JP5350368B2 - 偏光フィルムの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置の偏光板を構成する部材として使用することのできる偏光フィルムの製造法に関する。
液晶表示装置(LCD)はその開発初期の頃、電卓および腕時計等の小型機器で使用されていたが、近年ではノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器等の広い範囲で使用されるようになっている。一方で、特に液晶テレビ等の用途においては、表示品質の向上、例えばコントラストの向上がますます求められており、LCDの部材の1つである偏光板に対しても、偏光性能の向上が強く求められている。
従来一般的に使用されている偏光板は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称することがある)からなるフィルム原反に、一軸延伸、ヨウ素や二色性染料による染色処理、ホウ素化合物による固定処理等を施し、得られた偏光フィルムの片面または両面に三酢酸セルロースフィルムや酢酸・酪酸セルロースフィルム等の保護膜を貼り合わせた構成を有している。このような偏光板の偏光性能を向上させる手法として、原料であるPVAの構造を改良する手法、PVAフィルムの物性を制御する方法、偏光板の製造条件を工夫する方法等、様々な手法が提案されており、LCDのコントラスト向上に寄与してきた。
例えば特許文献1では、2500以上、好ましくは6000〜10000の重合度を有するPVAからなる偏光フィルムが光学特性に優れていることが記載されている。重合度の高いPVAを用いることは偏光性能の向上には有利な手法であるが、工業的な実施は困難であった。
また、偏光性能を向上させる別の方法として、例えば特許文献2では、原反フィルムとして、熱水中での完溶温度(X)と平衡膨潤度(Y)との関係が下式で示される範囲であるPVA系フィルムを用いる偏光フィルムの製造方法が記載されている。

Y > −0.0667X+6.73 ・・・・(I)
X ≧ 65 ・・・・(II)

しかしながら、上記の発明に使用されるPVAの重合度は好ましくは3500〜5000の範囲であり、該製造方法をそのまま高重合度PVAに適用しても、後述する比較例に示されるように、得られる偏光フィルムの偏光性能が充分でないことが判明した。すなわち、高重合度のPVAからなる偏光フィルムを工業的に製造するには、PVAの構造、PVAフィルムの物性、偏光フィルムの製造条件等に関する知見を総動員して、新たな製造法を見出すことが必要であった。
特開平1−105204号公報 特開平7−120616号公報
そこで、本発明の目的は、高重合度のPVAからなるフィルムを、高い偏光性能を有する偏光フィルムに加工することのできる、偏光フィルムの製造法を提供することにある。
発明者らは、PVAの構造およびPVAフィルムの物性、さらには偏光フィルムの製造条件に関する知見を最大限に生かして検討を行った。その結果、重合度が5000以上のPVAを製膜して得られる、膨潤度がA(%)であるフィルム原反を、2.0〜2.9倍に湿式延伸して、膨潤度がB(%)である延伸フィルムを得る工程を含む偏光フィルムの製造法であって、上記AとBとが下記式(1)および(2)を満足することにより、初めて本発明の効果が発現することを見出した。

200 ≦ A ≦ 240 (1)
A+20 ≦ B ≦ A+35 (2)
この場合において、前記フィルム原反をヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液中で湿式延伸することが好ましい。
また、前記フィルム原反は、製膜後に115〜130℃で熱処理されて得られたものであることが好ましい。
また、前記湿式延伸する工程に続いて、得られた延伸フィルムをさらにホウ酸水溶液中で3倍以下に延伸する工程を含むことが好ましい。
本発明は、上記の製造法によって得られる、透過率が43.0%以上、かつ偏光度が99.97%以上である偏光フィルムをも包含する。
本発明の製造法により、高重合度のPVAからなるフィルムを、高い偏光性能を有する偏光フィルムに加工することができ、高い偏光性能を有する偏光フィルムの工業的な生産が可能となる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるPVAの重合度は、本発明の目的とする良好な偏光性能に対応するため、5000以上であることが必要であり、5500以上が好ましく、6000以上がより好ましい。PVAの重合度が5000未満であると、高い偏光性能を発現することが困難となる。PVAの重合度の上限としては特に制限はないが、高重合度になるほどPVAの生産性が低下するので、工業的な観点から10000以下であることが好ましい。なお、本発明でいうPVAの重合度は、後述する実施例に記載の方法にしたがって測定した重合度(粘度平均重合度)を意味する。
また、PVAのケン化度は、99モル%以上であることが好ましく、99.8モル%以上がより好ましい。PVAのケン化度が99モル%未満であると、後述する偏光フィルムの製造工程でPVAが溶出し易くなり、溶出したPVAがフィルムに付着して偏光フィルムの性能を低下させるおそれがある。
本発明において使用されるPVAは、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等を例示することができ、これらの中から1種または2種以上を選択する。これらの中でも酢酸ビニルが、入手の容易性、PVAの製造の容易性、コスト等の点から好ましく用いられる。重合温度に特に制限はないが、メタノールを重合溶媒として使用する場合は、重合温度はメタノールの沸点付近の60℃前後であることが好ましい。
PVAは、本発明の効果が損なわれることがない限り、ビニルエステルの単独重合体のケン化物に限定されない。例えば、PVAに不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィン等を5モル%未満の割合でグラフト共重合した変性PVA;ビニルエステルと、不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィン等とを15モル%未満の割合で共重合した変性ポリビニルエステルのケン化物;ホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類でPVAの水酸基の一部を架橋したポリビニルアセタール系重合体などであってもよい。
上記のPVAを製膜することによりフィルム原反が得られる。製膜方法としては、含水PVAを溶融押出する方法の他、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去)、キャスト製膜法(PVA水溶液を基盤上に流し、乾燥)、およびこれらの組み合わせによる方法等を採用することができる。これらの中でも、溶融押出製膜法および流延製膜法が、良好なPVAフィルム(フィルム原反)が得られることから好ましい。
上記の製膜の際に使用される溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、水等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、水、ジメチルスルホキシド、およびこれらの混合溶媒が好適に使用される。
主にPVAと溶剤とからなる製膜原液の揮発分率は、製膜方法やPVAの分子量によっても変化するが、50〜95質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜95質量%がさらに好ましい。揮発分率が50質量%未満であると、製膜原液の粘度が高くなり過ぎて、調製時の濾過や脱泡が困難となり、異物や欠点のないフィルム原反を得ることが困難となるおそれがある。また、揮発分率が95質量%を超えると、製膜原液の粘度が低くなり過ぎて、目的とする厚みや厚み精度を有するフィルム原反を製造することが困難になるおそれがある。
フィルム原反を製造するにあたり、可塑剤を使用してもよい。可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。可塑剤の使用量も特に制限されないが、通常はPVA100質量部に対して、10〜15質量部の範囲内である。
製膜後のフィルム原反の乾燥方法としては、例えば熱風による乾燥や、熱ロールを用いた接触乾燥や、赤外線ヒーターによる乾燥等が挙げられる。これらの方法のうちの1種類を単独で採用してもよいし、2種類以上を組み合わせて採用してもよい。乾燥温度については特に制限はないが、50〜70℃の範囲内が好ましい。また、このときの乾燥時間は、製膜原液の濃度や製膜条件にもよるが、おおむね45〜75分である。
乾燥後のフィルム原反は、その膨潤度を後述する所定の範囲に制御するために、熱処理を行うことが好ましい。製膜後のフィルム原反の熱処理方法としては、例えば熱風による方法や、熱ロールにフィルム原反を接触させる方法等が挙げられる。これらの方法のうちの1種類を単独で採用してもよいし、2種類以上を組み合わせて採用してもよい。熱処理温度については特に制限はないが、115〜130℃の範囲内が好ましい。また、このときの熱処理温度は、5分以内が好ましい。
こうして得られるフィルム原反の厚みは、20〜120μmであることが好ましく、20〜80μmがより好ましく、20〜40μmがさらに好ましい。厚みが20μm未満になると、後述する延伸工程においてフィルムの破断が発生し易くなるおそれがある。また、厚みが120μmを超えると、延伸時にフィルムにかかる応力が大きくなり、充分な延伸が困難となるおそれがある。
フィルム原反の膨潤度Aは、200〜240%であることが必要であり、205〜235%が好ましく、210〜230%がより好ましい。膨潤度Aが200%未満であると、延伸時の張力が大きくなりすぎて、充分な延伸を行うことが困難となる。また、膨潤度Aが240%を超えると、吸水性が高いために、後述の偏光フィルムの製造工程においてフィルムにしわや端部カールが発生し易くなり、延伸時の破断の原因となる。膨潤度Aを所定の範囲に制御するためには、例えば、製膜後のフィルム原反を熱処理する際の温度や時間を調整すればよい。フィルム原反の膨潤度Aは、実施例の項目において後述する方法により測定することができる。
続いて、上記フィルム原反を用いた本発明の偏光フィルムの製造法について述べる。偏光フィルムの製造工程は、水分調整、染色、延伸、色調整等の工程を含むことができる。このとき、フィルム原反の湿式延伸を行い、延伸フィルムの膨潤度Bの調整を行うことが必要である。また、必要に応じて、上記の湿式延伸する工程に続いて、得られた延伸フィルムをさらにホウ酸水溶液中で延伸してもよい。さらに、必要に応じて、例えばホウ酸およびヨウ化カリウムを含む水溶液中で色調整し、乾燥して、偏光フィルムを製造することができる。
フィルム原反の水分調整は、純水または蒸留水中に浸漬して行うことが好ましい。このときの温度としては、20〜40℃が好ましく、25〜35℃がより好ましく、27〜33℃がさらに好ましい。温度が20℃未満であると、フィルム原反の含水率が低くなり、後の延伸の際にフィルムにかかる張力が高くなって、延伸フィルムの膨潤度Bの調整が困難となるおそれがある。また、温度が40℃を超えると、フィルム原反の吸水性が高くなり、後の工程においてフィルムにしわや端部カールが発生し易くなり、延伸時の破断の原因となるおそれがある。一方、フィルム原反を浸漬する時間としては、おおむね30〜120秒の範囲内である。
フィルム原反の染色は、例えばヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液中で行う。このときのヨウ素の濃度は0.01〜0.1質量%、ヨウ化カリウムの濃度は1〜10質量%にすることが好ましく、ヨウ素濃度0.02〜0.08質量%、ヨウ化カリウム濃度2〜8質量%がより好ましく、ヨウ素濃度0.03〜0.06質量%、ヨウ化カリウム濃度3〜6質量%がさらに好ましい。水溶液の温度については特に制限はないが、25〜40℃が好ましい。
フィルム原反の湿式延伸は、上記の水分調整や染色とは別の工程として行ってもよいが、上記の水分調整用の水中で、または染色用の水溶液中で行うことが効率的で好ましく、染色用の水溶液、すなわちヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液中で行うことがより好ましい。フィルム原反の湿式延伸の際、延伸後のフィルムの膨潤度Bを後述する所定の範囲に調整するため、延伸前後のフィルムの長さの比で表される延伸倍率は2.0〜2.9倍とすることが必要であり、2.2〜2.8倍が好ましく、2.4〜2.8倍がより好ましい。延伸倍率が2.9倍を超えると、PVA分子鎖が配向して結晶化が促進され、膨潤度Bを所定の範囲に調整することが困難となる。また、延伸倍率が2.0倍未満であると、膨潤度Bを高くする効果が不足する。
フィルム原反を湿式延伸する際の温度としては、延伸フィルムの膨潤度Bを後述する範囲に調整することが容易となることから、20〜40℃が好ましく、25〜40℃がより好ましく、25〜35℃がさらに好ましく、27〜33℃が特に好ましい。
上記の延伸フィルムの膨潤度Bは、下記式(2)を満足する必要があり、下記式(2’)を満足することが好ましく、下記式(2”)を満足することがより好ましい。

A+20 ≦ B ≦ A+35 (2)
A+20 ≦ B ≦ A+33 (2’)
A+20 ≦ B ≦ A+30 (2”)
延伸倍率を制御することにより偏光性能が向上する理由は明確ではないが、以下のように予想される。すなわち、延伸倍率が低すぎる場合、延伸フィルム中に微結晶が壊れずに残存する。このとき、BはA+20よりも小さくなり、後の延伸において延伸倍率を上げることができず、得られる偏光フィルムの偏光性能が低くなる。また、延伸倍率が高すぎる場合も、PVAの配向結晶化が進むため、やはりBはA+20よりも小さくなり、後の延伸において延伸倍率を上げることができず、得られる偏光フィルムの偏光性能が低くなる。一方、例えば延伸するときの浴の温度が高すぎると、BはA+35よりも大きくなる。この場合、延伸中にフィルム内の結晶の破壊が進行し、後の延伸で十分な張力をかけて延伸することが困難になり、得られる偏光フィルムの偏光性能が低くなる。
なお、延伸フィルムの膨潤度Bは、230〜265%であることが好ましい。膨潤度Bを所望の範囲に制御するためには、上記のように延伸倍率や湿式延伸する際の水または水溶液の温度を調整すればよい。延伸フィルムの膨潤度Bは、実施例の項目において後述する方法により測定することができる。
前述のとおり、フィルム原反を湿式延伸する工程に続いて、得られた延伸フィルムをさらにホウ酸水溶液中で延伸してもよい。このときの延伸倍率は3倍以下であることが好ましく、1.2〜3倍がより好ましく、1.3〜2.9倍がさらに好ましく、1.4〜2.8倍が最も好ましい。延伸倍率が3倍を超えると、延伸中にフィルムの破断が多発し、安定して偏光フィルムを製造することが困難となるおそれがある。
このときの水溶液中のホウ酸濃度は、2〜6質量%であることが好ましく、2〜5質量%がより好ましく、2〜4質量%がさらに好ましい。ホウ酸の濃度が2質量%未満の場合、得られる偏光フィルムに色斑が多くなるおそれがある。またホウ酸の濃度が6質量%を超える場合、ホウ酸によるPVAの架橋が過剰となり、フィルムを高倍率で延伸することが困難となるおそれがある。
また、偏光フィルムの色相をニュートラルグレーに近づけるため、ホウ酸水溶液にヨウ化カリウムを添加することも好ましい。ヨウ化カリウムの濃度は3〜10質量%が好ましく、4〜8質量%がより好ましい。ヨウ化カリウムの濃度が3質量%未満の場合、得られる偏光フィルムの青みが強くなるおそれがある。一方、ヨウ化カリウムの濃度が10質量%を超える場合、得られる偏光フィルムの赤みが強くなるおそれがある。ホウ酸水溶液は、他の成分として例えば鉄、ジルコニウム等の金属化合物を含んでいてもよい。
上記延伸において、水溶液の温度に特に制限はないが、50〜60℃が好ましく、55〜60℃がより好ましく、57〜60℃がさらに好ましい。延伸温度が50℃未満であると、フィルムを高倍率まで延伸することが困難となるおそれがある。また、延伸温度が60℃を超えると、得られる偏光フィルムの透過度が低下するおそれがある。
延伸後の色調整は、ホウ酸とヨウ化カリウムを含有した水溶液中で行うことが好ましい。このとき、水溶液に塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛等の金属化合物を添加してもよい。水溶液の温度は、偏光性能の低下を防ぐため、延伸温度よりも低い方が好ましく、具体的には20〜50℃が好ましく、30〜40℃がより好ましい。色調整の時間については、特に制限はない。
得られた偏光フィルムの乾燥は、各種の乾燥機を用いてバッチ式、連続フロート式、連続ロール上接触式等の方法で行うことができる。乾燥温度としては、偏光フィルムからのヨウ素の昇華を防ぐため、またPVAと架橋したホウ酸の脱離反応を抑えるため、40〜80℃で行うことが好ましく、45〜70℃がより好ましく、50〜60℃がさらに好ましい。乾燥時間については特に制限はなく、装置や乾燥温度によって異なるが、例えば3〜6分の範囲内である。
こうして得られた偏光フィルムは、偏光板等の用途に供するために優れた偏光性能を有していることが好ましい。すなわち、偏光フィルムの透過率は好ましくは43.0%以上であり、偏光度は好ましくは99.97%以上(より好ましくは99.98%以上)である。
以下に本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。実施例等において、PVAの粘度平均重合度P、フィルム原反の膨潤度A、延伸フィルムの膨潤度B、偏光フィルムの透過率Yおよび偏光度Vは、以下の方法で評価した。
(1)PVAの粘度平均重合度Pの測定
PVA0.28g、蒸留水70g、および撹拌子を、100mL共通すり合わせ三角フラスコに投入した。95℃の恒温槽に、栓をした上記三角フラスコを浸漬し、撹拌子で撹拌しながらPVAを溶解し、0.4%PVA水溶液を作製した。このPVA水溶液をブフナー漏斗形ガラスろ過器3Gでろ過し、30℃の恒温水槽中で冷却して、重合度測定用サンプルとした。参照試料として、別の100mL共栓すり合わせ三角フラスコに蒸留水を70g入れて栓をし、30℃の恒温水槽に浸漬した。
105℃の乾燥機で1時間加熱した蒸発皿を、デシケーターで30分間冷却し、蒸発皿の質量a(g)を測定した。この蒸発皿に重合度測定用サンプル10mLをホールピペットで移動させ、これを105℃の乾燥機で16時間乾燥後、デシケーターで30分間冷却し、質量b(g)を測定した。重合度測定用サンプルの濃度c(g/L)は、下記式により算出した。

c = 1000×(b−a)/10
オストワルド粘度計に、重合度測定用サンプル、あるいは蒸留水を10mLホールピペットで投入し、30℃の恒温水槽中で15分間安定させた。投入した重合度測定用サンプルの落下秒数t(s)と蒸留水の落下秒数t(s)を測定し、下記式により粘度平均重合度Pを算出した。

η = t/t
[η] = 2.303×Log(η/c)
Log(P) = 1.613×Log([η]×10/8.29)
(2)フィルム原反の膨潤度Aの測定
フィルム原反を5cm×5cmに裁断し、30℃の蒸留水1Lに4時間浸漬した。このフィルム原反を蒸留水中から取り出し、2枚のろ紙ではさんで表面の水滴を吸収させた後、質量Dを測定した。さらに、このフィルム原反を105℃の乾燥機で16時間乾燥し、デシケーターで30分間冷却した後、質量Eを測定し、下記式によりフィルム原反の膨潤度Aを算出した。

A = 100×D/E(%)
(3)延伸フィルムの膨潤度Bの測定
湿式延伸したフィルムを、延伸方向10cm×幅方向5cmに切り取り、さらにヨウ素0.03質量%、ヨウ化カリウム3質量%のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液(30℃)に4時間浸漬した。この延伸フィルムをヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液から取り出し、2枚のろ紙ではさんで表面の水滴を吸収させた後、質量Fを測定した。この延伸フィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥し、デシケーターで30分間冷却した後、質量Gを測定し、下記式により延伸フィルムの膨潤度Bを算出した。

B = 100×F/G(%)
(4)偏光フィルムの透過率Yの測定
偏光フィルムの幅方向の中央部から、延伸方向に4cm×幅方向に4cmの正方形のサンプルを2枚採取し、日立製作所製の分光光度計U−4100(積分球付属)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、1枚の偏光フィルムサンプルについて、延伸軸方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Y1(%)を求めた。もう1枚の偏光フィルムサンプルについても同様にして、45°傾けた場合の光の透過度と−45°傾けた場合の光の透過度を測定して、それらの平均値Y2(%)を求めた。下記式によりY1とY2を平均し、偏光フィルムの透過率Y(%)とした。

Y = (Y1+Y2)/2
(5)偏光フィルムの偏光度Vの測定
上記(4)で採取した2枚の偏光フィルムを、その延伸方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率Y‖(%)、延伸方向が直交するように重ねた場合の光の透過率Y⊥(%)を、(4)に記載された透過率の場合と同様にして測定し、下記式により偏光度V(%)を求めた。

V = {(Y‖−Y⊥)/(Y‖+Y⊥)}1/2×100
[実施例1]
重合度5800、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、120℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、230%であった。
次に、上記のフィルム原反を流れ方向11cm×幅方向10cmにカットし、流れ方向を延伸方向としてチャック間4cmの延伸治具に取り付け、30℃の純水に1分間浸漬し、続けて、ヨウ素を0.03質量%、ヨウ化カリウムを3質量%の割合で含有する染色液(温度30℃)に浸漬し、0.13m/minの速度で2.6倍に延伸して、ヨウ素を吸着させた。この延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、260%であった。
続けてこの延伸フィルムを、ホウ酸を4質量%、ヨウ化カリウムを6質量%の割合で含有する延伸液(温度57.5℃)に浸漬し、0.13m/minの速度で2.3倍に延伸した後、延伸方向を固定して50℃で4分間乾燥して偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.99%であり、偏光性能が良好な偏光フィルムが得られた。
[実施例2]
重合度5800、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、115℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、240%であった。
次に、実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、260%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.99%であり、偏光性能が良好な偏光フィルムが得られた。
[実施例3]
重合度9100、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み20μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、110℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、230%であった。
次に、延伸倍率を2.5倍としたこと以外は実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、255%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.99%であり、偏光性能が良好な偏光フィルムが得られた。
[実施例4]
重合度5200、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、110℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、205%であった。
次に、実施例3と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、235%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.98%であり、偏光性能が良好な偏光フィルムが得られた。
[実施例5]
重合度5500、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み30μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、130℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、215%であった。
次に、実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、235%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.99%であり、偏光性能が良好な偏光フィルムが得られた。
[比較例1]
重合度4800、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する6.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、120℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、220%であった。
次に、延伸倍率を2.7倍としたこと以外は実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、245%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.92%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。
[比較例2]
重合度5800、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、140℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、195%であった。
次に、実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、220%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.92%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。
[比較例3]
重合度5800、ケン化度99.8モル%のPVA100質量部と、可塑剤としてグリセリン12質量部とを含有する5.5質量%PVA水溶液を、60℃の金属ロール上に流延し、60分乾燥して、厚み40μmのPVAフィルムを得た。このフィルムを金属枠に固定し、110℃で3分間熱処理をした。熱処理後のフィルム原反の膨潤度Aを上記(2)に記載した方法で測定したところ、250%であった。
次に、実施例1と同様にして、上記のフィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、280%であった。
続けて、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.87%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。
[比較例4]
実施例1で得られたフィルム原反について、延伸倍率を1.7倍としたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、240%であった。
続けて、延伸倍率を3.5倍としたこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.90%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。
[比較例5]
実施例1で得られたフィルム原反について、延伸倍率を4.2倍としたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、240%であった。
続けて、延伸倍率を1.4倍としたこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.80%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。
[比較例6]
実施例1で得られたフィルム原反について、延伸倍率を1.2倍としたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム原反を延伸しながらヨウ素を吸着させた。得られた延伸フィルムの膨潤度Bを上記(3)に記載した方法で測定したところ、230%であった。
続けて、延伸倍率を4.6倍としたこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの透過度および偏光度を、上記(4)および(5)に記載した方法で測定したところ、それぞれ44.0%、99.40%であり、偏光フィルムの偏光度が若干不足していた。そこで、偏光度を改善するために延伸倍率の目標値を4.6倍から5.0倍に変更したところ、延伸切れが発生して偏光フィルムを得ることができなかった。
上記の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0005350368
本発明の製造法によって得られた偏光フィルムは、偏光性能が高いという優れた特性を活かして、電卓、腕時計、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器等の液晶表示装置の構成部品である偏光板の作製に有効に用いることができる。

Claims (4)

  1. 重合度が5000以上10000以下のポリビニルアルコールを製膜して得られる、膨潤度がA(%)であるフィルム原反を、2.0〜2.9倍に湿式延伸して、膨潤度がB(%)である延伸フィルムを得る工程を含む偏光フィルムの製造法であって、上記AとBとが下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする、偏光フィルムの製造法。

    200 ≦ A ≦ 240 (1)
    A+20 ≦ B ≦ A+35 (2)

    式(1)および(2)中、Aは、式:A=100×D/E(%)により算出され、ここで、Dは、フィルム原反を5cm×5cmに裁断し、30℃の蒸留水1Lに4時間浸漬し、蒸留水中から取り出し、2枚のろ紙ではさんで表面の水滴を吸収させた後の質量であり、Eは、このフィルム原反を105℃の乾燥機で16時間乾燥し、デシケーターで30分間冷却した後の質量であり;Bは、式:B=100×F/G(%)により算出され、ここで、Fは、延伸フィルムを、延伸方向10cm×幅方向5cmに切り取り、ヨウ素0.03質量%、ヨウ化カリウム3質量%のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液(30℃)に4時間浸漬し、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液から取り出し、2枚のろ紙ではさんで表面の水滴を吸収させた後の質量であり、Gは、この延伸フィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥し、デシケーターで30分間冷却した後の質量である。
  2. 前記フィルム原反をヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液中で湿式延伸する、請求項1に記載の偏光フィルムの製造法。
  3. 前記フィルム原反が、製膜後に115〜130℃で熱処理されて得られたものである、請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造法。
  4. 前記湿式延伸する工程に続いて、得られた延伸フィルムをさらにホウ酸水溶液中で3倍以下に延伸する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造法。
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