JP3550637B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、インクジェット記録方法に関し、詳しくは記録媒体に反応液とインク組成物とを付着させて印字を行うインクジェット記録方法に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。通常インクジェット記録に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色成分および目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。
【0003】
一方、インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用する方法が提案されている(例えば、特開平5−202328号公報)。この方法においては、多価金属イオンと染料から不溶性複合体が形成され、この複合体の存在により、耐水性がありかつカラーブリードがない高品位の画像を得ることができるとされている。
【0004】
また、少なくとも浸透性を付与する界面活性剤または浸透性溶剤および塩を含有するカラーインクと、この塩との作用により増粘または凝集するブラックインクとを組合せて使用することにより、画像濃度が高くかつカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られるという提案もなされている(特開平6−106735号公報)。すなわち塩を含んだ第一の液と、インク組成物との二液を印字することで、良好な画像が得られるとするインクジェット記録方法が提案されている。
【0005】
また、その他にも二液を印字するインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特開平3−240557号公報、特開平3−240558号公報)。
【0006】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、このような二液を印字するインクジェット記録方法において、反応液とインク組成物との表面張力をともに40mN/m未満とすることで、良好な印字が実現できるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は、二液を印字するインクジェット記録方法において、良好な画像が実現できる方法の提供をその目的としている。
【0008】
そして、本発明によるインクジェット記録方法は、記録媒体に、反応剤を含んだ反応液とインク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法であって、
前記反応液および前記インク組成物としてその表面張力がともに40mN/m未満のものを用いるもの、である。
【0009】
【発明の具体的説明】
インクジェット記録方法
本発明によるインクジェット記録方法は、記録媒体に反応液とインク組成物とを印字する工程を含んでなるものである。そして、本発明にあっては、反応液およびインク組成物としてその表面張力がともに40mN/m未満のものを用いる。すなわち本発明にあっては表面張力が40mN/m未満という極めて濡れ性のよい、すなわち記録媒体に浸透しやすい反応液およびインク組成物を用いる。本発明によれば、一般に滲みやすいと考えられる浸透性の高いインク組成物を用いてもにじみが少なく、また少量のインク組成物でも大きな径のドットを実現でき、一方で浸透性の高いインク組成物を用いた際の利点すなわち印字の速乾性を得ることができる。さらに、本発明によれば印字の発色性がよく、にじみが少い高品質の画像が得られるとの利点を享受することができる。特に、少量のインク組成物により大きな径のドットが実現できる結果、インクの消費量を少なくできる。更に記録媒体に付着するインク量を小さくできることから特に紙におけるしわの発生を低減させることができる。
【0010】
上記反応液およびインク組成物の表面張力は、後記する浸透剤の添加によって実現されてよい。本発明において利用可能な浸透剤の詳細は後記する。
【0011】
本発明によるインクジェット記録方法のような二液を用いた記録方法にあっては、反応液とインク組成物とが接触することで良好な印字が実現できる。すなわち、反応液とインク組成物とが接触すると、反応液中の反応剤がインク組成物中の顔料その他の成分の分散状態を破壊し、それを凝集させる。この凝集物が記録媒体上に付着し、色濃度の高い、にじみ、ムラの少ない印字を実現するものと考えられる。さらに、カラー画像においては、異なる色の境界領域での不均一な色混じり、すなわちカラーブリードを有効に防止できるとの利点も有する。
【0012】
反応液
本発明による反応液は、その表面張力が40mN/m未満、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下とされてなる。本発明の好ましい態様によれば、この表面張力は浸透剤の添加によって実現されてよい。本発明において利用可能な浸透剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどがあげられる。
【0013】
さらに本発明の好ましい態様によれば、浸透剤として、下記式(I)で表わされる化合物および/または多価アルコールの低級アルコールエーテルを用いるのが好ましい。
【0014】
【化1】
(式中、0≦m+n≦50、R1 、R2 、R3 、およびR4 は独立してアルキル基である)
式(I)で表される化合物の代表的なものとして具体的にはオルフィンY、サーフィノール82、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485(いずれも製造:Air Products and Chemicals.Inc.)等がある。これらは単独でまたは2種類以上添加しても良い。
【0015】
本発明において用いられる反応液は、インク組成物と接触して凝集物を生成する反応剤を含んでなる。凝集物は、反応剤と、インク組成物中の着色剤成分とが反応して形成されるものと考えられる。更に後記する様に本発明にあっては樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含むことができるが、本発明の好ましい態様によれば、反応剤はこの樹脂エマルジョンおよび無機酸化物コロイドの溶解および/または分散状態を崩壊させるものであるのが好ましい。
【0016】
本発明において用いられる反応剤は、上記性質を有するものであれば限定されないが、好ましいその具体例としては、多価金属塩、またはポリアリルアミンもしくはその誘導体が挙げられる。
【0017】
反応剤としての多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶なものである。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオンAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンがあげられる。陰イオンとしては、Cl− 、NO3 −、I− 、Br− 、ClO3 −およびCH3 COO− などがあげられる。
【0018】
とりわけ、Ca2+またはMg2+より構成される金属塩は、反応液のpH、得られる印刷物の品質という二つの観点から、好適な結果を与える。
【0019】
これら多価金属塩の反応液中における濃度は印字品質、目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.1〜40重量%程度であり、より好ましくは5〜25重量%程度である。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する硝酸イオンまたはカルボン酸イオンとから構成され、水に可溶なものであるのが好ましい。
【0021】
ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸または炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸から誘導されるものである。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の好ましい例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸などが挙げられる。特に蟻酸、酢酸が好ましい。
【0022】
このモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基上の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の好ましい例としては、乳酸が挙げられる。
【0023】
さらに、炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸の好ましい例としては、安息香酸、ナフトエ酸等が挙げられ、より好ましくは安息香酸である。
【0024】
また、反応剤としてのポリアリルアミンおよびポリアリルアミン誘導体は水に可溶で、水中でプラスに荷電するカチオン系高分子である。例えば、式(II)、式(III )、および式(IV)が挙げられる。
【0025】
【化2】
(式中、X− は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等を表す)
これら以外にもアリルアミンとジアリルアミンが共重合したポリマーやジアリルメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄との共重合体を使用することもできる。
【0026】
これらポリアリルアミン及びポリアリルアミン誘導体の含有量は、反応液の0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は、多価金属塩に加えて、ポリオールを含んでなる。ここで、このポリオールは、20℃での蒸気圧が0.01mmHg以下であるものであり、かつその添加量は多価金属塩に対して重量比で1以上、好ましくは1.0〜5.0とされる。さらに本発明の好ましい態様によれば、このポリオールの反応液に対する添加量は10重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。
【0028】
ポリオールの好ましい具体例としては、多価アルコール、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。さらに、ポリオールの好ましい具体例としては糖、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。
【0029】
これらポリオールは単独で添加されても、二以上の混合物として添加されてよい。二以上の混合物として添加される場合、その添加量は、合計として多価金属塩に対して重量比で1以上とされる。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなる。高沸点有機溶媒は、反応液の乾燥を防ぐことによりヘッドの目詰まりを防止する。高沸点有機溶媒の好ましい例としては、前記ポリオールとも一部重なるが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0031】
高沸点有機溶媒の添加量は特に限定されないが、好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は低沸点有機溶剤を含んでなる。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。低沸点有機溶剤の添加量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0033】
本発明の好ましい態様によれば、反応液はpH調整のためにトリエタノールアミンを含んでなる。トリエタノールアミンが添加される場合、その添加量は、0〜2.0重量%程度が好ましい。
【0034】
また、この反応液は、後記のインク組成物の項で記載したカラー着色剤を添加して着色され、インク組成物の機能を兼ね備えたものとされてもよい。
【0035】
インク組成物
本発明において用いられるインク組成物は、その表面張力が40mN/m未満、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下とされてなる。本発明の好ましい態様によれば、この表面張力は浸透剤の添加によって実現されてよく、利用可能な浸透剤の具体例としては、上記反応液に用いられる浸透剤と同様のものが挙げられる。
【0036】
更に本発明の好ましい態様によれば、本発明において用いられるインク組成物に含まれる浸透剤として、アニオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。アニオン性界面活性剤を含んでなるインク組成物、とりわけ後記する式(V)の化合物を含んでなるインク組成物は、保存安定性に優れ、かつ記録媒体に対して大きな浸透力を有している。特に後者の性質により、アニオン性界面活性剤を含む組成物によれば、少量のインク組成物によって大きな径の画素(具体的にはドット)を実現することができる。また、アニオン性界面活性剤は、反応液中の反応剤と、インク組成物中の成分との反応にほとんど影響を与えない。よって、二液を用いたインクジェット記録方法の特徴であるにじみの少ない画像の実現を妨げない、との利点も得られる。
【0037】
アニオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、 N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、 N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン重縮合体、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などがあげられる。
【0038】
また、本発明のより好ましい態様によれば、特に下記式(V)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のナトリウム塩の利用が好ましい。
【0039】
RO(CH2 CH2 O)n SO3 Na (V)
(式中、Rはアルキル基、好ましくは直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜30のアルキル基、を表わし、nは1〜50の整数を表す)
【0040】
式(V)で表わされる化合物の代表的なものとして具体的にはハイテノール325D(第一工業製薬株式会社から入手可能)がある。
【0041】
アニオン性界面活性剤の添加量は得られる画像の耐水性の観点から、好ましくは0.01〜5.0重量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜2重量%である。
【0042】
本発明において用いられるインク組成物は、少なくとも着色剤と水とを含んでなる。
【0043】
本発明において用いられるインク組成物に含まれる着色剤としては、前記した反応剤と反応して凝集物を形成するものであるのが好ましい。また、着色剤は染料、顔料のいずれであってもよいが、顔料が好ましい。
【0044】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0045】
また、顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤または界面活性剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる分散剤および界面活性剤がインク組成物の分散剤および界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明らかであろう。
【0047】
インクへの顔料の添加量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は樹脂エマルジョンを含んでなるのが好ましい。ここで、樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、などがあげられる。
【0049】
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0050】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂モノマーを、場合によって界面活性剤とともに水中で分散重合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレンを、界面活性剤とともに水中で分散重合させることによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲にあることでより良好なインクの耐水性、浸透性が得られる。界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としてはアニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール(オレフィンY、ならびにサーフィノール82、104、440、465、および485(いずれもAir Products and Chemicals Inc. 製))を用いることも可能である。
【0051】
また、分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0052】
このような樹脂エマルジョンとして、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開平3−79678号、特開平3−160068号、特開平4−18462号などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。
【0053】
また、市販の樹脂エマルジョンを使用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などがあげられる。
【0054】
本発明に使用するインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0055】
樹脂エマルジョンは、反応剤、特に多価金属イオンまたはポリアリルアミンもしくはポリアリルアミンの誘導体との相互作用により、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録媒体への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録媒体上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果も有する。
【0056】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は樹脂エマルジョン形態の熱可塑性樹脂を含んでなるのが好ましい。ここで、熱可塑性樹脂とは、軟化温度が50℃〜250℃、好ましくは60℃〜200℃、のものである。ここで、軟化温度という語は、熱可塑性樹脂のガラス転移点、融点、粘性率が1011〜1012ポアズになる温度、流動点、樹脂エマルジョンの形態にある場合その最低造膜温度(MFT)のうち最も低い温度を意味するものとする。本発明による方法の加熱工程では、記録媒体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で加熱する。
【0057】
また、これらの樹脂は、軟化または溶融温度以上に加熱され冷却された際に強固な耐水性、耐擦性のある膜を形成するものが好ましい。
【0058】
水不溶性の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン‐ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン‐アクリル酸共重合体、スチレン‐メタアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン‐アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル‐アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0059】
低分子量の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン‐無水マレイン酸共重合体、カルナバワックス等の動植物系ワックス、ラノリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0060】
また、本発明に用いられるインク組成物は、無機酸化物コロイドを含んでいてもよい。無機酸化物コロイドの好ましい例としては、コロイダルシリカ、アルミナコロイドがあげられる。これらは、一般的には、SiO2 、Al2 03 等の超微粒子を水または有機溶媒中に分散したコロイド溶液である。市販されている無機酸化物コロイドとしては、分散媒が水、メタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、キシレンなどであり、SiO2 、Al2 03 等の粒子の粒径が5〜100nmであるものが一般的である。また、無機酸化物コロイド溶液のpHは中性領域ではなく酸性またはアルカリ性に調製されているものが多い。これは、無機酸化物コロイドの安定分散領域が酸性側かアルカリ性側に存在するためであり、インク組成物に添加する場合には、無機酸化物コロイドの安定分散領域のpHとインクのpHとを考慮して添加する必要がある。
【0061】
インク組成物中の無機酸化物コロイドの添加量は、0.1〜15重量%となるよう添加するのが好ましく、二種以上の添加も可能である。
【0062】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物はアルギン酸誘導体を含んでなるのが好ましい。アルギン酸誘導体の好ましい例としては、アルギン酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)アルギン酸有機塩(例えば、トリエタノールアミン塩)、アルギン酸アンモニウム塩、等が挙げられる。
【0063】
このアルギン酸誘導体のインク組成物への添加量は、好ましくは0.01〜1重量%程度であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0064】
アルギン酸誘導体の添加により良好な画像が得られる理由は確定できないが、反応液に存在する多価金属塩が、インク組成物中のアルギン酸誘導体と反応し、着色剤の分散状態を変化させ、着色剤の記録媒体への定着が促進されることに起因するものと考えられる。
【0065】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は有機溶媒を含んでなるのが好ましい。この有機溶媒は、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。
【0066】
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明に使用するインク組成物は、さらに高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0067】
これら湿潤剤の添加量は、インクの0.5〜40重量%が好ましく、より好ましくは2〜20重量%の範囲である。また、低沸点有機溶剤の添加量はインクの0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0068】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0069】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2 (CHOH)n CH2 OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
【0070】
これら糖類の含有量は、インクの0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加しても良い。
【0071】
インクジェット記録装置
本発明によるインクジェット記録方法を実施するインクジェット記録装置につて以下、図面を用いて説明する。
【0072】
図1のインクジェット記録装置は、インク組成物および反応液をタンクに収納し、インク組成物および反応液がインクチューブを介して記録ヘッドに供給される態様である。すなわち、記録ヘッド1とインクタンク2とがインクチューブ3で連通される。ここで、インクタンク2は内部が区切られてなり、インク組成物、場合によって複数のカラーインク組成物の部屋と、反応液の部屋とが設けられてなる。
【0073】
記録ヘッド1は、キャリッジ4に沿って、モータ5で駆動されるタイミングベルト6によって移動する。一方、記録媒体である紙7はプラテン8およびガイド9によって記録ヘッド1と対面する位置に置かれる。なお、この態様においては、キャップ10が設けられてなる。このキャップ10には吸引ポンプ11が連結され、いわゆるクリーニング操作を行う。吸引されたインク組成物はチューブ12を介して廃インクタンク13に溜め置かれる。
【0074】
記録ヘッド1のノズル面の拡大図を図2に示す。1bで示される部分が反応液のノズル面であって、反応液が吐出されるノズル21が縦方向に設けられてなる。一方、1cで示される部分がインク組成物のノズル面であって、ノズル22、23、24、25からはそれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。
【0075】
さらにこの図2に記載の記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法を図3を用いて説明する。記録ヘッド1は矢印A方向に移動する。その移動の間に、ノズル面1bより反応液が吐出され、記録媒体7上に帯状の反応液付着領域31を形成する。次に記録媒体7が紙送り方向矢印Bに所定量移送される。その間記録ヘッド1は図中で矢印Aと逆方向に移動し、記録媒体7の左端の位置に戻る。そして、既に反応液が付着している反応液付着領域にインク組成物を印字し、印字領域32を形成する。
【0076】
また、図4に記載のように記録ヘッド1において、ノズルを全て横方向に並べて構成することも可能である。図中で、41aおよび41bは反応液の吐出ノズルであり、ノズル42、43、44、45からはぞれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。このような態様の記録ヘッドにおいては、記録ヘッド1がキャリッジ上を往復する往路、復路いずれにおいても印字が可能である点で、図2に示される記録ヘッドを用いた場合よりも速い速度での印字が期待できる。
【0077】
さらに反応液とインク組成物の表面張力を好ましくは前記のように調節することにより、これらの付着順序にかかわらず、高品質の印字がより一定して得られる。この場合反応液の吐出ノズルを1つとすることもでき(例えば図中で41bのノズルを省くことができる)、さらなるヘッドの小型化と印字の高速化が達成できる。
【0078】
さらに、インクジェット記録装置には、インク組成物の補充がインクタンクであるカートリッジを取り替えることで行われるものがある。また、このインクタンクは記録ヘッドと一体化されたものであってもよい。
【0079】
このようなインクタンクを利用したインクジェット記録装置の好ましい例を図5に示す。図中で図1の装置と同一の部材については同一の参照番号を付した。図5の態様において、記録ヘッド1aおよび1bは、インクタンク2aおよび2bと一体化されてなる。記録ヘッド1aまたは1bをそれぞれインク組成物および反応液を吐出するものとする。印字方法は基本的に図1の装置と同様であってよい。そして、この態様において、記録ヘッド1aとインクタンク2aおよび記録ヘッド1aおよびインクタンク2bは、キャリッジ4上をともに移動する。
【0080】
さらに、印字がなされた記録媒体を加熱するヒータが設けられてなる、インクジェット記録装置の好ましい例を図6に示す。図6は、ヒータ14を設けた点以外は図1に示したものと同様なものである。このヒータ14は、記録媒体に接触してそれを加熱するものであっても、赤外線などを照射しまたは熱風を吹き付けるなど記録媒体に接触せずに加熱するものであってもよい。
【0081】
反応液の記録媒体への付着に関しては、インク組成物を付着させる場所にのみ選択的に反応液を付着させるという方法と、紙面全体に反応液を付着させる方法のいずれの態様であってもよい。前者が反応液の消費量を必要最小限に抑えることができ経済的であるが、反応液とインク組成物双方を付着させる位置にある程度の精度が要求される。一方、後者は、前者に比べ反応液およびインク組成物の付着位置の精度の要求は緩和されるが、紙面全体に大量の反応液を付着させることとなり、乾燥の際、紙がカールしやすい。従って、いずれの方法を採用するかは、インク組成物と反応液との組み合わせを考慮して決定されてよい。前者の方法を採用する場合、反応液の付着は、インクジェット記録方法によることが可能である。
【0082】
【実施例】
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
実施例A
以下の反応液A1およびA2、ならびにインクA1およびA2を常法に従い調製した。即ち、反応液は、下記に示す成分を混合して、反応液とした。インク組成物は、着色剤成分を分散剤成分とともに分散した後に、他の成分を加え混合し、一定以上の大きさの不溶成分を濾過して、インク組成物とした。
【0084】
反応液A1
硝酸マグネシウム・六水和物 25wt%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10wt%
グリセリン 20wt%
イオン交換水 残量
反応液A2
硝酸マグネシウム・六水和物 25wt%
グリセリン 20wt%
イオン交換水 残量
【0085】
インクA1
顔料 C.Iピグメントブルー15:3 8wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
グランドールPP−1000 7wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、
樹脂成分45%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
イオン交換水 残量
インクA2
顔料 C.Iピグメントブルー15:3 3wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂
エマルジョン、樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学社製、コロイダルシリカ、
SiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
サーフィノール465 0.8wt%
イオン交換水 残量
【0086】
以上の反応液およびインク組成物の表面張力は、以下の第1表に示される通りであった。
【0087】
【0088】
評価試験A1
以下の反応液およびインクの組み合わせにより、インクジェットプリンターMJ−700V2Cを用いて印字を行った。具体的には、以下に示す記録紙に反応液を100%dutyで印字し、その後インクにより罫線パターンを印字した。得られた罫線の幅を測定した。
【0089】
なお、インクおよび反応液の重量は0.05μg/dotで一定とし、罫線幅は下記の評価紙六紙の平均値である。
評価紙
▲1▼Xerox P(ゼロックス(株)製)
▲2▼Ricopy 6200(リコー(株)製)
▲3▼Xerox 4024 3R 721(ゼロックス(株)製)
▲4▼Neenah Bond(キンバリークラーク社製)
▲5▼Xerox R(ゼロックス(株)製)
▲6▼やまゆり(本州製紙(株)製)
【0090】
結果は、以下の第2表に示される通りであった。
【0091】
【0092】
実施例B 以下の反応液B1、ならびにインクB1、B2、B3およびB4を上記実施例Aと同様の方法により調製した。
【0093】
反応液B1
硝酸マグネシウム・六水和物 25wt%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465 1wt%
サーフィノールTG 1wt%
イオン交換水 残量
【0094】
インクB1
顔料C.I.ピグメントブルー15:3 3wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ( 株) 製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノール325D 0.8wt%
(第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
インクB2 顔料C.I.ピグメントイエロー109
3wt%
顔料C.I.ピグメントイエロー110 0.5wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ( 株) 製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノール325D 0.8wt%
(第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
インクB3
顔料C.I.ピグメントレッド122 3wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ( 株) 製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノール325D 0.8wt%
(第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
インクB4
カーボンブラックMA7 5wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ( 株) 製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノール325D 0.8wt%
(第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
【0095】
以上の反応液およびインク組成物の表面張力は、以下の第3表に示される通りであった。
【0096】
【0097】
評価試験B1:ドット径の測定
インクジェットプリンターMJ−700V2Cを用いて360dot/inch の密度で、以下に示す記録紙に反応液を100%dutyで印字し、その後インクにより印字を行い、以下の評価基準に従いドット径を測定した。
【0098】
なお、インクおよび反応液の重量は0.05μg/dot で一定とし、ドット径は下記の評価紙六紙の平均値である。
評価紙
▲1▼Xerox P (ゼロックス(株)製)
▲2▼Ricopy 6200 (リコー(株)製)
▲3▼Xerox 4024 3R 721 (ゼロックス(株)製)
▲4▼Neenah Bond (キンバリークラーク社製)
▲5▼Xerox R (ゼロックス(株)製)
▲6▼やまゆり(本州製紙(株)製)
評価基準
ドット径は100μm以上であり、高画質である:A
ドット径は100μm以下であり、画質は不良である:B
【0099】
結果は、以下の第4表に示される通りであった。
【0100】
評価試験B2:インクの安定性の評価
インクB1〜B4の安定性を次のように評価した。すなわちインクを密閉して70℃×1週間および70℃×2週間の条件下に放置した後、物性値(粘度、表面張力、pH値)の変化と異物の発生状況を観察した。その結果を以下の評価基準に従い評価した。
評価基準
70℃×2週間放置において物性値変化、異物の発生ともに無し:A
70℃×2週間放置において物性値変化または異物の発生有り:B
70℃×1週間放置において物性値変化または異物の発生有り:NG
【0101】
結果は以下の第4表に示される通りであった。
【0102】
【0103】
実施例C
以下の反応液C1、ならびにインクC1、C2、C3およびC4を上記実施例Aと同様の方法により調製した。
【0104】
反応液C1
硝酸マグネシウム・六水和物 25wt%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465 1wt%
サーフィノールTG 1wt%
イオン交換水 残量
【0105】
インクC1
顔料C.I.ピグメントブルー15:3 3wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、
樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノール325D 0.8wt%
(第一工業製薬(株)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
インクC2
顔料C.I.ピグメントイエロー109 3wt%
顔料C.I.ピグメントイエロー110 0.5wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、
樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2 含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ハイテノールNE−15 0.8wt%
(第一工業製薬(株)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
アンモニウム塩)
イオン交換水 残量
インクC3
顔料C.I.ピグメントレッド122 3wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、
樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2 含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ネオゲンS−20 0.8wt%
(第一工業製薬(株)、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)
イオン交換水 残量
インクC4
カーボンブラックMA7 5wt%
液媒体
スチレン−アクリル共重合体・アンモニウム塩 1.5wt%
(分子量7000、樹脂成分38wt%:分散剤)
ボンコート5454 5wt%
(大日本インキ(株)製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、
樹脂成分45%)
スノーテックスS 1.5wt%
(日産化学製、コロイダルシリカSiO2含有量30wt%)
マルチトール 7wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ネオコールSW 0.8wt%
(第一工業製薬(株)、ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム塩)
イオン交換水 残量
【0106】
以上の反応液およびインク組成物の表面張力は、以下の第5表に示される通りであった。
【0107】
【0108】
評価試験C1:ドット径の測定
評価試験B1と同様の試験を上記反応液C1ならびにインクC1〜C4について行った。その結果は、以下の第6表に示される通りであった。
【0109】
評価試験C2:インクの安定性の評価
評価試験B2と同様の試験を上記インクC1〜C4について行った。その結果は以下の第6表に示される通りであった。
【0110】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェット記録方法の実施に好ましく用いられるインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクがそれぞれ独立してなり、インク組成物および反応液はインクチューブによって記録ヘッドに供給される。
【図2】記録ヘッドのノズル面の拡大図であって、1bが反応液のノズル面であり、1cがインク組成物のノズル面である。
【図3】図2の記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法を説明する図である。図中で、31は反応液付着領域であり、32は反応液が付着された上にインク組成物が印字された印字領域である。
【図4】本発明によるインクジェット記録方法の実施に好ましく用いられる記録ヘッドの別の態様を示す図であって、吐出ノズルが全て横方向に並べて構成されたものである。
【図5】本発明によるインクジェット記録方法の実施に好ましく用いられるインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクが一体化されてなる。
【図6】本発明によるインクジェット記録方法の実施に好ましく用いられるインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては印字後の記録媒体を加熱するヒーターを備えてなる。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
2 インクタンク
3 インクチューブ
14 ヒータ
21 反応液吐出ノズル
22、23、24、25 インク組成物吐出ノズル
31 反応液付着領域
32 印字領域
Claims (10)
- 記録媒体に、反応剤を含んだ反応液とインク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法であって、前記反応液および前記インク組成物としてその表面張力がともに40mN/m未満のものを用い、
前記インク組成物が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものである、インクジェット記録方法。 - 前記反応剤が前記インク組成物と接触して凝集物を生成するものである、請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 前記反応剤が多価金属塩、またはポリアリルアミンもしくはその誘導体である、請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が顔料を着色剤とするものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記無機酸化物コロイドがコロイダルシリカである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物がポリオキシエチレン基を有するアニオン性界面活性剤を含んでなるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記アニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩またはポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸塩である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記アニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のナトリウム塩またはポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸塩のナトリウム塩である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のナトリウム塩が、下記の式(V)で表されるものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
RO(CH2 CH2 O)n SO3 Na (V)
(式中、Rはアルキル基を表わし、nは1〜50の整数を表す) - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法によって印字が行われた、記録物。
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