JPS6332915Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は車両用エンジンのシリンダブロツク
とクラツチハウジングとの間に介装されるリヤエ
ンドプレートに関するものである。

（従来の技術） 通常、リヤエンドプレートの一部には、シリン
ダブロツクより露出しかつクラツチハウジングの
前端面を覆蓋するカバー部がその基部においてリ
ヤエンドプレート本体と、一体状に配設されてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、前記クラツチハウジングの前端面を
覆蓋するカバー部の先端部は自由端となるため、
エンジンの作動時において、リヤエンドプレート
が共振されると、カバー部が激しく振動される。
そして、このカバー部の振動が原因となつて騒音
が発生し、時にはカバー部の振動に伴う吸気作用
によつてその周囲の塵埃をクラツチハウジング内
に吸込む問題点があつた。

このようなカバー部の振動を軽減するために、
一般には、リヤエンドプレートの板厚を増加した
り、二重鋼板構造にしてその対策がなされてい
た。しかしながら、このような板厚増加や二重構
造にすると重量が大きく増加しかつ加工も困難と
なる等の問題点がある。

そこでこの考案は、リヤエンドプレートの重量
増加を可及的に押えて、そのカバー部の振動を軽
減することを、その解決すべき技術的課題とする
ものである。

（問題点を解決するための手段） 上記課題を解決するために、この考案は、車両
用エンジンにおけるシリンダブロツクとクラツチ
ハウジングとの間に介装される鋼板製のリヤエン
ドプレート本体を形成し、該リヤエンドプレート
本体の略下半部には、前記シリンダブロツクの端
面下方より露出しかつ前記クラツチハウジングの
前端面部下部を覆蓋するカバー部をその基部にお
いて前記リヤエンドプレート本体と一体に形成
し、このカバー部には、その基部と自由縁と間に
おいて前記エンジンの作動によつてカバー部が共
振したときの該カバー部の振幅が大となる部分に
重量体よりなる防振ウエートを配設した構成にし
たものである。

（作用） したがつてこの考案は、エンジンの作動時にリ
ヤエンドプレートが共振されたときのカバー部の
振動が、このカバー部に配設した重量体よりなる
防振ウエートによつて軽減される。

特に、防振ウエートは、カバー部の基部と自由
端との間において、エンジンの作動によつてカバ
ー部が共振したときの該カバー部の振幅が大とな
る部分に配設されるため、前記カバー部の振動が
可及的に軽減される。

このようにして、リヤエンドプレートのカバー
部の振動を防振ウエートによつて可及的に軽減す
ることで、リヤエンドプレートの板厚を増加した
り、リヤエンドプレートを二重鋼板構造とする必
要性が解消される。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。車両用エンジン１のシリンダブロツク
２と、トランスミツシヨンケース３の前側に一体
に形成されたクラツチハウジング４との間にはリ
ヤエンドプレート５が介装されている。

リヤエンドプレート５のプレート本体６は一枚
の鋼板よりなり、その一部（第２図では下部）に
はシリンダブロツク２より露出しかつクラツチハ
ウジング４の前端面を覆蓋するカバー部７が、そ
の基部においてプレート本体６と一体に形成され
ている。

エンジン１の作動によつて共振する前記カバー
部７のうち、その振幅が大きい部分、例えばカバ
ー部７の中央部には防振ウエート８が配設されて
いる。この実施例の防振ウエート８は、カバー部
７の後側面（第３図では左側面）に固着されたナ
ツト状の第１ウエート８ａと、この第１ウエート
８ａのめねじに対し取外し可能に螺合されその頭
部がカバー部７の前側面（第３図では右側面）に
突出するボルト状の第２ウエート８ｂとから構成
されている。そして、シリンダブロツク２とクラ
ツチハウジング４とを分離及び組付ける時には、
これらの作業を妨害することがないように前記第
２ウエート８ｂを取外した状態のもので行なわれ
る。

この実施例は上述したように構成されるもので
あり、従つてエンジン１の作動時において、リヤ
エンドプレート５が共振された場合、そのカバー
部７の振動が防振ウエート８によつて軽減される
ため、このカバー部７の振動が原因となる騒音発
生や周囲の塵埃をクラツチハウジング４内に吸込
む不具合を防止することができる。

また、前記カバー部７の振動による音は、防振
ウエート８によつて低周波側へずれる。これを、
この実施例の防振ウエート８のあるリヤエンドプ
レート５と防振ウエートのないリヤエンドプレー
トとを試験した結果、第４図と第５図に示す結果
が得られた。すなわち、第４図に示すようにリヤ
エンドプレートが発する音は広範囲の周波数にわ
たるが、この実施例のものは、騒音として大きい
原因となる600〜4KHzの範囲における音圧レベル
を小さくすることができた。これによつて、第５
図に示すように騒音レベルを小さくすることがで
きた。

なお、防振ウエート８を次のように変更しても
よい。

(イ) 第６図に示すように、プレート本体６のカバ
ー部７の基部と自由端縁との間において、その
両側面又は片側面に防振ウエート８を溶接、接
着剤等によつて固定してもよい。

(ロ) 第７図に示すように、プレート本体６のカバ
ー部７の基部と自由端縁との間において、複数
個の防振ウエート８〜８をそれぞれ独立して配
設してもよい。ただし、防振ウエート８の配設
位置はカバー部７のうち振幅の大きい部分に配
設することが望ましい。また、第８図と第９図
に示すように、リヤエンドプレート５のプレー
ト本体６を上半部のない下半部のみとし、この
プレート本体６のカバー部７の基部と自由端縁
との間において、防振ウエート８を配設しても
よい。

（考案の効果） 以上述べたように、この考案によれば、車両用
エンジンにおけるシリンダブロツクとクラツチハ
ウジングとの間に介装される鋼板製のリヤエンド
プレート本体を形成し、該リヤエンドプレート本
体の略下半部には、前記シリンダブロツクの端面
下方より露出しかつ前記クラツチハウジングの前
端面下部を覆蓋するカバー部を、その基部におい
て前記リヤエンドプレート本体と一体に形成し、
エンジンの作動時にリヤエンドプレートが共振さ
れたときのカバー部の振動をこのカバー部に配設
した重量体よりなる防振ウエートによつて軽減す
るようになつたリヤエンドプレートであつて、 特に、防振ウエートは、カバー部の基部と自由
端との間において、エンジンの作動によつてカバ
ー部が共振したときの該カバー部の振幅が大とな
る部分に配設されるため、前記カバー部の振動を
可及的に軽減することができる。

しかも、シリンダブロツクの端面下方より露出
しかつクラツチハウジングの前端面下部を覆蓋す
るリヤエンドプレートのカバー部は、その振動に
よる騒音が車両下方から外部へ抜けやすい部分と
なるが、このカバー部の振動を、前記したように
防振ウエートによつて可及的に軽減することで、
騒音発生の防止に効果が大きい。しかも、カバー
部の振動が原因となる周囲の塵埃の吸込みを積極
的に防止することができ、クラツチハウジング内
に対する塵埃侵入防止としてのカバー部の本来の
機能が充分に達成される。

このようにして、リヤエンドプレートのカバー
部の振動を防振ウエートによつて可及的に軽減す
ることで、リヤエンドプレートの板厚を増加した
り、リヤエンドプレートを二重鋼板構造とする必
要性を解消することができる。

この結果、リヤエンドプレートの重量増加を防
振ウエートの重量分にとどめて軽量化を図ること
ができるとともに、構造が簡単でコスト低減を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は車両用エンジンとクラツチハウジングとの間
にリヤエンドプレートを介装した状態を示す側面
図、第２図はリヤエンドプレートを示す正面図、
第３図は第２図の−線端面図、第４図はリヤ
エンドプレートが発する音を周波数と音圧レベル
との関係において示す特性図、第５図は同じくエ
ンジン回転数と騒音レベルとの関係において示す
特性図、第６図〜第９図は他の実施例をそれぞれ
示すもので、第６図は側断面図、第７図は正面
図、第８図は正面図、第９図は側断面図である。 １……基体、２……シリンダブロツク、４……
クラツチハウジング、５……リヤエンドプレー
ト、６……プレート本体、７……カバー部、８…
…防振ウエート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両用エンジンにおけるシリンダブロツクとク
   ラツチハウジングとの間に介装される鋼板製のリ
   ヤエンドプレート本体を形成し、該リヤエンドプ
   レート本体の略下半部には、前記シリンダブロツ
   クの端面下方より露出しかつ前記クラツチハウジ
   ングの前端面下部を覆蓋するカバー部を、その基
   部において前記リヤエンドプレート本体と一体に
   形成し、このカバー部には、その基部と自由端縁
   との間において前記エンジンの作動によつてカバ
   ー部が共振したときの該カバー部の振幅が大とな
   る部分に重量体よりなる防振ウエートを配設した
   ことを特徴とする車両用エンジンのリヤエンドプ
   レート。