JP4678511B2 - 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置の技術分野に係り、特に、液体を吐出する吐出口の配置を高密度化するとともに、液体流路を簡素化した液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにこれを備えた画像形成装置に関する。
従来より、画像形成装置として、多数のノズル(吐出口)を配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を有し 、このインクジェットヘッドと被記録媒体を相対的に移動させながら、ノズルから被記録媒体に向けてインクを吐出することにより、被記録媒体上に画像を記録するインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている。
このようなインクジェットプリンタは、インクタンクからインク供給路を介して圧力室にインクを供給し、画像データに応じた電気信号を圧電素子に付与して圧電素子を駆動することにより、圧力室の一部を構成する振動板を変形させて、圧力室の容積を減少させ、圧力室内のインクをノズルから液滴として吐出するようになっている。
このようにインクジェットプリンタにおいては、ノズルから吐出されたインクによって形成されるドットを組み合わせることによって被記録媒体上に1つの画像が形成される。近年、インクジェットプリンタにおいても写真プリント並みの高画質な画像を形成することが望まれている。これに対して、ノズル径を小さくしてノズルから吐出されるインク液滴を小さくするとともに、ノズルを高密度に配列して1画像あたりの画素数を多くすることによって高画質を実現することが考えられている。
ノズルの高密度化を実現するためには、電気配線やインク流路の構成を工夫することが不可欠である。そこで従来、ノズル配列を高密度化するとともに、インク供給能率を向上させ、プリント速度を高速化させる様々な提案がなされている。
例えば、圧力室の1面を形成する振動板に、インクを圧力室へ供給するインク供給路を設けるとともに、振動板の裏面にリザーバ(共通液室)を形成し、圧力室にリザーバよりインク供給路を介してインクを供給するようにして、ノズルの高密度化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
また例えば、圧力室のノズルが設けられた面とは反対側の面に圧電素子を設け、さらに圧電素子側にインク供給用のリザーバの一部を配置し、また圧電素子には覆いを設け、ワイヤボンドや薄膜で電極を取り出すようにして、構造の簡素化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
また例えば、圧力室に対して圧電アクチュエータをノズル面側に配置し、さらにアルミプラグが積層を貫通する構成を採用し、Siのフォトエッチングでインクジェットヘッドを形成することで、高密度化、低コスト化を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
また例えば、振動板に供給絞りを設け、圧電素子の圧力室とは反対側にインク供給部としてのインク供給タンクを設け、インク供給タンクから振動板を貫いて圧力室に連通するインク供給口を形成するとともに、インク供給部は、圧電素子に対し絶縁性の密閉カバーとして作用し、圧電素子の覆いやダンパ機能も備え、多ノズル化、低コスト化を図り、高
精度化を実現しようとしたものが知られている(例えば、特許文献4等参照)。
また例えば、インク供給層として、焼結ステンレス鋼などの多数の小さな内部接続された孔を有する多孔質材を用い、ここを通るインクの通過を可能とし、リフィル性を向上させ、高プリント速度、高信頼性を可能とし、多数の種類のインク調合性及び濾過性に優れたインクジェットヘッドを実現しようとしたものが知られている(例えば、特許文献5等参照)。
特開平9−226114号公報 特開2000−127379号公報 特開2000−289201号公報 特開2001−179973号公報 特表2003−512211号公報
しかしながら、例えば上記特許文献1、2あるいは4に記載されたもののように、圧電体を挟んで振動板及び圧力室とは反対側に、共通流路(共通液室)あるいはその一部を形成した場合には、さらなる高密度化、吐出駆動の高速化(高周波数化)を図るためには、圧力室側のスペースの観点から、圧力室側には、圧力室とノズルのみで、振動板に供給路(供給口)を形成し、共通流路を、振動板を挟んで完全に対向面側(圧力室とは反対側)に持って来ることが必要となるとともに、圧電体に駆動信号を供給するための電気配線等を高密度に配線することが必須となる。しかし、その場合に、配線を圧電体と同一面上で取り出そうとすると、多層フレキシブルケーブルが必要となるなど、実装技術において大きな問題がある。
また、上記特許文献1に記載のものは、1440dpiでアクチュエータ(ピエゾ)を1列に並べており、配線についての記載はなく、あまり実用的とは言えず、さらなる高密度化は困難であるという問題がある。
また、上記特許文献2に記載されたものは、共通液室(リザーバ)の一部を圧電素子側に設けているが、やはり依然として共通液室の一部は圧力室側にあり、また共通液室を圧電素子の電装面より外面に設けているため、高密度化には向かないという問題がある。
また、上記特許文献3に記載のものは、ノズル側に圧電アクチュエータがあり、ICを一体形成するようにし、また共通液室を圧電アクチュエータ側(結局ノズル側)に設けるとともに、駆動回路から垂直に電気配線(アルミプラグ)を形成しているが、共通液室は圧電アクチュエータの外側に形成され、またアルミプラグも圧電アクチュエータや共通液室以外の場所において積層中を貫通するように形成されているためその分スペースが必要となり、高密度化は難しいという問題がある。
また、上記特許文献4に記載のものは、ジルコニアからなる振動板の圧電素子が存在しない領域にインク供給用の孔を設けるようにしているが、配線は圧電素子面上にあるため、このような形状のものでは、特にマトリクス構造への適用が難しく、高密度化は困難であるという問題がある。
さらに、上記特許文献5に記載のものでは、絶縁板の両面にバンプを形成し、弾性パッドで圧電素子を加圧して電極を取り出すようにしているが、高密度化が難しく、接続も不安定になりやすいという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、圧電体とこれに垂直な柱状の電気
配線(エレキ柱)の製造プロセスとの融合、圧力室部材との接合容易性、及び柱状の電気配線と圧電体の液体に対するシール性の確保を図り、高密度化及び駆動の高速化を達成する液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出するノズルと連通する圧力室の一部を形成する振動板と、該振動板を変形する圧電体を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、シリコン基板の少なくとも一部を除去し、前記シリコン基板の除去された部分に、前記圧電体を駆動するための駆動信号を供給する電気配線を形成する電気配線形成工程と、前記電気配線形成工程で少なくとも除去されない前記シリコン基板の部分の上に前記圧電体を形成する圧電体形成工程と、前記圧電体に関し、前記シリコン基板とは反対側に前記振動板を形成する振動板形成工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
これにより、電気配線(エレキ柱)、圧電体及び振動板を同一基板に一体形成することができ、各構成要素の間に製造時の位置ずれを軽減することが可能となる。
また、請求項2に示すように、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、さらに、前記電気配線形成工程、前記圧電体形成工程及び前記振動板形成工程によって形成された前記電気配線、前記圧電体及び前記振動板を有する前記シリコン基板に対し、別途形成された圧力室とノズルを有するノズルプレートを接合する圧力室接合工程を含むことを特徴とする。
これにより、製造時の各部材のハンドリングが容易となり、圧電体が形成された基板に対して圧力室を接合する際の加圧が可能となる。
また、請求項3に示すように、請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記電気配線形成工程において、前記電気配線は前記シリコン基板に垂直に形成されるとともに、さらに、前記圧力室接合工程の後、前記電気配線の外周部を被覆するシリコンを残して、前記電気配線間のシリコン基板を除去し、前記各圧力室に液体を供給する共通液室となる開口部を形成する共通液室形成工程を含むことを特徴とする。
これにより、電気配線の外周部はシリコン面となり、インクと電気配線のシール(絶縁)が可能となる。
また、請求項4に示すように、前記共通液室形成工程における前記シリコン基板の除去は、異方性エッチングまたはドライエッチングによって行うことを特徴とする。
これにより、シリコン基板面に略垂直に電気配線に沿った加工が可能であるとともに、精度良く共通液室を形成することができる。
また、請求項5に示すように、前記圧電体形成工程を行った後、前記振動板形成工程の前に前記圧電体に対する熱処理工程を行うことを特徴とする。
これにより、振動板には熱処理に必要な500〜600℃の熱がかからず、熱歪を生じることがない。
また、請求項6に示すように、前記振動板形成工程を行った後、前記電気配線と前記振動板を用いて前記圧電体の分極を行う分極工程を行うことを特徴とする。
これにより、一括で各圧電体の分極を行うことが可能となり、作業が効率化される。
また、請求項7に示すように、前記電気配線形成工程における前記シリコン基板の除去は、異方性エッチングまたはドライエッチングによって行うとともに、前記電気配線はメッキで形成することを特徴とする。
これにより、精度良く穴加工ができるとともに、比較的安価に高アスペクトの電極が形成可能となる。
また、同様に前記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、液体を吐出するノズルと連通する圧力室の一部を形成する振動板上に配置された圧電体に関して前記圧力室とは反対側に形成された、前記圧力室に液体を供給する共通液室と、前記圧電体に垂直に、前記共通液室内に立設された、前記圧電体を駆動する駆動信号を供給する電気配線と、前記電気配線の外周部を被覆するシリコンのコーティングと、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
これにより、圧力室側の共通液室のスペースを削減できる事から、ノズルの高密度化が可能となり、配線も2次元で取り出せる事から、狭ピッチが必要なくなる。
また、請求項9に示すように、前記共通液室内に、前記電気配線とは別に、シリコンの柱が前記圧電体に対して垂直に立設されたことを特徴とする。
これにより、液体吐出ヘッドの機械的強度を向上させることができる。
また、同様に前記目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
これにより、高密度化された液体吐出ヘッドを用いて高画質の画像を形成することが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにこれを備えた画像形成装置によれば、圧電体と柱状の電気配線(エレキ柱)を共に同一のシリコン基板に形成するようにしているため、圧電体とこれに垂直な柱状の電気配線(エレキ柱)の製造プロセスを融合させることができ、製造時の位置ずれを軽減することができる。また、この圧電体と電気配線の形成された基板に圧力室を接合するようにした場合には、基板状態で圧力室を接合できるため、圧力室部材との接合容易性及び接合時の剛性を確保することができる。
さらに、振動板形成後の工程で圧電体の分極を行うようにした場合には、圧電体の分極をプロセス中に全圧電体についてまとめて行うことが可能となる。また、電気配線の外周部をシリコンでコートするようにした場合には、電気配線の液体に対するシール性の確保を図ることができる。
以上のような工程を含んで液体吐出ヘッドを製造することにより、高密度化及び駆動の高速化を達成することが可能となる。
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法並びに
これを備えた画像形成装置について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドを有する画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
図2は、インクジェット記録装置10の印字部12周辺を示す要部平面図である。
図2に示すように、印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。
各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリン
ト物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
このような印字ヘッド50上のノズル配置のサイズは特に限定されるものではないが、一例として、ノズル51を横48行(21mm)、縦600列(305mm)に配列することにより2400npi(ノズル・パー・インチ)を達成する。
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。
また、図4は他の印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。図4に示すように、複数の短尺ヘッド50’を2次元の千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、これらの複数の短尺ヘッド50’全体で印字媒体の全幅に対応する長さとなるようにして1つの長尺のフルラインヘッドを構成するようにしてもよい。
本実施形態では、このように印字ヘッドの高密度化を実現するために、まず、例えば図3に示したように、圧力室52(ノズル51)を2次元マトリクス状に配置してノズル51の高密度化(例えば2400npi)を図っている。次に、詳しくは以下説明するが、本実施形態では、圧力室52にインクを供給する共通液室を振動板の上側に配置し、インクのリフィル性を重視するため大きなインクプールとして、この共通液室から直接圧力室52へインクを供給するようにして流路抵抗となるような配管をなくしてインク供給系を簡素化し高集積化するようにした。さらに、圧力室52を変形する圧電素子の電極(個別電極)に駆動信号を供給する圧電素子配線(電気配線)を各個別電極から垂直に立ち上げて共通液室中を貫通するようにして上部の多層フレキシブルケーブル等の配線基板に接続するようにしている。
図5に、このような高密度化された本実施形態における印字ヘッド50の一部を、簡単化した斜視透視図で示す。
図5に示すように、本実施形態の印字ヘッド50においては、ノズル51とインク供給口53を有する圧力室52の上側に、圧力室52の上面を形成する振動板56が配置され、振動板56上の各圧力室52に対応する部分に上下を電極で挟んだピエゾ等の圧電体で構成される圧電素子58(圧電アクチュエータ)が配置され、圧電素子58はその上面に個別電極57を有している。
そして、この個別電極57の端面から圧力室52から外側へ電極接続部としての電極パッド59が引き出されて形成され、電極パッド59上に電気配線60が略垂直に立ち上がって形成されている。この略垂直に立ち上がった電気配線60の上には多層のフレキシブルケーブル62が配置され、図示を省略したヘッドドライバからこれらの配線を介して駆動信号が圧電素子58の個別電極57に供給されるようになっている。
また、振動板56と多層フレキシブルケーブル62との間の柱状の電気配線60が立ち並んで形成された空間は、1つの大きな共通液室であり、ここから各インク供給口53を介して各圧力室52にインクを供給するための共通液室55となっている。
なお、ここに示した共通液室55は、図3に示した全ての圧力室52にインクを供給するように、圧力室52が形成された全領域に渡って形成される1つの大きな空間となっているが、共通液室55は、このように一つの空間として形成されるものには限定されず、いくつかの領域に分かれて複数に形成されていてもよい。
各圧力室52毎に個別電極57から引き出されて設けられた電極パッド59上に垂直に柱のように立ち上がった電気配線60は、多層フレキシブルケーブル62を下から支え、共通液室55となる空間を形成している。逆に言うと、電気配線60は、共通液室55を貫通するように形成されている。
なお、ここに示した柱状の電気配線60は、各圧電素子58(の個別電極57)に対して1つずつ形成され、一対一に対応しているが、この柱の数を削減するために、いくつかの圧電素子58に対する電気配線60をまとめて1つの柱として形成するように複数の圧電素子58に対して1つの柱が対応するようにしてもよい。さらに、個別電極57ばかりでなく、共通電極(振動板56)に対する配線もこのような圧電素子58に対する電気配線60と同様の柱状に形成するようにしてもよい。
図5に示すようにノズル51が底面に形成され、ノズル51と対角をなす角部の上面側にインク供給口53が設けられている。インク供給口53は振動板56を貫いており、その上の共通液室55と圧力室52はインク供給口53を介して連通している。これにより、共通液室55と圧力室52を流体的に直接繋ぐことが出来る。
振動板56は、各圧力室52に共通のものとし1枚のプレートで形成されている。そして、振動板56の各圧力室52に対応する部分に、圧力室52を変形させるための圧電素子58が配置されている。圧電素子58に電圧を印加して駆動するための電極(共通電極と個別電極)が圧電素子58を挟むようにその上下面に形成されている。
振動板56を例えばSUS等の導電性の薄膜で形成して、振動板56が共通電極を兼ねるようにしてもよい。このとき、圧電素子58の上面には個々の圧電素子58を個別に駆動するための個別電極57が形成される。
上述したように、この個別電極57から電極パッド59を引き出して形成し、電極パッド59の上に垂直に立ち上がり共通液室55を貫通する電気配線60(エレキ柱)が形成される。
柱状の電気配線60の上には多層フレキシブルケーブル62が形成されており、電気配線60が柱となって多層フレキシブルケーブル62を支え、振動板56を床、多層フレキシブルケーブル62を天井として、共通液室55としての空間が確保されるようになっている。また、図示は省略したが、各電気配線60は多層フレキシブルケーブル62に形成された個別の配線にそれぞれ接続され、これらの配線から各電気配線60を通じて個々の個別電極57に駆動信号が供給され、各圧電素子58がそれぞれ独立に駆動されるようになっている。
また、図5では図示を省略したが、共通液室55はインクで満たされるため、共通電極としての振動板56、個別電極57、電気配線60及び多層フレキシブルケーブル62のインクと接触する面はそれぞれ絶縁性の保護膜で覆われている。
なお、上述したような印字ヘッド50の各サイズは、特に限定されるものではないが、一例を示すと、圧力室52は平面形状が300μm×300μmの正方形で、高さが150μm、振動板56及び圧電素子58はそれぞれ厚さが10μm、電気配線60(エレキ柱)は電極パッド59との接続部の直径が100μm、高さは500μm等のように形成される。
図6は、本実施形態の印字ヘッド50の一部を拡大した断面図である。
図6に示すように、印字ヘッド50は、複数の薄膜等が積層されて形成されている。まず、ノズル51が形成されたノズルプレート64の上に、圧力室52、インク供給口53等が形成された流路プレート66が積層される。図では、流路プレート66は、1枚のプレートのように表されているが、実際は、流路プレート66はさらに複数のプレートが積層されて形成されていてもよい。
流路プレート66の上には、圧力室52の天面を形成する振動板56が積層される。振動板56は、個別電極57とともに後述する圧電素子58を駆動するための共通電極をも兼ねていることが好ましい。また、振動板56には圧力室52のインク供給口53に対応する開口部が設けられ、これにより圧力室52と振動板56の上側に形成される共通液室55とが直接連通する。
振動板56(共通電極を兼ねる)上の圧力室52上面の略全面に対応する部分に圧電体58aが形成され、圧電体58aの上面には個別電極57が形成される。このようにして、その上下を共通電極(振動板56)と個別電極57とで挟まれた圧電体58aは、共通電極(振動板56)と個別電極57によって電圧が印加されると変形して圧力室52の体積を減少させ、ノズル51からインクを吐出させる圧電素子(圧電アクチュエータ)58を構成する。
個別電極57のインク供給口53側端部から、外側へ配線が引き出されて電極接続部としての電極パッド59が形成されている。そして、この電極パッド59の上に、垂直に柱状に立ち上がる電気配線60(エレキ柱)が共通液室55を貫通するように形成される。なお、電極パッド59と共通電極(振動板56)との間及び個別電極57上には、例えばPI(ポリイミド)等の絶縁層68が形成される。
電気配線60の上部には、多層フレキシブルケーブル62が形成され、多層フレキシブルケーブル62に形成される図示を省略した各配線が各電気配線60に接続し、各圧電素子58を駆動するための駆動信号がそれぞれの電気配線60を通じて供給されるようになっている。また、電気配線60と多層フレキシブルケーブル62とは、電極接続部72に
おいて導電性フィラー入り接着剤74によって接合されている。
また、振動板56と多層フレキシブルケーブル62との間の柱状の電気配線60(エレキ柱)が林立して形成される空間は、圧力室52に供給するためのインクをプールする共通液室55となっており、ここにはインクが充満するため、振動板56、個別電極57、圧電体58a及び電気配線60さらに多層フレキシブルケーブル62等のインクに接する表面部分には絶縁・保護膜70が形成されている。
このように、本実施形態においては、従来、振動板に関して圧力室と同じ側にあった共通液室を、振動板の上側に持って行き、圧力室とは反対側に配置するようにしたため、従来必要であった共通液室から圧力室にインクを導くための配管等が不要となり、また共通液室のサイズを大きくすることができるためインクをきちんと供給することができ、ノズルの高密度化を達成することができるとともに、高密度化した場合においても高周波での駆動が可能となる。
また、各圧電素子の個別電極への配線を個別電極の電極パッドから垂直に立ち上げ共通液室を貫通するようにしたため、駆動信号を各圧電素子に供給するための配線を高密度化することが可能となった。
また、共通液室を振動板の上側に配置して、共通液室と圧力室とを直接インク供給口で繋ぐようにしたため、共通液室と圧力室とを流体的に直接繋ぐことができ、さらに共通液室を振動板の上側に配置したため、圧力室52からノズル51までのノズル流路51aの長さを従来よりも短くすることができ、高密度化した場合であっても、高粘度インク(例えば、20cp〜50cp程度)の吐出が可能であり、また吐出後の迅速なリフィルが可能な流路構造とすることができる。
次に、このような印字ヘッド50の製造方法について説明する。
図7に、柱状の電気配線(エレキ柱)60の製造プロセスを示し、図8に、圧電体(ピエゾ)と振動板の製造プロセスを示し、図9に、圧力室とIC基板を接合するプロセスを示す。
まず、図7に沿って柱状の電気配線60の製造プロセスについて説明する。
図7(a)に示すように、面方向が(110)面である結晶方位のシリコン基板100を用意する。このシリコン基板100にスルーホールを開け、その中に高さ0.5mmの柱状の電気配線(エレキ柱)60を形成する。そのため、シリコン基板100としては、厚さ0.5mmのものを用いる。
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板100の(図に示す)下面に、例えば、Au等の導電膜102をスパッタで付けて、さらにその下にSiO2 膜104をスパッタで付ける。ここで、導電膜102を付けておくのは、後の工程でメッキを成長させて柱状の電気配線60を形成する際、メッキ成長の種とするためと、圧電体(ピエゾ)をポーリングする際、ポーリングを一括で行うための電極とするためである。
次に、図7(c)に示すように、シリコン基板100の反対側(図の上面)にSiO2 膜106をスパッタで付けて、マスクを用いてフォトリソグラフィーにより電気配線60形成用のスルーホールとなる部分106aを形成する。このスルーホールとなる部分106aの径は約100μmである。
次に、図7(d)に示すように、(110)面の異方性エッチングあるいはフォトレジストを用いた反応性イオンエッチング(D−RIE)により、導電膜102の面までシリコン基板100をその厚み0.5mm(500μm)分を貫通させて、電気配線60形成用のスルーホール108を形成する。
次に、図7(e)に示すように、Auの導電膜102まで開いた電気配線60形成用のスルーホール108に、金電極である導電膜102を種として、Cu、Cr等により電気配線60の配線部分110をメッキで形成する。
最後に、図7(f)に示すように、上面のレジスト膜であるSiO2 膜106を剥離するとともに、上面がフラットになるようにその表面を研磨する。
次に図8に沿って、これに引き続いてPZT(ピエゾ)及び振動板を製造するプロセスを説明する。
まず、図8(a)に示すように、上で説明した電気配線製造プロセスで製造した、電気配線60となる部分の形成されたシリコン基板100上に、レジストを塗布して、これに対しフォトリソグラフィーで加工してマスク112を作り、次の工程で個別電極57を形成するために空いた部分112aを形成する。
次に、図8(b)に示すように、レジストマスク112で形成された個別電極57形成用の空いた部分112aに、白金(Pt)をスパッタで付けて、電気配線60と導通を図るための個別電極57を形成する。
次に、図8(c)に示すように、レジストマスク112の空いている部分112aに個別電極57が形成されフラットになった部分に対して、さらに圧電体(PZT)を形成するためのパターンでマスク114を付ける。
次に、図8(d)に示すように、圧電体形成用のマスク114を用いて、AD(エアロゾルデポジション)法あるいはスパッタなどにより、ピエゾ(PZT)を、例えば厚み10μm程度に成膜し、圧電体58aを形成する。
次に、図8(e)に示すように、不要になった圧電体形成用のマスク114を剥離し、圧電体58aの結晶化を図るために焼成を行う。このとき、PZT結晶性によっては、例えばプラズマ・レーザ等によるエネルギーアシストにより結晶化を行う。また、圧電体形成時には600℃〜800℃の熱処理が行われるため、シリコン基板100と電気配線60の熱膨張差や電気配線60の材料の耐熱性等を考慮し、熱膨張係数が近く、融点の高い金属を電気配線60として使用することが好ましい。
具体的には、Si(シリコン)の熱膨張係数は、2.8×10-6/℃であり、これに対して、Cr(クローム)は、4.9×10-6/℃、W(タングステン)は、4.5×10-6/℃、またFe、Ni系の合金であるインバーは、2×10-6/℃以下である。特に、熱膨張係数がシリコンになるべく近いもので、耐熱の高い金属で、メッキできるものという観点から、クロームCrが最も好ましい。
次に、図8(f)に示すように、マスク114を剥離して空いたスペースに、ポリイミド(PI)68をスピンコートあるいはスプレーコートによりコートする。そして、その表面を、例えばCMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)等によって研磨してフラットにする。
次に、図8(g)に示すように、フラットにされた表面に、例えばCr等を、厚み約15μmぐらいでスパッタで付けて振動板56を形成する。
次に、図8(h)に示すように、圧電体58aをまとめてポーリング(分極)するために、一番下のSiO2 膜104を剥離する。そして、加熱したシリコンオイルの中で、振動板56をグランドとして、各電気配線60により各個別電極57と導通しているAuの導電膜102に、例えば数10kV/mmの高圧の電界をかけることによって、圧電体(ピエゾ)58aを一括してポーリングする。
次に、図8(i)に示すように、不要になった一番下のAuの導電膜102を例えばCMP等によって研磨することによって剥離する。これにより、下側の面は、電気配線60となる部分とシリコン基板100の両方が露出した状態となる。
次に、図9に沿って、図8(i)の工程までで形成された基板に対し、従来法で形成した圧力室及びIC基板を接合して印字ヘッド50を製造するプロセスについて説明する。
まず、図9(a)に示すように、図8(i)の工程までで形成された基板に対して、ノズル穴51が形成されたノズルプレート64が接合された圧力室52を接合する。圧力室52を、図8(i)の工程までで形成された基板の振動板56に接合するようにする。このとき、電気配線60側の基板には、シリコン基板100がまだ残っており、これが接合時の加圧基板となり、これにより接合時の剛性を確保することができる。
また、振動板56に接合する圧力室52の隔壁側には供給路の一部となる部分が形成されている。また、ノズルプレート64の表面には、この後の様々な工程における処理からノズル面を保護するためにドライフィルム65が保護層として着けられている。
次に、図9(b)に示すように、電気配線60と共通液室55を作るために不要なシリコン基板100を除去するためのSiO2 膜等のマスク116を、下側の面に電気配線60の部分よりも少し大きめのパターンでスパッタにより形成する。
次に、図9(c)に示すように、下側から異方性エッチングで削って、白金の個別電極57が出るところまで貫通させるようにする。このとき、電気配線60(エレキ柱)の周囲にはシリコンを残すようにする。これは、シリコンを電気配線60の外周部に残してインクシール材として利用するためである。またこのようにして削られてできた開口部が最終的に共通液室55となる。なお、このようにシリコン基板100を削るのは、フォトレジストを用いた反応性イオンエッチング(D−RIE)によってもよい。
次に、図9(d)に示すように、共通液室55となる部分には、後にインクが充填されるため、個別電極57がむき出しとなっているとインクに接してしまうため、2〜3μmの厚さでポリイミド(PI)68をコートして絶縁するようにする。
次に、図9(e)に示すように、一番下につけたSiO2 膜のマスク116を剥離する。そして、図9(f)に示すように、下側からレーザ等によりポリイミド68の層及びCrの振動板56の層に穴を開けて、圧力室52と共通液室55とを連通させ、供給口53を形成する。これにより、共通液室55と圧力室52を直接繋ぐことができる。
最後に、図9(g)に示すように、この基板に対して、ICを形成した電装基板である多層フレキシブルケーブル62を接合する。この接合は、多層フレキシブルケーブル62の各電極接続部72と各電気配線60とを導電性フィラー入りの接着剤74で接合することによって行われる。このような接着剤としては、例えばエポキシに導電性粒子を混ぜた
ものがあり、導電性粒子としてはポリスチレン球の周りにNi−Au無電界メッキをしたものが知られている。またこの他、異方性導電膜(ACF)を用いて行ってもよい。これらはいずれも、加圧した方向にのみ電気的に接続し、それ以外の方向には絶縁性を有するように接合するものである。
この接合により、電気的な接合とともに、インクに対するシールも同時に行われる。これにより、電気配線60によって個別電極57と多層フレキシブルケーブル62との間に大きなインクプールとしての共通液室55が形成される。また、ノズルプレート64に着けられていた保護膜であるドライフィルム65を除去する。
このようにして、振動板56に関して圧力室52とは反対側に、圧電体58aおよび共通液室55が形成された印字ヘッド50が形成される。
以上述べたように、本実施形態における印字ヘッドの製造方法によれば、電気配線部と圧電素子及び振動板を一体で形成するようにしているため、電気配線(エレキ柱)と圧電体を同一基板に形成でき、位置ずれが生じることもない。
また、電気配線製造後、圧電体成膜プロセス時、もしくはその後で、振動板形成前に、圧電体熱処理工程を行うようにしているため、振動板に熱歪みが生じることがない。また、振動板と電気配線製造時に用いた配線部(Auの導電膜102)を用いてポーリング(分極)を行うようにしたため、別途ドライバを設けることなく、一括で圧電体のポーリング(分極)を行うことができる。
さらに、シリコンの異方性エッチングあるいは反応性イオンエッチング(D−RIE)で共通液室となる孔(開口部)を形成し、電気配線部をシリコンでコートするようにし、またシリコンを圧力室以下の接合基板として用いることで、圧電体の形成された基板に圧力室を接合する際の加圧が可能となる。
上述したように、シリコンで電気配線(エレキ柱)の外周をコートすることで、電気配線の強度、耐インク性及び絶縁性を大きくすることができる。
また、シリコン上にSiO2 等の表面処理を施すことで、さらに耐インク性及び絶縁性を向上させることができる。また、電気配線(エレキ柱)をシリコンでコートする以外にシリコンの柱(ダミーのシリコン柱)を設けることによって、全体的な強度を向上させることができる。
例えば、図10に平面図で示すように、2次元マトリクス状に配列された各圧力室52には、それぞれノズル51、インク供給口53及び圧電素子58(個別電極57)が形成され、個別電極57から引き出された電極パッド59上には柱状の電気配線(エレキ柱)60が設けられている。このとき、この電気配線60の他に、各圧力室52の間(圧力室の隔壁上)にシリコンの柱120を形成してヘッドの強度を高めるようにしてもよい。
さらに、シリコンを削って共通液室を形成する際、共通液室となる部分以外はシリコンを残すようにして、残されたシリコンの必ずしも柱状ではない壁状の中に複数の電気配線(エレキ柱)を形成するようにしてもよい。このようにすれば、さらに強度を向上させることができる。
以上、本発明の液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにこれを備えた画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。 印字ヘッドの他の例を示す平面図である。 本実施形態の印字ヘッドの一部を拡大して示す斜視透視図である。 本実施形態の印字ヘッドの一部を拡大して示す断面図である。 (a)〜(f)は、本実施形態における柱状の電気配線(エレキ柱)の製造プロセスを示す工程図である。 (a)〜(i)は、圧電体(ピエゾ)と振動板の製造プロセスを示す工程図である。 (a)〜(g)は、圧力室とIC基板を接合するプロセスを示す工程図である。 シリコンの柱を形成した様子を示す平面図である。
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58a…圧電体、58…圧電素子、59…電極パッド、60…電気配線(エレキ柱)、62…多層フレキシブルケーブル

Claims (10)

  1. 液体を吐出するノズルと連通する圧力室の一部を形成する振動板と、該振動板を変形する圧電体を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    シリコン基板の少なくとも一部を除去し、前記シリコン基板の除去された部分に、前記圧電体を駆動するための駆動信号を供給する電気配線を形成する電気配線形成工程と、
    前記電気配線形成工程で少なくとも除去されない前記シリコン基板の部分の上に前記圧電体を形成する圧電体形成工程と、
    前記圧電体に関し、前記シリコン基板とは反対側に前記振動板を形成する振動板形成工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、さらに、前記電気配線形成工程、前記圧電体形成工程及び前記振動板形成工程によって形成された前記電気配線、前記圧電体及び前記振動板を有する前記シリコン基板に対し、別途形成された圧力室とノズルを有するノズルプレートを接合する圧力室接合工程を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記電気配線形成工程において、前記電気配線は前記シリコン基板に垂直に形成されるとともに、さらに、前記圧力室接合工程の後、前記電気配線の外周部を被覆するシリコンを残して、前記電気配線間のシリコン基板を除去し、前記各圧力室に液体を供給する共通液室となる開口部を形成する共通液室形成工程を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記共通液室形成工程における前記シリコン基板の除去は、異方性エッチングまたはドライエッチングによって行うことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記圧電体形成工程を行った後、前記振動板形成工程の前に前記圧電体に対する熱処理工程を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記振動板形成工程を行った後、前記電気配線と前記振動板を用いて前記圧電体の分極を行う分極工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記電気配線形成工程における前記シリコン基板の除去は、異方性エッチングまたはドライエッチングによって行うとともに、前記電気配線はメッキで形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 液体を吐出するノズルと連通する圧力室の一部を形成する振動板上に配置された圧電体に関して前記圧力室とは反対側に形成された、前記圧力室に液体を供給する共通液室と、
    前記圧電体に垂直に、前記共通液室内に立設された、前記圧電体を駆動する駆動信号を供給する電気配線と、
    前記電気配線の外周部を被覆するシリコンのコーティングと、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 前記共通液室内に、前記電気配線とは別に、シリコンの柱が前記圧電体に対して垂直に立設されたことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 請求項8または9に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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