JP2008076627A - カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】柱状スペーサを形成したときの、該柱状スペーサ上面の高さバラツキが抑えられ、表示装置としたときのセルギャップの厚み精度に優れたカラーフィルタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、光学濃度(OD)3.5以上の単層の樹脂ブラックマトリクスと、該樹脂ブラックマトリクスにより離隔された少なくとも1色の着色層とを有するカラーフィルタであって、該着色層の該樹脂ブラックマトリクスとの重なり率が3%未満であり、該樹脂ブラックマトリクスにおける略半円染みが、0〜3個/(100μm長さ)であるカラーフィルタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び表示装置に関する。
近年、パーソナルコンピューター、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、カラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
カラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備える。このようなカラーフィルタを用いたカラー液晶ディスプレイは、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
カラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
また、他の製造方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
さらに他の製造方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、およびBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題を解決するカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式で着色インクを吹き付けして着色層(画素部)を形成する方法が提案され、該方法により形成された画素部の平坦化等について種々の検討がなされている(例えば、特許文献1〜11参照)。
一方、カラーフィルタに備えられるブラックマトリクスの材質としては、コストダウンや環境負荷軽減の観点から、従来の材質である金属膜(クロム等)に代えて、顔料や金属粒子を含有する樹脂組成物を用いる技術が知られている(例えば、特許文献12参照)。
特開昭59−75205号公報 特開平8−304619号公報 特開平10−197719号公報 特開平9−132740号公報 特開2004−177867号公報 特開平11−142641号公報 特開2002−372613号公報 特開2003−266003号公報 特開2002−148429号公報 特開2002−156520号公報 特開2004−325736号公報 特開2005−250461号公報
しかしながら、基板上に樹脂組成物からなる樹脂ブラックマトリクスを形成し、該樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域(凹部)に着色樹脂組成物(例えば、着色インク等)を付与して着色層を形成するカラーフィルタの製造方法においては、該着色樹脂組成物中に含まれる溶剤成分やモノマー成分によって樹脂ブラックマトリクスが膨潤する場合がある。
樹脂ブラックマトリクスが膨潤すると、該樹脂ブラックマトリクス上に(透明電極層が設けられる場合には、該透明電極層上の、樹脂ブラックマトリクスの上方に位置する領域に)柱状スペーサを形成した際に、膨潤した樹脂ブラックマトリクスの高さバラツキに起因して、着色層表面から柱状スペーサの上面(基板から最も離れた面)までの高さバラツキが生じやすく、このようなカラーフィルタを用いた表示装置においては、セルギャップのバラツキによる表示ムラが発生しやすいという問題がある。
これらの問題に関しては、上記した従来の技術のみでは解決することは困難である。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、柱状スペーサを形成したときの、該柱状スペーサ上面の高さバラツキが抑えられ、表示装置としたときのセルギャップの厚み精度に優れたカラーフィルタ及びその製造方法を提供すること、並びに、表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れた表示装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、カラーフィルタの樹脂ブラックマトリクス上を光学顕微鏡で観察したときに確認できる略半円染みの発生頻度を一定以下に制御することや、特定溶剤に対する樹脂ブラックマトリクスの膨潤度を一定以下に制御することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基板上に、光学濃度(OD)3.5以上の単層の樹脂ブラックマトリクスと、該樹脂ブラックマトリクスにより離隔された少なくとも1色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
該着色層の該樹脂ブラックマトリクスとの重なり率が3%未満であり、
該樹脂ブラックマトリクスにおける略半円染みが、0〜3個/(100μm長さ)であるカラーフィルタである。
<2> 基板上に、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度が10%以下である、単層の樹脂ブラックマトリクスを形成し、該樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域にインクジェット方式で着色インクを付与して少なくとも1色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法である。
<3> 上記樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)が3.5以上であることを特徴とする<2>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<4> <1>に記載のカラーフィルタ、又は、<2>又は<3>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する表示装置である。
本発明によれば、柱状スペーサを形成したときの、該柱状スペーサ上面の高さバラツキが抑えられ、表示装置としたときのセルギャップの厚み精度に優れたカラーフィルタ及びその製造方法を提供すること、並びに、セルギャップのバラツキによる表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れた表示装置を提供することができる。
以下、本発明のカラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び表示装置について詳細に説明する。
≪カラーフィルタ≫
本発明のカラーフィルタは、少なくとも基板と、基板上に設けられた光学濃度(OD)3.5以上の単層の樹脂ブラックマトリクスと、該樹脂ブラックマトリクスにより仕切られて互いに離隔された少なくとも1色の着色層とを有し、該着色層の該樹脂ブラックマトリクス上の重なり率が3%未満であり、該樹脂ブラックマトリクスにおける略半円染みが、0〜3個/(100μm長さ)である。
<略半円染み>
本発明において略半円染みとは、光学顕微鏡(倍率50〜500倍)を用いて樹脂ブラックマトリクスの表面を反射光で観察したときに確認できる、周囲よりさらに黒く見える、半円状、楕円状、又は少しつぶれた円状の領域であって、最大幅が3.0μm以上の領域をいう。
略半円染みが確認される理由は定かではないが、樹脂ブラックマトリクス中に着色層又はその形成時に含まれる溶剤成分やモノマー成分が染み込み、染み込んだ箇所が、周囲より若干盛り上がるか、又は、窪むかすることにより、反射光で観察したときに黒く見えるものと思われる。
略半円染みは、例えば、反射型(反射光により観察できる状態)に設定した光学顕微鏡で、300μm×300μmの領域が1画面に収まる程度の倍率で写真を撮影することにより容易に確認できる。
本発明のカラーフィルタは、樹脂ブラックマトリクスの一辺における、長さ100μmの範囲に確認できる略半円染みの個数が、0〜3個である樹脂ブラックマトリクスを有する(本発明では、この個数を「0〜3個/(100μm長さ)」と表記する)。
前記略半円染みの個数が4個以上/(100μm長さ)となると、該樹脂ブラックマトリクス上に(透明電極層が設けられる場合には、該透明電極層上の、樹脂ブラックマトリクスの上方に位置する領域に、以下同じ))柱状スペーサを形成したときに、膨潤した樹脂ブラックマトリクスの高さバラツキに起因して、該柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
なお、本発明において、「柱状スペーサ上面の高さバラツキ」とは、着色層表面(着色層上に透明電極層が形成されている場合には該透明電極層表面)から、柱状スペーサ上面(基板から最も離れた面)までの高さのバラツキをいう。
前記略半円染みの個数としては、本発明による効果をより効果的に奏する観点からは、好ましくは0〜2個/(100μm長さ)であり、より好ましくは0〜1個/(100μm長さ)である。
上記略半円染みを好ましい範囲にするには、例えば、樹脂ブラックマトリクスの着色インクに対する膨潤度をある範囲内に設定することで達成できる。
具体的手段としては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度が10%以下の樹脂ブラックマトリクスを用いてカラーフィルタを形成することで、上記略半円染みを0〜3個/(100μm長さ)とすることができる。
<着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率>
本発明において着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率とは、樹脂ブラックマトリクスと着色層との重なり部分の、樹脂ブラックマトリクスの線幅に対する割合(単位:%)をいう。
例えば、樹脂ブラックマトリクスの線幅方向について、着色層が樹脂ブラックマトリクスを全て覆い尽くしている場合には重なり率は100%となり、着色層と樹脂ブラックマトリクスとの重なりが無い場合には重なり率は0%となる。
着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率は、任意の10箇所について測定し、測定値を小さい値から大きい値の順に並べ、大きい側から2個の測定値と、小さい側から2個の測定値を除いた6個の測定値の平均値を、そのカラーフィルタにおける「着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率」として決定する。
例えば、測定値が0%、0%、0%、0%、0%、0%、0%、0%、0%、0.5%の場合、左から2個の測定値(0%、0%)と右からの測定値(0%、0.5%)を除いた測定値(0%、0%、0%、0%、0%、0%)の平均値(0%)が、そのカラーフィルタにおける「着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率」となる。
一般的なカラーフィルタにおいては、樹脂ブラックマトリクスと着色層との重ね合わせズレや寸法のズレを補償する観点などから、前記着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率を一定の値以上に設定するが、本発明のカラーフィルタでは、着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率は3%未満とする。着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率が3%以上となると、該樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該樹脂ブラックマトリクスと着色層の重なり部分の高さバラツキに起因して、柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
着色層の樹脂ブラックマトリクスとの重なり率が3%未満とすることは、例えば、インクジェット方式で着色層を形成することで可能となる。さらに、製造条件を最適化することで、該重なり率を0%とすることも可能である。
<樹脂ブラックマトリクス>
本発明のカラーフィルタは、単層の樹脂ブラックマトリクスを有する。樹脂ブラックマトリクスが2層以上となると、該2層以上の樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成した際、柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
本発明における樹脂ブラックマトリクスは2以上の画素群を仕切る(離隔する)ものであり、後述の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物を用いて好適に形成される。
(光学濃度)
本発明のカラーフィルタにおいては、前記樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)が3.5以上である。
光学濃度(OD)が3.5以上の樹脂ブラックマトリクスは、主に遮光のために用いられるため、従来は、前記略半円染みが4個以上/(100μm長さ)発生した場合でも、カラーフィルタの品質上は、問題とはされなかった。すなわち、透過モード(透過型表示装置)においても反射モード(反射型表示装置)においても表示品質(コントラスト等)に直接影響することはない、と考えられていた。
しかしながら、樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成する場合には、前記略半円染みが4個以上/(100μm長さ)発生すると、柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
本発明のカラーフィルタにおいては、前記略半円染みが0〜3個/(100μm長さ)の樹脂ブラックマトリクスを用いることで、柱状スペーサ上面の高さバラツキを抑え、セルギャップの厚みバラツキを抑えることができる。
前記樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)は、以下のようにして測定する。
まず、分光光度計(例えば、UV−2100((株)島津製作所製)等)を用いて、樹脂ブラックマトリクス付き基板の透過光学濃度(OD)を波長555nmで測定し、次に、各樹脂ブラックマトリクス基板に用いたガラス基板の透過光学濃度(OD)を同様の方法で測定する。そして、ODからODを差し引いた値(OD;=OD−OD)を、樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)とする。
尚、測定の精度を上げる為には、予めOD3以下になるような薄膜を作製し、該薄膜のODから測定サンプルの膜厚におけるODを算出することができる。
(樹脂ブラックマトリクス形成用組成物)
本発明における樹脂ブラックマトリクスは、以下の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物を用いて好適に形成される。
樹脂ブラックマトリクス形成用の樹脂組成物は、後述するように好ましくは光開始系で硬化させる為、露光波長(一般には紫外域)に対する光学濃度も重要である。すなわち、その値は2.0〜10.0であり、好ましくは2.5〜6.0、最も好ましいのは3.0〜5.0である。露光波長に対する光学濃度が前記範囲内であれば、樹脂ブラックマトリクス形状をより良好に保つことができ、より効果的に重合を進めることができる。かかる性質を有しさえすれば、樹脂組成物中の前記光学濃度を得るための濃色体は、有機物(染料、顔料などの各種色素)であっても、また各形態の炭素であっても、これらの組み合わせからなるものであってもよい。かかる濃色体は、特に限定されないが、黒色体がもっとも多く使用される。
−濃色体−
本発明に用いる濃色体としては、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤や、公知の有機顔料、無機顔料、染料等を好適に用いることができ、感光性樹脂層に高い遮光性が要求される際には、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、黒鉛、酸化チタン、4酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉、金属粒子又は金属を有する粒子といった遮光剤の他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。中でも、カーボンブラックが好ましい。公知の着色剤(染料、顔料)を使用することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物中に均一に分散されていることが好ましい。
以下に濃色体としての成分について、詳細に述べる。
−−金属粒子又は金属を有する粒子−−
本発明に用いられる樹脂ブラックマトリクス形成用組成物は、金属粒子又は金属を有する粒子の少なくとも一種(以下、「金属系微粒子」ということがある。)を含有してもよい。
金属粒子又は金属を有する粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。金属粒子は、2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。また、金属と金属化合物との複合金属粒子でもよい。
・金属粒子
金属粒子としては、金属又は、金属と金属化合物とから形成されるもの(複合金属粒子)が好ましく、金属から形成されるもの(金属粒子)が特に好ましい。
特に長周期律表(IUPAC 1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。また、第2〜14族からなる郡から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。これらの金属のうち、金属粒子としては、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属の粒子が更に好ましい。
前記金属粒子として好ましい例は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、カルシウム、イリジウム、及びこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、錫、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。とりわけ銀が好ましく(銀としてはコロイド銀が好ましい)、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。銀錫合金部を有する粒子については後述する。
・金属化合物粒子
「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
・複合金属粒子
複合金属粒子は、金属と金属化合物とが結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属とはそれぞれ1種でも2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合金属粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
・コア・シェル型の複合粒子
本発明における金属系微粒子は、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものであり、その具体例として、特開2006−18210号公報の段落番号[0024]〜[0027]に記載のコアシェル微粒子が挙げられる。
・銀錫合金部を有する粒子
前記銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分とからなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分とからなるものを含む。
前記銀錫合金部を有する粒子において、少なくとも一部が銀錫合金で構成されていることは、例えば、(株)日立製作所製のHD−2300とノーラン(Noran)社製のEDS(エネルギー分散型X線分析装置)とを用いて、加速電圧200kVによる各々の粒子の中心15nm□エリアのスペクトル測定により確認することができる。
前記銀錫合金部を有する粒子は、黒濃度が高く、少量であるいは薄膜で優れた遮光性能を発現し得ると共に、高い熱安定性を有するので、黒濃度を損なうことなく高温(例えば200度以上)での熱処理が可能であり、安定的に高度の遮光性を確保することができる。例えば、高度の遮光性が要求され、一般にベーク処理が施されるカラーフィルタ用の樹脂ブラックマトリクス(いわゆるブラックマトリクス)などに好適である。
前記銀錫合金部を有する粒子は、銀(Ag)の割合を30〜80モル%としてAgと錫(Sn)とを複合化(例えば合金化)して得られるものが好ましい。Agの割合を特に前記範囲とすることで、高温域での熱安定性が高く、光の反射率を抑えた高い黒濃度を得ることができる。特に、Agの割合が75モル%である粒子、すなわちAgSn合金粒子は作製が容易であり、得られた粒子も安定で好ましい。
前記銀錫合金部を有する粒子は、坩堝などの中で加熱、溶融混合して形成する等の一般的方法で合金化する等して形成することが可能であるが、Agの融点は900℃付近で、Snの融点は200℃付近であって両者の融点に大きな差があるうえ、複合化(例えば合金化)後の微粒子化工程が余分に必要になることから、粒子還元法によるのが好ましい。すなわち、Ag化合物とSn化合物とを混合し、これを還元するものであり、金属Agと金属Snを同時に接近した位置で析出させ、複合化(例えば合金化)と微粒子化とを同時に達成する方法である。Agは還元されやすく、Snよりも先に析出する傾向にあるため、Ag及び/又はSnを錯塩にすることにより析出タイミングをコントロールすることが好適である。
前記Ag化合物としては、硝酸銀(AgNO3)、酢酸銀(Ag(CH3COO))、過塩素酸銀(AgClO4・H2O)、等が好適に挙げられる。中でも特に、酢酸銀が好ましい。前記Sn化合物としては、塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、酢酸第一錫(Sn(CH3COO)2)、等が好適に挙げられる。中でも特に、酢酸第一錫が好ましい。
還元は、還元剤を用いる方法、電解により還元する方法等を好ましい還元方法として挙げることができる。中でも、還元剤を用いた前者による方法が、微細な粒子が得られる点で好ましい。前記還元剤としては、ハイドロキノン、カテコール、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、ヒドロキシアセトンなどが挙げられる。中でも、揮発しやすく、表示装置に悪影響を与えにくい点で、ヒドロキシアセトンが特に好ましい。
金属系微粒子は、市販のものを用いることができるほか、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
また、球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤー等の棒状の銀微粒子が得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
また、電気分解を用いた方法として、Materials Letters 2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀棒を生成する方法がJournal of Materials Research 2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
本発明における金属系微粒子は、無彩色に近づけるために、色々な種類の粒子を組み合わせることにより得ることができる。粒子を球形や立方体から平板状(六角形、三角形)、棒状へ変化させることにより、より高い透過濃度を得ることができ、これによると樹脂ブラックマトリクスを形成した際に薄膜化を図ることができる。
前記金属系微粒子の粒度分布としては、粒子の分布を正規分布近似し、その数平均粒子径の粒度分布幅D90/D10が、1.2以上20未満であることが好ましい。ここで、粒子径は長軸長さLを粒子直径としたものであり、D90は平均粒径に近い粒子の90%が見出される粒子直径であり、D10は平均粒径に近い粒子の10%が見出される粒子直径である。粒度分布幅は色調の観点及び粗大粒子の散乱による濁り防止の観点から、好ましくは2以上15以下であり、更に好ましくは4以上10以下である。
なお、前記粒度分布幅D90/D10の測定は、具体的には、膜中の金属系微粒子を前記三軸径を測定する方法にてランダムに100個測定し、前記長軸長さLを粒子直径とし、粒径分布を正規分布近似し、平均粒子径に近い粒子の数で90%の範囲となる粒子直径をD90とし、平均粒子径から数で10%の範囲となる粒子直径をD10とすることで、D90/D10を算出することができる。
・三軸径
金属系微粒子は、下記の方法によって直方体として捉えられ、各寸法が測定される。すなわち、1個の金属系微粒子がちょうど(きっちりと)収まるような三軸径の直方体の箱を考え、この箱の長さの一番長いものを長軸長さLとし、厚みt、幅bをもってこの金属系微粒子の寸法と定義する。前記寸法には、L>b≧tの関係を持たせ、同一の場合以外はbとtの大きい方を幅bと定義する。具体的には、まず、平面上に金属微粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により金属微粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を保つ。次に、前記平板間隔を決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により金属系微粒子を挟み、この2枚の平板間隔を保つ。最後に金属微粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せる。この方法により平面、2対の平板及び天板によって画される直方体が形成される。
なお、コイル状やループ状のものはその形状を伸ばした状態で前記測定を行なった場合の値と定義する。
・長軸長さL
棒状金属系微粒子の場合など、前記長軸長さLは、10nmないし1000nmであることが好ましく、10nmないし800nmであることがより好ましく、20nmないし400nmである(可視光の波長より短い。)ことが最も好ましい。Lが10nm以上であることにより、製造上調製が簡便で、かつ耐熱性や色味も良好になる利点があり、1000nm以下であることにより、面状欠陥が少ないという利点がある。
・幅bと厚みtとの比
棒状金属系微粒子の場合など、幅bと厚みtとの比は、100個の棒状金属微粒子について測定した値の平均値と定義する。棒状金属系微粒子の幅bと厚みtとの比(b/t)は、耐熱性向上の観点から、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。
・長軸長さLと幅b及び厚みtとの関係
長軸長さLは、耐熱性向上の観点及び黒色濃度を向上してより効果的に薄層高濃度化を行う観点から、幅bの1.2倍以上100倍以下であることが好ましく、1.3倍以上50倍以下であることがより好ましく、1.4倍以上20倍以下であることが特に好ましい。
・長さLと幅b及び厚みtとの測定
長さL、幅b及び厚みtの測定は、電子顕微鏡による表面観察図(×500000)と、原子間力顕微鏡(AFM)によってすることができ、100個の棒状金属微粒子について測定した値の平均値とする。原子間力顕微鏡(AFM)には、いくつかの動作モードがあり、用途によって使い分けている。
大別すると以下の3つになる。
(1)接触方式:プローブを試料表面に接触させ、カンチレバーの変位から表面形状を測定する方式
(2)タッピング方式:プローブを試料表面に周期的に接触させ、カンチレバーの振動振幅の変化から表面形状を測定する方式
(3)非接触方式:プローブを試料表面に接触させずに、カンチレバーの振動周波数の変化から表面形状を測定する方式
一方、前記非接触方式は、極めて弱い引力を高感度に検出する必要がある。そのため、カンチレバーの変位を直接測定する静的な力の検出では難しく、カンチレバーの機械的共振を応用している。
前記の3つの方法を挙げることができるが、試料に合わせいずれかの方法を選択することが可能である。
なお、本発明において、前記電子顕微鏡としては、日本電子社製の電子顕微鏡JEM2010を用いて、加速電圧200kVで測定を行なうことができる。また、原子間力顕微鏡(AFM)は、セイコーインスツル株式会社製のSPA−400が挙げられる。原子間力顕微鏡(AFM)での測定では、比較にポリスチレンビーズを入れておくことにより測定が容易になる。
本発明においては、金属粒子又は金属を有する粒子として、金属粒子又は、金属を有する金属化合物粒子が好ましく、銀粒子又は、銀を含有する銀化合物粒子がより好ましく、銀錫合金部を含む粒子が最も好ましい。
・顔料その他
本発明では、上記の金属系微粒子と共に、顔料等その他の微粒子を併用して用いることもできる。顔料を用いたときには、より黒色に近い色相に構成することができる。
前記顔料は上記で述べた顔料を好適に用いることができる。有機顔料の色相は、例えば、黄色、オレンジ、赤色、バイオレット、青色、緑色、ブラウン、黒色等が好ましい。
前記黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、又は黒鉛が色味の観点から好適なものとして挙げられる。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。チタンブラックの平均粒径は、凝集を防止し、より良好な色味を得る観点から、40〜100nmが好ましい。
黒鉛の例としては、遮光パターンの輪郭形状の均一性をより向上し、シャープネスをより向上する観点から、粒子径がストークス径で3μm以下のものが好ましい。
前記顔料は、前記金属系微粒子の色相と補色関係にあるものを用いることが望ましい。また、顔料は1種でも2種以上を組み合せて用いてもよい。好ましい顔料の組合わせとしては、赤色系及び青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系及び紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組合せや、前記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組み合わせや、青色系と紫色系と黒色系との顔料の組合せを挙げることができる。
また、本発明において、樹脂ブラックマトリクス中において、金属系微粒子の添加量Aと顔料の添加量Bの質量比B/Aは0.2以上10以下であり、好ましくは0.3以上6.0以下であり、より好ましくは0.8以上5.0以下である。
前記質量比B/Aが前記範囲内であれば、樹脂ブラックマトリクス中における金属系微粒子が多くなり、光学濃度がより向上するため、所定の透過光学濃度を維持するために樹脂ブラックマトリクスの厚みを厚くする必要がない。この結果、樹脂ブラックマトリクスとR、G、Bの各画素との重なり(段差)をより抑えることができ、カラーフィルタの平坦性をより向上させることができ、液晶表示装置のセルギャップのムラをより抑えることができ、色ムラ等の表示不良をより効果的に抑制することができる。
前記顔料の球相当直径は、5nm以上5μm以下が好ましく、特に10nm以上1μm以下が好ましく、更にカラーフィルタ用としては、20nm以上0.5μm以下が好ましい。尚、ここでいう「球相当直径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
前記樹脂ブラックマトリクス形成用組成物の固形分中の濃色体の比率は、十分な光学濃度を得る観点から、20〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることが更に好ましい。
上記カーボンブラック等の顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
樹脂ブラックマトリクス形成用組成物はかかる濃色体以外に、重合開始剤、及び多官能性モノマーを少なくとも含んでなることが好ましい。また、必要に応じて更に公知の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、安定化剤、重合禁止剤、界面活性剤、溶剤、密着促進剤等を含有させることができる。さらに樹脂ブラックマトリクス形成用組成物は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。かかる観点からは、相溶性の可塑剤を添加することで改質することができる。
−重合開始剤−
樹脂ブラックマトリクス形成用組成物を硬化させる方法としては、熱重合開始剤を用いる熱開始系や光重合開始剤を用いる光開始系が一般的であるが、光開始系を用いることが好ましい。ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述の多官能性モノマーの重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
具体的には、特開2001−117230公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、などのアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;その他、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどが挙げられる。
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも一種が好ましく、特に、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物は、汎用性でかつ安価である点でも有用である。
特に好ましいのは、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールであり、アクリジン系化合物としては、9−フェニルアクリジンであり、更に、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールなどのトリハロメチル基含有化合物、及びミヒラーズケトン、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールである。
前記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記光重合開始剤の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物における総量としては、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総量が前記範囲内であれば、組成物の光硬化の効率をより向上させることができるので、露光に要する時間をより短縮することができ、また、現像する際、形成された画像パターンの欠落やパターン表面の荒れをより効果的に抑制することができる。
前記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
前記水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。前記水素供与体の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物における総量としては、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
−多官能性モノマー−
樹脂ブラックマトリクス形成用組成物の多官能性モノマーとしては、下記化合物を単独で又は他のモノマーと組合わせて使用することができる。具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼンジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ジアリルフマレート、トリメリット酸トリアリル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する化合物とヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応物も使用できる。
これらのうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。
多官能性モノマーの樹脂ブラックマトリクス形成用組成物における含有量としては、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物の全固形分(質量)に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。前記含有量が前記範囲内であれば、組成物の露光部でのアルカリ現像液への耐性をより向上させることができ、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物としたときのタッキネスをより減少させることができ、取扱い性をより向上させることができる。
(感光性転写材料)
かかる樹脂ブラックマトリクスを容易且つ低コストで実現するものとして、仮支持体上に少なくとも感光性の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物からなる層(以下、「感光性樹脂層」ともいう)を、有してなる感光性転写材料を使用するという手法がある。この手法によれば、樹脂ブラックマトリクス自体の膜厚バラツキを抑えることができるため、樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの柱状スペーサ上面の高さバラツキをより抑えることができ、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキをより抑えることができる。
上記の感光性転写材料は、必要に応じて熱可塑性樹脂層や中間層を有していてもよい。
−中間層−
本発明における感光性転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層は、塗り分けの観点で、水系(溶媒の40%以上が水)が好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、等が挙げられる。
−熱可塑性樹脂層−
かかる熱可塑性樹脂層とは、アルカリ可溶性であって、少なくとも樹脂成分を含んで構成され、該樹脂成分としては、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂層が設けられることにより、後述する樹脂ブラックマトリクス形成方法において、永久支持体(ガラス基板など)との良好な密着性を発揮することができる。
熱可塑性樹脂層には、上記の熱可塑性樹脂の少なくとも一種を適宜選択して用いることができ、更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質についても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。また、これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤、等を加えることもできる。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。
−仮支持体−
上記の感光性転写材料における仮支持体としては、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等、薄いシート若しくはこれらの積層体が好ましい。前記仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。仮支持体の厚みが前記範囲内であれば、仮支持体を剥離する際、より破れにくくすることができ、また、仮支持体を介して露光する場合において解像度の低下をより効果的に抑制できる。
上記具体例の中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
また、上記の感光性転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフィルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フィルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フィルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムや、転写材料の作製方法については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載のものが好適なものとして挙げられる。
<着色層>
本発明のカラーフィルタは、前記樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域に少なくとも1色の着色層を有する。特に、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色層を有してなることが好ましい。
着色層は、公知の着色感光性樹脂組成物等を用いて形成することができるが、本発明による効果をより効果的に奏する観点からは、以下の着色インク(以下、「本発明における着色インク」ともいう)を用いて形成されることが好ましい。
(着色インク)
本発明における着色インクは、着色剤、有機溶剤及び重合性基を2つ以上有するモノマーを用いて構成されることが好ましい。より好ましくは、前記着色インクを、平均厚みを1mmとした状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件で8時間乾燥して得られたインク残部の粘度が25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下の着色インクである。
本発明における着色インクは、前記粘度を満足するように、分散剤、バインダー、光重合開始剤、熱重合開始剤、界面活性剤、或いは、その他の添加剤を含有してもよい。
前記インク残部の25℃における粘度は、50mPa・s以上3000mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以上2000mPa・s以下であることがさらに好ましく、50mPa・s以上1000mPa・s以下であることが特に好ましい。インク残部の粘度が上記範囲内であると有機溶剤の乾燥後においても画素部(着色層)が流動性を有するため、平坦な画素部(着色層)を得ることができる。
本発明における「インク残部」とは、着色インクを、平均厚みを1mmとした状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件で8時間乾燥して得られた残渣をいう。ここで、平均厚みとは、容器底面積とインク容積から計算で求めた厚みである。粘弾性測定装置を用いてインク残部の粘度を測定する場合、例えば、着色インクを平均厚みが1mmとなるようにアルミ製の受け皿に入れ、45℃で8時間真空乾燥(0.67kPa)を行い、得られた残渣(インク残部)を薬サジを用いてアルミ皿から集めて試料に供することができる。粘弾性測定装置を用いた粘度の測定は、例えば、Jasco International Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS-100を用いて温度25℃、周波数1Hzの条件で測定できる。
次に、本発明における着色インクを構成する各成分について詳しく述べる。
−着色剤−
本発明における着色インクに使用される着色剤は、有機顔料、無機顔料、染料など、公知のものを使用できるが、十分な透過濃度や耐光性、基板への密着性、その他の諸耐性が要求されるため、種々の有機顔料が好適である。該着色剤の具体例としては、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。これらの中で、画素の保存安定性の点から、顔料が特に好ましい。
本発明における着色剤の含有量は特に限定されるものではないが、所望の色相、濃度を得るという観点から、インク残部に占める着色剤の割合は20質量%以上が好ましく、20〜70質量%がさらに好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
本発明において、併用するのが好ましい上記記載の顔料の組み合わせは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、又は、C.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、又は、C.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23、又は、C.I.ピグメント・ブルー60との組み合わせが挙げられる。
このように併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド254、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド254は、60質量%以上が好ましく、特に70質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・グリーン36は50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・ブルー15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
本発明で用いる顔料は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料の数平均粒径が前記範囲内であれば、粒子表面エネルギーの上昇及び顔料の凝集をさらに抑えることができ、顔料分散をより容易にし、分散状態をより安定に保つことができる。また、顔料の数平均粒径が前記範囲内であれば、顔料による偏光の解消をさらに抑制することができ、コントラスト低下をさらに抑制することができる。
尚、ここでいう「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と後述する顔料分散剤及び有機溶剤とを予め混合して得られる組成物を、公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができる。この際に、顔料の分散安定性を付与するために、少量の樹脂を添加してもよい。また、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述するモノマーに添加して分散させることによって調製することも可能である。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
−顔料分散剤−
本発明における着色インクには、顔料の分散安定性を得るために、顔料分散剤を添加することが好ましい。
その使用量は着色インク中の顔料全質量に対して0.1〜10質量%の範囲で分散剤を含有させるのが好ましく、0.1〜9質量%がより好ましく、0.1〜8質量%での範囲が特に好ましい。
該顔料分散剤として、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルりん酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体などを用いることができる。
顔料分散剤の具体例としては、特開2005−15672号公報の段落番号[0021]〜[0023]に記載の例が、本発明も好適なものとして使用できる。
−モノマー−
本発明における着色インクに用いられる重合性基を2つ以上有するモノマー(以下、2官能以上のモノマーと称することがある。)は活性エネルギー線及び/または熱により重合反応可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性等の点から重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、3官能以上のモノマーと略することがある)がより好ましい。モノマー全体に占める3官能以上のモノマーの割合は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。3官能以上のモノマーとしては、25℃での粘度が700mPa・s以下のものが好ましく、200mPa・s以下のものがより好ましい。
重合性基の種類としては特に制限はないが、官能基数増加に伴う重合性モノマー自身の粘度上昇を抑制する観点から、官能基自身の粘度が低い方が好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基が特に好ましい。
3官能以上の重合性モノマーの具体例としては特開2001−350012号公報の段落番号0061〜0063に記載の3官能のエポキシ基含有モノマーや、特開2002−371216号公報の段落番号0016に記載の3官能以上のアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びシーエムシー出版による「反応性モノマーの市場展望」に記載の3官能以上のモノマー等が挙げられる。これらの中で、特に好ましいものとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記3官能以上のモノマーを2種以上併用することも可能である。
インク残部の粘度を低下させ、画素部の重合反応を促進する目的で、単官能モノマーや2官能モノマーを適宜併用してもよい。これらの単官能モノマーや2官能モノマーとしては、例えば特開2001−350012号公報の段落番号[0065]に記載の単官能のエポキシ基含有モノマーや、特開2002−371216号公報の段落番号0015〜0016に記載の単官能又は2官能のアクリレートモノマーやメタクリレートモノマー及びシーエムシー出版による「反応性モノマーの市場展望」に記載の1〜2官能のモノマー等が挙げられる。
また、膜の強度を補ったり、基板との密着を付与するために、25℃での粘度が700mPa・s以上の高粘度の多官能モノマーやウレタンアクリレート等の高極性モノマー、オリゴマー等を少量併用しても構わない。併用する上で好ましい多官能モノマーや高極性モノマー、及びオリゴマーとしては特に制限はなく、汎用のものを使用可能であるが、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート(例えば東亜合成(株)製アロニクスM−1000、M−1200、M−1210、M−1600)、ポリエステルアクリレート(例えば東亜合成(株)製アロニクスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050)、等が挙げられる。これらの併用モノマーの添加量は、インク残部の粘度が25℃で4000mPa・s以下になる範囲内で適宜調節することができる。
モノマーの使用量は、インク固形分中の20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。モノマーの使用量が前記範囲内であれば、画素部の重合をさらに進めることができ、画素部の膜強度をより強く保ち、より傷がつきにくい状態を保つことができる。また、モノマーの使用量が前記範囲内であれば、透明導電膜を付与する際のレチキュレーション発生をより抑制することができ、配向膜を設ける際の耐溶剤性をより向上させることができる。
インク残部の粘度を25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下とするには、下記方法が挙げられる。
例えば、使用するモノマーとして、より低粘度のモノマーを使用することが挙げられる。また、バインダー成分として、高分子量や高極性の樹脂の使用量を減らし、インク中の高粘度成分を少なくすることが挙げられる。また、顔料に最適な分散剤を選択し、顔料分散液の粘度を低下させる方法が挙げられる。これらの中で、特に低粘度のモノマーを使用するのが有効である。画素の膜強度を付与する上では、重合性基を3つ以上有するモノマーを使用するのが好ましい。
−有機溶剤−
有機溶剤としては、アルコール等の水溶性有機溶剤及びエステルやエーテル等の非水溶性有機溶剤が挙げられるが、非水溶性有機溶剤が好ましい。
溶剤が非水溶性有機溶剤の場合は、使用するバインダーやモノマーは水溶性である必要はないため極性基を必要としない。従って、有機溶剤として非水溶性有機溶剤を用いることで、インク残部の粘度をより低く保つことができ、カラーフィルタ画素の形状をさらに平坦化することができる。
非水溶性有機溶剤としては特に制限はないが、インクジェットヘッド上における溶剤の蒸発やインク粘度の上昇をさらに抑制し、インクの吐出性をより良好に保つ観点から、沸点が高く着色インク中からの除去が容易でない有機溶剤を用いることが好ましい。従って、インクジェットヘッドでのインクの乾燥を防止するため、常圧での沸点が160℃以上の非水溶性有機溶剤を少なくとも含んでいることが好ましい。
これらの有機溶剤が、本発明における着色インク中に占める割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。有機溶剤の占める割合が前記範囲内であれば、画素内でのインクの濡れ広がりをより良好に保つことができ、画素の平坦性をより向上させることができる。
また、本発明における着色インクは、含有する有機溶剤の50質量%以上が、760mmHg(101.3kPa)で160℃以上の沸点を有する化合物で構成されることが好ましい。該常温下で160℃以上の沸点を有する有機溶剤としては、特開2000−310706[0031]〜[0037]に記載の高沸点溶媒やアルキレングリコールアセテート、アルキレングリコールジアセテート等が挙げられ、中でもジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,3−ブタンジオールジアセテート、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート等が特に好ましい。
また、有機溶剤の沸点の上限は、本発明における着色インクを用いてインクジェット方式によりカラーフィルタを製造することができる限り、特に制約されるものではないが、インクの調製工程およびカラーフィルタの製造工程における操作性の観点からみると、沸点が290℃以下、好ましくは280℃以下の、常温(20℃)で比較的低粘度の液体である有機溶剤が望ましい。
なお、本発明においては、前記760mmHg(101.3kPa)で160℃以上の沸点を有する化合物とともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の他の公知の溶剤を併用してもよい。
−重合開始剤−
本発明における着色インクにおいて、モノマーの重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤としては、画素部の重合を活性エネルギー線により行う場合には、光重合開始剤が用いられ、画素部の重合を熱により行う場合には、熱重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、例えば特開2006−28455号公報の段落番号[0079]〜[0088]に記載のものが挙げられ、好ましい具体例としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンが挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、一般に知られている有機過酸化物系化合物やアゾ系の化合物を用いることができる。これにより、画素部の強度を向上させることが可能となる。また、熱重合開始剤の他にイミダゾールなどの硬化触媒を用いることもできる。有機過酸化物系化合物及びアゾ系の化合物は、一種単独で用いる以外に二種以上を併用することができる。ここで有機過酸化物は、過酸化水素(H−O−O−H)の誘導体であり、分子内に−O−O−結合を持つ有機化合物をいう。
化学構造で分類すると、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。具体的には3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、メチルヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が好ましく、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール系化合物、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド系化合物、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系化合物が好ましい。
また、前記アゾ系化合物としては、例えば特開平5−5014号公報の段落番号[0021]〜[0023]に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物の中でも、好ましくは分解温度がある程度高く常温では安定なもので、熱をかけると分解してラジカルを発生し、重合開始剤となる化合物である。有機過酸化物系化合物又はアゾ系化合物(熱重合開始剤)の中でも、半減期温度の比較的高いもの(好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上)のものを使用すると、組成物の粘度が経時変化することなく好適に構成でき、例えば、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。
光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤の含有量としては、モノマーの量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤の含有量が前記範囲内であれば、より大きな効果を得ることができ、同時に、着色インクの粘度の経時変化や重合開始剤の分解物による着色をより抑制することができる。
これらの開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、前記重合開始剤以外に、インク残部が25℃で流動性を失わない範囲内で、バインダーや界面活性剤やその他の添加剤などを併用してもよい。併用するバインダーの例として、特開2000−310706号公報の段落番号[0015]〜[0030]に記載のバインダー樹脂や、特開2001−350012号公報の段落番号[0041]〜[0050]に記載のバインダーなどが挙げられる。
界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、着色インク全量に対して5質量%以下が好ましい。
その他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
<基板>
本発明のカラーフィルタを構成する基板(永久支持体)としては、金属性支持体、金属張り合わせ支持体、ガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板等)、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板等)や合成樹脂フィルムが挙げられる。
≪カラーフィルタの製造方法≫
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度が10%以下である単層の樹脂ブラックマトリクスを形成し、該樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域にインクジェット方式で着色インクを付与して少なくとも1色の着色層を形成する。
<樹脂ブラックマトリクスの膨潤度>
本発明において樹脂ブラックマトリクスの膨潤度とは、以下の膨潤操作の前後における、樹脂ブラックマトリクスの膜厚の変化率であって、膨潤操作前の測定値を膜厚1、膨潤操作後の測定値を膜厚2として、次式(1)により算出される値をいう。
(膨潤度)=(膜厚2)/(膜厚1)×100[単位:%]・・・式(1)
(膨潤操作)
前記膨潤操作とは、密閉容器に測定溶剤を満たし、この測定溶剤中に樹脂ブラックマトリクスを浸漬し、23±1℃の条件下で8時間放置する操作をいう。
膜厚測定機としては、様々なものが使用できるが、本発明においては、測定対象が、溶剤により膨潤した薄い膜であるため、非接触で、かつ、分解能があり、かつ、測定時間が10秒以下のものが好ましい。以上の観点より膜厚測定は、例えば、レーザーを用いる3次元形状測定機(zygo社製 Zygo NewView6300)を用い、ガラス面を基準に、樹脂ブラックマトリクスの幅方向の中央付近の高さを測定することが好ましい。
本発明においては、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)(測定溶剤)に対する樹脂ブラックマトリクスの膨潤度が10%以下である。該膨潤度が10%を超えると、該樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
前記膨潤度としては、本発明による効果をより効果的に奏する観点からは、8%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、0%が特に好ましい。
樹脂ブラックマトリクスのトリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度を10%以下にする手段としては、特に限定はないが、例えば、後述の熱処理の条件等、樹脂ブラックマトリクスの形成条件を調整することで達成できる。
本発明においては、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度が10%以下の樹脂ブラックマトリクスを形成してカラーフィルタを作製することにより、該カラーフィルタにおいて、樹脂ブラックマトリクスと着色層との接触面における略半円染みを0〜3個/(100μm長さ)とすることができる。
<樹脂ブラックマトリクスの形成>
本発明のカラーフィルタの製造方法では、単層の樹脂ブラックマトリクス(好ましくは光学濃度(OD)が3.5以上の樹脂ブラックマトリクス)を形成する。
2層以上の樹脂ブラックマトリクスを形成した場合には、該樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該柱状スペーサ上面の高さバラツキが悪化し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキが悪化する。
光学濃度の測定方法については前述のとおりである。
樹脂ブラックマトリクスを形成する方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができるが、樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該柱状スペーサ上面の高さバラツキをさらに抑制し、表示装置としたときのセルギャップの厚みバラツキをさらに抑制する観点からは、前述の樹脂ブラックマトリクス形成用組成物を用い、前述の感光性転写材料を用いて形成する態様が好ましい。
以下、上記態様で樹脂ブラックマトリクスを形成する方法について、詳細に説明する。
仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、樹脂ブラックマトリクス形成用組成物層(以下、「感光性樹脂層」ともいう)、更に該感光性樹脂層上にカバーシートが設けられた感光性転写材料を用意する。まず、カバーシートを剥離除去した後、露出した感光性樹脂層の表面を永久支持体(基板)上に貼り合わせ、ラミネーター等を通して加熱、加圧して積層する(積層体)。ラミネーターには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーター等の中から適宜選択したものが使用でき、より生産性を高めるには、オートカットラミネーターも使用可能である。
熱可塑性樹脂層を設けずに感光性転写材料を形成してもよい。
次いで、前記積層体から仮支持体を剥離し、仮支持体を除去する。続いて、仮支持体除去後の積層体の除去面と所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)とが向き合うように配置し、積層体とフォトマスクとを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該除去面の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光する。次いで、照射後所定の処理液を用いて現像処理して、パターニング画像を得て、引き続き必要に応じて、水洗処理して、樹脂ブラックマトリクスを得る。
また、仮支持体を残したまま(剥離せずに)、該仮支持体と所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)とが向き合うように配置し、積層体とフォトマスクとを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該仮支持体の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光することもできる。次いで、仮支持体を除去し、照射後所定の処理液を用いて現像処理して、パターニング画像を得て、引き続き必要に応じて、水洗処理して、樹脂ブラックマトリクスを得る。
該露光としては、例えば、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)等で行い、露光量としては適宜(例えば、300mJ/cm2)選択することができる。また、大型化・高精細化に対応するには、ミラ−プロジェクション露光装置が好適である。ミラープロジェクション露光については、「カラーPDP技術」シーエムシー(2001−01−25出版)に記載されており、露光装置は公知のものを使用できる。
さらに、前記樹脂ブラックマトリクスのトリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨純度を10%以下とする観点からは、露光量は10〜300mJ/cmが好ましく、50〜150mJ/cmがより好ましい。
上記露光後、所定の処理液を用いて現像処理する。現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。光照射に用いる光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、該感光性樹脂層の表面を均一に湿らせることが好ましい。
適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
前記現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。感光性樹脂層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組合わせることができる。現像液の液温度は、通常室温付近から40℃が好ましい。現像時間は、感光性樹脂層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、樹脂ブラックマトリクス形状をより好適なものとする観点からは、通常10秒〜2分程度である。現像時間が前記範囲内であれば、非露光部の現像を充分に行い紫外線の吸光度を充分に保つことができ、また、露光部がエッチングされることをさらに抑制することができる。
現像処理の後に水洗工程を入れることも可能である。
また、現像液のpHは8〜13が好ましい。現像槽中にはローラーコンベアなどが設置され、基板は水平に移動する。前記ローラーコンベアの傷を防止する意味で、感光性樹脂層は基板の上面に形成されるのが好ましい。また、現像の処理形態としては、基板サイズが1メートルを超える場合に問題となることがある、基板中央と周辺部分での現像の差をより小さく抑える観点から、搬送方向と直交する方向で水平面に対して傾斜した状態で処理する形態が望ましい。傾斜角度としては、5°から30°が好ましい。
また、現像前に純水を噴霧し、感光性樹脂層を湿らせておくと均一な現像結果となり好ましい。
また、現像後は、基板にエアを軽く吹きつけ、余分な液を略除去した上で、シャワー水洗を実施すると、より均一な現像結果となる。また水洗の前に、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて3から10MPaの圧力で噴射して残渣除去を行うと、残渣の無い高品質の像が得られる。また、後工程の汚染防止や基板上のシミ防止の観点からは、エアーナイフにて水切りを行い余分な水や水滴を除去するのが好ましい。
(ポスト露光)
上記現像後、ポスト露光を実施すると、画像の断面形状のコントロール、画像の硬度のコントロール、画像の表面凹凸のコントロール、画像の膜減りのコントロールなどの観点で好ましい。ポスト露光に用いる光源としては、特開2005−3861号公報の段落番号0074に記載の超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。ポスト露光は、超高圧水銀灯やメタルハライド等の光源からの光を露光マスクなどを介さず直接基板に照射することが、設備の簡素化と省電力の観点で好ましい。必要に応じて、上面(膜形成面)と下面(膜非形成面)との両面から実施する。また、露光量も、上面(膜形成面):100〜5000mJ/cm、下面(膜非形成面):100〜5000mJ/cmの範囲で、上記コントロール目的に応じ、適宜調整する。
さらに、前記樹脂ブラックマトリクスのトリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨純度を10%以下とする観点からは、ポスト露光量(膜形成面)は500〜5000mJ/cmが好ましく、700〜3000mJ/cmがより好ましい。また、ポスト露光量(膜非形成面)は500〜5000mJ/cmが好ましく、700〜3000mJ/cmがより好ましい。
(熱処理)
上記現像又はポスト露光の後、熱処理により感光性樹脂層に含まれるモノマーや架橋剤を反応させて、画像の硬度を確保することができる。熱処理の温度は、150℃から250℃の範囲が十分な硬度と樹脂の着色が少ないことの両立の観点で好ましい。熱処理の時間は、10分から150分の範囲が十分な硬度と樹脂の着色が少ないことの両立の観点で好ましい。また熱処理は、色によって変えてもよい。また、全部の色を形成後、更に最終の熱処理を行って硬度を安定化させてもよい。その場合、高めの温度(例えば240℃)で実施すると硬度の点で好ましい。
さらに、前記樹脂ブラックマトリクスのトリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨純度を10%以下とする観点からは、熱処理の温度は160〜250℃がより好ましく、170〜230℃が特に好ましい。また、熱処理の時間は10〜60分がより好ましく、20〜50分が特に好ましい。
熱処理の条件の組み合わせとしては、前記樹脂ブラックマトリクスの膨純度を10%以下とする観点からは、温度が160〜250℃で時間が10〜60分である組み合わせが好ましく、温度が170〜230℃で時間が20〜50分である組み合わせがより好ましい。
(撥インク処理)
また、前記樹脂ブラックマトリクスは、着色インクの混色を防ぐために、撥インク処理を施してもよい。該撥インク処理については、例えば、(1)撥インク性物質を樹脂ブラックマトリクスに練りこむ方法(例えば、特開2005−36160号公報参照)、(2)撥インク層を新たに設ける方法(例えば、特開平5−241011号公報参照)、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法(例えば、特開2002−62420号公報参照)、(4)樹脂ブラックマトリクスの壁上面に撥インク材料を塗布する方法(例えば、特開平10−123500号公報参照)、などが挙げられ、特に(3)基板上に形成された樹脂ブラックマトリクスにプラズマによる撥インク化処理を施す方法(以下、「撥インク化プラズマ処理」ともいう)が好ましい。
(樹脂ブラックマトリクス形成条件の好ましい組み合わせ)
樹脂ブラックマトリクス形成条件の好ましい組み合わせとしては、前記樹脂ブラックマトリクスの膨純度を10%以下とする観点からは、露光量が10〜300mJ/cmで、ポスト露光の露光量(膜形成面)が500〜5000mJ/cmで、ポスト露光の露光量(膜非形成面)が500〜5000mJ/cmで、熱処理の温度が150〜250℃で、熱処理の時間が10〜60分である組み合わせが好ましく、露光量が50〜150mJ/cmで、ポスト露光の露光量(膜形成面)が700〜3000mJ/cmで、ポスト露光の露光量(膜非形成面)が700〜3000mJ/cmで、熱処理の温度が170〜230℃で、熱処理の時間が20〜50分である組み合わせがより好ましい。
<着色層の形成>
本発明のカラーフィルタの製造方法では、前記のようにして形成された樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域(樹脂ブラックマトリクスで囲まれた凹部)に、インクジェット方式で着色インクを付与して少なくとも1色の着色層を形成する(以下、「着色層形成工程」ということがある。)。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、前記着色層形成工程に加えて、更に、形成された少なくとも1色の着色層を活性エネルギー線の照射により硬化する第1の硬化工程、所望の色相の着色層の1つ若しくは全てを形成した後に熱により硬化する第2の硬化工程、ベーク処理工程、予備加熱工程等、他の工程を設けて構成することができる。
着色層形成工程では、樹脂ブラックマトリクスで囲まれた凹部に、既述の本発明における着色インクの液滴をインクジェット方式により付与して着色層を形成する。この着色層は、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の着色画素となるものである。
着色層の形成は、既述のようにして基板上に形成された隔壁で取り囲まれた凹部に、着色画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するための着色インクを侵入させて、複数の画素で構成されるように形成することができる。
着色画素を形成する方法については、着色インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、予め基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、公知の方法を用いることができる。
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、ブラックマトリックス形状として一般的なストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
インクジェット方式としては、帯電した着色インクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
着色インクの射出条件としては、着色インクを30〜60℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。着色インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こしやすいため、着色インク温度をできるだけ一定に保つことが重要である。
インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう。)には、公知のものを適用でき、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを使うことができる。これらの中で、着色インクに対する熱の影響を少なくすることができ使用可能な有機溶剤の選択が広いことから、ピエゾヘッドの方がより好ましい。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等、形にはこだわらない。ノズル径は10〜100μmの範囲であることが好ましい。尚、ノズルの開口部自身必ずしも真円とは限らないが、その場合にノズル径とは該開口部の面積と同等の円を仮定しその径とする。
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、隔壁を有する基材を移動させてもよいし、1次元方向にヘッドを、これと略直交する1次元方向に基材を移動させてもよい。また、本実施例ではピエゾ駆動型ヘッドを用いているが、これに限定されるものではなく、他のインクジェットヘッド、たとえば熱駆動型ヘッドであってもよい。
本発明におけるカラーフィルタは、RGB等の少なくとも3色のインクを吹き付けて少なくとも3色の着色層からなる群で構成された形態が好ましい。
本発明においては、液滴に含まれる有機溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線を照射する工程(以下、第一の硬化工程と称することがある。)及び/又は前記インク残部を加熱する工程(以下、第二の硬化工程と称することがある。)により前記インク残部を重合して着色層を形成してもよい。また、前記インク残部の熱重合が開始する温度をT℃としたときに、T℃未満の温度で予備加熱(以下、予備加熱工程と称することがある。)を行って前記液滴に含まれる有機溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線を照射する工程及び/又は前記インク残部をT℃以上の温度で加熱する工程により前記インク残部を重合して着色層を形成してもよい。
以下、第1の硬化工程、第2の硬化工程及び予備加熱工程について説明する。
(第1の硬化工程)
前記着色層形成工程で形成された少なくとも1色の着色層に活性エネルギー線を照射して硬化する工程(第1の硬化工程)を設けることができる。第1の硬化工程では、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む各色の本発明における着色インクを硬化させることにより、硬化した着色層を形成することができる。硬化は、1色の着色層を形成するごとに行なってもよいし、複数色の着色層を形成した後に行なうようにしてもよい。
R,G,B等の本発明に係る着色インクの硬化は、インクの持つ感光波長に対応する波長領域の活性エネルギー線を発するエネルギー源を用いて重合硬化を促進する露光処理を施すことにより行なえる。
エネルギー源としては、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、又はイオンビームなど、既述の重合開始剤が感応するものを適宜選択して用いることができる。具体的には、250〜450nm、好ましくは365±20nmの波長領域に属する活性光線を発する光源、例えば、LD、LED(発光ダイオード)、蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどを用いて好適に行なうことができる。好ましい光源には、LED、高圧水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
活性エネルギー線の照射時間としては、モノマーと重合開始剤との組合せに応じて適宜設定することができるが、例えば、1〜30秒とすることができる。
(第2の硬化工程)
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む所望の色相の着色層の1つ若しくは全てを熱により硬化する工程(第2の硬化工程)を設けることができる。上記したように、前記第1の硬化工程を設けると共に第2の硬化工程を設けることによって、カラーフィルタの製造効率と表示特性とを両立させことができる。また、第2の硬化工程のみで硬化させてもよい。
本工程では、所望の色相からなる着色層及び樹脂ブラックマトリクスを形成し、前記第1の硬化工程を行なった後にさらに加熱処理(いわゆるベーク処理)を行なって熱による硬化を施すことができる。すなわち、光照射により光重合した着色層及び樹脂ブラックマトリクスが形成されている基板を、電気炉、乾燥器等に入れて加熱する、あるいは赤外線ランプを照射して加熱する。
このときの加熱温度及び加熱時間は、着色インクの組成や着色層の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を確保する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
(予備加熱工程)
また、着色インクを用いたカラーフィルタの製造方法においては、活性エネルギー線の露光及び/又は熱処理による画素部の重合を行う前に、予備加熱工程を設けてもよい。予備加熱工程における加熱温度は特に制限は無いが、画素部の熱重合が開始する温度をT℃とした場合に、T℃未満であり、画素部の重合が起きない温度が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、60℃以上90℃以下がさらに好ましい。前記工程を入れることで、画素部中の有機溶剤の蒸発が促進され、カラーフィルタを効率的に作製することができる上に、インク残部の粘度が熱により低下するため、より高い流動性が得られ、高い平坦性の画素部を有するカラーフィルタを得ることが可能になる。
上記予備加熱工程は、本発明における着色インクごときインク残部が流動性を有するインクであれば、画素部が熱によって重合するインクのみならず、光によって重合するインクにおいても有効である。光によって重合するインクの場合、前記インクが熱重合を開始する温度Tは、熱によって光重合開始剤等が分解して重合反応が開始する温度または、モノマー自体が熱によって分解し、重合反応が開始する温度を意味する。
上記予備加熱工程の時間は特に制限が無いが、1〜5分間行うことが好ましい。
温度Tは、以下のようにして求めることができる。
インクを加熱し、加熱前のインク粘度に対して、加熱によりインクの重合が開始し、インクのゲル化等が観察される温度をTとする。より具体的には、加熱後のインク粘度の上昇が5mPa・s以上の場合の加熱温度をTとする。
本発明における着色インクを用いたカラーフィルタの製造方法においては、インク中の顔料の凝集や各種バインダー等の析出をさらに抑制し、画素の面状をより良好に保つ観点からは、前記着色層形成工程から予備過熱工程、第一の硬化工程、第二の硬化工程までを、24時間以内で行うことが好ましく、12時間以内で行うことがより好ましく、6時間以内に行うことがさらに好ましい。
上記のように着色層(着色画素)及び樹脂ブラックマトリクスを形成してカラーフィルタを作製した後には、耐性向上の目的で、着色領域及び樹脂ブラックマトリクスの全面を覆うようにしてオーバーコート層を形成することができる。
オーバーコート層は、R,G,B等の着色領域及び樹脂ブラックマトリクスを保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数が増える点からは設けないことが好ましい。
オーバーコート層は樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、カラーフィルタ用光硬化性組成物の樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
既述の本発明のカラーフィルタ、又は既述の本発明のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタ(以下、これらをまとめて「本発明のカラーフィルタ」という)は、例えば、テレビ、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく好適に適用できる。本発明のカラーフィルタにおいては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)、紫色(V)等の色画素の少なくとも一つが、上記の着色インクで作製されていることが好ましい。
≪表示装置≫
本発明の表示装置としては既述の本発明のカラーフィルタを備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などをいう。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明のカラーフィルタは、前述の通り、前記樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該柱状スペーサ上面の高さバラツキが抑えられているため、該カラーフィルタを用いて表示装置を作製することにより、セルギャップのバラツキが抑えられ、セルギャップの厚みに起因する表示ムラを抑制することができる。
前記柱状スペーサは、カラーフィルタの樹脂ブラックマトリクス上に柱状スペーサを形成したときの該柱状スペーサ上面の高さバラツキを抑える観点、セルギャップのバラツキに起因する表示ムラを抑制する観点等からは、感光性転写材料を用いて形成することが好ましい。感光性転写材料を用いた柱状スペーサについては、例えば、特開2006−64921号公報に記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ(例えば、前記柱状スペーサ等)、視野角補償フィルムなどさまざまな部材から構成される。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行 )」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
本発明の表示装置は、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用できる。前述したようなカラーフィルタを用いることを特徴とし、これにより、テレビ、モニターに搭載したときに表示ムラが無く、広い色再現域と高コントラスト比を有することができ、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の表示装置等にも好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下の実施例において「部」とは「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
[実施例1]
≪カラーフィルタ付き基板の作製≫
<樹脂ブラックマトリクス形成用の濃色組成物K1の調製>
まず表1に記載の量のK顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、下記表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、シクロヘキサノン、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することにより、濃色組成物K1を調整した。なお、表1に記載の量は質量基準であり、詳細な組成は以下のとおりである。
Figure 2008076627
*K顔料分散物1
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) ・・・ 13.1%
・分散剤1(下記化合物1) ・・・ 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物、分子量3.7万) ・・・ 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・79.53%
Figure 2008076627
*バインダー1
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合物、分子量3.8万) ・・・ 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 73%
*DPHA液
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) ・・・ 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 24%
*界面活性剤1
・下記構造物1 ・・・ 30%
・メチルエチルケトン ・・・ 70%
Figure 2008076627
<感光性転写材料K1の作製>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方Cからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る酸素遮断層用塗布液を塗布し、乾燥させた。更に、前記表1に記載の濃色組成物K1を塗布し、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に、乾燥膜厚が6.0μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの酸素遮断層と、乾燥膜厚が2.3μmの感光性樹脂層K1を設け、最後に保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体上に、熱可塑性樹脂層と酸素遮断層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層K1とがこの順に積層され、さらに、該感光性樹脂層K1上に保護フィルムが圧着された感光性転写材料K1を作製した。
(熱可塑性樹脂層用塗布液:処方C)
・メタノール ・・・ 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 6.36部
・メチルエチルケトン ・・・ 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) ・・・ 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、分子量=1万、Tg≒100℃) ・・・ 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを2当量脱水縮合した化合物(新中村化学(株)製BPE−500) ・・・ 9.1部
・前記界面活性剤1 ・・・ 0.54部
(酸素遮断層用塗布液:処方P1)
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550) ・・・ 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30)
・・・ 14.9部
・蒸留水 ・・・ 524部
・メタノール ・・・ 429部
<樹脂ブラックマトリクスの形成>
無アルカリガラス基板に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。このガラス基板を基板予備加熱装置で100℃2分間加熱した。
次に、前記100℃で2分間加熱したガラス基板と、前記感光性転写材料K1から保護フィルムを除去して露出した感光性樹脂層K1の表面とが接するようにして重ね合わせ、ラミネーターLamicII型(株式会社日立インダストリイズ製)を用いて、ガラス基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートした。続いて、仮支持体を除去し、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層K1の間の距離を200μmに設定し、露光量90mJ/cmでパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を純水で100倍に希釈したもの)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、マトリックス状のブラック(K)の画像パターンを得た。
その後更に、前記ブラック(K)の画像パターンを形成した基板に対して、該画像パターンが形成されている側(膜形成面)から超高圧水銀灯で1000mJ/cmの光でポスト露光し、更に、該基板に対して該画像パターンが形成されている側の反対側(膜非形成面)から超高圧水銀灯で1000mJ/cmの光でポスト露光し、その後、220℃、10分間熱処理し、光学濃度(OD)3.9、膜厚2.0μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状の樹脂ブラックマトリクスを形成し、樹脂ブラックマトリクス付き基板を得た。
<光学濃度(OD)の測定>
上記で形成した樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)を、下記の方法により測定した。
透明基板上にODが3.0以下になるような薄膜の層を上記濃色組成物K1を用いて形成し、パターン状に露光しない以外は上記と同様の工程を経て、測定用のサンプル(膜状)を得た。この透過光学濃度を分光光度計UV−2100((株)島津製作所製)を用いて、測定用のサンプルの透過光学濃度(OD)を波長555nmで測定すると共に、各測定用のサンプルに用いたガラス基板の透過光学濃度(OD)を同様の方法で測定した。そして、ODからODを差し引いた値(OD;=OD−OD)と膜厚との関係から、膜厚2.0μmの樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)を算出した。尚、接触式表面粗さ計P−10(ケーエルエー・テンコール(株)製)を用いて、測定用サンプルの膜厚を測定した。
<膨潤度の測定>
上記で形成した樹脂ブラックマトリクスについて、膨潤度を測定した。
具体的には、レーザーを用いる3次元形状測定機(zygo社製 Zygo NewView6300)を用い、ガラス面を基準に、樹脂ブラックマトリクスの幅方向の中央付近の高さを測定した。
測定は後述の膨潤操作を施す前と膨潤操作を施した後とについて行い、膨潤操作前の測定値を膜厚1、膨潤操作後の測定値を膜厚2として、次式(1)により膨潤度を算出した。
なお、測定の際には、場所による厚みばらつきの影響を抑えるため、膜厚1の測定位置を記録し、膜厚2でも同様の位置を測定した。
(膨潤度)=(膜厚2)/(膜厚1)×100[単位:%] ・・・式(1)
(膨潤操作)
密閉容器に測定溶剤トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH3(OCH2CH23OCH3)を満たし、この測定溶剤中に樹脂ブラックマトリクス付き基板を浸漬し、23±1℃の条件下で8時間放置した。
なお、膜厚2の測定においては、上記8時間放置した後、樹脂ブラックマトリクス付き基板を測定溶剤から取り出し、エアガンで5秒間空気を吹きかけて樹脂ブラックマトリクス表面に残存する測定溶剤を除去した後に測定を行った。
<撥インク化プラズマ処理>
樹脂ブラックマトリクス付き基板に対し、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、下記条件にて樹脂ブラックマトリクスに撥インク化プラズマ処理を行った。
(条件)
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
<顔料分散液の調製>
(G用顔料分散液(G1))
ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green36、商品名:Rionol Green 6YK、東洋インキ製造(株)製)に顔料分散剤1(上記化合物1)及び溶剤(1,3−ブタンジオールジアセテート;沸点232℃)(以下1,3−BGDAと略す。)を下記の表2に示すように配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで9時間分散し、G用顔料分散液(G1)を調製した。
(その他の顔料分散液)
G用顔料分散液(G1)において、顔料及びその他の成分を下記表2に示すように変更した以外はG用顔料分散液(G1)と同様にして、G用顔料分散液(G2),R用顔料分散液(R1),(R2),B用顔料分散液(B1),(B2)を調製した。
Figure 2008076627
用いた素材の詳細を示す。
・C.I.P.R.254(商品名:Irgaphor Red B−CF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・C.I.P.Y.150 (商品名:Bayplast Yellow 5GN 01、バイエル株式会社製)
・C.I.P.B.15:6(商品名:Rionol Blue ES、東洋インキ製造(株)製)
・C.I.P.V.23(商品名:Hostaperm Violet RL−NF、 クラリアントジャパン(株)製)
<着色層用着色インクの調製>
下記表3に示す処方のとおり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;沸点146℃)、アロニクスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート、粘度:85mPa・s(at25℃)、東亜合成(株)製)、界面活性剤1、熱重合開始剤(V−40(アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル))、和光純薬(株)製)成分を混合して、25℃で30分間攪拌したのち、不溶物が無いことを確認し、モノマー液を調製した。
次に、G用顔料分散液(G1)、G用顔料分散液(G2)を撹拌しながら、前記モノマー液をゆっくりと添加し、25℃で30分間撹拌し、G用着色インク(インクG−1)を調製した。
同様にR用着色インク(インクR−1)、B用着色インク(インクB−1)を調製した。
Figure 2008076627
<インクジェット方式による着色層の形成>
次に上記のインクR−1、G−1、B−1を用いて、上記で得られた樹脂ブラックマトリクス付き基板の樹脂ブラックマトリクスで仕切られた領域内(樹脂ブラックマトリクスで囲まれた凹部)に、R、G、Bの3色の着色層を形成した。ここで、着色層の形成は、Dimatix社製インクジェットヘッド(SE−128、ヘッド温度28℃)により、所望の濃度になるまで各インクの吐出を行うことにより行った。次いで、着色層の形成された基板を、230℃オーブン中で30分ベークすることで樹脂ブラックマトリクス、画素ともに完全に硬化させた。
以上により、R、G、Bの3色の着色層及び樹脂ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ基板を得た。
上記で得られたカラーフィルタ基板において、着色層の樹脂ブラックマトリクス上の重なり率は0%であった。
<略半円染みの確認>
上記で得られたカラーフィルタ基板について、樹脂ブラックマトリクスと着色層との接触面における略半円染みの個数を確認した。
具体的には、反射型(反射光によって観察できる状態)に設定した光学顕微鏡を用いて、300μm×300μmの領域が1画面に収まる倍率(200倍)でカラーフィルタ基板の写真を撮影し、撮影された写真において、樹脂ブラックマトリクスの一辺における、長さ100μmの範囲に確認できる略半円染みの個数を数えた。
略半円染みについては、樹脂ブラックマトリクスの表面において、周囲よりもさらに黒く見える、半円状、楕円状、少しつぶれた円状の領域であって、最大幅3.0μmの領域が1箇所あった場合に、「略半円染み1個」と数えることとした。
≪液晶表示装置の作製≫
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びに樹脂ブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
次いで、特開2006−64921号公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上の、樹脂ブラックマトリクスの上方に位置する領域に柱状スペーサを形成した。
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
≪評価≫
<柱状スペーサ上面の高さバラツキの評価>
上記ITOが形成されたカラーフィルタ基板について、測定する柱状スペーサの土台となっている樹脂ブラックマトリクスに隣接する着色層上のITO表面から柱状スペーサの上面(一番高い所)までの高さを、接触式表面粗さ計(商品名:P−10、ケーエルエー・テンコール(株)製)を用いて測定した。測定は100点について行い、100点の平均値及び標準偏差σを算出した。評価結果を表4に示す。
<表示ムラ>
上記で得られた液晶表示装置について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視にて観察し、表示ムラの発生の有無を確認し、下記評価基準にしたがって評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準)
◎ :表示ムラは全く認められなかった。
○ :実用上許容できる程度の表示ムラが僅かに認められた。
× :実用上許容できる範囲を超える表示ムラが少し認められた。
××:実用上許容できる範囲を超える表示ムラが顕著に認められた。
[実施例2〜5、及び、比較例1、2]
実施例1における<樹脂ブラックマトリクスの形成>において、ポスト露光後の熱処理の条件を下記表4に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にカラーフィルタ基板、及び液晶表示装置を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。測定及び評価結果を表4に示す。
Figure 2008076627
表4に示すように、本発明に係るカラーフィルタ(実施例1〜5)については、柱状スペーサ上面の高さバラツキが抑えられ、また、これらのカラーフィルタを有する液晶表示装置においては、表示ムラの発生も抑えられていた。
一方、略半円染みが4個以上/(100μm長さ)であり、TME(トリエチレングリコールジメチルエーテル)に対する樹脂ブラックマトリクスの膨純度が10%を超える樹脂ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ(比較例1、2)では、柱状スペーサ上面の高さバラツキが大きく、これらのカラーフィルタを有する液晶表示装置においては、表示ムラの発生が顕著であった。
以上、熱処理の条件(温度、時間)を変化させることにより、略半円染み及び膨潤度を調整した実施例について説明したが、本発明による効果は、他の条件を変化させることにより略半円染み及び膨潤度を調整した場合においても、同様に得られるものである。

Claims (4)

  1. 基板上に、光学濃度(OD)3.5以上の単層の樹脂ブラックマトリクスと、該樹脂ブラックマトリクスにより離隔された少なくとも1色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
    該着色層の該樹脂ブラックマトリクスとの重なり率が3%未満であり、
    該樹脂ブラックマトリクスにおける略半円染みが、0〜3個/(100μm長さ)であるカラーフィルタ。
  2. 基板上に、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH)に対する膨潤度が10%以下である、単層の樹脂ブラックマトリクスを形成し、該樹脂ブラックマトリクスにより仕切られた領域にインクジェット方式で着色インクを付与して少なくとも1色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法。
  3. 上記樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(OD)が3.5以上であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 請求項1に記載のカラーフィルタ、又は、請求項2又は3に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する表示装置。
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