JP5430315B2 - 画像形成方法及びインク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インク組成物を吐出して画像を形成する画像形成方法及びこれに用いるインク組成物に関する。
近年、資源保護、環境保全、作業の安定性向上等のニーズの高まりによってインクの水性化が進行しつつある。水性インクに要求される品質は、油性インクと同様、流動性、貯蔵安定性、皮膜の光沢、鮮明性、着色力等である。
ところが、大部分の顔料は油性ビヒクルの場合に比べて、水性ビヒクルに対する顔料分散性等の適性が著しく劣るため、通常の分散方法では満足な品質が得られない。これまで、各種の添加剤、例えば水性用顔料分散樹脂や界面活性剤の使用が検討されてきたが、顔料分散性等の適性を満足し、既存の高品質を有する油性インクに匹敵するような水性インクは得られていない。
このような状況に関連して、例えば、色材として水不溶性ポリマーによって被覆された着色剤とポリマー粒子を含有する水性インク組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、顔料及びコロイダルシリカを含む水性インクジェット用記録液や、樹脂エマルション及び無機酸化物コロイドを含有するインク組成物などが開示されており(例えば、特許文献2〜4参照)、コロイダルシリカ等を含むことにより耐擦性、色むら、鮮明性などの点から良好な画像が形成できるとされている。
また、インクのゼータ電位と部材と色材間のゼータ電位を用いることにより、インクと接するガラス、シリコン、シリコン酸化物等の溶出を防止する水性インク組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2001−329199号公報 特開平9−227812号公報 特開平9−286941号公報 特許第3550637号 特開2003−165936号公報
しかしながら、上記した従来技術のうち、ポリマー粒子を含有する水性インク組成物では、形成される画像の耐擦過性は改良されるものの、吐出性の点で満足すべきものとは言い難かった。
また、インクジェットヘッドがインクに接している場合、インクの影響でヘッド部材の劣化を招きやすい傾向にあることが知られており、特に水性インクにポリマー粒子が含まれると、その傾向が大きく現れる傾向がある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、ヘッドプレートの劣化を抑制し、より高精細な画像を安定的に形成することができる画像形成方法及びインク組成物を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、インクジェットヘッドのノズルプレートがシリコンで形成されている場合、インクとの接触の影響からシリコン部位、例えばシリコン又はシリコン酸化物等の部位が溶出して侵食されやすい状況に対し、インク組成物に無機ケイ酸化合物を含ませるとシリコン部位の侵食防止に効果があり、特にその効果は、例えば1200dpi等の高精細な画像が得られるように複数のノズル(吐出口)を2次元配列してノズルに多量のインクが流れる構造とした場合に顕著であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも一部にシリコンを含むノズルプレートを備えたインクジェットヘッドから、顔料、水溶性有機溶剤、樹脂粒子、及び無機ケイ酸化合物を含むインク組成物を吐出して画像を形成する画像形成方法であり、
前記ノズルプレートは、2次元マトリックス状に配設された、インク組成物を吐出する複数の吐出口を有し、ノズルプレートの少なくとも一部がSiO を含ませた膜を設けて形成されており、
前記インクジェットヘッドは、更に、
前記ノズルプレートの複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、
前記複数の圧力室のそれぞれにインク組成物を供給する複数のインク供給流路と、
前記複数のインク供給流路にインクを供給する共通液室と、
前記複数の圧力室のそれぞれを変形する複数の圧力発生手段と、
前記共通液室を貫通するように配設され前記圧力発生手段に駆動信号を供給する電気配線と、を備え、
前記圧力発生手段が前記圧力室の前記ノズルプレートの配置側とは反対側に配置され、前記共通液室が前記圧力発生手段の前記圧力室の配置側とは反対側に配置され、
前記圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の体積変化量を制御してインク組成物を吐出する、
画像形成方法である。
> 前記圧力発生手段が圧電素子であることを特徴とする前記<>に記載の画像形成方法である。
> 前記インクジェットヘッドは、前記ノズルプレートからの吐出によりシングルパス方式で1200dpi以上の描画解像度で画像を形成することを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成方法である。
> 前記無機ケイ酸化合物のインク組成物中における含有量が、インク組成物の全質量の0.0005質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記インク組成物は、25℃におけるpHが7.5以上10.0以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記樹脂粒子が、自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記無機ケイ酸化合物が、コロイダルシリカであることを特徴とする前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である
本発明によれば、ヘッドプレートの劣化を抑制し、より高精細な画像を安定的に形成することができる画像形成方法及びインク組成物を提供することができる。
インクジェットヘッドの内部構造の一例を示す概略断面図である。 ノズルプレートの吐出口配列の一例を示す概略図である。 ヘッド構造の一例を示す平面透視図である。 図3の一部を拡大して示す拡大図である。 32×64個の2次元ノズル配列の一部を拡大して示す拡大図である。 ヘッド構造の他の例を一部拡大して示す斜視透視図である。 圧力室の一部を拡大して示す平面透視図である。 図7の9−9線断面図である。
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明すると共に、該説明を通じてインク組成物についても詳述する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも一部にシリコンを含むノズルプレートを備えたインクジェットヘッドから無機ケイ酸化合物を含むインク組成物を吐出して画像を形成する工程(以下、「インク吐出工程」ということがある。)を含む構成としたものであり、必要に応じて、更に他の工程を設けて構成することができる。本発明においては、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液を記録媒体上に付与する工程(以下、「処理液付与工程」という。)を更に設けた態様が好ましい。
本発明においては、インクジェットヘッドのシリコンで形成されたノズルプレートに接するインク組成物を無機ケイ酸化合物を含ませて構成することで、ノズルプレートのシリコンで形成されている部位の侵食による劣化を防止することができる。これにより、吐出時のインク滴のサイズや吐出速度などが変化して吐出不良を起こすのを抑制し、安定的に高画質な画像を形成することができる。
[インク吐出工程]
インク吐出工程では、少なくとも一部にシリコンを含むノズルプレートを備えたインクジェットヘッドを用い、無機ケイ酸化合物を含むインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)を吐出して画像を形成する。本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。
インクジェット法を利用した画像の記録は、具体的には、エネルギーを供与することにより、所望の被記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に液体組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。なお、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明においては、前記圧力パルス方式を利用した圧力発生手段(例えば圧電素子)を用い、圧力発生手段を駆動して圧力室内の体積変化量を制御することによりノズルから吐出されるインク組成物の液滴径を変化させてノズルから吐出する方法、圧力発生手段を複数回駆動することによりノズルから吐出する液滴数を制御し着弾までの間に複数の液滴を合一させる方法などが好ましい。これらの場合において、特にノズルプレートのシリコン部位のインクによる侵食抑制の課題がより重要であり、本発明のインク組成物により安定的に多階調画像を記録することができる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。なお、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式(シングルパス方式)とがある。シングルパス方式とは、記録媒体の全域をカバーするフルラインヘッドを用いて、該フルラインヘッドと記録媒体とを相対的に一回だけ移動させる動作で、記録媒体の全面に画像を形成する態様である。このようなシングルパス方式の例としては、特開2005−96443号公報、特開2005−280346号公報に記載がある。つまり、シングルパス方式では、フルラインヘッドの素子配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にシングルパス方式に適用した場合は、高精細ノズル配置と高吐出周波数が要求されるため、インクによる侵食抑制の課題がより重要であり、本発明のインク組成物により吐出精度の向上及びノズルプレートのインクとの接触による侵食防止に対する効果が大きい。
更には、本発明におけるインク吐出工程では、ライン方式による場合に、インク組成物を1種のみ用いるのみならず2種以上のインク組成物を用い、先に吐出するインク組成物(第n色目(n≧1)、例えば第2色目)とそれに続いて吐出するインク組成物(第n+1色目、例えば第3色目)との間の吐出(打滴)間隔を1秒以下にして好適に記録を行なうことができる。本発明においては、ライン方式で1秒以下の吐出間隔として、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色を防止しつつ、従来以上の高速記録下で耐擦過性に優れ、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。また、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像を得ることができる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜12pl(ピコリットル)が好ましい。また、複数のインク液滴量を組み合わせて画像を形成する方法が、ハイライトの画像形成からムラやスジの補正に対して好ましく、この場合には、ハイライトの画像を形成する小液滴の液滴量は0.5〜4plが好ましく、主に使われる中液滴の液滴量は2〜8plが好ましく、ムラやスジの補正に使われる大液滴の液滴量は6〜12plが好ましい。
−インクジェットヘッド−
本発明の画像形成方法に用いられるインクジェットヘッドは、少なくとも一部がシリコンを含ませて形成されたノズルプレートを備えている。図1は、インクジェットヘッドの内部構造の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、インクジェットヘッド200は、吐出口(ノズル)を有するノズルプレート11と、ノズルプレートの吐出方向と反対側に設けられたインク供給ユニット20とを備えている。ノズルプレート11には、インクを吐出する複数の吐出口12が設けられている。
ノズルプレート11は、図2に示すように、32×64個の吐出口(ノズル)が2次元配列されて設けられている。このノズルプレートの一部又は全てはシリコンで形成されている。ノズル口内及びインク吐出方向側の表面にはシリコンが露出した構造になっていていてもよく、金属(シリコンを含む)の酸化物及び窒化物、並びに金属(シリコンを除く)の群から選ばれる少なくとも一種を含ませた膜により被覆されていることが好ましい。
さらに、ノズルプレートのインク吐出方向側の表面には、インクに対する濡れ性を抑制してノズル近傍のインク汚れを防止する目的で、撥液性の膜により被覆されていてもよい。撥液性の膜としては、フルオロカーボンを含む膜が好ましく用いられる。
このノズルプレートにより高速シングルパス(記録媒体が1回通過)で1200dpiの高精細で高画質記録が可能である。すなわち、ノズルプレートの複数のノズルが2次元マトリックス状に配置されており、このノズルプレートに固定されたインク供給ユニットは多くのインクを高周波数で吐出(いわゆる高Dutyにて吐出)させることができる流路構成となっている。高精細とするために、半導体プロセスを利用しやすいシリコンが一部又は全てに使用されている。具体的には、ノズルプレートの全体もしくは一部がシリコンで形成される場合、シリコンとして例えば単結晶シリコン、ポリシリコンを用いることができる。シリコンで形成されたノズルプレートは、インクによる侵食が発生することが一般的に課題として認識されており、様々な保護膜によりインクによる浸食を防止することが検討されてきた。しかしながら、酸化シリコンのように保護膜自身のインクによる侵食や保護膜に存在する膜の欠陥等を起因としてインクによる浸食を完全に防止することは極めて困難な課題であり、特に高速シングルパス方式のようにインク吐出の周波数が高く、フレッシュなインクが常に接しやすいほど、インクによるシリコン及びその保護膜の侵食が進行しやすい。また高精細が要求される高速シングルパス方式では、インク浸食による吐出精度の悪化に対する要求レベルも高い。
本発明においては、吐出に使用するインク組成物に無機ケイ酸化合物を含有することにより、侵食されやすいシリコンの劣化を効果的に防止することができる。
このノズルプレートは、金属(シリコンを含む)の酸化物及び窒化物、並びに金属(シリコンを除く)の群から選ばれる少なくとも一種を含ませた膜形成により被覆されることができる。具体的には、ノズルプレートの全体もしくは一部がシリコンで形成される場合、例えば、シリコンとして単結晶シリコン、ポリシリコンを用いることができる。また、ノズルプレートの全体もしくは一部がシリコンで形成される場合、例えば、単結晶シリコン基板上に、酸化シリコン、酸化チタン、酸化クロム等の金属酸化物や窒化チタン、窒化シリコン等の金属窒化物、又はジルコニウム等の金属などの膜が設けられたものでもよい。酸化シリコンは、例えばシリコンで形成されたノズルプレートのシリコン表面の全部もしくは一部が酸化されて形成されたSiO膜でもよい。シリコン表面の全部もしくは一部には、酸化タンタル(好ましくは5酸化タンタル(Ta))やジルコニウム、クロム、チタン、ガラス等の膜が形成されたものでもよい。また、シリコンの一部をガラス(例:硼珪酸ガラス、感光性ガラス、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス)に代えて構成してもよい。五酸化タンタル等をはじめとする酸化タンタルからなる膜は、インクに対して非常に優れた耐インク性を有し、特にアルカリ性のインクに対して良好な耐侵食性が得られる。
前記SiO膜を形成する方法の一態様を述べる。例えば、コーティングされていないシリコン基板が設置された化学蒸着法(CVD)リアクタに、SiCl及び水蒸気を導入することによって、シリコン基板上にSiO膜を形成できる。CVDチャンバと真空ポンプとの間のバルブは、流体をくみ出しチャンバを空にした後、閉じられ、SiCl及びHOの蒸気がチャンバの中に導入される。SiClの分圧は、0.05〜40torr(6.67〜5.3×10Pa)の間(例えば0.1〜5torr(13.3〜666.5Pa))とすることができ、HOの分圧は0.05〜20torrの間(例えば0.2〜10torr)とすることができる。堆積温度は、一般には室温と摂氏100度との間である。また、他の態様として、シリコン基板上にスパッタリングすることによりSiO膜を形成することができる。SiO膜によってコーティングされるべき表面は、SiO膜を形成する前に(例えば、酸素プラズマを当てることによって)洗浄されることが好ましい。
2次元配列された複数の吐出口(ノズル)を有するノズルプレートを備えたインクジェットヘッドの構成例を図3〜図4を参照して説明する。図3は、ヘッド構造の一例を示す平面透視図であり、図4はその一部を拡大して示す拡大図である。
記録媒体上に記録されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。ヘッド50は、図3及び図4に示されるように、インク滴を吐出するノズル100と、各ノズル100に対応する圧力室102等とからなる複数のインク室ユニット104を千鳥でマトリックス状に配置した構造を有している。これにより、見かけ上のノズルピッチの高密度化が図られている。すなわち、ヘッド50は、図3及び図4に示すように、インクを吐出する複数のノズル100が記録媒体の搬送方向(副走査方向)と略直交する方向(主走査方向)に記録媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列が設けられたフルラインヘッドである。
次に、複数のノズルを有するノズルプレートからインクを吐出する場合の一例を図5を参照して説明する。図5では、311〜341の4列のノズル列が図示されているが、実際にはこの4列と同様な繰り返し配列パターンで合計64列が1個のヘッド・モジュールに配置されている。各ノズル列には、32個のノズルが配列されている。図5において、Y方向が用紙搬送方向(副走査方向)であり、X方向がラインヘッドの長手方向(主走査方向)である。1本の主走査ライン260を打滴する場合、ドット314は、ノズル列311のノズル312から吐出される。ドット314と主走査方向に隣接するドット324は、ノズル列311に対して2個隣にあるノズル列331のノズル332から吐出される。ドット324と主走査方向に隣接するドット334は、ノズル列311の隣にあるノズル列321のノズル322から吐出される。ドット334と主走査方向に隣接するドット344は、ノズル列311と3個隣にあるノズル列341のノズル342から吐出される。このように、4個のノズル列を1個ずつ所定のパターンで使い回すことで、主走査方向の隣接ドットを打滴する。
図1において、インク供給ユニット20は、ノズルプレート11の複数の吐出口12のそれぞれとノズル連通路22を介して連通する複数の圧力室21と、複数の圧力室21のそれぞれにインクを供給する複数のインク供給流路23と、複数のインク供給流路23にインクを供給する共通液室25と、複数の圧力室21のそれぞれを変形する圧力発生手段30とを備えている。
インク供給流路23は、インク供給ユニット20とノズルプレート11との間に形成されており、共通液室25に供給されたインクが送液されるようになっている。このインク供給流路23には、圧力室21との間を繋ぐ供給調整路24の一端が接続されており、インク供給流路23から供給されるインク量を所要量に絞って圧力室21に送液することができる。供給調整路24は、インク供給流路23に複数設けられ、このインク供給流路23を介して圧力発生手段30に隣接して設けられた圧力室にインクが供給される。
このように、複数の吐出口にインクを多量に供給することが可能である
圧力発生手段30は、圧力室21側から振動板31、接着層32、下部電極33、圧電体層34、上部電極35を順に積み重ねて構成されたアクチュエータ(圧電素子)であり、外部から駆動信号を供給する電気配線が接続されて駆動されるようになっている。圧力室21の天面を構成している振動板(加圧板)31に圧電体層が電極と共に接合されており、電極に電圧印加することにより画像信号に応じてアクチュエータが変形し、インクがノズル連通路を介してノズルから吐出される。インクが吐出されると、共通液室25からインク供給流路23を通って新しいインクが圧力室21に供給される。
また、吐出口12の近傍には、循環絞り41が設けられており、常時インクが循環路42へ回収されるようになっている。これにより、非吐出時の吐出口近傍のインクの増粘を防止することができる。
図6は、インクジェットヘッドの内部構造の他の好ましい例を示す斜視図である。図7は圧力室の一部を拡大して示す平面透視図であり、図8は図7の9−9線断面図である。
インクジェットヘッドは、ノズルピッチを高密度化するため、ノズルプレート194と、ノズルプレートの複数のノズル(吐出口)151のそれぞれと連通する複数の圧力室152と、複数の圧力室152のそれぞれにインクを供給する複数のインク供給流路153と、複数のインク供給流路153にインクを供給する共通液室155と、複数の圧力室152のそれぞれを変形する圧力発生手段158と、圧力発生手段158に駆動信号を供給する電気配線190とを備えている。
図6〜図8に示すインクジェットヘッドの構成では、高精細とするために、半導体プロセスを利用しやすいシリコンを一部または全てに使用し、多くのインクを高周波数で吐出させる流路構成として背面流路設計が採られている。この背面流路設計により、高精細な画像形成が可能なように配置されたノズルに多量のインクが供給することができる。その結果、ノズルプレートにはフレッシュなインクが常に接しやすくなり、たとえノズルプレート表面やノズルプレートのノズル内側に保護膜が形成されていても、膜の欠陥箇所などからのインク進入によるインクとの接触によりノズルプレート本体のシリコンの侵食が進行しやすい。本発明においては、吐出に使用するインク組成物に無機ケイ酸化合物を含有することにより、侵食されやすいシリコンの劣化を効果的に防止することができる。
ヘッド150においては、ノズル151とインク供給流路153を有する圧力室152の上側に、圧力室152の上面を形成する振動板156が配置され、振動板156上の各圧力室152に対応する部分に上下を電極で挟んだピエゾ等の圧電体で構成される圧力発生手段としての圧電素子158(圧電アクチュエータ)が配置され、圧電素子158はその上面に個別電極157を有している。そして、この個別電極157の端面から外側へ電極接続部としての電極パッド159が引き出されて形成され、電極パッド159上に電気配線190が圧電素子158(圧力発生手段)を含む面に略垂直に立ち上がって形成されている。この圧電素子158を含む面に対して略垂直に立ち上がった電気配線190の上には多層のフレキシブルケーブル192が配置され、ヘッドドライバからこれらの配線を介して駆動信号が圧電素子158の個別電極157に供給されるようになっている。
また、振動板156とフレキシブルケーブル192との間の柱状の電気配線(エレキ柱)190が立ち並んだ空間は、ここから各インク供給流路153を介して各圧力室152にインクを供給するための共通液室155となっている。
各圧力室152毎に個別電極157から引き出されて設けられた電極パッド159上に垂直に柱のように立ち上がった電気配線190は、フレキシブルケーブル192を下から支え、共通液室155となる空間を形成している。電気配線190は、共通液室155を貫通するように形成されている。なお、ここでの電気配線190は、各圧電素子158(の個別電極157)に対して1つずつ形成され、一対一に対応しているが、配線数(エレキ柱の数)を削減するために、いくつかの圧電素子158に対する配線をまとめて1つの電気配線190とするように複数の圧電素子158に対して1つの電気配線190が対応するようにしてもよい。さらに、個別電極157ばかりでなく、共通電極(振動板156)に対する配線もこの電気配線190として形成するようにしてもよい。
図6に示すようにノズル151が底面に形成され、ノズル151と対角をなす角部の上面側にインク供給流路153が設けられている。インク供給流路153は振動板156を貫いており、その上の共通液室155と圧力室152はインク供給流路153を介して真っ直ぐに連通している。これにより、共通液室155と圧力室152を流体的に直接繋ぐことができる。
振動板156は、各圧力室152に共通のものとし1枚のプレートで形成されている。そして、振動板156の各圧力室152に対応する部分に、圧力室152を変形させるための圧電素子158が配置されている。圧電素子158に電圧を印加して駆動するための電極(共通電極と個別電極)が圧電素子158を挟むようにその上下面に形成されている。
振動板156を例えばSUS等の導電性の薄膜で形成して、振動板156が共通電極を兼ねるようにしてもよい。このとき、圧電素子158の上面には個々の圧電素子158を個別に駆動するための個別電極157が形成される。
上述したように、この個別電極157から電極パッド159を引き出して形成し、電極パッド159の上に垂直に立ち上がり共通液室155を貫通する電気配線190(エレキ柱)が形成される。電気配線190(エレキ柱)は、その製造工程において電気配線190は図7に示すようにテーパ状に形成される。
柱状の電気配線190の上には多層のフレキシブルケーブル192が形成されており、電気配線190が柱となって多層フレキシブルケーブル192を支え、振動板156を床、多層フレキシブルケーブル192を天井として、共通液室155としての空間が確保されるようになっている。また、図示は省略したが、各電気配線190からそれぞれ個別の配線に接続されて個々の個別電極157に駆動信号が供給され、各圧電素子158が駆動されるようになっている。
圧力室152の一部を拡大した平面透視図を図7に示す。既述のように、各圧力室152は略正方形状であり、その対角線の両隅にノズル151及びインク供給流路153が形成され、ノズル151側に電極パッド159を引き出して、その上に電気配線(エレキ柱)190が形成されている。
図8に示すように、ヘッド150は、複数の薄膜等が積層されて形成されている。
ノズル151が形成されたノズルプレート194の上に、圧力室152、インク供給口153及び圧力室152とノズル151を結ぶノズル流路151a等が形成された流路プレート196が積層されている。ここで、流路プレート196は、1枚のプレートのように表されているが、実際には流路プレート196はさらに複数のプレートが積層されて形成されるようにしてもよい。
また、ノズルプレート194は、一部又は全てはシリコンで形成されている。ノズル口内及びインク吐出方向側の表面には、シリコンが露出した構造になっていてもよく、金属(シリコンを含む)の酸化物及び窒化物、並びに金属(シリコンを除く)の群から選ばれる少なくとも一種を含ませた膜により被覆されていることが好ましい。
さらに、ノズルプレートのインク吐出方向側の表面には、インクに対する濡れ性を抑制してノズル近傍のインク汚れを防止する目的で、撥液性の膜により被覆されていてもよい。撥液性の膜としては、フルオロカーボンを含む膜が好ましく用いられる。
流路プレート196の上には、圧力室152の天面を形成する振動板156が積層されている。振動板156は、個別電極157とともに圧電素子158を駆動するための共通電極をも兼ねていることが好ましい。また、振動板156には圧力室152のインク供給口153に対応する開口部が設けられ、これにより圧力室152と振動板156の上側に形成される共通液室155とが直接連通する。
振動板156(共通電極)上の圧力室152上面の略全面に対応する部分に圧電体158aが形成され、圧電体158aの上面には個別電極157が形成される。このようにしてその上下を共通電極(振動板156)と個別電極157で挟まれた圧電体158aは、共通電極156と個別電極157によって電圧が印加されると変形して圧力室152の体積を減少させ、ノズル151からインクを吐出させる圧電素子158(圧電アクチュエータ)を構成する。
個別電極157のノズル151側端部は、外側へ引き出され電極接続部としての電極パッド159が形成される。そして、この電極パッド159の上に垂直に柱状の電気配線190(エレキ柱)が共通液室155を貫通するように形成されている。
電気配線190の上部には、多層フレキシブルケーブル192が形成され、多層フレキシブルケーブル192に形成される図示を省略した各配線が各電気配線190に電極パッド190aで接続し、各圧電素子158を駆動するための駆動信号がそれぞれの電気配線190を通じて供給されるようになっている。
また、振動板156と多層フレキシブルケーブル192との間の柱状の電気配線190(エレキ柱)が林立する空間は圧力室152に供給するためのインクをプールする共通液室155となっており、ここにはインクが充満するため、振動板156、個別電極157、圧電体158a及び電気配線190、さらに多層フレキシブルケーブル192のインクに接する表面部分には絶縁・保護膜198が形成される。
このように、従来、振動板に関して圧力室と同じ側にあった共通液室を振動板の上側に配置し、圧力室とは反対側に設けるようにしたため、従来必要であった共通液室から圧力室にインクを導くための配管等が不要となり、また共通液室のサイズを大きくとることが可能であることによりインクを良好に供給することができ、ノズルの高密度化を達成することができる。更には、高密度化した場合においても高周波での駆動が可能となる。また、各圧電素子の個別電極への配線を個別電極の電極パッドから垂直に立ち上げ共通液室を貫通するようにしたため、駆動信号を各圧電素子に供給するための配線を高密度化することが可能である。また、共通液室を振動板の上側に配置して、共通液室と圧力室とを真っ直ぐなインク供給口で繋ぐようにしたため、共通液室と圧力室とを流体的に直接繋ぐことができ、さらに共通液室を振動板の上側に配置したため、圧力室152からノズル151までのノズル流路151aの長さを従来よりも短くすることができ、高密度化した場合であっても、高粘度インク(例えば、20cp〜50cp程度)の吐出が可能であり、また吐出後の迅速なリフィルが可能な流路構造とすることができる。
なお、図6〜図8に示すインクジェットヘッドの内部構造の詳細については、特開2006−111000号公報の段落番号[0090]〜[0113]に記載されている。
[処理液付与工程]
本発明の画像形成方法には、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する処理液付与工程を設けることができる、。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク吐出工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク吐出工程を設けた態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の色材(好ましくは顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度が高くなり過ぎず好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク吐出工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク吐出工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
[加熱定着工程]
本発明の画像形成方法は、前記インク吐出工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することが好ましい。加熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
加熱は、画像中のポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度で行なうことが好ましい。Tg以上に加熱されるので、皮膜化して画像が強化される。加熱温度は、好ましくはTg+10℃以上の温度域が好ましい。具体的には、加熱温度は、40〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは50℃〜100℃の範囲であり、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
加熱と共に加圧する際の圧力としては、表面平滑化の点で、0.1〜3.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲であり、更に好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
加熱の方法は、特に制限されないが、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。また、加熱加圧の方法は、特に制限はないが、例えば、熱板を記録媒体の画像形成面に押圧する方法や、一対の加熱加圧ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは記録媒体の画像記録面側に配された加熱加圧ベルトとその反対側に配された保持ローラとを備えた加熱加圧装置を用い、対をなすローラ等を通過させる方法など、接触させて加熱定着を行なう方法が好適に挙げられる。
加熱加圧する場合、好ましいニップ時間は、1ミリ秒〜10秒であり、より好ましくは2ミリ秒〜1秒であり、更に好ましくは4ミリ秒〜100ミリ秒である。また、好ましいニップ幅は、0.1mm〜100mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1〜10mmである。
前記加熱加圧ローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層及び必要に応じて表面層(離型層ともいう)が設けられたものでもよい。後者の芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成することができ、芯金の表面は被覆層で少なくとも一部が覆われているものが好ましい。被覆層は、特に、離型性を有するシリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂で形成されるのが好ましい。また、加熱加圧ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されていることが好ましく、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。発熱体としては、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等が好ましい。
加熱加圧装置に用いられる加熱加圧ベルトを構成するベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、ベルト基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を設ける場合は、これら樹脂を用いて形成される層の厚みは、1〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
また、前記圧力(ニップ圧)を実現するには、例えば、加熱加圧ローラ等のローラ両端に、ニップ間隙を考慮して所望のニップ圧が得られるように、張力を有するバネ等の弾性部材を選択して設置すればよい。
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、200〜700mm/秒の範囲が好ましく、より好ましくは300〜650mm/秒であり、更に好ましくは400〜600mm/秒である。
−記録媒体−
本発明の画像形成方法は、記録媒体の上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。なお、水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明の画像形成方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
−インク組成物−
本発明におけるインク組成物は、無機ケイ酸化合物を含み、一般には更に顔料や染料等の着色剤を含んで構成され、また、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。本発明においては、酸性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂により被覆された顔料(以下、「樹脂被覆顔料」ということがある。)と無機ケイ酸化合物とを含む組成が好ましい。
無機ケイ酸化合物及び好ましくは前記樹脂被覆顔料を含む構成のインク組成物を用いることで、インクジェットヘッドのノズルプレートの侵食劣化が抑えられてインクの吐出信頼性に優れる。また、形成される画像の耐擦性が高められる。
一般にインクジェットヘッドを構成する場合、微細なノズル(インク吐出口)を精密に形成するために、シリコン等を含んでノズルプレートを構成する場合がある。そのようなシリコンノズルプレートを備えたインクジェットヘッドにおいては、インクとの接触によってノズルプレートの侵食による形状変形等の劣化や撥液性の低下がインク吐出性に影響を与える場合がある。本発明におけるインク組成物は、このようなシリコン等で形成されたノズルプレートを備えたインクジェットヘッドに使用した場合に、ノズルプレートの侵食劣化や撥液性の低下をより効果的に抑制することができる。
[無機ケイ酸化合物]
本発明におけるインク組成物は、無機ケイ酸化合物の少なくとも一種を含有する。
無機ケイ酸化合物としては、ケイ酸及びケイ酸塩の中から広く選ばれてよいが、特に、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属との塩、又は無水ケイ酸(シリカ)が好ましい。ケイ酸塩としては、水ガラスと呼ばれるケイ酸のアルカリ金属塩のアルカリ溶液が好ましく用いられる。無水ケイ酸(シリカ)としては、特に限定はないが、コロイダルシリカが好ましく用いられる。
ケイ酸のアルカリ金属塩は、二酸化ケイ素と金属酸化物から構成され、水溶性を有する化合物であれば特に制限なく、メタケイ酸のアルカリ金属塩、オルトケイ酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。また、ケイ酸のアンモニウム塩としては、メタケイ酸のアンモニウム塩、オルトケイ酸のアンモニウム塩等が挙げられる。水可溶性のケイ酸塩は、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ケイ酸アルカリ金属塩は、具体的には下記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
x(MO)・y(SiO) ・・・(S)
一般式(S)において、Mは、ナトリウム又はカリウムを表し、xは1又は2を、yは1〜4の整数を表す。前記一般式(S)で表されるケイ酸のアルカリ金属塩は、x=1、y=1の場合はメタケイ酸アルカリ金属塩と、x=2、y=1の場合はオルトケイ酸アルカリ金属塩とそれぞれ呼ばれ、いずれも水溶性を有するケイ酸アルカリ金属塩である。
水可溶性のケイ酸アルカリ金属塩としては、市販の化合物(例えば水ガラス)を用いてもよく、また、ケイ酸とアルカリ金属の炭酸塩又は水酸化物とを融解して得られるものを用いてもよい。
中でも、インクジェットヘッドのインク組成物と接触する部分(特に、ノズルプレート又はインク流路)の溶出、ひいてはそれに伴なう浸食をより抑制する観点から、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムなどのケイ酸アルカリ金属塩から選択される少なくとも1種が好ましい。ケイ酸のアルカリ金属塩は、アルカリ金属以外との塩である例えばケイ酸のアンモニウム塩(例えばケイ酸のテトラメチルアンモニウム塩等)に比べ、より良好なインク分散安定性が得られる。また、アンモニウム塩等の場合には揮発性の化合物を生成しうることがあり、経時的に臭気が発生しにくい点でもケイ酸アルカリ金属塩が好ましい。
コロイダルシリカは、平均粒子径が数100nm以下のケイ素を含む無機酸化物の微粒子からなるコロイドである。主成分として二酸化ケイ素(その水和物を含む)を含み、少量成分としてアルミン酸塩を含んでいてもよい。少量成分として含まれることがあるアルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが挙げられる。
またコロイダルシリカには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等の無機塩類やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩類が含まれていてもよい。これらの無機塩類及び有機塩類は、例えば、コロイドの安定化剤として作用する。
コロイダルシリカの分散媒としては特に制限はなく、水、有機溶剤、及びこれらの混合物のいずれであってもよい。前記有機溶剤は水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であってもよいが、水溶性有機溶剤であることが好ましい。具体的には例えば、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコール、n−プロパノール等を挙げることができる。
コロイダルシリカの製造方法には特に制限はなく、通常用いられる方法で製造することができる。例えば、四塩化ケイ素の熱分解によるアエロジル合成や水ガラスから製造することができる。あるいは、アルコキシドの加水分解といった液相合成法(例えば、「繊維と工業」、Vol.60、No.7(2004)P376参照)などによっても製造することができる。
本発明におけるコロイダルシリカに含まれる粒子の平均粒子径としては特に制限はない。例えば、1nm〜200nmとすることができ、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜50nmであり、さらに好ましくは3nm〜25nmであり、特に好ましくは3nm〜20nmである。
平均粒子径が200nm以下であることで、インクジェットヘッドを構成する部材、例えば、基材、保護膜、撥液膜等に対するインクによるダメージ(例えば、侵食による形状変形等や撥液性の低下等)をより効果的に抑制することができる。これは例えば、平均粒子径が小さいことで、粒子の総表面積が大きくなり、インクジェットヘッドを構成する部材に対するダメージを、より効果的に抑制するためと考えることができる。またさらに、インク組成物の吐出性、粒子による研磨剤効果の観点からも、粒子の平均粒子径は200nm以下であることが好ましい。
コロイダルシリカの平均粒子径は、体積平均粒子径で表される。体積平均粒子径は、分散粒子の一般的な測定である光散乱法、レーザ回折法などの手法により求めることができる。またコロイダルシリカの形状は、インクの吐出性能を妨げない限り、特に限定されない。例えば、球状、長尺の形状、針状、数珠状のいずれであってもよい。中でも、インクの吐出性の観点から、球状であることが好ましい。
本発明に用いることができるコロイダルシリカは、上記製造方法で製造されたものであっても、市販品であってもよい。市販品の具体例としては、Ludox AM、Ludox AS、Ludox LS、Ludox TM、Ludox HSなど(以上、E.I.Du Pont de Nemouvs & Co製);スノーテックスS、スノーテックスXS、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスOなど(以上、日産化学工業社製);Syton C−30、SytonZOO など(以上、Mons anto Co製);Nalcoag−1060 、Nalcoag−ID21〜64(以上、Nalco Chem Co製);メタノールゾル、IPAゾル、MEKゾル、及びトルエンゾル(以上、扶桑化学工業製);Cataloid−S、Cataloid−F120、Cataloid SI−350、Cataloid SI−500、Cataloid SI−30、Cataloid S−20L、Cataloid S−20H、CataloidS−30L、Cataloid S−30H、Cataloid SI−40、OSCAL−1432(イソプロピルアルコールゾル)など(以上、日揮触媒化成製);アデライト(旭電化社製);数珠状のコロイダルシリカとして、例えば、スノーテックスST−UP、同PS−S、同PS−M、同ST−OUP、同PS−SO、同PS−MO(以上、日産化学社製)などの商品名で市販されているものを挙げることができ、これらは容易に入手することができる。
上記市販のコロイダルシリカ分散液のpHは、酸性又はアルカリ性に調整されているものが多い。これは、コロイダルシリカの安定分散領域が酸性側又はアルカリ性側に存在するためであり、市販のコロイダルシリカ分散液をインク組成物中に添加する場合は、コロイダルシリカの安定分散領域のpHとインク組成物のpHとを考慮して添加する必要がある。
無機ケイ酸化合物のインク組成物中における含有量には、特に制限はなく、例えば、インク組成物の総量(全質量)に対して、0.0005質量%〜0.5質量%とすることができる。無機ケイ酸化合物の含有量としては、インク組成物総量に対して、0.001質量%〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましくはインク組成物総量の0.01質量%〜0.5質量%であり、特に好ましくはインク組成物総量の0.01質量%〜0.3質量%である。インク組成物中の含有量が前記上限値以下であることで、インク組成物の吐出性がより向上し、またシリカ粒子の研磨剤効果によるインクジェットヘッドへの影響をより効果的に抑制できる。また、インク組成物中の含有量が前記下限値以上であることで、ノズルプレートの侵食による形状変形や撥液性の低下をより効果的に抑制できる。
さらに、本発明におけるインク組成物は、ノズルプレートの侵食による形状変形や撥液性の低下の抑制とインク吐出性の観点から、体積平均粒子径が3nm〜25nmのコロイダルシリカをインク組成物総量の0.001質量%〜0.5質量%含有することが好ましく、3nm〜20nmのコロイダルシリカをインク組成物総量の0.01質量%〜0.5質量%含有することがより好ましい。
[着色剤]
本発明におけるインク組成物は、着色剤として顔料や染料等の色素を含有することができる。本発明においては、酸性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された顔料の少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、インクの吐出信頼性に優れ、形成される画像の耐擦性に優れる。この場合、顔料の具体的形態は、水不溶性樹脂によって顔料粒子の表面の全部又は一部が被覆された形態である限り特に限定はない。
−顔料−
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機顔料、無機顔料が含まれる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明において顔料は、1種単独で用いてもよいし、上記の各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
−水不溶性樹脂−
水不溶性樹脂は、酸性基を有する構造単位の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の構造単位を含む構成のものが好適である。水不溶性樹脂は、インク組成物中で安定的に存在することができ、凝集物の付着又は堆積を緩和し、付着した凝集物の除去の容易化の観点から、親水性構造単位(A)の少なくとも1種と疎水性構造単位(B)の少なくとも1種とを含むことが好ましく、前記酸性基が前記親水性構造単位(A)の少なくとも1種に含まれることがより好ましい。
〜親水性構造単位〜
前記水不溶性樹脂における親水性構造単位としては、親水性官能基の少なくとも1種を含んでいれば特に制限はなく、イオン性の親水性基を含んでいても非イオン性の親水性基を含んでいてもよい。本発明においては酸性基を有する親水性構造単位であることが好ましい。また、酸性基を有する親水性構造単位は、酸性基含有モノマーに由来する構造単位であっても、酸性基を有さない構造単位(重合後のポリマー鎖)に高分子反応で酸性基を導入したものであってもよい。
前記酸性基としては特に制限無いが、乳化又は分散状態の安定性の観点からカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の分散安定性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
前記酸性基含有モノマーとしては、酸性基とエチレン性不飽和結合とを有する酸性基含有モノマーが好ましい。酸性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。前記不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。前記不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
酸性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
即ち、前記酸性基を有する繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位であることが好ましい。
水不溶性樹脂中にはアクリル酸に由来の構造単位もしくはメタクリル酸に由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。
また前記親水性構造単位が塩基性基を含む場合、塩基性基としてはアミノ基及び(窒素原子が無置換の)アミド基を挙げることができる。
前記塩基性の親水性基を含む親水性構造単位(A)としては、塩基性の親水性基を有するモノマーに由来の構造単位が挙げられる。塩基性の親水性基を有するモノマーとしては、例えば、塩基性の親水性官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等のビニルモノマー類を挙げることができる。
塩基性の親水性基を有する親水性構造単位を形成するモノマーとしては、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と塩基性の親水性の官能基とを有していることが好ましく、それらは公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート等を好適に挙げることができる。
さらに親水性構造単位が非イオン性の親水性基を含む場合、非イオン性の親水性基としては、水酸基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
前記非イオン性の親水性基を含む親水性構造単位(A)としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の構造単位が挙げられる。非イオン性の親水性基を有するモノマーとしては、例えば非イオン性の親水性基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位を形成するモノマーとしては、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していることが好ましく、それらは公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位(A)は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、アルキレンオキシド構造を有する親水性の構造単位がより好ましい。アルキレンオキシド構造のアルキレン部位としては、親水性の観点から、炭素数1〜6のアルキレン部位が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン部位がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン部位が特に好ましい。また、アルキレンオキシド構造の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、水酸基を含む親水性の構造単位であることも好ましい態様である。構造単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、水不溶性樹脂の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
上記において、例えば、親水性構造単位の含有割合は、後述する疎水性構造単位(B)の割合で異なる。例えば、水不溶性樹脂がアクリル酸及び/又はメタクリル酸〔親水性構造単位(A)〕と後述の疎水性構造単位(B)とのみから構成される場合、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有割合は、「100−(疎水性構造単位の質量%)」で求められる。
親水性構造単位(A)は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
〜疎水性構造単位〜
本発明における水不溶性樹脂は、前記酸性基を有する構造単位のほか、疎水性構造単位(B)の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。前記疎水性構造単位としては疎水性の官能基を含む構造単位であれば特に制限はないが、芳香環を有する構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましく、下記一般式(1)で表される構造単位の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基を表し、Lは置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合、又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又はベンゼン環が2個以上連結した化合物から誘導される1価の基を表す。
前記一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表すが、好ましくはメチル基を表す。
は置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lとしては、無置換のフェニレン基が好ましい。
は単結合、又は2価の連結基を表す。前記2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CHCHO)−、n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
Arは、炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又はベンゼン環が2個以上連結した化合物から誘導される1価の基を表す。
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。
具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記「芳香環が縮環したヘテロ環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記ベンゼン環が2個以上連結した化合物としては、2個以上のベンゼンが単結合又は炭素数1〜2の連結基で互いに結合した化合物を挙げることができる。
ベンゼン環が2個以上連結した化合物から誘導される1価の基の具体例としては、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等を挙げることができる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を形成するモノマーの具体例としては、下記のモノマーなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
一般式(1)で表される繰り返し単位中のArとしては、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基であることが、被覆された顔料の分散安定性の観点から好ましく、更に、アクリドンから誘導される1価の基であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、顔料の分散安定性の点で、Rはメチル基であって、Lは無置換のフェニレン基であって、Lは2価の連結基(好ましくはメチレン)であって、Arはアクリドンから誘導される1価の基であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の共重合体中における含有割合は、共重合体の全質量に対して、5〜25質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜18質量%の範囲である。この含有割合は、5質量%以上であると白抜け等の画像故障の発生を顕著に抑制できる傾向となり、また、25質量%以下とすると共重合体の重合反応溶液(例えば、メチルエチルケトン)中での溶解性低下による製造適性上の問題が生じない傾向となり好ましい。
本発明における水不溶性樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位以外の下記の一般式(2)で表される構造単位を有することも好ましい態様である。
前記一般式(2)において、Rは、水素原子又はメチル基を表し、好ましくはメチル基である。Arは、無置換又は置換の芳香族環基を表す。芳香族環が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基、アルコキシカルボニル基などを挙げることができ、縮環を形成していてもよい。縮環を形成している場合、例えば、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環が挙げられる。またArは芳香環(例えば、ベンゼン環)が2以上連結した化合物から誘導される1価の基であってもよい。
一般式(2)における「炭素数8以上の縮環型芳香環」及び「ヘテロ環が縮環した芳香環」は、一般式(1)における「炭素数8以上の縮環型芳香環」及び「ヘテロ環が縮環した芳香環」と同義である。また芳香環(例えば、ベンゼン環)が2以上連結した化合物から誘導される1価の基としては、一般式(1)におけるベンゼン環が2個以上連結した化合物から誘導される1価の基を好ましく挙げることができる。
Arで表される芳香族環基は、エステル基とエチレンオキシド鎖とを介して水不溶性樹脂の主鎖に結合し、芳香族環が主鎖に直接結合しないので、疎水性の芳香族環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持され、水不溶性樹脂は顔料との間で相互作用しやすく、強固に吸着して分散性が高められる。
中でも、Arとしては、無置換のベンゼン環、無置換のナフタレン環が好ましく、無置換のベンゼン環が特に好ましい。
nは、インク組成物に含まれる樹脂被覆顔料の水不溶性樹脂におけるエチレンオキシ鎖を平均した繰り返し数を表す。nの範囲は、1〜6であり、好ましくは1〜2である。
前記一般式(2)で表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、下記のモノマーなどを挙げることができる。
前記一般式(2)で表される構造単位のうち、分散安定性の点で、Rがメチル基であって、Arが無置換のベンゼン環であって、nが1〜2である場合が特に好ましい。
前記一般式(2)で表される構造単位の水不溶性樹脂中における含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、30〜70質量%の範囲が好ましく、より好ましくは40〜50質量%の範囲である。この含有割合は、30質量%以上であると分散性に優れ、70質量%以下であると凝集体の付着・堆積を抑えると共に付着した凝集物の除去性(メンテナンス性)に優れ、白抜け等の画像故障の発生を抑制することができる。
本発明における水不溶性樹脂は、水性インク中で安定的に存在することができ、凝集物の付着又は堆積を緩和し、付着した凝集物の除去の容易化の観点から、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とからなる樹脂であることが好ましい。ここで、前記疎水性構造単位(B)には、前記一般式(1)で表される構造単位が含まれる。
本発明における水不溶性樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位以外の他の疎水性構造単位(B)を更に有してもよい。該疎水性構造単位(B)としては、親水性構造単位(A)に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)、例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類等に由来の構造単位や、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
前記「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」は、共重合体の主鎖を形成している原子に連結基を介して連結する芳香環の共重合体中における割合が15〜27質量%である構造単位が好ましく、15〜25質量%である構造単位がより好ましく、15〜20質量%である構造単位が更に好ましい。
芳香環は、連結基を介して共重合体の主鎖をなす原子と結合され、共重合体の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、共重合体と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
前記「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」としては、下記一般式(3)で表される構造単位(前記一般式(1)で表される繰り返し単位及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位を除く)が好適に挙げられる。
前記一般式(3)において、R11は、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表す。
また、L11は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR12−又は*−O−、を表し、R12は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L11で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。
12は、単結合、又は炭素数1〜30の2価の連結基を表し、2価の連結基である場合は、好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、特に好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CHCHO)−、n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
前記一般式(3)において、Ar11は、芳香環から誘導される1価の基を表す。
Ar11で表される芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又はベンゼン環が2個以上連結した化合物が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、及びベンゼン環が2個以上連結した化合物の詳細については既述の通りである。
以下、「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」を形成し得るモノマーの具体例を挙げる。但し、本発明においては、下記具体例に制限されるものではない。

本発明における水不溶性樹脂は、上記の中でも、親水性構造単位(A)が(メタ)アクリル酸であって、疎水性構造単位(B)が(i)一般式(1)で表される構造単位(好ましくは前述のM−25/M−27、M−28/M−29由来の構造単位)、(ii)一般式(2)で表される構造単位(好ましくはフェノキシエチル(メタ)アクリレート由来の構造単位)、及び(iii)前記以外の疎水性構造単位(B)(好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、又はベンジルメタクリレート由来の構造単位)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
更に、本発明における水不溶性樹脂は、親水性構造単位(A)が(メタ)アクリル酸であって、疎水性構造単位(B)が上記(i)及び(ii)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
特に、本発明における水不溶性樹脂は、親水性構造単位(A)が(メタ)アクリル酸であって、疎水性構造単位(B)が上記(i)及び(ii)の少なくとも1種を含み、かつ(iii)を更に含むことが好ましい。
本発明における水不溶性樹脂としては、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)(前記一般式(2)で表される構造単位、前記一般式(1)で表される構造単位、前記その他の疎水性構造単位(B)を含む)との組成は各々の親水性、疎水性の程度にも影響するが、親水性構造単位(A)の割合が15質量%以下であることが好ましい。このとき、疎水性構造単位(B)は、水不溶性樹脂の質量全体に対して、80質量%を超える割合であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。
親水性構造単位(A)の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
親水性構造単位(A)の好ましい含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、0質量%を超え15質量%以下の範囲であり、より好ましくは2〜15質量%の範囲であり、更に好ましくは5〜15質量%の範囲であり、特に好ましくは8〜12質量%の範囲である。
本発明における水不溶性樹脂の酸価としては、顔料分散性、保存安定性の観点から、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
本発明における水不溶性樹脂の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で3万以上が好ましく、3万〜15万がより好ましく、更に好ましくは3万〜10万であり、特に好ましくは3万〜8万である。分子量が3万以上であると、分散剤としての立体反発効果が良好になる傾向があり、立体効果により顔料へ吸着し易くなる。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
また、本発明における水不溶性樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1〜6の範囲が好ましく、1〜4の範囲がより好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、インクの分散安定性、吐出安定性を高められる。
数平均分子量及び重量平均分子量は、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THFにて示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算することにより表される分子量である。
本発明における水不溶性樹脂は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は、回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば、鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cmであり、特に1〜30kg/cm程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
以下、本発明における水不溶性樹脂として好ましい具体例を示す。但し、本発明においては、下記に限定されるものではない。
顔料(p)と本発明における水不溶性樹脂(r)との比率(p:r)は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、より好ましくは100:25〜100:50である。比率(p:r)は、水不溶性樹脂が100:25の割合以上であると分散安定性と耐擦性が良化する傾向にあり、水不溶性樹脂が100:140の割合以下であると分散安定性が良化する傾向がある。
本発明における樹脂被覆顔料(カプセル化顔料)は、水不溶性樹脂及び顔料等を用いて従来の物理的、化学的方法によって製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相法が好ましい。
転相法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相法」のより具体的な製造方法としては、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
本発明におけるインク組成物において、樹脂被覆顔料は、前記水不溶性樹脂を用い、例えば、下記の工程(1)及び工程(2)を含む方法により樹脂被覆顔料の分散物を調製する調製工程を設けて得られたものであることが好ましい。また、本発明におけるインク組成物は、この調製工程を設け、得られた樹脂被覆顔料の分散物を水及び親水性有機溶剤と共に用いてインク組成物とする方法により調製することができる。
工程(1):酸性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂、有機溶媒、中和剤、顔料、及び水を含有する混合物を攪拌等により分散して分散物を得る工程
工程(2):前記分散物から前記有機溶媒の少なくとも一部を除去する工程
攪拌方法には特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー、ビーズミル等の分散機を用いることができる。
ここで用いる有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。前記アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましく、メチルエチルケトンがさらに好ましい。
中和剤は、前記工程(1)に用いられることが好ましく、前記水不溶性樹脂の酸性基の一部又は全部が中和されて、前記水不溶性樹脂が水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。
中和剤としては、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適に用いられる。
また本発明における水不溶性樹脂の中和度は、70%〜95%であることが好ましい。その中和度が70%以上であることで画像の白抜けの発生が抑制される。また、95%以下であることで耐擦性がより良好になる。中和度は前記範囲の中でも、70%〜90%が好ましく、75%〜90%が特に好ましい。前記中和度を前記範囲とすることにより、画像の白抜けの発生を効果的に抑制し、また、耐擦性が効果的に向上する。
本発明における水不溶性樹脂の中和度とは、酸性基1当量に対する中和剤の当量の割合(%)をいう。即ち、前記水不溶性樹脂の中和度とは、水不溶性樹脂の酸性基合計当量数に対する中和剤の合計当量数の割合をいい、下記式により求めることができる。
水不溶性樹脂の中和度=(中和剤の合計当量数/水不溶性樹脂の酸性基合計当量数)×100(%)
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散物から、減圧蒸留等の常法により有機溶媒を留去して水系へと転相することで、顔料の粒子表面が水不溶性樹脂で被覆された樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ることができる。得られた分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、ここでの有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。
より具体的には、例えば、(1)酸性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂又はそれを有機溶媒に溶解した溶液と塩基性化合物(中和剤)とを混合して中和する工程と、(2)得られた混合液に顔料を混合して懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散して顔料分散液を得る工程と、(3)有機溶媒を例えば蒸留して除くことによって、顔料を、酸性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂で被覆し、水性媒体中に分散させて水性分散体とする工程とを含む方法である。
なお、さらに具体的には、特開平11−209672号公報及び特開平11−172180号の記載を参照することができる。
本発明において、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機、超音波ホモジナイザーなどを用いて行なうことができる。
本発明において、水不溶性樹脂によって被覆された顔料(樹脂被覆顔料)の平均粒径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
また、樹脂被覆顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、樹脂被覆顔料の平均粒径及び粒径分布は、例えば、動的光散乱法を用いて測定することができる。
本発明におけるインク組成物において、上記樹脂被覆顔料は1種単独で、また2種以上を組合せて使用してもよい。
また、樹脂被覆顔料の含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1.5〜15質量%がさらに好ましく、1.5〜10質量%が特に好ましい。
また本発明におけるインク組成物においては、ノズルプレートの侵食による形状変形や撥液性の低下の抑制の観点から、前記水不溶性樹脂に対するコロイダルシリカの含有比(コロイダルシリカ/水不溶性樹脂)は、質量基準で0.0001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.3であることがより好ましく、0.001〜0.05であることがさらに好ましい。
さらに本発明におけるインク組成物においては、インク吐出信頼性、形成される画像の耐擦性、及びノズルプレートの侵食による形状変形や撥液性の低下の抑制の観点から、酸価が50〜90mgKOH/gの水不溶性樹脂と体積平均粒子径が3〜50nmのコロイダルシリカとを含み、その含有比(コロイダルシリカ/水不溶性樹脂)が質量基準で0.0001〜0.3であることが好ましく、酸価が55〜80mgKOH/gの水不溶性樹脂と体積平均粒子径が3〜25nmのコロイダルシリカとを含み、その含有比が質量基準で0.001〜0.05であることがより好ましい。
(親水性有機溶剤)
本発明のインク組成物は、水系媒体を含むことが好ましく、水系媒体は少なくとも水を溶媒として含むが、水と親水性有機溶剤の少なくとも1種とを含むことが好ましい。親水性有機溶剤は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤などの目的で用いられる。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い親水性有機溶剤が好ましい。
また、インク組成物を紙によりよく浸透させる目的で、浸透促進剤として親水性有機溶剤が好適に使用される。
本発明のインク組成物は、I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。第1の親水性有機溶剤のI/O値が1.00未満であることで、自己分散性ポリマー粒子との相溶性が向上し、形成される画像の定着性がより効果的に向上し、画像の耐擦性がより向上する。また、第1の親水性有機溶剤のI/O値が0.70以上であることで、インク組成物の安定性が向上する。
尚、親水性有機溶剤のI/O値は、後述する自己分散性ポリマーにおけるI/O値と同義であり、同様にして算出したものである。
また本発明のインク組成物は、前記第1の親水性有機溶剤に加えて、I/O値が1.00以上1.50以下である第2の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。第2の親水性有機溶剤のI/O値が1.00以上であることでインク組成物の安定性がより効果的に向上する。また第2の親水性有機溶剤のI/O値が1.50以下であることで形成される画像の定着性が低下することを抑制することができる。
I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の具体例としては、グリコールエーテル等を挙げることができ、プロピレングリコールエーテルあるいはエチレングリコールエーテル類が好ましく、より好ましくはプロピレングリコールエーテルであり、具体的にはトリプロレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:0.80)、トリプロレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:0.73)、トリプロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.61)、ジプロレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:0.78)、ジプロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.70)、プロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.88)が挙げられる。
中でも画像定着性とインク安定性の観点から、トリプロレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:0.80)が好ましい。
また、I/O値が1.0以上1.5以下である第2の親水性有機溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:1.50)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:1.20)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:1.40)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:1.20)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.43)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.43)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール(I/O値:1.43)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール(I/O値:1.25)、トリプロピレングリコール(I/O値:1.33)、サンニックスGP250(I/O値:1.30、三洋化成工業社製)等を挙げることができる。中でも画像定着性とインク安定性の観点から、サンニックスGP250が好ましい。
本発明のインク組成物における第1の親水性有機溶剤の含有率としては、画像定着性とインク安定性の観点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜16質量%であることがより好ましく、2〜12質量%であることが更に好ましい。
さらに第1の親水性有機溶剤として、I/O値が0.70以上1.00未満から選ばれる親水性有機溶剤を1〜16質量%含むことが好ましく、I/O値が0.70以上0.90未満から選ばれる親水性有機溶剤を2〜12質量%含むことがより好ましい。
また本発明のインク組成物における第2の親水性有機溶剤の含有率としては、画像定着性とインク安定性の観点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜16質量%であることがより好ましく、2〜12質量%であることが更に好ましい。
さらに第2の親水性有機溶剤として、I/O値が1.00以上1.50以下から選ばれる親水性有機溶剤を1〜16質量%含むことが好ましく、I/O値が1.20以上1.40以下から選ばれる親水性有機溶剤を2〜12質量%含むことがより好ましい。
さらに本発明のインク組成物における第1の親水性有機溶剤に対する第2の親水性有機溶剤の含有比率(第2の親水性有機溶剤:第1の親水性有機溶剤)としては、画像定着性とインク安定性の観点から、1:10〜10:1であることが好ましく、1:4〜4:1であることがより好ましく、1:2〜2:1であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、前記第1の親水性有機溶剤及び第2の親水性有機溶剤に加えて、その他の親水性有機溶剤をさらに含んでいてもよい。その他の親水性有機溶剤としては、乾燥防止剤や湿潤剤の目的として,多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン(I/O値:5.00)、エチレングリコール(I/O値:2.00)、ジエチレングリコール(I/O値:5.00)、トリエチレングリコール(I/O値:3.43)、プロピレングリコール(I/O値:2.50)、ジプロピレングリコール(I/O値:2.00)、1,3−ブタンジオール(I/O値:2.50)、2,3−ブタンジオール(I/O値:2.50)、1,4−ブタンジオール(I/O値:2.50)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(I/O値:2.00)、1,5−ペンタンジオール(I/O値:2.00)、テトラエチレングリコール(I/O値:2.91)、1,6−ヘキサンジオール(I/O値:1.67)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(I/O値:1.67)、ポリエチレングリコール(I/O値はエチレン鎖の繰り返し数による)、1,2,4−ブタントリオール(I/O値:3.75)、1,2,6−ヘキサントリオール(I/O値:2.50)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.67)、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール(I/O値:1.67)、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(I/O値:2.00)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(I/O値:1.88)を好ましい例として挙げることができる。
その他の親水性有機溶剤の含有率としては、例えば、16質量%以下とすることができ、12質量%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
本発明のインク組成物における親水性有機溶剤は、1種単独であっても2種以上を混合して用いられてもよい。親水性有機溶剤の含有率は、安定性と吐出性の観点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
本発明に使用される水の添加量は特に制限はないが、インク組成物中、安定性及び吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
(樹脂粒子)
本発明におけるインク組成物は、定着性、耐擦性、凝集性の観点から、樹脂粒子の少なくとも1種を含むことが好ましく、前記樹脂粒子は自己分散性ポリマー粒子であることがより好ましい。また、樹脂粒子を含有する場合にノズルプレートのシリコン部位の侵食が進行しやすいため、無機ケイ酸化合物の併用による効果、すなわちノズルプレートの侵食による形状変形や撥液性の低下の抑制効果が大きい。
本発明において自己分散性ポリマーとは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、ポリマー自身の官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーをいう。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散性ポリマーにおいては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散性ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性ポリマーを溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
また本発明の自己分散性ポリマーにおける安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
また、自己分散性ポリマーにおける乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られたポリマー粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明における自己分散性ポリマーは、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分が10質量%以下とすることで、ポリマー粒子の膨潤やポリマー粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、インク組成物の粘度上昇を抑制でき、例えば、インク組成物をインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
本発明における自己分散性ポリマーは、親水性モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、疎水性モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含む。前記自己分散性ポリマーの主鎖骨格については特に制限はないが、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、ビニルポリマーであることが好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。ここで(メタ)アクリル系ポリマーとは、メタクリル酸誘導体に由来する構成単位及びアクリル酸誘導体に由来する構成単位の少なくとも1種を含むポリマーを意味する。
〜親水性構成単位〜
自己分散性ポリマーにおける親水性構成単位は、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
前記親水性基は、自己分散促進の観点、及び形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
前記親水性基含有モノマーは、自己分散性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
またノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレートなどの(ポリ)エチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーや、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
自己分散性ポリマーにおける親水性構成単位としては、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位のみを含有する態様、及び、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位とを両方含有する態様のいずれかであることが好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおける親水性構成単位の含有率は、粘度と経時安定性の観点から、25質量%以下であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜23質量%であることがさらに好ましく、4〜20質量%であることが特に好ましい。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおけるアニオン性の解離性基を有する親水性構成単位の含有量は、酸価が後述する好適な範囲となるような範囲が好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
前記自己分散性ポリマーがアニオン性の解離性基を有する場合、その酸価(KOHmg/g)は、自己分散性、水溶性成分の含有量、及びインク組成物を構成した場合の定着性の観点から、20以上200以下であることが好ましく、22以上120以下であることがより好ましく、25以上100以下であることが特に更に好ましい。特に好ましいのは、30以上、80以下である。酸価が20以上であることにより、粒子をより安定に分散することができ、酸価が200以下であることにより水溶性成分を少なくすることができる。
〜疎水性構成単位〜
自己分散性ポリマーにおける疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
前記疎水性モノマーは、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、少なくとも1種は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある)であることがより好ましい。
なお、脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換又は置換された脂環式炭化水素基(環状脂肪族基)を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、及びビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
前記脂環式炭化水素基は、更に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アルキル又はアリールカルボニル基、及びシアノ基等が挙げられる。また、脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
脂環式炭化水素基とアルコールに由来する構造部位とを結合する連結基としては、炭素数1から20までの、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルコキシ基、モノ又はオリゴエチレングルコール基、モノ又はオリゴプロピレングリコール基などが好適なものとして挙げられる。
本発明における脂環式(メタ)アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性と、定着性、ブロッキング耐性の観点から、2環式(メタ)アクリレート、又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートを少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において、自己分散性ポリマー粒子に含まれる脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率としては、自己分散状態の安定性、脂環式炭化水素基同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。特に好ましいのは50質量%以上80質量%以下である。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
本発明における自己分散性ポリマーは、疎水性構成単位として前記脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加え、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記脂環式(メタ)アクリレート及び既述の親水性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、公知のモノマーを用いることができる。
前記その他の構成単位を形成するモノマー(以下、「その他共重合可能なモノマー」ということがある)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点及び自己分散性ポリマーの分散安定性の観点から、炭素数が1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜4の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートである。ここで、鎖状アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基のことをいう。
また本発明においては、芳香族基を含有する(メタ)アクリレートも好ましく用いることができる。
その他共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
また、その他共重合可能なモノマーとしてスチレン系モノマーを用いる場合、自己分散性ポリマー粒子とした際の安定性の観点から、スチレン系モノマーに由来する構成単位は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、スチレン系モノマーに由来する構成単位を含まない態様が特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン、クロロスチレンなど)、及び、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
自己分散性ポリマーにおいてその他共重合可能なモノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
自己分散性ポリマーが、その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、分散安定性の観点から、脂環式(メタ)アクリレート、その他共重合可能なモノマー、及び親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることが好ましく、脂環式(メタ)アクリレート、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基含有(メタ)アクリレート、及び親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることがより好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
本発明における自己分散性ポリマーは、各構成単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体である場合の各構成単位は、如何なる導入順序で合成されたものであってもよく、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、10000〜20万であることがより好ましく、30000〜15万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
本発明における自己分散性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%以下と、解離性基含有モノマーに由来する構造と、炭素数1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種とを含み、酸価が20〜120であって、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が3000〜20万であるビニルポリマーであることが好ましい。
また、2環式又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%未満と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10質量%以上80質量%未満と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が25〜100の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%未満と、少なくともメチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上60質量%未満含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が30〜80の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
本発明において前記自己分散性ポリマーのガラス転移温度には特に制限はないが、120℃以上が好ましく、120℃以上250℃以下であることがより好ましく、150℃以上250℃以下であることが更に好ましく、160℃以上200℃以下であることが特に好ましい。自己分散性ポリマーのガラス転移温度は、120℃以上とすることで、耐ブロッキング性(特に高温高湿条件下)がより向上し、250℃以下であることで、画像の耐擦性が向上する。
自己分散性ポリマーのガラス転移温度は、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、自己分散性ポリマーを構成するモノマーの重合性基の種類、モノマー上の置換基の種類やその構成比率、ポリマー分子の分子量等を適宜選択することで、自己分散性ポリマーのガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
本発明において自己分散性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、実測によって得られる測定Tgを適用する。具体的には、測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。
但し、ポリマーの分解等により測定が困難な場合は、下記計算式で算出される計算Tgを適用する。
計算Tgは下記の式(1)で計算する。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) (1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用する。
また前記自己分散性ポリマーのI/O値には特に制限はないが、耐ブロッキング性とインク組成物の安定性の観点から、0.20以上0.55以下であることが好ましく、0.30以上0.54以下であることがより好ましく、0.40以上0.50以下であることがさらに好ましい。
前記自己分散性ポリマーのI/O値が0.20未満ではインク組成物の安定性が低下する場合がある。またI/O値が0.55を超えると耐ブロッキング性(特に高温高湿条件下)が低下する場合がある。
前記I/O値とは、無機性値/有機性値とも称される各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。
前記I/O値については、有機概念図(甲田善生著、三共出版(1984))などに詳細な説明がある。I/O値の概念は、化合物の性質を、共有結合性を表す有機性基と、イオン結合性を表す無機性基とに分け、全ての有機化合物を有機軸、無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
前記無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近でとると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値となる。例えば、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。したがって、ある種の有機化合物の無機性値とは、化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
また、前記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近で炭素1個が加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値となる。例えば、ニトロ基(−NO)の有機性値は70である。
I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性が大きい)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど極性(親水性、無機性が大きい)の有機化合物であることを示す
本発明において、自己分散性ポリマーのI/O値は以下の方法によって求めたものを意味する。甲田善生著、有機概念図―基礎と応用−(1984)13ページ等に記載されている有機性(O値)、無機性(I値)を元に、自己分散性ポリマーを構成する各モノマーのI/O値(=I値/O値)を算出する。ポリマーを構成する各モノマーについて、その(I/O値)と(ポリマー中のモル%)との積を算出し、これらを合計して、小数点以下第3位を四捨五入したものを自己分散性ポリマーのI/O値とした。
ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般的には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなるため、本発明ではモノマーの無機性値として2重結合分は加算していない数値を用いて自己分散性ポリマーのI/O値を算出した。
本発明においては、自己分散性ポリマーを構成するモノマーの構造及び含有率を適宜調整することで所望のI/O値を有するポリマーを構成することができる。
以下に、自己分散性ポリマーの具体例として、例示化合物を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:180℃、I/O値:0.44
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(40/52/8)、ガラス転移温度:160℃、I/O値:0.50
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/62/10/8)、ガラス転移温度:170℃、I/O値:0.44
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:160℃、I/O値:0.47
尚、上記I/O値の計算においては、各ポリマーを構成するモノマーのI/O値として以下の数値を用いた。
メチルメタクリレート:0.60、イソボルニルメタクリレート:0.29、ジシクロペンタニルメタクリレート:0.32、メタクリル酸:0.47
本発明における自己分散性ポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の重合法によりモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、インク組成物としたときの打滴安定性の観点から、有機媒体中で重合することがより好ましく、溶液重合法が特に好ましい。
本発明の自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の水性分散物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により自己分散性ポリマー粒子の水性分散物とすることができる。自己分散性ポリマーを水性分散物として得る工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含む転相乳化法であることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
前記工程(1)は、まず前記水不溶性ポリマーを有機溶剤に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶剤中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤が好ましく挙げられる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく20〜100モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、80モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶剤は実質的に除去されており、有機溶剤の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の平均粒径は、1〜100nmの範囲であることが好ましく、3〜80nmがより好ましく、5〜60nmがさらに好ましい。特に好ましくは5〜40nmである。1nm以上の平均粒径であることで製造適性が向上する。また、100nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。なお、ここでいう平均粒径は体積平均粒径を意味する。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
また本発明におけるインク組成物において、自己分散性ポリマー粒子は、実質的に着色剤を含有しない形態で存在することが好ましい。
本発明の自己分散性ポリマー粒子は自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、本発明における自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク組成物中に存在すると、結果としてインク組成物全体の安定性が大きく低下する場合がある。
本発明のインク組成物においては、自己分散性ポリマー粒子を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
また本発明におけるインク組成物の自己分散性ポリマー粒子の含有量としては、画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物における着色粒子と自己分散性ポリマー粒子の含有比率(着色粒子/自己分散性ポリマー粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインク組成物は、上記成分に加えて必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本発明におけるその他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット方式で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
インク組成物の表面張力は、例えば、プレート法を用いて25℃で測定することができる。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)やオルフィンE1010(日信化学工業(株)製)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
本発明におけるインク組成物の粘度としては、インクの付与をインクジェット方式で行う場合、打滴安定性と凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。インク組成物の粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて20℃で測定することができる。
本発明におけるインク組成物のpHとしては、インク安定性と凝集速度の観点から、pH7.5〜10であることが好ましく、pH8.0〜9.5であることがより好ましい。尚、インク組成物のpHは25℃で通常用いられるpH測定装置(例えば、東亜ディーケーケー(株)製、HM−30R)によって測定される。
またインク組成物のpHは、酸性化合物又は塩基性化合物を用いて適宜調製することができる。酸性化合物又は塩基性化合物としては通常用いられる化合物を特に制限なく用いることができる。
本発明の画像形成方法では、前記インク組成物の少なくとも1種と、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液の少なくとも1種とを含むインクセットを用いて画像形成する形態が好ましい。インクセットは、これらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは、当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
(処理液)
本発明における処理液は、前記インク組成物と接触したときに凝集体を形成できる水性組成物であり、具体的には、インク組成物と混合されたときに、インク組成物中の着色粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含み、必要に応じて、他の成分を含んで構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有する。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体組成物が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が3〜5である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明における処理液は、上記酸性化合物に加えて、水系溶媒(例えば、水)を更に含んで構成することができる。
処理液中の酸性化合物の含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい
また、高速凝集性を向上させる処理液の好ましい一例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液も挙げることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
金属の塩の処理液中における含有量としては、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列に接続し、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
(実施例1)
<インクの調製>
〜樹脂分散剤P−1の合成〜
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート50g、メタクリル酸11g、及びメチルメタクリレート39gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液にメチルエチルケトン(MEK)を加え、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[質量%比]=50/39/11)共重合体(樹脂分散剤P−1)36.8%のMEK溶液を得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は49400であった。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、71.7mgKOH/gであった。また、Tgを測定したところ、94℃であった。
〜樹脂分散剤P−2の合成〜
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン240g、N−(4−ビニルベンジル)−10H−アクリジン−9−オンとN−(3−ビニルベンジル)−10H−アクリジン−9−オン(1/1=質量/質量)との混合物30g、メタクリル酸20g、及びエチルメタクリレート150gを加えて窒素雰囲気下で75℃に加熱し、これにメチルエチルケトン16gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート2.44g、を溶解した溶液を加えた。
同温度を維持しつつ攪拌し、さらに2時間反応させた後、メチルエチルケトン(MEK)2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート1.0gを溶解した溶液を加え、さらに2時間反応させた後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート1.0gを溶解した溶液を加えて、80℃に昇温して4時間加熱した。
得られた反応溶液にメチルエチルケトンを加え、樹脂分散剤P−2〔N−(4−ビニルベンジル)−10H−アクリジン−9−オンとN−(3−ビニルベンジル)−10H−アクリジン−9−オン(1/1=質量/質量)との混合物/エチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[質量比]=15/75/10)共重合体)のMEK溶液を得た。また、Tgを測定したところ、124℃であった。
得られた溶液の一部を減圧下で加熱乾燥して、不揮発分を求めたところ、36.8%であった。得られた樹脂分散剤P−2の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44200であった。このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
〜自己分散性ポリマー粒子B−01の調製〜
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン560.0gを仕込んで、87℃まで昇温した。反応容器内は還流状態を保ちながら(以下、反応終了まで還流)、メチルメタクリレート220.4g、イソボルニルメタクリレート301.6g、メタクリル酸58.0g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)2.32gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌した後に(1)「V−601」1.16g及びメチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加え、2時間攪拌を行なった。続いて、前記(1)の工程を4回繰り返し、さらに「V−601」1.16g及びメチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加えて3時間攪拌を続けた。重合反応を終了後、溶液の温度を65℃に降温し、イソプロパノール163.0gを加えて放冷した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は63000、酸価は65.1(mgKOH/g)であった。
次に、得られた重合溶液317.3g(固形分濃度41.0%)を秤量し、イソプロパノール46.4g、20%無水マレイン酸水溶液1.65g(水溶性酸性化合物、共重合体に対してマレイン酸として0.3%相当)、2モル/LのNaOH水溶液40.77gを加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に蒸留水380gを10ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた(分散工程)。
その後、減圧下、反応容器内温度70℃で1.5時間保って、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で287.0g留去し(溶剤除去工程)、プロキセルGXL(S)(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製)0.278g(ポリマー固形分に対してベンゾイソチアゾリン−3−オンとして440ppm)添加した。その後、1μmのフィルターでろ過を実施し、ろ過液を回収して、固形分濃度26.5%の自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物を得た。得られた自己分散性ポリマー粒子をイオン交換水で希釈し25.0%の液の物性を測定した結果、pH7.8、電気伝導度461mS/m、粘度14.8mPa・s、体積平均粒径2.8nmであった。
<ガラス転移温度Tgの測定>
得られたポリマー粒子B−01のガラス転移温度を以下の方法で測定したところ、160℃であった。
重合後のポリマー溶液を固形分量として0.5gになる量をとりわけ、50℃で4時間減圧乾燥させ、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分を用い、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220によりTgを測定した。測定条件は、サンプル量5mgをアルミパンに密閉し、窒素雰囲気下、以下の温度プロファイルで2回目の昇温時の測定データのDDSCのピークトップの値をTgとした。
30℃ →−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→120℃ (20℃/分で昇温)
120℃→−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→120℃ (20℃/分で昇温)
<体積平均粒径(Mv)の測定>
得られた自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を測定に適した濃度(ローディングインデックスが0.1〜10の範囲)に適宜希釈し、超微粒子粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により、各水分散物を全て同一測定条件にて体積平均粒子径を測定した。すなわち、粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.51、粒子形状:非球形、密度:1.2g/cm、溶媒:水、セル温度:18〜25℃の条件において測定を行なった。
〜樹脂被覆顔料粒子の分散物の調製〜
(シアン顔料分散物Cの調製)
顔料としてピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220ウェットケーキ(顔料固形分33.5%)、大日精化工業(株)製)を顔料固形分として100gと、上記のフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を固形分で45gと、メチルエチルケトン140gと、pH調整剤として1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液50.6g(メタクリル酸に対する中和度88モル%)と、イオン交換水331gとをディスパーで予備分散し、さらに分散機(マイクロフルイディックス社製、マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で8パス処理した。
続いて、得られた分散物を減圧下、56℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに1部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550((株)久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。
続いて、得られた分散物(上澄み液)を70℃にて4時間加熱後、防腐剤として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを80ppmと、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オンを40ppmと、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを10ppmと、4,4−ジメチルオキサゾリジンを30ppmと、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを80ppmと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを30ppmとを添加した。これをろ過し、ろ液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が15%の樹脂被覆顔料粒子の分散物(シアン顔料分散液C)を得た。この分散物は、pH=8.5、粘度=2.9であった。
<樹脂被覆顔料粒子の粒子径の測定>
得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物について、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒径を測定した。測定は、樹脂被覆顔料粒子の分散物10μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して行なった。測定の結果、樹脂被覆顔料粒子の体積平均粒子径は88nmであった。
(マゼンタ顔料分散物Mの調製)
ピグメント・レッド122(Cromophtal Jet Magenta DMQ(チバ・ジャパン社製;マゼンタ顔料)100gと、上記の樹脂分散剤P−2を固形分で 30gと、メチルエチルケトン133gと、1mol/L NaOH水溶液27.2g(メタクリル酸に対する中和度78モル%)と、イオン交換水424gとを混合し、ディスパー混合で予備分散し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。
その後、シアン顔料分散物Cにおいて行なった操作と同様の操作を行ない、顔料濃度が15%の樹脂被覆顔料粒子の分散物(マゼンタ顔料分散液M)を得た。また、上記と同様の方法により、得られた分散物の体積平均粒子径、pH、粘度を測定したところ、それぞれ76nm、pH8.6、粘度2.8mPa・sであった。
〜インクの調製〜
(シアンインクの調製)
上記で得られたシアン顔料分散物Cと自己分散性ポリマー粒子B−01とを用いて、下記のインク組成になるように各成分を混合した。これを、プラスチックス製のディスポーザブルシリンジに詰め、PVDF5μmフィルター(Millex−SV、直径25mm、ミリポア社製)で濾過し、シアンインク(インクジェット用インク組成物)C−01を調製した。
<シアンインクの組成>
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) ・・・2.5%
・前記樹脂分散剤P−1(固形分) ・・・1.125%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−01(固形分) ・・・8.5%
・コロイダルシリカ(固形分) ・・・0.05%
(スノーテックスXS、体積平均粒子径:4〜6nm、日産化学工業(株)製)
・サンニックスGP250 ・・・8%
(三洋化成工業(株)製、親水性有機溶剤、I/O値1.30)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME)・・・8%
(日本乳化剤(株)製、MFTG、親水性有機溶剤、I/O値0.80)
・尿素(日産化学工業(株)製、固体湿潤剤) ・・・5%
・ニューポールPE−108(三洋化成工業(株)製、増粘剤) ・・・0.15%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) ・・・1%
・イオン交換水 ・・・残部(全体で100%になる量)
(マゼンタインクの調製)
上記で得られたマゼンタ顔料分散物Mと樹脂分散剤P−2とを用いて、下記のインク組成になるように各成分を混合した以外は、シアンインクC−01と同様の方法でマゼンタインク(インクジェット用インク組成物)M−01を調製した。
<マゼンタインクの組成>
・マゼンタ顔料(ピグメント・レッド122) ・・・5.0%
・前記樹脂分散剤P−2(固形分) ・・・1.5%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−01(固形分) ・・・7.25%
・サンニックスGP250 ・・・10%
(三洋化成工業(株)製、親水性有機溶剤、I/O値1.30)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME)・・・6%
(日本乳化剤(株)製、MFTG、親水性有機溶剤、I/O値0.80)
・尿素(日産化学工業(株)製、固体湿潤剤) ・・・5%
・ニューポールPE−108(三洋化成工業(株)製、増粘剤) ・・・0.05%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) ・・・1%
・イオン交換水 ・・・残部(全体で100%になる量)
〜処理液の調製〜
下記の組成となるように各成分を混合して処理液T−1を調製した。得られた処理液の粘度、表面張力を上記と同様の方法により測定したところ、粘度=2.3mPa・s、表面張力=42.5mN/m、pH=1.0であった。
<組成>
・マロン酸(立山化成(株)製) ・・・11.3%
・DL−リンゴ酸(扶桑化学工業(株)製) ・・・14.5%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・4%
(日本乳化剤(株)製BDG)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル・・・4%
(日本乳化剤(株)製、MFTG)
・イオン交換水 ・・・66.2%
<画像形成及び評価>
〜画像形成〜
図6〜図8に示すように構成され、シリコンノズルプレートを備えたインクジェットヘッド1を用意し、これに繋がる貯留タンクに上記で得たマゼンタインクに詰め替えた。シリコンノズルプレートは、単結晶シリコンで形成されており、そのインク吐出方向側の表面は、化学気相蒸着(CVD)法リアクタにSiCl及び水蒸気を導入することによってCVD法により成膜された酸化シリコンの膜(SiO膜)が形成されている。SiO膜の膜厚は、50nmである。さらに、酸素プラズマ処理を施した後にC17SiClを用いて化学気相蒸着法(CVD)が施されており、SiO膜に撥液膜が形成されている。この撥液膜は、低圧力でC17SiCl及び水蒸気をCVDリアクタの中に導入することによって製膜したものである。撥液性膜の厚みは、10nmである。また、シリコンノズルプレートには、図2〜図4に示すように複数のノズルが2次元マトリクス状に配列されており、図5に示すように高精細にインク滴を吐出できるようになっている。記録媒体としては、特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を用意した。
この記録媒体を500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、ステージ温度を30℃で保持し、これに上記で得た処理液をバーコーターで約1.2μmの厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。用意したインクジェットヘッドを、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7度傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量6.0pL、吐出周波数25.7kHz、解像度1200dpi×1200dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、2cm四方の50%ベタ画像と、4〜8ptの「轟」文字画像と、ベタ画像中に白抜きの4ptの「轟」文字画像とを含む画像を記録した。
記録直後、60℃で3秒間乾燥させ、更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
〜画像評価〜
−1.画像の解像度−
得られた評価サンプルの画像のうち、4〜8ptの「轟」文字画像とベタ画像中に白抜きして形成した4ptの「轟」文字画像とについて、目視にて観察することにより、下記の評価基準にしたがってその解像性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
<評価基準>
◎:4ptの文字まで解像性が良好であり、実用上問題のないレベルであった。
○:一部の4ptの文字で解像性の低下が認識されたが、実用上は問題のないレベルであった。
△:4pt超の文字でも解像性の低下が認められ、実用性の低いレベルであった。
×:文字が潰れて解像性の低下が顕著であり、実用性の極めて低いレベルであった。
−2.画像濃度−
得られた評価サンプルの画像部の濃度を反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)を用いて測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果を下記表2に示す。
<評価基準>
◎:充分な濃度が得られており、極めて良好なレベルであった。
○:濃度が得られており、良好なレベルであった。
△:実用上問題のないレベルであった。
×:濃度が低く、実用性の低いレベルであった。
××:濃度が極めて低く、実用性のきわめて低いレベルであった。
−3.ヘッド信頼性−
インクジェットヘッドを25.7kHzで6000億回、連続吐出した後、画像の記録を行ない、96ノズルを用いて吐出周波数25.7kHzで75×2400dpiの線画像を描画した。そして、この線画像を王子計測機器(株)製のドットアナライザDA−6000にて線の中心値を計測し、各線のズレ量の標準偏差σを算出した。評価結果を下記表2に示す。
<評価基準>
◎:σ<2μm
○:2μm≦σ<3μm
△:3μm≦σ<5μm
×:5μm≦σ<7μm
××:7μm≦σ
−4.ノズル変形−
インクジェットヘッドを25.7kHzで6000億回、連続吐出した後、画像の記録を行ない、2048個のノズル孔の形状、ノズル孔周囲の撥液膜、酸化膜の異常の有無を光学顕微鏡により観察して、ノズル孔形状又はノズル孔周囲における変化の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果を下記表2に示す。
<評価基準>
◎:全てのノズル孔が正常であった。
○:ノズル孔の形状変化又はノズル孔周囲の変化が5個未満であった
△:ノズル孔の形状変化又はノズル孔周囲の変化が5個以上10個未満であった
×:ノズル孔の形状変化又はノズル孔周囲の変化が10個以上20個未満であった。
××:ノズル孔の形状変化又はノズル孔周囲の変化が20個以上であった。
参考例2)
実施例1において、インクジェットヘッド1を、シリコンノズルプレートを備えるが背面流路を有しない構成、すなわち共通液室が圧力室の配置と同じ側に配置された構成のインクジェットヘッド2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。シリコンノズルプレートには、図2〜図4に示すように複数のノズルが設けられており、図5に示すように高精細にインク滴を吐出できるようになっている。また、シリコンノズルプレートは、単結晶シリコンで形成されており、そのインク吐出方向側の表面には、化学気相蒸着(CVD)法により酸化シリコンの膜(SiO膜)が形成されている。さらに、酸素プラズマ処理を施した後にC17SiClを用いて化学気相蒸着法(CVD)が施されており、SiO膜に撥液膜が形成されている。評価結果は下記表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、インクの調製に用いた自己分散性ポリマー粒子の分散物B−01を、下記のように乳化重合法で得たポリマー粒子の分散物Cに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
〜ポリマー粒子の分散物Cの調製〜
攪拌装置、還流冷却管を装着した1リットル三口フラスコに、パイオニンA−43s(竹本油脂社製、乳化剤)8.1g、蒸留水236.0gを入れ、窒素気流下70℃に加熱攪拌した。スチレン6.2g、n−ブチルアクリレート3.5g、アクリル酸0.3g、過硫酸アンモニウム1.0g、蒸留水40gを添加し、30分間攪拌した後、スチレン117.8g、n−ブチルアクリレート66.5g、及びアクリル酸5.7gからなるモノマー溶液を2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、過硫酸アンモニウム0.5g及び蒸留水20gからなる水溶液を加え、70℃で4時間攪拌した後、85℃に昇温して更に2時間攪拌を続けた。反応液を冷却し、2モル/LのNaOH水溶液を用いて中和度が0.5となるように中和した。引き続いて濾過することで、下記構造で表されるポリマー粒子BH−1の分散液を得た。得られたポリマー粒子の物性は、重量平均分子量=232,000、酸価=23mgKOH/g、体積平均粒径=70nmであった。
参考例4)
実施例3において、インクジェットヘッド1を、シリコンノズルプレートを備えるが背面流路を有しない構成、すなわち共通液室が圧力室の配置と同じ側に配置された構成のインクジェットヘッド2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。シリコンノズルプレートには、図2〜図4に示すように複数のノズルが設けられており、図5に示すように高精細にインク滴を吐出できるようになっている。また、シリコンノズルプレートは、単結晶シリコンで形成されており、そのインク吐出方向側の表面には、化学気相蒸着(CVD)法により酸化シリコンの膜(SiO膜)が形成されている。さらに、酸素プラズマ処理を施した後にC17SiClを用いて化学気相蒸着法(CVD)が施されており、SiO膜に撥液膜が形成されている。評価結果は下記表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、インクの調製に用いたコロイダルシリカを含有しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
(比較例2)
比較例1において、インクジェットヘッド1を、シリコンノズルプレートを備えるが背面流路を有しない構成、すなわち共通液室が圧力室の配置と同じ側に配置された構成のインクジェットヘッド2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。シリコンノズルプレートには、図2〜図4に示すように複数のノズルが設けられており、図5に示すように高精細にインク滴を吐出できるようになっている。また、シリコンノズルプレートは、単結晶シリコンで形成されており、そのインク吐出方向側の表面には、化学気相蒸着(CVD)法により酸化シリコンの膜(SiO膜)が形成されている。さらに、酸素プラズマ処理を施した後にC17SiClを用いて化学気相蒸着法(CVD)が施されており、SiO膜に撥液膜が形成されている。評価結果は下記表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、インクジェットヘッド1を、背面流路を有しない構成、すなわち共通液室が圧力室の配置と同じ側に配置された構成を有し、ノズルプレートがステンレス合金(SUS316L)で形成され、ノズルが2次元マトリクス状に配列されていない比較用ヘッド3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。但し、記録は、インク液滴量2.4pL、吐出周波数25.7kHz、解像度300dpi×300dpiの吐出条件に変更して行なった。評価結果は下記表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、インクジェットヘッド1を、背面流路を有しない構成、すなわち共通液室が圧力室の配置と同じ側に配置された構成を有し、ノズルプレートがステンレス合金(SUS316L)で形成され、ノズルが2次元マトリクス状に配列されていない比較用ヘッド3に代えると共に、インクの調製に用いたコロイダルシリカを含有しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。但し、記録は、インク液滴量2.4pL、吐出周波数25.7kHz、解像度300dpi×300dpiの吐出条件に変更して行なった。評価結果は下記表2に示す。
前記表2に示すように、実施例では、ヘッドプレートの劣化が抑制され、ノズル変形が少なくヘッド信頼性に優れており、より高精細な画像を安定的に形成することができた。これに対し、コロイダルシリカを含有しなかった比較例1〜2では、ヘッドプレートの劣化が抑えられず、ヘッドの信頼性は低かった。また、比較例3〜4のように、シリコンを用いない従来のヘッドプレートでは、ノズル配列自体の解像度を高めることができず、記録される画像の解像度、濃度も不充分であった。
(実施例5、7、及び参考例6、8
実施例1、3、及び参考例2、4において、マゼンタインクをシアンインクに変更したこと以外は、実施例1、3、及び参考例2、4のそれぞれと同様にして、画像を記録し、評価を行なった。
その結果、いずれの実施例においても、実施例1、3と同様にヘッドプレートの劣化が抑制され、ノズル変形が少なくヘッド信頼性に優れており、より高精細な画像を安定的に形成することができた。
(実施例9、11、及び参考例10、12
実施例1、3、及び参考例2、4において、コロイダルシリカ(スノーテックスXS)0.05%を、ケイ酸ナトリウム0.05%に代えたこと以外は、実施例1、3、及び参考例2、4のそれぞれと同様にして、画像を記録し、評価を行なった。
その結果、実施例1、3と同様にヘッドプレートの劣化が抑制され、ノズル変形が少なくヘッド信頼性に優れており、より高精細な画像を安定的に形成することができた。
11・・・ノズルプレート
12,100,151・・・吐出口(ノズル)
23,153・・・インク供給流路
30,158・・・圧電素子(圧電アクチュエータ;圧力発生手段)
102,152・・・圧力室
104・・・インク室ユニット
50,150,200・・・インクジェットヘッド
190・・・電気配線
155・・・共通液室
156・・・振動板

Claims (7)

  1. 少なくとも一部にシリコンを含むノズルプレートを備えたインクジェットヘッドから、顔料、水溶性有機溶剤、樹脂粒子、及び無機ケイ酸化合物を含むインク組成物を吐出して画像を形成する画像形成方法であり、
    前記ノズルプレートは、2次元マトリックス状に配設された、インク組成物を吐出する複数の吐出口を有し、ノズルプレートの少なくとも一部がSiO を含ませた膜を設けて形成されており、
    前記インクジェットヘッドは、更に、
    前記ノズルプレートの複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、
    前記複数の圧力室のそれぞれにインク組成物を供給する複数のインク供給流路と、
    前記複数のインク供給流路にインクを供給する共通液室と、
    前記複数の圧力室のそれぞれを変形する複数の圧力発生手段と、
    前記共通液室を貫通するように配設され前記圧力発生手段に駆動信号を供給する電気配線と、を備え、
    前記圧力発生手段が前記圧力室の前記ノズルプレートの配置側とは反対側に配置され、前記共通液室が前記圧力発生手段の前記圧力室の配置側とは反対側に配置され、
    前記圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の体積変化量を制御してインク組成物を吐出する、
    画像形成方法。
  2. 前記圧力発生手段が圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記インクジェットヘッドは、前記ノズルプレートからの吐出によりシングルパス方式で1200dpi以上の描画解像度で画像を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記無機ケイ酸化合物のインク組成物中における含有量が、インク組成物の全質量の0.0005質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記インク組成物は、25℃におけるpHが7.5以上10.0以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記樹脂粒子が、自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記無機ケイ酸化合物が、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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