JP5376308B2 - 力率改善回路 - Google Patents
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Description
ダイオード3a〜3dに電流が流れたときの順電圧降下は、それぞれ約0.7V〜1Vであるので、2つのダイオード3a,3dあるいは3b,3cにおけるトータルの順電圧降下は約1.4V〜2Vとなる。このため、上記のような力率改善回路を適用する電源装置が大容量化するほど整流ブリッジ回路3での損失が顕著になり、これは力率改善回路における変換効率の低下を招く要因になっている。
図18に特許文献1に記載された回路と同様の構成を有した回路を示す。この回路は、MOSFET6とダイオード8の直列回路と、MOSFET7とダイオード9の直列回路とを並列接続してなる整流ブリッジ回路12を備えている。この整流ブリッジ回路12は、一方の入力がインダクタ4を介して交流入力端1aに、他方の入力が交流入力端1bにそれぞれ接続され、一方の出力および他方の出力がそれぞれ直流出力端11aおよび直流出力端11bに接続されている。交流入力端1a,1b間には、フィルタコンデンサ2が介在され、直流出力端11a、11b間には、平滑コンデンサ10が介在されている。なお、符号7aはMOSFET7における寄生ダイオードを示す。
高速ダイオードやMOSFET内部の寄生ダイオード(例えば、図18に示す寄生ダイオード6a、6b)などは、過大電流に対する電流耐量が小さいので、上記突入電流が流れた場合に破損してしまう恐れがある。
この力率改善回路において、ダイオード3aは交流入力端1aと直流出力端11aとの間に、ダイオード3bは交流入力端1bと直流出力端11aとの間に、サイリスタ14aは交流入力端1aと直流出力端1bとの間に、サイリスタ14bは交流入力端1bと直流出力端11bとの間にそれぞれ介在されている。
インダクタ13は、磁気結合されたインダクタ13a,13bを備え,一方のインダクタ13aは交流入力端1aと前記整流ブリッジ回路12の一方の入力との間に、また、他方のインダクタ13aは交流入力端1bと前記整流ブリッジ回路12の他方の入力との間にそれぞれ介在されている。
好ましい実施形態では、前記制御回路が過電流を検出する手段を備え、前記過電流が検出された際にこの過電流を抑制するように構成される。
前記N群の力率改善回路は、前記第2の整流ブリッジ回路および/または平滑コンデンサを共通化しても良い。
また、前記制御回路は、前記N群の力率改善回路におけるスイッチ素子のオンタイミングをT/N(T:前記スイッチ素子がオンする周期)ずつずらすように構成することが好ましい。
(1)第2の整流ブリッジ回路のダイオードで発生する電力損失を低減でき、かつ起動時や停電からの復電時に流れる過大な電流を第1の整流ブリッジ回路のダイオード(高速ダイオード)やスイッチ素子(MOSFET)の寄生ダイオードに流さないようにすることができる(請求項1の発明)。
(2)インダクタに流れる電流の変化率を低減でき、スイッチ素子や整流素子の損失を低減できる(請求項3,4の発明)。
(3)インダクタ,スイッチ素子,整流素子の電力損失を分散して、半導体素子を冷却するヒートシンクやインダクタなどの部品の小形化が容易になる(請求項8の発明)。
この実施形態の力率改善回路は、交流入力端1a,1bと整流ブリッジ回路12との間に整流ブリッジ回路3を介在させた点で図18に示した従来回路と相違する。また、この実施形態の力率改善回路は、交流入力端1aと整流ブリッジ回路12の一方の入力間および交流入力端1bと整流ブリッジ回路12の他方の入力間にそれぞれインダクタ4aおよびインダクタ4bを介在させているが、上記従来回路では、上記インダクタ4aに対応するインダクタ4のみしか介在されておらず、この点でも上記従来回路と相違する。
まず、定常動作について説明する。この定常動作には、交流入力端1bに対して交流入力端1aの電圧が高いときの第1の動作と、交流入力端1bに対して交流入力端1aの電圧が低いときの第2の動作とがあるが、第2の動作は第1の動作から容易に推認されるので、ここでは、第1の動作のみについて説明する。
まず、定常動作について説明する。この定常動作には、交流入力端1bに対して交流入力端1aの電圧が高いときの第1の動作と、交流入力端1bに対して交流入力端1aの電圧が低いときの第2の動作とがあるが、第2の動作は第1の動作から容易に推認されるので、ここでは、第1の動作のみについて説明する。
図8から、以下の微分方程式に示す関係が成立する。
そこで、L1=L2として式(2)を整理すると下式(4)が得られる。
式(4)から、
という関係が得られ、また、式(3)から、
という関係が得られる。
式(6)から明らかなように、結合係数kを適切な値に選ぶことにより、ダイオード3dに流れる電流i3を低減することができる。
なお、図9の動作モードにおいても前記式(6)の関係が成立する。したがって、結合係数kを適切な値に選ぶことにより、ダイオード3dに流れる電流i3を低減することができる。
また、インダクタ5を使用するこの実施形態に係る力率改善回路によれば、図1の力率改善回路に比してインダクタの数を減らすことができるので、小形化、低コスト化を図る上で有利となる。
図11に示す構造を有する漏れ変圧器は、巻線5aと巻線5bの間隔dを調整することによって、リーケージインダクタンスを増加させることができる。また、図12に示す構造を有する漏れ変圧器は、コア5cに巻線5aと巻線5b間に位置する分路脚を設け、この分路脚で形成されるギャップの長さgを調整することによってリーケージインダクタンスを増加させることができる。
上記インダクタ5にこのような構造を持たせて、大きなリーケージインダクタンスを得るようにすれば、巻線5a,5bの一方または双方に別のインダクタを直列接続するという上記の手段を採用することなく、インダクタ5に流れる電流の変化率を低下させることが可能である。
この実施形態に係る力率改善回路によれば、図5の回路と比較して1群あたりの通過電力が軽減される。したがって、インダクタ5,5’やMOSFET6,6’,7,7’、ダイオード8,8’,9,9’などが発生する損失を分散して、結果的に半導体素子(MOSFET6,6’,7,7’等)を冷却するヒートシンクやインダクタ5,5’の小形化が容易になる。
上記のようなゲート信号によってMOSFET6,6’を制御した場合、このMOSFET6,6’がそれぞれTon,Ton’期間にオンされる。したがって、各インダクタ5,5’に流れる電流IL1,IL2の合成電流Iacのリプル電流が最小となって、フィルタコンデンサ2や交流入力端1a,1bに接続するラインフィルタ(図示せず)を小形化することができる。なお、MOSFET7,7’もMOSFET6,6’と同様に制御される。
並列接続される力率改善回路の群数をN(N=2,3,4、・・・)とし、個々の群におけるスイッチ素子(MOSFET)のオンタイミングをT/Nずらすようにすると、Nが大きいほど上記の効果(1群あたりの通過電力および合成電流のリプルを低減できる)をより大きくすることができる。
この制御回路100は、基準電圧源100a、電圧誤差増幅器100b、電流誤差増幅器100c、乗算器100d、絶対値回路100e,100e’、PWMコンパレータ100f、PWMキャリア信号発生回路100gおよび電流検出器200を備えている。
乗算器100dは、上記第1の誤差信号と、入力電圧(フィルタコンデンサ2の両端電圧)に対応する信号(検出した入力電圧そのもの、該入力電圧の分圧値、該入力電圧をレベルシフトしたもの、など)の絶対値とを乗算し、その乗算結果を電流指令値として電流誤差増幅器100cに入力する。
PWMコンパレータ100fは、上記第2の誤差信号と、PWMキャリア信号発生回路100gの出力である三角波や鋸歯などのキャリア信号とを比較し、上記第2の誤差信号の大きさに対応するデューティ比を有したPWM信号を出力する。
過電流検出回路100jは、電流検出器200で検出される出力電流の絶対値が所定値を超えた場合に、過電流検出信号として「L(Low)」レベルの信号を出力する。
この制御装置100によれば、入力電圧(フィルタコンデンサ2の両端電圧)、出力電圧(平滑コンデンサ10の両端電圧)および出力電流に基づき、交流入力端1a,1bに流れる電流が正弦波状になるように、かつ直流出力端11a、11bからの出力が一定(目標電圧)になるようにMOSFET6,7をオンオフ制御することができる。
コンパレータ101aは、入力電圧(フィルタコンデンサ2の両端電圧)の極性を判断し、入力端1aの電圧が正のときに「L」レベルの信号を、入力端1bの電圧が正のときに「H(High)」レベルの信号をそれぞれ出力する。
一方、OR回路101dは、上記PWM信号とコンパレータ101aの出力に接続されたNOT回路101bの出力信号との論理和をとる。そして、AND回路101fは、OR回路101dの出力信号と過電流検出回路100jの出力信号との論理積をとり、その積の結果をゲートドライバ100iを介してMOSFET7ゲートに入力する。
入力端1aの電圧が正のとき:
コンパレータ101aは「L」レベルの信号を出力する。したがって、オア回路101cが上記PWM信号を出力するとともに、オア回路101dがその出力を「H」レベルに固定する。この結果、過電流検出回路100jが過電流を検出していないとすると、MOSFET6が上記PWM信号に基づいてオンオフ制御される一方、MOSFET7がオン状態を維持する。
入力端1bの電圧が正のとき:
コンパレータ101aは「H」レベルの信号を出力する。したがって、オア回路101dが上記PWM信号を出力するとともに、オア回路101cがその出力を「H」レベルに固定する。この結果、過電流検出回路100jが過電流を検出していないとすると、MOSFET6がオン状態を維持する一方、MOSFET7が上記PWM信号に基づいてオンオフ制御される。
なお、過電流検出回路100jが過電流を検出した場合には、前記した制御装置100の場合と同様に、MOSFET6,7はどちらもオフする。
2 フィルタコンデンサ
3 整流ブリッジ回路
3a,3b,3c,3d 整流ダイオード
4,4a,4b インダクタ
5,5’ インダクタ
5a,5b,5a’,5b’ 巻線
5c,5c’ コア
6,6’,7,7’ MOSFET
6a,6a’,7a,7a’ 寄生ダイオード
8,8’,9,9’,15 ダイオード
10 平滑コンデンサ
11a,11b 直流出力端
12 整流ブリッジ回路
13,13a,13b インダクタ
14a,14b サイリスタ
100,101 制御装置
Claims (9)
- 各交流入力端間に介在されたフィルタコンデンサと、
スイッチ素子と整流素子の直列回路を複数備え、それらの直列回路を並列接続してなる第1の整流ブリッジ回路と、
前記第1の整流ブリッジ回路の出力に並列接続された平滑コンデンサと、
前記フィルタコンデンサの一端と前記第1の整流ブリッジ回路の一方の入力との間に介在された第1のインダクタと、
前記フィルタコンデンサの他端と前記第1の整流ブリッジ回路の他方の入力との間に介在された第2のインダクタと、
ブリッジ接続したダイオードからなり、前記各交流入力端に入力が接続されるとともに、前記平滑コンデンサに出力が接続された第2の整流ブリッジ回路と、
前記第1の整流ブリッジ回路のスイッチ素子を制御する制御回路と、
を備え、
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタは、それぞれに流れる電流によって発生する磁束の向きが逆方向となるように磁気結合される、ことを特徴とする力率改善回路。 - 前記第1のインダクタと前記第2のインダクタは、いずれか一方または双方に別のインダクタが直列接続されることを特徴とする、請求項1に記載の力率改善回路。
- 前記第1のインダクタと前記第2のインダクタを、これらのインダクタに対応する巻線を有する漏れ変圧器(リーケージトランス)によって置換したことを特徴とする、請求項1に記載の力率改善回路。
- 前記漏れ変圧器のコアは、前記各巻線間に位置する分路脚を備えることを特徴とする、請求項3に記載の力率改善回路。
- 前記第1の整流ブリッジ回路のスイッチ素子がMOSFETであることを特徴とする、請求項1に記載の力率改善回路。
- 前記制御回路は、過電流を検出する手段を備え、前記過電流が検出された際にこの過電流を抑制するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の力率改善回路。
- 請求項1に記載の力率改善回路を群数がN(N=1、2,3、・・・)となる形態で並列接続した構成を有することを特徴とする力率改善回路。
- 前記制御回路は、前記N群の力率改善回路におけるスイッチ素子のオンタイミングをT/N(T:前記スイッチ素子がオンする周期)ずつずらすように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の力率改善回路。
- 前記N群の力率改善回路は、前記第2の整流ブリッジ回路および/または平滑コンデンサが共通化されていることを特徴とする請求項7に記載の力率改善回路。
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