JP6645609B2 - 錫合金めっき液 - Google Patents

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Description

本発明は、電気めっき法により錫合金のめっき膜を形成するための錫合金めっき液に関する。更に詳しくは、半導体ウエハやプリント基板用のはんだバンプ形成に適する錫合金めっき液に関するものである。
導電性物体に錫合金めっき膜、例えば錫−銀合金めっき膜を形成するために使用する錫合金めっき浴(液)は、浴中の錫イオンと他の金属イオン(例えば銀イオン)の酸化還元電位が大きく異なる場合、錫よりも貴な金属イオンがめっき浴中で不溶性の塩や金属単体を生成して析出しやすく、安定的にめっき浴を保持することが困難であることが知られている。このため、従来は、例えば錫−銀合金めっき液として、シアン化合物を含有するめっき液が使用されていた。しかしながら、この浴は有毒なシアン化合物を含有しているため、極めて毒性が高く、取り扱い上種々の問題を生じる。
シアン化合物を含有しない錫合金めっき浴として、従来、種々のめっき浴(液)が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。特許文献1は、非シアン系の安定な銀及び銀合金めっき浴を示し、この銀及び銀合金めっき浴は、(A)銀塩と、銀塩及び錫、ビスマス、インジウム、鉛などの金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩、(B)分子内に1個以上の塩基性窒素原子を有する2,2′−ジピリジルスルフィド、2,2′−ジピペラジニルジスルフィドなどの特定スルフィド系化合物、或は1−アザ−7−オキサ−4,10−ジチアシクロドデカンなどの特定チオクラウンエーテル化合物を含有する。このめっき浴は、これらの特定化合物の含有により、チオグリコール酸などの他のイオウ系化合物の含有浴に比べて、めっき浴の経時安定性、銀と種々の金属の共析化、電着皮膜の外観などに優れるとされる。
特許文献2は、非シアン系の安定な銀及び銀合金めっき浴を示し、この銀及び銀合金めっき浴は、(A)銀塩と、銀塩及び錫、ビスマス、インジウム、鉛などの金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩、(B)分子内に1個以上のエーテル性酸素原子、1−ヒドロキシプロピル基、又はヒドロキシプロピレン基を含み、塩基性窒素原子を含まないチオビス(ジエチレングリコール)、ジチオビス(トリグリセロール)、3,3′−チオジプロパノール、チオジグリセリンなどの特定の脂肪族スルフィド系化合物を含有する。このめっき浴によれば、これらの特定化合物の含有により、エーテル性酸素原子、1−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基を含まない脂肪族モノスルフィド化合物であるチオジグリコール酸やβ−チオジグリコールを含有する浴などに比べて、めっき浴の経時安定性、銀と種々の金属の共析化、電着皮膜の外観などに優れるとされる。
特許文献3は、非シアン系の錫−銀合金めっき浴を示し、この錫−銀合金めっき浴は、(a)脂肪族アミノ酸類、含窒素芳香族カルボン酸類の少なくとも一種と、(b)脂肪族スルフィド類、脂肪族メルカプタン類の少なくとも一種とを含有する。(a)の脂肪族アミノ酸類にはグリシンなどが、(a)の含窒素芳香族カルボン酸類にはピコリン酸、3−アミノピラジン−2−カルボン酸などが、(b)の脂肪族スルフィド類には4,7−ジチアデカン−1,10−ジオールなどが、脂肪族メルカプタン類にはチオグリコールなどが挙げられる。このめっき浴では、成分(b)のイオウ化合物を銀の安定剤とし、さらに、グリシンやピコリン酸などの成分(a)を併用することで、錫−銀合金皮膜のハンダ濡れ性と外観を良好に向上できるとされる。
特許文献4は、シアン化物非含有銀系めっき浴を示し、このめっき浴は、銀塩を含む可溶性塩と、特別な一般式で示される化合物からなる群より選ばれた1種以上のスルフィド系化合物とを含有する。このめっき浴によれば、浴中での銀イオンの安定性が改善され、十分な錯体化力が得られるとともに、生産コストを低減でき、実用性に優れるとされる。
特開平11−269691号公報(要約) 特開2000−192279号公報(要約) 特開2006−265572号公報(要約) 特開2007−046142号公報(要約)
上記特許文献1〜4のめっき浴では、めっき浴における銀イオンの安定性又はめっき浴の経時安定性のために、銀を錯体化するための各種錯体化剤を含有している。しかし、特許文献1〜4に示される錯体化剤は、長期にわたってめっき浴を使用したり、長期間めっき液を保管すると、分解し、銀が析出しやすい問題があった。
本発明の目的は、電解安定性及び経時安定性に優れた錫合金めっき液を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、特定のスルフィド化合物を錫合金めっき液に含有させると、使用中においても保管中においてもめっき液中の錫より貴な金属の錯体が分解せずに安定化することを知見し本発明に到達した。
本発明の第の観点は、可溶性錫塩と、錫より貴な金属の可溶性塩と、下記一般式(3)で示されるスルフィド化合物とを含む錫合金めっき液である。但し、式(3)中、nは1〜5である。
Figure 0006645609
本発明の第の観点は、第の観点に係る発明であって、 前記錫より貴な金属が、銀、銅、金及びビスマスより選ばれる少なくとも1種以上の金属である錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1又は第2の観点に係る発明であって、 更にグルコン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、ピロリン酸又はその塩、エチレンジアミン類、チオ尿素類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、及びヒドロキシアルキルホスフィン類から選ばれる少なくとも1種以上の補助錯体化剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1ないし第のいずれかの観点に係る発明であって、 更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤より選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1ないし第のいずれかの観点に係る発明であって、 更に酸化防止剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1ないし第のいずれかの観点に係る発明であって、 更に錫用の錯体化剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1ないし第のいずれかの観点に係る発明であって、 更にpH調整剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点は、第1ないし第のいずれかの観点に係る発明であって、 更に光沢化剤を含む錫合金めっき液である。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、スルフィド化合物が上述した一般式(3)において、錫より貴な金属用の錯体化剤として作用する。そして、水溶性に優れるグリセリル基を両末端に有しており、更に水溶性を上げる効果のあるエチレンオキシド基を1〜5個有しているため、水との水素結合により、スルフィド化合物の水溶性が良好である。更に、一般式(3)において、S原子を含むため、このS原子がめっき液中の錫より貴な金属イオンを十分に錯体化して安定化することができる。これにより、この錫合金めっき液は使用中も保管中も長期間にわたって電解安定性及び経時安定性に優れる。また、めっき電極表面へのスルフィド化合物の吸着が適切に行われるため、平滑化剤として界面活性剤を併用した場合、界面活性剤の作用を阻害することが無く、めっき膜の外観及び膜厚均一性が良好である。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、錫より貴な金属が、銀、銅、金及びビスマスより選ばれる少なくとも1種以上であるため、はんだ濡れ性、実装強度、曲げ性及びリフロー性に優れ、ウィスカーが生成しにくいなどの効果がある。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更にグルコン酸又はその塩等の補助錯体化剤を含むため、第1の観点のスルフィド化合物と併用することで、使用中も保管中もめっき液の安定性を更に向上させることができる。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を含むため、めっき膜の外観及び膜厚均一性をより良好にする効果がある。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更に酸化防止剤を含むため、錫合金めっき液中のSn2+の酸化を防止する効果がある。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更に錫用の錯体化剤を含むため、錫合金めっき液を中性付近の錫めっき液に適用する場合には、Sn2+イオンを安定化させる効果がある。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更にpH調整剤を含むため、錫合金めっき液を酸性、弱酸性、中性などの任意のpH領域に調整する効果がある。
本発明の第の観点の錫合金めっき液では、更に光沢化剤を含むため、錫合金めっき膜中の錫合金の結晶粒子を微細化する作用効果がある。
以下に、本発明の第1、第2及び第3の実施形態の錫合金めっき液について説明する。これらの錫合金めっき液は、半導体基板(ウエハ)やプリント基板用のはんだバンプなどとして使用される錫合金のめっき膜の形成用材料として利用される。(なお、以下に記載の「第1及び2の実施の形態」はいずれも「参考の形態」である。)
また第1、第2及び第3の実施形態の錫合金めっき液で作られる錫合金は、錫(Sn)と、錫より貴な金属である、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ビスマス(Bi)より選ばれた所定金属との合金であり、例えば、SnAg合金、SnCu合金、SnAu合金、SnBi合金等の2元合金、SnCuAg合金等の3元合金が挙げられる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態の錫合金めっき液は、可溶性錫塩と、錫より貴な金属の可溶性塩と、上述した一般式(1)で示されるスルフィド化合物とを含む。この錫合金めっき液は更に添加剤を含んでもよい。
〔可溶性錫塩〕
第1の実施形態の錫合金めっき液において用いられる可溶性錫塩は、水に溶解して二価の錫イオンを生成する塩である。可溶性錫塩の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、酸化物、アルカンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩及びアルカノールスルホン酸塩が挙げられる。アルカンスルホン酸塩の具体例としては、メタンスルホン酸塩及びエタンスルホン酸塩が挙げられる。アリールスルホン酸塩の具体例としては、ベンゼンスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩、クレゾールスルホン酸塩及びトルエンスルホン酸塩が挙げられる。アルカノールスルホン酸塩の具体例としては、イセチオン酸塩が挙げられる。
可溶性錫塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における可溶性錫塩の含有量は、錫の量に換算して、好ましくは5g/L以上200g/L以下の範囲、更に好ましくは20g/L以上100g/L以下の範囲である。可溶性錫塩の含有量が過度に少ない場合は、一般的にバンプめっきで使用される電流密度1〜20ASD(1平方デシメートル当りのアンペア)の範囲で、錫の析出が正常に起きにくくなり、良好なバンプ成形ができなくなるおそれがある。一方、可溶性錫塩の含有量が過度に高い場合には、めっき液の粘度が高くなることによりバンプ形成ができにくくなる他、必要以上に錫を含有するため、めっき液のコストが高くなるおそれがある。
〔錫より貴な金属の可溶性塩〕
第1の実施形態の錫合金めっき液において用いられる錫より貴な金属の可溶性塩は、水に溶解する塩である。錫より貴な金属としては、銀、銅、金及びビスマスより選ばれる少なくとも1種以上の金属を挙げることができる。これらの金属の可溶性塩の例は、可溶性錫塩の例と同じである。これらの金属の中で、銀又は銅を含むことが好ましい。錫と銀の合金(SnAg合金)は、共晶組成(Sn−3.5wt%Ag)での融点が221℃と低融点であり、また錫と銅の合金(SnCu合金)は、共晶組成(Sn−1.7wt%Cu)での融点227℃と低融点であり、いずれも、はんだ濡れ性、実装強度、曲げ性及びリフロー性に優れ、ウィスカーが生成しにくいなどの利点がある。錫より貴な金属の可溶性塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態のめっき液における錫より貴な金属の可溶性塩の含有量は、金属の量に換算して、好ましくは0.01g/L以上10g/L以下の範囲、更に好ましくは0.1g/L以上2g/L以下の範囲である。錫より貴な金属の可溶性塩の含有量が過度に少ない場合、又は過度に多い場合は、析出するはんだ合金の組成を共晶組成とすることができず、はんだ合金としての特性が得られなくなる。
〔一般式(1)で示されるスルフィド化合物〕
第1の実施形態の錫合金めっき液において用いられるスルフィド化合物は、上述した一般式(1)で示され、錫より貴な金属用の錯体化剤として作用する。このスルフィド化合物は、主原料のα−チオグリセロールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムの塩基性水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合し撹拌した後、還流し、主原料と副原料を求核置換反応させることで得られる。後述する実施例3のスルフィド化合物を製造するための方法を例示する。1Lのナス形フラスコに溶媒として100mLの純水と100mLのエタノールを用意し、水酸化ナトリウム40gを撹拌しながら溶解させる。その溶解液を25℃まで冷却した後、α−チオグリセロールを108g投入し混合する。その後、副原料として2−クロロエタノールを80g投入し混合する。80℃で18時間還流させた後、蒸留により溶媒を除去することで、後述する構造式(1−3)に示すスルフィド化合物が得られる。
第1の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、クロロメタン、クロロエタン、2−クロロエタノール、3−クロロ−1−プロパノール、1−クロロ−3−メタオキシプロパン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2-(2−クロロエトキシ)エタノール、1−クロロ−3-メトキシ−2−プロパノール、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール、ジメチルクロロアセタール、4−クロロ−1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
〔添加剤〕
第1の実施形態の錫合金めっき液は、酸電解質(遊離酸)、補助錯体化剤、界面活性剤、酸化防止剤、錫用の錯体化剤、pH調整剤、光沢化剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。
(酸電解質)
酸電解質としては、塩化水素、臭化水素、硫酸、アルカンスルホン酸、アリールスルホン酸又はアルカノールスルホン酸が挙げられる。アルカンスルホン酸の具体例としては、メタンスルホン酸又はエタンスルホン酸が挙げられる。アリールスルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸又はトルエンスルホン酸が挙げられる。アルカノールスルホン酸の具体例としては、イセチオン酸が挙げられる。酸電解質は、錫合金めっき液の導電性を高める作用がある。
酸電解質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における酸電解質の含有量は、好ましくは5g/L以上500g/L以下の範囲、更に好ましくは30g/L以上300g/L以下の範囲である。
(補助錯体化剤)
補助錯体化剤としては、グルコン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、ピロリン酸又はその塩、エチレンジアミン類、チオ尿素類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、又はヒドロキシアルキルホスフィン類が挙げられる。補助錯体化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(界面活性剤)
第1の実施形態の錫合金めっき液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、錫合金めっき液と被めっき物との親和性を高める作用と、錫合金めっき膜形成時にめっき膜の表面に吸着してめっき膜内の錫合金の結晶成長を抑制して、結晶を微細化することにより、めっき膜の外観向上、被めっき物との密着性向上、膜厚均一化などの作用がある。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤の具体例としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系活性剤の具体例としては、炭素原子数が1〜20個のアルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、炭素原子数が1〜25個のアルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、炭素原子数が1〜25個のアルキルナフトール、炭素原子数が1〜25個のアルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、炭素原子数が1〜22個の脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における界面活性剤の含有量は、一般に0.01g/L以上50g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上20g/L以下の範囲、より好ましくは1g/L以上10g/L以下の範囲である。
(酸化防止剤)
第1の実施形態の錫合金めっき液は、必要に応じて酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は錫合金めっき液中のSn2+の酸化防止を目的としたものである。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸又はその塩、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシノール、トリヒドロキシベンゼン、カテコール、クレゾールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。例えば、酸性浴では、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩、中性浴ではアスコルビン酸又はその塩などが好ましい。
酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における酸化防止剤の含有量は、一般に0.01g/L以上20g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上10g/L以下の範囲、より好ましくは0.1g/L以上5g/L以下の範囲である。
(錫用の錯体化剤)
第1の実施形態の錫合金めっき液は、酸性、弱酸性、中性などの任意のpH領域の錫合金めっき液に適用できる。Sn2+イオンは強酸性(pH:<1)では安定であるが、酸性から中性付近(pH:1〜7)では白色沈澱を生じ易い。このため、第1の実施形態の錫合金めっき液を中性付近の錫めっき液に適用する場合には、Sn2+イオンを安定化させる目的で、錫用の錯体化剤を添加するのが好ましい。
錫用の錯体化剤としては、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸を使用できる。具体例としては、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、或はこれらの塩などのポリアミンやアミノカルボン酸類も錯体化剤として有効である。
錫用の錯体化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における錫用の錯体化剤の含有量は、錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩化合物中の錫1モルに対して、一般に0.001モル以上10モル以下の範囲、好ましくは0.01モル以上5モル以下の範囲、より好ましくは0.5モル以上2モル以下の範囲である。
(pH調整剤)
第1の実施形態の錫合金めっき液は、必要に応じてpH調整剤を含有することができる。pH調整剤の例としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられる。また、pH調整剤としては、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
(光沢化剤)
第1の実施形態の錫合金めっき液は、必要に応じて光沢化剤を含有することができる。光沢化剤としては、芳香族カルボニル化合物が有効である。芳香族カルボニル化合物は、錫合金めっき膜中の錫合金の結晶粒子を微細化する作用がある。芳香族カルボニル化合物は、芳香族炭化水素の炭素原子にカルボニル基(−CO−X:但し、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルキル基又は炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルコキシ基を意味する)が結合した化合物である。芳香族炭化水素は、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環を含む。芳香族炭化水素は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルキル基及び炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルコキシ基を挙げることができる。カルボニル基は、芳香族炭化水素に直結していてもよいし、炭素原子数が1個以上6個以下の範囲にあるアルキレン基を介して結合してもよい。芳香族カルボニル化合物の具体例としては、ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドを挙げることができる。
芳香族カルボニル化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1の実施形態の錫合金めっき液における芳香族カルボニル化合物の含有量は、一般に0.01mg/L以上500mg/Lの範囲、好ましくは0.1mg/L以上100mg/L以下の範囲、より好ましくは1mg/L以上50mg/L以下の範囲である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の錫合金めっき液は、可溶性錫塩と、錫より貴な金属の可溶性塩と、上述した一般式(2)で示されるスルフィド化合物とを含む。この錫合金めっき液は更に添加剤を含んでもよい。
第2の実施形態の錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩、錫より貴な金属の可溶性塩、添加剤は、第1の実施形態の錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩、錫より貴な金属の可溶性塩、添加剤と同じであるため、繰返して説明を省略する。
〔一般式(2)で示されるスルフィド化合物〕
第2の実施形態の錫合金めっき液において用いられるスルフィド化合物は、上述した一般式(2)で示され、錫より貴な金属用の錯体化剤として作用する。このスルフィド化合物は、主原料のα−チオグリセロールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基性の水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合し撹拌した後、還流し、主原料と副原料を求核置換反応させることで得られる。第2の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の含有量は、第1の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の含有量と同じである。以下に後述する実施例15のスルフィド化合物を製造するための方法を例示する。2Lのナス形フラスコに溶媒として200mLの純水と200mLのエタノールを用意し、水酸化カリウム112gを撹拌しながら溶解させる。その溶解液を25℃まで冷却した後、α−チオグリセロールを216g投入し混合する。その後、副原料として1,3−ジクロロプロパンを113g投入し混合する。80℃で24時間還流させた後、蒸留により溶媒を除去することで、後述する構造式(2−2)に示すスルフィド化合物が得られる。
第2の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール、1,4−ジクロロ−2,3−ブタンジオール等が挙げられる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態の錫合金めっき液は、可溶性錫塩と、錫より貴な金属の可溶性塩と、上述した一般式(3)で示されるスルフィド化合物とを含む。この錫合金めっき液は更に添加剤を含んでもよい。
第3の実施形態の錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩、錫より貴な金属の可溶性塩、添加剤は、第1の実施形態の錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩、錫より貴な金属の可溶性塩、添加剤と同じであるため、繰返して説明を省略する。
〔一般式(3)で示されるスルフィド化合物〕
第3の実施形態の錫合金めっき液において用いられるスルフィド化合物は、上述した一般式(3)で示され、錫より貴な金属用の錯体化剤として作用する。このスルフィド化合物は、主原料のα−チオグリセロールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基性水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合し、撹拌した後、還流し、主原料と副原料を反応させることで得られる。第3の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の含有量は、第1の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の含有量と同じである。以下に後述する実施例20のスルフィド化合物を製造するための方法を例示する。2Lのナス形フラスコに溶媒として200mLの純水と200mLのエタノールを用意し、炭酸水素ナトリウム168gを撹拌しながら溶解させる。その溶解液を25℃まで冷却した後、α−チオグリセロールを216g投入し混合する。その後、副原料としてビス(2−クロロエチル)エーテルを143g投入し混合する。80℃で48時間還流させた後、蒸留により溶媒を除去することで、後述する構造式(3−1)に示すスルフィド化合物が得られる。
第3の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、ビス(2−クロロエチル)エーテル、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン、ジエチレングリコールビス(2−クロロエチル)エーテル、ビス[2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エチル]エーテル等が挙げられる。
第1、第2及び第3の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の含有量は、このめっき液中の錫より貴な金属の量に対してモル比(スルフィド化合物の含有量(モル)/錫より貴な金属の量(モル))で0.5以上とするとよい。好ましくは1以上とするとよい。モル比が0.5未満であると、スルフィド化合物とめっき液中の錫より貴な金属との錯体形成が十分でなく、めっき液中の錫より貴な金属の濃度が低下するおそれがある。モル比の上限は、特に限定されないが、好ましくは100以下とするとよい。モル比が100を超えるようにスルフィド化合物を含有させても、不経済である。なお、上記第1、第2、及び第3実施形態で示したスルフィド化合物を、複数種類組み合わせて使用してもよい。
第1、第2及び第3の実施形態の錫合金めっき液におけるスルフィド化合物の構造は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速液体クロマトグラム質量分析計(LC−MS)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、核磁気共鳴装置(NMR)等の分析機器を併用することにより分析することができる。
第1、第2及び第3の実施形態の錫合金めっき液は、例えば、可溶性錫塩、錫より貴な金属の可溶性塩、上述した一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示されるスルフィド化合物及びその他の成分と、水とを混合することによって調製することができる。Sn2+イオンの酸化と錫より貴な金属イオンの還元反応を抑制するため、錫より貴な金属の可溶性塩は、スルフィド化合物を投入した後に、混合することが好ましい。
第1、第2及び第3の実施形態のめっき液を用いためっき膜の形成方法としては、上述したように電気めっきを用いる。 電気めっきによるめっき膜形成時の電流密度は、0.1A/dm以上100A/dm以下の範囲、好ましくは0.5A/dm以上20A/dm以下の範囲である。電気めっきを行っている間、めっき液の液温は、10℃以上50℃以下の範囲、より好ましくは20℃以上40℃以下の範囲とするとよい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。(なお、以下に記載の「実施例1〜19」はいずれも「参考例」である。)
<実施例1〜13及び比較例1〜3で用いられるスルフィド化合物>
先ず、実施例1〜13及び比較例1〜3で用いられる第1の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の構造式の符号を以下の表1に示す。またその構造式を以下に列挙する。実施例1〜13及び比較例1〜3で用いられるスルフィド化合物は、第1の実施形態に記載した方法により製造した。
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<実施例14〜19及び比較例4〜6で用いられるスルフィド化合物>
次いで、実施例14〜19及び比較例4〜6で用いられる第2の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の構造式の符号を以下の表2に示す。またその構造式を以下に列挙する。実施例14〜19及び比較例4〜6で用いられるスルフィド化合物は、第2の実施形態に記載した方法により製造した。
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<実施例20〜23で用いられるスルフィド化合物>
更に、実施例20〜23で用いられる第3の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の構造式の符号を以下の表3に示す。またその構造式を以下に列挙する。実施例20〜23で用いられるスルフィド化合物は、第3の実施形態に記載した方法により製造した。
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(SnAgめっき液の建浴)
<実施例1>
メタンスルホン酸錫水溶液に、遊離酸としてのメタンスルホン酸と、構造式(1−1)のスルフィド化合物と、ノニオン系界面活性剤(エチレンジアミンにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンを50:50の割合で付加させたもの)と酸化防止剤としてのピロガロールとを混合して溶解させた後、更にメタンスルホン酸銀水溶液を加えて混合した。そして最後にイオン交換水を加えて、下記組成のSnAgめっき液を建浴した。下記組成のSnAgめっき液中のAg量に対する上記スルフィド化合物のモル比は1であった。なお、メタンスルホン酸錫水溶液は、金属錫板を、メタンスルホン酸銀水溶液は、金属銀板を、それぞれメタンスルホン酸水溶液中で電解させることにより調製した。
(SnAgめっき液の組成)
メタンスルホン酸錫(Sn2+として):50g/L
メタンスルホン酸銀(Agとして):0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として):150g/L
スルフィド化合物(構造式(1−1))の含有量(モル比):1
ノニオン系界面活性剤:5g/L
酸化防止剤:1g/L
イオン交換水:残部
<実施例2〜11>
実施例2〜11では、構造式(1−2)〜(1−11)のスルフィド化合物をそれぞれ用いた。実施例2〜11では、スルフィド化合物を変更した以外は、実施例1と同様にSnAgめっき液をそれぞれ建浴した。
<実施例12>
実施例12では、実施例1と同じ上記構造式(1−1)のスルフィド化合物を用いた。実施例12では、SnAgめっき液中のAg量に対する上記スルフィド化合物のモル比を100にした。このモル比を変更した以外は、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<実施例13>
実施例13では、実施例1と同じ上記構造式(1−1)のスルフィド化合物を用いた。実施例13では、メタンスルホン酸銀の代わりにメタンスルホン酸銅を用い、SnCu合金めっき液とした。また、この合金種を変更した以外は、実施例1と同様にめっき液を建浴した。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と比較するために、上述した一般式(1)中の(A)における酸素原子数及び炭素原子数がともにゼロである構造式(1−12)のスルフィド化合物(α−チオグリセロール)を用いた。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<比較例2>
比較例2では、実施例2と比較するために、上述した一般式(1)中の(A)における酸素原子数がゼロであって、炭素原子数が3である構造式(1−13)のスルフィド化合物を用いた。この構造式(1−13)では酸素原子数がゼロであって、炭素原子数が3であった。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<比較例3>
比較例2では、実施例2と比較するために、上述した一般式(1)とは異なる構造式(1−14)のスルフィド化合物(2−(エチルチオ)エタノール)を用いた。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<実施例14〜19>
実施例14〜19では、構造式(2−1)〜(2−6)のスルフィド化合物をそれぞれ用いた。実施例14〜19では、スルフィド化合物を変更した以外は、実施例1と同様にSnAgめっき液をそれぞれ建浴した。
<比較例4>
比較例4では、実施例14と比較するために、上述した一般式(2)中の(B)における酸素原子数及び炭素原子数がともにゼロである構造式(2−7)のスルフィド化合物を用いた。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<比較例5>
比較例5では、実施例16と比較するために、上述した一般式(2)中の(B)における酸素原子数がゼロであって、炭素原子数が5である構造式(2−8)のスルフィド化合物を用いた。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<比較例6>
比較例6では、実施例15と比較するために、上述した一般式(2)とは異なる構造式(2−9)のスルフィド化合物(3,7−ジチア−1,9−ノナンジオール)を用いた。これ以外、実施例1と同様にSnAgめっき液を建浴した。
<実施例20〜23>
実施例20〜23では、構造式(3−1)〜(3−4)のスルフィド化合物をそれぞれ用いた。実施例20〜23では、スルフィド化合物を変更した以外は、実施例1と同様にSnAgめっき液をそれぞれ建浴した。
実施例1〜23及び比較例1〜6におけるSnAgめっき液中のAg量に対するそれぞれのスルフィド化合物の含有量(モル比)を以下の表4及び表5に示す。
<比較試験及び評価>
実施例1〜23及び比較例1〜6の29種類の建浴した直後の錫合金めっき液の透明度と、建浴した錫合金めっき液の安定性について評価した。錫合金めっき液の安定性は、経時安定性試験と電解安定性試験を行って評価した。これらの結果を表4及び表5に示す。
(a)透明度
29種類の建浴した直後の錫合金めっき液をガラス製の透明ビーカーに入れ、透明度を目視で観察した。めっき液が透き通った状態のものを「透明」と判定し、白濁化するものを「白濁」と判定した。
(b)経時安定性試験
29種類の建浴した錫合金めっき液をガラス製の密封ボトルにそれぞれ別々に入れ、Panasonic社製のクリーンオーブン内で50℃で6ヶ月間保管した。島津製作所社製のICP発光分析装置(ICP−AES、型番ICPE−9800)を用い、建浴直後の錫合金めっき液中のAg濃度(SnAgめっき液の場合)又はCu濃度(SnCuめっき液の場合)を100%として、6ヶ月間保管後に錫合金めっき液中に残存しているAg濃度(SnAgめっき液の場合)又はCu濃度(SnCuめっき液の場合)の残存割合(%)を「経時後残存率」として評価した。80%以上を良好と判定した。
(c)電解安定性試験
29種類の建浴した錫合金めっき液を電解液として、この電解液中にカソードとして銅板を、アノードとして白金板をそれぞれ配置し、浴温25℃、カソード電流密度10ASDで29種類の建浴した錫合金めっき液をそれぞれ別々に電解めっきを行った。電解めっきによりめっき液中の金属成分が消費されるため、5Ah/Lの電解めっき毎に酸化第一錫(SnO)と酸化第一銀(AgO)の粉末をめっき液に投入し、混合して溶解させることで、金属成分をめっき液に補給しながら、150Ah/Lまで電解めっきを行った。電解めっき後の錫合金めっき液中に残存するスルフィド化合物の濃度を以下のHPLC(High Performance Liquid Chromatography)法により定量分析した。錫合金めっき液をディスポーザブルシリンジでろ過し、島津製作所製のHPLC装置(型番Prominence)を用い、移動相をMeOH(メタノール)として、40℃に保温したL−ColumnODSを用いて分析を行った。建浴直後のスルフィド化合物の濃度を100%として、電解めっき後のスルフィド化合物の残存割合(%)をスルフィド化合物の「経時後残存率」として評価した。80%以上を良好と判定した。
Figure 0006645609
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表1及び表4から明らかなように、一般式(1)中、(A)が本発明の第1の観点の条件に合致していない化合物を用いた比較例1では、化合物の末端基のSH基が建浴直後にAgと反応して沈殿が発生し、経時後及び電解めっき後の評価ができなかった。一般式(1)中、(A)が本発明の第1の観点の条件に合致していないスルフィド化合物を用いた比較例2では、炭素原子数が3であるため、スルフィド化合物の水溶性が低く、経時後残存率が83%であったものの、電解後残存率は68%と低く、不良であった。また、一般式(1)とは異なる構造式(1−14)のスルフィド化合物(2−(エチルチオ)エタノール)を用いた比較例3では、スルフィド化合物の水溶性が低く、経時後残存率が54%、電解後残存率は38%と低く、不良であった
これに対して、一般式(1)中、(A)が本発明の第1の観点の条件に合致しているスルフィド化合物を用いた実施例1〜13では、経時後においてめっき液中のAg及びCuの残存率は、62%〜98%と高く、また電解めっき後においても82%〜99%と高い割合でスルフィド化合物が残存していた。この結果から、一般式(1)中、(A)が本発明の第1の観点の条件に合致しているスルフィド化合物は、錫より貴な金属用の錯体化剤として有用であることが確認された。
表2及び表5から明らかなように、一般式(2)中、(B)が本発明の第2の観点の条件に合致していないスルフィド化合物を用いた比較例4では、スルフィド化合物のジスルフィド基が建浴直後にAgと反応して沈殿が発生し、経時後及び電解めっき後の評価ができなかった。一般式(2)中、(B)が本発明の第2の観点の条件に合致していないスルフィド化合物を用いた比較例5では、炭素鎖が5であるため、スルフィド化合物の水溶性が低く、経時後残存率が80%であったものの、電解後残存率は72%と低く、不良であった。また本発明の第2の観点の一般式(2)と異なる構造式(2−9)の比較例6では、スルフィド化合物がグリセリル基を有していないため、スルフィド化合物の水溶性が低く、経時後残存率が68%、電解後残存率が56%とともに低く、不良であった。
これに対して、一般式(2)中、(B)が本発明の第2の観点の条件に合致しているスルフィド化合物を用いた実施例14〜19では、経時後においてSnAgめっき液中のAgの残存率は、90%〜99%と高く、また電解めっき後においても83%〜97%と高い割合でスルフィド化合物が残存していた。この結果から、一般式(2)中、(B)が本発明の第2の観点の条件に合致しているスルフィド化合物は、錫より貴な金属用の錯体化剤として有用であることが確認された。
表3及び表5から明らかなように、一般式(3)中、nが1〜5である本発明の第3の観点の条件に合致しているスルフィド化合物を用いた実施例20〜23では、経時後においてSnAgめっき液中のAgの残存率は、92%〜95%と高く、また電解めっき後においても89%〜94%と高い割合でスルフィド化合物が残存していた。この結果から、一般式(3)中、nが1〜5である本発明の第3の観点の条件に合致しているスルフィド化合物は、錫より貴な金属用の錯体化剤として有用であることが確認された。
本発明のめっき液は、半導体ウエハやプリント基板のバンプ電極などのような電子部品の一部を形成するために利用することができる。

Claims (8)

  1. 可溶性錫塩と、錫より貴な金属の可溶性塩と、下記一般式(3)で示されるスルフィド化合物とを含む錫合金めっき液。但し、式(3)中、nは1〜5である。
    Figure 0006645609
  2. 前記錫より貴な金属が、銀、銅、金及びビスマスより選ばれる少なくとも1種以上の金属である請求項1記載の錫合金めっき液。
  3. 更にグルコン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、ピロリン酸又はその塩、エチレンジアミン類、チオ尿素類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、及びヒドロキシアルキルホスフィン類から選ばれる少なくとも1種以上の補助錯体化剤を含む請求項1又は2記載の錫合金めっき液。
  4. 更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤より選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤を含む請求項1ないしいずれか1項に記載の錫合金めっき液。
  5. 更に酸化防止剤を含む請求項1ないしいずれか1項に記載の錫合金めっき液。
  6. 更に錫用の錯体化剤を含む請求項1ないしいずれか1項に記載の錫合金めっき液。
  7. 更にpH調整剤を含む請求項1ないしいずれか1項に記載の錫合金めっき液。
  8. 更に光沢化剤を含む請求項1ないしいずれか1項に記載の錫合金めっき液。
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