JPH0618645U - 二重構造のシリンダーヘッドカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、シリンダヘッドカバーをアウター
カバー１とインナーカバー６とにより二重構造とすると
とに、両者の間に粘弾性の接着剤１０を介在させ、制振
性や遮音性を高めたシリンダーヘッドカバーを得ること
を目的とする。 【構成】 本考案の二重構造のシリンダーヘッドカバー
は、アウターカバー１にフィラー口３とＰＣＶバルブの
接続口４をプレス加工によって形成すると共に下縁には
フランジ部５を形成し、一方、インナーカバー６の左右
端付近にオイル吹きこぼれ防止用の遮油板７とブローバ
イガスの通過口８をプレス加工によって形成すると共
に、前記ブローバイガスの通過口８内側にバッフルプレ
ート９を溶接等により接合し、前記アウターカバー１と
インナーカバー６の接合に際し、アウターカバーの谷部
２に接するインナーカバーの中央部６ａおよび側壁６ｂ
部分に粘弾性の接着剤１０を介在させ、スポット溶接等
の方法で接合したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用エンジンのシリンダーヘッドに装着するシリンダーヘッド カバーの改良に関し、特に低騒音化を図ろうとするものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、従来のシリンダーヘッドカバーを示す図であり、図において１は、横 断面台形状のアウターカバーであり、中央の谷部２を挟み左側の膨出部には、エ ンジンオイルを給油するためのオイルフィラー口３が設けられ、このオイルフィ ラー口３には通常、フィラーキャップ（図示せず）が装着されている。また、右 側の膨出部には、ＰＣＶバルブ（図示せず）の接続口４が設けられている。 また、アウターカバーの下縁にはフランジ部５が形成され、このフランジ部５に はシリンダーヘッド（図示せず）に組み付けるためのボルト穴を数ヵ所設けてい る。 一方、台形状のインナーブラケット１２は、前記右側の膨出部内にスポット溶接 にて接合されてチャンバー１３を形成させるもので、該インナーブラケット１２ の上方にバッフルプレート９を設けることにより、ブローバイガス中の油分を分 離できるようになっている。また、図５に示すように、インナーブラケット１２ の下縁部と前記アウターカバー１の下縁部との間でガスケット（図示せず）を収 容させるための溝１５が形成されている。 また、帯状のインナーブラケット１４は、前記アウターカバー１の右側の膨出部 を除く内側の下縁部付近に図６に示すように、スポットにて溶接接合されるもの で、前記と同様にアウターカバー１の下縁部との間で溝１５を形成している。 また、前記アウターカバー１に設けられたオイルフィラー口３の下方には、図６ に示すように、別ピースによるオイル吹きこぼれ防止プレート１６がスポット溶 接されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】 従来のシリンダヘッドカバーは以上のように構成されているので、右側の膨
出 部内に形成されたチャンバー１３の部分では二重構造になっているものの、他の 大部分はアウターカバー１のみであるため、エンジンのカムその他から発生、伝 達した振動、騒音を制振、遮音する効果はほとんど見られず、騒音が高いという 問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記のような問題点を解決するためになされたもので、シリンダヘッ ドカバーを全般にわたってアウターカバー１とインナーカバー６とにより二重構 造とするとともに、両者の間に粘弾性の接着剤１０を介在させることにより、制 振性や遮音性を高めたシリンダーヘッドカバーを得ることを目的とするものであ る。

【０００５】 すなわち、本考案による二重構造のシリンダーヘッドカバーは、図１に示すよ うに、中央に谷部２を有する横断面台形状のアウターカバー１の左右の膨出部に 、それぞれオイルフィラー口３とＰＣＶバルブの接続口４をプレス加工によって 形成すると共に、下縁にはフランジ部５を形成し、一方、前記アウターカバー１ の内面下部の全周にわたって重なり合う横断面台形状のインナーカバー６の左右 端付近にオイル吹きこぼれ防止用の遮油板７とブローバイガスの通過口８をプレ ス加工によって形成すると共に、前記ブローバイガスの通過口８の内側にバッフ ルプレート９を溶接等により接合し、前記アウターカバー１とインナーカバー６ の接合に際し、アウターカバーの谷部２に接するインナーカバーの中央部上面６ ａおよび側壁６ｂ部分に粘弾性の接着剤１０を介在させ、スポット溶接等の方法 で接合したことを特徴とするものである。

【０００６】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。 図１は、本考案の二重構造のシリンダーヘッドカバーを示す分解斜視図であるが 、横断面台形状のアウターカバー１は、従来品と全く同じ構成であるから詳細な 説明を省略する。 台形状のインナーカバー６は、その左右端付近にオイル吹きこぼれ防止用の遮 油板７とブローバイガスの通過口８がプレス加工によって形成されており、前記 ブローバイガスの通過口８より内側にバッフルプレート９が溶接等により接合さ れている。なお、１３は、チャンバーであり、前記インナーカバー６の下縁部と アウターカバー１の下縁部との間でガスケットを収容させるための溝１５が形成 されるのは従来品と同じである。

【０００７】 そして、前記アウターカバー１とインナーカバー６の接合は、図２〜図３に示 すように、アウターカバー１の谷部２に接するインナーカバーの中央部上面６ａ と側壁６ｂ部分に粘弾性の接着剤１０を塗布した後、両者を重ね合わせてスポッ ト溶接により一体化している。

【０００８】

【作 用】

次に、本考案の作用について説明する。 通常シリンダーヘッドから発生する騒音は、以下に述べる二つの作用によって 各々独立に発生する。 一つは、エンジンのカムやその他の振動体から発生した振動が直接シリンダーヘ ッドカバーに伝わり、この振動がシリンダーヘッドカバー近傍の空気粒子に伝わ って騒音として放射される場合であり、他の一つは、エンジンのカムやその他の 音源から発せられた空気音が空気中を伝わり、シリンダーヘッドカバーに侵入し て振動を起こし、この振動がシリンダーヘッドカバー近傍の空気粒子に伝わって 騒音として放射される場合である。

【０００９】 本考案におけるシリンダーヘッドカバーでは、エンジンのカムやその他の振動 体から発生した振動が個体伝播され、シリンダーヘッドカバーのインナーカバー ６とアウターカバー１を屈曲振動させると、両者の重ね合わせ部分に制振作用を なす粘弾性の接着剤１０を介在させているため、この接着剤１０が伸縮変形を起 こし、振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、シリンダーヘッドカバー表面の 屈曲振動が減少して騒音が低下する。 また、エンジンのカムやその他の振動体から発生せられた空気音が空気中を伝わ り、シリンダーヘッドカバーに侵入する場合、シリンダーヘッドカバーが二重構 造になっているため、振動エネルギーが減衰し、騒音が低下する。

【００１０】

【考案の効果】

本考案のシリンダヘッドカバーは、アウターカバー１とインナーカバー６とに より二重構造とするとともに、両者の間に粘弾性の接着剤１０を介在させてスポ ット溶接等で一体化したものであるから、エンジンのカムやその他の振動体から 発生、伝達した振動、音を制振作用をなす粘弾性の接着剤１０により振動エネル ギーを熱エネルギーに変換し、また、二重構造による中間の空気層で音のエネル ギーを減衰させることができるため、シリンダヘッドカバーの低騒音化を図るこ とができる。

【図面の簡単な説明】

図１ 本考案のシリンダーヘッドカバーを示す分解斜視
図。 図２ 図１のＡ−Ａ断面図。 図３ 図１のＢ−Ｂ断面図。 図４ 従来のシリンダーヘッドカバーを示す斜視図。 図５ 図４のＣ−Ｃ断面図。 図６ 図４のＤ−Ｄ断面図。

【符号の説明】

１ アウターカバー、 ２ 谷部、 ３ オイルフィラ
ー口、 ４ 接続口、５ フランジ部、 ６ インナー
カバー、 ６ａ インナーカバーの中央部上面、 ６ｂ
側壁、 ７ オイル吹きこぼれ防止用の遮油板、 ８
ブローバイガスの通過口、 ９ バッフルプレート、
１０ 粘弾性の接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中央に谷部２を有する横断面台形状のア
   ウターカバー１の左右の膨出部に、それぞれオイルフィ
   ラー口３とＰＣＶバルブの接続口４をプレス加工によっ
   て形成すると共に、下縁にはフランジ部５を形成し、一
   方、前記アウターカバー１の内面下部の全周にわたって
   重なり合う横断面台形状のインナーカバー６の左右端付
   近にオイル吹きこぼれ防止用の遮油板７とブローバイガ
   スの通過口８をプレス加工によって形成すると共に、前
   記ブローバイガスの通過口８の内側にバッフルプレート
   ９を溶接等により接合し、前記アウターカバー１とイン
   ナーカバー６の接合に際し、アウターカバーの谷部２に
   接するインナーカバーの中央部上面６ａおよび側壁６ｂ
   部分に粘弾性の接着剤１０を介在させ、スポット溶接等
   の方法で接合したことを特徴とする二重構造のシリンダ
   ーヘッドカバー。