JP4772482B2 - カラーフィルタ及びその製造方法、並びにカラーフィルタを有する表示装置 - Google Patents
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Description
これらの方法のうち、着色レジスト法は位置精度高くカラーフィルタを作製できるものの、感光層樹脂液の塗布にロスが多くコスト的には有利とは言えない。一方インクジェット法は樹脂液のロスが少なくコスト的に有利ではあるものの、画素の位置精度が悪いという問題がある。
これらを克服すべく、ブラックマトリックスを着色レジスト法で形成し、RGB画素をインクジェット法で作製するカラーフィルタ製造法も提案されているが、作成されたブラックマトリックスの断面形状を観察すると、上端やそのエッジが丸くなっており、後に打滴された各色インクがブラックマトリックスをのり越えやすいために、隣接画素と混色を起こし表示品位を低下させる。これを防ぐ為、ブラックマトリックスとインクとの間に、お互いはじきあう性質を持たせたり、ブラックマトリックス間隙部のインクの濡れ性を高めたりする方法が開示されている(特許文献4〜6参照)が、これらの方法では、ブラックマトリックス用着色レジストやインクに特殊な素材が必要であったり、ブラックマトリックス間隙部の表面エネルギーを高める工程(表面改質処理)が必要であり、コスト的な問題がなお残されている。
また、上記混色以外にも、ブラックマトリクスの遮光性が低い場合、該ブラックマトリクスと着色画素の境界付近で光漏れが生じることがあり、表示品位を低下させる問題がある。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
(1)基板と濃色離画壁の断面の交点をA1及びA2とし、該濃色離画壁の最も高さの高い点をHとしたとき、Hから基板に下ろした垂線の足をGとし、Hを通り基板表面に平行な直線をL0とする。HとGをHP:PG=1:3に内分する点をPとし、Pを通り基板表面に平行な直線をL1とし、L1が濃色離画壁の断面と交わる点をB1、B2とする。A1とA2の距離をa、B1とB2の距離をbとするとき、b/aの値が0.5以上2.0以下である。
(2)濃色離画壁の555nmにおける光学濃度が2.0以上10以下である。
<3> 前記液滴付与する方法がインクジェット法であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のカラーフィルタ。
<4> 前記濃色離画壁の高さが1.8μm以上10μm以下であることを特徴とする上記<1>〜<3>の何れか1項に記載のカラーフィルタ。
<6> 前記重合性基を有する撥油・撥水性化合物がフッ素含有モノマー及びシリコン系モノマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記<1>〜<5>の何れか1項に記載のカラーフィルタ。
<7> 前記フッ素含有モノマーが下記一般式(I)〜(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記<6>に記載のカラーフィルタ。
〔式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−C n F 2n+1 −CF 3 、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 、−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。式(II)、(III)中、R g は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。式(IV)中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基、R 5 、R 6 は−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R j は−C t F 2t である。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。式(V)中、R 7 、R 8 は水素原子又はメチル基、R k は−C y F 2y+1 である。但し、yは1〜16の整数である。〕
<8> 前記一般式(I)において、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、R f は−C n F 2n+1 、pは1〜10、nは1〜16の整数である上記<7>に記載のカラーフィルタ。
<9> 上記<1>〜<8>の何れか1項に記載のカラーフィルタの製造方法であって、基板上に感光性樹脂組成物からなる層を形成する工程と、該感光性樹脂組成物からなる層を貧酸素雰囲気下で露光し現像して濃色離画壁を形成する工程と、前記濃色離画壁表面に重合性基を有する撥油・撥水性化合物を接触させて撥油・撥水性グラフト膜を形成する工程と、該濃色離画壁形成後の濃色離画壁間に着色液体組成物の液滴を付与して画素を形成する工程と、を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
<10> 前記重合性基を有する撥油・撥水性化合物がフッ素含有モノマー及びシリコン系モノマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記<9>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<11> 前記フッ素含有モノマーが下記一般式(I)〜(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記<9>又は<10>に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−C n F 2n+1 −CF 3 、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 、−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。式(II)、(III)中、R g は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。式(IV)中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基、R 5 、R 6 は−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R j は−C t F 2t である。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。式(V)中、R 7 、R 8 は水素原子又はメチル基、R k は−C y F 2y+1 である。但し、yは1〜16の整数である。〕
<12> 前記一般式(I)において、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、R f は−C n F 2n+1 、pは1〜10、nは1〜16の整数である上記<11>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<13> 上記<1>〜<8>の何れか1項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
(1)基板と濃色離画壁の断面の交点をA1及びA2とし、該濃色離画壁の最も高さの高い点をHとしたとき、Hから基板に下ろした垂線の足をGとし、Hを通り基板表面に平行な直線をL0とする。HとGをHP:PG=1:3に内分する点をPとし、Pを通り基板表面に平行な直線をL1とし、L1が濃色離画壁の断面と交わる点をB1、B2とする。A1とA2の距離をa、B1とB2の距離をbとするとき、b/aの値が0.5以上2.0以下である。
(2)濃色離画壁の555nmにおける光学濃度が2.0以上10以下である。
本発明のカラーフィルタは、上記構成とすることにより、混色や光漏れなどの表示品位が改善されたカラーフィルタを提供することができる。
前記本発明の効果を得るためには、前述の通り、濃色離画壁の555nmにおける光学濃度が2.0以上10以下であることが必要であるが、更に光漏れの観点から、3.0以上6.0以下であることが好ましく、4.0以上5.5以下であることがより好ましく、4.0以上5.0以下であることが特に好ましい。
前記感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂組成物を塗布する方法(塗布法)や感光性転写材料を転写する方法(転写法)により形成される。
基板上の濃色離画壁は、着色剤を含有する感光性樹脂組成物(「濃色感光性樹脂組成物」又は「濃色組成物」ともいう。)を用いて形成される。ここで、濃色組成物とは、555nmにおいて高い光学濃度を有する組成物のことであり、その値は2.0以上が好ましく、2.0〜10.0がより好ましく、3.0〜6.0が更に好ましく、4.0〜5.5が特に好ましい。
また、この濃色組成物は、後述するように好ましくは光開始系で硬化させる為、露光波長(一般には紫外域)に対する光学濃度も重要である。すなわち、その値は2.0〜10.0であり、好ましくは3.0〜6.0、最も好ましいのは4.0〜5.5である。2.0未満では濃色離画壁形状が望みのものとならない恐れがあり、10.0を超えると、重合を開始することができず濃色離画壁そのものを作ることが困難となる。
以下、該組成物中の成分について説明する。
本発明に用いる着色剤としては、具体的には、下記染料、顔料に記載のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
しかしながら、一般に黒色着色剤(黒色顔料や黒色染料)と呼ばれているものでも厳密には完全な黒色(可視光の吸光度が、全波長域にわたり等しい)というわけではない。例えば代表的な黒色顔料であるカーボンブラックの場合でも色調は作成方法、粒径、ストラクチャー等により変化し、特に粒径がこの色調に大きく寄与する。粒径については、10〜75nmが好ましく、より好ましくは12〜50nm、更に15〜40nmの範囲が好ましい。粒径が10nm未満であったり、75nmを超えると、 A600/A500の値が0.7〜1.4の範囲から外れるために好ましくない。
尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36
C.I.ピグメント・ブラウン23、C.I.ピグメント・ブラウン25
C.I.ピグメント・ブラック1、C.I.ピグメント・ブラック7等が挙げられる。
濃色組成物に用いるバインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。この他に水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよい。
濃色組成物を硬化させる方法としては、熱開始剤を用いる熱開始系や光開始剤を用いる光開始系が一般的であるが、本発明では、光開始系を用いることが好ましい。ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X 線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述の多官能性モノマーの重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
濃色組成物に用いる多官能性モノマーとしては、下記化合物を単独で又は他のモノマーとの組合わせて使用することができる。具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼンジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ジアリルフマレート、トリメリット酸トリアリル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
本発明の濃色組成物においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
本発明における濃色離画壁又は感光性転写材料においては、後述するスリット状ノズル等を用いることにより、濃色組成物を基板又は仮支持体に塗布することができるが、該濃色組成物中に適切な界面活性剤を含有させることにより、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラを効果的に防止することができる。
上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
尚、濃色組成物の全固形分に対する界面活性剤の含有量は、0.001〜1%が一般的であり、0.01〜0.5%が好ましく、0.03〜0.3%が特に好ましい。
本発明の濃色組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物の他、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
尚、濃色組成物の全固形分に対する紫外線吸収剤の含有量は、0.5〜15%が一般的であり、1〜12%が好ましく、1.2〜10%が特に好ましい。
−熱重合防止剤−
また、本発明の濃色組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
尚、濃色組成物の全固形分に対する熱重合防止剤の含有量は、0.01〜1%が一般的であり、0.02〜0.7%が好ましく、0.05〜0.5%が特に好ましい。
また、本発明の濃色組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
本発明における離画壁の形状を容易且つ低コストで実現するものとして、仮支持体上に少なくとも濃色感光性樹脂組成物からなる層(感光性転写層もしくは感光性樹脂組成物層ということあり)と、必要に応じて更に、酸素遮断層とを有してなる濃色感光性転写材料(以下、「感光性転写材料」ともいう。)を使用するという後述の手法(3),(4)がある。酸素遮断層を有する材料を用いた場合、濃色感光性樹脂組成物からなる層は酸素遮断層に保護されるため自動的に貧酸素雰囲気下となる。そのため露光工程を不活性ガス下や減圧下で行う必要がないため、現状の工程をそのまま利用できる利点がある。
上記の感光性転写材料における仮支持体としては、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等、薄いシート若しくはこれらの積層体が好ましい。前記仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
上記の感光性転写材料における濃色感光性樹脂組成物層は、前記濃色組成物から形成され、その形状等の特性、形成方法等については、前記塗布法により形成された層と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明における感光性樹脂転写材料においては、露光時の酸素を遮断する目的から、仮支持体上に形成された感光性樹脂組成物層上に酸素遮断層を設けることが好ましい。該酸素遮断層は後述の濃色離画壁の項に記載した酸素遮断層と、物性、特性等が全て同様であり好ましい態様も同様である。
上記の感光性転写材料は、必要に応じて熱可塑性樹脂層を有していてもよい。かかる熱可塑性樹脂層とは、アルカリ可溶性であることが好ましく、少なくとも樹脂成分を含んで構成され、該樹脂成分としては、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂層が設けられることにより、後述する濃色離画壁形成方法において、永久支持体との良好な密着性を発揮することができる。
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層には、上記の熱可塑性樹脂の少なくとも一種を適宜選択して用いることができ、更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質についても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。また、これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤或いは界面活性剤、離型剤、等を加えることもできる。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。
感光性樹脂組成物層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂組成物層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。尚、保護フイルムの厚さは、4〜40μmが一般的であり、5〜30μmが好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる酸素遮断層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後濃色感光性樹脂組成物用塗布液を、酸素遮断層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。なお、熱可塑性樹脂層を設けない場合には酸素遮断層の溶剤の制約は特に必要がない。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び酸素遮断層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂組成物層を設けたシートを用意し、酸素遮断層と濃色感光性樹脂組成物層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フイルム上に濃色感光性樹脂組成物層及び酸素遮断層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と酸素遮断層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
前記基板(永久支持体)としては、金属性支持体、金属張り合わせ支持体、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なガラスや透明合成樹脂フィルムが挙げられる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に感光性樹脂組成物からなる層を形成する工程(感光性樹脂組成物層形成工程)と、該感光性樹脂組成物からなる層を貧酸素雰囲気下で露光し現像して濃色離画壁を形成する工程(濃色離画壁形成工程)と、該濃色離画壁形成後の濃色離画壁間に着色液体組成物の液滴を付与して画素を形成する工程(画素形成工程)と、を有することを特徴とする。
本発明における感光性樹脂組成物からなる層は、感光性樹脂組成物から形成されるが、好ましくは前記濃色感光性樹脂組成物(濃色組成物)を用いて前記基板上に塗布して形成される(塗布法)か、又は、前記感光性転写材料を用いて前記基板上に感光性樹脂組成物層を転写して形成される(転写法)ことが好ましい。
まず、基板を洗浄した後、該基板を熱処理して表面状態を安定化させる。該基板を温調後、前記濃色組成物を塗布する。引き続き、溶媒の1部を乾燥して塗布層の流動性をなくした後、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)等にて基板周囲の不要な塗布液を除去し、プリベークして濃色感光性樹脂組成物層を得る。
前記塗布としては、特に限定されず、公知のスリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(例えば、エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)等を用いて行うことができる。
前記乾燥は、公知の乾燥装置(例えば、VCD(真空乾燥装置;東京応化工業社製)等)を用いて行うことができる、
プリベークとしては、特に限定されないが、例えば、120℃3分間することにより達成することができる。前記得られた濃色感光性樹脂組成物層の膜厚は、前述の通りである。
まず、前述の感光性転写材料の保護フィルムを剥離除去した後、露出した濃色感光性樹脂組成物層の表面を永久支持体(基板)上に貼り合わせ、ラミネータ等を通して加熱、加圧して積層する(積層体)。ラミネータには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーター等の中から適宜選択したものが使用でき、より生産性を高めるには、オートカットラミネーターも使用可能である。
次いで、仮支持体を除去して感光性樹脂組成物からなる層(感光性樹脂組成物層)を形成する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、前記感光性樹脂組成物層形成工程で得られた前記感光性樹脂組成物からなる層を貧酸素雰囲気下で露光し現像して濃色離画壁を形成する工程を有する。
ここで、前記貧酸素雰囲気下とは、本発明における濃色組成物又は濃色組成物層を光硬化させる際の酸素の分圧が0.15気圧以下、又は、酸素を遮断しうる酸素遮断層下のことを指しており、これらは詳しくは以下の通りである。
通常、大気(1気圧)下では酸素の分圧は0.21気圧であるので、酸素の分圧を0.15気圧以下に下げるためには、(a)露光時の大気を減圧して0.71気圧以下にするか、(b)空気と酸素以外の気体(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)を空気に対して40vol%以上混合することにより達成できる。
本発明における貧酸素雰囲気については、特に限定されず前記いずれの方法も用いることが出来る。
前記酸素分圧は0.15気圧以下とする方法を用いる場合、0.10気圧以下が好ましく、0.08気圧以下がより好ましく、0.05気圧以下が特に好ましい。酸素分圧が0.15気圧より高いとb/aの値が0.8未満になり、画素形成時に不都合が発生する場合がある。
酸素分圧の下限には特に制限はない。真空又は雰囲気を空気以外の気体(例えば窒素)で置換することにより酸素分圧を事実上0にすることができるが、これも好ましい方法である。酸素分圧は酸素計を用いて測定することができる。
即ち、(1)前記塗布法により、基板上に塗布乾燥して形成された濃色感光性樹脂組成物層を、貧酸素雰囲気下(酸素分圧が0.15気圧以下)で露光し現像して形成する。
また、(2)前記塗布法により、基板上に塗布乾燥して形成された濃色感光性樹脂組成物層を、貧酸素雰囲気下(前記濃色感光性樹脂組成物層上に酸素遮断層を設けた状態)で露光し現像して形成する。
(3)前記転写法により、基板上に転写形成された濃色感光性樹脂組成物層(濃色感光性転写層)を、貧酸素雰囲気下(酸素分圧が0.15気圧以下)で露光し現像して形成する。
(4)前記転写法により、基板上に転写形成された濃色感光性樹脂組成物層(濃色感光性転写層)を、貧酸素雰囲気下(前記濃色感光性樹脂組成物層上に酸素遮断層を設けた状態)で露光し現像して形成する。
本発明で言う酸素遮断層とは、500cm3/(m2・day・atm)以下の酸素透過率を有する層であるが、酸素透過率は100cm3/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、50cm3/(m2・day・atm)以下であることがより好ましい。酸素透過率が500cm3/(m2・day・atm)より多い場合は効率的に酸素を遮断することができないため、濃色離画壁を前記所望の形状にすることが困難となる。
具体的にはポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどを主成分とする層が好ましいが、このうちポリビニルアルコールを主成分とするものが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましい。本発明の酸素遮断層における前記ポリビニルアルコールの含有量としては、25質量%〜99質量%が好ましく、50質量%〜90質量%がより好ましく、50質量%〜80質量%が特に好ましい。また、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどのポリマーを添加してもよいが、このうちポリビニルピロリドンが好ましい。これらのポリマーの添加量は層全体の1〜40質量%、より好ましくは10〜35質量%である。ポリビニルピロリドンの添加量が多すぎると酸素遮断性が不充分になる場合がある。
まず、前記濃色感光性樹脂組成物層を有する基板と画像パターンを有するマスク(例えば、石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該濃色感光性樹脂組成物層の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、窒素雰囲気下にて露光する。
該露光としては、例えば、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(例えば、日立電子エンジニアリング株式会社製)等で行い、露光量としては適宜(例えば、300mJ/cm2)選択することができる。また、貧酸素雰囲気下として窒素パージして酸素分圧を制御する方法を用いる場合は、その酸素分圧は酸素計(G−102型、飯島電子工業製等)を用いて測定することができる。
前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、該濃色感光性樹脂組成物層の表面を均一に湿らせることが好ましい。前記現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
光照射に用いる光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
基板上に形成される濃色離画壁の断面形状において、基板と濃色離画壁の断面の交点をA1及びA2、該濃色離画壁の最も高さの高い点をH、Hから基板に下ろした垂線の足をG、Hを通り基板表面に平行な直線をL0、HとGをHP:PG=1:3に内分する点をP、Pを通り基板表面に平行な直線をL1、L1が濃色離画壁の断面と交わる点をB1及びB2とし、A1とA2の距離をa、B1とB2の距離をbとするとき、前記貧酸素雰囲気下の二つの寄与により、b/aの値を0.5以上2.0以下に調整することができる。
これらの値は、実際には基板上に形成された濃色離画壁を、基板ごと垂直にカットして断面を露出させ、顕微鏡等で直接観察することで測定する。こうして得られた濃色離画壁形状を固定化する工程を経ることで、例えば、カラーフィルタに用いた場合、一旦その空隙に打滴されたインクは該濃色離画壁を乗り越えにくくなる。その結果、隣接画素との混色などを防いで良好なカラーフィルタを得ることができる。
前記b/aの値は0.5以上2.0以下であることが必要であるが、インクが濃色離画壁を乗り越えにくくなるという観点から0.85以上1.15以下であることがより好ましく、0.9以上1.1以下であることが特に好ましい。前記b/aの値が1の場合は、濃色離画壁の形状は垂直となり、光漏れ(色漏れ)は起こりにくいため、本発明の効果としては現れ難い。
前記光学濃度の範囲とすることにより、前記コントラストの高いカラーフィルタ及び表示装置が得られて好ましい。また、カラーフィルタ及び表示装置の表示品位の点から、前述の通り濃色離画壁の色は黒であることが好ましい。
図3(A)は、光学濃度が2.0以上、かつb/a値>1である本発明のカラーフィルタの一例を示す断面図であり、図3(B)は、光学濃度が2.0以上、かつb/a値<1である本発明のカラーフィルタの一例を示す断面図である。
これらの図3(A)及び(B)は、濃色離画壁1の両側に、2色の画素2、3を有した場合を示している。いずれの場合も、前記条件を満たすことにより、光は濃色離画壁で遮断・吸収されて、光漏れ(色漏れ)の発生がないため、表示品位が高いカラーフィルタが得られる。
一方、図4(A)は、光学濃度が2.0未満で、かつb/a値>1である従来のカラーフィルタの一例を示す断面図であり、図4(B)は、光学濃度が2.0未満、かつb/a値<1である従来のカラーフィルタの一例を示す断面図である。
これらの図4(A)及び4(B)は、濃色離画壁4の両側に、2色の画素5、6を有した場合を示している。いずれの場合も前記条件を満たさないため、順・逆テーパーの濃色離画壁は光を透過してしまい、その結果光漏れ(色漏れ)が生じ、表示品位が低いカラーフィルタとなる。
前記吸光度の比が上記好ましい範囲外であると、濃色離画壁が着色して見えるために好ましくない。
前記吸光度比の好ましい範囲は、着色剤種を調整することで達成できる。
前記濃色離画壁を形成した基材に接触させる撥油・撥水性化合物は、ラジカル重合可能であり、撥油・撥水性の官能基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、それらは、モノマー、マクロマー、オリゴマーなどのいずれの形態を有するものであってよい。以下、このような化合物を、適宜、単に撥油・撥水性化合物と称する。
本発明において撥油・撥水性、即ち、低表面エネルギーのグラフトパターンにおいて高いディスクリミネーションを発現するという観点からは、形成されたグラフトポリマーの空中水滴接触角として80°以上あることが望ましい。この高い撥油・撥水性の値はESCAで測定した表面原子量の割合で予想することができる。シリコン系グラフトの場合は表面の元素組成中に占めるSiの比率がSi、C、およびOの合計量に対して10原子%以上あればほぼ達成できる。またフッ素グラフトの場合は表面の元素組成中に占めるFの比率がF、C、およびOの合計量に対して30原子%以上必要である。このことは、この表面原子量を達成するには少なくともシリコン系モノマーの場合にはモノマーの構成原子のうちケイ素量は10原子%以上必要であり、またフッ素系モノマーの場合はフッ素の量として30原子%以上必要であることを意味する。従って高い撥油・撥水性を発現するにはこのような要件を満足するモノマーを使用することが必要である。
また、表面原子量を有するグラフトポリマーを生成させるための材料としての、マクロマー、オリゴマー、ポリマーなども、同様に、分子中のケイ素やフッ素の原子の含有割合が上記の範囲であるものを用いることが必要である。
以下、本発明において用いられるフッ素含有モノマー、及びケイ素(シリコーン)含有モノマーについて説明する。
(フッ素含有モノマー)
前記グラフトポリマー生成工程に用いられるフッ素含有モノマーとしては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のフッ素含有モノマーが挙げられる。
CH2=CR1COOR2Rf・・・(I)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CpH2p−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH2CH2O−、Rfは−CnF2n+1、−(CF2)nH、−CnF2n+1−CF3、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1、−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。〕
(式中Rgは炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CHRg・・・(III)
(式中Rgは炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CR3COOR5RjR6OCOCR4=CH2 ・・・(IV)
〔式中、R3、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6は−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−又は−CH2CH2O−、Rjは−CtF2tである。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。〕
CH2=CR7COOCH2(CH2Rk)CHOCOCR8=CH2・・・(V)
(式中、R7、R8は水素原子又はメチル基、Rkは−CyF2y+1である。但し、yは1〜16の整数である。)
一般式(I)で示されるモノマーとしては、例えばCF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2、CF3CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C7F15CON(C2H5)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)4CH(CH3)OCOC(CH3)=CH2、
併用する場合の配合量はフッ素含有モノマーに対して50質量%以下が好ましい。
本発明に用いうるシリコーン系モノマーとしては、Si−CH3基もしくは−O−Si−CH3基を有するシリコン系モノマーを挙げることが出来る。具体的にはシリコンアクリレートまたはシリコンメタクリレートであり、一般式(CH3O)mSi(CH3)n−R3−O−CO−CR4=CH2で表されるもの等が挙げられ、R3は連結基であり、R4はメチルもしくは水素であり、m及びnはm+n=3を満たす正の整数を表わす。その他、例えば、特開2003−335984号公報の段落番号〔0025〕に記載されるシリコン系モノマーもまた、好適なものとして挙げることができる。
前記グラフト重合によりグラフトパターンを形成するには、前記濃色離画壁パターンが形成された濃色離画壁表面に撥油・撥水性の官能基を有する重合性モノマーを配置し、露光などによる輻射線照射、により活性エネルギーを付与すればよい。このとき、重合性モノマーを単独で付与するいわゆる無溶媒で実施してもよいが、他の溶剤や添加剤を含有する組成物として適用してもよい。
無溶媒で実施する場合、濃色離画壁パターンを形成した基板に適用される撥油・撥水性化合物を含有する組成物中の本発明に係る撥油・撥水性化合物(モノマー)の濃度は100%となる。また、ハンドリング性の観点から、このようなモノマーが溶解するような溶媒で希釈してもよい。ここで用いる溶媒には特に制限はないが、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等が好ましい。また、このとき、該組成物中には、撥油・撥水性モノマーとともに、他の単官能及び多官能モノマーや、界面活性剤、増粘剤等で、グラフト重合によるポリマー化に悪影響を与えない範囲で公知の添加剤を添加してもよい。
また、酸素による重合阻害を防止するため、これら組成物の適用並びにグラフト重合反応を窒素などの不活性ガス雰囲気下で行なったり、モノマーを適用した表面を、グラフト重合反応を生起させるための活性エネルギー線が透過する材質、例えば、ガラス、石英、透明プラスチック製の板やフィルム等で覆って行ってもよい。
濃色離画壁パターンの表面のみにおいてグラフトが効率よく生成されるという観点からは、マスクを用いて平行光線を露光面に垂直に照射することが好ましく、そのような観点からは、光源として、平行光源等が好ましく挙げられる。具体的には、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー、半導体レーザー、YAGレーザー等が挙げられる。
このような露光により、濃色離画壁パターンの表面(露光面)のみで、撥油・撥水性化合物がグラフト重合により表面に固定化され、濃色離画壁パターンの表面のみが選択的に撥油・撥水性の特性を有するようになる。
メタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、トルエン、ヘキサンなどの炭化水素系溶媒で洗浄する。洗浄方法としては浸漬洗浄、スプレー洗浄、のほかブラシなどの機械的な補助をもちいて洗浄してもよい。
接触角を70°以上とするための手段として、含フッ素樹脂(A)を含有する感光性樹脂組成物(濃色感光性樹脂組成物)より得られるフォトレジストを用いて濃色離画壁を作製する方法がある。
含フッ素樹脂は、エチレン性二重結合とRf基(a)とを有する単量体に基づく単量体単位と、エチレン性二重結合と酸性基(b)とを有する単量体に基づく単量体単位とを含む共重合体であって、酸価が1〜300mgKOH/gであるのが好ましい。エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
ただし、R1は水素原子又はメチル基を、Q1は単結合又は炭素数1〜6の2価有機基を、Q2は炭素数1〜6の2価有機基を、それぞれ示す。Q1、Q2は環状構造を有していてもよい。また、
Rfはフッ素含有モノマーの項のRfと同義であり好ましい例も同様である。
また、Q1、Q2の具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH3)2−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−CH2(CH2)3CH2−、−CH(CH2CH(CH3)2)−、−CH2CH(OH)CH2−、−CH2CH2NHCOOCH2−、−CH2CH(OH)CH2OCH2−等が挙げられる。Q1は単結合であってもよい。なお、合成の容易さの観点から、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(OH)CH2−が好ましい。
CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n−1CF3(nは3〜9)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C6F13 (nは2〜6)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C3F7(nは2〜6)。
CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n−1CF3 (nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C3F7(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C6F13(nは2〜6)。
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF2O(CF2CF2O)n−1CF3(nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C6F13(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n−1C3F7(nは2〜6)。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、もしくはそれらの塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フェノール性水酸基を有する単量体としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。またこれらのベンゼン環の1個以上の水素原子が、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
Rf基(a)とカルボキシル基を有する化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
・一般式(1)
HOOC−Cp−1F2(p−1)−O−(CpF2p−O)n−1−CqF2q+1
一般式(1)中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を示す。
・一般式(2)
HOCH2−Cp−1F2(p−1)−O−(CpF2p−O)n−1−CqF2q+1
一般式(2)中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を示す。
エチレン性二重結合を有する酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−ブテン−1−イルスシニックアンハイドライド等が挙げられる。
接触角を70°以上とするための手段として、濃色離画壁を形成した基板上の濃色離画壁に合致した位置にインキ反発性を有する撥水層(以下、「仕切り壁」ともいう。)を作製する方法がある。
インキ反発性を有する仕切り壁として、シリコーンゴム層を用いることが好ましい。表層に塗設されるシリコーンゴム層は、着色に用いる溶液およびインクに対して反発効果を有することが必須であり、これに限定されるものではないが、次の様な繰り返し単位を有する分子量数千〜数十万の線状有機ポリシロキサンを主成分とするものである。
また、シリコーンゴムには、触媒として少量の有機スズ化合物などが添加される。感光性樹脂組成物層とシリコーンゴム層の接着のために層間に接着層として種々のものを用いることがあり、特にアミノシラン化合物や有機チタネ−ト化合物が好ましい。感光性樹脂組成物層とシリコーンゴム層間に接着層を設ける代わりにシリコーンゴム層に接着成分を添加しておくこともできる。この添加接着成分としてもアミノシラン化合物や有機チタネ−ト化合物が使用できる。
接触角を70°以上とするための手段として、濃色離画壁を形成した基板に、プラズマによる撥水化処理をする方法がある。
本工程において導入する、少なくともフッ素原子を含有するガスとしては、CF4 、CHF3 、C2F6 、SF6 、C3F8 、C5F8 から選択されるハロゲンガスを1種以上用いることが好ましい。特に、C5F8 (オクタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が0であると同時に、大気寿命が従来のガスに比べて(CF4 :5万年、C4F8 :3200年)0.98年と非常に短い。従って、地球温暖化係数が90(CO2 =2とした100年積算値)と、従来のガスに比べて(CF4 :6500、C4F8:8700)非常に小さく、オゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使用する上で望ましい。
接触角を70°以上とするための手段として、濃色離画壁を形成した基板に、撥水性を有する材料を全面に塗布する方法がある。
撥水性を有する材料としてはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、パーフルオロアルキルアクリレート、ハイドロカーボンアクリレート、メチルシロキサン等、一般に撥水材料と考えられるもので着色剤に対する接触角が60°以上のものであれば特に限定されるものではない。
次に、基板裏面側から濃色離画壁を介してUVO3 処理を行い、濃色離画壁以外の部分の撥水膜を選択的に除去または親水化処理(着色剤に対する接触角が処理前後で30°以上の開きがある)する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、前記濃色離画壁形成後の濃色離画壁間に着色液体組成物の液滴を付与して2色以上の色を有する、複数の画素からなる画素群を形成する工程(画素形成工程)を有する。
画素形成工程では、前記濃色離画壁形成工程にて基板上に形成された濃色離画壁間の空隙に対し、2色以上の画素(例えば、RGB各画素)を形成する為の着色液体組成物を液滴付与することにより濃色離各壁の空隙に侵入させて2色以上の色を有する複数の画素を形成する。
この着色液体組成物を濃色離画壁空隙に侵入させる方法としては、インクジェット法やストライプギーサー塗布法など公知のものを使用することができ、インクジェット法がコスト的に好ましい。
また、このように各画素を形成する前に、濃色離画壁の形状を固定化してもよく、その手段は特に限定されないが以下のようなものが挙げられる。
すなわち、1)現像後、再露光を行う(ポスト露光と呼ぶことがある)、2)現像後、比較的低い温度で加熱処理を行う等である。ここで言う加熱処理とは濃色離画壁を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプを照射するということをさす。
本発明に用いるインクジェット方式としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
用いるインクは油性、水性であっても使用できる。また、そのインクに含まれる着色剤は染料、顔料ともに使用でき、耐久性の面からは顔料の使用がより好ましい。また、公知のカラーフィルタ作製に用いる、塗布方式の着色インク(着色樹脂組成物、例えば、特開2005−3861号公報[0034]〜[0063]記載)や、特開平10−195358号公報[0009]〜[0026]に記載のインクジェット用組成物を使用することもできる。
本発明におけるインクには、着色後の工程を考慮し、加熱によって硬化する、又は紫外線などのエネルギー線によって硬化する成分を添加することもできる。加熱によって硬化する成分としては各種の熱硬化性樹脂が広く用いられ、またエネルギー線によって硬化する成分としては例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光反応開始剤を添加したものを例示できる。特に耐熱性を考慮してアクリロイル基、メタクリロイル基を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのアクリレート誘導体、メタクリレート誘導体は水溶性のものが好ましく使用でき、水に難溶性のものでもエマルション化するなどして使用できる。
この場合、上記<濃色組成物>の項で挙げた、顔料などの着色剤を含有させた感光性樹脂組成物を、好適なものとして用いることができる。
このカラーフィルタは、液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PLZT等と組合せて表示素子として用いられる。カラーカメラやその他のカラーフィルタを用いる用途にも使用できる。
本発明の表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明において、前記カラーフィルタを有する表示装置であれば、特に限定されるものではないが、それらの中でも、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
本発明は、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく適用できる。
濃色感光性樹脂組成物は、まず下記濃色感光性樹脂組成物処方に記載の量のカーボンブラック分散液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダーP−1、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られる。
・カーボンブラック分散液(カーボンブラックの粒径20nm) 23部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 8.0部
・メチルエチルケトン 53部
・バインダーP−1 9.1部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002部
・DPHA液 4.5部
・2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン 0.16部
・界面活性剤1 0.055部
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1部
・分散剤(下記参照) 0.80部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.38部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
・下記構造物1 30部
・メチルエチルケトン 70部
(濃色離画壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、前記濃色感光性樹脂組成物を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の1部を乾燥して塗布層の流動性をなくした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.2μmの濃色感光性樹脂組成物層を得た。
表面が露出した濃色離画璧ガラス基板を用意し、230度で5分間加熱した。基板が冷めてから、表面にアセトンと水をかけて洗浄し、UVオゾンクリーナー『UVO−CLEANER モデルNo.42』(NIPPON LASER & ELECTRONICS LAB製)で5分間処理した。
フッ素系モノマーとしては2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレート(『CHEMINOX FAMAC』、ユニマテック製 下記構造)を用いた。FAMACはメチルプロピレングリコール(MFG)に溶かして5%の溶液とした。
10cm×1.5cmにカットした基板上に約0.5mlのFAMAC/MFG溶液を落とし上から石英板をかぶせてできるだけ均一な液膜とした。これをUV露光装置UVX−02516S1LP01(高圧水銀灯、USHIO製)で1分間露光した。露光後に石英版をはずし、得られたフッ素系グラフト膜の余分な部分はアセトンをかけて洗浄した。
なお、ここで用いたCHEMINOX FAMACの構造は以下に示すとおりである。
次いで、インクジェット装置を用いR、G、Bそれぞれのインクをブラックマトリックスパターン様離画壁の間隙に付与して着色した。
このインクは、下記の成分のうち、先ず、顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得、その顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、R(赤色)インクを調製した。
〈Rインクの組成〉
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) 5部
・高分子分散剤(AVECIA社製ソルスパース24000) 1部
・バインダー(グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体) 3部
・第一エポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂、油化シェル社製エピコート154)
2部
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル) 5部
・硬化剤(トリメリット酸) 4部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル 80部
画素着色後のカラーフィルタを230℃オーブン中で30分ベークすることで、濃色離画壁(ブラックマトリックス)、各画素共に完全に硬化させて、カラーフィルタを得た。
得られたカラーフィルタを低圧水銀灯(有効波長254nm)UV洗浄装置で洗浄し残渣及び異物を除去してから、下記透明オーバーコート剤を塗布・ベークする。膜の厚さが1.5μmになるように前面塗布後、230℃で40分間ベークした。この時、透明オーバーコート層を形成する塗布液は、下記の化学式6のポリアミック酸と化学式7のエポキシ化合物を3:1の重量比で混合して使用した。
前記オーバーコート層が形成されたカラーフィルタ上に、ITO(インジウム錫酸化物)をスパッタリングにより形成して、ITO透明電極基板を得た。
特開2004−240335号公報の[実施例1]に記載のスペーサ形成方法と同様の方法で、上記で作製したITO透明電極上にスペーサを形成した。
下記のポジ型感光性樹脂層用塗布液を用いて、前記スペーサを形成したITO透明電極上に塗布、露光、現像、及びベークして液晶配向制御用突起を形成した。
但し、露光、現像、及び、ベーク工程は、以下の方法を用いた。
所定のフォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティ露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cm2でプロキシミティ露光した。
続いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像した。こうして、感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去することにより、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を得た。
次いで、該液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を230℃下で30分ベークすることにより、液晶表示装置用基板上に硬化された液晶配向制御用突起を形成した。
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製FH−2413F) 53.3部
・メチルエチルケトン 46.7部
・メガファックF−780F(大日本インキ化学工業(株)製) 0.04部
上記で得られた液晶表示装置用基板上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、MVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)製FWL18EX−N)のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
(b/a値:図1参照)
得られたカラーフィルタを基板ごと垂直にカットして断面を露出させ、走査型電子顕微鏡で撮影(倍率20000倍)した。基板と濃色離画壁の断面の交点をA1及びA2とし、該濃色離画壁の最も高さの高い点をH、Hから基板に下ろした垂線の足をG、Hを通り基板表面に平行な直線をL0、HとGをHP:PG=1:3に内分する点をP、Pを通り基板表面に平行な直線をL1、L1が濃色離画壁の断面と交わる点をB1及びB2、A1とA2の距離をa、B1とB2の距離をbとして、b/a値を求めた。測定はランダムに選んだ10点について行い、それらの値を平均して求めた値を表1に示す。
上記の走査型電子顕微鏡写真から以下の方法で濃色離画壁の上端角部の形状を評価することができる。該濃色離画壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをH、Hから基板に下ろした垂線の足をG、直線HG上にありHとGをHQ:PQ=1:4に内分する点をQとして、Qを通り基板表面に平行な直線をL2とする。L2が濃色離画壁の断面と交わる点をR、Rにおける接線をL3とする。L3とL0の交点Sとする。濃色離画壁の高さをh、Sから濃色離画壁の断面までの距離をdとした時、d/hの値を濃色離画壁の上端角部の形状の尺度とする。d/hの値が、0.06以下であれば混色が起こりにくく、更にこの値が0.04以下であればより混色が起こりにくくなる。
露光マスクを用いず試料全面に露光する以外は濃色離画壁を作製する方法と同様にしてガラス板上に濃色離画壁と同一厚みのベタ画像を作製した。この試料の膜の光学濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製TD−904)を用いて測定した(OD)。別途ガラス基板の光学濃度を同様の方法で測定した(OD0)。ODからOD0を差し引いた値を膜の光学濃度とする。各測定試料の光学濃度を表1に示す。
得られたカラーフィルタを200倍の光学顕微鏡で目視観察して画素間の混色の有無を調べた。1000画素観察して下記のランクに分けた。結果を表1に示す。許容されるのはAランクとBランクのものである。
Aランク:混色が全くないもの
Bランク:混色が1〜2箇所のもの
Cランク:混色が3〜10箇所のもの
Dランク:混色が11箇所以上のもの
得られたカラーフィルタを光学顕微鏡(MX50、オリンパス(株)製)により、目視観察して評価した。結果は表1に示す。
協和界面社製自動液晶ガラス洗浄・処理検査装置「LCD−400S」を用いて、上記濃色離画壁について、前記Rインクに対する接触角を測定した。
濃色離画壁表面について微細パターンの周囲に設けられた幅5mmの額縁上にて測定を行い、その結果を表1に示す。
濃色離画壁上面の面状を言い、その濃色離画壁面状の評価はTENCOR社製触針式表面粗さ計「FP−20」を用い、純水に対する接触角同様に幅5mmの額縁上にて平均粗さ(Ra)を測定した。下記基準で評価して、その結果を表1に示す。
○:Ra=3.5nm未満で良好であるレベル。
△:Ra=3.5nm以上〜6.0nm以下で、やや平滑性が良くないが実用上問題がないレベル。
×:Ra=6.0nm超で、平滑性が悪く実用上問題があるレベル。
得られた液晶表示装置を白表示した場合、及び、黒表示した場合の表示品位を目視で観察し、白表示及び黒表示の両方とも良好な表示品位を○、一方のみが良好な表示品位を△、白表示及び黒表示の両方とも不良の表示品位を×として評価し、結果を表1に示した。
実施例1において、ガラス基板上に形成された濃色離画壁の形状、高さ、ODを表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施してそれぞれのカラーフィルタ、液晶表示装置を得、同様に評価した。但し、比較例1、2は実施例1に記載の撥水処理は除いた。結果を表1に示す。
(濃色感光性樹脂転写材料の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて濃色感光性樹脂組成物を塗布して、100℃で3分間乾燥して乾燥膜厚が9.7μmの濃色感光性樹脂組成物層を設け、この上に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着して、濃色感光性樹脂転写材料を得た。
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂組成物層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。なお露光は窒素パージして窒素雰囲気下で行った。このときの酸素分圧は0.02気圧であった。
その後更に、該基板に対して該濃色感光性樹脂組成物層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光後、220℃、15分熱処理し、濃色離画壁を得た。
この後、実施例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、ガラス基板上に形成された濃色離画壁の形状、高さ、ODを表1のように変更した以外は、実施例4と同様にして実施してカラーフィルタ、液晶表示装置を得、同様に評価した。但し、参考例1、2及び比較例3〜5は実施例4に記載の撥水処理は除いた。結果を表1に示す。
一方、参考例1、2の濃色離画壁面状は十分な品質とはいえないものの、実施例の全てにおいてほぼ良好は表示品位を示すことが分かる。
H 濃色離画壁の最も高さの高い点
G Hから基板に下ろした垂線の足
L0 Hを通り基板表面に平行な直線
L1 Pを通り基板表面に平行な直線
P HGをHP:PG=1:3に内分する点
B1及びB2 L1が濃色離画壁の断面と交わる点
a A1とA2の距離
b B1とB2の距離
Q 直線HG上にありHGをHQ:QG=1:4に内分する点
L2 Qを通り基板表面に平行な直線
L3 Rにおける接線
R L2が濃色離画壁の断面と交わる点
S L3とL0の交点
h 濃色離画壁の高さ
d Sから濃色離画壁の断面までの距離
1、4 濃色離画壁
2、3、5、6 画素
10 光線
Claims (13)
- 基板上に2色以上の色を有する、複数の画素からなる画素群を有し、該画素が互いに濃色離画壁により隔絶しているカラーフィルタであって、前記濃色離画壁の形状と光学濃度はそれぞれ下記条件(1)と(2)を満たし、かつ、前記濃色離画壁は感光性樹脂組成物層を露光、現像して形成され、更に、形成された前記濃色離画壁の表面に重合性基を有する撥油・撥水性化合物を接触させて輻射線照射により形成されたグラフトポリマーを含む撥油・撥水性グラクト膜を有し、前記画素は前記濃色離画壁の形成後に着色液体組成物の液滴付与により形成されたことを特徴とするカラーフィルタ。
(1)基板と濃色離画壁の断面の交点をA1及びA2とし、該濃色離画壁の最も高さの高い点をHとしたとき、Hから基板に下ろした垂線の足をGとし、Hを通り基板表面に平行な直線をL0とする。HとGをHP:PG=1:3に内分する点をPとし、Pを通り基板表面に平行な直線をL1とし、L1が濃色離画壁の断面と交わる点をB1、B2とする。A1とA2の距離をa、B1とB2の距離をbとするとき、b/aの値が0.5以上2.0以下である。
(2)濃色離画壁の555nmにおける光学濃度が2.0以上10以下である。 - 前記濃色離画壁の表面のインクジェットインクに対する接触角が70°以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
- 前記液滴付与する方法がインクジェット法であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ。
- 前記濃色離画壁の高さが1.8μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカラーフィルタ。
- 前記濃色離画壁が黒色であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカラーフィルタ。
- 前記重合性基を有する撥油・撥水性化合物がフッ素含有モノマー及びシリコン系モノマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカラーフィルタ。
- 前記フッ素含有モノマーが下記一般式(I)〜(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルタ。
〔式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−C n F 2n+1 −CF 3 、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 、−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。式(II)、(III)中、R g は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。式(IV)中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基、R 5 、R 6 は−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R j は−C t F 2t である。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。式(V)中、R 7 、R 8 は水素原子又はメチル基、R k は−C y F 2y+1 である。但し、yは1〜16の整数である。〕 - 前記一般式(I)において、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、R f は−C n F 2n+1 、pは1〜10、nは1〜16の整数である請求項7に記載のカラーフィルタ。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載のカラーフィルタの製造方法であって、基板上に感光性樹脂組成物からなる層を形成する工程と、該感光性樹脂組成物からなる層を貧酸素雰囲気下で露光し現像して濃色離画壁を形成する工程と、前記濃色離画壁表面に重合性基を有する撥油・撥水性化合物を接触させて撥油・撥水性グラフト膜を形成する工程と、該濃色離画壁形成後の濃色離画壁間に着色液体組成物の液滴を付与して画素を形成する工程と、を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 前記重合性基を有する撥油・撥水性化合物がフッ素含有モノマー、シリコン系モノマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記フッ素含有モノマーが下記一般式(I)〜(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−C n F 2n+1 −CF 3 、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 、−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。式(II)、(III)中、R g は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。式(IV)中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基、R 5 、R 6 は−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−、R j は−C t F 2t である。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。式(V)中、R 7 、R 8 は水素原子又はメチル基、R k は−C y F 2y+1 である。但し、yは1〜16の整数である。〕 - 前記一般式(I)において、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は−C p H 2p −、R f は−C n F 2n+1 、pは1〜10、nは1〜16の整数である請求項11に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
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