JPWO2007069593A1 - カラーフィルタ用隔壁の製造方法、カラーフィルタ用隔壁付基板、表示素子用カラーフィルタ、及び表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ用隔壁の製造方法、カラーフィルタ用隔壁付基板、表示素子用カラーフィルタ、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程、及び 液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程を有する、カラーフィルタ用隔壁の製造方法を提供する。また本発明は、該カラーフィルタ用隔壁を備える基板、該基板及び着色画素部を備える表示素子用カラーフィルタとその製造方法、及び、該表示素子用カラーフィルタを備える表示装置とその製造方法を提供する。

Description

本発明は、カラーフィルタ用隔壁の製造方法、カラーフィルタ用隔壁付基板、表示素子用カラーフィルタ、及び表示装置に関し、詳しくは、露光によりパターン形成を行なうカラーフィルタ用隔壁の製造方法、並びにこれを用いて得られたカラーフィルタ用隔壁付基板、液晶表示素子用カラーフィルタ、及び液晶表示装置に関する。
表示装置用カラーフィルタは、例えば、ガラス等の基板上に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等のドット状画像をマトリックス状に配置し、ドット状に設けられた画像と画像との間をブラックマトリックス等の離隔壁で隔離した構造を有している。
カラーフィルタを作製する方法には、従来から、(1)染色法、(2)印刷法、(3)着色した感光性樹脂液の塗布、露光、及び現像して着色されたパターン像を形成する方法(着色レジスト法;例えば、特許文献1参照)、(4)仮支持体上に形成されたパターン画像を順次、最終もしくは仮の基材上に転写する方法、(5)着色した感光性樹脂液を予め仮支持体上に塗布等して感光性着色層を形成しておき、この感光性着色層を最終もしくは仮の基材上に直接転写し、露光し、現像して着色されたパターン像を形成する方法(転写法)が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、インクジェット法を用いる方法(例えば、特許文献3参照)も知られている。
これらの方法のうち、前記着色レジスト法は、位置精度高くカラーフィルタを作製できるが、感光層樹脂液の塗布にロスが多く、コスト的には有利とはいえない。また、前記インクジェット法によるのみでは、樹脂液のロスが少なくコスト的に有利であるものの、位置精度のよい画素が得られにくい傾向がある。
上記に対応して、ブラックマトリックスを着色レジスト法で形成し、その後にRGB等の着色パターン(画素)をインクジェット法を利用して形成する方法が提案されている。ところが、形成されたブラックマトリックスの断面形状のうち、基材上方の基板面から離れた上端やそのエッジ部が、現像後の製造過程で丸くなだらかな形状に変化しやすく、後に各色のインクがブラックマトリックス間に打滴された場合に先行して形成されたブラックマトリックスをのり越え、隣接する画素間で混色を起こしてしまい、混色を起したときには表示品位は低下する。
このような現象に関連して、ブラックマトリックスと付与されたインクとの間で互いに弾き合う性質を持たせる方法、及び、ブラックマトリックスで取り囲まれた領域のインク濡れ性を高める方法に関する開示がある(例えば、特許文献4〜6参照)。
特開平1−152449号公報 特開昭61−99102号公報 特開平8−227012号公報 特開平6−347637号公報 特開平7−35915号公報 特開平10−142418号公報
しかしながら、上記した従来の方法では、特殊な素材が必要であり、あるいはブラックマトリックスで囲まれた領域の表面エネルギーを高めるための表面改質処理が必要であり、コスト的に課題があるほか、混色とは別に生じる表示品位の低下、特に白表示、黒表示のときに赤みがかかった表示となってしまう不具合もある。
本発明は、上記に鑑みなされたものである。基板面と非接触な角部(エッジ)が鮮鋭な隔壁を形成することができるカラーフィルタ用隔壁の製造方法及びこれにより得られたカラーフィルタ用隔壁付基板、並びに混色がなく色相が良好で高い表示品位の液晶表示素子用カラーフィルタ及び液晶表示装置を提供する。
すなわち、本発明は、(1)基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;及び 液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程を含む、カラーフィルタ用隔壁の製造方法を提供する。
ある好適な態様(2)において、前記製造方法は、前記露光に用いる光源が、レーザー光であることを特徴とする。
さらに好適な態様(3)において、前記製造方法(1)及び(2)は、前記隔壁パターンの少なくとも一部に撥インク性を付与する撥インク処理工程を更に含む。
さらに好適な態様(4)において、前記製造方法(1)〜(3)は、前記撥インク処理工程が、プラズマ処理であることを特徴とする。
また、本発明は、(5)前記(1)〜(4)の製造方法により隔壁パターンを形成して作製されたカラーフィルタ用隔壁付基板を提供する。
また、本発明は、(6)前記(5)のカラーフィルタ用隔壁付基板と、前記カラーフィルタ用隔壁付基板の隔壁間の凹部にインクジェット法により液滴を付与して形成された着色画素部と、を有する表示素子用カラーフィルタを提供する。
さらに、本発明は、(7)前記(6)の表示素子用カラーフィルタを備えた表示装置を提供する。
本発明によれば、基板面と非接触な角部(エッジ)が鮮鋭な隔壁を形成しうるカラーフィルタ用隔壁の製造方法及びこれにより得られたカラーフィルタ用隔壁付基板、並びに混色がなく色相が良好で高い表示品位の表示素子用カラーフィルタ及び表示装置を提供することができる。
離隔壁の断面形状を説明するための概念図である。 カラーフィルタのパターンとしてデルタ配列を示す図である。 カラーフィルタのパターンとして格子もしくはストライプ構造配列を示す図である。
以下、本発明のカラーフィルタ用隔壁の製造方法について詳細に説明すると共に、該製造方法により得られたカラーフィルタ用隔壁並びにこれを用いた表示素子用カラーフィルタ及び表示装置についても詳述する。
カラーフィルタ用隔壁の製造方法
本発明のカラーフィルタ用隔壁(以下、単に「離隔壁」ということがある。)の製造方法は、基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程(以下、「層形成工程」ということがある)及び、形成された感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像することにより、液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成する工程(以下、「パターン形成工程」ということがある)を少なくとも有し、必要に応じて、ベーク処理する等の他の工程を設けて構成することができる。
照度とは、被露光体上における光の照度のことであり、具体的には、一般的な照度計(例えばUV−M10−S、UV−350(いずれも商品名、(株)オーク製作所製))を露光焦点部に設置して露光を行なうことにより計測できる。
層形成工程
層形成工程では、基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する。本工程で形成される感光性樹脂層は、最終的に離隔壁を構成する層である。
感光性樹脂層は、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含んでなり、必要に応じて他の成分を用いて構成できる。この感光性樹脂層は、例えば、ラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを少なくとも含む感光性樹脂組成物を基板上に付与する方法(好ましくは、感光性樹脂組成物を塗布する塗布法)や、後述の感光性転写材料を用いて感光性樹脂層を基板上に転写する方法(転写法)により形成することができる。
感光性樹脂層を塗布形成する方法(塗布法)による場合、塗布は、液を吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズル又はスリットコーターを用いて行なうことが好ましい。
具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコーターが好適に用いることができる。その他の例として、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて行なうようにしてもよい。
転写法による場合、後述する感光性転写材料を用い、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を基板面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り付け、更に仮支持体を剥離して感光性樹脂層を転写することにより、感光性樹脂層を形成することができる。
具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法により行なえる。なお、感光性転写材料及び転写法による転写に関する詳細については後述する。
感光性樹脂層の層厚としては、感光性樹脂組成物の固形分及び形成する離隔壁の高さに依存し、特に限定されるものではないが、一般に1〜12μmが好ましく、1.5〜12μmがより好ましく、1.8〜8μmが更に好ましく、2.0〜6.0μmが特に好ましい。
本発明における感光性樹脂層及び感光性樹脂組成物は、好ましくは光学濃度の高い濃色の層又は組成物であり、好ましい光学濃度は2.0〜10.0である。より好ましい光学濃度は2.5〜6.0であり、特に好ましくは3.0〜5.0である。また、感光性樹脂層及び感光性樹脂組成物は、後述のように好ましくは光開始系で硬化させることから、露光波長(一般には紫外域)に対する光学濃度も重要であり、値としては2.0〜10.0が好ましく、より好ましくは2.5〜6.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0である。前記範囲内であると、重合硬化が良好になり、所望形状の離隔壁を形成することができる。濃色の性質は、後述する染料、顔料などの各種色材又は各形態の炭素あるいはこれらの組合せからなる材料を用いて付与することができ、黒色が最も多い。
感光性樹脂組成物、感光性樹脂層
以下、感光性樹脂組成物、及びこれを用いてなる感光性樹脂層の構成成分について詳述する。
ラジカル重合性モノマー
本発明における感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物は、ラジカル重合性モノマーの少なくとも一種を含有する。後述の光重合開始剤からの活性種の作用を受けて硬化し、パターンを形成することができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、多官能性モノマーが好ましく、該多官能性モノマーは、一種単独で又は他のモノマーと組み合わせて用いることができる。
多官能性モノマーの具体的な例としては、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼンジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ジアリルフマレート、トリメリット酸トリアリル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応物も挙げられる。
上記のうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。
ラジカル重合性モノマーの感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中における含有量としては、層又は組成物の全固形分(質量)に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、光硬化後のアルカリ現像液に対する耐性を確保するのに有効である。
光重合開始剤
本発明における感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射により、前記ラジカル重合性モノマーの重合を開始する活性種を発生する化合物であり、公知の化合物の中から適宜選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビスイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
具体的には、特開2001−117230公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、などのアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;その他、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビスイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビスイミダゾール、などが挙げられる。
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビスイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも一種が好ましく、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも一種が特に好ましい。トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物は、汎用性でかつ安価である点でも有用である。
特に好ましいのは、前記トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールであり、前記アクリジン系化合物としては9−フェニルアクリジンであり、前記トリアジン系化合物としては、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、前記ベンゾフェノン系化合物としては、ミヒラーズケトンであり、前記ビイミダゾール系化合物としては、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビスイミダゾールである。
前記光重合開始剤は、一種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中における総量としては、層又は組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。該総量が前記範囲内であると、光硬化効率が高く短時間で硬化でき、現像時に形成された画像パターンが欠落したり、パターン表面の荒れが生じることもない。
光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下に定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここで、「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という。)である。
また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という。)である。
なお、水素供与体はメルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
前記水素供与体は、一種単独で又は2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に基板上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。
前記水素供与体の感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中における総量としては、層又は組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
バインダー
本発明における感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物は、バインダーの少なくとも一種を含有する。
バインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、等を挙げることができる。
また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げられる。さらに、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用できる。
特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーは、一種単独で用いてもよいし、通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用するようにしてもよい。
バインダーの感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中における含有量としては、層又は組成物の全固形分(質量)に対して、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
色材
本発明における感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物は、色材の少なくとも一種を含有する。色材を含有することにより、所望色よりなる可視画像を形成することができる。
色材としては、特開2005−17716号公報の段落番号[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報の段落番号[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報の段落番号[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
中でも、有機顔料、無機顔料、染料等を好適であり、感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物に遮光性が要求される場合は、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化チタン、4酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉などの遮光剤、並びに赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。公知の着色剤(染料、顔料)を使用することができる。黒色の色材の例としては、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが好適に挙げられ、特にカーボンブラックが好ましい。
また、色材として顔料を選択する場合は、感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中に均一に分散されることが好ましい。
色材の感光性樹脂層又は感光性樹脂組成物中における含有量としては、層又は組成物の固形分(質量)に対して、現像時間を短縮する点で、30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましく、50〜55質量%が更に好ましい。
前記顔料は、分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に用いる分散機としては、特に制限はなく、例えば、「顔料の事典」〔朝倉邦造著、第一版、438頁、朝倉書店(2000年)〕に記載の、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。さらに、「顔料の事典」の310頁に記載の機械的摩砕により摩擦力を利用し、微粉砕するようにしてもよい。
色材(特に顔料)の粒子径としては、分散安定性の観点から、数平均粒径で0.001〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.08μmがより好ましい。なお、「粒子径」とは、粒子を電子顕微鏡写真における該粒子の面積と同面積の円で表したときの直径をいい、「数平均粒径」とは、複数の粒子の粒子径の100個の平均値をいう。
溶剤
本発明における離隔壁を作製する際に用いる感光性樹脂組成物は、一般に前記成分以外に、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等が挙げられる。
他の成分
本発明における感光性樹脂組成物又は感光性樹脂層には、さらに下記成分、例えば界面活性剤、紫外線吸収剤、並びに公知の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、安定化剤、熱重合防止剤、溶剤、密着促進剤等を含有させることができる。さらに、感光性樹脂組成物は少なくとも150 ℃ 以下の温度で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。かかる観点からは、相溶性の可塑剤を添加することで改質することができる。
界面活性剤
感光性樹脂組成物を基板上又は後述の感光性転写材料の仮支持体上に塗布する場合には、感光性樹脂組成物中に界面活性剤を含有させることで、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラを効果的に防止することができる。界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に記載の界面活性剤が好適に挙げられる。なお、界面活性剤の感光性樹脂組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、0.001〜1%が一般的であり、0.01〜0.5%が好ましく、0.03〜0.3%が特に好ましい。
紫外線吸収剤
感光性樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報に記載の化合物、並びにサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。
例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3',5'−ジ−t−4'−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、2,2'−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
紫外線吸収剤を用いる場合の、感光性樹脂組成物の全固形分に対する紫外線吸収剤の含有量としては0.5〜15%が一般的であり、1〜12%が好ましく、1.2〜10%が特に好ましい。
熱重合防止剤
感光性樹脂組成物には、熱重合防止剤を含むことが好ましい。熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
熱重合防止剤を用いる場合の、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量としては0.01〜1%が一般的であり、0.02〜0.7%が好ましく、0.05〜0.5%が特に好ましい。
また、感光性樹脂組成物には、前記成分以外に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」やその他の添加剤等を含有させることもできる。
感光性転写材料
次に、前記転写法に用いる感光性転写材料について詳述する。
感光性転写材料は、仮支持体上に少なくとも前記感光性樹脂組成物を用いて構成された層(感光性樹脂層)を有してなり、必要に応じて更に中間層や熱可塑性樹脂層、保護フィルムを設けて構成することができる。なお、本発明は、後述するようにパターン形成工程での露光を50mW/cm2以上の高照度で行なって酸素による重合阻害を起こす前に硬化させるようにするものであり、中間層については必ずしも設ける必要はなく、場合により設けてもよい。
仮支持体
仮支持体としては、化学的及び熱的に安定であって可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等、薄いシートもしくはフィルム又はこれらの積層体が好ましい。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。厚みが前記範囲内であると、仮支持体の剥離時における破れを回避でき、仮支持体を介して露光したときの解像度の低下を回避することができる。
感光性樹脂層
感光性樹脂層は、既述の感光性樹脂組成物を用いてなり、形状等の特性や形成方法等については既述の塗布法で塗布形成される層と同様であり、好ましい態様も同様である。
熱可塑性樹脂層
仮支持体と感光性樹脂層との間には、必要に応じて熱可塑性樹脂層を設けることができる。熱可塑性樹脂層を設けることで、離隔壁が形成される基板との密着性を向上させるのに有効である。
熱可塑性樹脂層は、少なくとも樹脂成分を含んでなり、アルカリ可溶性に構成されることが好ましい。樹脂成分としては、アルカリ可溶性であって、実質的な軟化点が80℃以下である熱可塑性樹脂が好ましい。
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などとのケン化物、等が挙げられる。
上記以外に更に、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)における、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうち、アルカリ水溶液に可溶なものも使用できる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質も、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。
これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤、等を加えることもできる。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。
中間層
本発明では、既述のように中間層は必ずしも必要ではないが、必要に応じて、仮支持体と感光性樹脂層の間あるいは熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層の間に中間層を更に設けてもよい。
具体的には、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール(PVA)などを主成分(特にPVAを主成分)とした層が好ましく、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のポリマーを添加してもよい。PVAとしては、鹸化度が80%以上のものが好ましい。PVAの含有量は、25〜99質量%が好ましい。
保護フィルム
仮支持体上に形成された感光性樹脂層の表面には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために、保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは、仮支持体と同一もしくは類似の材料で構成されてもよく、転写を良好に行なう点で感光性樹脂層からの分離が容易に行なえるものであることが重要である。
保護フィルムを構成する材料としては、例えば、シリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。保護フィルムの厚みは、4〜40μmが一般的であり、5〜30μmが好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
感光性転写材料は、例えば、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の構成成分を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させることにより熱可塑性樹脂層を設け、この熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤を用いてなる溶液を塗布し、乾燥させて中間層を積層し、その後更に中間層上に、中間層を溶解しない溶剤を用いて既述のように調製された感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を積層することにより作製することができる。
なお、塗布は、既述の公知の塗布方法により行なえるが、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)を用いて行なうことが好ましい。
感光性転写材料の作製は、上記以外に、仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシートと、保護フィルム上に感光性樹脂層を設けたシートとを用意し、酸素遮断層と感光性樹脂層とが接するように貼り合わせることにより、また、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を有するシートと、保護フィルム上に感光性樹脂層及び中間層を有するシートとを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層とが接するように貼り合わせることにより、行なうこともできる。
基板
基板としては、金属の基材、金属を貼り合わせた基材、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等が挙げられる。好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なもの、特にガラスや合成樹脂フィルムである。
パターン形成工程
パターン形成工程では、前記層形成工程で形成された感光性樹脂層を50mW/cm2以上の高照度でパターン状に露光し、現像して、液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターン(離隔壁)を形成する。
離隔壁は、各着色画素部間を離画するものであり、一般には黒色であることが多いが、黒色に限定されるものではない。着色は、既述のように有機物(染料、顔料などの各種色材)が好ましい。
本発明においては、感光性樹脂層へのパターン露光を50mW/cm2以上の照度にして行なうので、酸素存在下でも酸素による重合阻害を起こす前に重合反応させることができ、短時間で高度の硬化を行なうことができる。これにより、露光時に例えば窒素パージして酸素分圧を制御しながら窒素雰囲気の環境下を形成する必要がなく、また、感光性転写材料を酸素遮断性の膜を設けずに作製することが可能であり、より簡易な工程にて高度に硬化されたパターン像を短時間に簡便に形成することができる。
露光は、所望のパターンが設けられたマスクを用い、マスクを通して感光性樹脂層に光を照射することにより行なえる。このとき、照度を50mW/cm2以上に設定する。この照度は、光源の出力を高める、光源の数を増やす、また、光源と被露光体との距離を狭くする、等の方法により前記範囲に調整することができる。
本発明の効果を得るための照度としては、上記のうち好ましくは300mW/cm2以上であり、特に好ましくは2000mW/cm2以上である。
前記照度が50mW/cm2未満であると、離隔壁(隔壁パターン)の形状が所望形状、具体的には 基板上に設けられた離隔壁の基板面から接しない上端面が平坦で、換言すると隔壁の基板面と接しない角部(エッジ)が鮮鋭な形状に成形することができない。本発明の効果を得る観点では、照度の上限値は特になく、装置、設備上支障がなければ所望の照度に上げることができる。具体的な離隔壁の断面形状については、好ましい形態を図1を参照して後述する。
露光には、例えば、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)等を用いることができる。また、光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等、並びに各種レーザーが挙げられる。中でも、レーザーを光源とする態様が好ましい。
露光後は、現像液を用いて現像処理を行ない、感光性樹脂層にパターン像を形成する。その後は、必要に応じて、水洗処理が行なわれる。
現像前には、感光性樹脂層上に純水をシャワーノズル等にて噴霧し、感光性樹脂層の表面を均一に湿らせておくことが好ましい。現像処理に用いる現像液には、アルカリ性物質の希薄水溶液が好適に用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。
さらに、公知の界面活性剤を添加してもよく、界面活性剤の濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
前記現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。
感光性樹脂層の未硬化部を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組合わせることができる。現像液の温度は通常、室温付近から40℃が好ましい。現像時間は、感光性樹脂層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度などによるが、通常10秒〜2分程度である。この範囲内では、形状の好適な離隔壁が得られる。換言すれば、現像時間が短すぎると現像除去しようとする領域の現像が不充分となると同時に紫外線の吸光度も不充分となることがあり、逆に長すぎると、硬化部までエッチングされることがある。
本発明において、基板上に形成された離隔壁(隔壁パターン)の断面形状は、図1に示すように、離隔壁1の基板2の表面からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置に基板と平行な線をL1、L1と離隔壁が接する点における接線をL2、hの位置に基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの離隔壁までの距離(接線L2と直交する線上の距離)で規定される値dをhで除した値が0.04以下である場合が好ましい。
基板上において、感光性樹脂層をパターン露光により重合させた場合、感光性樹脂層自体の吸収により層表面から基板方向に向かって露光量は減衰するため、層表面では硬化反応がより進み、これに加え、既述のようにパターン露光時の照度を50mW/cm2以上とすることで、酸素による重合阻害を起こす前に硬化させることが可能であり、したがって、層表面の硬化をより進行させると共に、層中の硬化反応も効果的に促進させることができる。これにより、基板面と非接触な角部(エッジ)が鮮鋭な隔壁を形成することができる。
具体的には、基板上に形成された離隔壁の断面形状において、離隔壁の基板からの高さが最も高い点における基板からの高さをh、基板から0.8hの位置に基板と平行な線をL1、L1と離隔壁が接する点における接線をL2、hの位置に基板と平行な線をL3としたとき、L2とL3の交点からの離隔壁までの距離(接線L2と直交する線上の距離)で規定される値dをhで除した値(d/h)が0.04以下となる。これらの値は、実際には基板上に形成された離隔壁を、基板ごと垂直にカットして断面を露出させ、顕微鏡等で直接観察することで測定できる。このように形成された離隔壁では、離隔壁で取り囲まれた凹部(離隔壁間の着色画素部を形成するための空隙)に打滴付与されたインクは離隔壁を乗り越えにくく、インクの滲みやはみ出し、隣接する画素パターン間での混色及び画素パターン中の白抜けなどを防いで、色相が良好で表示品位の高いカラーフィルタを得ることができる。前記d/hの値は、0.038以下が好ましく、特に0.035以下が好ましい。
以下、カラーフィルタ用隔壁を形成する例を具体的に説明する。
1)感光性樹脂組成物を用いた塗布による離隔壁の形成
基板を洗浄後、該基板を熱処理して表面状態を安定化させる。その後、基板を調温し、調温された基板上に感光性樹脂組成物を塗布する。塗布後、塗布層中の溶媒の一部を乾燥させて層の流動性をなくした後、プリベークして感光性樹脂層を得る(層形成工程)。プリベーク前に、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)等にて基板周囲の不要な塗布液を除去してもよい。塗布は、公知のスリット状ノズルを備えたガラス基板用コーター(例えばMH−1600(商品名、エフ・エー・エス・アジア社製))等を用いて行なえる。また、乾燥は、公知の乾燥装置(例えば、VCD(真空乾燥装置)、東京応化工業社製)等)を用いて行なえ、プリベークは、例えば120℃で3分間加熱して行なうことができる。感光性樹脂層の層厚については、既述の通りである。
続いて、感光性樹脂層が形成された基板とパターンを有するマスク(例えば石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層との間の距離を適宜(例えば200μm)設定し、酸素存在下で50mW/cm2以上の照度で露光する。露光後、現像液で現像処理を行ない、パターン像を得、必要に応じて水洗処理して離隔壁を得る(パターン形成工程)。なお、露光時の酸素分圧を測定する場合は、酸素計(例えばG−102型(商品名、飯島電子工業(株)製))を用いて行なえる。
2)感光性転写材料を用いた転写法による離隔壁の形成
まず、感光性転写材料の保護フィルムを剥離除去し、露出した感光性樹脂層の表面を基板面に重ね合わせてラミネータ等を通過させ、加熱及び/又は加圧して積層体とする。ラミネータには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーター等の中から適宜選択することができ、より生産性を高める観点からはオートカットラミネーターも使用可能である。次いで、積層体から仮支持体を剥離して除去する。続いて、仮支持体を除去して露出した露出面の上方に所望のフォトマスク(例えば石英露光マスク)を配置し、酸素存在下でマスクを介して紫外線をパターン状に照射し、照射後所定の処理液を用いて現像処理して離隔壁を得る。このとき、必要に応じて水洗処理が施される。現像処理に用いる現像液及び露光に用いる光源は、前記塗布法による場合の現像液及び光源と同様である。
他の工程
本発明のカラーフィルタ用隔壁の製造方法には、形成された隔壁パターンを更に加熱(ベーク)して硬化させるベーク工程や、既述の層形成工程及びパターン形成工程後であって着色画素部の形成前に基板上の隔壁パターンに撥インク処理を施す工程(以下、撥インク処理工程と称する)などの他の工程を設けてもよい。
以下、撥インク処理工程について詳述する。
本発明においては、離隔壁に撥インク処理を施した後、すなわち離隔壁(隔壁パターン)の少なくとも一部が撥インク性を有する状態とした後に、液滴を離隔壁間の凹部に付与して複数の画素を形成する工程を施すようにすることが好ましい。撥インク処理は、インクジェット法などによる液滴付与の際に、着色液体組成物の液滴(インク滴)が離隔壁を乗り越えてはみ出したり、隣接する画素をなすインクと混色するなどの不都合を効果的に解消することができる。
なお、撥インク処理とは、付与する着色液体組成物の液滴を弾くようにする処理であり、その手段には特に限定はない。例えば、以下に示す方法により離隔壁の少なくとも一部にフッ素化合物やケイ素化合物などを付与する方法がある。
具体的には、撥インク処理として、(1)撥インク性物質を離隔壁に練りこむ方法、(2)撥インク層を新たに設ける方法、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法、(4)離隔壁の壁上面に撥インク材料を塗布する方法、などが挙げられる。但し、これに限られるものではない。以下、各撥インク処理について詳細に説明する。
(1)撥インク性物質を離隔壁に練りこむ方法
混色を防ぐ手段として、感光性樹脂組成物を用いたフォトレジストに含フッ素樹脂(A)を含有して離隔壁を作製する方法がある。
前記含フッ素樹脂(A)は、下記式1で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基(a)と酸性基(b)とを有し、酸価が1〜300mgKOH/gであるものが好ましい。
−(X−O)n−Y ・・・式1
前記式1中、Xは、炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基又は炭素数1〜10のフルオロ化された2価の飽和炭化水素基を表し、n個含まれる単位(X−O)は各々同一の基又は異なる基を表す。Yは、水素原子(Yに隣接する酸素原子に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合していない場合に限る。)、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数1〜20のフルオロ化された1価の飽和炭化水素基を表す。nは、2〜50の整数を表す。ただし、式1におけるフッ素原子の総数は2以上である。
前記式1におけるX、Yの態様として、好ましくは、Xが、炭素数1〜10の水素原子1個を除いてフルオロ化されたアルキレン基又は炭素数1〜10のパーフルオロ化されたアルキレン基であって、n個含まれる単位(X−O)は各々同一の基又は異なる基を表し、Yが炭素数1〜20の水素原子1個を除いてフルオロ化されたアルキル基又は炭素数1〜20のパーフルオロ化されたアルキル基を表すものである。
前記式1におけるX、Yの態様として、より好ましくは、Xが、炭素数1〜10のパーフルオロ化されたアルキレン基であって、n個含まれる単位(X−O)は各々同一の基又は異なる基を表し、Yが炭素数1〜20のパーフルオロ化されたアルキル基を表すものである。
X、Yが上記のような態様であると、含フッ素樹脂(A)は良好な撥インク性を表す。
また、前記式1において、nは2〜50の整数を表す。nは2〜30が好ましく、2〜15がより好ましい。nが2以上であると、インク転落性が良好である。nが50以下であると、含フッ素樹脂(A)が、Rf基(a)を有する単量体と、酸性基(b)を有する単量体及び必要に応じてその他の単量体との共重合によって合成する場合に、単量体の相溶性が良好となる。
また、前記式1で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基(a)における炭素原子の総数は2〜50が好ましく、2〜30がより好ましい。該範囲では、含フッ素樹脂(A)は良好な撥インク性、特に撥有機溶剤性を有する。また、Rf基(a)を有する単量体、酸性基(b)を有する単量体及び必要に応じてその他の単量体との共重合によって含フッ素樹脂(A)を合成する場合に、単量体の相溶性が良好となる。
前記Xの具体例としては、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF2CF(CF3)−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF2CF2CF(CF3)−、及びCF2CF(CF3)CF2−が挙げられる。
前記Yの具体例としては、−CF3、−CF2CF3、−CF2CHF2、−(CF22CF3、−(CF23CF3、−(CF24CF3、−(CF25CF3、−(CF26CF3、−(CF27CF3、−(CF28CF3、−(CF29CF3、及び(CF211CF3、−(CF215CF3が挙げられる。
前記式1で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基(a)の好ましい態様としては、下記式2で表されるRf基(a)が挙げられる。
−Cp-12(p-1)−O−(Cp2p−O)n-1−Cq2q+1 ・・・式2
前記式2中、pは2又は3の整数を表し、n−1個含まれる単位(Cp2p−O)は同一の基を表し、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を表す。
前記式2で表されるRf基(a)として、具体的には、−CF2O(CF2CF2O)n-1CF3(nは2〜9)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613(nは2〜6)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137(nは2〜6)が、合成の容易さの点で好ましく挙げられる。
含フッ素樹脂(A)内のRf基(a)は、全て同一でもよいし異なっていてもよい。
また、含フッ素樹脂(A)におけるフッ素原子の含有量は1〜60%が好ましく、5〜40%がより好ましい。該範囲であると、含フッ素樹脂(A)は良好な撥インク性を有すると共に、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好となる。
含フッ素樹脂(A)は酸性基(b)を有し、該酸性基(b)としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの酸性基又はその塩が好ましい。
含フッ素樹脂(A)の酸価は、1〜300mgKOH/gが好ましく、5〜200mgKOH/gがより好ましく、10〜150mgKOH/gが特に好ましい。前記範囲内であると、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好となる。なお、酸価は樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(単位mg)であり、本明細書において単位は「mgKOH/g」である。
含フッ素樹脂(A)の数平均分子量は、500以上20000未満が好ましく、2000以上15000未満がより好ましい。該範囲内であると、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレンを標準物質として測定されるものである。
含フッ素樹脂(A)は、エチレン性二重結合と前記Rf基(a)とを有する単量体に由来の構成単位と、エチレン性二重結合と前記酸性基(b)とを有する単量体に由来の構成単位とを含む共重合体であって、酸価が1〜300mgKOH/gであるのが好ましい。
前記エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
前記エチレン性二重結合と前記Rf基(a)とを有する単量体としては、CH2=CR1COOQ2Rf、CH2=CR1OCOQ1Rf、CH2=CR1OQ1Rf、CH2=CR1CH2OQ1Rf、CH2=CR1COOQ2NR1SO2Rf、CH2=CR1COOQ2NR1CORf、CH2=CR1COOQ2NR1COOQ2Rf、CH2=CR1COOQ2OQ1Rf等が挙げられる。ただし、R1は、水素原子又はメチル基を、Q1は単結合又は炭素数1〜6の2価有機基を、Q2は炭素数1〜6の2価有機基をそれぞれ表す。Q1、Q2は、環状構造を有していてもよい。
1、Q2の具体例としては、それぞれ独立に、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH32−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−CH2(CH23CH2−、−CH(CH2CH(CH32)−、−CH2CH(OH)CH2−、−CH2CH2NHCOOCH2−、−CH2CH(OH)CH2OCH2−等が挙げられる。これらの中でも、合成の容易さの観点から、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(OH)CH2−が好ましい。
前記エチレン性二重結合と前記Rf基(a)とを有する単量体の具体的な例としては、CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3(nは3〜9)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613(nは2〜6)、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3(nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH2NHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF2O(CF2CF2O)n-1CF3(nは3〜9)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-1613(nは2〜6)、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n-137(nは2〜6)、等が挙げられる。
含フッ素樹脂(A)における前記エチレン性二重結合と前記Rf基(a)とを有する単量体に由来の構成単位の割合は、1〜95モル%等が好ましく、5〜80モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。該範囲内であると、含フッ素樹脂は良好な撥インク性を有し、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好となる。
前記酸性基(b)を有する単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する単量体、フェノール性水酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、又はこれらの塩等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記フェノール性水酸基を有する単量体としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、これらのベンゼン環の1個以上の水素原子が、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基で置換された化合物等も挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、又はこれらの塩等が挙げられる。これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
含フッ素樹脂における、酸性基(b)を有する単量体に由来の構成単位の割合は、0.1〜40モル%等が好ましく、0.5〜30モル%がより好ましく、1〜20モル%がさらに好ましい。該範囲で内あると、含フッ素樹脂は良好な撥インク性を有し、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好となる。
含フッ素樹脂が、エチレン性二重結合及びRf基(a)を有する単量体に由来の構成単位と、エチレン性二重結合及び酸性基(b)を有する単量体に由来の構成単位とを有する共重合体である場合、Rf基(a)及び酸性基(b)を有しない単量体(以下、「その他の単量体」という。)に由来の構成単位を有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、フルオロオレフィン類、共役ジエン類が挙げられる。これらの化合物には、官能基が含まれていてもよく、該官能基としては例えば、水酸基、カルボニル基、アルコキシ基、アミド基等が挙げられる。また、ポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。ただし、その他の単量体に由来の構成単位は、Rf基(a)及び酸性基(b)を有しない。その他の単量体は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
特に(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類が、感光性樹脂組成物を用いて形成された膜の耐熱性向上の点で好ましい。
含フッ素樹脂における、前記その他の単量体に由来の構成単位の割合は80%モル以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。該範囲内であると、感光性樹脂組成物を現像する際の現像性が良好となる。
含フッ素樹脂は、上記のエチレン性二重結合及びRf基(a)を有する単量体に由来の構成単位と、エチレン性二重結合及び酸性基(b)を有する単量体に由来の構成単位とを含む共重合体を合成することによって得られるほか、反応部位を有する重合体にRf基(a)を有する化合物及び/又は酸性基(b)を有する化合物を反応させる各種変性方法によっても得られる。
反応部位を有する重合体にRf基(a)を有する化合物を反応させる各種変性方法としては、例えば、エポキシ基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後にRf基(a)とカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法、エポキシ基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後にRf基(a)とヒドロキシル基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
前記エポキシ基を有する単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートが挙げられる。
前記Rf基(a)とカルボキシル基を有する化合物としては、下記式3で表される化合物が挙げられる。
HOOC−Cp-12(p-1)−O−(Cp2p−O)n-1−Cq2q+1 ・・・式3
前記式3中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を表す。
また、前記Rf基(a)とヒドロキシル基を有する化合物としては、下記式4で表される化合物が挙げられる。
HOCH2−Cp-12(p-1)−O−(Cp2p−O)n-1−Cq2q+1 ・・・式4
前記式4中、pは2又は3の整数、qは1〜20の整数、nは2〜50の整数を表す。
反応部位を有する重合体に酸性基(b)を有する化合物を反応させる各種変性方法としては、例えば、水酸基を有する単量体をあらかじめ共重合させ、後に酸無水物を反応させる方法が挙げられる。また、エチレン性二重結合を有する酸無水物をあらかじめ共重合させ、後に水酸基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
前記水酸基を有する単量体の具体例としては、ビニルフェノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)等が挙げられる。
さらに、水酸基を有する単量体としては、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する単量体であってもよい。例えば、CH2=CHOCH2610CH2O(C24O)gH(ここで、gは1〜100の整数を表す。以下同様。)、CH2=CHOC48O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)gH、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)gH、CH2=CHCOOC24O(C24O)h(C36O)kH(ここで、hは0又は1〜100の整数であり、kは1〜100の整数であり、h+kは1〜101である。以下同様。)、CH2=C(CH3)COOC24O(C24O)h(C36O)kH、等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水3−メチルフタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
前記エチレン性二重結合を有する酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−ブテン−1−イルスシニックアンハイドライド等が挙げられる。
前記水酸基を有する化合物としては、1つ以上の水酸基を有している化合物であればよく、上記の水酸基を有する単量体の具体例や、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ類、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のカルビトール類等が挙げられる。分子内に1個の水酸基を有する化合物が好ましい。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
含フッ素樹脂あるいは含フッ素樹脂の前駆体となる前記反応部位を有する重合体は、単量体を必要に応じて連鎖移動剤と共に、溶媒に溶解して加熱し、重合開始剤を加えて反応させる方法によって合成できる。
含フッ素樹脂(A)の感光性樹脂組成物中における量は、該組成物の固形分に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。該範囲内であると、感光性樹脂組成物は良好な撥インク性、インク転落性を奏し、現像時における現像性が良好となる。
(2)撥インク層を設ける方法
混色を防ぐ手段として、基板上に形成された離隔壁の少なくとも基板から離れた例えば上部にインク反発性を有する仕切り壁(以下、「撥インク層」という)を形成する方法である。
インク反発性を有する仕切り壁として、シリコーンゴム層を用いることが好ましい。シリコーンゴム層は離隔壁の表層に設けられ、着色に用いる溶液及びインクに対して反発効果を有することが必要である。シリコーンゴム層は、特に限定されるものではないが、下記の繰り返し単位を有する分子量数千〜数十万の線状有機ポリシロキサンを主成分とするもので構成された層が好ましい。
ここで、nは2以上の整数、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基あるいはフェニル基を表す。
このような線状有機ポリシロキサンをまばらに架橋することにより、シリコーンゴムが得られる。架橋を担う架橋剤には、いわゆる室温(低温)硬化型のシリコーンゴムに使われるアセトキシシラン、ケトオキシムシラン、アルコキシシラン、アミノシラン、アミドシラン、アルケニオキシシランなどが挙げられ、通常線状の有機ポリシロキサンとして末端が水酸基であるものと組み合わせて、それぞれ脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アミン型、脱アミド型、脱ケトン型のシリコーンゴムとなる。また、シリコーンゴムには、触媒として少量の有機スズ化合物などが一般に添加される。
また、離隔壁とシリコーンゴム層との接着のために、界面部に接着層として種々のものを用いることがあり、特にアミノシラン化合物や有機チタネート化合物が好ましく用いることができる。離隔壁とシリコーンゴム層との間に接着層を設ける代わりに、シリコーンゴム層に接着成分を添加しておくこともできる。この添加接着成分としても、アミノシラン化合物や有機チタネ−ト化合物が使用できる。
仕切り壁を作製するには、まず離隔壁が形成された基板上にシリコーンゴム層を形成する。このとき、仕切り壁を作製するための露光は、基板の離隔壁非形成面側(裏側)から離隔壁をマスクとして行ない、さらに照射UV光を散乱させて入射光を透過部位の大きさより拡大して感光性樹脂に作用させ、光反応して可溶化する樹脂の部分をシリコーンゴム層側の方が大きくなるようにする。このように露光した後、n−ヘプタン/エタノ−ル混合液で現像することにより、シリコーンゴム層を有する仕切り壁を作製できる。
(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法
混色を防ぐ手段として、基板上に形成された離隔壁にプラズマによる撥インク化処理を施す方法である。
プラズマ処理時に導入する、少なくともフッ素原子を含有するガスとしては、CF4、CHF3、C26、SF6、C38、及びC58より選択される少なくとも一種のハロゲンガスを用いることが好ましい。特に、C58(オクタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が0であると同時に、大気寿命が従来のガス(CF4:5万年、C48:3200年)に比べて0.98年と非常に短い。したがって、地球温暖化係数が90(CO2=2とした100年積算値)と、従来のガス(CF4:6500、C48:8700)に比べて非常に小さく、オゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使用する上で望ましい。
さらに、導入ガスとしては、必要に応じて酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを併用してもよい。本工程においては、前記CF4 、CHF3、C26、SF6、C38、及びC58より選択される少なくとも一種のハロゲンガスとO2との混合ガスを用いると、プラズマ処理される離隔壁表面の撥インク性の程度を制御することが可能である。但し、該混合ガスにおいて、O2の混合比率が30%を超えるとO2による酸化反応が支配的になり、撥インク性の向上効果が妨げられるため、また、樹脂に対するダメージが顕著になるため、該混合ガスを用いる場合にはO2の混合比率を30%以下の範囲とすることが好ましい。
また、プラズマの発生方法としては、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方式を適用でき、プラズマ処理の際の圧力、ガス流量、放電周波数、処理時間等の条件は任意に設定することができる。
(4)離隔壁の壁表面に撥インク材料を塗布する方法
混色を防ぐ手段として、基板及び該基板上に形成された離隔壁の表面に撥インク性を有する材料(以下、撥インク材料ともいう)を塗布する方法である。
撥インク性を有する材料(撥インク材料)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、パーフルオロアルキルアクリレート、ハイドロカーボンアクリレート、メチルシロキサン等、一般に撥インク材料と考えられるもののうち、着色液体組成物に対する接触角が60°以上のものを特に限定なく好適に用いることができる。
撥インク材料の塗布には、撥インク性を有する材料をそのまま溶媒に溶解又は分散させて用いることができる。塗布の方法としては、基板、離隔壁などに影響を及ぼさない方法であればよく、例えば、スリットコート、スピンコート、ディップコート、ロールコート等から各材料に最適の方法を選択することができる。
本方法では、離隔壁が形成された基板の離隔壁非形成面側(裏面側)から離隔壁を介してUV・O3処理を行なうことで、離隔壁以外の部分の撥インク材料を選択的に除去又は親水化処理(着色剤に対する接触角が処理前後で30°以上の差を有するように)することによって、撥インク処理を行なうことができる。
撥インク材料を除去又は親水化処理する場合、パターニングの方法はレーザーアブレーション、プラズマアッシング、コロナ放電処理等のドライ処理、及びアルカリを用いたウェット処理等、材料に応じて最適の方法を選択することが可能である。
また、離隔壁上に撥インク材料をパターン形成する場合、リフトオフ法等も有効である。
前記(1)〜(4)の撥インク処理の中でも、工程が簡便である観点から、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法が特に好ましい。
カラーフィルタ用隔壁付基板
本発明のカラーフィルタ用隔壁付基板は、既述の本発明のカラーフィルタ用隔壁の製造方法により作製されたものであり、基板上に既述のように構成された感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン露光してなる隔壁を有するものである。したがって、インクを(例えばインクジェット法により)液滴付与して着色画素部を形成した際のインクの離隔壁からのはみ出しや、隣接するパターン間での混色が効果的に抑制され、色相が良好で表示品位の画像表示が可能なカラーフィルタを構成するのに有効である。
カラーフィルタ用隔壁の形成は、既述の通りであり、転写法によるのがより好ましい。
なお、感光性樹脂層を構成する各成分は、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。また、カラーフィルタ用隔壁の高さ、光学濃度についても既述の通りである。
表示素子用カラーフィルタ
本発明の表示素子用カラーフィルタは、既述の本発明のカラーフィルタ用隔壁付基板と着色画素部とを設けて構成されたものであり、着色画素部は、カラーフィルタ用隔壁付基板の隔壁間の凹部にインクジェット法により液滴を付与して形成されたものである。本発明のカラーフィルタ用隔壁を有するので、インクジェット付与されたインクのはみ出しや混色がなく、色相が良好で表示品位の画像表示が可能である。
着色画素部の形成は、既述のようにして基板上に形成された離隔壁で取り囲まれた凹部に、2色以上の画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するための着色液体組成物を液滴付与することにより侵入させて、2色以上の複数の画素で構成されるように形成することができる。
着色液体組成物を液滴付与して離隔壁間に侵入させる方法としては、インクジェット法、ストライプギーサー塗布法などの公知の方法を利用でき、インクジェット法がコスト的に好ましい。
また、各画素を形成する前に、離隔壁の形状を固定化してもよく、その手段は特に限定されないが、1)現像後、再露光を行なう、2)現像後、比較的低い温度で加熱処理を行なう等である。加熱処理は、離隔壁を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプを照射する等により行なえる。
前記1)による場合の露光量は、大気下であれば500〜3000mJ/cm2、好ましくは1000〜2000mJ/cm2である。また、前記2)による場合の加熱温度は、50〜250℃、好ましくは70〜200℃程度であり、その加熱時間は10〜150分程度である。温度が前記範囲内であると、離隔壁の硬化が良好に行なえ、所望形状の離隔壁を形成するのに有効である。
各色の着色画素部を形成するためのインクジェット法については、インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、予め基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、公知の方法を用いることができる。
好ましくは、着色画素部の形成後に加熱処理(いわゆるベーク処理)する加熱工程を設ける。すなわち、着色画素部が形成された基板に対し、電気炉、乾燥器等を用いて加熱する、あるいは赤外線ランプ等で光照射する。加熱の温度及び時間は、感光性樹脂組成物の組成や形成された着色画素部の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を獲得する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、図2に示すように、一般的なブラックマトリックス形状であるストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
インクジェット法
インクジェット法としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
用いるインクは、油性、水性のいずれであってもよい。また、インク中の色材としては、染料、顔料ともに使用することができ、耐久性の面からは顔料が好ましい。また、公知のカラーフィルタ作製に用いられる、塗布方式の着色インク(例えば特開2005−3861号公報の段落番号[0034]〜[0063]に記載の着色樹脂組成物、)や、特開平10−195358号公報の段落番号[0009]〜[0026]に記載のインクジェット用組成物を使用することもできる。
インクには、液滴付与後の工程を考慮し、加熱により硬化する又は紫外線などのエネルギー線により硬化する成分を添加することもできる。加熱により硬化する成分としては各種の熱硬化性樹脂が挙げられ、エネルギー線により硬化する成分としては例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光開始剤を添加したもの等が挙げられる。特に、耐熱性を考慮して、アクリロイル基、メタクリロイル基を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのアクリレート誘導体、メタクリレート誘導体は、水溶性のものが好ましく、水に難溶性のものでもエマルション化するなどして使用することが可能である。この場合、既述した顔料などの色材を用いて構成された感光性樹脂組成物を好適に用いることができる。
また、好適なインクとして、少なくともバインダー及び2官能ないし3官能のエポキシ基含有モノマーを含むカラーフィルタ形成用の熱硬化性インクも好適である。
本発明におけるカラーフィルタは、RGB3色のインクを吹き付けて3色の着色画素部からなる群で構成された形態が好ましい。
オーバーコート層
カラーフィルタの作製後には、耐性向上の目的で、着色画素部及び離隔壁の全面にオーバーコート層を設けることができる。
オーバーコート層は、R,G,B等の着色画素部及び離隔壁を保護すると共に表面を平坦にすることができる。ただし、工程数が増える観点からは設けないことが好ましい。
オーバーコート層は樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、カラーフィルタ用光硬化性組成物の樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699G(商品名)が挙げられる。
本発明の表示素子用カラーフィルタは、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく好適に適用できる。
表示装置
本発明の表示装置は、前記本発明の表示素子用カラーフィルタを設けてなるものであり、既述の本発明のカラーフィルタ用隔壁の製造方法により作製されたカラーフィルタ用隔壁を有している。カラーフィルタ用隔壁を有するので、色相が良好で表示品位の画像表示が可能である。
本発明の表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを含む。表示装置の定義や各表示装置の説明については、例えば、「電子ディスプレイデバイス」佐々木昭夫著、(株)工業調査会(1990年発行)、「ディスプレイデバイス」伊吹順章著、産業図書(株)(平成元年発行)などに記載されている。
上記の液晶表示装置については、例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術」(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている。液晶表示装置の形態に特に制限はなく、例えば、前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載の色々な方式の液晶表示装置に構成することができる。
中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に構成されると効果的である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば、「カラーTFT液晶ディスプレイ」(共立出版(株)、1996年発行)に記載がある。さらに、本発明の液晶表示素子は、IPS等の横電界駆動方式、MVA等の画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置に構成することも可能である。これらの方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−」(東レ・リサーチセンター調査研究部門、2001年発行)の43頁に記載されている。
液晶表示装置は、カラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角補償フィルムなど、様々な公知の部材を用いて構成することができる。上記した本発明のカラーフィルタ用隔壁付基板、液晶表示素子用カラーフィルタは、これら公知の部材で構成された液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場」(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)」(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003年発行)に記載されている。
実施例
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
濃色組成物K1の調製
まず下記表1に記載の量のK顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及び界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150r.p.m.で30分間攪拌することにより、濃色組成物K1を調製した。
K顔料分散物1の組成を下記に示す。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…79.53%
・カーボンブラック(Nipex35、デグッサ社製)…13.1%
・下記分散剤…0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万)…6.72%
バインダー2の組成を下記に示す。
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合物、分子量3.8万)…27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73%
DPHA液の組成を下記に示す。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート…76%
(重合禁止剤、商品名:KAYARAD DPHA、MEHQ500ppm含有、日本化薬(株)製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…24%
界面活性剤1の組成を下記に示す。
・下記構造物1…30%
・メチルエチルケトン…70%
離隔壁の形成
無アルカリガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という)をUV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、さらに超純水で超音波洗浄した。その後、ガラス基板を120℃で3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
ガラス基板を冷却後、23℃に温調し、スリット状ノズルを備えたガラス基板用コーター(商品名:MH−1600、エフ・エー・エス・アジア社製)にて、上記より得た濃色組成物K1を塗布した。引き続き、真空乾燥装置(VCD)(東京応化工業社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させ、塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして、膜厚1.8μmの濃色感光層K1を形成した。
超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機を用い、濃色感光層K1が形成されたガラス基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、マスク面と濃色感光層K1との間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。このとき、照度計(商品名:UV−M10−S、(株)オーク製作所製)を露光焦点部に設置して予め露光照度を計測したところ、70mW/cm2であった。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧し、濃色感光層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(商品名:CDK−1(KOH、ノニオン界面活性剤含有)、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の100倍希釈液にて23℃で80秒間、フラットノズル圧力0.04MPaにてシャワー現像し、パターン像を得た。引き続き、超純水を超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行ない、大気下にて露光量2,000mJ/cm2にてポスト露光を行なって、光学濃度3.5の離隔壁を形成した。
以上のようにして、ガラス基板に離隔壁が形成された離隔壁付基板を作製した。
上記のようにして作製した離隔壁付基板を、ガラス基板ごと基板面に垂直に切断し、露出した切断面を光学顕微鏡で直接観察すると共に、走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影した。結果を下記表2に示す。上記のように観察した結果、図1に示すように、離隔壁の基板面からの高さが最も高い点での離隔壁高さh、0.8hの位置に基板と平行な線L1、L1と離隔壁の接点における接線L2、hの位置に基板と平行な線L3としたとき、L2とL3の交点から離隔壁までの距離dと定義したとき、h=1.6μm、d=0.061μmであり、d/h=0.038であった。
プラズマ撥インク処理
次いで、離隔壁が形成された離隔壁付基板に対し、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、下記条件で離隔壁にプラズマ撥インク処理を行なった。
・使用ガス :CF4
・ガス流量 :80sccm
・圧力 :40Pa
・RFパワー:50W
・処理時間 :30sec
画素用着色インクの調製
下記の成分のうち、まず顔料(C.I.ピグメント・レッド254)と高分子分散剤(商品名:ソルスパース24000、AVECIA社製)とを溶剤(3−エトキシプロピオン酸エチル)と共に混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を調製した。この顔料分散液をディソルバー等で充分に攪拌しながら、更にグリシジルメタクリレート/スチレン共重合体、第一エポキシ樹脂、第二エポキシ樹脂、及びトリメリット酸を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用着色インクを調製した。
R画素用着色インクの組成
・顔料(C.I.ピグメント・レッド254) … 5部
・高分子分散剤(商品名:ソルスパース24000、AVECIA社製)
… 1部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比の
ランダム共重合物、分子量3.7万(バインダー) … 3部
・第一エポキシ樹脂
(商品名:エピコート154、油化シェル社製;ノボラック型エポキシ樹脂)
… 2部
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)
… 5部
・トリメリット酸(硬化剤) … 4部
・3−エトキシプロピオン酸エチル(溶剤) …80部
さらに、前記組成中のC.I.ピグメント・レッド254をC.I.ピグメント・グリーン36に代えて同量用いた以外は、前記R画素用着色インクの調製と同様にして、緑色(G)画素用着色インクを調製した。また更に、前記R画素用着色インクの組成中のC.I.ピグメント・レッド254をC.I.ピグメント・ブルー15:6に代えて同量用いた以外は、前記R画素用着色インクの調製と同様にして、青色(B)画素用着色インクを調製した。
次に、上記より得たR、G又はB画素用着色インクを順次用いて、離隔壁付基板の、プラズマ撥インク処理された離隔壁で離隔された凹状の領域に、各色の着色インクを所望濃度となるように順次インクジェットヘッドから吐出し、RGB3色の画素パターンで構成されたカラーフィルタを作製した(以下、カラーフィルタ基板と称する)。続いて、このカラーフィルタを230℃のオーブンに入れて30分間ベーク処理を行ない、離隔壁及び画素パターンをともに硬化させた。
得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を光学顕微鏡により評価したところ、各色の着色インクは離隔壁間の凹部にぴったり収まり、はみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生は認められなかった。
次に、得られたカラーフィルタ基板を構成するR画素、G画素及びB画素並びに離隔壁の上にさらに、スパッタリングによりITO(Indium Tin Oxide)膜を設け、透明電極を形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれ、PVAモード用にエッチングレジストを用いてパターニングした。
ここで、カラーフィルタ基板の透明電極(ITO膜)の抵抗値を、抵抗率計(商品名:ロレスタ、三菱化学(株)製)を用い四端針法にて測定したところ、12Ω/□であり、低い値を示した。これは、ガラス基板上に設けられた離隔壁の上端面の平坦性が向上したことによるものと考えられる。
次に、上記のカラーフィルタ基板の透明電極(ITO膜)上における、離隔壁の上方に位置する部分にフォトスペーサを設けると共に、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。その後、カラーフィルタ基板のRGB3色の画素パターンの全体を取り囲むように外枠位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共にPVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた両基板を熱処理してシール剤を硬化させ、液晶セルを作製した。
さらに、作製した液晶セルの両側の基板面に偏光板(商品名:HLC2−2518、(株)サンリッツ製)のを貼り付けた。次いで、冷陰極管を用いてバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
実施例2
実施例1において、露光照度を300mW/cm2に変更したこと以外、実施例1と同様にして、離隔壁を形成すると共に、カラーフィルタ基板を作製し、液晶表示素子を作製した。
上記において、実施例1と同様にして、形成された離隔壁の観察を行なったところ、h=1.8μm、d=0.064μmであり、d/h=0.035であった。結果を下記表2に示す。なお、実施例1と同様に、上端面の平坦性の高い離隔壁を形成することができた。また、得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を実施例1と同様に評価したところ、各色の着色インクは離隔壁間の凹部にぴったり収まり、はみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生は認められなかった。さらに、実施例1と同様にして測定した透明電極(ITO膜)の抵抗値は11Ω/□であり、低い値を示した。これは、離隔壁の上端面の平坦性が向上したことによるものと考えられる。
実施例3
実施例1において、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機をレーザー光源を備えた走査型露光機に代えたこと以外、実施例1と同様にして、離隔壁を形成すると共に、カラーフィルタ基板を作製し、液晶表示素子を作製した。このときの露光照度を、照度計を露光焦点部に設置して予め計測したところ、2200mW/cm2であった。
上記において、実施例1と同様にして、形成された離隔壁の観察を行なったところ、h=1.8μm、d=0.045μmであり、d/h=0.025であった。結果を下記表2に示す。なお、実施例1と同様に、上端面の平坦性の高い離隔壁を形成することができた。また、得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を実施例1と同様に評価したところ、各色の着色インクは離隔壁間の凹部にぴったり収まり、はみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生は認められなかった。さらに、実施例1と同様にして測定した透明電極(ITO膜)の抵抗値は8Ω/□であり、低い値を示した。これは、離隔壁の上端面の平坦性が向上したことによるものと考えられる。
実施例4
濃色感光性転写材料K1の作製
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、この熱可塑性樹脂層上に更に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布し、乾燥させて中間層を積層した。続いて、中間層上に実施例1で調製した濃色組成物K1を塗布し、乾燥させて黒色の濃色感光層を更に積層した。
以上のようにして、PET仮支持体上に乾燥膜厚14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚1.6μmの中間層と、乾燥膜厚2μmの濃色感光層とを設け、濃色感光層の表面に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着して、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/濃色感光層の積層構造に構成された濃色感光性転写材料を作製した。以下、これを濃色感光性転写材料K1とする。
熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1
・メタノール …11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート… 6.36部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 5.83部
(共重合比[モル比]=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃)
・スチレン/アクリル酸共重合体 …13.6部
(共重合比[モル比]=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃)
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) … 9.1部
・前記界面活性剤1 … 0.54部
中間層用塗布液の処方P1
・PVA−205 … 32.2部
〔(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550;ポリビニルアルコール〕
・ポリビニルピロリドン … 14.9部
(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)
・蒸留水 …524部
・メタノール …429部
離隔壁の形成
無アルカリガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という)を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。その後、この基板を基板予備加熱装置で100℃で2分間加熱した。
シランカップリング処理後のガラス基板に、上記より得た濃色感光性転写材料K1から保護フィルムを剥離除去し、除去後に露出した濃色感光層の表面と前記ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネータ(商品名:LamicII型、(株)日立インダストリイズ製)を用いて、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートした。
続いて、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機を用いて、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、マスク面と濃色感光層との間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。このとき、照度計を露光焦点部に設置して予め露光照度を計測したところ、60mW/cm2であった。
次いで、KOH系現像液(商品名:CDK−1(KOH、ノニオン界面活性剤含有)、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の100倍希釈液を用い、濃色感光層の未露光部と中間層及び熱可塑性樹脂層とを現像除去し、ガラス基板上に黒色パターンを得た。続いて、大気下でアライナーでガラス基板の全面を、ガラス基板の離隔壁が形成されている側から2,000mJ/cm2にてポスト露光し、光学濃度3.6の離隔壁を形成した。
このようにして得られた離隔壁の形状を、実施例1と同様にして観察したところ、h=1.7μm、d=0.045μmであり、d/h=0.026であった。結果を下記表2に示す。なお、実施例1と同様に、上端面の平坦性の高い離隔壁を形成することができた。
撥インク材料を塗布する方法による撥インク処理
離隔壁の形成されたガラス基板の離隔壁形成面側に、予めフッ素系界面活性剤(商品名:フロラードFC−430、住友3M(株)製)0.5質量%(下記感光性樹脂の固形分に対して)が内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ポジ型フォトレジスト、商品名:AZP4210、ヘキストシャパン(株)製)を、膜厚2μmとなるようにスリット状ノズルを用いて塗布し、温風循環乾燥機中で90℃、30分間の熱処理を行なった。次いで、ガラス基板の離隔壁が形成されていない側(裏面側)から110mJ/cm2(38mW/cm2 ×2.9秒)の露光量にて離隔壁を介して露光した。続いて、無機アルカリ現像液(商品名:AZ400Kデベロッパー、ヘキストジャパン社製、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行ない、ガラス基板上の離隔壁の上部に撥インク性樹脂層を形成した(既述した(4)の撥インク処理)。このとき、離隔壁で取り囲まれた凹部の内外において表面エネルギー差が形成された。
撥水性樹脂層形成後の画素形成領域と離隔壁との表面エネルギーは、離隔壁(撥水性樹脂層上)で10〜15dyne/cmであり、画素形成領域(ガラス基板上)で55dyne/cm前後であった。
次いで、実施例1と同様にして、カラーフィルタ基板を作製し、液晶表示素子を作製した。
得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を実施例1と同様に評価したところ、各色の着色インクは離隔壁間の凹部にぴったり収まり、はみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生は認められなかった。さらに、実施例1と同様にして測定した透明電極(ITO膜)の抵抗値は9Ω/□であり、低い値を示した。これは、離隔壁の上端面の平坦性が向上したことによるものと考えられる。
実施例5
実施例4において、中間層を設けなかったこと以外は同様にして作製した濃色感光性転写材料を用いたこと以外、実施例4と同様にして、離隔壁を形成すると共に、カラーフィルタ基板を作製し、液晶表示素子を作製した。
上記において、実施例1と同様にして、形成された離隔壁の観察を行なったところ、h=1.5μm、d=0.053μmであり、d/h=0.036であった。結果を下記表2に示す。なお、実施例1と同様に、上端面の平坦性の高い離隔壁を形成することができた。また、得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を実施例1と同様に評価したところ、各色の着色インクは離隔壁間の凹部にぴったり収まり、はみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生は認められなかった。さらに、実施例1と同様にして測定した透明電極(ITO膜)の抵抗値は10Ω/□であり、低い値を示した。これは、離隔壁の上端面の平坦性が向上したことによるものと考えられる。
比較例1
実施例1において、露光照度を40mW/cm2に変更したこと以外、実施例1と同様にして、離隔壁を形成すると共に、カラーフィルタ基板を作製し、液晶表示素子を作製した。このとき、形成された離隔壁の光学濃度は、3.6であった。
上記において、実施例1と同様にして、形成された離隔壁の観察を行なったところ、h=1.7μm、d=0.14μmであり、d/h=0.082であった。結果を下記表2に示す。また、得られたカラーフィルタ基板について、インクジェット付与された各色の着色インクのはみ出し、混色、各画素パターン中の白抜けの有無を実施例1と同様に評価したところ、インクは離隔壁を乗り越えてしまい、隣接する画素パターン間で混色が起こってしまっていた。さらに、実施例1と同様にして測定した透明電極(ITO膜)の抵抗値は22Ω/□であり、離隔壁の上端面の平坦性はあまり高いものではなかった。
前記表2に示すように、実施例では、断面矩形に形成された離隔壁は基板と接しない角部(エッジ)が鮮鋭で上端面の平坦性が高く、打滴付与されたインクのはみ出しや滲み、隣接する画素パターン間での混色、及びパターン中の白抜けの発生を防止することができた。これに対し、比較例では、離隔壁における基板と接しない角部(エッジ)が丸くなってしまい、インクのはみ出しや滲み、混色が生じ、パターン中の白抜けも発生してしまった。
符号の説明
1 離隔壁
2 基板

Claims (10)

  1. 下記工程を含む、カラーフィルタ用隔壁の製造方法:
    基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;及び
    液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程。
  2. 前記露光に用いる光源が、レーザー光であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用隔壁の製造方法。
  3. 前記隔壁パターンの少なくとも一部に撥インク性を付与する撥インク処理工程を更に含む請求項1に記載のカラーフィルタ用隔壁の製造方法。
  4. 前記隔壁パターンの少なくとも一部に撥インク性を付与する撥インク処理工程を更に含む請求項2に記載のカラーフィルタ用隔壁の製造方法。
  5. 前記撥インク処理工程が、プラズマ処理であることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用隔壁の製造方法。
  6. 前記撥インク処理工程が、プラズマ処理であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ用隔壁の製造方法。
  7. 下記工程を含む方法により作製されたカラーフィルタ用隔壁付基板:
    基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;及び
    液滴を付与して形成される着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程。
  8. 下記工程を含む、カラーフィルタ用隔壁付基板及び着色画素部を含む表示素子用カラーフィルタの製造方法:
    基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;
    該着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程;及び
    該着色画素部を形成するために、該カラーフィルタ用隔壁付基板の隔壁間の凹部にインクジェット法により液滴を付与する工程。
  9. カラーフィルタ用隔壁付基板及び着色画素部を含む表示素子用カラーフィルタであって:
    該カラーフィルタ用隔壁付基板が
    基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;及び
    該着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程;
    を含む方法により製造されること;及び
    該着色画素部が
    該カラーフィルタ用隔壁付基板の隔壁間の凹部にインクジェット法により液滴を付与する工程
    を含む方法により製造されること
    を特徴とする、該表示素子用カラーフィルタ。
  10. 表示素子用カラーフィルタを備えた表示装置であって:
    該表示素子用カラーフィルタが カラーフィルタ用隔壁付基板及び着色画素部を含むこと;
    該カラーフィルタ用隔壁付基板が
    基板の少なくとも一方に、少なくともラジカル重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーと色材とを含む感光性樹脂層を形成する工程;及び
    該着色画素部を離隔する隔壁パターンを形成するために、該感光性樹脂層を50mW/cm2以上の照度でパターン状に露光し、現像する工程;
    を含む方法により製造されること;及び
    該着色画素部が
    該カラーフィルタ用隔壁付基板の隔壁間の凹部にインクジェット法により液滴を付与する工程
    を含む方法により製造されること
    を特徴とする、該表示装置。
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