JP6145671B2 - スズ又はスズ合金メッキ浴及び当該メッキ浴を用いて皮膜形成した電子部品 - Google Patents

スズ又はスズ合金メッキ浴及び当該メッキ浴を用いて皮膜形成した電子部品 Download PDF

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本発明はスズ又はスズ合金メッキ浴並びに当該メッキ浴を用いて皮膜形成した電子部品に関して、メッキ皮膜の均一性、より具体的には膜厚や合金組成の均一性並びにメッキ皮膜の安定性を向上できるものを提供する。
スズメッキ、或は、スズ−銀合金、スズ−銅合金、スズ−ビスマス合金、スズ−鉛合金などのスズ合金メッキは、耐食性やハンダ濡れ性が良好であるため、弱電部品やリードフレーム等に代表される電子工業用部品等の工業用メッキとして広く利用されているが、最近では、環境保全の高まりから、スズ、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金などの鉛フリーメッキへの要望が増している。
当該スズメッキやスズ合金メッキにあっては、メッキ浴から得られる電着皮膜の膜厚や合金組成を均一に保持すること(以下、メッキ皮膜の均一性という)が重要であり、また、メッキ浴の成分濃度が変動しても当該膜厚や合金組成が安定であること(以下、メッキ皮膜の安定性という)も重要である。
この点を詳述すると、メッキ皮膜の外観が良好であっても、例えば、上記メッキ皮膜の均一性が損なわれると、電子部品を基板に接合した場合、膜厚が薄い部位では接合不良を起こし、また、スズ合金皮膜の合金組成が均一でなく各部位で組成が異なると、融点の差異に起因して皮膜が溶融しない部位が生じて、やはり接合不良を招き、製品の信頼性を低下させてしまう。
そこで、メッキ皮膜の均一性、皮膜外観、或いはハンダ付け性の改善などを主目的としたスズ又はスズ合金メッキ浴を挙げると、次の通りである。但し、特許文献1〜5は本出願人が開示したものである。
(1)特許文献1
モノスルフィド結合の一方がベンゾアゾール環、他方がアルキレンスルホン酸(塩)基であるベンゾアゾール系スルホン酸化合物をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加して、広い電流密度範囲にて皮膜外観やハンダ付け性を向上する(請求項1、段落1、5、44)。
上記ベンゾアゾール系スルホン酸化合物には、2−メルカプトベンズイミダゾール−S−メタンスルホン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾール−S−プロパンスルホン酸塩、5−エチル−2−メルカプトベンゾオキサゾール−S−ブタンスルホン酸塩などのベンゾアゾール環基に隣接してスルフィド基が結合したスルフィド類が挙げられる(段落17〜18)。
(2)特許文献2
ジピリジルジスルフィド、トリアゾリルジスルフィド、ジテトラゾリルジスルフィド、ジイミダゾリルジスルフィド、ジチアゾリルジスルフィド、ジモルホリノジスルフィド、ジピリダジニルジスルフィド、ジキノリルジスルフィドなどの塩基性窒素原子を有する特定のスルフィド化合物をスズ−銀合金を含む銀合金メッキ浴に添加して、電着皮膜の外観、メッキ浴の経時安定性、銀と他種の金属の共析化などを向上する(請求項1〜2、段落1、7)。
(3)特許文献3
2−メルカプトベンゾアゾール誘導体をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加して、メッキ皮膜に美麗な皮膜外観を付与する(請求項1〜2、段落1、17)。
上記2−メルカプトベンゾアゾール誘導体には、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾアゾール環基に隣接してスルフィド基が結合したスルフィド類が挙げられる(請求項3、段落22)。
(4)特許文献4
ジベンゾアゾールジスルフィドスルホン酸化合物をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加して、広い電流密度範囲でのメッキ皮膜の均一性、皮膜外観、ハンダ付け性などを向上する(請求項1、段落1、18)。
上記ジベンゾアゾールジスルフィドスルホン酸化合物には、ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸塩、ジベンゾオキサゾリルジスルフィドジスルホン酸塩、ジベンズイミダゾリルジスルフィドジスルホン酸塩などの、スルフィド基の両側にスルホン酸(塩)基を有するベンゾアゾール環基が結合したスルフィド類が挙げられる(段落22)。
(5)特許文献5
芳香族スルフィド類や芳香族メルカプタン類をスズ−銀合金メッキ浴に添加して、メッキ外観やハンダ付け性などを向上する(請求項1、4、段落1、18)。
上記芳香族スルフィド類には2,2′−ジピリジルジスルフィド、2,2′−ジチオジアニリン、3,4,5−トリヒドロキシジフェニルスルフィド、芳香族メルカプタン類にはメルカプトピリジン、2−アミノチオフェノールなどが挙げられる(段落30〜31)。
(6)特許文献6
チオ尿素類と、2−メルカプト基含有芳香族化合物と、ノニオン系界面活性剤とをスズ−銅合金メッキ浴に添加して、ハンダ付け性や浴の安定性を改善する(請求項1、段落8)。
上記2−メルカプト基含有芳香族化合物には、メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、2−メルカプトベンゾオキサゾール系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール系化合物、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミンなどが挙げられる(請求項2、段落22)。
(7)特許文献7
可溶性酒石酸塩と、ビスマス塩と、アニオン性界面活性剤と、含窒素化合物と、含イオウ化合物とをシアン系スズ−銅合金メッキ浴に添加して、広い電流密度範囲で平滑性や光沢性を改善する(請求項1〜4)。
上記含イオウ化合物には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、或いはこれらの誘導体からなるメルカプタン類、ジベンゾチアジルジスルフィド、ベンゾチアジルモルホリノスルフィド、ベンゾチアジルモルホリノジスルフィドからなるスルフィド類などの含イオウ複素環式化合物が挙げられる(段落15、化学式3〜4参照)。
(8)特許文献8
非シアン系スズ−銀合金メッキ浴に、芳香族チオール化合物又は芳香族スルフィド化合物を添加して、浴の安定性が向上し、1〜30μmの薄膜が得られる(請求項1〜2、段落10)。
上記芳香族チオール化合物にはメルカプトフェノール、チオサリチル酸、ヘンゼンチオフェノール、メルカプトピリジンなどが挙げられ、芳香族スルフィド化合物には2,2−ジピリジルジスルフィド、4,4−チオジフェノール、チオビスチオフェノール、2,2−ジチオジ安息香酸などが挙げられる(請求項3、段落6)。
特開平10−025595号公報 特開平11−269691号公報 特開2009−185358号公報 特開2010−265491号公報 特開2006−265573号公報 特開2002−080993号公報 特開平8−027590号公報 特開平10−204675号公報
上記特許文献1〜8のスズ又はスズ合金浴に添加する化合物としては、概ね含イオウ化合物が主成分になっているが、メッキ浴に含イオウ化合物を添加してスズ又はスズ合金メッキ皮膜の均一性や外観を改善しようとする場合、例えば、特許文献3に開示された2−メルカプトベンゾアゾール誘導体のうち、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾールをスズ又はスズ合金メッキ浴に添加しても、得られるメッキ皮膜は全面に亘り膜厚が一定に揃わず、皮膜の均一性に劣るという問題がある。
また、特許文献8に開示された芳香族スルフィド化合物のうち、4,4−チオジフェノールをスズ又はスズ合金メッキ浴に添加しても、或いは、特許文献4に開示されたチオジフェノールの誘導体である3,4,5−トリヒドロキシジフェニルスルフィドを添加しても、同様に、メッキ皮膜の均一性に劣る。
このように、上記特許文献1〜8に開示された各種含イオウ化合物をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加しても、メッキ皮膜の均一性を向上するには不充分であり、特に、電着皮膜の膜厚や合金組成を均一に保持したり、メッキ浴の濃度が変動しても当該膜厚や合金組成を安定にすることは困難である。
本発明は、電気スズ及びスズ合金メッキに際して、メッキ皮膜の均一性や安定性を向上することを技術的課題とする。
本発明者らは、上記特許文献1〜8に開示されたベンゾアゾール環を有する化合物などの芳香族含イオウ化合物を出発点として、その類縁の環式化合物を中心に、これらをスズ又はスズ合金メッキ浴に添加した場合に、得られるメッキ皮膜の均一性や安定性などに及ぼす影響を鋭意研究した。
その結果、窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子を含み、且つ、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールのいわゆるベンゾアゾール環基を除く単環式複素環基又は縮合複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物について、スズ又はスズ−銀合金及びスズ−銅合金を除く特定のスズ合金メッキ浴に添加すると、得られるメッキ皮膜の膜厚や合金組成のバラツキを抑えてメッキ皮膜の均一性を向上できるとともに、メッキ浴の濃度が変動しても当該膜厚や合金組成を安定化できること、スズ−銅合金メッキ浴については、ピリジン、モルホリン、ベンゾアゾール環基を除く上記複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物の添加により、また、スズ−銀合金メッキ浴については、ピリジン、モルホリン、ベンゾアゾール環基を除く上記複素環基に隣接してメルカプト基が結合した含イオウ化合物の添加により、同様に、メッキ皮膜の均一性や安定性を向上できることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、(A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び亜鉛、ニッケル、ビスマス、コバルト、インジウム、アンチモン、金、鉛から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかの可溶性塩と、
(B)酸と、
(C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基(但し、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール環基を除く)を有し、且つ、当該複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物
とを含有するスズ及びスズ合金メッキ浴である。
本発明2は、上記本発明1において、含イオウ化合物に具備される単環式複素環基又は縮合複素環基が、テトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、モルホリン、チオフェン、ピリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンより選ばれた複素環基のいずれかであることを特徴とするスズ及びスズ合金メッキ浴である。
本発明3は、(A)可溶性第一スズ塩及び可溶性銅塩の混合物と、
(B)酸と、
(C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基を有し、且つ、当該複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物とを含有し、
上記含イオウ化合物(C)の単環式複素環基又は縮合複素環基がチアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンより選ばれた複素環基のいずれかであることを特徴とするスズ−銅合金メッキ浴である。
本発明4は、(A)可溶性第一スズ塩及び可溶性銀塩の混合物、
(B)酸と、
(C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基(但し、ピリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール環基を除く)を有し、且つ、当該複素環基に隣接してメルカプト基が結合した含イオウ化合物
とを含有するスズ−銀合金メッキ浴である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、界面活性剤、酸化防止剤、光沢剤、半光沢剤、錯化剤、pH調整剤より選ばれた添加剤の少なくとも一種を含有することを特徴とするスズ及びスズ合金メッキ浴である。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかのスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金皮膜を形成した電子部品である。
窒素、イオウ、或いは酸素を含む単環式複素環基又は縮合複素環基を有する特定のスルフィド類又はメルカプタン類をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加するため、メッキ浴から得られる電着皮膜の膜厚や合金組成を均一に保持でき、メッキ皮膜の均一性に優れるとともに、メッキ浴の濃度が変動しても当該膜厚や合金組成を安定化できる。
このため、本発明のスズ、又は、スズ−銀合金、スズ−銅合金、スズ−ビスマス合金、スズ−亜鉛合金、スズ−ニッケル合金などの各種のスズ合金メッキ浴を用いて基板に電着皮膜を形成しても、メッキの全面に亘り膜厚が薄い部位や皮膜の合金組成が異なる部位の発生を防止することができるため、当該メッキ皮膜を介して電子部品を基板に良好に接合して製品の信頼性を高められる。
特許文献1には、2−メルカプトベンズイミダゾール−S−メタンスルホン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾール−S−プロパンスルホン酸塩などのベンゾアゾール系スルホン酸化合物を含有するスズ及びスズ合金メッキ浴が記載され、特許文献3(特開2009−185358号公報)には、2−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−ヒドロキシブチルチオ)ベンゾチアゾールなどの2−メルカプトベンゾチアゾール系の誘導体をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加することが記載され、特許文献4(特開2010−265491号公報)には、ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸塩などのジベンゾアゾールジスルフィドスルホン酸化合物をスズ又はスズ合金メッキ浴に添加することが記載され、或いは、特開2001−254194号公報には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのベンゾアゾール化合物をスズ浴、或いはスズ−鉛合金浴に添加することが記載されている。
これらの化合物は、いずれもベンゾアゾール環基とスルフィド基が隣接した含イオウ化合物であるが、本発明のスズ及びスズ合金メッキ浴に添加する含イオウ化合物にあっては、当該含イオウ化合物を構成する単環式複素環基又は縮合複素環基に、いわゆるベンゾアゾール環基は含まれない。
また、特許文献2には、ジピリジルジスルフィド、トリアゾリルジスルフィド、ジテトラゾリルジスルフィド、ジイミダゾリルジスルフィド、ジチアゾリルジスルフィド、ジモルホリノジスルフィド、ジピリダジニルジスルフィド、ジキノリルジスルフィドなどの単環式複素環基又は縮合複素環基を有する特定のスルフィド化合物をスズ−銀合金を含む銀合金メッキ浴に添加することが記載される。
特許文献5や特許文献8にも、2,2′−ジピリジルジスルフィドなどの芳香族スルフィド類やメルカプトピリジンなどの芳香族メルカプタン類をスズ−銀合金メッキ浴に添加することが記載される。
これらの化合物は、いずれもピリジン環、トリアゾール環基、イミダゾリン環基などの複素環基とスルフィド基が隣接した含イオウ化合物であるが、本発明のスズ−銀合金メッキ浴に添加する含イオウ化合物にあっては、当該含イオウ化合物を構成する単環式複素環基又は縮合複素環基に結合するのはメルカプト基だけであり、スルフィド基は排除されるうえ、当該複素環基にピリジン環基は含まれない。
また、特許文献1、3〜4のスズ合金メッキ浴にはスズ−銀合金メッキ浴を含み、特許文献1ではスルフィド類に属するベンゾアゾール系スルホン酸化合物を、特許文献3ではスルフィド類に属する2−メルカプトベンゾアゾール誘導体を、特許文献4ではスルフィド類に属するジベンゾアゾールジスルフィドスルホン酸化合物を夫々添加するが、本発明のスズ−銀合金メッキ浴に添加する含イオウ化合物を構成する複素環基には、いわゆるベンゾアゾール環基を含まないうえ、複素環基に結合するのはスルフィド基ではなく、メルカプト基である。
特許文献6には、スズ−銅合金メッキ浴にメルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾイミダゾール系化合物などの2−メルカプト基含有芳香族化合物を添加することが記載され、特許文献7には、シアン系スズ−銅合金メッキ浴に2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプタン類や、ジベンゾチアゾリルジスルフィド、ベンゾチアゾリルモルホリノジスルフィドなどのスルフィド類が記載される。
また、上述したように、特許文献1、3〜4のスズ合金メッキ浴にはスズ−銅合金メッキ浴を含み、特許文献1ではスルフィドに属するベンゾアゾール系スルホン酸化合物を、特許文献3ではスルフィドに属する2−メルカプトベンゾアゾール誘導体を、特許文献4ではスルフィドに属するジベンゾアゾールジスルフィドスルホン酸化合物を夫々添加することが記載される。
しかしながら、本発明のスズ−銅合金メッキ浴に添加する含イオウ化合物を構成する単環式複素環基又は縮合複素環基には、ピリジン環基、モルホリン環基、或いはいわゆるベンゾアゾール環基は共に含まれない。
本発明は、第一に、窒素、イオウ、或いは酸素を含む単環式複素環基又は縮合複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物を含有するスズ及びスズ−亜鉛合金、スズ−ニッケル合金、スズ−ビスマス合金などの特定のスズ合金メッキ浴であり、第二に、同様の単環式複素環基又は縮合複素環基とスルフィド基又はメルカプト基が隣接状に位置する含イオウ化合物を含有するスズ−銅合金メッキ浴であり、第三に、同様の単環式複素環基又は縮合複素環基とメルカプト基が隣接状に位置する含イオウ化合物を含有するスズ−銀合金メッキ浴であり、第四に、これらのスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて電着皮膜を形成した電子部品である。
この場合、第一の発明(つまり、上記本発明1のスズ浴、或いは特定のスズ合金浴)において、単環式複素環基又は縮合複素環基から、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール環基からなる、いわゆるベンゾアゾール環基は除かれるとともに、上記特定のスズ合金浴にスズ−銅合金及びスズ−銀合金のメッキ浴は含まれない。
第二の発明(上記本発明3のスズ−銅合金メッキ浴)において、単環式複素環基又は縮合複素環基はチアゾールなどの所定の環基であり、ピリジン環基、モルホリン環基、ベンゾアゾール環基、テトラゾール環基、トリアゾール環基は除かれる。
第三の発明(上記本発明4のスズ−銀合金メッキ浴)において、単環式複素環基又は縮合複素環基から、ピリジン環基、ベンゾアゾール環基は除かれるとともに、当該複素環基に隣接するのはメルカプト基だけであり、スルフィド基は除かれる。
本発明1はスズメッキ浴及びスズ合金メッキ浴からなり、一方のスズメッキ浴は、(A)可溶性第一スズ塩と、(B)酸と、(C)単環式複素環基又は縮合複素環基を有し、且つ、当該複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物とを含有する。
他方、本発明1のスズ合金メッキ浴は、スズ−銅合金とスズ−銀合金を除く特定のスズ合金のメッキ浴であり、(A)第一スズ塩及び亜鉛、ニッケル、ビスマス、コバルト、インジウム、アンチモン、金、鉛から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかの可溶性塩と、(B)酸と、上記含イオウ化合物(C)とを含有する。
本発明1の特徴は、スズ浴或いはスズ合金浴に含イオウ化合物(C)を添加することにあり、含イオウ化合物を構成する単環式複素環基又は縮合複素環基は、窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む。
上記単環式複素環基又は縮合複素環基の好ましい例としては、テトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、モルホリン、チオフェン、ピリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンであり(本発明2参照)、より好ましくはテトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、チオフェン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、フェナントロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジンである。
前述したように、この単環式又は複合式の複素環基については、本発明3のスズ−銅合金メッキ浴では、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールよりなる、いわゆるベンゾアゾール環基、ピリジン環基、モルホリン環基、或は、テトラゾール環基、トリアゾール環基が除かれるため、これらを除いた複素環基の中から好ましいものを選択することになる。
本発明4のスズ−銀合金メッキ浴では、ベンゾアゾール環基、ピリジン環基が除かれ、本発明1のスズメッキ浴、或いはスズ−銀合金とスズ−銅合金を除く特定のスズ合金メッキ浴では、ベンゾアゾール環基が排除され、排除で残った複素環基から具体的に選択する点はスズ−銅合金メッキ浴の場合と同じである。
本発明1〜3において、上記含イオウ化合物(C)は単環式複素環基又は縮合複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が隣接するが、本発明4のスズ−銀合金メッキ浴では、当該複素環基に隣接するのはメルカプト基だけであり、スルフィド基は除かれる。
スルフィド基はモノスルフィドだけではなく、ジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィドなどの2〜5個のイオウ原子が結合したポリスルフィドを包含する。
複素環基に隣接するスルフィド基の場合、モノスルフィド又はポリスルフィドの間にC1〜C6アルキレン基が介在しても良い。但し、この場合でも、複素環基に隣接するのは必ずスルフィド基であって、アルキレン基ではない。
また、複素環基とスルフィド基の結合では、スルフィド基の両側に隣接して複素環基が結合しても良いし、スルフィド基の一方の側だけに隣接して複素環基が結合し、他方には、例えば、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基などの複素環基以外が結合しても良い。
上記複素環基には、アルキル、アルケニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、カルボキシル、アミノ、ハロゲン、スルホン酸基、アセチル、ニトロ、メルカプト、アルキルスルホン酸基などの置換基が1〜5個結合しても良いし、無置換でも良い。
上記含イオウ化合物(C)の浴中の総濃度は、0.0001〜10モル/Lが好ましく、より好ましくは0.001〜5モル/Lである。
本発明の含イオウ化合物は各種の常法により合成することができる。
例えば、単環式複素環基又は縮合複素環基にモノスルフィド基が隣接した化合物は、ナトリウムチオラートとハロゲン化物を反応させ、モノスルフィド結合を生成するなどの常法により合成される。また、単環式複素環基又は縮合複素環基にジスルフィド基が隣接した化合物は、チオール化合物を過酸化水素やヨウ素などの酸化剤で酸化し、ジスルフィド結合を生成するなどの常法で合成される。
また、単環式複素環基又は縮合複素環基にメルカプト基が隣接した化合物は、ハロゲン化物をアルカリの存在下で硫化水素と反応させるなどの常法により合成される。
ちなみに、本発明の含イオウ化合物は基本的に市販品として入手することができる。
本発明の含イオウ化合物において、入手可能な好ましい具体例を挙げると、5,5′−ジチオビス(1−フェニル−1H−テトラゾール)、4,4′−ジイミダゾールジスルフィド、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、(2−メルカプト−4−メチルチアゾール−5−イル) 酢酸、4−メルカプトモルホリン、3,3′−ジチオビス−1H−1,2,4−トリアゾール、2,2′−ジチオジピリジン、4−メルカプトキノリン−3−スルホン酸、2−メチル−3−フランチオール、2,2′−ジチエニルジスルフィド、2−メルカプトピリジン、メチル−2−ピリジルスルフィド、2−メルカプト−3−ピリジンカルボン酸、2,2′−ジチオビス(5−ニトロピリジン)、2−ピリミジンチオール、4,6′−ジメチルピリミジン−2−チオール、4,6′−ジヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4,6′−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、1,3′−ジチオレン−2−チオン、2−メルカプトチオフェン、1,3,5−トリアゾール−2−トリチオール、1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、3,3−(トリメチレンビスチオ)ビス[4−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール−5(4H)−チオン]、3−(2−ピリジンチオ)−プロパンスルホン酸などである。
本発明1のスズ又はスズ合金メッキ浴において、可溶性第一スズ塩(A)は、基本的に水中でSn2+を発生させる有機酸又は無機酸のスズ塩であり、具体的には、硫酸第一スズ、酢酸第一スズ、ホウフッ化第一スズ、スルファミン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、塩化第一スズ、グルコン酸第一スズ、酒石酸第一スズ、酸化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、メタンスルホン酸第一スズ、エタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズなどが挙げられる。
本発明1の特定のスズ合金メッキ浴において、スズ合金を形成するスズの相手方の金属は亜鉛、ニッケル、ビスマス、コバルト、インジウム、アンチモン、金、鉛より選択される。
この相手方の金属の可溶性塩について述べれば、例えば、ビスマスの可溶性塩には、硫酸ビスマス、グルコン酸ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、炭酸ビスマス、塩化ビスマス、メタンスルホン酸ビスマス、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ビスマスなどがある。
インジウムの可溶性塩には、スルファミン酸インジウム、硫酸インジウム、ホウフッ化インジウム、酸化インジウム、メタンスルホン酸インジウム、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸インジウムなどがある。
亜鉛の可溶性塩には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、ピロリン酸亜鉛、シアン化亜鉛、メタンスルホン酸亜鉛、2−ヒドロキシエタンスルホン酸亜鉛、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸亜鉛などがある。
アンチモンの可溶性塩には、ホウフッ化アンチモン、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、ピロアンチモン酸カリウム、酒石酸アンチモン、メタンスルホン酸アンチモン、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸アンチモンなどがある。
ニッケルの可溶性塩には、硫酸ニッケル、ギ酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、ホウフッ化ニッケル、酢酸ニッケル、メタンスルホン酸ニッケル、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ニッケルなどがある。
鉛の可溶性塩には、酢酸鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、ホウフッ化鉛、スルファミン酸鉛、メタンスルホン酸鉛、エタンスルホン酸鉛、2−ヒドロキシエタンスルホン酸鉛、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸鉛などがある。
コバルトの可溶性塩には、硫酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、ホウフッ化コバルト、メタンスルホン酸コバルト、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸コバルトなどがある。
上記金属の可溶性塩の浴中の総濃度は、一般に金属塩換算で1〜200g/L、好ましくは10〜100g/Lである。
また、可溶性第一スズ塩と、合金を形成する相手方の金属の可溶性塩との混合割合は、所望するスズ合金メッキ皮膜の組成比に応じて適宜調整すれば良い。
本発明1のスズ合金はスズと、亜鉛、ニッケル、ビスマス、コバルト、インジウム、アンチモン、金、鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属のみとの2成分系、或は3成分系以上の合金を意味し、具体的には、スズ−ビスマス、スズ−インジウム、スズ−亜鉛、スズ−アンチモン、スズ−ニッケル、スズ−金、スズ−コバルト、スズ−鉛の2成分系の合金を初め、スズ−亜鉛−ニッケル、スズ−ビスマス−鉛などの3成分系以上の合金を包含する。
浴管理の観点からは既述の2成分系のスズ合金が好ましい。
本発明1のスズ又はスズ合金メッキ浴において、浴ベースとなる酸(B)は、有機酸、無機酸、或はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などである。
上記有機酸としては、有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などが挙げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などが挙げられる。この中では、硫酸浴を初め、スズの溶解性、排水処理の容易性などの見地から有機スルホン酸又はその塩の浴が好ましい。
上記酸又はその塩は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜10モル/L、好ましくは0.5〜5モル/Lである。
上記有機スルホン酸は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、スルホコハク酸、芳香族スルホン酸などであり、アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸(イセチオン酸)、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸(2−プロパノールスルホン酸)、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、基本的にベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであり、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸などが挙げられる。
上記有機スルホン酸では、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸などが好ましい。
本発明3のスズ−銅合金メッキ浴は、(A)可溶性第一スズ塩と可溶性銅塩の混合物と、(B)酸と、(C)含イオウ化合物とを含有する。
成分(A)のうち、銅の可溶性塩には、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、ピロリン酸銅、塩化銅、シアン化銅、ホウフッ化銅、スルファミン酸銅、メタンスルホン酸銅、2−ヒドロキシエタンスルホン酸銅、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸銅などがある。
成分(B)の酸は本発明1と同様である。
成分(C)の含イオウ化合物は、複素環基からベンゾアゾール環基に加えて、ピリジン環基、モルホリン環基、テトラゾール環基、トリアゾール環基を排除する以外は、基本的に本発明1と同様である。
従って、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのベンゾアゾール化合物だけではなく、メルカプトピリジンやモルホリノスルフィドなどの含イオウ化合物を添加したスズ−銅合金浴は、本発明3のスズ−銅合金メッキ浴から排除される。
本発明3のスズ−銅合金メッキ浴の場合、単環式複素環基又は縮合複素環基の具体例としては、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンであり、より好ましくはテトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、チオフェン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、フェナントロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジンである。
本発明4のスズ−銀合金メッキ浴は、(A)可溶性第一スズ塩と可溶性銀塩の混合物と、(B)酸と、(C)含イオウ化合物とを含有する。
成分(A)のうち、銀の可溶性塩としては、酢酸銀、硝酸銀、塩化銀、酸化銀、シアン化銀、シアン化銀カリウム、メタンスルホン酸銀、2−ヒドロキシエタンスルホン酸銀、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸銀などが挙げられる。
成分(B)の酸は本発明1と同じである。
成分(C)の含イオウ化合物は、複素環基からベンゾアゾール環基に加えてピリジン環基を排除する点と、複素環基に隣接して結合するのはメルカプト基であってスルフィド基は排除される点以外は、基本的に本発明1と同様である。
従って、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのベンゾアゾール環基とメルカプト基が結合した含イオウ化合物、メルカプトピリジンのようなピリジン環基とメルカプト基が結合した含イオウ化合物、或いは、トリアゾールスルフィド、ジイミダゾールジスルフィドなどの単環式複素環基とスルフィド基が結合した含イオウ化合物を添加したスズ−銅合金浴は、本発明4のスズ−銀合金メッキ浴から排除される。
本発明4のスズ−銀合金浴の場合、単環式複素環基又は縮合複素環基の好ましい例としては、テトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、モルホリン、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンであり、より好ましくはテトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、チオフェン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、フェナントロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジンである。
本発明1〜4は酸性、中性(弱酸性を含む)などの任意のpH領域のスズ又はスズ合金メッキ浴に適用できる。
基本的に、第一スズイオンは酸性では安定であるが、中性付近では白色沈澱が生じ易い。このため、本発明を中性付近のスズメッキ浴に適用する場合には、スズイオンを安定化させる目的で、錯化剤を含有するのが好ましい。
上記錯化剤は、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸などであり、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。
また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、或はこれらの塩などのポリアミンやアミノカルボン酸類も錯化剤として有効である。
また、本発明1〜4のスズ合金メッキ浴では、スズと合金を形成する相手方の銀、銅、ビスマスなどに電極電位が錫より貴な金属が多いため、これらの各種イオンを浴中で安定にしてスズと共析化させる見地から、安定剤を適宜添加するのが良い。
当該安定剤としては、チオ尿素、或はジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、チオセミカルバジドなどのチオ尿素誘導体などのチオアミド類、チオグリコール(HS−CH2CH2OH)、チオグリコール酸(HSCH2COOH)、メルカプトプロピオン酸(CH3CH(SH)COOH)、メルカプトコハク酸などのメルカプタン類、チオジグリコール(HOCH2CH2−S−CH2CH2OH)、チオビス(ドデカエチレングリコール)(H−(OCH2CH2)12−S−(CH2CH2O)12−H)、チオジグリコール酸(HOOCCH2−S−CH2COOH)、ジチオジアニリン、ジピリジルジスルフィド、3,6−ジチオ−1,8−オクタンジオール、4,7−ジチオ−1,10−デカンジオールなどのスルフィド類、或は、亜硫酸塩等が挙げられる。
さらに、前記錯化剤として列挙したオキシカルボン酸、ポリカルボン酸又はこれらの塩、或はポリアミンやアミノカルボン酸類なども有効である。
また、本発明1〜4のスズ及びスズ合金メッキ浴には、上記錯化剤や安定剤の外にも、酸化防止剤、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤、消泡剤などの各種添加剤を含有できる。
上記酸化防止剤は浴中のSn2+の酸化防止を目的としたもので、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドロキシナフタレンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。例えば、中性浴ではアスコルビン酸又はその塩などが好ましい。
上記界面活性剤は、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善を目的とし、通常のアニオン系、カチオン系、ノニオン系、或は両性などの各種界面活性剤が使用できる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
上記平滑剤としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、ゼラチン、ポリペプトン、N-(3-ヒドロキシブチリデン)-p-スルファニル酸、N-ブチリデンスルファニル酸、N-シンナモイリデンスルファニル酸、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、上記平滑剤とも多少重複するが、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリリデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
上記導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられるが、上記pH調整剤で共用できる場合もある。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかのスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金の電着皮膜を形成した電子部品である。
上記電子部品としては、プリント配線板、ガラス基板、シリコン基板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルター、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線、太陽電池などが挙げられる。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴を用いた電気メッキでは、バレルメッキ、ラックメッキ、高速連続メッキ、ラックレスメッキ、カップメッキ、ディップメッキなどの各種メッキ方式が採用できる。
電気メッキの条件としては、浴温は0℃以上、好ましくは10〜50℃程度であり、陰極電流密度は0.001〜30A/dm2、好ましくは0.01〜10A/dm2である。
以下、本発明のスズ及びスズ合金メッキ浴の実施例、実施例のメッキ浴から得られた各電着皮膜の膜厚の均一性試験例、実施例のスズ合金浴から得られた各電着皮膜の合金組成の均一性試験例、メッキ皮膜の安定性試験例を順次述べる。
尚、本発明は下記の合成例、実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《スズ及びスズ合金メッキ浴の実施例》
実施例1〜10のうち、実施例1〜2はスズメッキ浴の例、実施例3はスズ−金合金メッキ浴の例、実施例4はスズ−亜鉛合金メッキ浴の例、実施例5はスズ−ニッケル合金メッキ浴の例、実施例6はスズ−ビスマス合金メッキ浴の例、実施例7はスズ−コバルト合金メッキ浴の例、実施例8はスズ−インジウム合金メッキ浴の例、実施例9はスズ−鉛合金メッキ浴の例、実施例10はスズ−アンチモン合金メッキ浴の例である。
この実施例1〜10において、実施例1〜2、6〜7、10は本発明の含イオウ化合物が複素環基を有するスルフィド類の例、実施例3〜5、8〜9は複素環基を有するメルカプタン類の例である。
一方、比較例1は実施例1を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例2は同じく実施例1を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例3は実施例3を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例4は同じく実施例3を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例5は実施例4を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例6は同じく本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例7は実施例5を基本として、本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、実施例8同じく実施例5を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例9は実施例6を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例10は同じく実施例6を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例11は実施例7を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例12は同じく実施例7を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例13は本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例14は同じく実施例8を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例15は実施例9を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例16は同じく実施例9を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。比較例17は実施例10を基本として本発明とは異なる含イオウ化合物を含む例、比較例20は同じく実施例10を基本として本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である。
(1)実施例1
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸 125g/L
5,5′−ジチオビス(1−フェニル−1H−テトラゾール) 5g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO13モル) 5g/L
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 3g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(2)実施例2
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 35g/L
メタンスルホン酸 150g/L
4,4′−ジイミダゾールジスルフィド 0.5g/L
プルロニック系界面活性剤 10g/L
2,2′−ビピリジル 0.03g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:30℃
(3)実施例3
下記の組成でスズ−金合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/l
亜硫酸金ナトリウム(Au+として) 2g/L
亜硫酸ナトリウム 80g/L
2−メルカプト−1−メチルイミダゾール 30g/L
テトロニック系界面活性剤 10g/L
β−ナフトールポリエトキシレート(EO12モル) 3g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(4)実施例4
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 2g/L
硫酸 100g/L
(2−メルカプト−4−メチルチアゾール−5−イル) 酢酸 3.5g/L
ドデシルアルコールポリエトキシレート(EO15モル) 5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:30℃
(5)実施例5
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として) 40g/L
スルファミン酸 125g/L
ホウ酸 30g/L
4−メルカプトモルホリン 1g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:50℃
(6)実施例6
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 40g/L
メタンスルホン酸 100g/L
3,3′−ジチオビス−1H−1,2,4−トリアゾール 2g/L
スチレン化ポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(7)実施例7
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 10g/L
硫酸 150g/L
2,2′−ジチオジピリジン 10g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(8)実施例8
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
スルファミン酸インジウム(In3+として) 10g/L
スルファミン酸 150g/L
4−メルカプトキノリン−3−スルホン酸 4g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド 2g/L
ポリエチレンイミン 1g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(9)実施例9
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 40g/L
メタンスルホン酸 150g/L
2−メチル−3−フランチオール 0.3g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
テトロニック系界面活性剤 2g/L
カテコール 0.75g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(10)実施例10
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 50g/L
塩化アンチモン(Sb2+として) 50g/L
フッ化ナトリウム 40g/L
酸性フッ化アンモニウム 20g/L
2,2′−ジチエニルジスルフィド 5g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
ポリエチレングリコール(分子量4000) 10g/L
イミダゾリン系両性界面活性剤 0.5g/L
ハイドロキノン 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(12)比較例1
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸 125g/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 5g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO13モル) 5g/L
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 3g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(13)比較例2
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸 125g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO13モル) 5g/L
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 3g/L
カテコール 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:30℃
(14)比較例3
下記の組成でスズ−金合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/l
亜硫酸金ナトリウム(Au+として) 2g/L
亜硫酸ナトリウム 80g/L
DL−メチオニン 1.5 g/L
テトロニック系界面活性剤 10g/L
β−ナフトールポリエトキシレート(EO12モル) 3g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(15)比較例4
下記の組成でスズ−金合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/l
亜硫酸金ナトリウム(Au+として) 2g/L
亜硫酸ナトリウム 80g/L
テトロニック系界面活性剤 10g/L
β−ナフトールポリエトキシレート(EO12モル) 3g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(16)比較例5
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
プロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
プロパンスルホン酸銅(Cu2+として) 35g/L
プロパンスルホン酸 120g/L
チオ尿素 3g/L
アルキルグリシン系両性界面活性剤 2.5g/L
ポリビニルピロリドン 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(17)比較例6
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
プロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
プロパンスルホン酸銅(Cu2+として) 35g/L
プロパンスルホン酸 120g/L
アルキルグリシン系両性界面活性剤 2.5g/L
ポリビニルピロリドン 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(18)比較例7
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 2g/L
硫酸 100g/L
3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸 5.0g/L
ドデシルアルコールポリエトキシレート(EO15モル) 5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:35℃
(19)比較例8
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 2g/L
硫酸 100g/L
ドデシルアルコールポリエトキシレート(EO15モル) 5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:35℃
(20)比較例9
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として) 40g/L
スルファミン酸 125g/L
ホウ酸 30g/L
4,4−チオジフェノール 1g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:50℃
(21)比較例10
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として) 40g/L
スルファミン酸 125g/L
ホウ酸 30g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
カテコール 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:50℃
(22)比較例11
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 40g/L
メタンスルホン酸 100g/L
3,3′−ジチオビス−プロパンスルホン酸ジナトリウム塩 4.5g/L
スチレン化ポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(23)比較例12
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 40g/L
メタンスルホン酸 100g/L
スチレン化ポリエトキシレート(EO10モル) 5g/L
ハイドロキノン 3g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(24)比較例13
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 10g/L
硫酸 150g/L
ジチオジアニリン 10g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(25)比較例14
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 10g/L
硫酸 150g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(26)比較例15
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
スルファミン酸インジウム(In3+として) 10g/L
スルファミン酸 150g/L
イミダゾール 10g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド 2g/L
ポリエチレンイミン 1g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(27)比較例16
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
スルファミン酸インジウム(In3+として) 10g/L
スルファミン酸 150g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド 2g/L
ポリエチレンイミン 1g/L
カテコール 0.5g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(28)比較例17
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 40g/L
メタンスルホン酸 150g/L
タウリン 20g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
テトロニック系界面活性剤 2g/L
カテコール 0.75g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(29)比較例18
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 40g/L
メタンスルホン酸 150g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
テトロニック系界面活性剤 2g/L
カテコール 0.75g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(30)比較例19
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 50g/L
塩化アンチモン(Sb2+として) 50g/L
フッ化ナトリウム 40g/L
酸性フッ化アンモニウム 20g/L
2−アミノエタンチオール 2.5g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
ポリエチレングリコール(分子量4000) 10g/L
イミダゾリン系両性界面活性剤 0.5g/L
ハイドロキノン 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
(31)比較例20
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 50g/L
塩化アンチモン(Sb2+として) 50g/L
フッ化ナトリウム 40g/L
酸性フッ化アンモニウム 20g/L
2,2′−ジチエニルジスルフィド 5g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20モル) 10g/L
ポリエチレングリコール(分子量4000) 10g/L
イミダゾリン系両性界面活性剤 0.5g/L
ハイドロキノン 1g/L
イオン交換水 残部
[メッキ温度]
浴温:25℃
そこで、実施例1〜10及び比較例1〜20の各スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて電気メッキを行い、得られた各電着皮膜について、メッキ膜厚の均一性、合金組成の均一性、或いは、メッキ皮膜の安定性の評価試験を行った。
《メッキ膜厚の均一性試験例》
25mm×25mm角の平板鋼板に陰極電流密度3A/dm2、メッキ時間30分の条件で電気メッキを行い、得られたメッキ皮膜の全面に適正にバラつかせて選択した10地点の膜厚を測定し、この10点測定した数値のうち、その最大膜厚La、最小膜厚Sa、平均膜厚Taから次式で表される変動率Qa(%)を算出し、下記の基準で膜厚の均一性の優劣を評価した。
Qa=〔(La−Sa)/Ta〕×100
[評価基準]
〇:変動率Qaが20%以下である。
×:変動率Qaが20%より大きい。
《メッキ皮膜の合金組成の均一性試験例》
25mm×25mm角の平板鋼板に陰極電流密度3A/dm2、メッキ時間30分の条件で電気スズ合金メッキを行い、得られたメッキ皮膜の全面に適正にバラつかせて選択した10地点の膜厚を測定し、この10点測定した数値のうち、スズの相手方の金属の最大組成Lb、最小組成Sb、平均組成Tbから次式で表される変動率Qb(%)を算出し、下記の基準で合金組成の均一性の優劣を評価した。
Qb=〔(Lb−Sb)/Tb〕×100
[評価基準]
〇:変動率Qbが20%以下である。
×:変動率Qbが20%より大きい。
《メッキ皮膜の安定性試験例》
各メッキ液成分を0.8倍、1.2倍濃度で建浴し、各メッキ液を用いて得られた電着皮膜の膜厚、或いは、スズ合金組成が、1.0倍のメッキ液組成を用いた場合のこれらの膜厚や合金組成に対する差異の有無を調べて、下記の基準でメッキ皮膜の安定性の優劣を評価した。
[評価基準]
〇:差異が±15%以内であり、良好な安定性を示した。
×:差異が±15%を越えており、安定性は低かった。
下表は上記各試験の結果である。
メッキ浴種 膜厚均一性 合金組成均一性 安定性
実施例1 Sn 〇 −− 〇
実施例2 Sn 〇 −− 〇
実施例3 Sn-Au 〇 〇 〇
実施例4 Sn-Zn 〇 〇 〇
実施例5 Sn-Ni 〇 〇 〇
実施例6 Sn-Bi 〇 〇 〇
実施例7 Sn-Co 〇 〇 〇
実施例8 Sn-In 〇 〇 〇
実施例9 Sn-Pb 〇 〇 〇
実施例10 Sn-Sb 〇 〇 〇
比較例1 Sn × −− 〇
比較例2 Sn × −− 〇
比較例3 Sn-Au × 〇 〇
比較例4 Sn-Au × × ×
比較例5 Sn-Cu 〇 × ×
比較例6 Sn-Cu × × 〇
比較例7 Sn-Zn × × 〇
比較例8 Sn-Zn × 〇 〇
比較例9 Sn-Ni × × 〇
比較例10 Sn-Ni × × ×
比較例11 Sn-Bi × 〇 ×
比較例12 Sn-Bi 〇 × ×
比較例13 Sn-Co 〇 × 〇
比較例14 Sn-Co 〇 × ×
比較例15 Sn-In 〇 〇 ×
比較例16 Sn-In × × ×
比較例17 Sn-Pb 〇 × 〇
比較例18 Sn-Pb 〇 × 〇
比較例19 Sn-Sb × 〇 〇
比較例20 Sn-Sb × × 〇
《メッキ皮膜の均一性及び安定性の試験結果に基づく総合評価》
上表によると、本発明の含イオウ化合物を含まないブランク例である比較例4(スズ−金合金浴)、比較例10(スズ−ニッケル合金浴)、比較例16(スズ−インジウム合金浴)では、メッキ膜厚及び合金組成の均一性、安定性の3つの試験項目のすべてで劣っており、同じくブランク例の比較例6(スズ−銅合金浴)、比較例12(スズ−ビスマス合金浴)、比較例14(スズ−コバルト合金浴)、比較例20(スズ−アンチモン合金浴)では、3つの試験項目のうちの2つまでが劣っていた。また、ブランク例の比較例2(スズ浴)では膜厚の均一性が劣っており、残りのブランク例(比較例8(スズ−亜鉛合金浴)、比較例18(スズ−鉛合金浴)など)でも、3つの試験項目のうちの1つが劣っていた。
これに対して、本発明の含イオウ化合物をスズ浴、或いは特定のスズ合金浴に添加した実施例1〜10では、3つの試験項目ともに良好な結果を示し、単環式複素環基又は縮合複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した本発明の含イオウ化合物をスズ浴或いはスズ合金浴に添加すると、メッキ皮膜の膜厚の均一性だけではなく、合金組成の均一性をも改善でき、また、メッキ浴の成分濃度が変化してもこれら膜厚や合金組成を安定に保持できることが確認できた。
一方、本発明とは異なる含イオウ化合物(脂肪族系のスルフィド類)をスズ浴に添加した比較例1では、メッキ皮膜の安定性は良好であったが、膜厚の均一性で劣っていた。同じく脂肪族系のスルフィド類をスズ−金合金浴に添加した比較例3、或いは、スズ−アンチモン合金浴に添加した比較例19でも膜厚の均一性に劣っていた。スルフィド類に代えて、脂肪族系のメルカプタン類をスズ−亜鉛合金浴に添加した比較例7では膜厚の均一性及び合金組成の均一性ともに劣っていた。チオ尿素をスズ−銅合金浴に添加した比較例5では合金組成の均一性及びメッキ皮膜の安定性ともに劣っていた。
また、芳香族系のスルフィド類をスズ−ニッケル合金浴に添加した比較例9では膜厚の均一性及び合金組成の均一性ともに劣り、同じくスズ−コバルト合金浴に添加した比較例13でも合金組成の均一性に劣っていた。
本発明とは別種の複素環基を有する含イオウ化合物をスズ−インジウム合金浴に添加した比較例15ではメッキ皮膜の安定性に劣り、スズ−鉛合金浴に添加した比較例17では合金組成の均一性に劣っていた。
これに対して、本発明の含イオウ化合物をスズ浴、或いはスズ合金浴に添加した実施例1〜10では、3つの試験項目ともに良好な結果を示すことから、同じ含イオウ化合物であっても、メッキ皮膜の均一性及び安定性の面で、特定の複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した本発明の含イオウ化合物の、比較例(比較例3、などの奇数の例)の化合物に対する優位性が裏付けられた。

Claims (6)

  1. (A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び亜鉛、ニッケル、ビスマス、コバルト、インジウム、アンチモン、金、鉛から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかの可溶性塩と、
    (B)酸と、
    (C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基(但し、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール環基を除く)を有し、且つ、当該複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物
    とを含有するスズ及びスズ合金メッキ浴。
  2. 含イオウ化合物に具備される単環式複素環基又は縮合複素環基が、テトラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、モルホリン、チオフェン、ピリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンより選ばれた複素環基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金メッキ浴。
  3. (A)可溶性第一スズ塩及び可溶性銅塩の混合物と、
    (B)酸と、
    (C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基を有し、且つ、当該複素環基に隣接してスルフィド基又はメルカプト基が結合した含イオウ化合物とを含有し、
    上記含イオウ化合物(C)の単環式複素環基又は縮合複素環基がチアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、キノリン、フラン、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、カルバゾール、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナントリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、チアントレンより選ばれた複素環基のいずれかであることを特徴とするスズ−銅合金メッキ浴
  4. (A)可溶性第一スズ塩及び可溶性銀塩の混合物、
    (B)酸と、
    (C)窒素、イオウ、酸素から選ばれた原子の少なくとも一種を1〜5個含む単環式複素環基又は縮合複素環基(但し、ピリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール環基を除く)を有し、且つ、当該複素環基に隣接してメルカプト基が結合した含イオウ化合物
    とを含有するスズ−銀合金メッキ浴
  5. 界面活性剤、酸化防止剤、光沢剤、半光沢剤、錯化剤、pH調整剤より選ばれた添加剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスズ及びスズ合金メッキ浴。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項のスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金皮膜を形成した電子部品
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