JP2008003413A - カラーフィルタ及びその製造方法並びに表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ及びその製造方法並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化した着色領域の硬度の高いカラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを備えた表示装置の提供。
【解決手段】有機溶剤、着色剤及び多官能アクリルモノマーを少なくとも含むインクをインクジェット方式で基板上に打滴して形成された着色領域を、低温乾燥後高温乾燥して硬化することを特徴とするカラーフィルタの製造方法及びその方法により製造されたカラーフィルタ並びにこのカラーフィルタを用いた表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタの製造方法及びその方法により製造されたカラーフィルタ並びにカラーフィルタを用いた表示装置に関する。
近年、パーソナルコンピューター、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、カラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来の製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、およびBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題を解決したカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式で着色インク(インクジェットインク)を吹き付けして着色領域を形成する方法が提案されている。
カラーフィルタを形成するためのインクジェットインクとして、形成した膜を硬化させるためにエポキシ化合物やアクリレートモノマーを用いたものが知られている。例えば、アクリレートモノマーを用いた光硬化型のインクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、光硬化工程が必要になることにより、タクトタイムが伸びる、設備、露光装置のスペースが必要といった問題があった。
また、アクリレートモノマーを用い高温乾燥のみで着色層を形成する実施例があるが(例えば、特許文献2参照。)、この方法では表面硬度が低くカラーフィルタの耐傷性に問題を有していた。
また、エポキシ化合物を用いたものについては、低温乾燥後、高温乾燥することによりクラックを防止している記載がある(例えば、特許文献3参照。)。しかし、アクリレートについての記載および膜の硬度が上昇することについての記載はない。
さらに、単官能アクリレートモノマーを用い、低温乾燥及び高温乾燥を実施した発明が開示されているが(例えば、特許文献4参照。)、着色領域の硬度に関する記載はない。
特開2002−201387号公報 特開2000−310706号公報 特開2003−66223号公報 特開2002−156520号公報
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、硬化した着色領域の硬度の高いカラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを備えた表示装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> 有機溶剤、着色剤及び多官能アクリルモノマーを少なくとも含むインクをインクジェット方式で基板上に打滴して形成された着色領域を、低温乾燥後高温乾燥して硬化することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
<2> 前記低温乾燥における乾燥温度が、40℃〜180℃であることを特徴とする<1>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<3> 前記高温乾燥における乾燥温度が、200℃以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<4> 減圧状態で前記低温乾燥を行うことを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<5> 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.グリーン.36であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<6> 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.レッド.254であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<7> 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.ブルー.15:6であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法である。
<8> <1>乃至<7>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタである。
<9> <8>に記載のカラーフィルタを備えた表示装置である。
本発明によれば、硬化した着色領域の硬度の高いカラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを備えた表示装置を提供することができる。
以下、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを備えた表示装置について詳細に説明する。
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタの製造方法は、有機溶剤、着色剤及び多官能アクリルモノマーを少なくとも含むインク(以下、「インクジェットインク」と称することがある。)をインクジェット方式で基板上に打滴して形成された着色領域を、低温乾燥後高温乾燥して硬化することを特徴とする。
インクジェットインクにより形成された着色領域を低温乾燥後に高温乾燥することにより着色領域の硬度を向上することができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、インクジェットインクに用いる有機溶剤の沸点よりも低い温度で乾燥(低温乾燥)させた後に、それよりも高温で加熱(高温乾燥)することが好ましい。
低温乾燥における乾燥温度は、好ましくは40〜180℃であり、特に好ましくは70〜150℃である。高温乾燥における乾燥温度は、好ましくは200℃以上であり、さらに好ましくは200℃〜300℃、特に好ましくは220℃〜300℃である。
低温乾燥における乾燥温度を高温乾燥の乾燥温度まで徐々に昇温して、その後高温乾燥してもよい。
乾燥時間は特に限定しないが、生産性を考慮すると短時間であることが好ましく、低温乾燥、高温乾燥共に1時間以内であることがより好ましい。
さらに、乾燥時間を短縮できる観点から、減圧状態で低温乾燥を行うことが好ましい。減圧状態とは50000Pa以下、好ましくは10000Pa以下の状態を指す。
−インクジェットインク−
本発明に用いられるインクジェットインクは有機溶剤、着色剤及び多官能アクリルモノマーを少なくとも含むものであり、分散剤、バインダー、光重合開始剤、熱重合開始剤、界面活性剤、或いは、その他の添加剤を必要に応じて含んでいても良い。
(インク残部の流動性)
本発明に用いられるインクジェットインクは、平均厚みを1mmとした状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件で8時間乾燥して得られたインク残部の粘度が25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下であることが好ましい。
前記インク残部の25℃における粘度は、50mPa・s以上3000mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以上2000mPa・s以下であることがさらに好ましく、50mPa・s以上1000mPa・s以下であることが特に好ましい。インク残部の粘度が上記範囲内であると溶剤の乾燥後においても着色領域(画素)が流動性を有するため、平坦な画素を得ることができる。
本発明における「インク残部」とは、インクジェットインクを、平均厚みを1mmとした状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件で8時間乾燥して得られた残渣をいう。ここで、平均厚みとは、容器底面積とインク容積から計算で求めた厚みである。粘弾性測定装置を用いてインク残部の粘度を測定する場合、例えば、インクジェットインクを平均厚みが1mmとなるようにアルミ製の受け皿に入れ、45℃で8時間真空乾燥(0.67kPa)を行い、得られた残渣(インク残部)を薬サジを用いてアルミ皿から集めて試料に供することができる。粘弾性測定装置を用いた粘度の測定は、例えば、Jasco International Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS-100を用いて温度25℃、周波数 1Hzの条件で測定できる。
インク残部の粘度は、レーザーピックアップ法を用いて測定してもよい。レーザーピックアップ法とは、電場の変化に対するペースト状化合物の表面の応答速度から粘度を測定する方法のことである。上記レーザーピックアップ法を用いた測定法の例として、まず、インクジェットインクをガラス板にスピナー塗布し、45℃で8時間真空乾燥(0.67kPa)を行い、これを測定試料とする。この試料のインク残部に強度の強い(0.6W程度)レーザー光を照射すると、試料界面は数nm程度の変形をする。変形量は非常に微小であるが、その中心付近の曲率は光を用いて検出できる程度に大きい。ここでは試料界面に変形を誘起するポンプ光として倍波のYAGレーザーを用い、変形を検出するプローブ光として十分に強度の弱いHe-Neレーザーを用いる。同表面に照射されたプローブ光は、試料表面の変形曲率を受けて広がって帰ってくるので、この一部を切り出し、強度変化を見ることで表面の変形情報を得ることができる。
ポンプ光をステップ関数的にon/offすると、試料表面はそれに追随して持ち上がり、また元のフラットな状態へ戻る。粘性の高い試料ではこの変形に時間を要すため、変形速度より粘性を測定する。また変形量そのものは主に表面張力によって決定されるので、信号強度の変化より粘度情報を得ることができる。
次に、本発明に用いられるインクジェットインクに含まれる各成分について詳しく述べる。
(着色剤)
本発明に用いられるインクジェットインクに使用される着色剤は、有機顔料、無機顔料、染料など、公知のものを使用できるが、十分な透過濃度や耐光性、基板への密着性、その他の諸耐性が要求されるため、種々の有機顔料が好適である。該着色剤の具体例としては、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。これらの中で、画素の保存安定性の点から、顔料が特に好ましい。
本発明における着色剤の含有量は特に限定されるものではないが、所望の色相、濃度を得るという観点から、インク残部に占める着色料の割合は20質量%以上が好ましく、20〜70質量%がさらに好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
インクジェットインクがレッドの場合、用いられる顔料の少なくとも一種がC.I.ピグメント.レッド.254であることが好ましい。インクジェットインクがグリーンの場合、顔料の少なくとも一種がC.I.ピグメント.グリーン.36であることが好ましい。インクジェットインクがブルーの場合、顔料の少なくとも一種がC.I.ピグメント.ブルー.15:6であることが好ましい。
本発明において、併用するのが好ましい上記記載の顔料の組み合わせは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、又は、C.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、又は、C.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23、又は、C.I.ピグメント・ブルー60との組み合わせが挙げられる。
このように併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド254、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド254は、60質量%以上が好ましく、特に70質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・グリーン36は50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・ブルー15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
本発明で用いる顔料は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料数平均粒径が0.001μm未満であると、粒子表面エネルギーが大きくなり凝集し易くなり、顔料分散が難しくなると共に、分散状態を安定に保つのも難しくなり好ましくない。また、顔料数平均粒径が0.1μmを超えると、顔料による偏光の解消が生じ、コントラストが低下し、好ましくない。尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値を言う。
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と後述する顔料分散剤及び有機溶剤とを予め混合して得られる組成物を、公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができる。この際に、顔料の分散安定性を付与するために、少量の樹脂を添加してもよい。また、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述するモノマーに添加して分散させることによって調製することも可能である。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
(顔料分散剤)
本発明に用いられるインクジェットインクには、顔料の分散安定性を得るために、顔料分散剤を添加することが好ましい。
その使用量はインクジェットインク全質量に対して0.1〜10質量%の範囲で分散剤を含有させるのが好ましく、0.1〜9質量%がより好ましく、0.1〜8質量%での範囲が特に好ましい。
該顔料分散剤として、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルりん酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体などを用いることができる。
顔料分散剤の具体例としては、特開2005−15672号公報の段落番号[0021]〜[0023]に記載の例が、本発明も好適なものとして使用できる。
(多官能アクリルモノマー)
本発明のインクジェットインクに用いられる多官能アクリルモノマー(2官能以上のモノマー、又は単に「モノマー」と称することがある。)は高温乾燥時の温度で重合可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性等の点から重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、3官能以上のモノマーと略することがある)がより好ましい。モノマー全体に占める3官能以上のモノマーの割合は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。3官能以上のモノマーとしては、25℃での粘度が700mPa・s以下のものが好ましく、200mPa・s以下のものがより好ましい。
重合性基の種類としては特に制限はないが、官能基数が増えることで重合性モノマー自身の粘度が上昇することから、官能基自身の粘度が低い方が好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
多官能アクリルモノマーの具体例としては特開2002−371216号公報の段落番号0016に記載の3官能以上のアクリレートモノマーが挙げられる。これらの中で、特に好ましいものとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記3官能以上のモノマーを2種以上併用することも可能である。
インク残部の粘度を低下させ、画素部の重合反応を促進する目的で、単官能モノマーや2官能モノマーを適宜併用しても良い。これらの単官能モノマーや2官能モノマーとしては、例えば特開2001−350012号公報の段落番号[0065]に記載の単官能のエポキシ基含有モノマーや、特開2002−371216号公報の段落番号0015〜0016に記載の単官能又は2官能のアクリレートモノマーやメタクリレートモノマー及びシーエムシー出版による「反応性モノマーの市場展望」に記載の1〜2官能のモノマー等が挙げられる。
また、膜の強度を補ったり、基板との密着を付与するために、25℃での粘度が700mPa・s以上の高粘度の多官能モノマーやウレタンアクリレート等の高極性モノマー、オリゴマー等を少量併用しても構わない。併用する上で好ましい多官能モノマーや高極性モノマー、及びオリゴマーとしては特に制限はなく、汎用のものを使用可能であるが、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート(例えば東亜合成(株)製アロニクスM−1000、M−1200、M−1210、M−1600)、ポリエステルアクリレート(例えば東亜合成(株)製アロニクスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050)、等が挙げられる。これらの併用モノマーの添加量は、インク残部の粘度が25℃で4000mPa・s以下になる範囲内で適宜調節することができる。
モノマーの使用量は、インク固形分中の20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。モノマーの使用量が20質量%より少ないと、画素部の重合が不十分となるため、画素部の膜強度が不足して傷がつきやすくなったり、透明導電膜を付与する際にレチキュレーションが発生したり、配向膜を設ける際の耐溶剤性が不足するといった問題が発生する。
なお、本発明において「インク固形分」とは、全インク中の溶剤を除いた部分のことを指す。
インク残部の粘度を25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下とするには、下記方法が挙げられる。
例えば、使用するモノマーとして、より低粘度のモノマーを使用することが挙げられる。また、バインダー成分として、高分子量や高極性の樹脂の使用量を減らし、インク中の高粘度成分を少なくすることが挙げられる。また、顔料に最適な分散剤を選択し、顔料分散液の粘度を低下させる方法が挙げられる。これらの中で、特に低粘度のモノマーを使用するのが有効である。画素の膜強度を付与する上では、重合性基を3つ以上有するモノマーを使用するのが好ましい。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、アルコール等の水溶性有機溶剤及びエステルやエーテル等の非水溶性有機溶剤が挙げられるが、下記理由から非水溶性有機溶剤が好ましい。
溶剤が水溶性有機溶剤の場合は、使用するバインダーやモノマーが水溶性である必要がある。これらの水溶性バインダーやモノマーは、極性基を有するため、水溶性有機溶剤を除去した後のインク残部の粘度が高くなりやすく、カラーフィルタ画素の形状を平坦にする事が困難になる。
非水溶性有機溶剤としては特に制限はないが、沸点が低くインクジェットインク中からの除去が容易な有機溶剤は、通常インクジェットヘッド上でもすばやく蒸発するため、ヘッド上でのインクの粘度上昇等を容易に引き起こし、吐出性の悪化を伴う場合が多い。インクジェットヘッドでのインクの乾燥を防止するため、常圧での沸点が160℃以上の有機溶剤を少なくとも含んでいることが好ましい。
これらの有機溶剤が本発明のインクジェットインク中に占める割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。有機溶剤の占める割合が40質量%より少ない場合は、1画素内に打滴するインク量が少なくなるため、画素内でのインクの濡れ広がりが不足し、平坦性が悪化するという問題が発生する場合がある。
また、本発明のインクジェットインクは、含有する有機溶剤の50質量%以上が、760mmHg(101.3kPa)で160℃以上の沸点を有する化合物で構成されることが好ましい。該常温下で160℃以上の沸点を有する有機溶剤としては、特開2000−310706[0031]〜[0037]に記載の高沸点溶媒やアルキレングリコールアセテート、アルキレングリコールジアセテート等が挙げられ、中でもジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,3−ブタンジオールジアセテート、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート等が特に好ましい。
また、有機溶剤の沸点の上限は、本発明のインクジェットインクを用いてインクジェット方式によりカラーフィルタを製造することができる限り、特に制約されるものではないが、インクの調製工程およびカラーフィルタの製造工程における操作性の観点からみると、沸点が290℃以下、好ましくは280℃以下の、常温(20℃)で比較的低粘度の液体である有機溶剤が望ましい。
(重合開始剤)
本発明に用いられるインクジェットインクにおいて、モノマーの重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用しても良い。重合開始剤としては熱重合開始剤が用いられる。
熱重合開始剤としては、一般に知られている有機過酸化物系化合物やアゾ系の化合物を用いることができる。これにより、画素部の強度を向上させることが可能となる。また、熱重合開始剤の他にイミダゾールなどの硬化触媒を用いることもできる。有機過酸化物系化合物及びアゾ系の化合物は、一種単独で用いる以外に二種以上を併用することができる。ここで有機過酸化物は、過酸化水素(H−O−O−H)の誘導体であり、分子内に−O−O−結合を持つ有機化合物を言う。
化学構造で分類すると、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。具体的には3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、メチルヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が好ましく、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール系化合物、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド系化合物、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系化合物が好ましい。
また、前記アゾ系化合物としては、例えば特開平5−5014号公報の段落番号[0021]〜[0023]に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物の中でも、好ましくは分解温度がある程度高く常温では安定なもので、熱をかけると分解してラジカルを発生し、重合開始剤となる化合物である。有機過酸化物系化合物又はアゾ系化合物(熱重合開始剤)の中でも、半減期温度の比較的高いもの(好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上)のものを使用すると、組成物の粘度が経時変化することなく好適に構成でき、例えば、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。
熱重合開始剤の含有量としては、モノマーの量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。重合開始剤の含有量がモノマーに対して0.5質量%未満であると効果が小さくなる場合があり、また20質量%を超えるとインクジェットインクの粘度が経時変化したり、重合開始剤の分解物による着色が問題になる場合がある。
これらの開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられるインクジェットインクには、必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。光重合開始剤としては、例えば特開2006−28455号公報の段落番号[0079]〜[0088]に記載のものが挙げられ、好ましい具体例としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンが挙げられる。光重合開始剤を含むインクジェットインクを用いて着色領域を形成した場合、該着色領域に活性エネルギー線を照射することにより着色領域の硬度をさらに向上することができる。
また、前記重合開始剤以外に、インク残部が25℃で流動性を失わない範囲内で、バインダーや界面活性剤やその他の添加剤などを併用しても良い。併用するバインダーの例として、特開2000−310706号公報の段落番号[0015]〜[0030]に記載のバインダー樹脂や、特開2001−350012号公報の段落番号[0041]〜[0050] に記載のバインダーなどが挙げられる。平坦性向上の観点から、該バインダー量は少ない方が好ましく、インクの全固形分中0〜10質量%であると平坦な画素を形成できる。
界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、インクジェットインク全量に対して5質量%以下が好ましい。前記界面活性剤の含有量は、インク固形分全量に対して、フッ素系界面活性剤の場合は0〜10質量%が好ましく、0.01〜3.0質量%がインクの平坦性や濡れ広がりの観点から特に好ましい。また、非フッ素系界面活性剤の場合は0〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がインクの平坦性や濡れ広がりの観点から特に好ましい。
その他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
−カラーフィルタの製造−
上述したインクジェットインクをインクジェット方式で基板上に打滴して形成された着色領域を、低温乾燥後高温乾燥して硬化することにより本発明のカラーフィルタが製造される。本発明では、基板上に形成された隔壁により囲まれた凹部に、インクジェット方式によりインクジェットインクの液滴を付与して着色領域を形成するようにしてもよい。
この着色領域は、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素となるものである。
着色領域の形成は、既述のようにして基板上に形成された隔壁で取り囲まれた凹部に、着色画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するためのインクジェットインクを侵入させて、2色以上の複数の画素で構成されるように形成することができる。
インクジェット法については、インクを熱硬化させる方法を用いることができる。
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、ブラックマトリックス形状として一般的なストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
インクジェット法としては、帯電したインクジェットインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
インクジェットインクの射出条件としては、インクジェットインクを30〜60℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。インクジェットインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こしやすいため、インクジェットインク温度をできるだけ一定に保つことが重要である。
インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう。)には、公知のものを適用でき、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを使うことができる。これらの中で、インクジェットインクに対する熱の影響を少なくすることができ使用可能な有機溶剤の選択が広いことから、ピエゾヘッドの方がより好ましい。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等、形にはこだわらない。ノズル径は10〜100μmの範囲であることが好ましい。尚、ノズルの開口部自身必ずしも真円とは限らないが、その場合にノズル径とは該開口部の面積と同等の円を仮定しその径とする。
本発明におけるカラーフィルタは、RGB3色のインクを吹き付けて3色の着色領域からなる群で構成された形態が好ましい。
インクジェットインクが光重合開始剤を含む場合、着色領域に活性エネルギー線を照射して硬化する工程(光硬化工程)を設けることができる。光硬化工程では、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む各色のインクジェットインクを硬化させることにより、硬化した着色領域を形成することができる。硬化は、1色の着色領域を形成するごとに行なってもよいし、複数色の着色領域を形成した後に行なうようにしてもよい。
R,G,B等のインクジェットインクの硬化は、インクの持つ感光波長に対応する波長領域の活性エネルギー線を発するエネルギー源を用いて重合硬化を促進する露光処理を施すことにより行なえる。
エネルギー源としては、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、又はイオンビームなど、既述の重合開始剤が感応するものを適宜選択して用いることができる。具体的には、250〜450nm、好ましくは365±20nmの波長領域に属する活性光線を発する光源、例えば、LD、LED(発光ダイオード)、蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどを用いて好適に行なうことができる。好ましい光源には、LED、高圧水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
活性エネルギー線の照射時間としては、モノマーと重合開始剤との組合せに応じて適宜設定することができるが、例えば、1〜30秒とすることができる。
(隔壁)
上述した隔壁はどの様なものでも良いが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクスの機能を持った遮光性を有する隔壁であることが好ましい。該隔壁は公知のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材、方法により作製することができる。例えば、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクスや、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020] や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。
前記公知の作製方法の中でも、コスト削減、表面平滑性、撥インク性、エッジのシャープネスの観点から感光性樹脂転写材料を用いることが好ましい。感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に少なくとも遮光性を有する樹脂層を設けたものであり、基板に圧着して、該遮光性を有する樹脂層を該基板に転写することができる。一方、いわゆるカラーレジスト塗布法は、ブラックマトリクスの硬さや表面凹凸の観点で好ましく用いられる。
感光性樹脂転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層(本発明において「感光性樹脂層」とは光照射により硬化しうる樹脂をいい、それが遮光性を有するときには「遮光性を有する樹脂層」ともいい、目的の色に着色されているときには「着色樹脂層」ともいう。)/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムや、転写材料の作製方法については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載のものが好適なものとして挙げられる。
また、前記隔壁は、インクジェットインクの混色を防ぐために、撥インク処理を施してもよい。該撥インク処理については、例えば、(1)撥インク性物質を隔壁に練りこむ方法(例えば、特開2005−36160号公報参照)、(2)撥インク層を新たに設ける方法(例えば、特開平5−241011号公報参照)、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法(例えば、特開2002−62420号公報参照)、(4)隔壁の壁上面に撥インク材料を塗布する方法(例えば、特開平10−123500号公報参照)、などが挙げられ、特に(3)基板上に形成された隔壁にプラズマによる撥インク化処理を施す方法が好ましい。
上記のように着色領域(画素)及び隔壁を形成してカラーフィルタを作製した後には、耐性向上の目的で、着色領域及び隔壁の全面を覆うようにしてオーバーコート層を形成することができる。
オーバーコート層は、R,G,B等の着色領域及び隔壁を保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数が増える点からは設けないことが好ましい。
オーバーコート層は樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、カラーフィルタ用光硬化性組成物の樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
本発明のカラーフィルタは、既述の本発明のカラーフィルタの製造方法により作製されたものであり、例えば、テレビ、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく好適に適用できる。本発明のカラーフィルタにおいては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素の少なくとも一つが本発明のカラーフィルタの製造方法により形成されていればよい。
<表示装置>
本発明の表示装置としては既述の本発明のカラーフィルタを備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角補償フィルムなどさまざまな部材から構成される。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行 )」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
本発明の表示装置は、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用できる。前述したようなカラーフィルタを用いることを特徴とし、これにより、テレビ、モニターに搭載したときに表示ムラが無く、広い色再現域と高コントラスト比を有することができ、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の表示装置等にも好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下の実施例において「部」とは「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
[実施例1]
[隔壁形成用の濃色組成物の調製]
濃色組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得られる。なお、表1に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
<K顔料分散物1>、
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤1(下記化合物1) 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
Figure 2008003413
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、
商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
Figure 2008003413
Figure 2008003413
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色組成物層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmでパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて上面からポスト露光を行って光学濃度3.9、膜厚2.0μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁(ブラックマトリックス)を得た。
〔撥インク化プラズマ処理〕
隔壁を形成した基板(カラーフィルタ基板)に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
−顔料分散液の調製―
<G用顔料分散液(G1)>
ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green36、商品名:Rionol Green 6YK、東洋インキ製造(株)製)に顔料分散剤1(上記化合物1)及び溶剤(1,3−ブタンジオールジアセテート;沸点232℃)(以下1,3−BGDAと略す。)を下記の表2に示す如く配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで9時間分散し、G用顔料分散液(G1)を調製した。
<その他の顔料分散液>
G用顔料分散液(G1)において、顔料及びその他の成分を表2に示す如く配合した以外はG用顔料分散液(G1)と同様にして、G用顔料分散液(G2),R用顔料分散液(R1),(R2),B用顔料分散液(B1),(B2)を調製した。
Figure 2008003413
用いた素材の詳細を示す。
・C.I.P.R.254(商品名:Irgaphor Red B−CF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・C.I.P.Y.150 (商品名:Bayplast Yellow 5GN 01、バイエル株式会社製)
・C.I.P.B.15:6(商品名:Rionol Blue ES、東洋インキ製造(株)製)
・C.I.P.V.23(商品名:Hostaperm Violet RL−NF、 クラリアントジャパン(株)製)
−画素用着色インクの調製―
<G用インクジェットインク>
下記表3に示す処方のとおり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;沸点146℃)、アロニクスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート,粘度:85mPa・s at25℃、 東亜合成(株)製)、界面活性剤1、熱重合開始剤 (V−40(アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)) 和光純薬(株)製)成分を混合して、25℃で30分間攪拌したのち、不溶物が無いことを確認し、モノマー液を調製した。
次に、G用顔料分散液(G1)、G用顔料分散液(G2)を撹拌しながら、前記モノマー液をゆっくりと添加し、25℃で30分間撹拌し、G用インクジェットインク(インクG−1)を調製した。
同様にR用インクジェットインク(インクR−1)、B用インクジェットインク(インクB−1)を調製した。
Figure 2008003413
<インク物性の測定>
上記インクの粘度を、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いて以下の条件で測定した。
(測定条件)
・使用ロータ:1° 34’×R24
・測定時間 :2分間
・測定温度 :25℃
<インク残部の粘度の測定>
まず、インクを平均厚みが1mmとなるようにアルミ製の受け皿に入れ、風乾した後、45℃で8時間真空乾燥(0.67kPa)を行い、薬サジを用いてアルミ皿から集めて試料とした。この試料をJasco International Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS−100を用いて測定温度25℃、周波数 1Hzで測定した。
−インクジェット方式による画素の形成―
次に上記記載のインクR−1、G−1、B−1を用いて、上記で得られたカラーフィルタ基板の隔壁で区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、Dimatix社製インクジェットヘッド(SE−128、ヘッド温度28℃)により所望の濃度になるまでインクの吐出を行い120℃で2分間プリベークを行った後に、230℃オーブン中で30分ベークすることで隔壁、画素ともに完全に硬化させ、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルタを作製した。
上述のようにして作製したカラーフィルタの画素の鉛筆硬度テストを以下のようにして実施した。
インクを別途無アルカリガラス基板の上にスピンコートを施し(乾膜のODが目標となるように回転数は調整する)上記乾燥工程を経たものについて、JIS−K5400に記載の方法にて鉛筆硬度のテストを実施した。
上記より得たカラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
次いで、特開2006−64921号公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上のブラックマトリクス上部に相当する部分にスペーサを形成した。
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
[実施例2、3、4、比較例1]
実施例1において、インクを吐出後の乾燥条件を表4に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
実施例2については、低温乾燥における乾燥温度(90℃)を高温乾燥の乾燥温度(230℃)まで5℃/分の割合で徐々に昇温して、その後230℃にて高温乾燥した。
実施例4については、真空オーブン(VAC−100PR、ESPEC社製)を使用し減圧乾燥した。
[比較例2]
実施例1において、インク中のモノマーをエポキシ化合物(デナコールEX314、ナガセケムテックス株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
[比較例3]
実施例1において、インク中のモノマーをアクリル樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合化合物、分子量3万)に変更した以外は、実施例1と同様にカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
[比較例4]
実施例1において、インク中のモノマーをメチルアクリレートに変更した以外は実施例1と同様にカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
Figure 2008003413
多官能アクリルモノマーを用いた場合に、低温での乾燥を経た後に高温での乾燥を行うと膜の鉛筆硬度が上昇し、画素の耐傷性が良好となった。そのため、カラーフィルタ形成時の欠陥数が減り、液晶表示装置としても光漏れ等の欠陥数が少なかった。
[実施例5]
<隔壁の形成>
(濃色感光性転写材料K1の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記濃色組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.3μmの濃色組成物層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と濃色組成物層とが一体となった濃色感光性転写材料を作製し、サンプル名を濃色感光性転写材料K1とした。
<熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1>
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) 9.1部
・界面活性剤1 0.54部
<中間層用塗布液:処方P1>
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
得られたシランカップリング処理ガラス基板に、上記の製法にて作製された濃色感光性転写材料K1からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した濃色組成物層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネータ(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。続いてポリエチレンテレフタレートの仮支持体を、熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該濃色組成物層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム株式会社製を、純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液)を30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。引き続き、この基板上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム株式会社製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し濃色組成物層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名:T−SD1 富士写真フイルム株式会社製)を純水で10倍に希釈して用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーで吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、隔壁を得た。
その後、該基板に対して両面からマスクを用いない以外は、前記露光工程で用いた露光機で3000mJ/cm2の露光量で上面からポスト露光後、220℃、15分間熱処理し、光学濃度3.9、膜厚2.0μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
次いで、下記の方法により撥インク処理を行った。
[塗布法による撥インク化処理]
隔壁の形成された基板上に、予めフッ素系界面活性剤(住友3M社製、フロラードFC−430)が0.5%(感光性樹脂の固形分に対して)内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ヘキストシャパン社製、ポジ型フォトレジストAZP4210)を膜厚2μmとなるようにスリット状ノズルを用いて塗布し、温風循環乾燥機中で90℃、30分間の熱処理を行った。
次いで、110mJ/cm2(38mW/cm2×2.9秒)の露光量で隔壁の形成された基板裏面から隔壁を介して露光し、無機アルカリ現像液(ヘキストジャパン社製、AZ400Kデベロッパー、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行い、隔壁上に撥水性樹脂層を形成することにより画素内外に表面エネルギー差を設けた。撥水性樹脂層形成後の画素内外の表面エネルギーは、画素外(樹脂層上)が10〜15dyne/cm、画素内(ガラス基板上)は55dyne/cm前後であった。
次いで、実施例1と同様にインクR−1、G−1、B−1を用いてインクの吐出を行い、実施例1と同様の条件で低温乾燥と高温乾燥することで、隔壁、各画素共に完全に硬化させ、カラーフィルタを作製した。前記RGBの画素部の鉛筆硬度を実施例1と同様の方法で評価したところ、RGBともに、実施例1のカラーフィルタと同様に良好な鉛筆硬度を得ることができた。また、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製したところ、光漏れなどの欠陥数が少なく、良好な表示品位であった。

Claims (9)

  1. 有機溶剤、着色剤及び多官能アクリルモノマーを少なくとも含むインクをインクジェット方式で基板上に打滴して形成された着色領域を、低温乾燥後高温乾燥して硬化することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 前記低温乾燥における乾燥温度が、40℃〜180℃であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記高温乾燥における乾燥温度が、200℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 減圧状態で前記低温乾燥を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.グリーン.36であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.レッド.254であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 前記着色剤の少なくとも一種がC.I.ピグメント.ブルー.15:6であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
  9. 請求項8に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
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