JP5396583B2 - 電気スズ又はスズ合金メッキ浴、当該メッキ皮膜を形成した電子部品 - Google Patents

電気スズ又はスズ合金メッキ浴、当該メッキ皮膜を形成した電子部品 Download PDF

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Description

本発明はスズ及びスズ合金メッキ浴に関して、メッキ浴の建浴後も経時的に安定して美麗な皮膜外観を付与できるものを提供する。
スズメッキ浴、或は、スズ−銀合金、錫−鉛合金などのスズ合金メッキ浴にあっては、皮膜結晶の微細化剤を添加して皮膜外観を美麗に改善することが行われている。
スズ又はスズ合金メッキ浴に添加する皮膜結晶の微細化剤としては、ベンゾチアゾール系化合物を初めとする各種のベンゾアゾール系化合物が知られており、その従来技術を挙げると次の通りである。
(1)特許文献1
錫、鉛、錫−鉛合金メッキ浴に、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールなどのべンゾチアゾール系化合物を含有させて、広い電流密度範囲で良好な外観のメッキ皮膜を得ることが開示されている(請求項1、第2頁右下欄、実施例1〜11参照)。
(2)特許文献2
錫、鉛、錫−鉛合金メッキ浴に、2−ベンゾアゾールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物を含有させて、広い電流密度範囲で良好な外観のメッキ皮膜を得ることが開示されている(請求項1、段落4、実施例1〜16参照)。
当該エチレンオキシド付加物には、下式(2)で表される2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールが属する(段落17の化合物a)。
Figure 0005396583
(3)特許文献3
皮膜外観やハンダ付け性を向上する目的で、2−メルカプトベンゾアゾール系スルホン酸化合物を含有するスズ及びスズ合金メッキ浴が開示されている。
また、スズ又はスズ合金メッキ浴に添加して、メッキ浴から得られる皮膜外観を改善するのとは異なるが、特許文献4には、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸又はスルホン酸誘導体を含有する溶液により、スズメッキ皮膜などの表面を後処理して、ハンダ濡れ性を良好に改善することが開示されている(請求項1、段落12、28参照)。
上記誘導体には、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸、4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕エタンスルホン酸、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸などが属する(段落15)。
特開平4−28893号公報 特開平5−17894号公報 特開平10−25595号公報 特開2004−323926号公報
上記微細化剤として、例えば、上記特許文献1に記載された2−メルカプトベンゾチアゾールや上記特許文献2に記載された2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールは良好な皮膜外観の改善効果を示す。
しかしながら、一方の2−メルカプトベンゾチアゾールは酸化されて難溶性の2量体を生じて沈殿し、また、他方の2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールはスルフィド結合部位で開列し易く、2−ヒドロキシベンゾチアゾールを生じて効果が低下してしまうため、建浴当初には有効性が高いが、メッキ作業が進行するのに伴って皮膜外観の改善効果が低減し、経時安定性を損なう問題がある。
本発明はスズ又はスズ合金メッキ浴に添加する皮膜結晶の微細化剤において、経時安定的に良好な皮膜外観を付与することを技術的課題とする。
本発明者らは、上記特許文献1〜4に記載された2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体を参考にして、2−メルカプトベンゾアゾールの各種誘導体とスズ又はスズ合金皮膜の微細化作用の経時安定性との関係を鋭意研究した結果、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にC3〜C6アルキレンが結合した誘導体、例えば、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールは建浴後の時間経過によっても、皮膜結晶の微細化作用が安定に持続して、皮膜外観を経時安定的に改善できることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、 (A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び銀、銅、ビスマス、ニッケル、亜鉛、インジウム、鉛、アンチモン、金、白金、パラジウム、鉄、コバルトから選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩と、
(B)有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸よりなる有機酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸よりなる無機酸から選ばれた酸又はその塩と、
(C)下記の一般式(1)で表される2−メルカプトベンゾアゾール誘導体と
Figure 0005396583
(式(1)中、XはS、NH、Oである;RはC3〜C6アルキレンである;AはOH、O 1 1 はC1〜C3アルキル)である;Bは水素、メチル、メトキシ、塩素、臭素、ニトロである)
を含有することを特徴とする電気スズ又はスズ合金メッキ浴である。
本発明2は、上記本発明1において、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体が、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−6−クロロベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)−5−メトキシベンゾチアゾール、2−(3−メトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)−5−メチルベンゾチアゾール、2−(3−プロポキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(6−ヒドロキシヘキシルチオ)ベンゾチアゾールであることを特徴とする電気スズ又はスズ合金メッキ浴である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、さらに、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、錯化剤、緩衝剤及び酸化防止剤から選ばれた添加剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする電気スズ又はスズ合金メッキ浴である。
本発明4は、上記本発明1〜4のいずれかの電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金メッキ皮膜を形成した電子部品である。
本発明の皮膜結晶の微細化剤にあっては、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にC3〜C6アルキレンが結合することにより、例えば、前記特許文献1の2−メルカプトベンゾチアゾールとは異なり、メルカプト基の酸化により2量化されることを良好に防止できる。
また、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にC3以上のアルキレンが結合してスルフィド結合を強化できるため、例えば、前記特許文献2の2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールとは異なり、スルフィド結合部位で開裂してヒドロキシル化することも有効に防止できる。
従って、メッキ作業が進行しても(即ち、建浴後の時間経過によっても)本発明の微細化剤は分解することなく浴中で安定であり、メッキ皮膜に対する皮膜結晶の微細化作用を減退させることなく持続的に保持できるため、スズ又はスズ合金皮膜に美麗な外観を経時安定的に付与できる。
本発明は、第一に、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にC3〜C6アルキレンが結合した特定の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体を皮膜結晶の微細化剤として含有するスズ及びスズ合金メッキ浴であり、第二に、当該メッキ浴を用いてスズ又はスズ合金皮膜を形成した電子部品である。
本発明のスズメッキ浴は、可溶性第一スズ塩と、酸又はその塩と、上記一般式(1)で表される特定の2−メルカプトベンゾチゾール誘導体とを基本組成とする。
また、本発明のスズ合金メッキ浴は、上記スズメッキ浴の基本成分に、銀、銅、ビスマス、ニッケル、亜鉛、インジウム、鉛、アンチモン、金、白金、パラジウム、鉄、コバルトから選ばれた金属の可溶性塩を加えたものを基本組成とする。
本発明のメッキ浴は電気メッキに適用する。
上記特定の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体は一般式(1)で表されるが、スルフィド結合の開裂を防止する見地から、式(1)のRはC3〜C6アルキレンであり、プロピレン、ブチレンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。アルキレン鎖Rがエチレンの場合、上記特許文献2の2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールのように分解し易いため、本発明の誘導体のアルキレン鎖RはC3アルキレン以上でなければならず、また、アルキレン鎖RがC7アルキレン以上では水への溶解性が低下する恐れがある。
一般式(1)のX=Sの場合にはベンゾアゾール環はベンゾチアゾール環となり、同様に、X=NHではベンズイミダゾール環、X=Oではベンゾオキサゾール環となる。ベンゾアゾール環としては、ベンゾチアゾール環が好ましい。
水溶性を確保する見地から、上記誘導体の末端のAは、水酸基かC1〜C3のアルコキシ基であり、水酸基が好ましい。
従って、例えば、一般式(1)の−RAが2−ヒドロキシプロピルである場合、A=OHであり、Rは直鎖のプロピレン鎖(トリメチレン鎖)ではなく、分岐鎖(−CH2CH(CH3)−)になり、R=C3〜C6アルキレンという本発明の条件から外れるため、当該誘導体は本発明の誘導体には含まれず、後述の試験例(例えば、比較例3参照)にも示すように、誘導体の経時安定性は低下し、皮膜結晶の微細化作用はあまり期待できない。
本発明の誘導体においては、ベンゾアゾール環は無置換(B=水素)であっても良いし、メチル、メトキシ、塩素、臭素、ニトロから選ばれた置換基Bが1個ないし複数個結合しても差し支えない。置換基Bが複数個結合する場合には、メチル、塩素などの異なる種類の置換基の組み合わせであっても良い。
例えば、一般式(1)中のX=S、B=水素、R=プロピレン、及びA=OHの場合、本発明の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体は、下式(3)で表される2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールとなる。
Figure 0005396583
本発明の2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体は常法で製造することができる。
例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールと3−クロロプロピルアルコールを塩基の存在下、好ましくは溶媒中で室温〜溶媒の沸点の温度で10分乃至1日程度反応させることにより、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールを合成できる。
上記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジンなどが使用できる。溶媒はなくても良いが、水、ジオキサン、THF、ジプロピルエーテル、エチルアルコールなどを用いると反応を制御し易くなる。
そこで、本発明の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体の具体例を述べると、上記2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールを初め、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−6−クロロベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)−5−メトキシベンゾチアゾール、2−(3−メトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)−5−メチルベンゾチアゾール、2−(3−プロポキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(6−ヒドロキシヘキシルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾオキサゾール、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
好適な具体例を挙げると、本発明3に示すように、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−6−クロロベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)−5−メトキシベンゾチアゾール、2−(3−メトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)−5−メチルベンゾチアゾール、2−(3−プロポキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールなどの2−メルカプトベンゾチアゾール系の誘導体である。
本発明の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体のメッキ浴に対する含有量は0.001〜10g/Lであり、好ましくは0.01〜1g/Lである。
本発明の電気スズ又はスズ合金メッキ浴の基本組成を構成する可溶性第一スズ塩は、浴中でSn2+を生成する可溶性の塩類であれば任意のものが使用でき、特段の制限はない。
上記可溶性第一スズ塩としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズなどが挙げられる。
また、本発明において、スズと合金を形成する金属は、銀、銅、ビスマス、ニッケル、亜鉛、インジウム、鉛、アンチモン、金、白金、パラジウム、鉄、コバルトから選択され、銀、ビスマス、銅、アンチモン、鉛、インジウムが好ましい。
従って、スズ合金としては、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金、スズ−アンチモン合金、スズ−鉛合金、スズ−インジウム合金などが好適である。但し、本発明のスズ合金は上記スズ−銀などの2元合金に限らず、例えば、スズ−銅−銀合金、スズ−銅−ビスマス合金などの3元合金も含まれる。
これらスズと合金を形成する金属の可溶性塩を説明すると、例えば、可溶性銀塩は、浴中でAg+を生成する可溶性の塩類であれば任意のものが使用でき、特段の制約はなく、難溶性塩も排除されない。
上記可溶性銀塩としては、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、有機スルホン酸銀、ホウフッ化銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、スルファミン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀などの可溶性塩、塩化銀などの難溶性塩が挙げられる。
同様に、可溶性銅塩としては、有機スルホン酸の銅塩、硫酸銅、塩化銅、酸化銅、炭酸銅、酢酸銅、ピロリン酸銅、シュウ酸銅などが挙げられる。
可溶性ビスマス塩としては、有機スルホン酸のビスマス塩、スルホコハク酸のビスマス塩、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマスなどが挙げられる。
その他の金属の可溶性塩も、同様に、該当する金属の硫酸塩、ハロゲン化物、酸化物、酢酸塩、有機スルホン酸塩などが使用できる。
スズメッキ浴において可溶性第一スズ塩は単用又は併用でき、当該スズ塩の濃度は金属塩換算で0.05〜300g/L、好ましくは10〜180g/Lである。
また、スズ合金メッキ浴において、上記第一スズ塩を含めた可溶性金属塩は夫々単用又は併用でき、メッキ浴に対する可溶性第一スズ塩と銀などの他の可溶性金属塩との浴中の総濃度は、金属塩換算で0.05〜300g/L、好ましくは10〜180g/Lである。また、スズとその他の金属の混合割合は、所望するスズ合金メッキ皮膜の組成比に応じて適宜決定される。
上記酸又はその塩はメッキ浴のベース酸に相当する。
酸は有機酸、無機酸であり、当該有機酸としては、排水処理が比較的容易なアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或は、脂肪族カルボン酸から選択される
上記無機酸としては、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸から選択される
これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。
上記の酸(又は塩)は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜300g/Lであり、好ましくは20〜180g/Lである。
上記アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜5、好ましくは1〜3)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの外、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、基本的にはベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などであって、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸などが挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、一般に、炭素数1〜6のカルボン酸が使用できる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、スルホコハク酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
本発明の電気スズメッキ浴又はスズ合金メッキ浴には上記成分以外に、目的に応じて界面活性剤、安定剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、緩衝剤及び酸化防止剤などの各種添加剤を含有することができる(本発明3参照)。
上記界面活性剤は、析出するメッキ皮膜の緻密性、平滑性、密着性などの補助的改善を目的として含有され、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、或はアニオン系界面活性剤を単用又は併用できる。
その添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
当該ノニオン系界面活性剤の具体例としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、(ポリ)C1〜C25アルキルフェノール、(ポリ)アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものや、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。
上記エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を付加縮合させるC1〜C20アルカノールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、オレイルアルコール、ドコサノールなどが挙げられる。同じく上記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールFなどが挙げられる。上記(ポリ)C1〜C25アルキルフェノールとしては、モノ、ジ、若しくはトリアルキル置換フェノール、例えば、p−メチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヘキシルフェノール、2,4−ジブチルフェノール、2,4,6−トリブチルフェノール、ジノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ラウリルフェノール、p−ステアリルフェノールなどが挙げられる。上記アリールアルキルフェノールとしては、2−フェニルイソプロピルフェノール、クミルフェノール、(モノ、ジ又はトリ)スチレン化フェノール、(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェノールなどが挙げられる。上記C1〜C25アルキルナフトールのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、ナフタレン核の任意の位置にあって良い。上記ポリアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマーなどが挙げられる。
上記C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)は、下記の一般式(a)で表されるものである。
Ra・Rb・(MO)P=O …(a)
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
上記ソルビタンエステルとしては、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタン、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタン混合脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの飽和及び不飽和脂肪酸アミンなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミドとしては、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸などのアミドが挙げられる。
更に、上記ノニオン系界面活性剤としては、
1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、下記の一般式(b)で表される第4級アンモニウム塩
(R1・R2・R3・R4N)+・X- …(b)
(式(b)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なるC1〜C20アルキル、アリール又はベンジルを示す。)或は、下記の一般式(c)で表されるピリジニウム塩などが挙げられる。
6−(C54N−R5)+・X- …(c)
(式(c)中、C54Nはピリジン環、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R5はC1〜C20アルキル、R6はH又はC1〜C10アルキルを示す。)
塩の形態のカチオン系界面活性剤の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ジメチルジフェニルアンモニウム塩、ベンジルジメチルフェニルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテートなどが挙げられる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO5)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO15)ノニルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩としては、ナフタレンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
代表的なカルボキシベタイン、或はイミダゾリンベタインは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オクチル−1−カルボキシメチル−1−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、硫酸化及びスルホン酸化付加物としてはエトキシル化アルキルアミンの硫酸付加物、スルホン酸化ラウリル酸誘導体ナトリウム塩などが挙げられる。
上記スルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。アミノカルボン酸としては、ジオクチルアミノエチルグリシン、N−ラウリルアミノプロピオン酸、オクチルジ(アミノエチル)グリシンナトリウム塩などが挙げられる。
上記安定剤はスズ合金メッキ浴を安定化し、スズと銀や銅などの他の金属とを共析化する機能を果すものであり、チオ尿素類、アミン類、スルフィド類、メルカプト類などが挙げられる。
上記チオ尿素類はチオ尿素とチオ尿素誘導体である。
当該チオ尿素誘導体としては、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジドなどが挙げられる。
上記アミン類は、アミノ酢酸、アミノプロピオン酸、アミノ吉草酸、アミノ酸などのアミノカルボン酸系化合物、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどのポリアミン系化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール系化合物などである。
上記アミン類のうちのアミノカルボン酸系化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、メタフェニレンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸、オルニチン、システイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンなどが挙げられる。
また、上記アミン類のうちのポリアミン系化合物、アミノアルコール系化合物としては、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなどが挙げられる。
上記スルフィド類、メルカプト類としては、2,2′−ジチオジアニリン、ジピリジルジスルフィド、チオジグリコール酸、β−チオジグリコール、ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ブタン、チオグリコール、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸などが挙げられる。
上記平滑剤、光沢剤、半光沢剤としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、ベンジリデンアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、ピリジリデンアセトン、フルフリジンアセトン、テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、ゼラチン、ポリペプトン、N−(3−ヒドロキシブチリデン)−p−スルファニル酸、N−ブチリデンスルファニル酸、N−シンナモイリデンスルファニル酸、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−エチル−4−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられる。
上記緩衝剤としては、ホウ酸類、ホスフィン酸やホスホン酸、リン酸、トリポリリン酸などのリン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類など塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピルガロールなどが挙げられ、各種のフェノールスルホン酸類やナフトールスルホン酸類も有効である。
また、メッキ浴には防腐剤や消泡剤を添加できる。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
本発明4は、本発明1〜3電気メッキ浴を用いてスズ又はスズ合金皮膜を形成した電子部品である。
上記電子部品としては、プリント回路板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサー、フィルター、インダクター、サーミスター、水晶振動子、コネクタ、スイッチ、リード線、フープ材などが挙げられる。
以下、本発明の電気スズ又はスズ合金メッキ浴の実施例、当該実施例のメッキ浴から得られた皮膜外観の経時安定性並びに(液体クロマトグラフィーによる)本発明の2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体の安定性の各種試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変形し得ることは勿論である。
電気スズ又はスズ合金メッキ浴の実施例》
下記の実施例1〜13のうち、実施例1〜2はスズメッキ浴の例、実施例3はスズ−ビスマス合金メッキ浴の例、実施例4〜6と14はスズ−銅合金メッキ浴、実施例7〜8と13と15はスズ−銀合金メッキ浴の例、実施例9はスズ−銅−銀合金メッキ浴の例、実施例10はスズ−鉛合金メッキ浴の例、実施例11はスズ−亜鉛合金メッキ浴の例、実施例12はスズ−アンチモン合金メッキ浴の例である。また、実施例13は中性メッキ浴の例、その他のすべての実施例は酸性浴の例である。
一方、下記の比較例1〜のうち、比較例1は冒述の特許文献1に準拠して、皮膜結晶の微細化剤として2−メルカプトベンゾチアゾールを用いたスズメッキ浴の例、比較例2は冒述の特許文献2に準拠して、同微細化剤として2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールを用いたスズメッキ浴の例、比較例3は2−(2−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールを用いたスズメッキ浴の例である。
(1)実施例1
下記の組成により電気スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.2g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
(2)実施例2
下記の組成により電気スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸(比重1.84) 120g/L
2−(6−ヒドロキシヘキシルチオ)ベンゾチアゾール 0.02g/L
ジスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20モル) 7g/L
α-ナフトールポリエトキシレート(EO17モル) 3g/L
ハイドロキノン 1.0g/L
イオン交換水 残部
(3)実施例3
下記の組成により電気スズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 75g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 5g/L
2−ブタンスルホン酸 200g/L
2−(3−メトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.1g/L
リノレイルアミンポリエトキシレート(EO12モル)
−ポリプロポキシレート(PO3モル) 12g/L
イオン交換水 残部
(4)実施例4
下記の組成により電気スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
2−プロパノールスルホン酸銅(Cu2+として) 1g/L
2−ヒドロキシエタンスルホン酸(遊離酸として) 120g/L
チオ尿素 15g/L
2−(3−エトキシプロピルチオ)
−5−メチルベンゾチアゾール 0.3g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO17モル) 10g/L
イオン交換水 残部
(5)実施例5
下記の組成により電気スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
2−プロパノールスルホン酸銅(Cu2+として) 0.2g/L
2−ヒドロキシエタンスルホン酸(遊離酸として) 120g/L
チオ尿素 4g/L
2−(4−ヒドロキシブチルチオ)
−5−メトキシベンゾチアゾール 0.01g/L
β−ナフトールポリエトキシレート(EO13モル) 10g/L
イオン交換水 残部
(6)実施例6
下記の組成により電気スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.15g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
1,3−ジメチルチオ尿素 3g/L
2−(3−プロポキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.4g/L
ドデシルアルコールポリエトキシレート(EO18モル) 10g/L
ハイドロキノン 1g/L
イオン交換水 残部
(7)実施例7
下記の組成により電気スズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.7g/L
硫酸(比重1.84) 150g/L
エチレンチオ尿素 6g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.5g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO21モル) 2g/L
ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムメタンスルホネート 1.0g/L
β−ナフトール−6−スルホン酸 0.2g/L
イオン交換水 残部
(8)実施例8
下記の組成により電気スズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 3g/L
2−ブタンスルホン酸(遊離酸として) 80g/L
チオ尿素 10g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)
−6−クロロベンゾチアゾール 0.25g/L
ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1g/L
リノレイルアミンポリエトキシレート(EO12モル)
−ポリプロポキシレート(PO3モル) 12g/L
ハイドロキノン 0.5g/L
イオン交換水 残部
(9)実施例9
下記の組成により電気スズ−銅−銀合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸銅(Cu2+として) 0.2g/L
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
エタンスルホン酸(遊離酸として) 120g/L
チオ尿素 15g/L
ジメチルチオ尿素 10g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.5g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO17モル) 10g/L
ヘキシニルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 4g/L
イオン交換水 残部
(10)実施例10
下記の組成により電気スズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 54g/L
2−ヒドロキシエタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 6g/L
2−ヒドロキシエタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−(3−エトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.15g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO14モル) 8g/L
ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
(11)実施例11
下記の組成により電気スズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 5g/L
硫酸(比重1.84) 100g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾオキサゾール 1.0g/L
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3g/L
ポリオキシエチレン(EO53モル)ポリオキシプロピレン(PO28モル)
−グリコールモノブチルエーテル 4g/L
β-ナフトール 1g/L
イオン交換水 残部
(12)実施例12
下記の組成により電気スズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸アンチモン(Sb3+として) 5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンズイミダゾール 0.7g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO16モル) 10g/L
ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1g/L
ハイドロキノンスルホン酸カリウム 1g/L
イオン交換水 残部
(13)実施例13
下記の組成により電気スズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 120g/L
チオ尿素 25g/L
2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.2g/L
グルコン酸ナトリウム 153g/L
ポリエチレンイミン(平均分子量2万) 5g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
pH4.0 NaOHで調整
(16)比較例1
下記の組成により電気スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.2g/L
チオ尿素 100g/L
2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾール 0.1g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
(17)比較例2
下記の組成により電気スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾール 0.2g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
(18)比較例3
下記の組成により電気スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
2−(2−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール 0.2g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
《皮膜外観の経時安定性試験例》
そこで、上記実施例1〜13及び比較例1〜で得られた各メッキ浴について、建浴直後、並びに50℃の恒温室にて168時間保持した後のメッキ浴を用いて電気メッキを行い、形成されたメッキ皮膜の外観を目視評価した。
この場合、電気メッキは下記(a)の条件で行った。
(a)電気メッキの条件
試験片:25mm×25mmの銅板
浴温:25℃
電流密度:2A/dm 2
そして、次の基準で皮膜外観の優劣を評価した。
○:皮膜外観に異常がなく、実用レベルを保持していた。
△:外観ムラ、粉末状化などが認められ、皮膜外観は実用レベルから劣っていた。
×:ヤケ、デンドライトなどが顕著に認められ、皮膜外観は極めて劣っていた。
下表はその試験結果である。
建浴直後 168時間後 建浴直後 168時間後
実施例1 ○ ○ 比較例1 ○ △
実施例2 ○ ○ 比較例2 ○ ×
実施例3 ○ ○ 比較例3 ○ ×
実施例4 ○ ○
実施例5 ○ ○
実施例6 ○ ○
実施例7 ○ ○
実施例8 ○ ○
実施例9 ○ ○
実施例10 ○ ○
実施例11 ○ ○
実施例12 ○ ○
実施例13 ○ ○
上表の電気メッキの試験結果によると、冒述の特許文献1に準拠して2−メルカプトベンゾチアゾールを含有した比較例1では、建浴直後のメッキ浴から得られるスズ又はスズ合金メッキ皮膜は緻密で光沢があり、美麗な外観を呈したが、168時間経過後のメッキ浴から得られた皮膜は外観ムラ、粉末状化などが認められ、実用的な皮膜外観のレベルには至らなかった。
これに対して、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体を初めとして、本発明の2−メルカプトベンゾアゾール誘導体を含有した実施例1〜13では、建浴直後のメッキ皮膜に加えて、168時間経過後のメッキ浴から得られたスズ又はスズ合金メッキ皮膜にあっても美麗な外観を呈し、皮膜外観に優れていた。従って、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にアルキレン鎖が結合した本発明の誘導体を含有させたメッキ浴では、建浴から長時間経過しても皮膜結晶の微細化効果を継続して保持でき、比較例1とは異なり、微細化効果をスズ又はスズ合金皮膜に経時安定的に付与できることが分かった。
また、冒述の特許文献2に準拠した2−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾチアゾールは、本発明の誘導体と同様に、ベンゾチアゾール環の2位のメルカプト基にアルキレン鎖が結合した化合物であるが、当該化合物を含有した比較例2では、建浴直後のメッキ浴から得られるメッキ皮膜は美麗な外観を呈したが、168時間経過後のメッキ浴から得られた皮膜にはヤケやデンドライトが認められ、上記比較例1に比べても評価は大きく劣って外観不良を呈した。
従って、ベンゾアゾール環の2位のメルカプト基にアルキレン鎖が結合した化合物を含有する点で共通する実施例1〜13と上記比較例2を対比すると、スズ又はスズ合金メッキ皮膜に経時安定的な皮膜結晶の微細化効果を付与する観点から、比較例2に対する実施例1〜13の優位性は明らかであり、結合するアルキレン鎖がエチレン鎖ではなく、C3〜C6アルキレン鎖であることの重要性が明らかになった。
次いで、2−(2−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールを含有した比較例3では、上記比較例2と同様に、168時間経過後のメッキ浴から得られた皮膜は外観不良を呈した。例えば、実施例1に含有する本発明の誘導体は2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールであり、この誘導体と比較例3の化合物とは、ベンゾチアゾール環の2位のメルカプト基にプロピレン鎖が結合した構造で共通するが、本発明の誘導体では、水酸基(つまり、一般式(1)の末端基A)はプロピレン鎖の末端に結合するのに対して、比較例3の化合物ではプロピレン鎖の途中に結合するため、実質上、メチル置換のエチレン鎖の一端に水酸基が位置することになり、皮膜結晶の微細化効果の経時安定性を確保できなかったものと推定できる。
従って、スズ又はスズ合金メッキの皮膜外観の経時安定性を担保するには、一般式(1)の条件を満たす本発明の誘導体を使用することの重要性が確認できた。
さらに、実施例1〜13を相対的に評価すると、本発明の誘導体の種類が変化しても、一般式(1)の条件を満たす誘導体を使用する限り、スズ又はスズ合金メッキの皮膜外観の経時安定性は良好に担保できることが分かった。従って、本発明の誘導体の基本骨格であるベンゾアゾール環はベンゾチアゾール環に限らず、ベンゾオキサゾール環(実施例11)、ベンズイミダゾール環(実施例12)であっても、或は、ベンゾアゾール環に所定の置換基が結合し又は結合しなくても、良好な評価に変わりないことが確認できた。
また、スズ或はスズ合金メッキ浴の種類、或は、メッキ浴が酸性浴か中性浴(実施例13)かを問わず、本発明の誘導体をメッキ浴に適用することにより、メッキ皮膜への微細化効果の経時安定性を良好に担保できることが認められた。
一方、実施例1〜3並びに比較例1〜3の各電気メッキ浴について、168時間経過時点で、浴中の2−メルカプトベンゾチアゾール化合物を液体クロマトグラフィーで定量分析することにより、本発明の誘導体のメッキ浴中での経時安定性の度合を直接的に試験評価した。
《メッキ浴中の2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体の安定性試験例》
液体クロマトグラフィーの分析条件は下記の通りであり、得られた液体クロマトグラフに基づく上記化合物の濃度算出により、168時間経過時の浴中濃度を建浴初期の濃度で除して、実施例1〜3並びに比較例1〜3に用いた2−メルカプトベンゾチアゾール化合物のメッキ浴中での残留率を調べた。
[液体クロマトグラフィー分析条件]
カラム:ODS
溶離液:アセトニトリル/水=1:1
UV波長:254nm
流速:0.6mL/分
カラム温度:40℃
下表はその試験結果である。
残留率(%) 残留率(%)
実施例1 95.7 比較例1 61.1
実施例2 94.5 比較例2 12.5
実施例3 95.2 比較例3 11.8
上表によると、比較例1の残留率は6割強であり、建浴時の初期濃度をかなり下回っていることが分かる。比較例2〜3での残留率は比較例1より更に大きく後退して、きわめて低かった。
比較例1〜3(共にスズ浴)の前記皮膜外観評価試験では、比較例1の評価は△であり、比較例2〜3は×であったが、この評価試験の結果は本試験での残留率の度合によって明確に裏付けられる。
これに対して、実施例1〜3の残留率はきわめて高く、建浴時の濃度とあまり変わらないことから、皮膜結晶の微細化効果を経時安定的に持続できることが分かり、当該残留率の試験結果は、前記皮膜外観評価試験での実施例1〜3の評価を充分に裏付けている。また、これらの残留率によって、本発明をスズ浴(実施例1〜2)及びスズ合金浴(実施例3:具体的にはスズ−ビスマス合金浴)に適用した場合の、変わらない有効性が確認できた。

Claims (4)

  1. (A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び銀、銅、ビスマス、ニッケル、亜鉛、インジウム、鉛、アンチモン、金、白金、パラジウム、鉄、コバルトから選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩と、
    (B)有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸よりなる有機酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸よりなる無機酸から選ばれた酸又はその塩と、
    (C)下記の一般式(1)で表される2−メルカプトベンゾアゾール誘導体と
    Figure 0005396583
    (式(1)中、XはS、NH、Oである;RはC3〜C6アルキレンである;AはOH、O 1 1 はC1〜C3アルキル)である;Bは水素、メチル、メトキシ、塩素、臭素、ニトロである)
    を含有することを特徴とする電気スズ又はスズ合金メッキ浴。
  2. 2−メルカプトベンゾアゾール誘導体が、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−6−クロロベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)−5−メトキシベンゾチアゾール、2−(3−メトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3−エトキシプロピルチオ)−5−メチルベンゾチアゾール、2−(3−プロポキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(6−ヒドロキシヘキシルチオ)ベンゾチアゾールであることを特徴とする請求項1に記載の電気スズ又はスズ合金メッキ浴。
  3. さらに、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、錯化剤、緩衝剤及び酸化防止剤から選ばれた添加剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気スズ又はスズ合金メッキ浴。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金メッキ皮膜を形成した電子部品。
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