JP3221101B2 - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びその製造方法

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JP3221101B2 JP29610492A JP29610492A JP3221101B2 JP 3221101 B2 JP3221101 B2 JP 3221101B2 JP 29610492 A JP29610492 A JP 29610492A JP 29610492 A JP29610492 A JP 29610492A JP 3221101 B2 JP3221101 B2 JP 3221101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置に用いるインクジェット記録ヘッドの撥水処理に係わ
るインクジェット記録ヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドには、ガラ
ス、金属、樹脂等の材料が用いられている。
【0003】しかしながら、インクジェット記録ヘッド
において水性インクを用いる場合、インクが吐出するノ
ズル表面の撥水性が不十分であるとインクの液滴が付着
しやすくなり、そのため吐出するインクの直進性が損な
われ印字乱れ等の記録不良となることがある。
【0004】そこで、従来からインクが吐出する部分で
あるノズル表面に撥水処理を施すことが行われている。
【0005】一般的に撥水処理の方法としては湿式法に
よる撥水膜形成が用いられており、以下の様な方法があ
る。
【0006】・溶剤可溶性の含フッ素高分子溶液にディ
ッピングあるいは転写により塗布、乾燥させる方法 ・含フッ素組成物を吹き付け塗装、焼き付けする方法 ・含フッ素高分子と金属の共析メッキ溶液中で電解メッ
キにより成膜、焼き付けする方法 乾式法として、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素
を含む物質を蒸発源とするスパッタ法・蒸着法による撥
水膜形成、その他プラズマ重合法等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術による湿式法による撥水処理では、以下の様な
問題点がある。
【0008】・膜厚・膜質及びその分布の制御が難し
い、処理液の管理が難しい、処理液がノズル穴をふさい
でしまう等で、工程管理が複雑である。
【0009】・片面だけに処理を施そうとすると、マス
ク形成等の工程が必要となり工程数が増えてしまう。
【0010】・溶液を用いるため、溶液の回収・処理等
に大がかりな設備を必要とする。
【0011】・塗装あるいは共析メッキの場合には、3
00℃以上の焼き付け温度が必要であるため、金属に対
しては精密な寸法加工精度が損なわれ、樹脂に対しては
適用不可能である。
【0012】・電解メッキの場合には、ガラスおよび樹
脂は適用不可能である。一方、乾式法であるスパッタ法
は、スパッタすべき材料が限定されてしまう、得られる
撥水膜の密着強度が弱いため印字紙と擦れた際膜が剥離
してしまい耐久性の低いものしか得られないという問題
点がある。また、蒸着法は含フッ素高分子を蒸着源とし
て抵抗加熱あるいは電子ビーム加熱により直接加熱・蒸
発させると微細な膜構造とならず均一性が得られないと
いう問題点を有する。
【0013】そこで、本発明は前記問題点を解決するも
のであり、その目的とするところは、種々の材料に対し
て簡単な工程及び設備で、ノズル表面の撥水特性かつ耐
久性に優れた撥水膜を均一に形成し得る処理方法を提供
し、それにより高い印字品質を維持し得るインクジェッ
ト記録ヘッド及びその製造方法を提供するところにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、第一基板と第二基板とを貼り合せ、貼り合
せた前記第一基板と前記第二基板の端面にインク吐出ノ
ズルが形成されたインクジェット記録ヘッドの製造方法
において、前記第一基板と前記第二基板とを貼り合せて
インク流路及びインク吐出ノズルを形成し、しかる後、
前記インク吐出ノズルが形成されたインク吐出面に真空
蒸着法により撥水処理を施すことを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明のインクジェット記録ヘッドにおけるイ
ンクが吐出するノズル表面の撥水処理方法は、基本的に
真空蒸着法によるため大面積に均一な膜質及び膜厚の膜
を形成するには有効な方法である。さらに、多孔性基体
に含浸させる化合物の量を一定にしておけば常に一定の
膜厚を得ることができる。また、蒸着源から蒸発する分
子の直進性が高いため、ノズル表面を蒸発源に対向させ
ることで、マスクを設けることなくノズル表面のみに撥
水膜を容易に形成することが可能である。ノズル穴は数
10μmであり数nmの膜形成で、ノズル穴をふさいで
しまうトラブルも回避できる。
【0016】撥水特性に優れた膜を形成するために多孔
性の基体に含浸させる物質としては、アルキルポリフル
オロカーボン等のフッ素を含む高分子化合物、あるい
は、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘ
キシルメチルジクロロシラン、3−トリフルオロアセト
キシプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリ
フルオロプロピルトリクロロシラン等のフッ素を含む有
機ケイ素化合物を用いることができる。これらの物質
は、ノズル表面と密着性の高い膜を得るために、ノズル
表面と反応可能であることが望ましい。しかしながら、
密着強度が不足する場合には、撥水膜の形成に先だって
撥水膜の下層に反応可能な膜を形成することができる。
例えばフッ素を含む有機ケイ素化合物の下層には二酸化
ケイ素が有効である。その際、下層膜とノズル表面の密
着が不足する場合には、さらにその間に両者の密着を高
めるための層間膜を形成することができる。尚、いずれ
の層間膜もノズル表面及び撥水膜に合わせて変えること
が望ましい。また、この層は何層であっても構わない。
その際は、撥水膜を形成する真空槽と同一の槽内で連続
して形成することができる。
【0017】
【実施例】図9は、本実施例におけるインクジェット記
録ヘッドの一例を模式的に示した概略図である。1は圧
力室であり、PZT素子または発熱体等によってインク吐
出のための圧力を得る部分である。5はインク流路、2
はインク吐出ノズルである。図10は、図9をA方向から
見たインク吐出面の拡大概略図である。3は、第一基板
であり、インク流路用のパターン溝が形成されている。
6は第二基板であり、平板状の基板である。両者の貼り
合わせによってインク流路5は形成される。第一基板
3、第二基板6はガラス製である。
【0018】本実施例では、撥水処理は流路形成後の第
一基板3と第二基板6を貼り合わせをした後、即ち図9
の張り合わせ基板7の状態で行った。この状態で撥水処
理を施す際、従来の湿式法を用いると毛細管現象により
インク流路5に撥水用の溶液が吸い込まれてしまいイン
ク吐出ノズル2をふさいでしまうというトラブルが発生
する。
【0019】実際の処理手順を以下に述べる。
【0020】図6は、本実施例で用いた蒸着装置の概略
図である。31は真空槽。32は電子ビーム銃。33は
蒸着源となるタブレットを設置する円盤状のタブレット
設置台。蒸着すべき材料のタブレットはそれぞれタブレ
ット設置台33の円周に沿って設置される。この台は図
示しない回転手段に接続されており、蒸着すべき材料の
タブレットは電子ビームが照射される位置に回転移動さ
れる機構になっている。34は遮蔽板であり、電子ビー
ムの照射位置が開口している。
【0021】撥水膜の蒸着源としては、ヘプタデカフル
オロデシルテリメトキシシランを予め含浸された多孔性
の基体であるセラミックス製タブレット37を用意し、
セットした。処理すべき張り合わせ基板7はインクが吐
出する面が蒸着源に向くようにセットした。
【0022】その後、真空槽31内を排気口30より図
示しない排気手段を用いて10 5Torr以下まで排気
した。
【0023】排気後、予め真空槽31内にセットしてお
いたセラミックス製タブレット37に電子ビーム銃32
によって電子ビームを照射し、セラミックスが蒸発しな
い様に加熱し、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシ
シランだけを20秒間蒸発させ、インク吐出面に撥水膜
を形成した。
【0024】上記の処理で、水との接触角は110°と
高い撥水性が得られた。しかも、表面いずれの場所でも
110°であることより均質であることが確認された。
インク吐出ノズル2の穴づまりもないことを顕微鏡で確
認した。
【0025】処理後、処理した張り合わせ基板7を用い
てインクジェット記録ヘッドを組み立て、記録装置に装
着して印字試験を行ったところ、印字乱れ等のトラブル
は発生せず、良好な撥水処理がなされたことを確認し
た。次にシリコンゴムによる擦り試験をしたところ、1
0000回擦った後にも水との接触角は95°以上あ
り、撥水効果が維持でき、長期にわたって印字品質の高
いインクジェット記録ヘッドを達成できた。
【0026】尚、前記セラミックスの加熱手段は、抵抗
加熱等による方法でもよく本実施例に限定されるもので
はない。また、セラミックス製タブレットに含浸させる
物質も本実施例に限定されるものではない。
【0027】以下に参考例を示す。 (参考例1) 図9は、第1の参考例におけるインクジェット記録ヘッ
ドの一例を模式的に示した概略図である。該インクジェ
ット記録ヘッドは、実施例と同様のものである。本参考
例では、撥水処理を第一基板3と第二基板6との貼り合
わせ前に行った。
【0028】実際の手順を以下に述べる。
【0029】蒸着手段の構成は実施例と同様である。
【0030】まず、真空槽31内を排気口30より図示
しない排気手段を用いて10 5Torr以下まで排気し
た。排気後、処理工程に移る。
【0031】排気後、予め真空槽31内にセットしてお
いたセラミックス製タブレット37に電子ビーム銃32
によって電子ビームを照射し、セラミックスが蒸発しな
い様に加熱し、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシ
シランだけを20秒間蒸発させ、撥水処理を行った。
(b)は、処理後の第一基板3のインク吐出ノズル2近
傍の拡大断面図を示している。図示されるようにインク
吐出面には撥水膜10が形成された。
【0032】同時に、第二基板6のインク吐出面に対し
ても同様の処理を行った。図8は、本参考例による第二
基板6の撥水処理工程を模式的に示した断面図である。
(a)は、処理前の第二基板6のインク吐出面近傍の断
面図である。(b)は、処理後の第二基板6のインク吐
出面近傍の拡大断面図を示している。図示されるように
インク吐出面には撥水膜10が形成された。
【0033】(参考例2) 図4は、第2の参考例におけるインクジェット記録ヘッ
ドの一例を模式的に示した断面図である。1は圧力室で
あり、PZT素子または発熱体によってインク吐出のため
の圧力を得る部分である。2はインク吐出ノズルであ
る。3は第一基板であり、インク流路用のパターン溝が
形成されている。4はノズルプレートであり、両者の貼
り合わせによってインク流路は形成される。ノズルプレ
ート4は、ステンレス製である。
【0034】本参考例では、撥水処理はノズルプレート
4と第一基板3とを貼り合わせる前に行った。
【0035】実際の処理手順を以下に述べる。
【0036】図1は、本参考例で用いた蒸着装置の模式
図である。蒸着手段の構成は実施例及び参考例1と同様
である。
【0037】37は撥水膜の蒸発源となるヘプタデカフ
ルオロデシルトリメトキシシランを予め含浸させた多孔
性の基体であるセラミックス製タブレット。35はクロ
ムのタブレット。36は二酸化ケイ素のタブレット。被
処理基板であるノズルプレート4はインクが吐出する面
が蒸着源に向くようにセットした。
【0038】まず、真空槽31内を排気口30より図示
しない排気手段を用いて10 5Torr以下まで排気し
た。排気後、処理工程に移る。
【0039】図3は、本参考例によるノズルプレート4
表面の撥水処理工程を模式的に示した断面図である。
(a)は、処理前のノズルプレート4のインク吐出ノズ
ル2近傍の断面図である。
【0040】まず予め真空槽31内にセットしておいた
クロムのタブレット35を電子ビームの照射位置に移動
させ、電子ビーム銃32によって電子ビームを照射し、
加熱、蒸発させた。(b)は、ノズルプレート4上のク
ロム膜11を50nm形成した状態を示している。続い
て、二酸化ケイ素のタブレット36を電子ビームの照射
位置に移動させ、前記と同様、蒸発させる。(c)は、
前記クロム膜11上に二酸化ケイ素膜12を50nm形成
した状態を示している。次に、セラミックス製タブレッ
ト37を電子ビームの照射位置に移動させ、電子ビーム
を照射してセラミックスが蒸発しない様に加熱し、ヘプ
タデカフルオロデシルトリメトキシシランだけを20秒
間蒸発させた。(d)は、前記二酸化ケイ素膜12上に
撥水膜10を形成した状態を示している。
【0041】(参考例3) 第3の参考例におけるインクジェット記録ヘッドは、参
考例1と同様の構造のものである。ノズルプレート4は
ステンレス製、第一基板3はポリエーテルスルフォン樹
脂製である。
【0042】本参考例では、撥水処理はノズルプレート
4と第一基板3とを貼り合わせた後に行った。
【0043】実際の処理手順を以下で述べる。
【0044】図2は、本参考例で用いた蒸着装置の模式
図である。蒸着手段は、実施例、参考例1と同様の構成
をとる。
【0045】37は撥水膜の蒸発源となるヘプタデカフ
ルオロデシルトリメトキシシランを予め含浸させた多孔
性の基体であるセラミックス製タブレット。35はクロ
ムのタブレット。36は二酸化ケイ素のタブレット。処
理すべきノズルプレート4と第一基板3とを張り合わせ
た張り合わせ基板7は、インクが吐出する面が蒸着源に
向くようにセットした。
【0046】まず、真空槽31内を排気口30より図示
しない排気手段を用いて10 5Torr以下まで排気し
た。排気後、処理工程に移る。
【0047】図3は、本参考例によるノズルプレート4
表面の撥水処理工程を模式的に示した断面図である。態
様は参考例1と同様である。(a)は、処理前の張り合
わせ基板7のノズルプレート4に形成されたインク吐出
ノズル2近傍の断面図である。
【0048】以上インクジェット記録ヘッドの撥水方法
について実施例、参考例を挙げて説明してきたが、その
材質や構造は種々考えられ本実施例に限定されるもので
はないことを記しておく。また、本処理方法で処理でき
る貼り合わせ基板の枚数は、1つに限定されるものでは
なく一度に大量の処理が可能であり、優れた量産性を得
ることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録ヘ
ッドのノズル表面の撥水処理に際して、予め基板どうし
を貼り合わせてヘッドを形成し、しかる後に撥水処理を
行うため、インク流路内に不要な撥水処理を行うことが
なくなり、また、マスキング等の工程を経ることなく、
処理が必要とされるインク吐出ノズルを含むノズル表面
だけに容易に撥水膜を形成することができる。
【0050】本発明の構成をとることで、非常に簡単な
工程で膜圧の制御された処理が可能となる。
【0051】従って、工程管理が容易になる。
【0052】大面積に膜厚・膜質の均一な処理が可能で
あり、一度に大量のヘッド用ノズル表面を処理すること
ができる。
【0053】溶剤を用いないため、溶剤を回収・処理す
る設備を必要としない。
【0054】以上の効果により、高歩留り及びコスト低
減が図られる。
【0055】尚、前記セラミックスの加熱手段は、抵抗
加熱等による方法でもよく本実施例に限定されるもので
はない。また、セラミックス製タブレットに含浸させる
物質も本実施例に限定されるものではない。
【0056】以上インクジェット記録ヘッドの撥水方法
について実施例を挙げて説明してきたが、その材質や構
造は種々考えられ本実施例に限定されるものではないこ
とを記しておく。また、本処理方法で処理できるノズル
プレートの枚数は、1枚に限定されるものではなく一度
に大量の処理が可能であり、優れた量産性を得ることが
できる。
【0057】(実施例4)本実施例におけるインクジェ
ット記録ヘッドは実施例3と同様の構造のものである。
第一基板3及び第二基板6はガラス製である。
【0058】本実施例では、撥水処理は流路形成後の第
一基板3と第二基板6を張り合わせした後、即ち図9の
張り合わせ基板7の状態で行った。この状態で撥水処理
を施す際、従来の湿式法を用いると毛細管現象によりイ
ンク流路5に撥水用の溶液が吸い込まれてしまいインク
吐出ノズル2をふさいでしまうというトラブルが発生す
る。
【0059】実際の処理手順を以下に述べる。
【0060】図6は、本実施例で用いた蒸着装置の概略
図である。31は真空槽。32は電子ビーム銃。33は
蒸着源となるタブレットを設置する円盤状のタブレット
設置台。蒸着すべき材料のタブレットはそれぞれタブレ
ット設置台33の円周に沿って設置される。この台は図
示しない回転手段に接続されており、蒸着すべき材料の
タブレットは電子ビームが照射される位置に回転移動さ
れる機構になっている。34は遮蔽板であり、電子ビー
ムの照射位置が開口している。
【0061】撥水膜の蒸発源としては、ヘプタデカフル
オロデシルトリメトキシシランを予め含浸させた多孔性
の基体であるセラミックス製タブレット37を用意し、
セットした。処理すべき張り合わせ基板7はインクが吐
出する面が蒸着源に向くようにセットした。
【0062】その後、真空槽31内を排気口30より図
示しない排気手段を用いて10-5Torr以下まで排気
した。
【0063】排気後、予め真空槽31内にセットしてお
いたセラミックス製タブレット37に電子ビーム銃32
によって電子ビームを照射し、セラミックスが蒸発しな
い様に加熱し、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシ
シランだけを20秒間蒸発させ、インク吐出面に撥水膜
を形成した。
【0064】上記の処理で、水との接触角は110゜と
高い撥水性が得られた。しかも、表面いずれの場所でも
110°であることより均質であることが確認された。
インク吐出ノズル2の穴づまりもないことを顕微鏡で確
認した。
【0065】処理後、処理した張り合わせ基板7を用い
てインクジェット記録ヘッドを組み立て、記録装置に装
着して印字試験を行ったところ、印字乱れ等のトラブル
は発生せず、良好な撥水処理がなされたことを確認し
た。次にシリコンゴムによる擦り試験をしたところ、1
0000回擦った後にも水との接触角は95°以上あ
り、撥水効果が維持でき、長期にわたって印字品質の高
いインクジェット記録ヘッドを達成できた。
【0066】尚、前記セラミックスの加熱手段は、抵抗
加熱等による方法でもよく本実施例に限定されるもので
はない。また、セラミックス製タブレットに含浸させる
物質も本実施例に限定されるものではない。
【0067】以上インクジェット記録ヘッドの撥水方法
について実施例を挙げて説明してきたが、その材質や構
造は種々考えられ本実施例に限定されるものではないこ
とを記しておく。また、本処理方法で処理できるノズル
プレートの枚数は、1枚に限定されるものではなく一度
に大量の処理が可能であり、優れた量産性を得ることが
できる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録ヘ
ッドのノズル表面の撥水処理に際して、撥水材料を真空
槽内で蒸発させて撥水膜を形成するため、 ・湿式法で発生するインク吐出ノズルの穴づまりを回避
することができる。
【0069】・マスキング等の工程を経ることなく、処
理が必要とされるインクが吐出するノズル表面だけに容
易に撥水膜を形成することができる。
【0070】・非常に簡単な工程で膜厚の制御された処
理が可能となる。
【0071】・従って、工程管理が 容易になる。
【0072】・大面積に膜厚・膜質の均一な処理が可能
であり、一度に大量のヘッド用ノズル表面を処理するこ
とができる。
【0073】・ノズル表面と撥水膜との間に密着性向上
のため層間膜が必要な場合、これらの膜を同一真空槽内
で連続して形成することができる。
【0074】・溶剤を用いないため、溶剤を回収・処理
する設備を必要としない。
【0075】以上の効果により、高歩留り及びコスト低
減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において用いた蒸着装置の模式図。
【図2】実施例2において用いた蒸着装置の模式図。
【図3】実施例1、実施例2におけるノズルプレート表
面の撥水処理工程を模式的に示した断面図。
【図4】実施例1、実施例2におけるインクジェット記
録ヘッドの一例を模式的に示す断面図。
【図5】実施例3において用いた蒸着装置の模式図。
【図6】実施例4において用いた蒸着装置の模式図。
【図7】実施例3における第一基板の撥水処理工程を模
式的に示した断面図。
【図8】実施例3における第二基板の撥水処理工程を模
式的に示した断面図。
【図9】実施例3、実施例4におけるインクジェット記
録ヘッドの一例を模式的に示す概略図。
【図10】図9をA方向から見たインク吐出面の拡大概
略図。
【符号の説明】
1 圧力室 2 インク吐出ノズル 3 第一基板 4 ノズルプレート 5 インク流路 6 第二基板 7 張り合わせ基板 10 撥水膜 11 クロム膜 12 二酸化ケイ素膜 30 排気口 31 真空槽 32 電子ビーム銃 33 タブレット設置台 34 遮蔽板 35 クロムのタブレット 36 二酸化ケイ素のタブレット 37 セラミックス製タブレット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/135 B05B 1/14 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一基板と第二基板とを貼り合せ、 貼り合せた前記第一基板と前記第二基板の端面にインク
    吐出ノズルが形成されたインクジェット記録ヘッドの製
    造方法において、 前記第一基板と前記第二基板とを貼り合せてインク流路
    及びインク吐出ノズルを形成し、 しかる後、前記インク吐出ノズルが形成されたインク吐
    出面に真空蒸着法により撥水処理を施すことを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 フッ素を含む化合物を予め含浸させた多孔性の基体を真
    空槽内で加熱し、前記化合物を蒸発させて前記インク吐
    出面に撥水処理を施すことを特徴とするインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のインクジェット
    記録ヘッドの製造方法により製造されたことを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記第一基板及び前記
    第二基板の材質がガラスであることを特徴とするインク
    ジェット記録ヘッド。
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