JPWO2007094119A1 - カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、及び該カラーフィルタを有する表示装置 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、及び該カラーフィルタを有する表示装置 Download PDF

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Abstract

基板上に、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いに濃色離画壁により離画されているカラーフィルタの製造方法であって、前記濃色離画壁を形成する工程が、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。(1)濃色組成物からなる層を貧酸素雰囲気下にてパターン露光する工程(パターン露光工程)(2)パターン露光後、現像して濃色離画壁パターンを形成する工程(現像工程)(3)該濃色離画壁パターンに2500mJ/cm2以上の露光量の光を照射して光硬化させる工程(ポスト露光工程)本発明によれば、位置精度よく混色等の少ない画素を形成し、かつ低コスト及び高効率にカラーフィルタを製造可能なカラーフィルタの製造方法、それにより製造されたカラーフィルタ、及びそれを有する表示装置が提供される。

Description

本発明は、表示装置用カラーフィルタの製造方法、この製造方法により得られるカラーフィルタ及びこれを有する表示装置に関する。
表示装置用カラーフィルタは、ガラス等の基板上に赤色、緑色、青色のドット状画像をそれぞれマトリックス状に配置し、その境界をブラックマトリックス等の濃色離画壁で区分した構造である。このようなカラーフィルタの製造方法としては、従来、支持体としてガラス等の基板を用い、1)染色法、2)印刷法、3)着色した感光性樹脂液の塗布と、露光及び現像との繰り返しによる着色感光性樹脂液法(着色レジスト法)(例えば、特開昭63−298304号公報 、特開昭63−309916号公報及び特開平1− 152449号公報参照。) 、4)仮支持体上に形成した画像を順次、最終又は仮の支持体上に転写する方法(例えば、特開昭61−99103号公報、特開昭61−233704号公報 及び特開昭61−279802号公報参照。) 、5)予め着色した感光性樹脂液を仮支持体上に塗布することにより着色層を形成し、順次直接、基板上にこの感光性着色層を転写し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法等により多色画像を形成する方法(転写方式)が知られている(例えば、特開昭61−99102号公報参照。)。またインクジェット法を用いる方法(例えば、特開平8−227012号公報参照。)も知られている。
これらの方法のうち、着色レジスト法は位置精度高くカラーフィルタを作製できるものの、感光層樹脂液の塗布にロスが多くコスト的には有利とは言えない。一方、インクジェット法は樹脂液のロスが少なくコスト的に有利ではあるものの、画素の位置精度が悪いという問題がある。これらを克服すべく、ブラックマトリックス(濃色離画壁)を着色レジスト法で形成し、RGB画素をインクジェット法で作製するカラーフィルタ製造方法も提案されているが、作製されたブラックマトリックスの断面形状を観察すると、上端やそのエッジが丸くなっており、後に打滴された各色インクがブラックマトリックスを乗り越えやすいために、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどが起こる恐れがある。
これらを防ぐ為、現像後に濃色離画壁のパターンに光を照射して光硬化させる工程と、光硬化した濃色離画壁パターンに加熱処理する工程を含むカラーフィルタの製造方法が開示されている(例えば、特開2002−156520号公報参照。)が、この方法では、隔壁のエッジ部分の形状が丸くなりやすく、エッジ部分が丸い(角張っていない)とインクが濃色離画壁を乗り越えやすくなる問題がなお残されている。
また、プラズマ処理により濃色離画壁を撥水処理する方法が知られている(例えば、特開2001−343518号公報参照。)。しかしながら、濃色離画壁に撥水処理のみを施しても、隣接画素との混色および白抜けなどを十分に解消することが困難であった。
特開昭63−298304号公報 特開昭63−309916号公報 特開平1− 152449号公報 特開昭61−99103号公報 特開昭61−233704号公報 特開昭61−279802号公報 特開昭61−99102号公報 特開平8−227012号公報 特開2002−156520号公報 特開2001−343518号公報
従って、本発明は、位置精度よく混色等の少ない画素を形成し、かつ低コスト及び高効率にカラーフィルタを製造可能なカラーフィルタの製造方法、この方法で得られるカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備えた表示装置を提供することを目的とする。
斯かる実情に鑑み、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、濃色離画壁を下記手法により形成すれば、その後、インクジェット法等により各画素を形成するとき、各色インクのにじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどの欠陥となる不良を防止でき、良好なカラーフィルタを得ることが可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の製造方法等を提供するものである。
<1> 基板上に、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いに濃色離画壁により離画されているカラーフィルタの製造方法であって、前記濃色離画壁を形成する工程が、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
(1)濃色組成物からなる層を貧酸素雰囲気下にてパターン露光する工程(パターン露光工程)
(2)パターン露光後、現像して濃色離画壁パターンを形成する工程(現像工程)
(3)該濃色離画壁パターンに2500mJ/cm2以上の露光量の光を照射して光硬化させる工程(ポスト露光工程)
<2> 前記貧酸素雰囲気下が、不活性ガス雰囲気下、減圧下、及び酸素を遮断しうる保護層下から選択される少なくとも1であることを特徴とする前記<1>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<3> 前記現像工程における現像条件が、現像液として、アルカリ性物質の濃度が0.01〜30質量%の希薄水溶液を用い、且つ、現像温度が22℃〜40℃であり、且つ、現像時間が10〜120秒の条件であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<4> 前記濃色離画壁上面の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態で、該濃色離画壁間に各画素を形成することを特徴とする前記<1>から<3>のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<5> 前記濃色離画壁の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態にする手段が、プラズマ処理であることを特徴とする前記<4>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<6> 濃色離画壁間に各画素を形成する方法が、各画素を形成する着色液体組成物をインクジェット法により濃色離画壁間に侵入させる方法であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<7> 仮支持体上に、少なくとも、濃色組成物からなる層を有してなる感光性転写材料を基板上に転写し濃色離画壁の形成を行うことを特徴とする前記<1>から<6>のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法により製造されるカラーフィルタである。
<9> 基板上に形成された濃色離画壁の断面形状が、該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁が接する点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの濃色離画壁までの距離で規定される値dをhで除した値が0.04以下であることを特徴とする<8>に記載のカラーフィルタである。
<10> 前記<9>に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置である。
本発明によれば、位置精度よく混色等の少ない画素を形成し、かつ低コスト及び高効率にカラーフィルタを製造可能なカラーフィルタの製造方法、この方法で得られるカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備えた表示装置を提供することができる。
本発明における濃色離画壁の断面形状を示す概念図である。 カラーフィルタのパターンを示す概念図である。 カラーフィルタのパターンを示す概念図である。 カラーフィルタの断面形状を示す概念図である。 カラーフィルタの断面形状を示す概念図である。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いに濃色離画壁により離画されているカラーフィルタの製造方法であって、前記濃色離画壁を形成する工程が、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
(1)濃色組成物からなる層を貧酸素雰囲気下にてパターン露光する工程(パターン露光工程)
(2)パターン露光後、現像して濃色離画壁パターンを形成する工程(現像工程)
(3)該濃色離画壁パターンに2500mJ/cm2以上の露光量の光を照射して光硬化させる工程(ポスト露光工程)
既述の通り、従来の方法で作製した濃色離画壁は、断面形状が粗く、インクジェット法により画素形成したときにエッジからインクが乗り越えやすく、そのため混色などの不良が発生することがあった。本発明においては、ポスト露光量を2500mJ/cm2以上に増やして、現像後の形を維持すること、すなわち濃色離画壁のエッジ形状が角張った状態を維持することで、エッジ部でのインクの乗り越えを抑えることができ、混色を防止することができる。なお、この場合、後述するように現像をできるだけ強くして、現像後の濃色離画壁の断面形状を垂直から逆テーパー状とすることが好ましい。
以下、まず、本発明のカラーフィルタの製造方法における濃色離画壁について詳細に説明する。
(濃色組成物)
本発明に係る濃色離画壁は、濃色体を含む濃色組成物から形成される。ここで、濃色組成物とは、高い光学濃度を有する組成物のことであり、形成する濃色離画壁と同様の厚みに塗布した際のその値は2.0〜10.0である。濃色組成物の光学濃度は好ましくは2.5〜6.0であり、特に好ましくは3.0〜5.0である。また、この濃色組成物は、後述するように好ましくは光開始系で硬化させる為、露光波長(一般には紫外域)に対する光学濃度も重要である。すなわち、形成する濃色離画壁と同様の厚みに塗布した際のその値は2.0〜10.0であり、好ましくは2.5〜6.0、最も好ましいのは3.0〜5.0である。2.0未満では濃色離画壁形状が望みのものとならない恐れがあり、10.0を超えると、重合を開始することができず濃色離画壁そのものを作ることが困難となる。かかる性質を有しさえすれば、組成物中の濃色体は有機物(染料、顔料などの各種色素)であっても、または各形態の炭素であっても、これらの組み合わせからなるものであってもよい。かかる濃色体は、特に限定されないが、黒色体がもっとも多く使用される。
前記濃色離画壁に用いる濃色体としては、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
前記濃色組成物には、有機顔料、無機顔料、染料等を好適に用いることができ、感光性樹脂層に遮光性が要求される際には、カーボンブラック、酸化チタン、4酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉といった遮光剤の他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。公知の着色剤(染料、顔料)を使用することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、濃色組成物中に均一に分散されていることが好ましい。
前記濃色組成物の固形分中の濃色体の比率は、十分に現像時間を短縮する観点から、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることが更に好ましい。
黒色濃色体として、更に例示すると、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。
上記濃色体(顔料)は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記濃色体と分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にある時に濃色体を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記濃色体と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記濃色体を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に、該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
本発明で用いる濃色体(顔料)は、分散安定性の観点から、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。尚、ここで「粒径」とは、粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
濃色組成物はかかる濃色体以外に、重合開始剤、及び多官能性モノマーを少なくとも含んでなることが好ましい。また、必要に応じて更に公知の添加剤、例えば、バインダー、可塑剤、充填剤、安定化剤、重合禁止剤、界面活性剤、溶剤、密着促進剤等を含有させることができる。さらに、濃色組成物は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。かかる観点からは、相溶性の可塑剤を添加することで改質することができる。
濃色組成物を硬化させる方法としては、熱開始剤を用いる熱開始系や光開始剤を用いる光開始系が一般的であるが、本発明では硬化後の濃色離画壁を後述するような形状とすることが重要であることから、光開始系を用いることが好ましい。ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述の多官能性モノマーの重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
具体的には、特開2001−117230号公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、などのアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;その他、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールなどが挙げられる。
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも一種が好ましく、特に、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物は、汎用性でかつ安価である点でも有用である。
特に好ましいのは、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールであり、アクリジン系化合物としては、9−フェニルアクリジンであり、更に、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールなどのトリハロメチル基含有化合物、及びミヒラーズケトン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールである。
前記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記光重合開始剤の濃色組成物における総量としては、濃色組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総量が、0.1質量%未満であると、組成物の光硬化の効率が低く露光に長時間を要することがあり、20質量%を超えると、現像する際に、形成された画像パターンが欠落したり、パターン表面に荒れが生じやすくなったりすることがある。
前記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
前記水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。前記水素供与体の濃色組成物における総量としては、濃色組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
濃色組成物の多官能性モノマーとしては、下記化合物を単独で又は2種以上を必要に応じて他のモノマーと組み合わせて使用することができる。具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼンジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ジアリルフマレート、トリメリット酸トリアリル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する化合物とヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応物も使用できる。
これらのうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。
多官能性モノマーの濃色組成物における含有量としては、濃色組成物の全固形分(質量)に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、組成物の露光部でのアルカリ現像液への耐性が劣ることがあり、80質量%を越えると、濃色組成物としたときのタッキネスが増加してしまい、取扱い性に劣ることがある。
(バインダー)
前記濃色組成物には、必要に応じてバインダーを含有することができる。
バインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、等を挙げることができる。
また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げられる。さらに、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用できる。
特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーは、一種単独で用いてもよいし、通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用するようにしてもよい。
バインダーの濃色組成物中における含有量としては、層又は組成物の全固形分(質量)に対して、20〜50質量%が好ましく、24〜45質量%がより好ましい。
(溶剤)
前記濃色組成物には、必要に応じて溶剤を含有することができる。有機溶剤の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等が挙げられる。
(界面活性剤)
濃色組成物には、必要に応じて界面活性剤を含有することができる。濃色組成物を基板上又は後述の感光性転写材料の仮支持体上に塗布する場合には、濃色組成物中に界面活性剤を含有させることで、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラを効果的に防止することができる。界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に記載の界面活性剤が好適に挙げられる。なお、界面活性剤の濃色組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、0.001〜1質量%が一般的であり、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.03〜0.3質量%が特に好ましい。
(紫外線吸収剤)
濃色組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報に記載の化合物、並びにサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。
例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3',5'−ジ−t−4'−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、2,2'−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
紫外線吸収剤を用いる場合の、濃色組成物の全固形分に対する紫外線吸収剤の含有量としては0.5〜15質量%が一般的であり、1〜12質量%が好ましく、1.2〜10質量%が特に好ましい。
(熱重合防止剤)
濃色組成物には、熱重合防止剤を含むことが好ましい。熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
熱重合防止剤を用いる場合の、濃色組成物の全固形分に対する含有量としては0.01〜1質量%が一般的であり、0.02〜0.7質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%が特に好ましい。
また、濃色組成物には、前記成分以外に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」やその他の添加剤等を含有させることもできる。
(濃色離画壁)
本発明に係る濃色離画壁は、上記濃色組成物から形成される。濃色離画壁は、2以上の画素群を離画するものであり、一般には黒であることが多いが、黒に限定されるものではない。濃色離画壁を形成する工程は、少なくとも、下記(1)〜(3)の工程を含む。
(1)濃色組成物からなる層を貧酸素雰囲気下にてパターン露光する工程(パターン露光工程)
(2)パターン露光後、現像して濃色離画壁パターンを形成する工程(現像工程)
(3)該濃色離画壁パターンに2500mJ/cm2以上の露光量の光を照射して光硬化させる工程(ポスト露光工程)
以下、各工程について説明する。
(1)パターン露光工程
本パターン露光工程では、既述の濃色組成物からなる層に対し、貧酸素雰囲気下でパターン露光し、前記濃色組成物を光硬化させる。パターン露光とは、画像パターンが形成されたマスクを介して、濃色組成物層にパターン化された光を照射することをいう。場合によっては、マスクを介さずに光照射してもよい。
光照射に用いる光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノン灯、メタルハライドランプ等の公知の光源が挙げられる。前記マスクは、公知のものの中から適宜選択できる。
次に、露光時における貧酸素雰囲気下について以下に説明する。
かかる濃色組成物を光硬化させる際の貧酸素雰囲気下とは、不活性ガス下、減圧下、酸素を遮断しうる保護層下のことを指しており、これらは詳しくは以下の通りである。
〜不活性ガス下〜
不活性ガスとは、N2、H2、CO2、などの一般的な気体や、He、Ne、Arなどの希ガス類をいう。この中でも、安全性や入手の容易さ、コストの問題から、N2が好適に利用される。
〜減圧下〜
減圧下とは500hPa以下、好ましくは100hPa以下の状態を指す。
〜酸素を遮断しうる保護層下〜
酸素を遮断しうる保護層下とは、保護層が濃色組成物からなる層の上に形成された状態を指す。酸素を遮断しうる保護層とは、例えば、特開昭46−2121号や特公昭56−40824号の各公報に記載の、ポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、及びこれらの二種以上の組合せ等が挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せである。ポリビニルアルコールは鹸化率が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有量はアルカリ可溶な樹脂層固形分の1〜75質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
また、酸素を遮断しうる保護層としては各種フィルムを用いることもでき、たとえばPETをはじめとするポリエステル類、ナイロンをはじめとするポリアミド類、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA類)も好適に用いることができる。これらフィルムは必要に応じて延伸されたものでもよく、厚みは5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。また、濃色離画壁を感光性転写材料を用いて作製する場合、後述する中間層又は仮支持体を酸素を遮断しうる保護層として好適に用いることが可能である。
このようにして作製された酸素を遮断しうる保護層の酸素透過係数は2000cm3/(m2・day・atm)以下が好ましいが、100cm3/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、もっとも好ましくは50cm3/(m2・day・atm)以下である。
酸素透過率が2000cm3/(m2・day・atm)より多い場合は効率的に酸素を遮断することができないため、濃色離画壁を後述の形状にすることが困難となることがある。
(2)現像工程
本現像工程においては、前記(1)パターン露光工程において、パターン露光された濃色組成物層に対し、所定の現像液を用いて現像処理する。
現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤とを少量添加したものでもよい。
前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、該濃色組成物層の表面を均一に湿らせることが好ましい。前記現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましい。
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
前記現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。濃色組成物層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組み合わせることができる。現像液の液温は、通常、室温付近(22℃)から40℃が好ましい。現像時間は、感光性樹脂層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、通常10〜120秒程度である。現像時間が短すぎると非露光部の現像が不充分となると同時に紫外線の吸光度も不充分となることがあり、長すぎると露光部もエッチングされることがある。いずれの場合にも、濃色離画壁形状を好適なものとすることが困難となる。現像処理の後に水洗工程を入れることも可能である。この現像工程にて、濃色離画壁の形状は、前述のごとく形成される。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等の方法を用いることができる。
現像液のpHは8〜13が好ましい。現像槽中にはローラーコンベアなどが設置され、基板は水平に移動する。前記ローラーコンベアの傷を防止する意味で、感光性樹脂は基板の上面に形成されるのが好ましい。基板サイズが1メートルを超える場合は、基板を水平に搬送すると、基板中央付近に現像液が滞留し、基板中央と周辺部分での現像の差が問題となる。これを回避するため、基板は斜めに傾斜させるのが望ましい。傾斜角度は、5〜30°が好ましい。
現像後は、基板にエアを軽く吹きつけ、余分な液を略除去した上で、シャワー水洗を実施することにより、より均一な現像結果が得られる。また、水洗の前に、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて3〜10MPaの圧力で噴射して残渣除去を行うことにより、残渣の無い高品質の像が得られる。基板に水滴が付着したまま後工程へ搬送すると、工程を汚したり、基板にシミが残ったりするので、エアーナイフにて水切りを行い余分な水や水滴を除去することが好ましい。
本発明においては、既述の通り、現像後の濃色離画壁の断面形状を垂直から逆テーパー状とするために、現像をできるだけ強くすることが好ましい。当該「強い現像」たる現像条件としては、現像液として、アルカリ性物質の濃度が0.01〜30質量%の希薄水溶液を用い、且つ、現像温度が22〜40℃であり、且つ、現像時間が10〜120秒の条件であることが好ましい。
アルカリ性物質の濃度は、より好ましくは、0.02〜25質量%であり、さらに好ましくは0.05〜20質量%である。現像温度は、より好ましくは、24〜38℃であり、さらに好ましくは26〜35℃である。現像時間は、より好ましくは、15〜110秒であり、さらに好ましくは、20〜100秒である。
なお、これら、アルカリ性物質の種類とその濃度、現像温度、現像時間のうち、いずれか1つでも変えることにより、現像の強さが変動するため、所望の「強い現像」とするには上記範囲内でそれぞれの条件を適宜設定することが好ましい。
(3)ポスト露光工程
本発明に係る濃色離画壁は、現像後にポスト露光を実施することにより形成される。ポスト露光により、画像の断面形状のコントロール、画像の硬度のコントロール、画像の表面凹凸のコントロール、画像の膜減りのコントロールなどの調整が可能である。
ポスト露光に用いる光源としては、濃色組成物が感度を有する波長の少なくとも1つを含む光源であればよく、特開2005−3861号公報の段落番号0074に記載の超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
ポスト露光は、前記超高圧水銀灯やメタルハライド等の光源からの光を、露光マスクなどを介さず直接基板に照射することによって行うことが、設備の簡素化と省電力の観点で好ましい。
ポスト露光は、必要に応じて、両面に実施する。露光量は、上面:2500mJ/cm2以上、下面:2500mJ/cm2以上の範囲で、上記コントロール目的に応じ、適宜調整する。露光量は高ければ高いほど好ましいが、あまり高すぎると露光時間が長くなったり、基板温度が高くなりすぎ基板が変形したりすることがあるため、片面当りのポスト露光は、10000mJ/cm2程度を上限とすることが好ましい。また、片面当りのポスト露光量が2500mJ/cm2未満では、濃色離画壁のエッジが変形し、インクがエッジから乗り越えやすくなり、混色防止という本発明の目的を達成することができなくなる。
2500〜10000mJ/cm2の露光量で両面又は上面を露光することが好ましく、2800〜5000mJ/cm2の露光量で両面又は上面を露光することがより好ましく、2800〜5000mJ/cm2の露光量で両面を露光することが最も好ましい。
(感光性転写材料)
上記の濃色離画壁形状を容易且つ低コストで実現するものとして、仮支持体上に、少なくとも、濃色組成物からなる層を有する感光性転写材料を使用するという手法がある。さらに、仮支持体と濃色組成物からなる層との間に、酸素を遮断しうる中間層(以下、単に「酸素遮断層」とも言う)が設けられてもよい。このような材料を用いた場合、濃色組成物からなる層は酸素遮断層に保護されるため、自動的に貧酸素雰囲気下となる。そのため、露光工程を不活性ガス下や減圧下で行う必要がないため、現状の工程をそのまま利用できる利点がある。
また、仮支持体上に少なくとも濃色組成物からなる層を有する感光性転写材料を用い、該仮支持体を「酸素を遮断しうる保護層」として用いてもよい。この場合は、上記酸素遮断層を設ける必要がなく、工程数を削減することが可能である。
上記の感光性転写材料は、必要に応じて熱可塑性樹脂層を有していてもよい。かかる熱可塑性樹脂層とは、アルカリ可溶性であって、少なくとも樹脂成分を含んで構成され、該樹脂成分としては、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂層が設けられることにより、後述する濃色離画壁形成方法において、永久支持体との良好な密着性を発揮することができる。
軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層には、上記の熱可塑性樹脂の少なくとも一種を適宜選択して用いることができ、更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)に記載されている、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質についても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。また、これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤、等を加えることもできる。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。
上記の感光性転写材料における仮支持体としては、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の薄いシート若しくはこれらの積層体が好ましい。前記仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。この厚みが5μm未満では、仮支持体を剥離する際に破れやすくなる傾向があり、また、仮支持体を介して露光する場合は、300μmを超えると解像度が低下する傾向がある。
上記具体例の中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
(中間層(酸素遮断層))
酸素遮断層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断層としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
(保護フィルム)
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために、薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは、仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては、例えばシリコーン紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオロエチレンのシートが適当である。
(基板)
カラーフィルタを構成する基板(永久支持体)としては、金属性支持体、金属張り合わせ支持体、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なガラスや合成樹脂フィルムが挙げられる。
(濃色離画壁の形成)
以下、感光性転写材料を用いて、濃色離画壁を形成する一例を説明する。仮支持体上に、中間層(酸素遮断層)、濃色組成物層、更に該濃色組成物層上にカバーシートが設けられた感光性転写材料を用意する。まず、カバーシートを剥離除去した後、露出した濃色組成物層の表面を永久支持体(基板)上に貼り合わせ、ラミネータ等を通して加熱、加圧して積層する(積層体)。ラミネータには、従来公知のラミネータ、真空ラミネータ等の中から適宜選択したものが使用でき、より生産性を高めるには、オートカットラミネータも使用可能である。
次いで、仮支持体と酸素遮断層との間で剥離し、仮支持体を除去する。続いて、仮支持体除去後の除去面の上方に所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該酸素遮断層の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光する。次いで、照射後、所定の処理液を用いて現像処理を行い、パターニング画像を得る。引き続き、必要に応じて、水洗処理を行い、濃色離画壁を得る。
仮支持体を酸素を遮断しうる中間層として用いる場合は、仮支持体を残したまま(剥離せずに)、該仮支持体の上方に所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該仮支持体との間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光する。次いで、仮支持体を除去し、所定の処理液を用いて現像処理を行い、パターニング画像を得る。引き続き、必要に応じて、水洗処理を行い、濃色離画壁を得る。
該露光は、例えば、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)等で行うことができ、露光量は適宜(例えば、300mJ/cm2)選択することができる。
(現像処理)
光照射後、所定の処理液を用いて現像処理する。当該現像処理の内容は、既述の内容と同様である。
(ポスト露光)
現像後にポスト露光を実施する。当該ポスト露光の内容は、既述の内容と同様である。
(熱処理)
更に、ポスト露光後に熱処理を行ってもよい。
熱処理を行うことにより、本発明の濃色組成物層に含まれるモノマーや架橋剤を反応させて、画像の硬度を確保することができる。熱処理の温度は、150〜250℃の範囲が好ましい。150℃を超える場合は硬度が不十分となり、250℃未満では樹脂が着色し、色純度が悪くなる。熱処理の時間は、10〜150分が好ましい。10分未満では、硬度が不足し、150分を超える場合は、濃色離画壁の形状が悪くなる。また、後述の方法により着色画素全部の色を形成後、更に最終的な熱処理を行って硬度を安定化させても良い。その場合、高めの温度(例えば240℃)で実施することが、硬度の点で好ましい。
(撥水処理)
本発明では、濃色離画壁に撥水処理を施す事で、該濃色離画壁の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態とすることが好ましい。これは、その後にインクジェットなどの方法で、着色液体組成物の液滴を該濃色離画壁間に付与した時に、インクが該濃色離画壁を乗り越えて、隣の色と混色するなどの不都合を無くす為である。
該撥水処理としては、濃色離画壁上面に撥水材料を塗布する方法や、撥水層を新たに設ける方法、プラズマ処理により撥水性を付与する方法、撥水性物質を濃色離画壁に練りこむ方法などが挙げられる。
以下に、撥水処理の詳細な説明を述べる。
(1)<撥水性物質を濃色離画壁に練りこむ方法>
「混色」を防ぐ手段として、特開2005−36160号公報に記載の含フッ素樹脂(A)を含有する本発明の濃色組成物より得られるフォトレジストを用いて濃色離画壁を作製する方法がある。
含フッ素樹脂(A)は、エチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体に基づく単量体単位と、エチレン性二重結合と酸性基(b)とを有する単量体に基づく単量体単位とを含む共重合体であって、酸価が1〜300mgKOH/gであるのが好ましい。該Rf基(a)と酸性基(b)については、特開2005−36160号公報に記載のものと同様な定義である。
エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
エチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体としては、CH2=CR1COOQ2Rf、CH2=CR1OCOQ1Rf、CH2=CR1OQ1Rf、CH2=CR1CH2OQ1Rf、CH2=CR1COOQ2NR1SO2Rf、CH2=CR1COOQ2NR1CORf、CH2=CR1COOQ2NR1COOQ2Rf、CH2=CR1COOQ2OQ1Rf等が挙げられる。ただし、R1は水素原子又はメチル基を、Q1は単結合又は炭素数1〜6の2価の有機基を、Q2は炭素数1〜6の2価の有機基を、それぞれ示す。Q1、Q2は、環状構造を有していてもよい。
1、Q2の具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH32−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−CH2(CH23CH2−、−CH(CH2CH(CH32)−、−CH2CH(OH)CH2−、−CH2CH2NHCOOCH2−、−CH2CH(OH)CH2OCH2−等が挙げられる。Q1は単結合であってもよい。なかでも、合成の容易さの観点から、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(OH)CH2−が好ましい。
エチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体としては、具体的には以下のものが挙げられる。
CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3 (nは3〜9)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613 (nは2〜6)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137 (nは2〜6)。
CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3 (nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137 (nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613 (nは2〜6)。
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3 (nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613 (nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137 (nは2〜6)。
含フッ素樹脂(A)におけるエチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体に基づく単量体単位の含有量は、1〜95%等が好ましく、5〜80%がより好ましく、20〜60%がさらに好ましい。単量体単位の含有量が当該範囲であると含フッ素樹脂(A)は良好な撥インク性を奏し、本発明の感光性組成物の現像性が良好となる。
酸性基(b)を有する単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する単量体、フェノール性水酸基を有する単量体、スルホン酸基、水酸基を有する単量体が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、もしくはそれらの塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フェノール性水酸基を有する単量体としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。またこれらのベンゼン環の1個以上の水素原子が、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、もしくはそれらの塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
水酸基を有する単量体としては、ビニルフェノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)等が挙げられる。
さらに、水酸基を有する単量体は、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する単量体であってもよい。例えば、CH2=CHOCH2610CH2O(C24O)gH(ここで、gは1〜100の整数、以下同じ。)、CH2=CHOC48O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)gH、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)h(C36O)kH(ここで、hは0又は1〜100の整数であり、kは1〜100の整数であり、h+kは1〜100である。以下同じ。)、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)h(C36O)kH等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
含フッ素樹脂(A)における酸性基(b)を有する単量体に基づく単量体単位の含有量は、0.1〜40%等が好ましく、0.5〜30%がより好ましく、1〜20%がさらに好ましい。当該範囲であると含フッ素樹脂(A)は良好な撥インク性を奏し、感光性組成物の現像性が良好となる。
含フッ素樹脂(A)がエチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体に基づく単量体単位と、エチレン性二重結合と酸性基(b)とを有する単量体に基づく単量体単位と、を有する共重合体である場合、さらに、Rf基(a)及び酸性基(b)を有さない単量体(以下、「その他の単量体」という。)に基づく単量体単位を有していてもよい。
その他の単量体としては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、フルオロオレフィン類、共役ジエン類等が挙げられる。これらの化合物には、例えば水酸基、カルボニル基、アルコキシ基、アミド基等の官能基が含まれていてもよい。また、ポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。ただし、これらのその他の単量体に基づく単量体単位は、Rf基(a)及び酸性基(b)を有さない。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類が、本発明の感光性樹脂組成物から形成される塗膜の耐熱性を優れたものとするため好ましい。
含フッ素樹脂(A)において、その他の単量体に基づく単量体単位の割合は80%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。当該範囲であると本発明の感光性組成物の現像性が良好となる。
本発明における含フッ素樹脂(A)は、上記のエチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体に基づく単量体単位と、エチレン性二重結合と酸性基(b)とを有する単量体に基づく単量体単位と、を含む共重合体を合成することによって得られるほか、反応部位を有する重合体にRf基(a)を有する化合物及び/又は酸性基(b)を有する化合物を反応させる各種変性方法によっても得られる。
反応部位を有する重合体にRf基(a)を有する化合物を反応させる各種変性方法としては、例えば、エポキシ基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後にRf基(a)とカルボキシル基とを有する化合物を反応させる方法、エポキシ基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後にRf基(a)とヒドロキシル基とを有する化合物を反応させる方法等が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートが挙げられる。
Rf基(a)とカルボキシル基とを有する化合物としては、下記式3で表される化合物が挙げられる。
HOOC−Cp-12(p-1)−O−(Cp2p−O)n-1−Cq2q+1 ・・・式3
式3中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を示す。
Rf基(a)とヒドロキシル基とを有する化合物としては、下記式4で表される化合物が挙げられる。
HOCH2−Cp-12(p-1)−O−(Cp2p−O)n-1−Cq2q+1・・・式4
式4中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を示す。
反応部位を有する重合体に酸性基(b)を有する化合物を反応させる各種変性方法としては、例えば、水酸基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後に酸無水物を反応させる方法が挙げられる。また、エチレン性二重結合を有する酸無水物をあらかじめ共重合させ、後に水酸基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
水酸基を有する単量体の具体例としては、ビニルフェノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)等が挙げられる。
さらに、水酸基を有する単量体は、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する単量体であってもよい。例えば、CH2=CHOCH2610CH2O(C24O)gH(ここで、gは1〜100の整数、以下同じ。)、CH2=CHOC48O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)gH、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)h(C36O)kH(ここで、hは0又は1〜100の整数であり、kは1〜100の整数であり、h+kは1〜100である。以下同じ。)、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)h(C36O)kH等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水3−メチルフタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
エチレン性二重結合を有する酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−ブテン−1−イルスシニックアンハイドライド等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、1つ以上の水酸基を有している化合物であれば良く、前記に示した水酸基を有する単量体の具体例や、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ類、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のカルビトール類等が挙げられる。分子内に1個の水酸基を有する化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
含フッ素樹脂(A)あるいは含フッ素樹脂(A)の前駆体となる前記反応部位を有する重合体は、単量体を必要に応じて連鎖移動剤と共に、溶媒に溶解して加熱し、重合開始剤を加えて反応させる方法によって合成できる。
含フッ素樹脂(A)の酸価は、1〜300mgKOH/gが好ましく、5〜200mgKOH/gがより好ましく、10〜150mgKOH/gが特に好ましい。この範囲内であると、本発明の感光性組成物の現像性が良好となる。なお、酸価は樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(単位mg)であり、本明細書においては単位をmgKOH/gと記載する。
含フッ素樹脂(A)の数平均分子量は、500以上20000未満が好ましく、2000以上15000未満がより好ましい。当該範囲内であると、本発明の感光性組成物の現像性が良好である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定される。
含フッ素樹脂(A)の配合量は、感光性組成物中の固形分に対し、0.01〜50%が好ましく、0.1〜30%がより好ましく、0.2〜10%が特に好ましい。当該範囲内であると、感光性組成物は良好な撥インク性、インク転落性を奏し、現像性が良好となる。
(2)<撥水層を設ける方法>
「混色」を防ぐ手段として、濃色離画壁を形成した基板上の濃色離画壁に合致した位置にインク反発性を有する仕切り壁を作製する方法がある。
インク反発性を有する仕切り壁としては、シリコーンゴム層を用いることが好ましい。表層に塗設されるシリコーンゴム層は、着色に用いる溶液およびインクに対して反発効果を有することが必須であり、これに限定されるものではないが、次の様な繰り返し単位を有する分子量数千〜数十万の線状有機ポリシロキサンを主成分とするものである。
Figure 2007094119
ここで、nは2以上の整数、Rはそれぞれ独立した炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基あるいはフェニル基である。この様な線状有機ポリシロキサンをまばらに架橋することにより、シリコーンゴムが得られる。架橋剤は、いわゆる室温(低温)硬化型のシリコーンゴムに使われるアセトキシシラン、ケトオキシムシラン、アルコキシシラン、アミノシラン、アミドシラン、アルケニオキシシランなどであり、通常、末端が水酸基である線状の有機ポリシロキサンと組み合わせて、それぞれ脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アミン型、脱アミド型、脱ケトン型のシリコーンゴムとなる。また、シリコーンゴムには、触媒として少量の有機スズ化合物などが添加される。感光性樹脂層とシリコーンゴム層の接着のために、層間に接着層として種々のものを用いることがあり、特にアミノシラン化合物や有機チタネート化合物が好ましく用いられる。感光性樹脂層とシリコーンゴム層間に接着層を設ける代わりに、シリコーンゴム層に接着成分を添加することもできる。この添加接着成分としても、アミノシラン化合物や有機チタネート化合物が使用できる。
仕切り壁を作製するための露光は、濃色離画壁をマスクとし、基板の裏側から行う。この様に露光した後、n-ヘプタン/エタノール混合液で現像して、シリコーンゴム表層を有する仕切り壁を作製できる。
(3)<プラズマ処理により撥水性を付与する方法>
「混色」を防ぐ手段として、濃色離画壁を形成した基板に、プラズマによる撥水化処理をする方法がある。
本工程において導入する、少なくともフッ素原子を含有するガスとしては、CF4 、CHF3 、C2 6 、SF6 、C3 8 、C5 8 から選択されるハロゲンガスを1種以上用いることが好ましい。特に、C58(オクタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が0であると同時に、大気寿命が従来のガスに比べて(CF4 :5万年、C48 :3200年)0.98年と非常に短い。従って、地球温暖化係数が90(CO2 =2とした100年積算値)と、従来のガス(CF4 :6500、C4 8 :8700)に比べて非常に小さく、オゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使用する上で望ましい。
さらに、導入ガスとしては、必要に応じて酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを併用しても良い。本工程においては、上記CF4 、CHF3 、C26 、SF6 、C38 、C 58 から選択されるハロゲンガスを1種以上と、O 2 とを混合したガスを用いることにより、本工程において処理される濃色離画壁表面の撥インク性の程度を制御することが可能になる。但し、当該混合ガスにおいて、O2 の混合比率が30%を超えるとO2 による酸化反応が支配的になり、撥インク性向上効果が妨げられる。また、O2 混合比率が30%を超えると樹脂に対するダメージが顕著になる。このため、当該混合ガスを用いる場合には、O2 の混合比率が30%以下となる範囲で使用する必要がある。
プラズマの発生方法としては、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方式を用いることができ、プラズマ処理の際の圧力、ガス流量、放電周波数、処理時間等の条件は任意に設定することができる。
(4)<濃色離画壁上面に撥水材料を塗布する方法>
「混色」を防ぐ手段として、濃色離画壁を形成した基板に、撥水性を有する材料を全面に塗布する方法がある。
撥水性を有する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、パーフルオロアルキルアクリレート、ハイドロカーボンアクリレート、メチルシロキサン等、一般に撥水材料と考えられ、着色剤に対する接触角が60°以上のものであれば特に限定されない。
撥水材料の塗布方法としては、基板、濃色離画壁などに影響を及ぼさない方法であれば、スリットコート、スピンコート、ディップコート、ロールコート等、各材料に最適の方法を選択することが可能である。
塗布後、基板裏面側から濃色離画壁を介してUVO3 処理を行い、濃色離画壁以外の部分の撥水膜を選択的に除去または親水化処理(処理後の着色剤に対する接触角が処理前より30°以上小さくなるようにする)する。
撥水材料を除去または親水化処理することが可能ならば、パターニングの方法は、レーザーアブレーション、プラズマアッシング、コロナ放電処理等のドライ処理およびアルカリを用いたウェット処理等、材料に応じて最適の方法を選択することが可能である。また、濃色離画壁上に撥水材料をパターン形成することが可能であれば、リフトオフ法等も有効である。
上記(1)〜(4)の撥水処理方法の中でも、「工程の簡便さ」という観点から(3)プラズマによる撥水処理方法が特に好ましい。
(各画素の形成)
ついで、上記現像工程にて形成された濃色離画壁の空隙に、RGBの各画素を形成する為の着色液体組成物(以下、単に「インク」とも言う。)を侵入させる。着色液体組成物を濃色離画壁空隙に侵入させる方法としては、インクジェット法やストライプギーサー塗布法など公知のものを使用することができ、インクジェット法がコスト面の観点から好ましい。ストライプギーサー塗布法とは、細かな液滴吐出用の穴が開いたギーサーを用いて液滴が基板上に付与され、ストライプ状の画素が形成される方法である。インクジェット法の詳細については、後述する。
各画素形成のために用いるインクジェット法に関しては、インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、あらかじめ基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、公知の方法を用いることができる。
各画素を形成した後、加熱処理(いわゆるベーク処理)する加熱工程を設けることが好ましい。即ち、光照射により光重合した層を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱するか、あるいは赤外線ランプを照射する。加熱の温度及び時間は、感光性濃色組成物の組成や形成された層の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を獲得する観点から、約120〜約250℃で約10〜約120分間加熱することが好ましい。
このようにして形成されたカラーフィルタのパターン形状は特に限定されるものではなく、一般的なブラックマトリックス形状であるストライプ状もしくは格子状であっても(図2B参照)、デルタ配列状であってもよい(図2A参照)。
(インクジェット方式)
本発明に用いるインクジェット方式としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
用いるインクは油性、水性のいずれも使用できる。また、そのインクに含まれる着色材は染料、顔料のいずれも使用でき、耐久性の面からは顔料の使用がより好ましい。また、公知のカラーフィルタ作製に用いる、塗布方式の着色インク(着色樹脂組成物、例えば、特開2005−3861号公報[0034]〜[0063]記載)や、特開平10−195358号公報[0009]〜[0026]に記載のインクジェット用組成物を使用することもできる。
本発明におけるインクには、着色後の工程を考慮し、加熱又は紫外線などのエネルギー線によって硬化する成分を添加することもできる。加熱によって硬化する成分としては、各種の熱硬化性樹脂が広く用いられ、エネルギー線によって硬化する成分としては、例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光反応開始剤を添加したもの等が挙げられる。特に、耐熱性を考慮すると、アクリロイル基又はメタクリロイル基を分子内に複数有するものが好ましい。これらのアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体は水溶性のものが好ましく使用できる。水に難溶性のものでも、エマルション化するなどして使用できる。
この場合、上記<濃色組成物>の項で挙げた、濃色体(顔料)などの着色剤を含有させたインクを、好適なものとして用いることができる。
また、本発明において用いることができるインクとしては、少なくともバインダー、及び、2〜3官能のエポキシ基含有モノマーを含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクも、好適なものとして用いることができる。
本発明におけるカラーフィルタは、インクジェット方式で画素形成されたカラーフィルタであることが好ましく、RGBの3色のインクを吹き付けて3色のカラーフィルタを形成することが好ましい。
このカラーフィルタは、液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PLZT等と組合せて表示素子として用いられる。カラーカメラやその他のカラーフィルタを用いる用途にも使用できる。
(オーバーコート層)
カラーフィルタの作製後、耐性向上のためにオーバーコート層を全面に設ける場合がある。オーバーコート層は、インクR、G、Bの固化層を保護するとともに、表面を平坦にすることができる。しかしながら、工程数が増えるという観点からは、設けないことが好ましい。
オーバーコート層を形成する樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れている点、また、カラーフィルタ用光硬化性組成物の樹脂が通常アクリル系樹脂を主成分としている点、密着性に優れている点などから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例としては、特開2003−287618号公報の段落番号0018〜0028に記載のもの等が挙げられる、オーバーコート剤の市販品としては、JSR社製「オプトマーSS6699G」)等が挙げられる。
次いで、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、既述の本発明のカラーフィルタの製造方法により製造されるカラーフィルタであって、基板上に形成された濃色離画壁の断面形状が、該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁が接する点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの濃色離画壁までの距離で規定される値dをhで除した値が0.04以下であることを特徴としている。
つまり、基板上に形成された濃色離画壁の断面形状は、図1に示す如く、該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁が接する点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの濃色離画壁までの距離で規定される値dをhで除した値が0.04以下である。
基板上において、上記で説明した濃色組成物を、同じく上記で説明した貧酸素雰囲気下で光重合した場合、組成物自身の吸収により組成物からなる層の表面から基板方向への露光量は減衰するため、結果として表面の硬化がより進む。さらに、貧酸素雰囲気下であるために組成物からなる層の表面における、酸素による重合阻害が抑制され、これによっても結果として表面の硬化がより進む。これら二つの寄与により、基板上に形成された濃色離画壁の断面形状において、該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁が接する点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの濃色離画壁までの距離で規定される値dをhで除した値が0.04以下となる。これらの値は、実際には基板上に形成された濃色離画壁を、基板ごと垂直にカットして断面を露出させ、顕微鏡等で直接観察することで測定する。こうして得られた濃色離画壁の形状を固定化する工程を経ることで、一旦その空隙に打滴されたインクは濃色離画壁を乗り越えにくくなる。その結果、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどが防止され、良好なカラーフィルタを得ることができる。d/hの値は0.04以下が好ましく、0.038以下がより好ましく、0.035以下が特に好ましい。図2は、上記した形状の濃色離画壁を形成するのに好適なカラーフィルタの実施の形態を示す。これらのカラーフィルタにおいて、濃色離画壁を上記の形状とすることによって、混色のない画素が得られる。
以上の本発明のカラーフィルタの濃色離画壁の断面形状の一例を図3Aに示す。図3Aは誇張して描いているが、図3Bに示すようにエッジが丸みを帯びた形状よりもインクが乗り越えにくいのは明らかである。なお、図3A及び図3Bにおいて、11は画素領域、12は濃色離画壁、13は基板を示す。
[表示装置]
本発明の表示装置は既述の本発明のカラーフィルタを有するものであり、そのような表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などがある。表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置が特に好ましい。液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている種々の方式の液晶表示装置に適用できる。本発明は、これらのなかで、特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については、例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
液晶表示装置は、カラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のブラックマトリックスは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
[対象用途]
本発明のカラーフィルタは、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に、特に制限なく適用できる。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は、本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「%」および「部」は「質量%」および「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
[濃色組成物の調製]
濃色組成物K1は以下の手順によって調製される。すなわちまず、表1に記載の量のK顔料分散物1及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製(以下も同じメーカーの素材を使用する))をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌する。次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4'−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3'−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及び界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)、150RPMで30分間攪拌する。表1に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
<K顔料分散物1>、
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤(下記化合物1) 0.65%
Figure 2007094119
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
Figure 2007094119
Figure 2007094119
[実施例1]
(濃色離画壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃で3分間熱処理を行い、表面状態を安定化させた。
基板を冷却し、23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)を用いて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くし、その後、120℃で3分間プリベークして膜厚2μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。
次に、シャワーノズルを用いて純水を噴霧し、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた。その後、KOH系現像液(0.04質量%KOH水溶液)にて23℃で80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、パターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行った。その後、大気下にてウシオ電機(株)製、型番:UVL−8000−Nの超高圧水銀灯を有する露光機で、露光量2500mJ/cm2にて上面からポスト露光を行い、光学濃度3.9の濃色離画壁を得た。露光量は次のようにして調整した。すなわち、基板上に(株)オーク製作所製の光量計(UV−350)を載せ、露光装置に送り、露光マスクと測定装置との距離が10cmのときの露光量を、表2に記載の所定の露光量になるよう調整した。
〔プラズマ撥水化処理〕
濃色離画壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にてプラズマ撥水化処理を行った。
使用ガス:CF4
ガス流量:80sccm
圧力:40Pa
RFパワー:50W
処理時間:30sec
−画素用着色インクの調製−
下記の成分のうち、先ず、顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。この顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用着色インク組成物を調製した。
〈赤色画素用着色インクの組成〉
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) 5部
・高分子分散剤(AVECIA社製ソルスパース24000) 1部
・バインダー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 3部
・第一エポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂、
油化シェル社製エピコート154) 2部
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル) 5部
・硬化剤(トリメリット酸) 4部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル 80部
上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントグリーン36を同量用いたほかは赤色画素部着色インク組成物の場合と同様にして、緑色(G)画素用着色インク組成物を調製した。
上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6を同量用いたほかは赤色画素用着色インク組成物の場合と同様にして、青色(B)画素用着色インク組成物を調製した。
次に、上記のR、G、Bの画素用着色インクを用いて、上記で得られたカラーフィルタ基板の濃色離画壁で区分された領域内(凸部が囲まれた凹部)に、インクジェット方式の記録装置を用いて、所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行い、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルタを作製した。画像着色後のカラーフィルタを230℃オーブン中で30分ベークし、ブラックマトリックス、各画素ともに完全に硬化させた。
上記方法により得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上、及び対向基板上に、それぞれPVAモード用にパターニングを施した。
前記ITOの透明電極上の濃色離画壁の上部に相当する部分にフォトスペーサを設け、その上に更に、ポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、それと共に、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
[実施例2]
実施例1の濃色離画壁の形成において、ポスト露光の条件を表2に記載の通り変更したこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ及び液晶表示装置を作製した。
[実施例3]
<濃色離画壁の形成>
(濃色感光性転写材料K1の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記濃色組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして、仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2μmの濃色組成物層とを設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして、仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と濃色組成物層とが一体となった濃色感光性転写材料を作製した。この濃色感光性転写材料のサンプル名をK1とした。
<熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1>
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) 9.1部
・界面活性剤1 0.54部
<中間層用塗布液:処方P1>
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄した。その後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
得られたシランカップリング処理ガラス基板に、上記の製法にて作製された濃色感光性転写材料K1からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した濃色組成物層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネータ(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。続いてポリエチレンテレフタレートの仮支持体を、熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該濃色感光性樹脂組成物層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム株式会社製を、純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液)を30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。引き続き、この基板上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム株式会社製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃で30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、濃色組成物層を現像してパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(商品名:T−SD3 富士写真フイルム株式会社製)を純水で10倍に希釈した液を、33℃で20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーにより吹きかけ、更にナイロン毛を有する回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、濃色離画壁を得た。
その後、該基板に対して両面からウシオ電機(株)製、型番:UVL−8000−Nの超高圧水銀灯を有する露光機で3000mJ/cm2の露光量で上面からポスト露光を行った。その後、220℃、15分間で熱処理を行った。
次いで、下記の方法により撥水処理を行った。
[塗布法による撥水化処理]
濃色離画壁の形成された基板上に、予めフッ素系界面活性剤(住友3M社製、フロラードFC−430)が0.5質量%(感光性樹脂の固形分に対して)内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ヘキストシャパン社製、ポジ型フォトレジストAZP4210)を膜厚2μmとなるようにスリット状ノズルを用いて塗布し、温風循環乾燥機中で90℃、30分間の熱処理を行った。
次いで、110mJ/cm2(38mW/cm2×2.9秒)の露光量で、濃色離画壁の形成された基板の裏面から濃色離画壁を介して露光し、無機アルカリ現像液(ヘキストジャパン社製、AZ400Kデベロッパー、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行い、濃色離画壁上に撥水性樹脂層を形成することにより、画素内外に表面エネルギー差を設けた。撥水性樹脂層形成後の画素内外の表面エネルギーは、画素外(樹脂層上)が10〜15dyne/cm、画素内(ガラス基板上)は55dyne/cm前後であった。
次いで、実施例1と同様にR、G、B画素を着色したのち、そのカラーフィルタを230℃オーブン中で30分ベークすることで、ブラックマトリックス、各画素共に完全に硬化させた。
こうして得られたカラーフィルタの各画素を構成するインクは、濃色離画壁間隙にぴったり収まり、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどの欠陥となる不具合は見つからなかった。上記方法より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に、更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
[実施例4]
実施例3の濃色離画壁の形成において、ポスト露光の条件を表2に記載の通り変更したこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ及び液晶表示装置を作製した。
[実施例5]
実施例3の濃色離画壁の形成において、濃色感光性転写材料K1を下記の濃色感光性転写材料K2に変更したこと、及びポスト露光の条件を表2に記載の条件(上面3000mJ/cm2 + 下面3000mJ/cm2)に変更したこと以外は実施例3と同様にして、濃色離画壁を作製した。
[濃色感光性転写材料K2の作製]
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジンデュポンフィルム株式会社製 テトロン G2)仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、上記濃色組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして、仮支持体の上に乾燥膜厚が2.0μmの濃色感光性樹脂層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と濃色感光性樹脂層とが一体となった濃色感光性転写材料を作製した。この濃色感光性転写材料のサンプル名をK2とした。
[比較例1]
実施例1のパターン露光工程において、窒素雰囲気下での露光を行う代わりに、大気下でパターン露光を行ったこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ及び液晶表示装置を作製した。
[比較例2]
実施例1の濃色離画壁の形成において、ポスト露光の条件を表2に記載の通り変更したこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ及び液晶表示装置を作製した。
[形状の確認]
実施例、比較例で得られた濃色離画壁付き基板を、基板ごと垂直にカットして断面を露出させ、顕微鏡等で直接観察した。濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点での濃色離画壁の高さをhとしたときの0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁の接点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点から濃色離画壁までの距離をdと定義した。測定結果を表2に示す。
[ITO抵抗の測定]
実施例、比較例で得られたITO付カラーフィルタのITO抵抗を、三菱化学(株)製「ロレスタ」;四探針法でシート抵抗を測定した。測定結果を表2に示す。
[混色の評価]
基板と厚さ方向画素形成側から光学顕微鏡で観察し、混色について評価した。光学素子内の任意の100画素について観察し、混色の有無を確認し、以下の評価基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
[評価基準]
A:混色がまったくない。
B:混色が5個未満あり。
C:混色が5個以上10個未満。
D:混色が10個以上。
Figure 2007094119
表2より、実施例1〜5においては、濃色離画壁の形状に関するパラメータd/hを0.04以下とすることができた。実施例1〜5においては、打滴されたインクは濃色離画壁を乗り越えにくくなり、画素の混色がまったくないか、あっても少なく、良好な結果が得られた。これに対し、パターン露光を貧酸素雰囲気下で行っていない比較例1では、前記d/hが0.04を超えており、混色が見られた。ポスト露光の露光量を2400mJ/cm2とした比較例2では、若干ではあったが混色が確認された。
符号の説明
1 濃色離画壁
2 基板
11 画素領域
12 濃色離画壁
13 基板
(熱処理)
更に、ポスト露光後に熱処理を行ってもよい。
熱処理を行うことにより、本発明の濃色組成物層に含まれるモノマーや架橋剤を反応させて、画像の硬度を確保することができる。熱処理の温度は、150〜250℃の範囲が好ましい。150℃未満では硬度が不十分となり、250℃を超える場合は樹脂が着色し、色純度が悪くなる。熱処理の時間は、10〜150分が好ましい。10分未満では、硬度が不足し、150分を超える場合は、濃色離画壁の形状が悪くなる。また、後述の方法により着色画素全部の色を形成後、更に最終的な熱処理を行って硬度を安定化させても良い。その場合、高めの温度(例えば240℃)で実施することが、硬度の点で好ましい。

Claims (10)

  1. 基板上に、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いに濃色離画壁により離画されているカラーフィルタの製造方法であって、
    前記濃色離画壁を形成する工程が、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
    (1)濃色組成物からなる層を貧酸素雰囲気下にてパターン露光する工程(パターン露光工程)
    (2)パターン露光後、現像して濃色離画壁パターンを形成する工程(現像工程)
    (3)該濃色離画壁パターンに2500mJ/cm2以上の露光量の光を照射して光硬化させる工程(ポスト露光工程)
  2. 前記貧酸素雰囲気下が、不活性ガス雰囲気下、減圧下、及び酸素を遮断しうる保護層下から選択される少なくとも1であることを特徴とする請求項1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記現像工程における現像条件が、現像液として、アルカリ性物質の濃度が0.05〜20質量%の希薄水溶液を用い、且つ、現像温度が26℃〜35℃であり、且つ、現像時間が20〜100秒の条件であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 前記濃色離画壁上面の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態で、該濃色離画壁間に各画素を形成することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 前記濃色離画壁の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態にする手段が、プラズマ処理であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 濃色離画壁間に各画素を形成する方法が、各画素を形成する着色液体組成物をインクジェット法により濃色離画壁間に侵入させる方法であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 仮支持体上に、少なくとも、濃色組成物からなる層を有してなる感光性転写材料を基板上に転写し濃色離画壁の形成を行うことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  8. 請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されるカラーフィルタ。
  9. 基板上に形成された濃色離画壁の断面形状が、該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置における基板と平行な線をL1、L1と濃色離画壁が接する点における接線をL2、hの位置における基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの濃色離画壁までの距離で規定される値dをhで除した値が0.04以下であることを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタ。
  10. 請求項8に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
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