JP3718790B2 - 銀及び銀合金メッキ浴 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴に関し、浴の経時安定性にきわめて優れ、且つ、銀合金メッキ浴においては銀と他の金属を確実に共析させることができる非シアン型の安全な浴を提供する。
【0002】
【発明の背景】
一般に、銀は種々の化合物と不溶性の塩を生成し易いので、メッキ浴中に銀を経時安定的に溶解するのは容易でなく、浴が分解して銀が析出し易い。また、銀は電気化学的には貴な金属であるため、他の金属との合金メッキは容易でない。このため、実用的な銀系メッキ浴の種類にはおのずから制限があり、例えば、銀又は銀−スズ合金メッキ浴では、旧来より各種のシアン化合物を含有するアルカリ性シアン浴が知られている。
しかしながら、シアン化合物はきわめて毒性が強く、特別な排水処理を必要とするために処理コストが嵩むうえ、アルカリ領域でしか使用できないために、銀合金メッキを行う場合、相手金属の種類が限定されてしまう。また、アルカリ浴では用途も限定されるし、当該シアン浴は実用上充分な安定性も備えていない。
このため、強酸性をも含む広いpH領域で銀を安定に溶解し、安全性の高い銀又は銀合金メッキ浴を新たに開発することが望まれている。
【0003】
【従来の技術】
特開平9−143786号公報(以下、従来技術1という)には、シアン化合物を含有しない非シアン型の銀系メッキ浴として、チオグリコール、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、β−チオジグリコール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、或はチオ尿素などを含有する銀メッキ浴、或は銀−スズ合金、銀−銅合金、銀−インジウム合金などの銀合金メッキ浴が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術1では、メッキ浴にチオジグリコール酸、β−チオジグリコール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、或はチオ尿素などの特定の含イオウ化合物を含有させることにより、メッキ皮膜に従来のシアン系メッキ浴で得られる場合と同等の緻密性が獲得できることが述べられている。
しかしながら、例えば、上記チオジグリコール酸、或はβ−チオジグリコールなどを含有する銀−スズ合金メッキ浴では、実際に、2〜4週間程度で分解が起こって銀が析出することが多く、長期間継続使用する電気メッキ浴としては、実用上経時安定性の面で問題がある。
また、電流密度条件を変化させると銀の共析率が変動し易く、しかも、高電流密度でメッキを行うと電着皮膜にヤケやデンドライトなどが生じ易いという弊害がある。そのうえ、銅や銅合金などの被メッキ素材に対する銀の置換析出(即ち、酸化還元電位に基づく化学置換作用による析出)や、析出した銀合金皮膜上へのさらなる銀の置換析出などの問題があるため、緻密で良好な外観を有する銀、或は銀合金メッキ皮膜は得られない。
【0005】
本発明は、この従来技術1に開示されたチオジグリコール酸やβ−チオジグリコールなどの化合物を出発点にして、これらとは別種の化合物を含む非シアン型の安定な銀又は銀合金メッキ浴を開発することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
Lewis酸・塩基錯体の安定性に関しては、ハード・ソフトな酸・塩基という一般的、且つ定性的な概念(即ち、HSAB原理)が知られており(ハード・ソフト・酸・塩基概念の有機化学への応用;有機合成化学 第33巻第11号(1975)参照)、例えば、電気陰性度が大きく分極率が低く、原子価電子を強く保持する性質の塩基をハード塩基といい、逆に、電気陰性度が小さく分極率が高く、原子価電子を比較的弱く保持する性質の塩基をソフト塩基という。ハード塩基はハード酸に配位してより安定な錯体を形成し、また、ソフト塩基はソフト酸に配位してより安定な錯体を形成する。
本発明者らは、Lewis酸の性質を有する銀イオンはソフト酸に分類できるため、メッキ浴中における銀塩の安定化には、ソフト酸と結合し易いソフト塩基を活用するのが有効ではないかと着想した。
【0007】
そこで、前記従来技術1ではチオジグリコール酸、β−チオジグリコール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのスルフィド系化合物が使用されていること、及びチオ尿素が銀のキレート剤として公知である(前記従来技術1にも開示されている)ことに鑑みながら、当該HSAB原理に基づいて、銀或は各種の銀合金メッキ浴中における種々のソフト塩基の挙動について鋭意研究した。
その結果、分子中に少なくとも1個以上のエーテル性酸素原子、−ヒドロキシプロピル基又はヒドロキシプロピレン基を含み、塩基性窒素原子を含まない特定の脂肪族スルフィド誘導体を銀、或は銀合金メッキ浴に含有させると、浴の経時安定性がきわめて良好になるとともに、銀と種々の金属の共析が容易に行われるため、安定した組成の銀、或は銀合金メッキが得られることを見い出して、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明1は、(A)銀塩と、銀塩及び錫、ビスマス、コバルト、アンチモン、イリジウム、インジウム、鉛、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、パラジウム、白金、金から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩、
(B)少なくとも1個以上のエーテル性酸素原子、−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基を含み、塩基性窒素原子を含まない脂肪族スルフィド誘導体の少なくとも一種
を含有することを特徴とする非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴である。
また、本発明4は、(A)可溶性銀塩、(B)脂肪族スルフィド誘導体として3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールを含有するか、或は、
(A)可溶性銀塩及び錫、ビスマス、コバルト、アンチモン、イリジウム、インジウム、鉛、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、パラジウム、白金、金から選ばれた金属の可溶性塩の混合物、(B)脂肪族スルフィド誘導体として3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールを含有することを特徴とする非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴である。
【0009】
本発明2は、上記本発明1において、(B)の脂肪族スルフィド誘導体が、脂肪族モノスルフィド誘導体及び脂肪族ジスルフィド誘導体の少なくとも一種であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明3は、上記本発明1又は2において、(B)の脂肪族スルフィド誘導体が、下記の一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種
e−Ra−[(X−Rb)L−(Y−Rc)M−(Z−Rd)N]−Rf …(1)
(式(1)中、Mは1〜100の整数を表し、L及びNは夫々0又は1〜100の整数を表す。;YはS又はS−Sを表し、X及びZは夫々O、S又はS−Sを表す。;RaはC1〜C12の直鎖若しくは分岐アルキレン又は2−ヒドロキシプロピレンを表す。;Rb、Rc及びRdはメチレン、エチレン、プロピレン、2−ヒドロキシプロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンよりなるアルキレンを表す。;X−Rb、Y−Rc及びZ−Rdにおいては互いの存在位置は限定されず、ランダムな順列をとり得る。また、X−Rb、Y−Rc或はZ−Rdの各結合が繰り返される場合、各結合は複数種の結合から構成されても良い。;両端のRe及びRfは、(a)水素、或は、(b)ハロゲン、シアノ、ホルミル、カルボキシル、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、或は、(c)アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、アリル、多環式シクロアルキル、アセチル又はアリール、或は、(d)−O−アルキル、−S−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル、−O−アリル、−O−多環式シクロアルキル、−O−アセチル又は−O−アリールを夫々表す。但し、上記(c)〜(d)の全ての官能基は、ハロゲン、シアノ、ホルミル、アルコキシ、カルボキシル、アシル、ニトロ或はヒドロキシで置換されても良い。;上記XとZの少なくとも一方は酸素原子を表す。但し、両端のRe、Rfの少なくとも一方が上記(d)の官能基(−S−アルキルを除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRb、Rc及びRdの少なくともいずれかが2−ヒドロキシプロピレン基である場合はこの限りにあらず、XとZは共に酸素原子でなくても良い。;L=N=0である場合、両端のRe、Rfの少なくとも一方は上記(d)の官能基(−S−アルキルを除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRcが2−ヒドロキシプロピレン基である。;Rb、Rc及びRdが2−ヒドロキシプロピレン基である場合、その2−位のヒドロキシル基にさらにオキシエチレン、オキシプロピレン、或はオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレン基が重合付加しても良い。)
であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかのメッキ浴に、さらに界面活性剤、半光沢剤、光沢剤、平滑剤、電導性塩、pH調整剤、補助錯化剤、隠蔽錯化剤及び酸化防止剤の少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明1〜2の上記脂肪族スルフィド誘導体は、分子中にスルフィド、或はジスルフィド結合を1個、又は繰り返し有するとともに、基本的に、少なくとも1個以上のエーテル性酸素原子を含み、塩基性窒素原子を含まない化合物である。但し、エーテル性酸素原子に替えて、−ヒドロキシプロピル基、又はヒドロキシプロピレン基を1個以上含んでも良い。
一方、前記従来技術1には、含イオウ化合物の具体例として、ジベンゾチアゾールジスルフィド(縮合複素環式ジスルフィド化合物)や4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(芳香族スルフィド化合物)などが開示されている。また、特開平10−204675号公報(以下、従来技術2という)には、スズ−銀合金メッキ浴に、4,4−チオジフェノール、4,4−アミノジフェニルスルフィド、チオビスチオフェノール、2,2−ジアミノジフェニルジスルフィド、2,2−ジチオ安息香酸、ジトリルジスルフィド、2,2−ジピリジルジスルフィドなどの芳香族モノスルフィド又はジスルフィド化合物を含有することが開示されている。
しかしながら、従来技術1〜2に開示された上記各種の化合物は芳香族、或は縮合複素環式のスルフィド系化合物であり、脂肪族に属する本発明のスルフィド誘導体とは明らかに異なる。
【0013】
次に、本発明の脂肪族スルフィド誘導体は分子中に少なくとも1個以上のエーテル性酸素原子(又は−ヒドロキシプロピル基かヒドロキシプロピレン基)を含み、且つ、塩基性窒素原子を含まない化合物であるため、この面からも、上記従来技術1〜2の化合物は本発明の化合物とは異なる。特に、従来技術1のジベンゾチアゾールジスルフィド、或は、従来技術2の2,2−ジアミノジフェニルジスルフィドや2,2−ジピリジルジスルフィドは塩基性窒素原子を含み、且つ、エーテル性酸素原子(又はヒドロキシプロピレン基)を含まない点で、本発明のスルフィド誘導体とは全く異なる。
また、従来技術1には、冒述したように、含イオウ化合物としてチオジグリコール酸(HOOCCH2SCH2COOH)、或はβ−チオジグリコール(HOCH2CH2SCH2CH2OH)のようなモノスルフィド化合物が開示されている。しかし、これらのモノスルフィド化合物は、脂肪族である点で本発明のスルフィド誘導体と共通するが、エーテル性酸素原子(又は−ヒドロキシプロピル基かヒドロキシプロピレン基)を全く含まない点で本発明のスルフィド誘導体とは明らかに異なる。
【0014】
本発明の脂肪族スルフィド誘導体は、上述した通り、一般式(1)で表わすことができる。
上記(1)式の原子団X−Rb、Y−Rc及びZ−Rdの中では、YだけがS或はS−Sを表し、X、ZはO、S或はS−Sを表す。
上記(1)式中の整数L及びNはゼロの場合があるが、整数Mは1以上であり、ゼロになることはない。従って、本発明の化合物には、必ず(Y−Rc)で表されるスルフィド、或はジスルフィド結合が含まれる。
また、上記X、或はZが酸素原子である場合、上記Rb及びRdは各C1〜C6アルキレン(但し、C3アルキレンでは、特に、プロピレン基と2−ヒドロキシプロピレン基の両方を包含する)となるため、X−Rb、或はZ−Rdはオキシアルキレンを表す。
上記原子団X−Rb、Y−Rc及びZ−Rdにおいては、互いの存在位置は限定されず、ランダムな順列をとり得る。例えば、原子団Y−RcとX−Rbの順列が逆になって、Re−Ra−[(Y−Rc)M−(X−Rb)L−(Z−Rd)N]−Rfで表される構造をとっても差し支えない。また、整数L、M又はNが1以上であって、X−Rb、Y−Rc或はZ−Rdの各結合が繰り返される場合、各結合は複数種の結合から構成されても良い。例えば、Xが酸素原子である場合、X−Rbはオキシエチレンとオキシプロピレンが混在したものであっても差し支えなく、この場合、(X−Rb)Lは、
〔(O−C24)L1−(O−C36)L2〕(但し、L1+L2=L)という構成をとることができる。
【0015】
上記一般式(1)の両端の官能基Re、Rfは次の(a)(d)のいずれかを表す。
(a)水素。
(b)ハロゲン、シアノ、ホルミル、カルボキシル、アシル、ニトロ、ヒドロキシ。
(c)アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、アリル(−CH2CH=CH2)、多環式シクロアルキル、アセチル又はアリール(例えば、C65(ベンゼン環))。
(d)−O−アルキル、−S−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル、−O−アリル(−O−CH2CH=CH2)、−O−多環式シクロアルキル、−O−アセチル又は−O−アリール(例えば、−O−C65(ベンゼン環))。
但し、上記(c)(d)において、当該アルキル、アルケニル、アルキニルなどの全ての官能基はハロゲン、シアノ、ホルミル、アルコキシ、カルボキシル、アシル、ニトロ、或はヒドロキシで夫々置換されていても良い。
また、原子団Raはメチレン基、エチレン基などのようなC1〜C12の直鎖若しくは分岐アルキレン、又は2−ヒドロキシプロピレンを表す。
【0016】
上記一般式(1)においては、下記の(2)式に示すように、上記XとZの少なくとも一方は酸素原子であり、従って、X−Rb、或はZ−Rdの少なくとも一方はオキシアルキレンを表す。
e−Ra−[(O−Rb)L−(S−Rc)M−(S−Rd)N]−Rf …(2)
但し、上記両端の官能基Re、Rfの少なくとも一方が上記(d)の官能基(S−アルキルは除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRa
b及びRcの少なくともいずれかが2−ヒドロキシプロピレン基である場合はこの限りにあらず、下記の(3a)〜(3c)式に示すように、XとZが共に酸素原子でなく、S、或はS−Sであっても差し支えない。
H−Ra−[(S−Rb)L−(S−Rc)M−(S−Rd)N]−OC25 …(3a)
H−Ra−[(S−Rb)L−(S−Rc)M−(S−Rd)N
−CH2CH(OH)CH2−H …(3b)
25O−Ra−[(S−CH2CH(OH)CH2)L
−(S−Rc)M−(S−Rd)N]−CH3 …(3c)
上記(3a)式はエーテル性酸素原子を含む化合物、上記(3b)式はヒドロキシプロピレン基を含む化合物、上記(3c)式はその両方を含む化合物である。
また、L=N=0である場合、下記の(4)式、(5)式に示すように、両端の官能基Re、Rfの少なくとも一方は上記(d)の官能基(S−アルキルは除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRaかRcが2−ヒドロキシプロピレン基である。
25O−CH2CH2−(S−CH2CH2)M
−CH2CH(OH)CH2−H …(4)
HO−CH2CH2−(S−S−CH2CH(OH)CH2)M−CH3 …(5)
以上の条件を付すことにより、上記一般式(1)には、本発明の脂肪族スルフィド誘導体の特徴であるエーテル性の酸素原子、−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基が必ず含まれるのである。
ちなみに、本発明の脂肪族スルフィド誘導体の具体例は後述する通りであるが、これらの化合物のうち、例えば、チオビス(ジエチレングリコール)、チオジグリコールビス(カルボキシメチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチルチオエーテルなどはエーテル性酸素原子を含む化合物であり、3,3′−チオジプロパノールなどは−ヒドロキシプロピル基を含む化合物であり、チオジグリセリン、4,8,12−トリチアペンタデカン−1,2,6,10,14,15−ヘキサオールなどはヒドロキシプロピレン基を含む化合物であり、チオビス(トリグリセリン)、ジチオビス(デカグリセロール)などはエーテル性酸素原子とヒドロキシプロピレン基の両方を含む化合物である。
【0017】
また、上記Rb、Rc及びRdが2−ヒドロキシプロピレン基である場合、下記の(6)式に示すように、その2−位のヒドロキシル基にさらにオキシエチレン、オキシプロピレン、或はオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンが重合付加しても良い。
【化1】
Figure 0003718790
【0018】
そこで、具体的な構造式で表した本発明の脂肪族スルフィド誘導体を上記一般式(1)に準拠して説明する。
例えば、H−(OE)2−S−(EO)2−H(但し、Eはエチレンを示す)にあっては、HO−(CH2CH2)−(OE)−(S−E)−(OE)−OH
と整序でき、上記一般式(1)に照らせば、Y−Rcは(S−E)、X−Rbはオキシエチレン(OE)、Z−Rdはオキシエチレン、RaはCH2CH2、ReとRfは共にOHに相当し、L、M及びNは共に1である。
また、例えば、PhCH2−OCH2CH(CH3)−S−C48−S−(EO)80−(CH2CH(CH3)O)10−Hにあっては、
PhCH2−(OP)−{(S−B)−(S−E)}−{(OE)79−(OP)10}−OH と整序でき(但し、Pはプロピレン、Bはブチレン、Phはフェニル基を示す)、上記一般式(1)に照らせば、Y−Rcは(S−B)と(S−E)の複合したもの、X−Rbはオキシプロピレン(OP)、Z−Rdはオキシエチレンとオキシプロピレンの複合したもの、RaはCH2、Reはフェニル基、RfはOHに相当し、Lは1、Mは2、Nは89である。
ちなみに、上記2種類の脂肪族スルフィド誘導体のうち、前者は2個のエーテル性の酸素原子を、また、後者は90個のエーテル性の酸素原子を夫々含み、しかも、塩基性窒素原子を含まない。
【0019】
上記脂肪族スルフィド誘導体の具体例としては、次の化合物などが挙げられる。
(1)H−(OCH2CH2)2−S−(CH2CH2O)2−Hで表されるチオビス(ジエチレングリコール)
(2)チオビス(ヘキサエチレングリコール)
(3)H−(OCH2CH(OH)CH2)15−S−(CH2CH(OH)CH2O)15−Hで表されるチオビス(ペンタデカグリセロール)
(4)H−(OCH2CH2)20−S−(CH2CH2O)20−Hで表されるチオビス(イコサエチレングリコール)
(5)チオビス(ペンタコンタエチレングリコール)
(6)HO−CH(CH3)CH2−OCH2CH2−SCH2CH2−OCH2CH(CH3)−OHで表される4,10−ジオキサ−7−チアトリデカン−2,12−ジオール
(7)HOCH2CH(OH)CH2−S−CH2CH(OH)CH2OHで表されるチオジグリセリン
(8)H−(OCH2CH(OH)CH2)3−S−(CH2CH(OH)CH2O)3−Hで表されるチオビス(トリグリセリン)
(9)H−(OCH2CH(OH)CH2)5−(OCH2CH2)8−OC48−SC48−O−(CH2CH2O)8−(CH2CH(OH)CH2O)5−Hで表される2,2′−チオジブタノールビス(オクタエチレングリコールペンタグリセロール)エーテル (10)Cl−CH2CH2CH2−(OCH2CH2)8−S−(CH2CH2O)8−CH2CH2CH2−Clで表されるチオビス(オクタエチレングリコール)ビス(2−クロロエチル)エーテル
(11)チオビス(デカエチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル
(12)チオビス(ドデカエチレングリコール)ビス(2−ニトロエチル)エーテル
(13)HOOCCH2OCH2CH2−S−CH2CH2OCH2COOHで表されるチオジグリコールビス(カルボキシメチル)エーテル
(14)HOOCCH2OCH2CH2−S−S−CH2CH2OCH2COOHで表されるジチオジグリコールビス(カルボキシメチル)エーテル
(15)H−(OCH2CH2)12−S−(CH2CH2O)12−Hで表されるチオビス(ドデカエチレングリコール)
(16)H−(OCH2CH2)41−S−S−(CH2CH2O)41−Hで表されるジチオビス(ヘンテトラコンタエチレングリコール)
(17)H−(OC36)5−(OC24)20−S−S−(OC24)20−(OC36)5−−Hで表されるジチオビス(イコサエチレングリコールペンタプロピレングリコール)
(18)H−(OCH2CH(OH)CH2)3−S−S−(CH2CH(OH)CH2O)3−Hで表されるジチオビス(トリグリセロール)
(19)ジチオビス(デカグリセロール)
(20)H−(OC24)10−S−C36−S−(OC24)10−Hで表される1,3−プロパンジチオールビス(デカエチレングリコール)チオエーテル
(21)H−(OCH2CH(OH)CH2)15−S−C48−S−(CH2CH(OH)CH2O)15−Hで表される1,4−ブタンジチオールビス(ペンタデカグリセロール)チオエーテル
(22)H−(OCH2CH2)5−SCH2CH(OH)CH2S−(CH2CH2O)5−Hで表される1,3−ジチオグリセロールビス(ペンタエチレングリコール)チオエーテル
(23)H−(OCH(C25)CH2)5−SC24S−(CH2CH(C25)O)5−Hで表される1,2−エタンジチオールビス(ペンタ(1−エチル)エチレングリコール)チオエーテル
(24)H−(OCH(CH3)CH2)2−SCH2CH(OH)CH2S−(CH2CH(CH3)O)2−Hで表される1,3−ジチオグリセロールビス(ジ(1−エチル)エチレングリコール)チオエーテル
(25)H−(OC24)18−SC24−SC24−S−(C24O)18−Hで表される2−メルカプトエチルスルフィドビス(ヘキサトリアコンタエチレングリコール)
(26)CH3−(OC24)10−SC24−SC24−S−(C24O)10−CH3で表される2−メルカプトエチルスルフィドビス(イコサエチレングリコール)ジメチルエーテル
(27)H−(OC24)2−S−CH2CH2OCH2CH2−S−(C24O)2−Hで表される2−メルカプトエチルエーテルビス(ジエチレングリコール)
(28)前記(6)式で表されるチオジグリセロールテトラ(デカエチレングリコール)エーテル
(29)CH3−S−(CH2CH2O)2−Hで表されるジエチレングリコールモノメチルチオエーテル
(30)CH3−S−C612−S−(CH2CH(OH)CH2O)10−Hで表されるデカグリセロールモノ(6−メチルチオヘキシル)チオエーテル
(31)BrCH2CH2−(OCH2CH2)20−(S−CH2CH2)3−(OCH2CH2)100−OCH2CH2Brで表される2−メルカプトエチルスルフィド−ω−{(2−ブロモエチル)イコサエチレングリコール}チオエーテル−ω′−{(2−ブロモエチル)ヘクタエチレングリコール}チオエーテル
(32)PhCH2OCH2CH(CH3)−S−C48−S−(CH2CH2O)80−(CH2CH(CH3)O)10−Hで表される1,4−ブタンジオール−ω−{(2−ベンジルオキシ−1−メチル)エチル}チオエーテル−ω′−(デカプロピレングリコールオクタコンタエチレングリコール)チオエーテル
(33)CH3−S−CH2CH2−(OCH2CH2)20−S−S−(CH2CH2O)20−CH2CH2S−CH3で表されるジチオビス(イコサエチレングリコール)ビス(2−メチルチオエチル)エーテル
(34)CH3O−Ph−CH2S−CH2CH2−(CH2CH2O)50−Hで表される1,2−エタンジオール−ω−(4−メトキシベンジル)チオエーテル−ω′−(ペンタコンタエチレングリコール)チオエーテル
(35)NC−Ph−CH2S−(CH2CH2O)30−Hで表されるトリアコンタエチレングリコールモノ(4−シアノベンジル)チオエーテル
(36)CH2=CHCH2−(OCH2CH2)15−S−(CH2CH2O)15−CH2CH=CH2で表されるチオビス(ペンタデカエチレングリコール)ビスアリルエーテル
(37)OHC−Ph−CH2CH2−S−(CH2CH2O)23−Hで表されるトリコサエチレングリコールモノ(4−ホルミルフェネチル)チオエーテル
(38)CH3COCH2−S−CH2CH2−S−(CH2CH2O)15−Hで表されるペンタデカエチレングリコールモノ{(アセチルメチル)チオエチル}チオエーテル
【0020】
(39)下記の(7)式で表される1,2−エタンジオール−ω−(グリシジル)チオエーテル−ω′−イコサエチレングリコールチオエーテル
【化2】
Figure 0003718790
【0021】
(40)CH3−S−CH2CH2CO−(CH2CH2O)18−CH2CH2S−CH3で表されるオクタデカエチレングリコールビス(2−メチルチオエチル)エーテル
(41)CH3−S−CH2CH2−S−(CH2CH2O)16−Hで表されるヘキサデカエチレングリコールモノ(2−メチルチオエチル)チオエーテル
(42)CH3−S−(CH2CH2O)20−Hで表されるイコサエチレングリコールモノメチルチオエーテル
(43)C37−S−(CH2CH2O)10−CH2CH2S−C37で表されるウンデカエチレングリコールジ(n−プロピル)チオエーテル
(44)HOCH2CH2S−(CH2CH2O)11−CH2CH2S−CH2CH2OHで表されるドデカエチレングリコールビス(2−ヒドロキシエチル)チオエーテル
(45)ウンデカエチレングリコールジメチルチオエーテル
(46)C49−S−S−CH2CH2−S−S−(CH2CH2O)35−Hで表されるペンタトリアコンタエチレングリコールモノ(2−n−ブチルジチオエチル)ジチオエーテル
(47)HOCH2CH(OH)CH2−S−CH2CH(OH)CH2−S−CH2CH(OH)CH2−S−CH2CH(OH)CH2OHで表される4,8,12−トリチアペンタデカン−1,2,6,10,14,15−ヘキサオール
(48)C25−S−CH2CH2−S−(CH2CH(OH)CH2O)20−Hで表されるイコサグリセロールモノ(2−エチルチオエチル)チオエーテル
(49)CH3−S−CH2CH2−S−(C24O)30−Hで表されるトリアコンタエチレングリコールモノ(2−メチルチオエチル)チオエーテル
(50)Ph−CH2−(OC24)20−S−S−(C24O)20−CH2−Phで表されるジチオビス(イコサエチレングリコール)ジベンジルエーテル
(51)CH3−S−(CH2CH2O)10−Hで表されるトリデカエチレングリコールモノメチルチオエーテル
(52)CH3−S−(CH2CH2O)15−CH2CH2S−CH3で表されるヘキサデカエチレングリコールジメチルチオエーテル
(53)H−(OCH2CH2)20−S−CH2CH2−S−(CH2CH2O)20−Hで表される1,2−エタンジチオールビス(イコサエチレングリコール)チオエーテル
(54)H−(OCH2CH2)15−S−S−(CH2CH2O)15−Hで表されるジチオビス(ペンタデカエチレングリコール)
(55)HO−CH2CH2CH2−S−CH2CH2CH2−OHで表される3,3′−チオジプロパノール
【0022】
また、本発明では、上述に列挙した誘導体群に加えて、脂肪族スルフィド誘導体に属する点で共通する3 , 6−ジチアオクタン−1 , 8−ジオール(HOCH 2 CH 2 S−CH 2 CH 2 −SCH 2 CH 2 OHで表される)も、浴の経時安定性を向上する見地から有効である。
即ち、上記本発明4は、脂肪族スルフィド誘導体として3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール可溶性銀塩と共に含有する銀メッキ浴、或は、当該化合物を可溶性銀塩と特定の可溶性金属塩(錫、ビスマス、コバルト、アンチモンなど)と共に含有する銀合金メッキ浴である(後述の実施例6参照)。
本発明の脂肪族スルフィド誘導体は単用又は併用でき、メッキ浴に対する当該誘導体の総濃度は、メッキ浴に含まれる銀濃度に応じて増減することができ、具体的には、0.0001〜5moL/L、好ましくは0.001〜2moL/Lである。
【0023】
本発明は銀メッキ浴及び銀合金メッキ浴を対象とするが、この銀合金は、上述のように、銀と、スズ、ビスマス、インジウム、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、パラジウム、白金、金から選ばれた金属との合金である。具体的には、銀−スズ、銀−ビスマス、銀−インジウム、銀−鉛、銀−銅、銀−亜鉛、銀−ニッケル、銀−パラジウム、銀−白金、銀−金などの二成分系の銀合金を初め、銀−スズ−金、銀−スズ−パラジウム、銀−スズ−ニッケル、銀−スズ−銅、銀−銅−インジウムなどの3成分系の銀合金も含まれる。
ちなみに、銀−スズ−パラジウム、銀−スズ−ニッケルなどの3成分系では、例えば、メッキ浴にパラジウム塩、ニッケル塩を微量(例えば、200〜1000mg/L)含有させて、パラジウム、或はニッケルを含む銀−スズ合金を得るのである。
【0024】
上記銀塩としては、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀などの任意の可溶性の塩類を使用できるが、後述の酸(特に、有機スルホン酸)との塩類(メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、2−プロパノールスルホン酸銀、ホウフッ化銀など)が好ましい。
一方、銀と合金を生成する上記特定金属の塩はメッキ浴中でSn2+、Sn4+、SnO3 2-、Bi3+、In3+、Pb2+、Cu2+、Cu+、Zn2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Pt4+、Au+、Au3+などの各種の金属イオンを生成する任意の可溶性塩を意味し、その具体例は下記の通りであるが、中でも、後述の酸(特に、有機スルホン酸)との塩類が好ましい。
【0025】
(1)酸化物:酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二銅、酸化第一銅、酸化ニッケル、酸化第一スズ、酸化第二スズなど。
(2)ハロゲン化物:塩化ビスマス、臭化ビスマス、塩化インジウム、ヨウ化インジウム、塩化鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化ニッケル、塩化パラジウム、塩化第一スズ、塩化第二スズなど。尚、銀イオンはハロゲンイオンの存在下ではハロゲン化銀となって沈殿するが、本発明のメッキ浴では、上記ハロゲン化物を添加しても、少量であればハロゲン化銀の沈殿はない。
(3)無機酸又は有機酸との塩、その他:硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸インジウム、硫酸第二銅、硫酸第一スズ、ホウフッ化第一スズ、硫酸亜鉛、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、硫酸パラジウム、メタンスルホン酸ビスマス、メタンスルホン酸亜鉛、メタンスルホン酸第一スズ、エタンスルホン酸第一スズ、2−プロパノールスルホン酸第一スズ、メタンスルホン酸鉛、p−フェノールスルホン酸鉛、p−フェノールスルホン酸第二銅、メタンスルホン酸ニッケル、メタンスルホン酸パラジウム、エタンスルホン酸白金、2−プロパノールスルホン酸金、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムなど。
【0026】
上記銀及び特定金属の可溶性塩は単用又は併用でき、これらの金属の総濃度(金属としての換算添加量)は0.01〜200g/L、好ましくは0.1〜100g/Lである。
【0027】
本発明のメッキ浴は酸性浴、中性浴、アルカリ性浴を問わないが、アルカリ性浴では用途が限定される傾向があるため、酸性浴、中性浴が好ましい。
酸性浴の場合には、メッキ浴での反応が比較的穏やかで、排水処理の容易なアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸等の有機スルホン酸、或は、脂肪族カルボン酸などの有機酸が好ましいが、硫酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、過塩素酸などの無機酸を選択することもできる。
また、アルカリ性浴の場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどを用いることができる。
上記酸、或はアルカリは単用又は併用され、その添加量は一般に0.1〜500g/L、好ましくは10〜250g/Lである。
【0028】
上記アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。
【0029】
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜2、p=1〜10)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
【0030】
上記脂肪族カルボン酸としては、一般に、炭素数1〜6のカルボン酸が使用できる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、スルホコハク酸などが挙げられる。
【0031】
本発明のメッキ浴には上述の各種成分以外に、目的に応じて界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、平滑剤、pH調整剤、緩衝剤、補助錯化剤、隠蔽錯化剤、酸化防止剤、電導性塩などの、メッキ浴に通常使用される添加剤を使用できることは言うまでもない。
上記界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、或は両性の各種界面活性剤が挙げられ、これら各種の活性剤を単用又は併用できる。
その添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
【0032】
当該ノニオン系界面活性剤の具体例としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、スチレン化フェノール、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものや、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。
【0033】
エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を付加縮合させるC1〜C20アルカノールとしては、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ドコサノールなどが挙げられる。
同じくビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールFなどが挙げられる。
1〜C25アルキルフェノールとしては、モノ、ジ、若しくはトリアルキル置換フェノール、例えば、p−メチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヘキシルフェノール、2,4−ジブチルフェノール、2,4,6−トリブチルフェノール、ジノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ラウリルフェノール、p−ステアリルフェノールなどが挙げられる。
アリールアルキルフェノールとしては、2−フェニルイソプロピルフェノール、クミルフェノールなどが挙げられる。
1〜C25アルキルナフトールのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、ナフタレン核の任意の位置にあって良い。
1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)は、下記の一般式(a)で表されるものである。
【0034】
【化3】
Figure 0003718790
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
【0035】
ソルビタンエステルとしては、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタン、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタン混合脂肪酸エステルなどが挙げられる。
1〜C22脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの飽和及び不飽和脂肪酸アミンなどが挙げられる。
1〜C22脂肪族アミドとしては、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸などのアミドが挙げられる。
【0036】
更に、上記ノニオン系界面活性剤としては、
1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)
などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
【0037】
上記ノニオン系界面活性剤は2つ以上を混合しても良く、メッキ浴の添加量は一般に0.05〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
【0038】
上記カチオン系界面活性剤としては、下記の一般式(b)で表される第4級アンモニウム塩
【0039】
【化4】
Figure 0003718790
(式(b)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R1、R2及びR3は同一又は異なるC1〜C20アルキル、R4はC1〜C10アルキル又はベンジルを示す。)
或は、下記の一般式(c)で表されるピリジニウム塩などが挙げられる。
【0040】
【化5】
Figure 0003718790
(式(c)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R5はC1〜C20アルキル、R6はH又はC1〜C10アルキルを示す。)
【0041】
塩の形態のカチオン系界面活性剤の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテートなどが挙げられる。
【0042】
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、(モノ、ジ、トリ)アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO12)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO15)ノニルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、(モノ、ジ、トリ)アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0043】
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
【0044】
上記カルボキシベタインは下記の一般式(d)で表されるものである。
【化6】
Figure 0003718790
(式(d)中、R7はC1〜C20アルキル、R8及びR9は同一又は異なるC1〜C5アルキル、nは1〜3の整数を示す。)
【0045】
上記イミダゾリンベタインは下記の一般式(e)で表されるものである。
【化7】
Figure 0003718790
(式(e)中、R10はC1〜C20アルキル、R11は(CH2)mOH又は(CH2)mOCH2CO2 -、R12は(CH2)nCO2 -、(CH2)nSO3 -、CH(OH)CH2SO3 -、m及びnは1〜4の整数を示す。)
【0046】
代表的なカルボキシベタイン、或はイミダゾリンベタインは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オクチル−1−カルボキシメチル−1−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、硫酸化及びスルホン酸化付加物としてはエトキシル化アルキルアミンの硫酸付加物、スルホン酸化ラウリル酸誘導体ナトリウム塩などが挙げられる。
【0047】
上記スルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ジオクチルアミノエチルグリシン、N−ラウリルアミノプロピオン酸、オクチルジ(アミノエチル)グリシンナトリウム塩などが挙げられる。
【0048】
上記光沢剤、或は半光沢剤は、主にメッキ皮膜の光沢性や半光沢性を改良するためのものであり、平滑剤は、主にメッキ皮膜の平滑性、緻密性、外観などを向上するためのものであるが、当該光沢剤、半光沢剤、或は平滑剤は一部重複した概念でもある。要するに、名称の如何に拘わらず、当該作用を呈するものであれば任意の化合物を使用できる。
上記光沢剤の具体例としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0049】
また、半光沢剤としては、ゼラチン、ポリペプトンを初め、下記の一般式(f)〜(i)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
【化8】
Figure 0003718790
(式(f)中、Rは水素、アルキル基(C1〜C4)又はフェニル基、RIは水素、水酸基又は存在しない場合、RIIはアルキレン基(C1〜C4)、フェニレン基又はベンジル基、RIIIは水素又はアルキル基(C0〜C4)である。)
【0051】
【化9】
Figure 0003718790
(式(g)中、R、RIはアルキル基(C1〜C18)である。)
【0052】
【化10】
Figure 0003718790
(式(h)中、Rは水素、アルキル基(C1〜C4)又はフェニル基である。)
【0053】
【化11】
Figure 0003718790
(式(i)中、R1、R2、R3、R4及びR5は夫々同一又は異なっていても良く、(1)H、(2)―SH、(3)―OH、(4)OR(Rは所望により―COOHで置換されていても良いC1〜C6アルキル基)、(5)OH、ハロゲン、―COOH、―(CO)COOH、アリール又はOC1〜C6アルキル基で置換されていても良いC1〜C6アルキル基を意味する。)
【0054】
上記一般式(f)〜(h)で表された化合物のうちでも、特に、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニルなどが挙げられる。
【0055】
同じく、上記一般式(i)で表されるベンゾチアゾール類系の半光沢剤としては、特に、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、6―ニトロ―2―メルカプトベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール、2―ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
【0056】
上記平滑剤としてフェナントロリン系化合物やビピリジルなどを浴中に添加すると、低電流密度から高電流密度までの広い電流密度範囲でメッキ皮膜の平滑性などを向上できる。
【0057】
上記光沢剤、半光沢剤、或は平滑剤においては、前記各種の界面活性剤と併用すると、その相乗作用で目的とする効果がさらに向上する。
これらの各種添加剤のメッキ浴への添加量は0.001〜40g/L、好ましくは0.01〜20g/Lである。
【0058】
上記補助錯化剤は本発明の脂肪族スルフィド誘導体と共に添加して、浴の安定性を向上させるものであり、一方、上記隠蔽錯化剤は被メッキ物などから溶出した不純物金属イオンが目的とする析出金属と同時に析出したり、浴を劣化させるのを抑制するために添加するものである。
その具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチルトリアミン五酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、グリコール酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グリシン、ピロリン酸、トリポリリン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ビスホスホン酸などが挙げられる。
また、上記電導性塩としては、メッキ浴において通常使用される化合物を用いることができ、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などを使用できる。
上記pH調整剤についてもメッキ浴において通常使用される化合物を用いることができ、例えば、リン酸、酢酸、ホウ酸、酒石酸などのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などを使用でき、さらに、多塩基酸の場合には、水素イオンを含む酸性塩を単独で、又は適宜混合して使用できる。
尚、銀−スズ合金浴のようなスズ塩を含有する銀合金メッキ浴では、カテコール、ハイドロキノン、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加することにより第一スズ塩の酸化を有効に抑制できる。
【0059】
本発明のメッキ浴を用いて電気メッキを行う場合、浴温は一般に70℃以下、好ましくは10〜40℃程度である。また、陰極電流密度はメッキ浴の種類により多少の差異はあるが、一般に0.01〜150A/dm2程度、好ましくは0.1〜50A/dm2程度である。無電解メッキを行う場合には、被メッキ物を本発明のメッキ浴に浸漬するだけで良い。
一方、本発明のメッキ浴を調製する手順としては、銀塩、銀と合金を生成する特定金属の塩、所定の脂肪族スルフィド誘導体、及び界面活性剤やその他の添加剤を、ベースとなる酸やアルカリの液に同時に混合する一浴方式で行っても良いし、建浴に際して、少なくとも銀塩を脂肪族スルフィド誘導体に混合した水溶液と、残りの浴構成成分とを合わせる2液混合方式などにより行っても差し支えない。即ち、銀塩を脂肪族スルフィド誘導体の共存下で安定な状態に置いて調製することが肝要である。
【0060】
本発明のメッキ浴での上記各成分の添加濃度は、バレルメッキ、ラックメッキ、高速連続メッキ、ラックレスメッキなどに対応して任意に調整・選択できる。
【0061】
【作用】
本発明では、銀及び銀合金の各メッキ浴に特定の脂肪族スルフィド誘導体を含有するため、スルフィド又はジスルフィドの結合における分極し易いイオウ原子のソフトな塩基としての(前述のHSABの原理に基づく)配位特性と、1個又は複数個(多数個を含む)のエーテル性酸素原子(又はヒドロキシプロピレン基、若しくは、−ヒドロキシプロピル基)が有する非共有電子対による配位特性の相乗により、当該脂肪族スルフィド誘導体は銀イオンに対して良好な配位機能を示すと推定できる(尚、上記−ヒドロキシプロピル基を分子内に有する3,3′−チオジプロパノールなどにあっては、従来技術に記載されたβ−チオジグリコールなどとは異なり、スルフィド結合のイオウ原子と当該ヒドロキシプロピル基の酸素原子が銀を介して6員環配位構造を形成すると推定できる)。
また、1個以上のエーテル性酸素原子を含む本発明の脂肪族スルフィド誘導体では、オキシアルキレン鎖が長鎖化するほど当該誘導体の浴中への溶解性が一層増すとともに、ポリエーテル結合による包接作用で銀イオンがより安定化するため、メッキの操作性が容易になって生産性が向上し、浴寿命が延びて経済的に有利である。
【0062】
【発明の効果】
(1)本発明の銀及び銀合金メッキ浴では、上述のように、特定の脂肪族スルフィド誘導体の作用で銀イオンを浴中に安定化できるため、メッキ浴の経時安定性は大幅に向上する。このため、浴の分解を少なくとも6ケ月以上に亘って抑制でき(後述の試験例参照)、電気メッキ浴としての実用性を有効に確保できる。
ちなみに、本発明の銀又は銀合金メッキ浴は、分子内にエーテル性酸素原子、−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基を有する脂肪族スルフィド誘導体を含有することを特徴とする。特に、前記従来技術1に開示されたチオジグリコール酸、或はβ−チオジグリコールなどは本発明の上記誘導体と脂肪族スルフィド系化合物という点で共通するが、エーテル性酸素原子、−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基を有しない点で、本発明とは異なる種類の脂肪族スルフィド系化合物であり、これら他種類の化合物を含む浴では、1日〜5週間程度の短期間で分解が起こる(後述の試験例のうち、比較例2A・B〜3A・B参照)。
また、本発明の脂肪族スルフィド誘導体とチオ尿素はイオウ系化合物である点で共通するが、チオ尿素を含有する浴では、2〜4週間程度で激しい濁りや銀の析出が生じる(後述の試験例のうち、比較例4A・B参照)。
従って、これらの公知の化合物に比較しても、本発明の脂肪族スルフィド誘導体は、浴の経時安定性に対する寄与の点で格段に優れた効果を奏する。
【0063】
(2)従来の非シアン型の銀合金メッキ浴では、分解が進んで電気メッキ自体の長期実施が容易でなく、電気メッキを行ったとしても電着皮膜における銀の共析率が悪いという問題があった。
しかし、本発明の銀合金メッキ浴を使用して電気メッキを行うと、後述の試験例に示すように、銀と他の金属を確実に共析化でき、良好な銀合金の電着皮膜を形成することができる。
また、チオジグリコール酸やチオ尿素などを含有する浴では、電流密度の条件が低密度〜高密度に変化すると、銀の共析率のバラツキが大きいのに対して、本発明の銀合金メッキ浴では、低密度〜高密度のいずれの電流密度の条件下でも電着皮膜における銀の共析率のバラツキが小さく、皮膜中の銀の含有率が安定化する。このため、メッキ時の電流密度の管理が容易であるうえ、用途に応じた組成比のメッキ皮膜を容易に形成できる。
【0064】
(3)本発明1〜4のメッキ浴を用いた銀、或は銀合金の電着皮膜は、後述の試験例で説明するように、ヤケ(コゲ)、デンドライト、粉末状化、或は、銅、銅合金などの被メッキ素地に対する銀の置換析出や析出した皮膜へのさらなる銀の置換析出などの異常が認められず、実用的で良好な皮膜外観を具備することができる。
また、本発明5の界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、平滑剤、補助錯化剤、隠蔽錯化剤などをメッキ浴に添加すると、電着皮膜の外観を一層良好に向上できる。
【0065】
(4)本発明1〜5の銀、或は銀合金メッキ浴は、いわば銀塩を脂肪族スルフィド誘導体で浴中に安定に溶解させる非シアン型のメッキ浴なので、安全であり、排水規制が軽減されて排水処理のコストを削減できる。
また、本発明のメッキ浴はアルカリ側でのみ安定なシアン化合物を使用せず、pH制限を受けることもない(強酸性を含む)ので、メッキ処理に際しては、メッキ金属の種類に拘束を受け易いアルカリ浴に限定されず、酸性浴、中性浴でも良好に使用できる。このため、メッキ対象となる金属(銀合金)のバリエーションが広がるうえ、メッキ浴のpH管理が容易になる。
しかも、本発明の脂肪族スルフィド誘導体が分子内にエーテル性酸素原子を1個以上有する場合、オキシアルキレン鎖が長くなるほど水溶性が増すため、浴の調製がより容易になる。但し、メッキ浴の調製では、本発明の化合物を界面活性剤などで分散しても良いことは言うまでもない。
【0066】
【実施例】
以下、非シアン系の銀及び銀合金の電気メッキ浴の実施例を順次説明するとともに、調製後の各メッキ浴の経時安定性、銀合金の電着皮膜における銀の共析率、或は各電着皮膜の外観観察などの各種試験例を併記する。尚、本発明は下記の実施例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で多くの変形をなし得ることは勿論である。
【0067】
下記の実施例1〜5、17〜20及び25〜27は銀−スズ合金メッキ浴、実施例6〜14、21〜24及び29〜32は銀−ビスマス合金、銀−ニッケル合金を初めとする銀−スズ合金以外の銀合金メッキ浴、実施例15〜16及び28は銀メッキ浴である。
また、実施例26〜27及び29〜31は脂肪族スルフィド誘導体の併用例であり、それ以外は全て単用例である。
【0068】
《実施例1》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸 120g/L
ジチオビス(ヘンテトラコンタエチレングリコール) 110g/L
【0069】
《実施例2》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.7g/L
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸 150g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO15) 5g/L
セチルジメチルベンジルアンモニウムメタンスルホネート 1g/L
β−ナフトール−6−スルホン酸 0.2g/L
チオジグリセリン 70g/L
【0070】
《実施例3》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 3g/L
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
2−プロパノールスルホン酸 70g/L
ベタイン系両性界面活性剤 1g/L
セチルジメチルベンジルアンモニウムメタンスルホネート 1g/L
ハイドロキノン 1g/L
ジチオビス(デカグリセロール) 50g/L
【0071】
《実施例4》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸銀(Ag+として) 5g/L
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
メタンスルホン酸 100g/L
グルコン酸 0.7moL/L
ポリエチレンイミン 5g/L
カテコール 0.5g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 60g/L
pH4.0(NaOHで調整)
【0072】
《実施例5》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0073】
《実施例6》
下記の組成で銀−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 20g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 10g/L
メタンスルホン酸 150g/L
プルロニック系界面活性剤 10g/L
o−クロロベンズアルデヒド 0.1g/L
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 80g/L
【0074】
《実施例7》
下記の組成で銀−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 20g/L
硫酸インジウム(In3+として) 20g/L
メタンスルホン酸 120g/L
ポリビニルアルコール 7g/L
テトラブチルアンモニウムメタンスルホネート 2g/L
チオビス(トリグリセリン) 70g/L
【0075】
《実施例8》
下記の組成で銀−鉛合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0076】
《実施例9》
下記の組成で銀−銅合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0077】
《実施例10》
下記の組成で銀−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硝酸銀(Ag+として) 20g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 20g/L
硫酸 100g/L
アミドベタイン系両性界面活性剤 2g/L
β−ナフトール 1g/L
チオビス(イコサエチレングリコール) 80g/L
【0078】
《実施例11》
下記の組成で銀−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
硝酸銀(Ag+として) 20g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 5g/L
硫酸 100g/L
ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド 1.5g/L
2,6−ジヒドロキシナフタレン 1g/L
ヘキサデカエチレングリコールジメチルチオエーテル 120g/L
【0079】
《実施例12》
下記の組成で銀−パラジウム合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0080】
《実施例13》
下記の組成で銀−白金合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸銀(Ag+として) 10g/L
エタンスルホン酸白金(Pt4+として) 1g/L
エタンスルホン酸 100g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO10) 3g/L
β−ナフタレンスルホン酸 1g/L
ジチオビス(トリグリセロール) 180g/L
【0081】
《実施例14》
下記の組成で銀−金合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0082】
《実施例15》
下記の組成で銀メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0083】
《実施例16》
下記の組成で銀メッキ浴を建浴した。
酒石酸銀(Ag+として) 20g/L
酒石酸 100g/L
アルキル(ヤシ)アミンポリエトキシレート(EO15) 1g/L
イミダゾリン系両性界面活性剤 5g/L
チオビス(ペンタコンタエチレングリコール) 120g/L
pH=4.0(アンモニアで調整)
【0084】
《実施例17》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 45g/L
メタンスルホン酸 110g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO13) 20g/L
ジブチルナフタレンスルホン酸 1g/L
3,3′−チオジプロパノール 50g/L
【0085】
《実施例18》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 45g/L
メタンスルホン酸 120g/L
ノニルフェノールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
【0086】
《実施例19》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0087】
《実施例20》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0088】
《実施例21》
下記の組成で銀−銅合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0089】
《実施例22》
下記の組成で銀−鉛合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0090】
《実施例23》
下記の組成で銀−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 20g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 10g/L
メタンスルホン酸 150g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO15) 3g/L
プルロニック系界面活性剤 7g/L
チオビス(ペンタデカグリセロール) 80g/L
【0091】
《実施例24》
下記の組成で銀−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0092】
《実施例25》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 3g/L
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸 80g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20) 5g/L
ジブチルナフタレンスルホン酸 1g/L
ハイドロキノン 0.3g/L
ジチオビス(ペンタデカエチレングリコール) 60g/L
【0093】
《実施例26》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0094】
《実施例27》
下記の組成で銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0095】
《実施例28》
下記の組成で銀メッキ浴を建浴した。
酒石酸銀(Ag+として) 20g/L
酒石酸 100g/L
アルキル(ヤシ)アミンポリエトキシレート(EO15) 1g/L
イミダゾリン系両性界面活性剤 5g/L
ジチオビス(トリグリセロール) 150g/L
pH=4.0(アンモニアで調整)
【0096】
《実施例29》
下記の組成で銀−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0097】
《実施例30》
下記の組成で銀−パラジウム合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 10g/L
メタンスルホン酸パラジウム(Pd2+として) 1g/L
メタンスルホン酸 100g/L
ポリビニルピロリドン 5g/L
EDTA二ナトリウム 1g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 10g/L
チオビス(ペンタデカグリセロール) 20g/L
【0098】
《実施例31》
下記の組成で銀−白金合金メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸銀(Ag+として) 10g/L
エタンスルホン酸白金(Pt2+として) 1g/L
エタンスルホン酸 100g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO10) 4g/L
β-ナフタレンスルホン酸 0.8g/L
チオビス(トリグリセリン) 50g/L
ジチオビス(ヘンテトラコンタエチレングリコール) 100g/L
【0099】
《実施例32》
下記の組成で銀−金合金メッキ浴を建浴した。
Figure 0003718790
【0100】
《比較例1A》
前記実施例18のメッキ浴を基本組成としながら、脂肪族スルフィド誘導体を省略したブランク例を比較例1Aとして、銀−スズ合金メッキ浴を建浴した(即ち、省略成分以外の含有率は基本実施例と同じ、以下の比較例1Bも同様)。
【0101】
《比較例1B》
前記実施例15のメッキ浴を基本組成としながら、脂肪族スルフィド誘導体を省略したブランク例を比較例1Bとして、銀メッキ浴を建浴した。
【0102】
《比較例2A》
冒述の従来技術1に開示されたチオジグリコール酸やβ−チオジグリコールは、脂肪族スルフィド系化合物という点では本発明の化合物と共通するため、前記実施例18のメッキ浴を基本組成としながら、チオビス(ドデカエチレングリコール)を当該チオジグリコール酸で代替したものを比較例2Aとして、銀−スズ合金メッキ浴を建浴した(即ち、代替成分、及びそれ以外の成分の含有率は基本実施例と同じ、以下の比較例2B、3A〜3B、4A〜4Bも同様)。
【0103】
《比較例2B》
前記実施例15のメッキ浴を基本組成としながら、1,3−ジチオグリセロールビス(ペンタエチレングリコール)チオエーテルを上記チオジグリコール酸で代替したものを比較例2Bとして、銀メッキ浴を建浴した。
【0104】
《比較例3A》
前記実施例18のメッキ浴を基本組成としながら、チオビス(ドデカエチレングリコール)を上記β−チオジグリコールで代替したものを比較例3Aとして、銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
【0105】
《比較例3B》
前記実施例15のメッキ浴を基本組成としながら、1,3−ジチオグリセロールビス(ペンタエチレングリコール)チオエーテルを上記β−チオジグリコールで代替したものを比較例3Bとして、銀メッキ浴を建浴した。
【0106】
《比較例4A》
冒述したように、チオ尿素は銀のキレート剤として公知であるため、前記実施例18のメッキ浴を基本組成としながら、チオビス(ドデカエチレングリコール)を当該チオ尿素で代替したものを比較例4Aとして、銀−スズ合金メッキ浴を建浴した。
【0107】
《比較例4B》
前記実施例15のメッキ浴を基本組成としながら、1,3−ジチオグリセロールビス(ペンタエチレングリコール)チオエーテルを上記チオ尿素で代替したものを比較例4Bとして、銀メッキ浴を建浴した。
【0108】
銀及び銀合金メッキ浴では、なによりも浴が分解して銀が析出し易いため、浴の安定性がきわめて重要である。このことから、下記の試験例では、第一に浴の経時変化を観察して浴が実用的な安定性を保持するか否かを調べた。また、メッキ浴から得られる電着皮膜における銀の共析率を測定するとともに、当該電着皮膜の異常の有無(即ち、皮膜外観が実用レベルにあるか否か)の確認試験を行った。但し、浴の安定性は浴中の銀イオンに対する特定の脂肪族スルフィド誘導体の作用に依存すると推定できるため、下記の試験例では、銀−スズ合金メッキ浴をもって銀合金メッキ浴を代表させた。
【0109】
《メッキ浴の経時変化試験例》
そこで、上記各メッキ浴を建浴してから銀の析出、或は濁りなどによって、浴が分解するまでの期間を常温下で調べた。
(1)試験結果
図1〜図5はその結果である。
実施例1〜32の銀、及び銀合金メッキ浴は全て180日まで分解が起こらなかったのに対して、銀−スズ合金メッキ浴のブランク例である比較例1Aでは調製直後に分解が起こり、銀メッキ浴のブランク例である比較例1Bでは1週間程度で浴を収容した容器壁に銀の析出が認められた。チオジグリコール酸、或はβ−チオジグリコールを含有させた比較例2A〜3A(銀−スズ合金浴)では1日〜10日で分解が起こり、比較例2B〜3B(銀浴)では2週間又は5週間で分解が起こった。また、チオ尿素を含有させた比較例4A(銀−スズ合金浴)では2週間経過時点で激しい濁りが生じ、比較例4B(銀浴)では4週間で容器壁に銀が析出した。
【0110】
(2)試験結果の評価
電気メッキ浴は数カ月に亘り使用を継続できることが最低限の条件である。
上記試験結果によると、本発明の脂肪族スルフィド誘導体を含有させた銀メッキ浴、及び各種の銀合金メッキ浴(実施例1〜32)は、少なくとも6ケ月経過時点でも分解が起こらず安定であるため、電気メッキ浴として必要最低限の実用レベルを具備していることが判った。本発明の脂肪族スルフィド誘導体では、スルフィド又はジスルフィド結合の錯化作用によって銀イオンを浴中で安定化させることが基本原理となるが、特に、オキシアルキレン鎖を備えた化合物では、ポリエーテル結合による包接作用により、また、−ヒドロキシプロピル基を有する化合物では、−ヒドロキシプロピル基の酸素原子とスルフィド結合のイオウ原子が銀イオンに対して6員環配位構造を形成することにより、各々銀イオンへの錯化機能がさらに強化されると推定できる。
これに対して、本発明の化合物を含有しないブランク例(比較例1Aと1B)は、調製直後〜1週間で分解して全く実用性がなかった。チオジグリコール酸を含有させたメッキ浴(比較例2A〜2B)では1日又は2週間、同β−チオジグリコールの含有浴(比較例3A〜3B)では10日又は5週間で各々分解が起こった。
また、チオ尿素の含有浴(比較例4A〜4B)では2又は4週間程度で分解が起こった。 上記比較例2A〜4Aは実施例18を基本組成としており、これらの浴は脂肪族スルフィド系化合物の含有率が同じ(20g/L)である銀−スズ合金メッキ浴であるため、これらのを比較すると、先ず、β−チオジグリコールを含有した浴(比較例3A)はチオジグリコール酸(比較例2A)の含有浴より安定性が若干増した(1日→10日)。しかしながら、本発明の脂肪族スルフィド誘導体であるチオビス(ドデカエチレングリコール)の含有浴(実施例18)は6カ月以上の長期に亘り安定であったが、β−チオジグリコールの方はわずか10日で分解したことから両者の差異は明らかである。また、チオ尿素の含有浴(比較例4A)は2週間程度で分解した。
このことは、B系列の銀メッキ浴でも同様の結果を示した。尚、B系列の分解がA系列に比べて遅いのは、B系列のチオジグリコール酸、或はβ−チオジグリコールなどの化合物の含有率がA系列より多いためと思われる。
従って、本発明の脂肪族スルフィド誘導体を含有させたメッキ浴は、各種の比較例1A・B〜4A・Bに比べても、浴の経時安定性が格段に優れていることが確認できた。
【0111】
《銀共析率の測定試験例》
銀−スズ合金、銀−ビスマス合金メッキ浴を初めとする各種の銀合金メッキ浴(実施例1〜14、17〜27と29〜32、及び比較例2Aと3A)について、電流密度の条件を変えて電気メッキを行い(図1〜図5参照)、浴から得られた電着皮膜中の銀の共析率をICP装置(蛍光X線膜厚計でも可)を用いて測定した。尚、比較例1Aは調製直後に分解したため、電気メッキを実施できなかった。また、比較例2Aは調製後1日で分解して浴の安定性がきわめて悪く、銀とスズを共析させること自体が困難であるため、電気メッキを実施しなかった。
【0112】
(1)試験結果及び評価
図1〜図5はその結果を示す。
実施例1〜14、17〜27及び29〜32の銀合金メッキ浴では、陰極電流密度の条件が低密度〜高密度に変化しても、銀の共析率のバラツキは小さく、安定した比率範囲で確実に銀と他の金属が共析化していることが確認できた。
例えば、銀−スズ合金メッキ浴において、本発明の脂肪族ジスルフィド誘導体を含有する実施例3、並びに脂肪族モノスルフィド誘導体を含有する実施例18を比較例3A〜4Aと比較すると、実施例3・18のバラツキが小さいことが確認できる。例えば、電流密度が5〜20A/dm2に変化した場合、銀の共析率は、実施例3では9.2〜3.6%、実施例18では7.6〜2.9%であって、バラツキが狭い範囲にとどまったのに対して、比較例4Aでは57.4〜3.1%と大きくバラつくことが認められた。また、比較例3Aでは9.6〜2.8%にとどまった。
ちなみに、銀−スズ合金メッキ皮膜の場合、スズウイスカーの防止用としては銀の含有率が少量である皮膜が有効であるが、本発明のメッキ浴を使用すると、電流密度が様々に変化しても銀の共析率は比較的安定していることから、電流密度の管理が容易であるうえ、各種用途に応じた様々な組成の銀合金皮膜を容易に形成できる。
【0113】
また、実施例と比較例の関係において、同じ電流密度の条件下(例えば、5A/dm2)での銀の共析率に着目すると、実施例3では9.2%、実施例18では7.6%であるのに対して、比較例4Aでは57.4%であった。これは、本発明のエーテル性酸素原子を含む脂肪族スルフィド誘導体の方が、チオ尿素よりも浴中の銀イオンに対する安定化作用が強力であるため、同じ電流密度を付与しても銀イオンが金属銀に還元され難く、もって実施例3、18での銀の共析率が相対的にかなり小さくなったものと推定できる。尚、同じ脂肪族スルフィド化合物であるチオジグリコール酸では、前述したように、浴の安定性がきわめて悪く、銀とスズを共析させること自体が困難であり、一方、β−チオジグリコールでは(同様に浴の安定性は劣るが)共析率の点は実用レベルを具備していた。
換言すると、銀合金メッキ浴に対する安定化作用の差異は、同じ電流密度下での銀の共析率の大小となって現れ、当該共析率が小さいほどメッキ浴が安定であることが推定できる。
【0114】
《メッキ皮膜の外観試験例》
各種の銀、及び銀合金メッキ浴(実施例1〜32、比較例1B、2A・B〜4A・B)において、電流密度の条件を変えて電気メッキを行い、浴から得られた電着皮膜の外観を目視で観察して、ヤケ(コゲ)、デンドライト、或は粉末状化などの異常の有無を確認し、実用的なメッキ皮膜としての必要最低限のレベルを備えているか否かを調べた。
尚、上記試験例と同様の理由で、比較例1Aの試験は実施できなかった。また、比較例2Aでは、メッキ浴の安定性がきわめて悪く、銀−スズ合金の電着皮膜を得ること自体が困難であるため、当該試験は行わなかった。
【0115】
(1)試験結果及び評価
図1〜図5はその結果を示す。
ちなみに、当該試験結果の評価基準は下記の通りである。
○:皮膜外観に異状がなく、実用レベルを保持していた。
△:粉末状化などが認められ、皮膜外観は実用レベルから劣った。
×:ヤケ、デンドライトなどが顕著に認められ、皮膜外観はきわめて劣った。
【0116】
そこで、試験結果を詳述すると、実施例1〜32の銀、及び銀合金皮膜は、電流密度が変化しても、ヤケやデンドライトなどの異常が認められず、メッキ皮膜として実用的なレベルを保持して、全て評価は○であった。
これに対して、β−チオジグリコールを含有させた比較例3Aの銀−スズ合金メッキ皮膜は、5A/dm2及び20A/dm2の電流密度下で外観に若干の問題が観察されて△の評価であった。チオ尿素を含有させた比較例4Aの銀−スズ合金メッキ皮膜は、全て粉末状化、或はヤケなどの異常が認められて△〜×の評価であった。
また、ブランク例である比較例1Bの銀メッキ皮膜は著しい黒色粉末状を呈して、評価は全て×であった。比較例2B・3Bの銀メッキ皮膜は全て粉末状化、或はヤケなどの異常が認められて△〜×であった。チオ尿素を含有させた比較例4Bの銀メッキ皮膜も上記比較例2B・3Bと同様であった。
以上のように、比較例のメッキ皮膜は、比較例3Aを除いて、実用的な外観のレベルから大幅に劣り、比較例3Aも問題が残った。このため、電着皮膜の外観の点でも、本発明の脂肪族スルフィド誘導体はチオジグリコール酸、或はチオ尿素などに比べて顕著な差異があることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜8の銀合金メッキ浴の種類、浴の安定性試験結果、銀の共析率及び電着皮膜の外観観察結果を夫々示す図表である。
【図2】実施例9〜16の銀合金メッキ浴及び銀メッキ浴を示す図1相当図である。
【図3】実施例17〜24の銀合金メッキ浴を示す図1相当図である。
【図4】実施例25〜32の銀合金メッキ浴及び銀メッキ浴を示す図1相当図である。
【図5】比較例1A・B〜4A・Bの銀合金メッキ浴及び銀メッキ浴を示す図1相当図である。

Claims (5)

  1. (A)銀塩と、銀塩及び錫、ビスマス、コバルト、アンチモン、イリジウム、インジウム、鉛、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、パラジウム、白金、金から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩、
    (B)少なくとも1個以上のエーテル性酸素原子、−ヒドロキシプロピル基、或はヒドロキシプロピレン基を含み、塩基性窒素原子を含まない脂肪族スルフィド誘導体の少なくとも一種
    を含有することを特徴とする非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴。
  2. (B)の脂肪族スルフィド誘導体が、脂肪族モノスルフィド誘導体及び脂肪族ジスルフィド誘導体の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴。
  3. (B)の脂肪族スルフィド誘導体が、下記の一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種
    e−Ra−[(X−Rb)L−(Y−Rc)M−(Z−Rd)N]−Rf …(1)
    (式(1)中、Mは1〜100の整数を表し、L及びNは夫々0又は1〜100の整数を表す。;YはS又はS−Sを表し、X及びZは夫々O、S又はS−Sを表す。;RaはC1〜C12の直鎖若しくは分岐アルキレン又は2−ヒドロキシプロピレンを表す。;Rb、Rc及びRdはメチレン、エチレン、プロピレン、2−ヒドロキシプロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンよりなるアルキレンを表す。;X−Rb、Y−Rc及びZ−Rdにおいては互いの存在位置は限定されず、ランダムな順列をとり得る。また、X−Rb、Y−Rc或はZ−Rdの各結合が繰り返される場合、各結合は複数種の結合から構成されても良い。;両端のRe及びRfは、(a)水素、或は、(b)ハロゲン、シアノ、ホルミル、カルボキシル、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、或は、(c)アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、アリル、多環式シクロアルキル、アセチル又はアリール、或は、(d)−O−アルキル、−S−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル、−O−アリル、−O−多環式シクロアルキル、−O−アセチル又は−O−アリールを夫々表す。但し、上記(c)〜(d)の全ての官能基は、ハロゲン、シアノ、ホルミル、アルコキシ、カルボキシル、アシル、ニトロ或はヒドロキシで置換されても良い。;上記XとZの少なくとも一方は酸素原子を表す。但し、両端のRe、Rfの少なくとも一方が上記(d)の官能基(−S−アルキルを除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRb、Rc及びRdの少なくともいずれかが2−ヒドロキシプロピレン基である場合はこの限りにあらず、XとZは共に酸素原子でなくても良い。;L=N=0である場合、両端のRe、Rfの少なくとも一方は上記(d)の官能基(−S−アルキルを除く)又はヒドロキシル基が置換したプロピル基であるか、或はRcが2−ヒドロキシプロピレン基である。;Rb、Rc及びRdが2−ヒドロキシプロピレン基である場合、その2−位のヒドロキシル基にさらにオキシエチレン、オキシプロピレン、或はオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレン基が重合付加しても良い。)
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴。
  4. (A)可溶性銀塩、(B)脂肪族スルフィド誘導体として3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールを含有するか、或は、
    (A)可溶性銀塩及び錫、ビスマス、コバルト、アンチモン、イリジウム、インジウム、鉛、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、パラジウム、白金、金から選ばれた金属の可溶性塩の混合物、(B)脂肪族スルフィド誘導体として3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールを含有することを特徴とする非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のメッキ浴に、さらに界面活性剤、半光沢剤、光沢剤、平滑剤、電導性塩、pH調整剤、補助錯化剤、隠蔽錯化剤及び酸化防止剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする非シアン系の銀及び銀合金メッキ浴。
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