JPH0447377Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、オイルパンの振動による騒音を遮
断するための、エンジンの二重オイルパン構造に
関するものである。

（従来技術） エンジンのオイルパンは、鋼板をプレス成形し
たものであつて、エンジンの回転により特に最も
弱い底部が振動を起して騒音を発することがある
ため、オイルパンの外周に所定の空間または吸音
材を介在してカバー部材を被覆することにより、
騒音を遮断することが従来から行われている。

こうした従来のカバー部材は、オイルパンの外
周を覆う形状に一体に形成されたものをオイルパ
ンの取り付けねじを利用して共締によりエンジン
本体に取り付けるのが一般的であつた。（たとえ
ば実開昭53−14055号公報） この種のカバー部材は自体が振動して騒音を発
するのを防止するためと、他の物体に当つた場合
に容易に変形し、カバー部材がオイルパンに近接
することにより、両者が振動により頻ぱんに干渉
するのを防止するために、ある程度の剛性を持た
せる必要があり、そのために厚目の鋼板を使用す
れば重量が増加するといつた問題があつた。

また、車載状態でオイル交換を行うに当つて、
ドレンプラグを外すためにオイルパンを取外そう
としても、カバー部材をオイルパンの高さだけ下
方に下げなければならないが、車載のままでは排
気管などが障害となつて下げるスペースがないた
め、ドレンプラグをカバー部材の外側で取り外せ
るように、カバー部材を貫通して設けねばならな
かつたが、こうするとドレンプラグを通じて振動
がカバー部材に伝達されて騒音の原因となるとい
つた問題もあつた。

なお、この場合カバー部材が下げられないこと
からオイルパンと一緒に横方向に取り外そうとし
てもオイルパン内にはオイルストレーナが突出し
ているため取り外し困難である。

（考案の目的） この考案は、上記した従来の問題点を解消し
て、カバー部材の材料を厚くすることなく剛性を
高め、かつ車載状態での取り外しを容易にしたエ
ンジンの二重オイルパン構造を提供することを目
的とするものである。

（考案の構成） 上記の目的を達するためのこの考案は、オイル
パンの外周に、所定空間をもち、あるいは吸音材
を介して、カバー部材を被覆保持させた、エンジ
ンの二重オイルパン構造において、上記カバー部
材に、オイルパンの長手方向あるいは反長手方向
で左右二分割する分割部を設けるとともに、上記
カバー部材の開口部と、上記オイルパンの外周と
の間にシール部材を挟持させた状態で、上記分割
部を連結固定した、エンジンの二重オイルパン構
造である。

（実施例） 以下この考案を図面に示す実施例にもとづいて
説明する。

１はオイルパンで、エンジン本体２の下面に複
数本の取付ボルト３により取り付けてある。

４，４ａはカバー部材で、上面を開口してオイ
ルパン１の外側に被覆されるもので、長手方向の
中央で二分割し、合わせ面にフランジ５，５ａを
形成して互に対向させ、その間にパツキン部材６
を介在させて複数本の締結ボルト７で結合してあ
る。

このカバー部材４，４ａは反長手方向を二分割
してもよい。

８はシール部材で、カバー部材４，４ａの開口
部内周と、オイルパン１の上部外周に設けたシー
ル部材溝９，１０との間に挟持して、オイルパン
１とカバー部材４，４ａとの間に形成される空間
１１の上部を密閉している。

１２，１２ａはオイルパン１に突設したブラケ
ツトで、フランジ５，５ａ合わせ面に挟まれて、
ブラケツト１２，１２ａとフランジ５，５ａとに
締結ボルト７を貫通させて、振動や衝撃などによ
つてカバ−部材４，４ａがオイルパン１から外れ
るのを念のため防止するものである。

１３はオイルパンに設けたドレンプラグを示
す。

以上の構成により、カバー部材４，４ａは従来
のようにエンジン本体２に取り付けられるのでな
く、オイルパン１に主にシール部材８によりフロ
ーテイング支持され、かつ空間１１の密封性を高
めて、オイルパン１から発する騒音をよく遮断す
ることができる。

また、フランジ５，５ａおよびシール部材溝９
が、カバー部材４，４ａの補強を果して剛性が高
められるので、カバー部材４，４ａが振動して騒
音を発することや、カバー部材４，４ａが変形す
ることが無くなる。

また、カバー部材４，４ａは車載状態のままで
締結ボルト７を外して横方向に取り外すことがで
きるため、ドレンプラグ１３をカバー部材４，４
ａの外部まで貫通させて設ける必要がなくなり、
オイル交換時にはカバー部材４を取り外して行え
るもので、ドレンプラグ１３を通して振動がカバ
ー部材４，４ａに伝達されることがなくなる。

（考案の効果） 以上説明したこの考案に係るエンジンの二重オ
イルパン構造によれば、カバー部材の剛性を高め
てカバー部材自体の振動を防止し、かつシール部
材によりフローテイング支持して、金属同志の接
触をできるだけ避けてフローテイング支持してシ
ール性を高めたことによりオイルパンの騒音遮断
効果を高めることができ、さらにカバー部材を二
分割して横方向に取り外せるようにしたことによ
りサービス性の向上を果すことができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す一部切断側
面図、第２図は第１図Ａ−Ｂ線断面図である。 １……オイルパン、２……エンジン本体、４，
４ａ……カバー部材、５，５ａ……フランジ、６
……パツキン部材、８……シール部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. オイルパンの外周に、所定空間あるいは吸音材
   を介して、カバー部材を被覆保持させた、エンジ
   ンの二重オイルパン構造において、上記カバー部
   材に、オイルパンの長手方向あるいは反長手方向
   で左右二分割する分割部を設けるとともに、上記
   カバー部材の開口部と、上記オイルパンの外周と
   の間にシール部材を挟持させた状態で、上記分割
   部を連結固定したことを特徴とする、エンジンの
   二重オイルパン構造。