を有し、さらに、ダイボンディング工程において、半導体チップ2を他の半導体チップや基板やリードフレームに接着固定するために、十分な接着信頼性を有するものである。ピックアップ工程については図5を参照して後述する。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等の共重合性二重結合を有する化合物が使用される。
また、耐熱性の向上や流動性の調節を目的にフィラーを添加する。フィラーとしてはシリカ、アルミナ、アンチモン酸化物などの無機フィラーがあげられる。これらフィラーは異なる粒子径の物を任意の割合で配合することが出来る。
ρ×Gminが0.2未満であると、接着剤層13の半導体ウエハ1への貼合性が確保されなくなり、ダイシング時に、ダイシングブレード21の回転振動により、隣接するチップ2同士が接触して、チップ割れやチップ欠け等、ダイシング時のチッピングが発生する。
(ρの調整方法)
接着剤層13の密度ρは、フィラー量(例えばシリカフィラー量)の調整により増減させることができる。フィラー量を多くするほど密度が高くなり、フィラー量を少なくすると、密度が低くなる。
接着剤層13の硬化前における最小の貯蔵弾性率Gminは、フィラー量又はフィラーの平均粒子径又はエポキシ樹脂のエポキシ当量又は低分子量の成分量(エポキシ樹脂、フェノール樹脂)又はアクリルポリマーの重量平均分子量又はアクリルポリマーの分散度を増減させることにより調整することができる。フィラー量を低減することにより、又はフィラーの平均粒子径を大きくすることにより、又はエポキシ当量を低減することにより、又は低分子量の成分量を増加させることにより、又はアクリルポリマーの重量平均分子量を低下させることにより、又はアクリルポリマーの分散度を大きくすることにより、最小の貯蔵弾性率Gminが低くなる。最小の貯蔵弾性率Gminを高くするには、その逆を行う。このようにして接着剤層13の密度ρとGminを調製することにより、ρ×Gminを0.2以上に設定することができる。
ρ = (1.0×(100−X) + (2.0×X))÷100
上記の式で得られたおおよそのρを用い、ρ×Gminが0.2以上となるGminの最小値を算出し、Gminがこの最小値を上回るように、例えば、低分子成分とポリマー成分との比率とポリマーの重量平均分子量を用いて、上記フィラー量と低分子成分とポリマーとの配合比の場合と同様の手法により、ρ×Gminを調整することができる。
また、上述では、フィラー量と低分子成分とポリマーとの配合比、低分子成分とポリマーとの配合比とポリマーの重量平均分子量というように2つの要素を用いてρ×Gminを調整する方法を説明したが、他の特性からの要請で、密度ρと最小の貯蔵弾性率Gminに関わる要素が1つを除いて全て決定されてしまう場合は、残る1つの要素について、3つ程度値の異なるサンプルを作成して、そこからρ×Gminを予測して、0.2以上になるように調整すると良い。
貼合剥離力は、アクリルポリマーのガラス転移温度Tg又は最小の貯蔵弾性率Gminを増減させることにより調整することができる。アクリルポリマーのTgを低くすることにより又はGminを低くすることにより、貼合剥離力が増加する。
なお、貼合剥離力が50mN/cm以上となるGminは1.0MPa以下であるため、この1.0MPaに、接着剤層13としての機能を損なうことのない最大密度を積算した値がρ×Gminの上限となる。例えば、接着剤層13の密度が大きい場合として、銀のフィラーを50wt%配合した場合が挙げられるが、このとき密度ρは5.0程度となるので、ρ×Gminは5.0となる。
粘着フィルム12は、半導体ウエハ1をダイシングする際には半導体ウエハ1が剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後に個片化された半導体チップ2をピックアップする際には容易に接着剤層13から剥離できるような低い粘着力を有するものである。本実施形態において、粘着フィルム12は、図1に示すように、基材フィルム12aに粘着剤層12bを設けたものを使用した。
半導体装置の製造工程の中で、ウエハ加工用テープ10は、以下のように使用される。図2においては、ウエハ加工用テープ10に、半導体ウエハ1とリングフレーム20とが貼り合わされた様子が示されている。
まず、図2に示すように、粘着フィルム12の粘着剤層12bをリングフレーム20に貼り付け、半導体ウエハ1を接着剤層13に貼り合わせる。これらの貼り付け順序に制限はなく、半導体ウエハ1を接着剤層13に貼り合わせた後に粘着フィルム12の粘着剤層12bをリングフレーム20に貼り付けても良い。また、粘着フィルム12のリングフレーム20への貼り付けと、半導体ウエハ1の接着剤層13への貼り合わせとを、同時に行っても良い。
下記の表1および表2には、各実施例(実施例1〜11)および各比較例(比較例1〜5)に係るウエハ加工用テープおよび接着剤層の組成と、各実施例および各比較例に係るウエハ加工用テープの特性評価と、各実施例および各比較例に係る接着剤層を有する接着フィルムの特性評価とを示してある。具体的には、各実施例および各比較例(に係るウエハ加工用テープおよび接着剤層の組成と、各実施例および各比較例に係るウエハ加工用テープを使用したサンプルのリフロー時クラック発生率及びチッピング性能と、各実施例および各比較例に係る接着フィルムの接着剤層の密度ρ、最小の貯蔵弾性率Gmin、ρ×Gmin、60℃貼合剥離力及びフィルム外観と、を示してある。
まず、各実施例および各比較例に係るウエハ加工用テープの接着剤層に含まれるアクリルポリマー(表1および表2に示すアクリルポリマー(1)〜(4))の製造法について説明する。
(アクリルポリマー(1))
混合機及び冷却器を備え付けた反応器にグリシジグメタクリレート5重量部、アクリロニトリル25重量部、ブチルアクリレート25重量部、エチルアクリレート45重量部を入れ、85℃に加熱し、ここに2−ブタノン2重量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.05重量部を添加した後8時間保温し、冷却後メタノールを加えポリマーを沈殿させ上澄み液を取り除き、ポリマー中に残ったメタノールを乾燥させ、続いて2−ブタノンを加え固形分が15%になるよう調整して、アクリルポリマー(1)を得た。この重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography: GPC)による重量平均分子量は85万、分散度は3.5であった。
保温時間を4時間とした以外は、アクリルポリマー(1)と同様の製造法によりアクリルポリマー(2)を作製した。この重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量は35万、分散度は2.3であった。
t−ブチルパーオキシベンゾエートの添加量を0.2質量部とした以外は、アクリルポリマー(1)と同様の製造法によりアクリルポリマー(3)を作製した。この重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量は80万、分散度は6.6であった。
t−ブチルパーオキシベンゾエートの添加量を0.4質量部とした以外は、アクリルポリマー(1)と同様の製造法によりアクリルポリマー(4)を作製した。この重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量は82万、分散度は11.5であった。
各アクリルポリマー(1)〜(4)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
使用機器:日立635型HPLC[(株)日立製作所製]
カラム :ゲルパックR−440、R450、R400M[日立化成工業(株)製商品名]
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量 :2.0ml/min
検出器 :示差屈折計
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え接着剤料組成物のワニスを得た。得られたワニスを厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、120℃で10分間加熱乾燥して、膜厚50μmと20μmのBステージ状態の塗膜を形成し、接着剤層を有する実施例1の接着フィルムを作製した。
(実施例2)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例2の接着フィルムを作製した。
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例3の接着フィルムを作製した。
(実施例4)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例4の接着フィルムを作製した。
(実施例5)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例5の接着フィルムを作製した。
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例6の接着フィルムを作製した。
(実施例7)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例7の接着フィルムを作製した。
得られた上記アクリルポリマー(2)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例8の接着フィルムを作製した。
(実施例9)
得られた上記アクリルポリマー(3)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例9の接着フィルムを作製した。
(実施例10)
得られた上記アクリルポリマー(4)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例10の接着フィルムを作製した。
(実施例11)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表1に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する実施例11の接着フィルムを作製した。
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表2に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する比較例1の接着フィルムを作製した。
(比較例2)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表2に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する比較例2の接着フィルムを作製した。
(比較例3)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表2に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する比較例3の接着フィルムを作製した。
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表2に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する比較例4の接着フィルムを作製した。
(比較例5)
得られた上記アクリルポリマー(1)に対して表2に示す各材料を同表に示す配合割合で加え、実施例1と同様の方法で接着剤層を有する比較例5の接着フィルムを作製した。
(エポキシ樹脂(1))
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210g/eq、重量平均分子量1200、軟化点80℃)
(エポキシ樹脂(2)) エピコート806(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量175g/eq、重量平均分子量400、室温液状)
(エポキシ樹脂(3))
エピコート4005P(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量1070g/eq、重量平均分子量2500、軟化点90℃) (フェノール樹脂)
ミレックスXLC−LL(三井化学(株)製商品名、水酸基当量175g/eq、吸水率1.8%、350℃における加熱重量減少率4%)
(シランカップリング剤)
Z−6044(東レ・ダウコーニング(株)製商品名、3−グリシドキシプロピルメチルメトキシシラン)
(シリカフィラー(1))
S0−C2(アドマファイン(株)製商品名、比重2.2g/cm3、平均粒子径0.5μm、比表面積6.0m2/g)
(シリカフィラー(2))
シルフィルNSS−5N(トクヤマ(株)製商品名、比重2.2g/cm3、平均粒子径0.07μm、比表面積50m2/g)
(シリカフィラー(3))
MSR−8000−SC4((株)龍森製商品名、比重2.2g/cm3、平均粒子径16.7μm、比表面積4.6m2/g)
(硬化促進剤)
キュアゾール2PZ(四国化成(株)製商品名、2−フェニルイミダゾール)
(密度ρ)
表1および表2に示す各実施例および各比較例の接着剤層の密度ρはJIS K 7112に準じて測定した。
得られた実施例1の膜厚50μmの接着フィルムを2つ用意し、2つの接着フィルムの接着剤層同士を貼り合わせ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離した後、さらに、PETフィルムを剥離した接着剤層の面に、得られた実施例1の別の接着フィルムの接着剤層を貼り合わせるという工程を繰り返して、接着剤層を1mmの厚さになるまで積層し、8mmφに打ち抜き実施例1の接着剤層のサンプルとした。実施例2〜11及び比較例1〜5の各接着剤層のサンプルも、実施例1のサンプルと同様に作製した。
動的粘弾性測定装置ARES(レオロジカ製)を用いて、硬化前の各接着剤層のサンプルに対して、サンプル厚み1mm、プレート径8mmφ、周波数1Hzの条件で室温より200℃まで昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の貯蔵弾性率の極小値を取り、これをGminとした。各実施例および各比較例のGminは、表1および表2に示す通りである。
1cm幅の短冊状に調整した各実施例および各比較例の膜厚50μmの接着フィルムを温度60℃、ラミネート圧力0.1MPa、ラミネート速度300mm/分の条件でシリコンウエハの裏面にラミネートした後、室温にて引張速度50mm/分、90度ピール条件で剥離した際の剥離強度を測定した。各実施例および各比較例の60℃貼合剥離力は、表1および表2に示す通りである。
(フィルム外観)
表1および表2に示す各実施例および各比較例の膜厚20μmの接着フィルムの接着剤層の外観を、透過型光学顕微鏡を用いて観察した。4視野(4つの領域)を観察し、異物が確認された視野数(領域数)が1視野のものを○、2視野以上で異物が確認されたものを×とした。
ブチルアクリレート65重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量部、アクリル酸10重量部をラジカル重合させ、2−イソシアネートエチルメタクリレートを滴下反応させて合成した重量平均分子量80万のアクリル共重合体に硬化剤としてポリイソシアネート3重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1重量部を加えて混合し、粘着剤層組成物とした。
作製した粘着剤層組成物を乾燥膜厚が10μmとなるようにフィルム(基材フィルム以外の塗工用フィルム)に塗工し、120℃で3分間乾燥する。この後、そのフィルムに塗工した粘着剤層組成物を、基材フィルムである厚さ100μmのポリプロピレン−エラストマー(PP:HSBR=80:20のエラストマー)樹脂フィルム上に転写させることで粘着フィルムを作製した。
なお、ポリプロピレン(PP)は、日本ポリケム株式会社製のノバテックFG4を用い、水添スチレンブタジエン(HSBR)はJSR株式会社製のダイナロン1320Pを用いた。また、塗工用フィルムはシリコーン離型処理されたPETフィルム(帝人:ヒューピレックスS−314、厚み25μm)を用いた。
厚み200μmのシリコンウエハの裏面に各実施例および各比較例に係るウエハ加工用テープの接着剤層を貼り付け、7.5mm×7.5mmにダイシングした後、銀メッキ処理されたリードフレーム上に、温度160℃、圧力0.1MPa、時間1秒の条件でマウントした。更に、封止材(KE−1000SV、京セラケミカル(株)製)でモールドし、各実施例および各比較例のサンプルを20個作製した。
各実施例および各比較例の封止後のサンプルを85℃/60%RHの恒温恒湿層で196時間処理した後、サンプル表面の最高温度が260℃で20秒になるよう設定したIR(赤外線)リフロー炉にサンプルを通し、室温放置により冷却する処理を3回繰り返した。各実施例および各比較例において、上記のような処理を行った20個のサンプルに対してクラックの有無を観察し、20個のサンプル中のクラックが発生したサンプルの割合を算出し、リフロー時クラック発生率とした。
なお、クラックの有無を観察する際には、超音波探査装置(Scanning Acoustic Tomograph:SAT)を使用して透過法にて各サンプルを観察し、剥離が見られたものは全てクラックとした。
厚み200μmのシリコンウエハの裏面にウエハ加工用テープの接着剤層を貼り付け、7.5mm×7.5mmにダイシングした後、ダイの断面を光学顕微鏡にて観察しチップ欠けの有無を評価した。チップ欠けが多発しているものを×、チップ欠けが殆ど観察されなかったものを○とした。尚、ダイシング時に振動でチップが飛んでしまった場合も×とした。
比較例2では、Gminが高いため、60℃貼合剥離力が規定範囲(50mN/cm以上)外の20mN/cmとなってしまった。また、60℃貼合剥離力が規定範囲外の20mN/cmと低いために、ダイシング時に、振動でチップが飛んでしまい、チッピング性能が低下した。た、リフロー時クラック発生率も75%であった。
(1)接着剤層13の密度をρ(g/cm3)、接着剤層13の硬化前における最小の貯蔵弾性率をGmin(MPa)としたとき、ρ×Gminが0.2以上であるので、密度ρとGminとの2つの要素を組み合わせ、互いに補完させることで、接着剤層13の半導体ウエハへの貼合性を確保しつつ、ダイシング時のチッピングを低減することができる。
(2)接着剤層13を60℃で半導体ウエハ1に貼り合せた際の接着剤層13の貼合剥離力が50mN/cm以上であるので、ダイシング時に、ダイシングブレードの回転振動でチップが飛んでしまうのを低減することができる。
(3)接着剤層13に含まれるアクリルポリマーの重量平均分子量が50万以上であり、分散度が4未満であるため、耐リフロー性を向上させることができる。
(5)接着剤層13に含まれる無機フィラーの平均粒子径が、接着剤層13の厚みの80%未満であるので、接着剤層の表面の無機フィラー凝集物等の異物の発生を抑えることができる。
(6)接着剤層13の主成分としてアクリル樹脂等の安価な樹脂を用いることができ、接着剤層13に使用する樹脂をアクリル樹脂等に汎用化することができる。従って、低コストのウエハ加工用テープ10を実現することができる。
すなわち、本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の離型フィルム(例えば、図1に示す剥離ライナー11)と、この離型フィルム上に形成された接着剤層13とからなる接着フィルムであって、上記実施例1〜7の接着フィルムのように、ρ×Gminが0.2以上である接着フィルムにも適用される。
2:半導体チップ(半導体素子)
10:ウエハ加工用テープ
12:粘着フィルム
12a:基材フィルム
12b:粘着剤層
13:接着剤層
Claims (6)
- 半導体ウエハと貼合される接着剤層を有する接着フィルムであって、
前記接着剤層は、エポキシ樹脂とアクリル共重合体と無機フィラーと熱活性硬化剤とを必須成分とし、
前記アクリル共重合体は、重量平均分子量が50万以上であり、分散度が4未満であり、
前記接着剤層の密度をρ(g/cm3)とし、硬化前の前記接着剤層を周波数1Hzで、室温より200℃まで昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の貯蔵弾性率の最小値を、前記接着剤層の硬化前における最小の貯蔵弾性率Gmin(MPa)としたとき、ρ×Gminが0.2以上で、
前記接着剤層を60℃で前記半導体ウエハに貼り合せた後に、室温にて引張速度50mm/分で、90度ピール条件で剥離した際の前記接着剤層の貼合剥離力が50mN/cm以上であることを特徴とする接着フィルム。 - 前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が100g/eqより大きく、かつ、1000g/eq未満であることを特徴とする請求項1に記載の接着フィルム。
- 前記無機フィラーは、平均粒子径が前記接着剤層の厚みの80%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着フィルム。
- 基材フィルムと該基材フィルム上に設けられた粘着剤層とからなる粘着フィルムと、前記粘着剤層上に設けられた接着剤層とを有するウエハ加工用テープであって、
前記接着剤層は、エポキシ樹脂とアクリル共重合体と無機フィラーと熱活性硬化剤とを必須成分とし、
前記アクリル共重合体は、重量平均分子量が50万以上であり、分散度が4未満であり、
前記接着剤層の密度をρ(g/cm 3 )とし、硬化前の前記接着剤層を周波数1Hzで、室温より200℃まで昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の貯蔵弾性率の最小値を、前記接着剤層の硬化前における最小の貯蔵弾性率Gmin(MPa)としたとき、ρ×Gminが0.2以上で、
前記接着剤層を60℃で前記半導体ウエハに貼り合せた後に、室温にて引張速度50mm/分で、90度ピール条件で剥離した際の前記接着剤層の貼合剥離力が50mN/cm以上であることを特徴とするウエハ加工用テープ。 - 前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が100g/eqより大きく、かつ、1000g/eq未満であることを特徴とする請求項4に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記無機フィラーは、平均粒子径が前記接着剤層の厚みの80%未満であることを特徴とする請求項4または5に記載のウエハ加工用テープ。
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