JP5498426B2 - 内燃機関の気液分離室構造 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の気液分離室構造に関する。
従来、内燃機関のシリンダヘッドには、エンジンの圧縮・燃焼行程で燃焼室からシリンダヘッド内に漏れ出たブローバイガスから水分やオイルミストを分離する気液分離室が設けられている。
例えば、特許文献1には、内燃機関のヘッドカバーに、カムシャフトの状態を確認するための目視窓を設けるとともに、この目視窓を閉塞する目視窓カバーの内部空間を気液分離室(PCVルーム)として利用することが記載されている。
特許第4207047号公報
ところで、一般的な内燃機関は、オイルを供給するためのオイル供給口(オイルフィラー)をヘッドカバーの上部に有していることが多い。このオイル供給口にはオイルフィラーキャップが取り付けられている。
しかしながら、特許文献1に記載の内燃機関では、ヘッドカバーの上部に気液分離室を構成するための目視窓カバーが設けられているため、ヘッドカバーの上部にオイル供給口を設けることができず、目視窓カバーの上部にオイル供給口が設けられていた。そのため、内燃機関の高さ寸法が大きくなり、内燃機関のコンパクト化を阻害していた。
また、特許文献1に記載の内燃機関は、目視窓カバーの下面に設けたブローバイガスの導入口をヘッドカバーの目視窓に連通させることにより、ヘッドカバー内のブローバイガスを気液分離室に導入している。気液分離室の機能上、導入口の開口面積を広くしてブローバイガスの流速を上げずにブローバイガスの流量を増加させることが望まれる。
しかしながら、特許文献1に記載の気液分離室構造では、ヘッドカバーの強度を一定以上に保つために目視窓の大きさが制限されてしまうので、ブローバイガスの導入口の開口面積が制限されてしまうという問題があった。
本発明は、これらの問題に鑑みて成されたものであり、内燃機関のコンパクト化とブローバイガスの流量の増加とを両立可能な内燃機関の気液分離室構造を提供することを課題とする。
本発明に係る内燃機関の気液分離室構造は、カム軸を有する動弁機構を上部に備えたシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドの上部に取り付けられ、前記シリンダヘッドとの間に前記動弁機構を収容する動弁機構収容部を形成するヘッドカバーと、前記ヘッドカバーに取り付けられ、前記動弁機構収容部に連通するブローバイガス導入口を有する気液分離室支持部材と、前記気液分離室支持部材に取り付けられ、前記ブローバイガス導入口と連通する気液分離室を有する気液分離室部材と、を備え、前記気液分離室支持部材には、前記ブローバイガス導入口に隣接して、内燃機関にオイルを供給するためのオイル供給口が一体に形成され、前記ヘッドカバーは、前記気液分離室支持部材を取り付けるための支持部材取付部を有し、前記支持部材取付部は、前記ブローバイガス導入口に対応する部位に開口するブローバイガス用開口部と、前記オイル供給口に対応する部位に開口するオイル供給用開口部と、を有し、前記ブローバイガス用開口部と前記オイル供給用開口部は、互いに連続して一つの開口を形成していることを特徴とする。
かかる構成によれば、ヘッドカバーと気液分離室部材の間に設けた気液分離室支持部材にオイル供給口を設けたので、気液分離室部材の上部にオイル供給口を設ける場合に比較して、内燃機関の高さ寸法を小さくすることができる。
また、気液分離室支持部材には、ブローバイガス導入口に隣接してオイル供給口が一体に設けられているので、ブローバイガス導入口の開口面積を大きくして、ブローバイガスの流速を上げずにブローバイガスの流量を増加させることができる。
また、かかる構成によれば、気液分離室支持部材に互いに隣接して一体に形成されたブローバイガス導入口とオイル供給口に対応して、ヘッドカバーの支持部材取付部に形成されたブローバイガス用開口部とオイル供給用開口部とが、互いに連続して一つの大きな開口部を形成しているので、ブローバイガスの流量を増大させることができる。
また、前記ブローバイガス用開口部は、前記カム軸と直交する方向に延在し、前記ヘッドカバーの上方から前記ブローバイガス用開口部の内部を見たときに前記動弁機構を目視可能に形成され、前記オイル供給用開口部は、前記ブローバイガス用開口部の前記カム軸と直交する方向の端部のうち、前記ヘッドカバーの側部に近い方の端部に連続して形成され、前記支持部材取付部には、前記気液分離室支持部材の底面に当接し、前記ブローバイガス用開口部と前記オイル供給用開口部の周囲を囲う周囲壁が設けられている構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、ブローバイガス用開口部とオイル供給用開口部を互いに連続して形成した単一の開口部が、カム軸と直交する方向に延設されるので、ブローバイガス用開口部を動弁機構の目視窓として兼用することができるとともに、気液分離室に導入されるブローバイガスの流量を十分に確保することができる。
また、かかる構成によれば、ブローバイガス用開口部とオイル供給用開口部を互いに連続して形成した単一の開口部が周囲壁によって囲われているので、開口部の形成によるヘッドカバーの強度の低下を抑制することができる。
また、前記内燃機関のカム軸方向の一端側には、前記カム軸にクランク軸の駆動を伝達する伝達機構が配設されており、前記カム軸には、複数のカムが設けられ、前記ブローバイガス用開口部は、前記伝達機構を収容する伝達機構収容部とこの伝達機構収容部に最も近いカムとの間に設けられている構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、ブローバイガス用開口部が、伝達機構収容部とこの伝達機構収容部に最も近いカムとの間に設けられているので、カム軸に設けられたカムとブローバイガス用開口部との距離を離して、カム軸の回転によって飛散するオイル飛沫などがブローバイガス導入口に付着することを抑制することができる。
また、前記動弁機構収容部には、前記カム軸を軸支する複数の軸支持部材が設けられ、前記ブローバイガス用開口部の周囲壁のうち前記伝達機構収容部と反対側に位置する部位及び前記ブローバイガス用開口部に最も近い前記軸支持部材のいずれか一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられている構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、前記ブローバイガス用開口部の周囲壁のうち前記伝達機構収容部と反対側に位置する部位及び前記ブローバイガス用開口部に最も近い前記軸支持部材のいずれか一方に、他方に向かって突出する突出部が形成されているので、カムの回転によって飛散するオイル飛沫などがブローバイガス導入口に付着することを一層抑制することができる。
また、前記支持部材取付部には、前記カム軸を目視可能であり、前記気液分離室支持部材によって閉塞される目視窓が設けられている構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、気液分離室支持部材の底面が、シリンダヘッドからの熱を直接受けるので、気液分離室の内部の凍結を防止することができる。また、ヘッドカバーの支持部材取付部から気液分離室支持部材を取り外すことによって、目視窓からカム軸を含む動弁機構の状態を容易に確認することができる。
また、前記内燃機関は、車体に対してシリンダ軸線が後傾するように設置されており、前記気液分離室支持部材及び前記気液分離室部材は、前記ヘッドカバーの車体前方側に設置され、前記オイル供給口は、前記ヘッドカバーの前端部よりも前方側に張り出すように形成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、内燃機関の前方側にオイル供給口が張り出すようにレイアウトされるので、給油作業が容易であり、また、ブローバイガス導入口の開口面積や気液分離室の容量に影響が少ない配置が可能となる。
また、前記内燃機関は、前記内燃機関のオイルパンに連通するとともに、オイルレベルゲージを挿入するためのオイルレベルゲージ挿入孔を有し、前記気液分離室支持部材は、前記オイルレベルゲージ挿入孔にオイルを戻すためのオイル落し孔を備える構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、気液分離室でブローバイガスから分離された液体を、オイルレベルゲージ挿入孔を通してオイルパンに戻すことができるので、オイルレベルゲージ挿入孔と別にオイルリターン通路を設ける場合に比較して、ヘッドカバーからオイルパンまで連通する通路の本数を削減して、レイアウトの複雑化を防止して内燃機関のコンパクト化を図ることができる。
本発明によれば、内燃機関のコンパクト化とブローバイガスの流量の増加とを両立可能な内燃機関の気液分離室構造を提供することができる。
本実施形態に係る内燃機関の気液分離室構造を示す斜視図である。 ヘッドカバーから気液分離室支持部材及び気液分離室部材を取り外した状態を示す斜視図である。 気液分離室支持部材と気液分離室部材の分解斜視図である。 図1に示すI−I線断面図である。 図1に示すII−II線断面図である。 図1に示すIII−III線断面図である。
本発明の実施形態について、図1乃至図5を参照して詳細に説明する。本実施形態では、自動車に横置きした直列4気筒タイプのエンジンに本発明を適用した場合を例にとって説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。また、方向を説明する場合は、図1に示す前後左右に基づいて説明する。
本実施形態に係る内燃機関の気液分離室構造1(以下、単に「気液分離室構造1」という。)は、エンジンの燃焼室から漏れ出たブローバイガスから水分やオイルミストを分離する装置である。気液分離室構造1は、図1に示すように、シリンダヘッド2と、ヘッドカバー3と、気液分離室支持部材4と、気液分離室部材5と、を下から順に積み上げた構造となっている。
なお、図示は省略するが、内燃機関は、シリンダブロック、オイルパン、ピストン、コンロッド、クランク軸、などの基本構成を当然に備えている。また、内燃機関は、図4に示すように、車体に対してシリンダ軸線CLが後傾するように設置されている。
図1、図2に示すように、シリンダヘッド2は、図示しないシリンダブロックの上部に設置される金属製の部材である。シリンダヘッド2は、燃焼室にエアを供給する吸気ポート(図示省略)と、燃焼室から燃焼ガスを排出する排気ポート21と、吸気ポートを開閉する吸気バルブ(図示省略)と、排気ポートを開閉する排気バルブ(図示省略)と、を有している。また、図2、図5に示すように、シリンダヘッド2の上部には、吸気バルブ及び排気バルブを開閉駆動するための動弁機構6が設置されている。また、シリンダヘッド2の右側には、クランク軸の駆動力を動弁機構6に伝達する伝達機構7と、伝達機構7を収容するための伝達機構収容部75が設けられている。
図2に示すように、ヘッドカバー3は、シリンダヘッド2の上部を覆うことにより、シリンダヘッド2との間に動弁機構6を収容する動弁機構収容部25(図5参照)を形成する部材である。ヘッドカバー3は、伝達機構収容部75の側壁75aに隣接した部位から、右から二つ目の気筒の排気側(前方)に対応する範囲に、後記する気液分離室支持部材4(図3参照)を取り付けるための支持部材取付部31を有している。
支持部材取付部31は、ブローバイガスを導出するためのブローバイガス用開口部32を有している。ブローバイガス用開口部32は、伝達機構収容部75と、この伝達機構収容部75に最も近いカム63(図5参照)との間に設けられている。本実施形態では、ブローバイガス用開口部32は、最も右側の軸支持部材65の上方に設けられている。ブローバイガス用開口部32は、ヘッドカバー3の前後方向の略中央付近から前端部付近に亘って、後記する排気側カム軸62に直交する方向(すなわち前後方向)に延設されている。これにより、ヘッドカバー3の上方からブローバイガス用開口部32を通して、動弁機構収容部25の内部を目視すると、排気側カム軸62の右端部付近を確認することができるようになっている。
また、支持部材取付部31は、後記する気液分離室支持部材4に設けられたオイル供給口42(図3参照)から供給されたオイルを内燃機関の内部に導入するためのオイル供給用開口部33を有している。オイル供給用開口部33は、ブローバイガス用開口部32の前側の端部に連続して形成されている。オイル供給用開口部33は、ブローバイガス用開口部32よりも幅広に形成されている。オイル供給用開口部33は、ブローバイガス用開口部32と連続して単一の開口部34を形成している。
また、支持部材取付部31は、ブローバイガス用開口部32及びオイル供給用開口部33(つまり単一の開口部34)とは別に区画された開口部である目視窓35を有している。目視窓35は、最も右側の気筒と右から二つ目の気筒の排気側(前方)に対応する範囲に設けられている。目視窓35は、排気側カム軸62の上部に形成されており、ヘッドカバー3の上方から目視窓35を通して動弁機構収容部25の内部を目視すると、排気側カム軸62やカム63を確認することができるようになっている。
また、支持部材取付部31は、ブローバイガス用開口部32及びオイル供給用開口部33(つまり単一の開口部34)の周囲と目視窓35の周囲に、ヘッドカバー3の上面から立ち上がる周囲壁36を有している。周囲壁36の上面は、面一に形成されており、後記する気液分離室支持部材4の取付座を構成している。周囲壁36の各所には、気液分離室支持部材4を固定するためのボス部36aが複数設けられている。周囲壁36の前側の側部には、オイルレベルゲージ37aを挿入するためのオイルレベルゲージ挿入孔37が設けられている。また、オイルレベルゲージ挿入孔37の近傍には、後記する気液分離室51(図4、図5参照)とオイルレベルゲージ挿入孔37とを連通させるための連通孔38が設けられている。
図1、図2、図5に示すように、動弁機構6は、左右方向に互いに並列に配置された吸気側カム軸61と排気側カム軸62とを有している。以下、排気側カム軸62を中心に説明する。
図5に示すように、排気側カム軸62は、動弁機構収容部25の内部に、左右方向に互いに間隔を隔てて設けられた複数の軸支持部材65に回転自在に軸支されている。軸支持部材65は、いわゆる軸受部であり、シリンダヘッド2の上部に一体形成された下側部材65aと、ヘッドカバー3に一体形成された上側部材65bと、から構成されている。上側部材65bは、下側部材65aにボルト等で締結固定されている。排気側カム軸62は、隣り合う軸支持部材65の間であって、排気バルブ(図示省略)の頭部に対応する位置にカム63を備えている。排気側カム軸62の右側の端部62aは、伝達機構収容部75の側壁75aから伝達機構収容部75の内部に突出しており、排気側スプロケット72に連結されている。また、排気側カム軸62は、最も右側の軸支持部材65の両側に、カムスラストフランジ62b,62bを有している。
吸気側カム軸61は、排気側カム軸62と同様の構造であるため、詳細な説明を省略する。
ここで、図5に示すように、伝達機構収容部75に最も近い軸支持部材65(つまり最も右側の軸支持部材65)の上側部材65bには、周囲壁36bに向かって突出する突出部65cが設けられている。これにより、最も右側の軸支持部材65と周囲壁36bとの隙間が小さくなるので、最も右側のカム63やカムスラストフランジ62bの回転によって飛散したオイルがこの隙間を通ってブローバイガス用開口部32に入り込むことを抑制することができる。
伝達機構7は、クランク軸の駆動力を動弁機構6に伝達する機構であり、伝達機構収容部75の内部に設けられている。伝達機構7は、排気側カム軸62に取り付けられる排気側スプロケット72と、吸気側カム軸61に取り付けられる吸気側スプロケット73と、クランク軸に取り付けられる駆動側スプロケット(図示せず)と、これらのスプロケットに巻き掛けられるタイミングチェーン74(図5参照)と、を備えている。
伝達機構収容部75は、シリンダヘッド2、ヘッドカバー3及びシリンダブロック(図示せず)の側面を覆うチェーンケースカバー76を有している。
図1、図3、図4、図5に示すように、気液分離室支持部材4は、後記する気液分離室部材5を支持する樹脂性の部材であり、ヘッドカバー3の支持部材取付部31に取り付けられている。気液分離室支持部材4は、ブローバイガス用開口部32を介して動弁機構収容部25に連通するブローバイガス導入口41と、オイル供給用開口部33を介して内燃機関の内部にオイルを供給するためのオイル供給口42と、後記する気液分離室51の底面を構成する底壁部43と、を主に有している。
主に図4に示すように、ブローバイガス導入口41は、ヘッドカバー3のブローバイガス用開口部32に対応する位置に設けられた貫通孔であり、前後方向に細長い形状を呈している。
オイル供給口42は、ブローバイガス導入口41の前側に設けられた円形状の貫通孔であり、オイルフィラーキャップ42aが着脱自在に取り付けられている。オイル供給口42は、気液分離室支持部材4の前側の端部から前方に張り出すように設けられた張出部42bに設けられている。これにより、オイル供給口42は、シリンダヘッド2の前端やヘッドカバー3の前端よりも前方に張り出した状態(オーバーハングした状態)となる。
ブローバイガス導入口41とオイル供給口42とは、気液分離室支持部材4の上面では分離しているが、気液分離室支持部材4の下面では合流して単一の開口部44を構成している。
底壁部43は、気液分離室51の底面を構成する部位であり、平面視で略長方形状を呈している。底壁部43は、その上面が皿状に凹設されており、最も低くなる位置にオイル落し孔45を有している。オイル落し孔45の前方部位には、オイルレベルゲージ37aとの干渉を回避するための切欠部46が設けられている。
なお、気液分離室支持部材4の周囲には、気液分離室支持部材4を支持部材取付部31のボス部36aに締結するためのボス部4aが各所に設けられている。
図1、図3、図4、図5(主に図3)に示すように、気液分離室部材5は、左右方向に長い略長方体形状を呈する箱状の樹脂製部材である。気液分離室部材5は、ブローバイガスから水分やオイル分を分離する気液分離室51と、ブローバイガスを排出する排出口52と、を有している。
なお、気液分離室部材5は、オイル供給口42との干渉を回避するための切欠部5aと、オイルレベルゲージ37aとの干渉を回避するための切欠部5bと、を有している。
気液分離室51は、その内部が迷路構造(図示省略)となった空間であり、ブローバイガス中の水分やオイル分を液化して分離するように構成されている。気液分離室51の底面側は開放されており、右側の端部がブローバイガス導入口41に連通しているとともに、その他の部分が気液分離室支持部材4の底壁部43によって閉塞されている。
排出口52は、気液分離室51の左端部に設けられている。図示は省略するが、排出口52には、ブローバイガスを吸気ポートに還流させるための配管や、PCVバルブなどが接続されている。
図6に示すように、ヘッドカバー3の前側の端部に設けられたオイルレベルゲージ挿入孔37は、シリンダヘッド2及びシリンダブロック(図示省略)に設けられた貫通孔28を介して、オイルパンまで延設されている。
また、気液分離室支持部材4のオイル落し孔45は、ヘッドカバー3に設けられた連通孔38を介して、ヘッドカバー3の下面(シリンダヘッド2の上面)で、オイルレベルゲージ挿入孔37(貫通孔28)に連通されている。
本実施形態に係る内燃機関の気液分離室構造1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について図1乃至図6を参照して説明する。
内燃機関の気液分離室構造1は、ヘッドカバー3と気液分離室部材5の間に設けた気液分離室支持部材4にオイル供給口42が設けられているので、気液分離室部材5の上部にオイル供給口を設ける場合に比較して、内燃機関の高さ寸法を小さくすることができる。
なお、オイル供給口42は、気液分離室支持部材4の張出部42bに設けられているので、給油作業が容易であり、また、ブローバイガス導入口41の開口面積や気液分離室51の容量に影響が少ない配置が可能となる。
また、気液分離室支持部材4には、ブローバイガス導入口41に隣接してオイル供給口42が一体に設けられているので、ブローバイガス導入口41の開口面積を大きくすることができる。具体的には、ブローバイガス導入口41とオイル供給口42とは、気液分離室支持部材4の下面で合流して単一の開口部44を構成しているので、オイル供給口42の一部をブローバイガス導入口41として利用できるので、ブローバイガス導入口41の開口面積を大きくすることができる。これにより、ブローバイガスの流速を上げずにブローバイガスの流量を増加させることができる。
また、本実施形態では、気液分離室支持部材4及び気液分離室部材5が樹脂製であるので、アルミ合金などの金属性のヘッドカバーに気液分離室を一体に形成する場合に比較して、内燃機関の軽量化を図ることができる。
また、ヘッドカバー3には、ブローバイガス用開口部32とオイル供給用開口部33を互いに連続して形成した単一の開口部34が、排気側カム軸62と直交する方向に延設されるので、ブローバイガス用開口部32を動弁機構6の目視窓として兼用することができるとともに、気液分離室51に導入されるブローバイガスの流量を十分に確保することができる。
また、単一の開口部34及び目視窓35が、周囲壁36によって囲われているので、開口部34及び目視窓35の形成によるヘッドカバー3の強度の低下を抑制することができる。
また、ブローバイガス用開口部32が、伝達機構収容部75とこの伝達機構収容部75に最も近いカム63との間に設けられているので、排気側カム軸62に設けられたカム63とブローバイガス用開口部32との距離を離して、カム63の回転によって飛散するオイル飛沫などがブローバイガス用開口部32やブローバイガス導入口41に付着することを抑制することができる。
また、周囲壁36のうちブローバイガス用開口部32と目視窓35との間にある周囲壁36bに、伝達機構収容部75に最も近い軸支持部材65と当該周囲壁36bとの間に形成される隙間に向かって突出する突出部39が設けられているので、カム63の回転によって飛散するオイル飛沫などがブローバイガス用開口部32やブローバイガス導入口41に付着することを一層抑制することができる。
また、気液分離室支持部材4に設けられたオイル落し孔45が、連通孔38を介してオイルレベルゲージ挿入孔37と連通しているので、気液分離室51でブローバイガスから分離された液体を、オイルレベルゲージ挿入孔37を通してオイルパンに戻すことができる。そのため、オイルレベルゲージ挿入孔37と別にオイルリターン通路を設ける場合に比較して、ヘッドカバー3からオイルパンまで連通する通路の本数を削減して、レイアウトの複雑化を防止して内燃機関のコンパクト化を図ることができる。
また、連通孔38が、ヘッドカバー3の下面(シリンダヘッド2の上面)で、オイルレベルゲージ挿入孔37(貫通孔28)に連通されているので、加工が容易である。
また、ヘッドカバー3には目視窓35が設けられており、目視窓35は気液分離室支持部材4によって閉塞されているので、気液分離室支持部材4の底壁部43が、シリンダヘッド2からの熱を直接受けることになり、気液分離室51の内部の凍結を防止することができる。また、ヘッドカバー3の支持部材取付部31から気液分離室支持部材4を取り外すことによって、目視窓35から排気側カム軸62を含む動弁機構6の状態を容易に確認することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、最も右側の軸支持部材65の上側部材65bに突出部65cを設けたが、周囲壁36bに突出部を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、ヘッドカバー3に目視窓35を設けたが、ブローバイガス用開口部32によって動弁機構6を十分に確認できる場合は、目視窓35を省略してもよい。
なお、目視窓35は、内燃機関の製造過程において、シリンダヘッド2にヘッドカバー3を取り付けた状態で、軸支持部材65に排気側カム軸62の挿通孔を切削形成する際に、軸支持部材同士の間に切削工具を保持するための治具を配置するための開口部として利用することができる。
また、本実施形態では、ヘッドカバー3に軸支時部材65の上側部材65bを一体形成し、上側部材65bを下側部材65aにボルト等でそれぞれ締結することで、ヘッドカバー3の剛性を高めて振動を低減する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、上側部材65bをヘッドカバー3と別体に構成してもよい。
また、本実施形態では、ヘッドカバー3にオイルレベルゲージ挿入孔37を設け、気液分離室支持部材4に切欠部46を設けたが、気液分離室支持部材4に切欠部46を設けずに、オイルレベルゲージ挿入孔37に連通する貫通孔であるオイルレベルゲージ設置孔を設け、このオイルレベルゲージ設置孔にオイルレベルゲージ37aを設置してもよい。
このようにすれば、オイルフィラーキャップ42aやオイルレベルゲージ37aなどの作業者が着脱する部材を、気液分離室支持部材4に集約することができ、作業者が視認し易く、また作業し易い構造となる。
また、本実施形態では、排気側カム軸62の上方に気液分離室支持部材4及び気液分離室部材5を設けたが、排気側カム軸61の上方に気液分離室支持部材4及び気液分離室部材5を設けるようにしてもよい。
また、気液分離室支持部材4と気液分離室部材5とは、溶着等によって互いに固定してからヘッドカバー3に取り付けてもよいし、気液分離室支持部材4をヘッドカバー3に取り付けた後に気液分離室部材5を気液分離室支持部材4に取り付けてもよい。
1 内燃機関の気液分離室構造
2 シリンダヘッド
25 動弁機構収容部
3 ヘッドカバー
31 支持部材取付部
32 ブローバイガス用開口部
33 オイル供給用開口部
35 目視窓
36 周囲壁
37 オイルレベルゲージ挿入孔
38 連通孔
39 突出部
4 気液分離室支持部材
41 ブローバイガス導入口
42 オイル供給口
42a オイルフィラーキャップ
5 気液分離室部材
51 気液分離室
52 排出口
6 動弁機構
61 吸気側カム軸
62 排気側カム軸
63 カム
65 軸支持部材
7 伝達機構
75 伝達機構収容部

Claims (7)

  1. カム軸を有する動弁機構を上部に備えたシリンダヘッドと、
    前記シリンダヘッドの上部に取り付けられ、前記シリンダヘッドとの間に前記動弁機構を収容する動弁機構収容部を形成するヘッドカバーと、
    前記ヘッドカバーに取り付けられ、前記動弁機構収容部に連通するブローバイガス導入口を有する気液分離室支持部材と、
    前記気液分離室支持部材に取り付けられ、前記ブローバイガス導入口と連通する気液分離室を有する気液分離室部材と、を備え、
    前記気液分離室支持部材には、前記ブローバイガス導入口に隣接して、内燃機関にオイルを供給するためのオイル供給口が一体に形成され
    前記ヘッドカバーは、前記気液分離室支持部材を取り付けるための支持部材取付部を有し、
    前記支持部材取付部は、前記ブローバイガス導入口に対応する部位に開口するブローバイガス用開口部と、前記オイル供給口に対応する部位に開口するオイル供給用開口部と、を有し、
    前記ブローバイガス用開口部と前記オイル供給用開口部は、互いに連続して一つの開口を形成していることを特徴とする内燃機関の気液分離室構造。
  2. 前記ブローバイガス用開口部は、前記カム軸と直交する方向に延在し、前記ヘッドカバーの上方から前記ブローバイガス用開口部の内部を見たときに前記動弁機構を目視可能に形成され、
    前記オイル供給用開口部は、前記ブローバイガス用開口部の前記カム軸と直交する方向の端部のうち、前記ヘッドカバーの側部に近い方の端部に連続して形成され、
    前記支持部材取付部には、前記気液分離室支持部材の底面に当接し、前記ブローバイガス用開口部と前記オイル供給用開口部の周囲を囲う周囲壁が設けられていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
  3. 前記内燃機関のカム軸方向の一端側には、前記カム軸にクランク軸の駆動を伝達する伝達機構が配設されており、
    前記カム軸には、複数のカムが設けられ、
    前記ブローバイガス用開口部は、前記伝達機構を収容する伝達機構収容部とこの伝達機構収容部に最も近い前記カムとの間に設けられていることを特徴とする請求項又は請求項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
  4. 前記動弁機構収容部には、前記カム軸を軸支する複数の軸支持部材が設けられ、
    前記ブローバイガス用開口部の周囲壁のうち前記伝達機構収容部と反対側に位置する部位及び前記ブローバイガス用開口部に最も近い前記軸支持部材のいずれか一方には、他方に向かって突出する突出する突出部が設けられていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
  5. 前記支持部材取付部には、前記カム軸を目視可能であり、前記気液分離室支持部材によって閉塞される目視窓が設けられていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
  6. 前記内燃機関は、車体に対してシリンダ軸線が後傾するように設置されており、
    前記気液分離室支持部材及び前記気液分離室部材は、前記ヘッドカバーの車体前方側に設置され、
    前記オイル供給口は、前記ヘッドカバーの前端部よりも前方側に張り出すように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
  7. 前記内燃機関は、前記内燃機関のオイルパンに連通するとともに、オイルレベルゲージを挿入するためのオイルレベルゲージ挿入孔を有し、
    前記気液分離室支持部材は、前記オイルレベルゲージ挿入孔にオイルを戻すためのオイル落し孔を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の内燃機関の気液分離室構造。
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