JP5575235B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の回路構成を示した図である。図1に示すように、電力変換装置の主回路は、交流電圧源1に接続され、入力交流の力率を高力率に制御して交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ部としての高力率コンバータ部100と、高力率コンバータ部100の直流出力を平滑する平滑コンデンサ10と、平滑コンデンサ10の電圧をトランス12で絶縁された二次側直流電圧に変換するDC/DCコンバータ部200とを備える。また、DC/DCコンバータ部200の出力には例えばバッテリ等の負荷2が接続される。
更に、主回路の外部には制御装置としての制御回路16が配置され、高力率コンバータ部100内の半導体スイッチ素子5a、5bおよび短絡用スイッチ8への駆動信号30a、30bとDC/DCコンバータ部200内の半導体スイッチ素子11a〜11dへの駆動信号30cとを出力する。また、平滑コンデンサ10の電圧Vdcは電圧センサ17で、コンデンサ15の電圧Voutは電圧センサ18で、直流電圧源7の電圧Vsubは電圧センサ19でそれぞれモニタされ、制御回路16へ入力される。
まず、高力率コンバータ部100では、交流電圧源1からの入力をダイオードブリッジ3にて全波整流し、ダイオードブリッジ3の後段の電圧Vin、電流Iinは、図2に示すような波形となる。Vdcは一定の出力電圧目標値としての目標電圧Vdc*に制御される平滑コンデンサ10の直流電圧であり、電圧センサ17によってセンシングされる。
インバータ回路300は、交流電圧源1からの入力力率が概1になるようにPWM制御により電流Iinを制御して出力し、交流側の発生電圧をダイオードブリッジ3後段の電圧Vinに重畳する。インバータ回路300内の電流は、図3〜図5に示すように、半導体スイッチ素子5a、5bがオフの時には、ダイオード6aを通って直流電圧源7を充電し、ダイオード6bを通って出力される。また、半導体スイッチ素子5aのみをオンした時には、電流は半導体スイッチ素子5aとダイオード6bとを通って出力される。また同様に、半導体スイッチ素子5bのみをオンした時には、電流はダイオード6aと半導体スイッチ素子5bを通って出力される。また、半導体スイッチ素子5a、5bを同時にオンした時には、半導体スイッチ素子5aを通って直流電圧源7を放電し、半導体スイッチ素子5bを通って出力される。このような4種の制御の組み合わせにて半導体スイッチ素子5a、5bを制御してインバータ回路300をPWM制御する。
インバータ回路300は、PWM制御により、例えば、半導体スイッチ素子5a、5bがオフの場合と、半導体スイッチ素子5aのみをオンの場合とを組み合わせて電圧Vinの逆極性にほぼ等しい電圧を発生させつつ、入力力率が概1になるように電流Iinを制御して出力し、この間、インバータ回路300の直流電圧源7にはエネルギが充電される。
位相θが、θ1≦θ≦θ2である時、インバータ回路300はPWM制御により、例えば、半導体スイッチ素子5a、5bが同時にオンの場合と、半導体スイッチ素子5aのみがオンの場合とを組み合わせて出力する。この時、平滑コンデンサ10の直流電圧Vdcが目標電圧Vdc*に維持できるように、Vdc*−Vinにほぼ等しい電圧を発生させつつ、入力力率が概1になるように電流Iinを制御して出力する。この間、インバータ回路300が発生する電圧極性と電流Iinの極性は等しくなるので、インバータ回路300の直流電圧源7は放電される。
即ち位相θが、θ2≦θ≦π/2である時、図5に示すように、交流電圧源1からの電流は、交流電圧源1→ダイオードブリッジ3→リアクトル4→インバータ回路300→ダイオード9→平滑コンデンサ10→ダイオードブリッジ3→交流電圧源1の経路で流れる。また、インバータ回路300はPWM制御により、例えば、半導体スイッチ素子5a、5bがオフの場合と、半導体スイッチ素子5aのみをオンの場合とを組み合わせて出力する。この時、平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*≦電圧Vinであり、インバータ回路300は、平滑コンデンサ10の直流電圧Vdcが目標電圧Vdc*に維持できるように、Vin−Vdc*にほぼ等しい電圧をVinの極性に対して逆極性に発生させつつ、入力力率が概1になるように電流Iinを制御して出力する。この間、インバータ回路300が発生する電圧極性と電流Iinの極性は逆になるので、インバータ回路300の直流電圧源7は充電される。
即ち、交流電圧源1からの入力電圧の位相θのゼロクロス位相(θ=0、π)±θ1にて短絡用スイッチ8を切り換え、該ゼロクロス位相を中央として±θ1の位相範囲(以下、短絡位相範囲50と称す)でのみ、短絡用スイッチ8をオン状態として平滑コンデンサ10をバイパスさせる。このとき、インバータ回路300は、電圧Vinの逆極性にほぼ等しい電圧を発生させつつ、入力力率が概1になるように電流Iinを制御して出力し、直流電圧源7は充電される。そして、短絡位相範囲50以外の位相では、インバータ回路300は、平滑コンデンサ10の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また入力力率が概1になるように電流Iinを制御して出力する。このとき、電圧Vinが平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*以下の時、直流電圧源7は放電され、電圧Vinが目標電圧Vdc*以上の時は、直流電圧源7は充電される。
0≦θ≦π/2の位相期間では、インバータ回路300の直流電圧源7は、上述したように、0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦π/2の期間で充電され、θ1≦θ≦θ2の期間で放電される。
高力率コンバータ部100は、図6に示すような制御ブロックで制御される。図6(a)は、インバータ回路300の制御を示す図であり、図6(b)は、ブリッジ回路の短絡用スイッチ8の制御を示す図である。
図6(a)に示すようにインバータ回路300の制御では、電圧センサ17にて検出された平滑コンデンサ10の直流電圧Vdcと予め設定された平滑コンデンサの目標電圧Vdc*との差51を0に近づけるように、フィードバック制御(PI制御)して電流Iinの振幅目標値52を決定する。そして、この振幅目標値52に基づいて、電圧Vinに同期した正弦波の電流指令Iin*を生成する。
次に、電流指令Iin*と検出された電流Iinとの差53を0に近づけるようにフィードバック制御(PI制御)して、インバータ回路300の発生電圧の目標値となる電圧指令54を出力する。この時、短絡用スイッチ8のオン/オフ切り替え時に同期したフィードフォワード補正電圧ΔVを加算して電圧指令54を補正する。
なお、フィードフォワード補正電圧ΔVは、半導体スイッチ素子8をオンからオフにする際には正極性の電圧で、半導体スイッチ素子8をオフからオンにする際には負極性の電圧である。
そして、補正後の電圧指令55を用いて、PWM制御によりインバータ回路300の各半導体スイッチ素子5a、5bへの各駆動信号30aを生成し、インバータ回路300を動作させる。
このような短絡用スイッチ8の制御では、直流電圧源7の電圧Vsubを目標電圧Vsub*から減算した電圧値が高いほど、短絡用スイッチ8のオン期間が長くなる。このため、過渡的な負荷変動や交流電圧源1の変動によって電圧Vsubが変動した場合でも、直流電圧源7を充電する期間を制御する事ができ、直流電圧源7の電圧Vsubを一定に制御する事が可能となる。
従って、外部に別の直流電圧源を要することなく、交流電圧源1および負荷の過渡的な変化に対しても、インバータ回路300の直流電圧源7の電圧を安定化でき、インバータ回路300の直流母線電圧を一定に保つ事でき、高力率コンバータ部100を安定して動作させることができる。
DC/DCコンバータ部200では、トランス12の一次側のコンバータ部11を構成する半導体スイッチ素子11a〜11dのうち、半導体スイッチ素子11a、11dが同時にオンする期間と、半導体スイッチ素子11b、11cが同時にオンする期間にトランス12の一次側に電圧が発生し、二次側に電力が伝えられる。半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチングは、一般的には高周波PWM動作にて行い、半導体スイッチ素子11a、11dが同時にオンする期間と、半導体スイッチ素子11b、11cが同時にオンする期間を等しくする。
この時、平滑用リアクトル14のインダクタンスをL、出力用のコンデンサ15の電圧である直流出力電圧をVoutとすると、以下の式(1)が成り立つ。
コンデンサ15の電圧Voutは、電圧センサ18によってセンシングされ、制御回路16に入力される。制御回路16では、図8に示すように、電圧Voutを電圧指令値Vout*と比較し、誤差を誤差増幅部19で増幅し、PWM制御部20にてコンバータ部11の半導体スイッチ素子11a、11dおよび半導体スイッチ素子11b、11cを駆動する駆動信号30c(30ca、30cb)を出力する。これによって、コンデンサ15の電圧Voutは電圧指令値Vout*に近づくように制御される。
なお、コンバータ部11は、半導体スイッチ素子11a、11dの同時オンと、半導体スイッチ素子11b、11cの同時オンとを交互に同じオン時間Δtで行うため、各半導体スイッチ信号11a〜11dの駆動信号30cは、Duty比(2Δt/T)を決定するためのDuty指令であり、各半導体スイッチ信号11a〜11dは、このDuty指令に基づいてDuty制御される。
このため、電圧Vdcを仮に一定とすると、出力電圧Voutが高くなるとΔi/Δtが低下し、出力電圧Voutが低くなるとΔi/Δtが増加する。即ち、出力電圧Voutが低くなると、平滑用リアクトル14の電流が急峻に増加して半導体スイッチ素子11a〜11dのDuty比が小さくなる。しかしながら、出力電圧Voutが低い場合であっても、電圧Vdcを低くすると、平滑用リアクトル14の両端にかかる電圧(Vdc・N2/N1−Vout)の増加が抑えられΔi/Δtを増加させない。
図8で示したように、制御回路16では、出力電圧Voutが電圧指令値Vout*に追従するようにDC/DCコンバータ部200のトランス一次側のコンバータ部11のDuty指令となる駆動信号30cを演算する。そして、制御回路16は、図10に示すように、予め設定されたDuty設定値と演算されたDuty指令との差が0に近づくようにフィードバック制御して平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を生成する。そして、図6(a)で示したように、平滑コンデンサ10の電圧Vdcが、目標電圧Vdc*に追従するように電流指令Iin*を生成して高力率コンバータ部100のインバータ回路300を制御する。
上述したように、トランス12が一次側から二次側へ電力を伝えている期間が長くなる最適なDuty比をDuty設定値にすることで、DC/DCコンバータ部200を最適な条件で動作させることができ、トランス12の一次側での電流の還流時間および電力の回生時間が低減できるため、電力損失を低減化できて電力変換効率を向上させ装置を小型化することが可能となる。
また、出力電圧Voutの大小にかかわらず平滑用リアクトル14の電流増加勾配をほぼ一定に制御することができるため、平滑用リアクトル14を小型化することが可能となる。
制御回路16aにおけるその他の動作は上記実施の形態1の制御回路16と同様であり、負荷2への直流出力となるDC/DCコンバータ部200の出力電流Ioutに応じて、DC/DCコンバータ部200の半導体スイッチ素子11a〜11dのDuty比がDuty設定値に近づくように平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を調整して、高力率コンバータ部100およびDC/DCコンバータ部200を制御する。これにより上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
この場合も、電圧指令値Vout*が高くなると、平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*は増加し、電圧指令値Vout*が低くなると目標電圧Vdc*は低下することになる。そして、その後は、DC/DCコンバータ部200の出力電圧Voutに応じて、DC/DCコンバータ部200の半導体スイッチ素子11a〜11dのDuty比がDuty設定値に近づくように平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を調整して上記実施の形態1と同様に制御する。これにより上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
なお、この場合、出力電圧Voutに応じて半導体スイッチ素子11a〜11dのDuty比がDuty設定値に近づくように平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を調整する制御を省略しても、電圧指令値Vout*に応じて目標電圧Vdc*が半導体スイッチ素子11a〜11dのDuty比が最適になるように決定されているため、電力損失を低減化でき装置を小型化する効果を得ることが出来る。
また、AC/DCコンバータ部の構成は、高力率コンバータ部100に限るものではなく、図13に示すような構成の高力率コンバータ部100aを用いても良い。この場合、半導体スイッチ素子5a〜5dから成る単相インバータで構成されるインバータ回路300aがリアクトル4を介して交流電圧源1に接続され、その後段に、半導体スイッチ素子から成る短絡用スイッチ8a、8bとダイオード9a、9bとが直列接続されたブリッジ回路とを備える。また、高力率コンバータ部は、交流電圧を直流電圧に変換する高力率コンバータであれば適用可能である。
また、DC/DCコンバータ部200の構成についても、これに限るものではなく、コンバータ部11は、フルブリッジコンバータ回路に限らずハーフブリッジコンバータ等他の回路構成でも構わない。また、トランス12の二次側についても、ダイオードブリッジ13以外の整流回路を用いても良い。
次に、この発明の実施の形態2について説明する。
図14は、この発明の実施の形態2による電力変換装置の回路構成を示した図である。図14に示すように、DC/DCコンバータ部200aは、絶縁されたトランス12の一次側に、半導体スイッチ素子11a〜11dを有したフルブリッジコンバータで平滑コンデンサ10の直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部11Aを備える。このコンバータ部11Aは、各半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチング時の素子の両端電圧がほぼ零電圧にできるゼロ電圧スイッチング回路であり、各半導体スイッチ素子11a〜11dにはそれぞれ並列にコンデンサ23a〜23dが接続される。また、半導体スイッチ素子11a〜11dとトランス12との間の交流出力線にはリアクトル24が接続される。
また、制御装置としての制御回路16bは、高力率コンバータ部100内の半導体スイッチ素子5a、5bおよび短絡用スイッチ8への駆動信号30a、30bとDC/DCコンバータ部200内の半導体スイッチ素子11a〜11dへのDuty指令となる駆動信号30cとを出力するが、半導体スイッチ素子11a〜11dへの駆動信号30cは、各半導体スイッチ素子11a〜11dがゼロ電圧スイッチングとなるように生成して出力する。その他の構成は、上記実施の形態1の図11で示したものと同様である。
図15(a)に示すように、半導体スイッチ素子11a、11dがオン状態の時、トランス12の一次側には、平滑コンデンサ10→半導体スイッチ素子11a→リアクトル24→トランス12→半導体スイッチ素子11d→平滑コンデンサ10の経路で電流が流れる。この時、トランス12の二次側には、トランス12→ダイオード13a→リアクトル14→コンデンサ15→ダイオード13d→トランス12の経路で電流が流れ、トランス12の一次側から二次側に電力伝達が行われる。
また、コンデンサ23aとコンデンサ23bとの各電圧の和は平滑コンデンサ10の電圧に等しくなるので、コンデンサ23aの両端電圧の上昇とコンデンサ23bの両端電圧の下降はほぼ等しくなる。また、この時、トランス12の二次側には、リアクトル14のエネルギによって、リアクトル14→コンデンサ15→ダイオード13b→ダイオード13a→リアクトル14の経路、またはリアクトル14→コンデンサ15→ダイオード13d→トランス12→ダイオード13a→リアクトル14の経路で電流が流れる。この図15(b)に示す状態は、コンデンサ23aの電圧が、ほぼ平滑コンデンサ10の電圧に等しくなり、コンデンサ23bの電圧がほぼゼロになるまで継続する。
また、この時、トランス12の二次側には、リアクトル14のエネルギによって、リアクトル14→コンデンサ15→ダイオード13d→ダイオード13c→リアクトル14の経路、またはリアクトル14→コンデンサ15→ダイオード13b→トランス12→ダイオード13c→リアクトル14の経路で電流が流れる。そして、コンデンサ23aの電圧がほぼゼロに低下し、コンデンサ23bの電圧が平滑コンデンサ10の電圧にほぼ等しくなるまで、図17(b)に示す状態で電流が流れる。
各半導体スイッチ素子11a〜11dのゼロ電圧スイッチングの際には、各半導体スイッチ素子11a〜11dに並列接続されたコンデンサ23a〜23dが作用する。各半導体スイッチ素子11a〜11dのゼロ電圧スイッチングが成立するためには、スイッチングにおけるデッドタイム期間中にコンデンサ23a〜23dの電圧が平滑コンデンサ10の電圧まで増加する、あるいはゼロ電圧近辺まで低下することが条件である。
コンデンサ23a〜23dの電圧はリアクトル24の電流によって変化するため、DC/DCコンバータ部200aの出力電力が小さい場合、すなわちリアクトル24の電流が低下すると、上記成立条件を満たさず各半導体スイッチ素子11a〜11dがゼロ電圧スイッチングできなくなることがある。
これにより、DC/DCコンバータ部200a内の半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチング損失を格段と低下させることができ、電力変換装置の電力損失を低減化できて電力変換効率を向上させる。
また、半導体スイッチ素子11a〜11dをMOSFETで構成した場合には逆並列ダイオードに電流を通過させない同期整流動作をさせても良い。
上記実施の形態2では、各半導体スイッチ素子11a〜11dをゼロ電圧スイッチングしてスイッチング損失をほぼ0にしたが、この実施の形態3では、完全なゼロ電圧ではなく微小電圧を許容して各半導体スイッチ素子11a〜11dをスイッチングする。なお、電力変換装置の回路構成は、上記実施の形態2と同様である(図14、図19参照)。
図20は、この実施の形態3によるDC/DCコンバータ部200aの半導体スイッチ素子11a〜11dでの電力損失を説明する図である。図に示すように、半導体スイッチ素子11a〜11dでは、スイッチング時のスイッチング損失と導通時の導通損失との合計の電力損失が発生する。
上述したように、平滑コンデンサ10の直流電圧Vdcを低下させてリアクトル24に流れる電流を増加させることにより、半導体スイッチ素子11aと半導体スイッチ素子11bとの切替えデッドタイム期間中にコンデンサ23bの電圧がゼロになるように動作させることができる。その際に、各半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチングはゼロ電圧スイッチングとなり、スイッチング損失はほぼゼロとなるが、リアクトル24に流れる電流、即ち半導体スイッチ素子11a〜11dに流れる電流が増加するために、半導体スイッチ素子11a〜11dの導通損失は増加する。
これにより、各半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチングは完全なゼロ電圧スイッチングにはならないが、各半導体スイッチ素子11a〜11dの導通損失が低減でき、導通損失とスイッチング損失との合算値である電力損失をより低減する事ができる。このため、より低損失な電力変換装置を構成できる。
また、図21に示すように、制御回路16bに電力損失制御部を設けても良い。この場合、制御回路16bにて、半導体スイッチ素子11a〜11dの導通損失とスイッチング損失との合算値である電力損失を演算し、該電力損失が小さくなるように平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を電力損失制御部が調整する。
次に、この発明の実施の形態4について説明する。
図22は、この発明の実施の形態4による電力変換装置のDC/DCコンバータ部200bの回路構成を示した図である。図22に示すように、DC/DCコンバータ部200bは、絶縁されたトランス12の一次側に、半導体スイッチ素子11a〜11dを有したフルブリッジコンバータで平滑コンデンサ10の直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部11を備える。このコンバータ部11は、各半導体スイッチ素子11a〜11dのスイッチング時に素子に流れる電流がほぼ零にできるゼロ電流スイッチング回路であり、半導体スイッチ素子11a〜11dとトランス12との間の交流出力線に、リアクトル27aとコンデンサ27bとの直列回路27(以下、LC共振回路27と称す)が接続される。その他の構成は、上記実施の形態1の図11で示したものと同様である。
半導体スイッチ素子11a、11dの同時オンおよび半導体スイッチ素子11b、11cの同時オンの際、トランス12の一次側にはLC共振回路27のLC共振効果により図23に示すように正弦波状の電流が流れる。半導体スイッチ素子11a、11dおよび半導体スイッチ素子11b、11cのオンオフタイミングをこの電流波形のゼロクロスに同期させることによって、ゼロ電流スイッチングが実現できる。半導体スイッチ素子11a、11dの同時オンで正極性の電流が流れ、半導体スイッチ素子11a、11dがオンからオフし、その後半導体スイッチ素子11b、11cがオンする。すると、今度は逆極性の電流が流れる。
この実施の形態では、ゼロ電流スイッチング動作が成り立つようなDuty設定値を設定して、負荷2への直流出力に応じて平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*を調整する。これにより、図24(b)に示すように、ゼロ電流スイッチングを実現したまま出力電圧の低減が可能となる。
このため、各半導体スイッチ素子11a〜11dのゼロ電流スイッチングを維持して出力電圧を可変させることができるため、スイッチング損失が格段と低減でき、電力変換装置の電力損失を低減化できて電力変換効率を向上させる。
次に、この発明の実施の形態5について説明する。
上記実施の形態1〜4で示した電力変換装置では、DC/DCコンバータ部は、トランス12によって一次側と二次側とが絶縁されていたが、この実施の形態では非絶縁回路で構成されるものを説明する。図25は、この発明の実施の形態5による電力変換装置の回路構成を示した図である。図25に示すように、DC/DCコンバータ部200cは、半導体スイッチ素子28とダイオード29と平滑用リアクトル14と平滑用のコンデンサ15とを備えた一般的な降圧チョッパで構成される。
また、制御回路16cは、高力率コンバータ部100内の半導体スイッチ素子5a、5bおよび短絡用スイッチ8への駆動信号30a、30bとDC/DCコンバータ部200c内の半導体スイッチ素子28へのDuty指令となる駆動信号30dとを出力する。
その他の構成は、上記実施の形態1の図11で示したものと同様である。
また、出力電圧Voutの大小にかかわらず平滑用リアクトル14の電流増加勾配をほぼ一定に制御することができるため、平滑用リアクトル14を小型化することが可能となる。
例えば、半導体スイッチ素子28のDuty比が100%の時には、半導体スイッチ素子28は常時オンとなり、半導体スイッチ素子28および平滑用リアクトル14での電圧降下を無視すると、DC/DCコンバータ部200cの出力電圧Voutは、入力電圧Vdc(平滑コンデンサ10の電圧)と等しくなる。従って、平滑コンデンサ10の目標電圧Vdc*をVdc*=Vout*にすることで半導体スイッチ素子28のDuty比が100%となり、半導体スイッチ素子28はスイッチング損失が発生しない。
ところが、高力率コンバータ部100の出力用の平滑コンデンサ10の電圧Vdcの可変範囲は、交流電圧源1の電圧Vinによって決定される。このため、出力電圧Vout*が平滑コンデンサ10の電圧Vdcの可変範囲以下の場合、高力率コンバータ部100は平滑コンデンサ10の電圧Vdcの可変範囲の下限値にVdc*を設定し、残りの差分はDC/DCコンバータ部200cの半導体スイッチ28のDuty制御によって、コンデンサ15の電圧Voutを電圧指令値Vout*に追従させる。
また、DC/DCコンバータ部200cは一般的な降圧チョッパで構成された例を示したが、回路構成はこれに限るものではなく、昇圧チョッパや昇降圧チョッパなど、他の非絶縁型DC/DCコンバータでも良い。
Claims (13)
- 交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ部と、
上記AC/DCコンバータ部の直流側に接続された平滑コンデンサと、
半導体スイッチ素子を備えて上記平滑コンデンサの直流電力をDC/DC変換して負荷に接続するDC/DCコンバータ部と、
交流の力率を制御しつつ上記AC/DCコンバータ部の直流電圧が直流電圧目標値に追従するように上記AC/DCコンバータ部を制御すると共に、上記DC/DCコンバータ部と上記負荷との間の直流入出力が指令値に追従するように上記半導体スイッチ素子へのDuty指令を演算して該半導体スイッチ素子のDuty制御により上記DC/DCコンバータ部を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、上記Duty指令が予め設定された設定値に近づくように上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する
電力変換装置。 - 上記DC/DCコンバータ部は、絶縁されたトランスと、該トランスの一端に接続され、上記半導体スイッチ素子を複数個有して上記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部と、上記トランスの他端に接続された整流回路とを備える請求項1に記載の電力変換装置。
- 上記DC/DCコンバータ部は、上記半導体スイッチ素子がソフトスイッチングできるように構成され、
上記DC/DCコンバータ部の上記半導体スイッチ素子がソフトスイッチングするように上記Duty指令の上記設定値が設定され、
上記制御装置は、上記DC/DCコンバータ部を上記半導体スイッチ素子のソフトスイッチングを用いて制御する請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。 - 上記AC/DCコンバータ部は、
複数の半導体スイッチ素子と直流電圧源とから成る単相インバータの交流側を1以上直列接続して構成され、上記各単相インバータの出力電圧の総和を上記交流電圧に重畳するインバータ回路と、 スイッチを有して該インバータ回路に接続されたブリッジ回路とを備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 上記制御装置は、上記インバータ回路の上記直流電圧源の電圧を指令値に追従させるように上記ブリッジ回路を制御すると共に、上記AC/DCコンバータ部の直流電圧を上記直流電圧目標値に追従させるように上記インバータ回路を電流指令を用いて制御する請求項4に記載の電力変換装置。
- 交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ部と、
上記AC/DCコンバータ部の直流側に接続された平滑コンデンサと、
半導体スイッチ素子を備えて上記平滑コンデンサの直流電力をDC/DC変換して負荷に接続するDC/DCコンバータ部と、
交流の力率を制御しつつ上記AC/DCコンバータ部の直流電圧が直流電圧目標値に追従するように上記AC/DCコンバータ部を制御すると共に、上記DC/DCコンバータ部と上記負荷との間の直流入出力が指令値に追従するように上記半導体スイッチ素子へのDuty指令を演算して該半導体スイッチ素子のDuty制御により上記DC/DCコンバータ部を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、上記DC/DCコンバータ部内の上記半導体スイッチ素子がソフトスイッチングできるように上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する
電力変換装置。 - 上記DC/DCコンバータ部は、絶縁されたトランスと、該トランスの一端に接続され、上記半導体スイッチ素子を複数個有して上記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部と、上記トランスの他端に接続された整流回路とを備え、
上記コンバータ部は、上記各半導体スイッチ素子に並列接続されたコンデンサと、交流線に接続されたリアクトルとを備え、
上記制御装置は、上記DC/DCコンバータ部内の上記複数の半導体スイッチ素子が零電圧スイッチングするように上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する請求項6に記載の電力変換装置。 - 上記制御装置は、上記リアクトルを流れる電流に基づいて上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する請求項7に記載の電力変換装置。
- 上記DC/DCコンバータ部は、絶縁されたトランスと、該トランスの一端に接続され、上記半導体スイッチ素子を複数個有して上記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部と、上記トランスの他端に接続された整流回路とを備え、
上記コンバータ部は、上記各半導体スイッチ素子に並列接続されたコンデンサと、交流線に接続されたリアクトルとを備え、
上記制御装置は、上記DC/DCコンバータ部内の上記複数の半導体スイッチ素子の電力損失が小さくなるように上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する請求項6に記載の電力変換装置。 - 上記DC/DCコンバータ部は、絶縁されたトランスと、該トランスの一端に接続され、上記半導体スイッチ素子を複数個有して上記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するコンバータ部と、上記トランスの他端に接続された整流回路とを備え、
上記コンバータ部は、交流線に接続されたリアクトルとコンデンサとの直列回路を備え、
上記制御装置は、上記DC/DCコンバータ部内の上記複数の半導体スイッチ素子が零電流スイッチングするように上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する請求項6に記載の電力変換装置。 - 上記DC/DCコンバータ部の上記複数の半導体スイッチ素子が零電流スイッチングするように上記Duty指令の設定値が設定され、
上記制御装置は、上記Duty指令が上記設定値に近づくように、上記AC/DCコンバータ部の上記直流電圧目標値を調整する請求項10に記載の電力変換装置。 - 上記AC/DCコンバータ部は、
複数の半導体スイッチ素子と直流電圧源とから成る単相インバータの交流側を1以上直列接続して構成され、上記各単相インバータの出力電圧の総和を上記交流電圧に重畳するインバータ回路と、 スイッチを有して該インバータ回路に接続されたブリッジ回路とを備える請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 上記制御装置は、上記インバータ回路の上記直流電圧源の電圧を指令値に追従させるように上記ブリッジ回路を制御すると共に、上記AC/DCコンバータ部の直流電圧を上記直流電圧目標値に追従させるように上記インバータ回路を電流指令を用いて制御する請求項12に記載の電力変換装置。
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