JP7035883B2 - 剥離液 - Google Patents

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本発明は、電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するときに生じるスラッジの溶解性に優れ、かつ再使用するための保存性が良好である剥離液に関するものである。
従来、この種の剥離液として、少なくともアルカンスルホン酸を35~420mL/Lの範囲内で含有し、(メタ)ニトロベンゼンスルホン酸或いはその塩を10~300g/Lの範囲で含有し、更に、チオ尿素、アルキルチオ尿素及び芳香族チオ尿素からなる群のなかの1種以上を5g/L以上で溶解度範囲内で含有することを特徴とするニッケル或いは鉄ニッケル合金上の無鉛錫合金剥離用の剥離液が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、要約、段落[0002])参照。)
この剥離液では、トランジスタやIC等の電子部品を実装するためのリードフレーム、コネクター等の素材として、或いは、下地層として、ニッケルや鉄ニッケル合金が使用された場合に、素材や下地層であるニッケル或いは鉄ニッケル合金上に設けられた無鉛錫合金層やその下に存在するニッケル(鉄ニッケル合金)-錫合金層を、素材や下地層の溶解を極めて低く抑え、かつ、剥離後の表面が平坦となるように剥離することができ、更に、剥離後の素材や下地層上に再めっきを安定して行うことが可能であるとされている。
特開2001-335969号公報
錫又は錫合金めっきを基体に接触させた後、剥離液を使用する場合、特許文献1に記載の剥離液には、剥離後の基体である素材や下地層上に再めっきを安定して行う必要性があるという課題があった。その課題とは別に、基体が電解めっき装置、即ちめっき槽やめっき液貯蔵タンクなどであって、特に、錫と錫より貴な金属を含む錫合金めっき液を電解めっき装置内で長時間使用した後で剥離液を使用する場合、剥離液には、めっき槽の内壁やめっき液貯蔵タンクの内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するときに、剥離液中に溶解した錫より貴な金属イオンが錫イオンを酸化させて生じる錫酸化物からなるスラッジがめっき槽の内壁に再付着することを抑制するとともに、その剥離液を再使用するために剥離液の保存性が良好でなければならないという課題があった。
本発明の目的は、電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するときに生じるスラッジの溶解性に優れ、かつ再使用するための保存性が良好である剥離液を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、剥離液に特定のスルフィド化合物を含有させて、この剥離液で長時間使用した電解めっき装置内を洗浄すると、装置内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜がスラッジにならずに溶解するとともに、剥離液が透明のままで、再使用できることを知見し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、アルカンスルホン酸と、3-ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩と、界面活性剤とを含み、錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を基体から剥離する剥離液において、錯体化剤としてのスルフィド化合物を0.1g/L以上の濃度で更に含み、前記スルフィド化合物が下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示されるスルフィド化合物であることを特徴とする。
但し、式(1)中、nは1~3であり、式(2)中、(A)は、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~2である炭化水素基、又は酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が2~6である炭化水素基であり、式(3)中、(B)は、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~4である炭化水素鎖、又は酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が3~4である炭化水素鎖であり、式(4)中、mは1~5である。
Figure 0007035883000001
(1)
Figure 0007035883000002
(2)
Figure 0007035883000003
(3)
Figure 0007035883000004
(4)
本発明の第2の観点は、第1の観点に係る発明であって、 前記界面活性剤がアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤より選ばれる少なくとも1種又は2種以上の界面活性剤である。
本発明の第1の観点の剥離液では、スルフィド化合物が上述した一般式(1)において、分子中に酸素原子「-O-」を含むため、水との水素結合により、水溶性を上げる効果がある。またS原子間にエーテル結合「C-O-C」が存在することにより、化合物自体の安定性に優れる。更にS原子を2~4個含むため、剥離液が錫合金の基体に接触したときに、このS原子が剥離液で基体から溶解した錫より貴な金属イオンを十分に錯体化して安定化することができる。これにより、溶解した錫より貴な金属イオンが剥離液中の錫イオンを酸化する反応を抑制し、剥離液中に錫酸化物が発生せず、また錫酸化物からなるスラッジがめっき槽の内壁に再付着することがないため剥離速度の低下を生じず、この剥離液は電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜のスラッジを確実に溶解する。また電解めっき装置を洗浄している間及び洗浄後に保存する場合も、剥離液中でスルフィド化合物が錫より貴な金属イオンを安定化するため、剥離液は安定性に優れて再使用が可能である。
本発明の第1の観点の剥離液では、スルフィド化合物が上述した一般式(2)において、(A)が、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~2である炭化水素基である場合には、スルフィド化合物の水溶性が良好である。また(A)が、酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が2~6である炭化水素基である場合には、ヒドロキシル基「―OH」を含むため、これが親水基として作用し、水との水素結合により、スルフィド化合物の水溶性が良い。更に双方の場合とも、剥離液が錫合金の基体に接触したときに、一般式(2)において、硫黄原子としてスルフィド基「-S―」を含むため、このS原子が剥離液で基体から溶解した錫より貴な金属イオンを十分に錯体化して安定化することができる。これにより、溶解した錫より貴な金属イオンが剥離液中の錫イオンを酸化する反応を抑制し、剥離液中に錫酸化物が発生せず、錫酸化物からなるスラッジがめっき槽の内壁に再付着することがないため剥離速度の低下を生じず、この剥離液は電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜のスラッジを確実に溶解する。また電解めっき装置を洗浄している間及び洗浄後に保存する場合も、剥離液中でスルフィド化合物が錫より貴な金属イオンを安定化するため、剥離液は安定性に優れて再使用が可能である。
本発明の第1の観点の剥離液では、スルフィド化合物が上述した一般式(3)において、(B)が、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~4である炭化水素基である場合には、スルフィド化合物の水溶性が良好である。また(B)が、酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が3~4である炭化水素基である場合には、ヒドロキシル基「-OH」を含むため、これが親水基として作用し、水との水素結合により、更に水溶性を上げる効果がある。更に、剥離液が錫合金の基体に接触したときに、一般式(3)において、硫黄原子としてスルフィド基「-S―」を含むため、このS原子が剥離液で基体から溶解した錫より貴な金属イオンを十分に錯体化して安定化することができる。これにより、溶解した錫より貴な金属イオンが剥離液中の錫イオンを酸化する反応を抑制し、剥離液中に錫酸化物が発生せず、錫酸化物からなるスラッジがめっき槽の内壁に再付着することがないため剥離速度の低下を生じず、この剥離液は電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するときに生じるスラッジを確実に溶解する。また電解めっき装置を洗浄している間及び洗浄後に保存する場合も、剥離液中でスルフィド化合物が錫より貴な金属イオンを安定化するため、剥離液は安定性に優れて再使用が可能である。
本発明の第1の観点の剥離液では、スルフィド化合物が上述した一般式(4)において、水溶性に優れるグリセリル基を両末端に有しており、更に水溶性を上げる効果のあるエチレンオキシド基を1~5個有しているため、水との水素結合により、スルフィド化合物の水溶性が良好である。更に、一般式(4)において、S原子を含むため、このS原子が剥離液で基体から溶解した錫より貴な金属イオンを十分に錯体化して安定化することができる。これにより、溶解した錫より貴な金属イオンが剥離液中の錫イオンを酸化する反応を抑制し、剥離液中に錫酸化物が発生せず、錫酸化物からなるスラッジがめっき槽の内壁に再付着することがないため剥離速度の低下を生じず、この剥離液は電解めっき装置の内壁や内面に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するときに生じるスラッジを確実に溶解する。また電解めっき装置を洗浄している間及び洗浄後に保存する場合も、剥離液中でスルフィド化合物が錫より貴な金属イオンを安定化するため、剥離液は安定性に優れて再使用が可能である。
本発明の第2の観点の剥離液では、前記界面活性剤がアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤であるため、剥離液による洗浄時に、剥離液が基体である電解めっき装置の内壁又は内面に浸透し易くなり、洗浄効果を高める。
以下に、本発明の第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液について説明する。これらの剥離液は、錫合金めっき液の長時間接触により、電解めっき装置の内壁や内面の基体に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を基体から剥離するために使用される。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液は、アルカンスルホン酸と、3-ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩と、界面活性剤と、錯体化剤としてスルフィド化合物とを含む。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の基体に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜としては、錫(Sn)と、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ビスマス(Bi)より選ばれた所定金属との合金が挙げられ、例えば、SnAg合金、SnCu合金、SnAu合金、SnBi合金等の2元合金、SnCuAg合金等の3元合金が挙げられる。また、これら錫合金の化合物が付着している場合もある。錫合金の化合物は、例えば、錫合金の酸化物や、塩化物などが挙げられる。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液には、アルカンスルホン酸が50g/L以上400g/L以下の濃度で含まれることが好ましい。50g/L未満では、基体に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜の溶解性が十分でなく、剥離速度が遅くなり、実用性に乏しい。一方、400g/Lを超えると、剥離液の動粘度が上昇し、剥離速度が遅くなる。アルカンスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等を挙げることができる。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液には、3-ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩が10g/L以上200g/L以下の濃度で含まれることが好ましい。10g/L未満では、基体に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜の溶解性が十分でなく、剥離速度が遅くなり、実用性に乏しい。200g/Lを超えると、3-ニトロベンゼンスルホン酸がその溶解度以上となり、溶解しにくくなる。上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液には、界面活性剤が0.1g/L以上50g/L以下の濃度で含まれることが好ましい。0.1g/L未満では、剥離液が基体に付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜に接触したときの浸透性が十分でない。50g/Lを超えると、浸透性を高める効果は飽和しており、剥離液のコストが高くなる不具合がある。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤より選ばれる少なくとも1種又は2種以上の界面活性剤である。界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤の具体例としては、モノ~トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系活性剤の具体例としては、炭素原子数が1~20個のアルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、炭素原子数が1~25個のアルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、炭素原子数が1~25個のアルキルナフトール、炭素原子数が1~25個のアルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、炭素原子数が1~22個の脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2~300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液には、それぞれ上述した一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で示されるスルフィド化合物が含まれる。このスルフィド化合物は、剥離液中、0.1g/L以上50g/L以下の濃度、好ましくは0.1g/L以上50g/L以下の濃度で、更に好ましくは1g/L以上30g/L以下の濃度で含まれる。スルフィド化合物の濃度が0.1g/Lでは、基体から剥離した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を溶解することができない。また濃度が高くても、剥離液の性能は維持されるが、剥離液が高価となり、不経済である。このスルフィド化合物の構造は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速液体クロマトグラム質量分析計(LC-MS)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、核磁気共鳴装置(NMR)等の分析機器を併用することにより分析することができる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態の剥離液は、錯体化剤として上述した一般式(1)で示されるスルフィド化合物を含む。このスルフィド化合物は、濃硫酸やアルキルスルホン酸等の脱水作用をもつ強酸中でチオジエタオール(n=0)を脱水縮合して得られる。このときの反応温度、反応時間及び精製条件を変えることにより、一般式(1)中のnの値を制御することができる。このnが3を超えると、スルフィド化合物は水溶性でなくなり、疎水性となる。水溶液中でスルフィド化合物を溶解させるためには、nは3以下である必要がある。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の剥離液は、錯体化剤として上述した一般式(2)で示されるスルフィド化合物を含む。このスルフィド化合物は、主原料のα-チオグリコールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムの塩基性水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合・撹拌・還流し、主原料と副原料を求核置換反応させることで得られる。
第2の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、クロロメタン、クロロエタン、2-クロロエタノール、3-クロロ-1-プロパノール、1-クロロ-3-メタオキシプロパン、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、2-(2-クロロエトキシ)エタノール、1-クロロ-3-メトキシ-2-プロパノール、2-[2-(2-クロロエトキシ)エトキシ]エタノール、ジメチルクロロアセタール、4-クロロ-1,2-ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態の剥離液は、錯体化剤として上述した一般式(3)で示されるスルフィド化合物を含む。このスルフィド化合物は、主原料のα-チオグリコールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基性の水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合・撹拌・還流し、主原料と副原料を求核置換反応させることで得られる。
第3の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、ジクロロメタン、1,3-ジクロロプロパン、1,4-ジクロロブタン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、1,4-ジクロロ-2-ブタノール、1,4-ジクロロ-2,3-ブタンジオール等が挙げられる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態の剥離液は、錯体化剤として上述した一般式(4)で示されるスルフィド化合物を含む。このスルフィド化合物は、主原料のα-チオグリコールを、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基性水溶液に混合した後、次に述べる副原料を混合・撹拌・還流し、主原料と副原料を反応させることで得られる。
第4の実施形態のスルフィド化合物を作るための副原料としては、ビス(2-クロロエチル)エーテル、1,2-ビス(2-クロロエトキシ)エタン、ジエチレングリコールビス(2-クロロエチル)エーテル、ビス[2-[2-(2-クロロエトキシ)エトキシ]エチル]エーテル等が挙げられる。
第1、第2、第3及び第4の実施形態の剥離液は、例えば、アルカンスルホン酸と、3-ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩と、界面活性剤と、上述した一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で示されるスルフィド化合物及びその他の成分と、水とを混合することによって調製することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1~5で用いられるスルフィド化合物>
先ず、実施例1~5で用いられる第1の実施形態に記載したスルフィド化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0007035883000005
(1-1)
<実施例6で用いられるスルフィド化合物>
次いで、実施例6で用いられる第1の実施形態に記載したスルフィド化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0007035883000006
(1-2)
<実施例7で用いられるスルフィド化合物>
次に、実施例7で用いられる第1の実施形態に記載したスルフィド化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0007035883000007
(1-3)
上記第1の実施形態に記載した実施例1~7に用いられるスルフィド化合物の種類と、これらの構造式の符号と、一般式(1)におけるnの数を以下の表1に示す。
Figure 0007035883000008
<実施例8~11で用いられるスルフィド化合物>
実施例8~11で用いられる第2の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の種類と、これらの構造式の符号と、一般式(2)における酸素原子数及び炭素原子数を以下の表2に示す。またその構造式を以下に列挙する。
Figure 0007035883000009
Figure 0007035883000010
(2-1)
Figure 0007035883000011
(2-2)
Figure 0007035883000012
(2-3)
Figure 0007035883000013
(2-4)
<実施例12~15で用いられるスルフィド化合物>
実施例12~15で用いられる第3の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の種類と、これらの構造式の符号と、一般式(3)における酸素原子数及び炭素原子数を以下の表3に示す。またその構造式を以下に列挙する。
Figure 0007035883000014
Figure 0007035883000015
(3-1)
Figure 0007035883000016
(3-2)
Figure 0007035883000017
(3-3)
Figure 0007035883000018
(3-4)
<実施例16~18で用いられるスルフィド化合物>
実施例16~18で用いられる第4の実施形態に記載したスルフィド化合物を製造するための主原料と副原料及び製造されたスルフィド化合物の種類と、これらの構造式の符号と、一般式(4)におけるnの数を以下の表4に示す。またその構造式を以下に列挙する。
Figure 0007035883000019
Figure 0007035883000020
(4-1)
Figure 0007035883000021
(4-2)
Figure 0007035883000022
(4-3)
(剥離液の調製)
<実施例1>
メタンスルホン酸と、3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムと、錯体化剤としての種類がAで構造式(1-1)のスルフィド化合物と、ノニオン系界面活性剤(エチレンジアミンにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンを50:50の割合で付加させたもの)とを混合して溶解させた後、最後にイオン交換水を加えて、下記組成の剥離液を調製した。各組成物の配合量を以下の表5に示す。
(剥離液の組成)
メタンスルホン酸:150g/L
3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム:100g/L
スルフィド化合物(種類A、構造式(1-1)):1g/L
ノニオン系界面活性剤:5g/L
イオン交換水:残部
Figure 0007035883000023
<実施例2>
実施例2では、実施例1の3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりに、3-ニトロベンゼンスルホン酸を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例3>
実施例3では、実施例1のメタンスルホン酸の代わりに、エタンスルホン酸を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例4及び実施例5>
実施例4及び実施例5では、実施例1の錯体化剤としてのスルフィド化合物の配合量を0.1g/L及び50g/Lにそれぞれ変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例6>
実施例6では、錯体化剤として種類がBで構造式(1-2)のスルフィド化合物を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例7>
実施例7では、錯体化剤として種類がCで構造式(1-3)のスルフィド化合物を用い、3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合量を10g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例8>
実施例8では、錯体化剤として種類がDで構造式(2-1)のスルフィド化合物を用い、3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合量を50g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例9>
実施例9では、錯体化剤として種類がEで構造式(2-2)のスルフィド化合物を用い、3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合量を150g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例10>
実施例10では、錯体化剤として種類がFで構造式(2-3)のスルフィド化合物を用い、3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合量を200g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例11>
実施例11では、錯体化剤として種類がGで構造式(2-4)のスルフィド化合物を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例12>
実施例12では、錯体化剤として種類がHで構造式(3-1)のスルフィド化合物を用い、メタンスルホン酸の配合量を50g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例13>
実施例13では、錯体化剤として種類がIで構造式(3-2)のスルフィド化合物を用い、メタンスルホン酸の配合量を250g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例14>
実施例14では、錯体化剤として種類がJで構造式(3-3)のスルフィド化合物を用い、メタンスルホン酸の配合量を400g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例15>
実施例15では、錯体化剤として種類がKで構造式(3-4)のスルフィド化合物を用い、界面活性剤の配合量を0.1g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例16>
実施例16では、錯体化剤として種類がLで構造式(4-1)のスルフィド化合物を用い、界面活性剤の配合量を30g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例17>
実施例17では、錯体化剤として種類がMで構造式(4-2)のスルフィド化合物を用い、界面活性剤の配合量を50g/Lに変更した。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<実施例18>
実施例18では、錯体化剤として種類がNで構造式(4-3)のスルフィド化合物を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<比較例1>
比較例1では、錯体化剤を用いなかった。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<比較例2>
比較例2では、錯体化剤としてスルフィド化合物でなく、3,6-ジチア-1,8-オクタジオール(表5中のX)を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
<比較例3>
比較例3では、メタンスルホン酸の代わりに硝酸を用いた。それ以外は、実施例1と同様に剥離液を調製した。
実施例2~18及び比較例1~3の各組成物の配合量を上記表5に示す。
<比較試験及び評価>
実施例1~18及び比較例1~3の21種類の剥離液について、スラッジの溶解性と、スラッジの溶解性試験後の剥離液の保存性について、次の方法により評価した。その結果を以下の表6に示す。
(a)スラッジの溶解性試験
たて10cm、よこ10cm、厚さ1mmのステンレス鋼材の上に厚さ10μmのSnAg合金層であるはんだ層を形成して、被溶解試料とした。21種類の剥離液を使用し、浴温度25℃、浴負荷量1dm2/L、液量1Lの処理浴をそれぞれ別々に作製した。それぞれの処理浴中に被溶解試料を浸漬して、はんだ層の溶解を行った。浸漬してからはんだ層が完全に溶解するまでの時間を測定した。
(b)スラッジの溶解性試験後の剥離液の保存性
21種類のスラッジの溶解性試験後の剥離液をガラス製の透明なボトルにそれぞれ別々に入れ、Panasonic社製のクリーンオーブン内で50℃で6ヶ月間保管した。保管後の剥離液の透明度を目視で観察した。剥離液が透き通った状態のものを「透明」と判定し、白濁化するものを「濁り」と判定した。
Figure 0007035883000024
表6から明らかなように、錯体化剤を用いない比較例1では、被溶解試料を処理浴に浸漬してから試料のはんだ層が完全に溶解するまで13分要するとともに、6ヶ月保管後の剥離液は濁っていた。また錯体化剤として本発明のスルフィド化合物でない3,6-ジチア-1,8-オクタジオールを用いた比較例2では、被溶解試料を処理浴に浸漬してから試料のはんだ層が完全に溶解するまで5分と短かったが、6ヶ月保管後の剥離液は濁っていた。更にアルカンスルホン酸の代わりに硝酸を用いた比較例3では、被溶解試料を処理浴に浸漬しても試料のはんだ層は溶解せず、そのため、6ヶ月保管後の剥離液は透明であった。
これに対して、本発明の第1の観点の条件に合致したスルフィド化合物を用いた実施例1~18では、被溶解試料を処理浴に浸漬してから試料のはんだ層が完全に溶解するまで1分から5分と短く、また6ヶ月保管後の剥離液はいずれも透明であった。これにより、はんだ層であるSnAg合金層を剥離するときに生じるスラッジの溶解性に優れ、かつ再使用するための保存性が良好であることが立証された。
本発明の剥離液は、電解めっき装置のめっき槽やめっき液貯蔵タンクに付着した錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を剥離するために利用することができる。

Claims (2)

  1. アルカンスルホン酸と、3-ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩と、界面活性剤とを含み、錫合金の化合物及び/又は錫合金の皮膜を基体から剥離する剥離液において、
    錯体化剤としてのスルフィド化合物を0.1g/L以上の濃度で更に含み、
    前記スルフィド化合物が下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示されるスルフィド化合物であることを特徴とする剥離液。
    但し、式(1)中、nは1~3であり、式(2)中、(A)は、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~2である炭化水素基、又は酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が2~6である炭化水素基であり、式(3)中、(B)は、酸素原子を含まずかつ炭素原子数が1~4である炭化水素鎖、又は酸素原子数が1以上であってかつ炭素原子数が3~4である炭化水素鎖であり、式(4)中、mは1~5である。
    Figure 0007035883000025
    (1)
    Figure 0007035883000026
    (2)
    Figure 0007035883000027
    (3)
    Figure 0007035883000028
    (4)
  2. 前記界面活性剤がアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤より選ばれる少なくとも1種又は2種以上の界面活性剤である請求項1記載の剥離液。
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