JP4609703B2 - 銅系素材用置換ビスマスメッキ浴 - Google Patents
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Description
また、ビスマスを含む合金の無電解メッキ浴として、特許文献2で、アミン系化合物とチオ尿素類の混合物を使用した無電解スズ−ビスマス合金メッキ浴を開示した(請求項1〜2参照)。当該アミン系化合物としては、上記特許文献1と同様のアミノカルボン酸類を初め、エチレンジアミンなどのポリアミン類、ベンジルアミンなどのモノアミン類、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール類を開示した(段落14参照)。
また、特許文献1〜5に開示されているEDTAなどのアミノカルボン酸類では銅の電極電位を卑に遷移させる作用が弱く、置換メッキが起こりにくい。
そこで、例えば、上記特許文献1の置換ビスマスメッキ浴では、チオ尿素類とアミノカルボン酸類を併用して、ビスマスの析出の円滑化を図っているが、緻密なビスマス皮膜の形成には不充分な点が残る。
本発明は、銅系素材上への置換ビスマスメッキに際して、白色の緻密なビスマス皮膜を形成することを技術的課題とする。
下記の銅溶解剤(a)〜(e)の少なくとも一種
(a)メチオニン、エチオニン、シスチン、N−アセチルシステイン、システインよりなる群から選ばれた脂肪族チオアミノカルボン酸又はその塩
(b)メルカプトイソ酪酸、メルカプト酢酸、ジメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、2,3−ジメルカプトコハク酸よりなる群から選ばれた脂肪族メルカプトカルボン酸又はその塩
(c)次の一般式(1)で表されるスルフィド類
Ra−(A)j−S−(B)k−Rb …(1)
(式(1)中、j及びkは1〜100の整数である;A及びBは同一又は異なっても良く、夫々メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、又はこれらのC2〜C4のオキシアルキレンである;Ra及びRbは同一又は異なっても良く、夫々H(但し、AとBが共にメチレン、C2〜C4アルキレンの場合にはRaとRbのどちらか一方はHでない)、OH、NH2、CO2M、SO3M、ピリジル基又はアミノフェニル基である;Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンである)
(d)次の一般式(2)で表されるスルフィド類
Ra−S−(CH2CH2−S)n−Rb …(2)
(式(2)中、nは1〜3の整数である;Ra及びRbは同一又は異なっても良く、夫々−(CH2)m−Rcである;mは0又は1〜5の整数である;Rcはmが0の場合はピリジル基又はアミノフェニル基であり、mが1〜5の整数の場合はOH、NH2、CO2M、SO3M、ピリジル基又はアミノフェニル基であり;Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンである)
(e)次の一般式(3)で表されるチオ尿素誘導体
Rd−NH−C(=S)−NH−Re …(3)
(式(3)中、Rd及びReは同一又は異なっても良く、夫々−(CH2)p−Rfである;pは1〜5の整数である;Rfはピリジル基である)
を含有することを特徴とする銅系素材用置換ビスマスメッキ浴である。
本発明では、銅溶解剤に特定のチオアミノカルボン酸又はその塩、脂肪族メルカプトカルボン酸又はその塩、スルフィド類、チオ尿素誘導体を限定的に選択することにより、錯化した銅イオンとビスマスイオンの電極電位差をほど良く調整できるため、ビスマスの析出を円滑化して、白色で緻密なビスマス皮膜を得ることができる。
従って、プリント基板、フィルムキャリアなどの電子部品の表面処理などに有効である。また、本発明の置換メッキ浴を用いてビスマス皮膜を形成し、これを下地皮膜として上層にスズメッキ皮膜を形成すると、スズ皮膜のホイスカーを良好に防止できる。
本発明では、銅系素材は銅又は銅合金を材質とする電子部品などの素材をいう。
有機酸としては、排水処理が比較的容易なアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或は、脂肪族カルボン酸などが好ましい。
無機酸としては、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。
上記の酸(又は塩)は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜300g/Lであり、好ましくは20〜120g/Lである。
可溶性ビスマス塩は、例えば、上記有機スルホン酸や無機酸の塩類などであり、具体的には、メタンスルホン酸ビスマス、エタンスルホン酸ビスマス、p−フェノールスルホン酸ビスマス、硝酸ビスマス、塩化ビスマスなどが挙げられる。
当該可溶性ビスマス塩の金属塩換算の含有量は、0.01〜200g/Lであり、好ましくは0.1〜80g/Lである。
これらの含イオウ化合物は夫々を単用又は併用でき、或は、異種を複用(例えば、チオアミノカルボン酸とスルフィド類とを複用)できる。含イオウ化合物の添加量は浴中ビスマスイオンに対して0.1〜100倍モルであり、好ましくは1〜50倍モルである。0.1倍モルより少ないと銅の電極電位を卑にシフトしてビスマスイオンの電極電位との間に好適な電位差を生ぜしめ、効果的な置換メッキにより、所望する膜厚のメッキ皮膜を得るのに長時間を要する。一方、100倍モルを越えても当該効果にあまり差異はなく、コストの無駄である。
上記脂肪族メルカプトカルボン酸は、メルカプトイソ酪酸、メルカプト酢酸、ジメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、2,3−ジメルカプトコハク酸よりなる群から選択でき、メルカプト酢酸、ジメルカプト酢酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド類としては、チオジグリコール、チオジグリコール酸、2,2′−チオビス(エチルアミン)、チオジプロピオン酸、チオジエタンスルホン酸、チオジプロパノール、3,3′−チオビス(プロピルアミン)、チオジ酪酸、チオジプロパンスルホン酸、ビス(ウンデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(トリエチレングリコール)チオエーテルなどが挙げられる。好ましい例は、チオジグリコール、チオジグリコール酸、2,2′−チオビス(エチルアミン)、チオジプロピオン酸、チオジエタンスルホン酸、チオジプロパノール、3,3′−チオビス(プロピルアミン)、チオジ酪酸、チオジプロパンスルホン酸、ビス(ウンデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(トリエチレングリコール)チオエーテルである。
例えば、一般式(1)において、A及びBがエチレンであり、その付加数であるj及びkが共に1であり、Ra及びRbがOHの場合には、HO−CH2CH2−S−CH2CH2−OHを表し、チオジグリコールを意味する。A及びBがメチレンであり、その付加数であるj及びkが共に1であり、Ra及びRbがCOOHの場合には、HOOC−CH2−S−CH2−COOHを表し、チオジグリコール酸を意味する。A及びBがエチレンであり、その付加数であるj及びkが共に1であり、Ra及びRbがNH2の場合には、H2N−CH2CH2−S−CH2CH2−NH2を表し、2,2′−チオビス(エチルアミン)を意味する。A及びBがオキシエチレンであり、その付加数であるj及びkが共に11であり、Ra及びRbがHの場合には、H−(OCH2CH2)11−S−(CH2CH2O)11−Hを表し、ビス(ウンデカエチレングリコール)チオエーテルを意味する。A及びBがオキシエチレンであり、その付加数のj及びkが共に15であり、Ra及びRbがHの場合には、H−(OCH2CH2)15−S−(CH2CH2O)15−Hを表し、ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテルを意味する。
例えば、一般式(2)において、付加数nが1であり、Ra及びRbが共に−(CH2)2−OH(m=2、Rc=OHである)の場合には、HO−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−OHを表し、3,6−ジチアオクタン−1,8―ジオールを意味する。付加数nが1であり、Ra及びRbが共に−(CH2)3−OH(m=3、Rc=OHである)の場合には、HO−CH2CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2CH2−OHを表し、4,7−ジチアデカン−1,10―ジオールを意味する。付加数nが2であり、Ra及びRbが共に−(CH2)3−SO3Na(m=3、Rc=SO3M(M=Na)である)の場合には、NaO3S−CH2CH2CH2−S−(CH2CH2S)2−CH2CH2CH2−SO3Naを表し、4,7,10−トリチアトリデカン−1,13−ジスルホン酸ジナトリウムを意味する。
例えば、一般式(3)において、Rd及びReが共に−(CH2)−Py(p=1、Py=ピリジン環である)の場合には、Py−CH2−NH−C(=S)−NH−CH2−Pyを表し、1,3−ビス(3−ピリジルメチル)−2−チオ尿素、又は1,3−ビス(4−ピリジルメチル)−2−チオ尿素を意味する。
これらの化合物の浴中での添加量は0.01〜500g/L、好ましくは1〜300g/Lである。
上記アミノカルボン酸としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、イミノジプロピオン酸、メタフェニレンジアミンテトラ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、アミノプロピオン酸、ジアミノプロピオン酸、アミノ吉草酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−グルタミン酸、グルタミン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アスパラギン酸、アスパラギン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アラニン、アラニン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、イミノジ酢酸、グリシン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラ酢酸、オルニチン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンなどが挙げられる。
上記ホスホン酸としては、ヒドロキシエチルアミノジメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などが挙げられる。
上記ホスホノカルボン酸としては、ホスホノプロパントリカルボン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ホスホノペンタントリカルボン酸などが挙げられる。
上記ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩などが挙げられる。
上記アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどが挙げられる。
上記オキシカルボン酸類としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グリコール酸、グルコヘプトン酸又はその塩などが挙げられるが、浴に添加するベースの酸にこれらのオキシカルボン酸を選択するときは、このベースの酸で兼用することができる。
上記ポリカルボン酸としては、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸又はその塩などが挙げられる。
本発明3に示すように、特定のアミノカルボン酸には、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−グルタミン酸、グルタミン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アスパラギン酸、アスパラギン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アラニン、アラニン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、グリシン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラ酢酸、オルニチン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンが挙げられる。
同様に、特定のホスホン酸には、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルアミノジメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸が挙げられる(本発明3参照)。
同様に、特定のホスホノカルボン酸には、ホスホノプロパントリカルボン酸、ホスホノブタントリカルボン酸が挙げられる(本発明3参照)。
尚、上述の通り、これらの特定のアミノカルボン酸の塩、ホスホン酸の塩、又はホスホノカルボン酸の塩も同様に好適である。
その添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
Ra・Rb・(MO)P=O …(a)
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
R1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
(R1・R2・R3・R4N)+・X- …(b)
(式(b)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なるC1〜C20アルキル、アリール又はベンジルを示す。)或は、下記の一般式(c)で表されるピリジニウム塩などが挙げられる。
R6−(C5H4N−R5)+・X- …(c)
(式(c)中、C5H4Nはピリジン環、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R5はC1〜C20アルキル、R6はH又はC1〜C10アルキルを示す。)
また、ゼラチン、ポリペプトン、N−(3−ヒドロキシブチリデン)−p−スルファニル酸、N−ブチリデンスルファニル酸、N−シンナモイリデンスルファニル酸、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−エチル−4−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
上記緩衝剤としては、ホウ酸類、ホスフィン酸やホスホン酸、リン酸、トリポリリン酸などのリン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類など塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
置換ビスマスメッキを行う場合、PHは8.0以下が好ましく、浴の攪拌は必要に応じて行う場合もある。また、浴温は10〜80℃程度であり、メッキ時間は膜厚に依存して決定される。
当該置換ビスマスメッキは、基本的に、被メッキ物をメッキ液に通常1秒〜30分間浸漬し、所望の膜厚までメッキ皮膜を析出させることにより行う。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
実施例1〜17のうち、実施例1〜2は銅溶解剤として脂肪族チオアミノカルボン酸を単用した例、実施例3と5は一般式(1)に属するスルフィド類の単用例、実施例4と6は脂肪族メルカプトカルボン酸の単用例、実施例7〜10と12は一般式(2)に属するスルフィド類の単用例、実施例11は一般式(3)に属するチオ尿素誘導体の単用例、実施例13は脂肪族チオアミノカルボン酸と一般式(1)に属するスルフィド類の併用例、実施例14と16〜17は一般式(1)と一般式(2)に属する各スルフィド類の併用例、実施例15は一般式(1)に属するスルフィド類と一般式(3)に属するチオ尿素誘導体の併用例である。実施例3、12〜13、15は本発明2の特定のアミノカルボン酸を添加しない例、その他の実施例は全て同アミノカルボン酸を添加した例である。
また、比較例1は本発明の銅溶解剤を含まないブランク例である。比較例2は本発明の銅溶解剤に代えて、冒述の特許文献1〜2に準拠してチオ尿素を含有した例である。比較例3は本発明の銅溶解剤に代えて、冒述の特許文献3〜4に準拠してクエン酸を含有した例である。比較例4は本発明の銅溶解剤に代えて、冒述の特許文献1〜2に準拠してDTPAを含有した例である。比較例5は本発明の銅溶解剤に代えて、冒述の特許文献1〜2に準拠してグルタミン酸とDTPAを併用した例である。
尚、下記の実施例1〜17及び比較例2〜5の各メッキ浴の組成において、カッコ内の数値は所定の銅溶解剤のビスマスイオンに対する含有量(単位:倍モル)を表し、例えば、(×20)はビスマスイオンに対して20倍モルの含有量を意味する。
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
N−アセチルシステイン 47g/L
ヒドロキシエチルイミノジ酢酸 80g/L(×20)
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸ビスマス(Bi3+として) 7g/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 100g/L
メチオニン 150g/L(×30)
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA) 55g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 1g/L
2−ブタンスルホン酸 80g/L
ビス(ウンデカエチレングリコール)チオエーテル 96g/L(×20)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
p−フェノールスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 1g/L
エタンスルホン酸 30g/L
2,3−ジメルカプトこはく酸 13.1g/L(×15)
N,N−ジカルボキシメチル−L−グルタミン酸 30g/L
N−ラウリル−N,N−ジメチル
−N−カルボキシメチルベタイン 3g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 5g/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 75g/L
チオジグリコール 146.3g/L(×50)
N,N−ジカルボキシメチル−L−アラニン 55g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO15モル) 10g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
エタンスルホン酸 65g/L
メルカプトコハク酸 43.2g/L(×20)
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA) 45g/L
β−ナフトール−ポリエトキシレート(EO15モル) 6g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 5g/L
メタンスルホン酸 70g/L
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 43.5g/L(×10)
ジヒドロキシエチルグリシン 90g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15モル) 7g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
p−フェノールスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
p−フェノールスルホン酸 95g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 15.1g/L(×5)
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA) 30g/L
N−ミリスチル−N,N
−ジメチル−N−カルボキシメチルベタイン 6g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
硝酸ビスマス(Bi3+として) 5g/L
メタンスルホン酸 100g/L
4,7,10−トリチアトリデカン
−1,13−ジスルホン酸二ナトリウム 158.5g/L(×15)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
塩化ビスマス(Bi3+として) 2g/L
メタンスルホン酸 70g/L
3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジスルホン酸 3.6g/L(×1)
N,N−ジカルボキシメチル−L−アスパラギン酸 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
2−ブタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
p−フェノールスルホン酸 50g/L
1,3−ビス(3−ピリジルメチル)−2−チオ尿素 24.8g/L(×6)
ヒドロキシエチルイミノジ酢酸 40g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
p−フェノールスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
クレゾールスルホン酸 20g/L
1,8−ビス(2−ピリジル)−3,6−ジチアオクタン 35g/L(×8)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
メチオニン 42.8g/L(×20)
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 13.1g/L(×5)
クエン酸 30g/L
ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
2,2′−チオビス(エチルアミン) 0.17g/L(×0.1)
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 52.3g/L(×20)
ヒドロキシエチルイミノジ酢酸 80g/L
トリエタノールアミン 10g/L
ジメチルベンジルラウリルアンモニウムクロリド 1g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオジグリコール 26.3g/L(×15)
1,3−ビス(3−ピリジルメチル)−2−チオ尿素 16.4g/L(×4)
コハク酸 25g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオジグリコール 26.3g/L(×15)
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジスルホン酸 17.8g/L(×4)
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸 99.8g/L(×25)
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
pH 5.5(KOHにて調整)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオジグリコール 26.3g/L(×15)
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジスルホン酸 17.8g/L(×4)
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸 99.8g/L(×25)
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
pH 8.0(NaOHにて調整)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO14モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオ尿素 54.6g/L(×50)
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO14モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
クエン酸 82.7g/L(×30)
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオ尿素 32.7g/L(×30)
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA) 65.4g/L(×10)
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
下記の組成で置換ビスマスメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
メタンスルホン酸 70g/L
グルタミン酸 63.3g/L(×30)
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA) 65.4g/L(×10)
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO10モル) 8g/L
そこで、上記実施例1〜17及び比較例1〜5の各置換ビスマスメッキ浴について、メッキ温度を20℃、50℃、70℃に個別に保持して、25×25mmの圧延銅板の試験片を夫々の温度の浴に、5秒、30秒、1分、10分、30分間の条件ごとに浸漬させることにより、銅板表面に0.005〜10μの膜厚の置換ビスマスメッキを施した。即ち、各実施例及び比較例について、例えば、20℃に保持したメッキ浴の場合、5秒〜30分間の5通りの条件で浸漬させ、これを他の温度の浴についても5通りのメッキ時間ごとに繰り返したものである。
尚、浴のpHは、実施例16はpH5.5、実施例17はpH8.0とし、その他の全ての実施例及び比較例ではpH1以下とした。
そして、上記実施例及び比較例の夫々について、浴温並びにメッキ時間を変化させた夫々の浸漬条件で得られたビスマスメッキ皮膜を目視観察して、当該皮膜の外観の優劣を下記の基準で評価した。
○:白色で緻密且つ均一な光沢を具備していた。
△:均一な光沢を有していたが、少し黄色がかっていた。
×:茶色の色調ムラが認められた。
外観評価 外観評価
実施例1 ○ 実施例13 ○
実施例2 ○ 実施例14 ○
実施例3 ○ 実施例15 ○
実施例4 ○ 実施例16 ○
実施例5 ○ 実施例17 ○
実施例6 ○ 比較例1 ×
実施例7 ○ 比較例2 ×
実施例8 ○ 比較例3 ×
実施例9 ○ 比較例4 △
実施例10 ○ 比較例5 ×
実施例11 ○
実施例12 ○
これに対して、本発明の銅溶解剤を含む実施例1〜17では全て美麗な白色を呈し、且つ、均一光沢性を具備したビスマス皮膜が得られた。
従って、比較例1(ブランク例)と実施例1〜17を対比すると、白色で均一光沢性のあるビスマス皮膜を得るためには、置換ビスマス浴に特定の脂肪族チオアミノカルボン酸又はその塩、脂肪族メルカプトスルホン酸又はその塩、スルフィド類、チオ尿素誘導体より選ばれた限定的な含イオウ化合物を銅溶解剤として含有させることが重要である点が確認できた。また、比較例2、4〜5と実施例1〜17を対比すると、含イオウ化合物に属する点で本発明の特定含イオウ化合物(殊に、ピリジン環を有するチオ尿素誘導体)に共通するチオ尿素、或は、アミノカルボン酸類に属する点で本発明の脂肪族チオアミノカルボン酸に共通するDTPAやグルタミン酸を使用しても、ビスマス皮膜の外観を改善できず、従って、皮膜の改善には、含イオウ化合物の中でも本発明の通り種類の特定化が必要であることが明らかになった。尚、比較例3のようなオキシカルボン酸では、本発明の含イオウ化合物のようなビスマス皮膜の外観の改善は達成できないことも確認された。
その際、当然ながら、本発明の特定含イオウ化合物を単用しても、種類の異なるものを複用しても(実施例13〜17参照)、同様の効果が期待できることは勿論である。
ちなみに、置換ビスマス浴に本発明の含イオウ化合物に加えて、本発明3の特定アミノカルボン酸又はその塩を併用添加すると(実施例1〜2、実施例4〜11、実施例14、実施例16〜17参照)、ビスマス皮膜の改善機能を保持しながら、浴の寿命を有効に延長できることが観察された。
Claims (6)
- 可溶性ビスマス塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩とを含有する置換ビスマスメッキ浴において、
下記の銅溶解剤(a)〜(e)の少なくとも一種
(a)メチオニン、エチオニン、シスチン、N−アセチルシステイン、システインよりなる群から選ばれた脂肪族チオアミノカルボン酸又はその塩
(b)メルカプトイソ酪酸、メルカプト酢酸、ジメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、2,3−ジメルカプトコハク酸よりなる群から選ばれた脂肪族メルカプトカルボン酸又はその塩
(c)次の一般式(1)で表されるスルフィド類
Ra−(A)j−S−(B)k−Rb …(1)
(式(1)中、j及びkは1〜100の整数である;A及びBは同一又は異なっても良く、夫々メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、又はこれらC2〜C4のオキシアルキレンである;Ra及びRbは同一又は異なっても良く、夫々H(但し、AとBが共にメチレン、C2〜C4アルキレンの場合にはRaとRbのどちらか一方はHでない)、OH、NH2、CO2M、SO3M、ピリジル基又はアミノフェニル基である;Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンである)
(d)次の一般式(2)で表されるスルフィド類
Ra−S−(CH2CH2−S)n−Rb …(2)
(式(2)中、nは1〜3の整数である;Ra及びRbは同一又は異なっても良く、夫々−(CH2)m−Rcである;mは0又は1〜5の整数である;Rcはmが0の場合はピリジル基又はアミノフェニル基であり、mが1〜5の整数の場合はOH、NH2、CO2M、SO3M、ピリジル基又はアミノフェニル基であり;Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンである)
(e)次の一般式(3)で表されるチオ尿素誘導体
Rd−NH−C(=S)−NH−Re …(3)
(式(3)中、Rd及びReは同一又は異なっても良く、夫々−(CH2)p−Rfである;pは1〜5の整数である;Rfはピリジル基である)
を含有することを特徴とする銅系素材用置換ビスマスメッキ浴。 - さらに、アミノカルボン酸又はその塩、ホスホン酸又はその塩、ホスホノカルボン酸又はその塩、ポリアミン類、アミノアルコール類、オキシカルボン酸類又はその塩、ポリカルボン酸類又はその塩の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の銅系素材用置換ビスマスメッキ浴。
- アミノカルボン酸、ホスホン酸、ホスホノカルボン酸又はこれらの塩が、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−グルタミン酸、グルタミン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アスパラギン酸、アスパラギン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ホスホノプロパントリカルボン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ヒドロキシエチルアミノジメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−アラニン、アラニン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、グリシン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラ酢酸、オルニチン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンよりなる群から選ばれた化合物又はこれらの塩の少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の銅系素材用置換ビスマスメッキ浴。
- さらに、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤よりなる群から選ばれた界面活性剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅系素材用置換ビスマスメッキ浴。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の置換メッキ浴を用いて、銅系素材上にビスマスメッキ皮膜を形成することを特徴とする置換ビスマスメッキ方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の置換メッキ浴を用いて、ビスマスメッキ皮膜を形成したプリント回路板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサー、フィルター、インダクター、サーミスター、水晶振動子、スイッチ、リード線などの電子部品。
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