JPH09136416A - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びその製造方法

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JPH09136416A
JPH09136416A JP29676395A JP29676395A JPH09136416A JP H09136416 A JPH09136416 A JP H09136416A JP 29676395 A JP29676395 A JP 29676395A JP 29676395 A JP29676395 A JP 29676395A JP H09136416 A JPH09136416 A JP H09136416A
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ink
recording head
jet recording
ink jet
water
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JP29676395A
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Osamu Watanabe
修 渡辺
Hirobumi Kama
博文 釜
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録装置に用いるインクジェ
ット記録ヘッドにおいて、撥水特性および耐久性に優れ
た撥水層を均一に形成し得る処理方法を提供し、それに
より、オリフィス近傍のインクの付着を防ぎ、長期的に
良好な印字品質を維持し得るインクジェット記録ヘッド
及びその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 ノズルプレート3の表面に撥水処理を施
すに際して、フッ素を含む化合物を予め繊維状の導電性
物質の塊、たとえばスチールウール18に含浸付着さ
せ、それを真空槽14内で加熱し、フッ素を含む化合物
を蒸着させてノズルプレート3の表面に50〜300Å
の膜厚になるように撥水層10を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に用いるインクジェット記録ヘッド及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンタには、印字の高速化、カ
ラー化、低騒音化の要求が高まってきている。その中で
インクジェットプリンタは、ノンインパクト記録方式で
あるため記録時の静粛性が図られ、インク滴を飛翔させ
て用紙上に画像を形成するため高速記録が可能であり、
また、特別な定着処理なしに普通紙に記録できるために
用途分野が広範囲である。更に、三原色のインクを別々
に飛翔させることによりカラー化も容易である。このよ
うな機能的特徴によって、インクジェットプリンタは、
近年、家庭用、オフィス用コンピュータの出力用プリン
タとして広く利用されるようになってきた。
【0003】インクジェット記録方式の印字機構は、大
別して、連続方式、及び、記録信号に応じてインクを飛
翔させるオンデマンド方式があり、現在オンデマンド方
式が主流である。
【0004】オンデマンド方式は、例えば米国特許第3
4747120号明細書に開示されており、記録ヘッド
に付設されているピエゾ素子に、電気的な記録信号を付
加し、これをピエゾ素子の機械的振動に変え、この機械
的振動によってノズル孔からインク小滴を吐出させて記
録紙に付着させることで記録を行う。すなわち、記録信
号に対応したインク吐出を行うものである。オンデマン
ド方式は、連続方式のように吐出飛翔する小滴のうち、
画像の記録に要さなかった小滴を回収することが不要で
あるため、シンプルな構造が可能である。一方、記録ヘ
ッドの加工の困難さや、ピエゾ素子の小型化が極めて困
難でマルチノズル化が難しく、ピエゾ素子の機械振動と
いう機械的エネルギーで小滴の飛翔を行うので、高速記
録に向かない等の欠点を有する。
【0005】更に、オンデマンド方式の他の例として、
インクを加熱してインク中にバブルを発生させ、その体
積変化でインクを飛翔させる、いわゆるバブルジェット
方式がある。例えば、米国特許第3179042号明細
書には、熱エネルギーを利用することが記載されてお
り、この方式は、機械的振動エネルギーを利用する方式
と比較してエネルギー変換効率が高く、マルチノズル化
が容易であるといった特徴がある。
【0006】図4は、交流電流通電による高周波加熱で
インクを沸騰させインクを吐出するタイプの従来のイン
クジェット記録ヘッドの要部断面図である。
【0007】図4において、1は導電性インク、2は導
電性インク1の噴射口である吐出口、3は吐出口2を複
数有するノズルプレート、4は基板、5a,5bは導電
性インク1に接するように配置された一対の対向電極、
6は絶縁部材、7は導電性インク1で満たされたインク
沸騰室、8は一対の電極5a,5bに電圧を印加する際
の駆動制御装置を示す。
【0008】以上のように構成されたインクジェットプ
リンタについてその動作原理を以下に説明する。
【0009】駆動制御装置8をONにすることにより、
一対の対向電極5a,5b間に高周波電圧がかけられ、
インク中に存在する電解質が振動運動を行いジュール熱
の発生と共にインクの沸騰に到る。このインクの沸騰に
より気泡が発生し、体積が急激に膨張してインク液滴を
吐出口2から押し出す。押し出されたインク液滴は記録
用紙9に飛翔して1ドットの印字を形成する。基材4上
には複数のインク滴を吐出することが可能となるように
対向電極5a,5b、吐出口2、インク沸騰室7が複数
設けられ、駆動制御装置8により複数の吐出口2より選
択的にインク液滴が吐出され、記録用紙9に所望の文字
を形成することができる。この後、駆動制御装置8をO
FFにすることにより、一対の対向電極5a,5b間の
高周波電圧は除かれてインクは急激に冷却され、気泡は
消滅して初期の状態に戻る。
【0010】このようなインクジェットプリンタで用い
るインクジェット記録ヘッドにおいて、インクが吐出す
るノズル表面の撥水性が不十分であるとインク液滴がノ
ズル表面に付着し易くなり、そのため吐出するインクの
直進性が損なわれ、印字乱れ等の記録不良となることが
ある。
【0011】そこで、従来からインクが吐出する部分で
あるノズル表面に撥水処理を施すことが行われている。
一般に撥水処理の方法としては、湿式法、乾式法による
撥水層形成が用いられており、それぞれ以下のような方
法がある。
【0012】1.溶剤可溶性のフッ素高分子溶液にディ
ッピングあるいは転写により塗布乾燥させる方法。
【0013】2.含フッ素組成物を吹き付け塗装、焼き
付けする方法。 3.ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素を含む物質
を蒸発源とするスパッタ法・蒸着法による撥水層形成、
その他プラズマ重合法等。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術による湿式法の撥水処理では、以下のような問
題点がある。
【0015】まず、膜厚・膜質およびその分布の制御が
難しく、処理液がノズル孔を塞いだり、また、ノズルの
片面だけに処理を施す場合、マスク形成等の工程が必要
となり工程数が増える。また、溶液を用いるため、溶液
の回収・処理に大がかりな設備を必要とする。
【0016】一方、乾式による撥水処理法であるスパッ
タ法では、スパッタすべき材料が限定される、得られる
撥水層の密着強度が弱いため、印字紙と擦れた際に層が
剥離し、耐久性の低いものしか得られない等の問題を有
していた。
【0017】この対策として、例えば、特開平6−14
3586号公報には含フッ素高分子を蒸着源とした蒸着
法が提案されている。同公報に提案された蒸着方法は、
フッ素を含む化合物を予め含浸させた多孔性の基体を真
空槽内で加熱し、この化合物を蒸発させてノズル表面に
撥水層を形成する。
【0018】しかしながら、このような多孔性の基体に
フッ素化合物を含浸させ、加熱・蒸発させる方法では、
次のような問題点を有する。
【0019】まず、真空槽内の加熱方法としては、不純
物の混入等を防止する目的から、電子銃加熱を用いるの
が好ましいが、多孔性の基体、例えばセラミックの表層
には、電子ビームをはじく性能を有するフッ素系化合物
が高密度に存在するため、低出力のビームでは全くセラ
ミックが加熱されず、一方、高出力のビームでは、セラ
ミックの成分の一部がフッ素系化合物と同時に蒸着され
てしまい、均一な撥水性が得られない。
【0020】また、多孔性の基体、例えばセラミックに
フッ素系化合物を含浸・保持する量は、このセラミック
の空孔率及び空孔の大きさに大きく左右されるが、その
製造方法において空孔率及び空孔の大きさを均一に制御
することは極めて困難であり、その結果、使用するセラ
ミック毎にフッ素系化合物含有量がばらつき、均一な撥
水被膜を安定して形成できない。
【0021】そこで、本発明は前記問題点を解決するも
のであり、その目的とするところは、ノズル表面に撥水
性かつ耐久性に優れた撥水層を均一に形成し、高い印字
品質を維持し得る手段を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、インクをノズルから吐出するプリンタに装
備するプリンタ用ノズルの表面に撥水処理を施すに際し
て、フッ素を含む化合物を予め繊維状の導電性物質の塊
に含浸付着させ、それを真空槽内で加熱し、該化合物を
蒸着させてノズル表面に50〜300Åの膜厚になるよ
うに撥水層を形成することによってなされる。
【0023】また、インクが吐出するノズル表面の撥水
層の下に酸化シリコンの無機系被膜の下地膜を形成する
ことによってなされる。
【0024】これにより、蒸着させるフッソ化合物の量
の管理が容易となり、ノズル表面に撥水特性かつ耐久性
に優れた撥水層を均一に形成することができ、ノズル表
面へのインクの付着を防ぎ、長期的に良好な印字品質を
維持し得るインクジェット記録ヘッドが得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、インクジェット記録装置に用いるインクジェット記
録ヘッドであって、インクが吐出するノズル表面に50
〜300Åの膜厚の撥水層を形成したものであり、従来
のように、インクの吐出するノズル孔を塞いでしまう問
題もなく、インク吐出口のノズル表面がメニスカス面に
なるという作用を有する。
【0026】請求項2、5に記載の発明は、インクジェ
ット記録装置に用いるインクジェット記録ヘッドであっ
て、インクが吐出するノズル表面の撥水層の下に少なく
とも一層の酸化シリコンの無機系被膜を形成したもので
あり、ノズル表面と撥水層の密着性が向上するという作
用を有する。
【0027】請求項3、6、7に記載の発明は、インク
ジェット記録装置に用いるインクジェット記録ヘッドの
製造方法であって、インクジェット記録ヘッドのインク
が吐出するノズル表面に撥水処理を施すに際して、フッ
素を含む化合物を予め含浸付着させた繊維状の導電性物
質の塊、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム又は銅
又はカーボン、特にスチールウールを用い、これを真空
槽内で加熱してノズル表面に撥水層を形成する製造方法
であり、均一な膜質及び膜厚の層を形成するには有効な
方法である。さらに、繊維状の導電性物質の塊に含浸さ
せる化合物の量を一定にしておくことによって、常に一
定の膜厚を得ることができるという作用を有する。
【0028】以下、本発明の一実施の形態について図面
を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態
におけるインクジェット記録ヘッドの要部断面図であ
る。図1において、1は導電性インク、2は導電性イン
ク1の噴射口である吐出口、3は吐出口2を複数有する
ノズルプレート、4は基板、5a,5bは同一の形状を
有し、導電性インク1に接するように配置された一対の
対向電極、6は基板4と対向電極5a,5b間に設けら
れた絶縁部材、7はノズルプレート3と基板4及び絶縁
部材6によって構成されたインク沸騰室、8は対向電極
5a,5bに電圧を印加する駆動制御装置、9は印字が
行われる記録用紙である。また、10はフッ素化合物か
らなる撥水層、11は撥水層10の下に設けられた下地
膜をそれぞれ示す。
【0029】図2は、複数の吐出口が同一基板上に形成
されたインク吐出装置の要部拡大斜視図である。2は吐
出口、3は複数の吐出口2が形成されたノズルプレー
ト、5a及び5bは一対の対向電極、7はインク沸騰室
である。
【0030】まず、吐出口2からインク液滴を噴射する
動作について説明する。図1及び図2に示すように、導
電性インク1が充満したインク沸騰室7内部において、
基板4に設けられた一対の対向電極5a,5bに、駆動
制御装置8から電圧(本例では10〜30V)が印加さ
れると、ある抵抗率(本例では20〜50Ω・cm)を
有する導電性インク1を介して、対向電極5a,5b間
に電気力線が発生する。この電気力線に沿って電流が流
れ、I2 ×R(I:電流値、R:導電性インク1の抵抗
値)で表される電流のジュール損失によって、電気力線
の電流集中部における導電性インク1が自己発熱して1
0〜20μs後についには沸騰が始まり、バブル12が
発生する。発生したバブル12が膨張することによっ
て、インク沸騰室7内の導電性インク1の圧力が急激に
高まり、この圧力を解放しようとする力によって導電性
インク1は、吐出口2からインク液滴13となって噴射
され、記録用紙9に付着してドットを形成する。実際に
は駆動制御装置8により複数の吐出口2より選択的にイ
ンク液滴13が吐出され、記録用紙9に所望の文字を形
成できるようにしている。
【0031】本発明の一実施の形態においては、撥水処
理はノズルプレート3と基板4を貼り合わせる前に行
い、ノズルプレート3の材料としては、ポリイミド、ア
クリル、ポリエチレンテレフタレートシート等のポリマ
ーを用いた。
【0032】次いで、ノズルプレート3に撥水層10を
形成する処理手順を述べる。図3(a),(b)は本発
明の一実施の形態による製造方法で用いた蒸着装置の模
式図である。14は真空槽、15は電子ビーム銃、16
は蒸着源となるタブレットを設置する円盤状のタブレッ
ト設置ハースである。蒸着すべき材料のタブレットはそ
れぞれタブレット設置ハース16の円周に沿って設置さ
れる。蒸着すべき材料のタブレット設置ハース16は、
電子ビームが照射される位置に回転移動される機構にな
っている。17は遮蔽板であり、電子ビームの照射位置
が開口している。18は撥水層の蒸着源となるフッ素含
有シリコン化合物((株)オプトロン製、商品名“OF
−110”)を予め含浸させた繊維状の導電性物質の塊
としてのスチールウール、19は酸化ケイ素のタブレッ
トである。被処理基板であるノズルプレート3は、イン
クが吐出する面が蒸着源に向くようにセットした。
【0033】図3(a)に示すような日電アネルバ製E
VC−500A蒸着装置を用い、排気装置(図示せず)
を用いて真空槽14内を排気口20より10-5Torr
以下まで排気し、所定の真空度に到達したら、その後、
処理工程に移る。まず、予め真空槽14内にセットして
おいた酸化ケイ素のタブレット19を、電子ビームの照
射位置に移動させ、電子ビーム銃15から電子ビームを
照射して、加熱・蒸着させ、ノズルプレート3の表面に
酸化ケイ素薄膜を500〜2000Å程度形成する。
【0034】次に、図3(b)に示すように、フッ素含
有シリコン化合物を予め含浸させたスチールウール18
の入ったハースを電子ビームの照射位置に移動させ、電
子ビームを照射して、フッ素含有シリコン化合物だけを
酸化ケイ素薄膜が形成されたノズルプレート3上に50
〜300Å程度の膜厚になるように形成する。ここで、
撥水層10の厚みが50Å未満になると撥水効果が不十
分になり、300Åより厚くなると吐出口内壁の一部が
撥水性をもつことになり、インクのメニスカス面がノズ
ル表面より下がった位置になる。これによって、インク
を吐出するための余分なエネルギーが必要となり、結果
的には印字品質が悪化する。
【0035】ここで、本発明の発一実施の形態では繊維
状の導電性物質の塊として、スチールウール18を用い
たが、導電性を有し、かつ撥水層形成物質を付着保持で
きる物であれば、特にその材料は限定されないが、比較
的安価で加工がしやすく、かつ耐熱性、熱伝導性の高
い、鉄、ステンレス、アルミニウム、またはカーボンを
用いるのが望ましい。特に市販のスチールウールは安価
で取り扱いも容易であり好適であるため、好適に使用可
能である。また、繊維状であれば、その形状、線径も特
に限定されるものではなく、加工条件、使用目的に応じ
て選択できるものであるが、熱伝導性、撥水層形成物質
の付着保持性から、線径が0.025〜0.05mmの
ものが望ましい。
【0036】また、本発明の一実施の形態ではフッ素含
有シリコン化合物である商品名“OF−110”を用い
たが、撥水層形成物質としては、撥水性の機能を付与し
得るものであれば特に限定されない。好ましいものとし
ては、特開昭62−178903号公報に記載されてい
る、ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシメチール−
3、3、3−トリフルオロプロピルシラン、3、3、3
−トリフルオロプロピルシラン等のアルコキシシラン化
合物、特開昭62−296002号公報に記載されてい
る、以下に例示するような、3、3、3−トリフルオロ
プロピルトリアミノシラン、2−(パーフルオロプロピ
ル)エチルトリアミノシラン、2−(パーフルオロブチ
ル)エチルトリアミノシラン、2−(パーフルオロヘキ
シル)エチルトリアミノシラン、2−(パーフルオロオ
クチル)エチルトリアミノシラン等のフッ素含有アミノ
シラン化合物である。上記の化合物は、単独ではもちろ
んのこと、2種以上を混合して用いることもできる。
【0037】また、本発明の一実施の形態では撥水層1
0の形成に先だって下地膜として酸化ケイ素薄膜を形成
した。その理由として、ノズルプレート3の材料である
ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等
のポリマーとフッ素含有シリコン化合物は密着力が弱
く、下地膜として酸化ケイ素薄膜を形成することによ
り、ポリマーとフッ素含有シリコン化合物のSiとが、
Si−O−Siの共有結合を形成し、撥水層の強い密着
性が得られる。
【0038】ここで、本発明の一実施の形態で得られた
撥水層10付きのインクジェットヘッドノズル表面と従
来例のノズル表面について、以下の方法で撥水性、膜密
着性及び耐磨耗性を評価し、比較を行った。 (1)撥水性:協和化学(株)製 接触角計(CA−S
150)を用いて蒸留水による液滴法で測定した接触角
をもって評価した。 (2)膜密着性:粘度2cp(25°C)、表面張力5
0dyn/cmのインク中で超音波洗浄30分後の蒸留
水による接触角測定で評価した。 (3)耐磨耗性:a)磨耗試験機UMGS−7を用い
て、摺動速度3000mm/分、ラバー硬度40°及び
80°で摺動回数30000回後の蒸留水による接触角
及び傷、汚れ等の表面状態で評価した。
【0039】b)撥水層表面を布で1kgの荷重にて5
00回磨耗試験後、傷、汚れ等の表面状態を観察した。
【0040】判定基準を以下に示す。 ○:無傷である。
【0041】 △:1〜10本の細かい傷がつく。 ×:無数の傷がつく。もしくは撥水層が剥離する。
【0042】評価結果は、(表1)に示す通り本実施の
形態のものは、従来例と比較して、十分な撥水性を示す
接触角となっており、耐磨耗試験後も若干の接触角低下
が見られたものの実用レベルでは問題ない撥水効果を維
持している。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】以上の本発明の一実施の形態の説明から
明らかなように、本発明によれば、インクジェット記録
ヘッドのノズル表面の撥水処理に際して、繊維状の導電
性物質の塊に、撥水層形成物質を含浸させたものを、該
撥水層形成物質の蒸着源とし、真空槽内で蒸発させて撥
水層を形成するため、大面積に膜厚・膜質の均一な処理
が可能であり、しかも、一度に大量のインクジェット記
録ヘッド用ノズル表面を処理することができる。
【0045】また、マスクを設けることなく、インクが
吐出するノズル表面のみに容易に撥水層を形成すること
が可能であり、インク吐出ノズルの撥水層による孔づま
りを回避することができる。
【0046】さらに、繊維状の導電性物質の塊に、撥水
層形成物質を含浸させたものを蒸着源としているので、
真空蒸着装置で最も一般的に用いられている電子銃を加
熱源とした場合に、従来の多孔性の基体では困難であっ
た、低出力でかつ安定的に有効成分のみを高純度に蒸発
させることが容易に実現でき、極めて安価なランニング
コストで高品質の撥水層が形成可能になる。
【0047】これによって、オリフィス近傍へのインク
の付着を防ぎ、長期的に良好な印字品質を維持し得るイ
ンクジェット記録ヘッドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
記録ヘッドの要部断面図
【図2】インク吐出装置の要部拡大斜視図
【図3】本発明の一実施の形態による製造方法で用いた
蒸着装置の模式図
【図4】従来のインクジェット記録ヘッドの要部断面図
【符号の説明】
1 導電性インク 2 吐出口 3 ノズルプレート 4 基板 5a,5b 対向電極 6 絶縁部材 7 インク沸騰室 8 駆動制御装置 9 記録用紙 10 撥水層 11 下地膜 12 バブル 13 インク液滴 14 真空槽 15 電子ビーム銃 16 タブレット設置ハース 17 遮蔽板 18 スチールウール 19 酸化ケイ素のタブレット 20 排気口

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクジェット記録装置に用いるインクジ
    ェット記録ヘッドであって、インクが吐出するノズル表
    面に50〜300Åの膜厚の撥水層が形成されているこ
    とを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】前記撥水層の下に、少なくとも一層の下地
    膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】インクジェット記録装置に用いるインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法であって、前記インクジェ
    ット記録ヘッドのインクが吐出するノズル表面に撥水処
    理を施すに際して、フッ素を含む化合物を予め繊維状の
    導電性物質の塊に含浸付着させ、それを真空槽内で加熱
    し、該化合物を蒸発させてノズル表面に撥水層を形成す
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】インクを小滴吐出、飛翔させるための吐出
    エネルギー発生手段は、一対の電極間に交流電圧を印加
    して電極に直接あるいは間接的に接するインクを沸騰さ
    せる通電方式を用いた請求項1及び2に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】前記撥水層下に形成された下地膜が酸化シ
    リコンの無機系被膜であることを特徴とする請求項2記
    載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】前記導電性物質が、鉄、ステンレス、アル
    ミニウム、銅又はカーボンのいずれかであることを特徴
    とする請求項3記載のインクジェット記録ヘッドの製造
    方法。
  7. 【請求項7】前記導電性物質が、スチールウールである
    ことを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録ヘ
    ッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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