JP5073239B2 - カラーフィルタ用インクジェットインク、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents
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Description
また、濃淡のインクを用いて画素内の濃度調節を行ないながら平坦性を付与する方法が開示されているが(例えば、特許文献8参照)、工程が煩雑になるうえ、充分な平坦性を得ることはできない。
<1> 隔壁により区画された基材上の凹部へのインクジェット法による着色領域の形成に用いられるカラーフィルタ用インクジェットインクであって、隔壁との接触角が40°以上であり、平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度が25℃で50mPa・s以上2000mPa・s以下であり、固形分中に重合性モノマーを40質量%以上含み、前記重合性モノマーは、25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーを含み、重合性モノマー全体に占める、前記25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーの割合が、65質量%以上であるカラーフィルタ用インクジェットインクである。
<3> 有機溶剤を更に含み、前記有機溶剤の含有割合が40質量%以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のカラーフィルタ用インクジェットインクである。
<6> 有機溶剤を更に含み、前記有機溶剤の含有割合が40質量%以上であることを特徴とする<4>又は<5>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<8> <4>〜<7>のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタである。
<9> <8>に記載のカラーフィルタを備えた表示装置である。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、画素と各画素を互いに離隔する遮光性の隔壁とを有するカラーフィルタを作製する場合に、予め基材上に設けられた隔壁により区画されている該基材上の凹部にインクジェット法によって液滴を吐出し、着色領域を形成するために用いられ、水との接触角が110°となる条件でプラズマ処理された隔壁との接触角を40°以上とし、平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度(25℃)を40〜4000mPa・sとして構成したものである。
ここでの接触角は、カラーフィルタ用インクジェットインクが、下記の隔壁標準サンプルの隔壁表面に滴下されたインク滴の25℃での接触角であり、該接触角が40°以上であると、混色等の問題を回避することができる。
この接触角は、製造上は可能な限り大きいことが好ましく、接触角の上限値としては
150°程度である。中でも、接触角としては45°以上であることが好ましく、50°以上であることがより好ましい。
上記隔壁標準サンプル(以下、単に「標準サンプル」ともいう)は、隔壁付基板に、隔壁と水との接触角が110°となる条件でプラズマ処理を施すことにより作製する。
接触角の測定は、プラズマ処理してから2時間以内に行う。
前記隔壁付基板としては、以下のようにして作製されたものを用いる。
−隔壁形成用の濃色組成物K1の調製−
まず、下記「K顔料分散物1」25質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8質量部をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン53質量部、下記「バインダー1」9.1質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.002質量部、下記「DPHA液」4.2質量部、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.16質量部、及び下記「界面活性剤1」0.044質量部をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150r.p.m.で30分間攪拌することにより、濃色組成物K1を調製する。詳細な組成は以下に示す。
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35)…13.1%
・分散剤(下記化合物1)…0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合体、分子量3.7万)…6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…79.53%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合体、分子量3.8万)…27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73%
*DPHA液
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)…76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…24%
*界面活性剤1
・下記構造物1…30%
・メチルエチルケトン…70%
無アルカリガラス基板(以下、単位「ガラス基板」という。)をUV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、さらに超純水で超音波洗浄する。その後、ガラス基板を120℃で3分間熱処理して表面状態を安定化させる。
以上で作製した隔壁付基板に、隔壁と水との接触角が110°となる条件でプラズマ処理を施すことで、「隔壁標準サンプル」が得られる。
プラズマ処理の条件としては、隔壁と水との接触角が110°となる条件であれば、特に限定はないが、例えば、以下のような条件が好適である。
−条件−
・装置 :カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置
・使用ガス :CF4
・ガス流量 :80sccm
・圧力 :40Pa
・RFパワー:50W
・処理時間 :30sec
接触角の測定は、前記隔壁標準サンプルの表面(具体的には、微細な隔壁パターンの群からなる画素領域を取り囲むようにして、該画素領域の周囲に設けられた幅5mmの額縁状パターンの表面)に、カラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を滴下し、滴下後20秒経過時のこの液滴を光学顕微鏡写真(500倍)にて撮影し、撮影された写真から基材上の25℃における接触角θを求める方法により行なうことができる。
また、公知の接触角計を用いて、液滴の形状を観察することにより測定することもできる。例えば、協和界面科学(株)製の接触角計(CA−A)を用いて20メモリの大きさの液体試料をつくり、針先から液体試料を出して、前記隔壁標準サンプルにおける額縁状パターンの表面に触れさせ、該額縁状パターンの表面上に液体が移ると液滴ができ、この液滴を形成した後、20秒の液滴の形状を接触角計の覗き穴より観察し、接触角を求めることができる。
本発明に用いられるインクジェットインクは、平均厚みを1mmとした状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件で8時間乾燥して得られたインク残部の粘度が25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下である。
ポンプ光をステップ関数的にon/offすると、試料表面はそれに追随して持ち上がり、また元のフラットな状態へ戻る。粘性の高い試料ではこの変形に時間を要すため、変形速度より粘性を測定する。また変形量そのものは主に表面張力によって決定されるので、信号強度の変化より粘度情報を得ることができる。
例えば、後述する重合性モノマーを併用し、併用する重合性モノマーとしてより低粘度のモノマーを選択して用いる方法が挙げられる。また、バインダー成分として、高分子量や高極性の樹脂の含有量を減らし、インク中の高粘度成分を少なくする方法や、顔料に最適な分散剤を選択し、顔料分散液の粘度を低下させる方法、等が挙げられる。これらの中でも特に、低粘度の重合性モノマーを用いる方法が有効であり、画素の膜強度を付与する点で、重合性基を3つ以上有する3官能以上の重合性モノマー、特に25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーを用いた方法が好ましい。
以下、本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクを構成する成分を説明する。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、着色剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。この着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料など、公知のものを使用できるが、充分な透過濃度や耐光性、基板への密着性、その他の諸耐性が要求される点から、種々の有機顔料が好適である。
併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド254、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド254は、60質量%以上が好ましく、特に70質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・グリーン36は50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・ブルー15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
なお、ここでいう「粒径」とは、粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円で表したときの直径をいい、また、「数平均粒径」とは、多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、有機溶剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。有機溶剤としては、アルコール等の水溶性有機溶剤、及びエステルやエーテル等の非水溶性有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の割合が前記範囲内であると、1画素を形成する領域に打滴されるインク量を確保することができ、画素内でインクが良好に濡れ広がって平坦性に優れた画素形成が行なえる点で有効である。
760mmHg下で160℃以上の沸点を有する有機溶剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0031]〜[0037]に記載の高沸点溶媒やアルキレングリコールアセテート、アルキレングリコールジアセテート等が挙げられる。中でも、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,3−ブタンジオールジアセテート、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート等が特に好ましい。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、重合性モノマーの少なくとも一種を用いて構成することができる。重合性モノマーとしては、活性エネルギー線及び/又は熱により重合反応が可能であれば特に限定されるものではなく、単官能モノマー及び2つ以上の重合性基を有する多官能モノマーのいずれも用いることが可能である。
また、前記3官能以上のモノマーを2種以上併用することも可能である。
併用するうえで好ましい多官能モノマーや高極性モノマー及びオリゴマーとしては、特に制限はなく、汎用のものを適宜選択できるが、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート(例えば東亜合成(株)製のアロニクスM−1000、M−1200、M−1210、M−1600)、ポリエステルアクリレート(例えば、東亜合成(株)製のアロニクスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050)、等が挙げられる。
これらの併用してもよいモノマーの添加量は、インク残部の粘度が25℃で4000mPa・s以下になる範囲内で適宜調節することができる。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクには、着色剤(特に顔料)の分散安定性を確保するために、顔料分散剤を添加することが好ましい。
顔料分散剤を用いる場合の使用量は、カラーフィルタ用インクジェットインクの全質量に対して、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜9質量%の範囲がより好ましく、0.1〜8質量%の範囲が特に好ましい。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクには、重合性モノマーの重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用してもよい。
重合開始剤としては、カラーフィルタを構成する画素の重合硬化を活性エネルギー線により行なう場合には光重合開始剤が好適であり、画素の重合硬化を熱により行なう場合には熱重合開始剤が好適に用いられる。
また、熱重合開始剤の他に、イミダゾールなどの硬化触媒を用いることもできる。
前記有機過酸化物は、過酸化水素(H−O−O−H)の誘導体であり、分子内に−O−O−結合を持つ有機化合物をいう。
具体的には、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、
光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤の含有量としては、重合性モノマーの量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、重合硬化を良好に行なうのに有効であり、インクジェットインクの粘度が経時変化したり、重合開始剤の分解物による着色が問題になることもない。
また、界面活性剤の例としては、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に記載の界面活性剤を好適なものとして挙げることができる。界面活性剤の含有量は、カラーフィルタ用インクジェットインクの全質量に対して、5質量%以下が好ましい。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基材上に遮光性の隔壁を形成し、前記隔壁で離隔された凹部に、インクジェット法によりカラーフィルタ用インクジェットインクを付与して画素を形成するカラーフィルタの製造方法であり、
前記カラーフィルタ用インクジェットインクを、前記隔壁との接触角が40°以上であって、平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度が25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下となるように構成したものである。
前記カラーフィルタ用インクジェットインクは、更に、着色剤及び/又は有機溶剤を含むことが好ましい。
なお、隔壁は、着色層形成工程前に予め基板上に形成されたものであり、隔壁の形成方法の詳細については後述する。
着色層形成工程は、基板上に設けられた隔壁(ブラックマトリクス等の濃色離画壁を含む)間で取り囲まれた凹部に、前記隔壁との接触角が40°以上であって、平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度が25℃で40mPa・s以上4000mPa・s以下であるカラーフィルタ用インクジェットインク(好ましくは本発明のカラーフィルタ用インクジェットインク)の液滴をインクジェット法で付与して着色層を形成する。この着色層は、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素を構成するものである。
なお、本工程で用いるカラーフィルタ用インクジェットインクの接触角、インク残部の粘度、成分等については、既述の通りである。
インクジェットインクの射出条件としては、インクジェットインクを30〜60℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。インクジェットインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こしやすいため、インクジェットインク温度をできるだけ一定に保つことが重要である。
射出時の粘度は、5〜25mPa・sとなるように射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようにインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は、必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等の形状に制限されるものではない。ノズル径は、10〜100μmの範囲であることが好ましい。なお、ノズルの開口部自身は必ずしも真円とは限らないが、その場合、ノズル径は該開口部の面積と同等の円で表したときの径とする。
本発明においては、吐出されたカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴(インク滴)を(該インク滴に有機溶剤が含まれる場合は該有機溶剤を除去して)インク残部とした後に、該インク残部に活性エネルギー線を照射し、及び/又はインク残部を加熱する工程(以下、照射する工程を「第1の硬化工程」と、加熱する工程を「第2の硬化工程」ということがある。)を設けることにより、インク残部を重合硬化させて画素を形成してもよい。
〈第1の硬化工程〉
第1の硬化工程では、前記着色層形成工程で形成された少なくとも1色の着色層に活性エネルギー線を照射して重合硬化する。赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む各色の本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクを重合硬化させることにより、硬化した画素を形成することができる。硬化は、1色の着色層を形成するごとに行なってもよいし、複数色の着色層を形成した後に行なうようにしてもよい。
第2の硬化工程では、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む所望の色相の着色層の全てを熱により硬化する。上記したように、前記第1の硬化工程を設けると共に第2の硬化工程を設けるようにしてもよく、この場合にはカラーフィルタの製造効率と表示特性とを両立させることができる。なお、第2の硬化工程のみで硬化させることもできる。
予備加熱工程における加熱温度には特に制限はないが、画素の熱重合が開始する温度をT℃とした場合、前記加熱温度としては、T℃未満であって画素の重合反応が起きない温度範囲が好ましく、50℃以上100℃以下の範囲がより好ましく、60℃以上90℃以下の範囲がさらに好ましい。予備加熱工程を設けることにより、インクジェット付与された着色層(画素)中に有機溶剤が含まれる場合には該有機溶剤の蒸発が促進され、カラーフィルタを効率的に作製することができるうえ、インク残部の粘度が熱により低下するためにより高い流動性が得られ、白抜け及び色ムラの発生が抑えられ、高い平坦性の画素を有するカラーフィルタを作製することが可能である。
予備加熱工程の時間には、特に制限はなく、好ましくは1〜5分間である。
インクを加熱し、加熱前のインク粘度に対して、加熱によりインクの重合が開始し、インクのゲル化等が観察される温度をTとする。より具体的には、加熱後のインク粘度の上昇が5mPa・s以上の場合の加熱温度をTとする。
本発明では、基板上に形成された隔壁により取り囲まれた凹部に、インクジェット法によりカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を付与して画素形成される。この隔壁は、いずれの形態に構成されたものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合には、ブラックマトリクスなどの遮光性を有するものであることが好ましい。
前記公知の作製方法の中でも、コスト低減の観点から、感光性樹脂転写材料を用いた方法が好ましい。感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に少なくとも遮光性を有する感光性の樹脂層を設けたものであり、この樹脂層を基板面に貼り合わせて圧着し、該遮光性を有する感光性の樹脂層を基板上に転写することができる。
撥インク処理については、例えば、(1)撥インク性物質を隔壁に練りこむ方法(例えば、特開2005−36160号公報参照)、(2)隔壁に撥インク層を新たに設ける方法(例えば、特開平5−241011号公報参照)、(3)基板上に形成された隔壁にプラズマ処理を施して撥インク性を付与する方法(例えば、特開2002−62420号公報参照)、(4)隔壁の壁上面に撥インク材料を塗布する方法(例えば、特開平10−123500号公報参照)、などが挙げられ、中でも特に、(3)基板上に形成された隔壁にプラズマ処理を施して撥インク性を付与する方法が好ましい。
オーバーコート層は、樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性に優れ、カラーフィルタ形成用の光硬化性組成物の樹脂成分が一般にアクリル系樹脂を主成分として密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものやオーバーコート剤の市販品としてJSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
カラーフィルタの用途には、特に制限はなく、例えば、テレビ、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に好適である。
本発明の表示装置は、既述の本発明のカラーフィルタを用いて構成されたものである。本発明のカラーフィルタを備えるので、白抜けや色ムラなどによる表示ムラが抑制され、表示品質の良好な画像表示が可能である。
中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に構成されるのが有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば、「カラーTFT液晶ディスプレイ」(共立出版(株)、1996年発行)に記載されている。さらに、IPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−」(東レリサーチセンター調査研究部門、2001年発行)の43ページに記載されている。
−隔壁形成用の濃色組成物K1の調製−
まず、下記表1(処方K1)に記載の量のK顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、下記表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及び界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150r.p.m.で30分間攪拌することにより、濃色組成物K1を調製した。なお、表1中の量は質量基準であり、詳細な組成は以下に示す。
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35)…13.1%
・分散剤(下記化合物1)…0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合体、分子量3.7万)…6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…79.53%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合体、分子量3.8万)…27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73%
*DPHA液
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)…76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…24%
*界面活性剤1
・下記構造物1…30%
・メチルエチルケトン…70%
無アルカリガラス基板(以下、単位「ガラス基板」という。)をUV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、さらに超純水で超音波洗浄した。その後、ガラス基板を120℃で3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
上記で得られた隔壁付基板は、隔壁により区画された150μm×450μmの長方形の開口部を有する基板である。また、該隔壁の膜厚は2μmで、ライン幅は30μmである。
次いで、隔壁(ブラックマトリクス)が形成された隔壁付基板に対し、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、下記条件で隔壁にプラズマ撥インク処理を行なった。
(条件)
・使用ガス :CF4
・ガス流量 :80sccm
・圧力 :40Pa
・RFパワー:50W
・処理時間 :30sec
ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green 36)に、下記分散剤A及び溶剤(1,3−ブタンジオールジアセテート;以下、1,3−BGDAと略記する)を下記表2に示すように配合し、プレミキシング後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)により直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて、周速9m/sにて9時間分散し、G用顔料分散液(G1)を調製した。
下記表3に示すように、1,3−ブタンジオールジアセテート(1,3−BGDA;沸点232℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;沸点146℃)、アロニクスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート、粘度:85mPa・s(at25℃)、東亜合成(株)製)、前記界面活性剤1、及び熱重合開始剤(V−40(アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル))、和光純薬(株)製)を混合し、25℃で30分間攪拌した後、不溶物が無いことを確認し、モノマー液とした。
また同様にして、R用顔料分散液(R1),(R2)、G用顔料分散液(G1),(G2)をそれぞれ用いて、R用インクジェットインク(インクR−1)、G用インクジェットインク(インクG−1)を調製した。
調製したインクジェットインクの各々について下記の測定を行なった。測定結果は、下記表3に示す。
(1)インク粘度の測定
上記で得た各インクジェットインクの粘度を、東機産業(株)製のE型粘度計(RE−80L)を用いて以下の条件にて測定した。
(測定条件)
使用ロータ:1°34’×R24
測定時間 :2分間
測定温度 :25℃
協和界面科学(株)製の接触角計(CA−A)を用い、20メモリの大きさの液体試料(インク試料)をつくり、針先から該インク試料を出して、下記の隔壁ベタサンプル(隔壁標準サンプル)に接触させることにより、下記の隔壁ベタサンプルの表面(具体的には、微細な隔壁パターンの群からなる画素領域を取り囲むようにして、該画素領域の周囲に設けられた幅5mmの額縁状パターンの表面)に、インク滴を形成し、インク滴形成後20秒経過時に、接触角計の覗き穴からインク滴の形状を観察し、25℃における接触角θを求めた。ここで、隔壁ベタサンプルとしては、後述のプラズマ処理から2時間の隔壁ベタサンプルを用いた。
前記(隔壁標準サンプル)で説明した方法により、隔壁ベタサンプルを作製した。プラズマ処理は、隔壁と水との接触角が110°となる条件(具体的には下記の条件)で行った。
−−条件−−
・装置 :カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置
・使用ガス :CF4
・ガス流量 :80sccm
・圧力 :40Pa
・RFパワー:50W
・処理時間 :30sec
各インクジェットインクを、平均厚み1mmとなるようにアルミ製の受け皿にそれぞれ入れ、風乾した後、45℃で8時間真空乾燥(0.67kPa)を行ない、薬サジを用いてアルミ皿から集めて試料とした。この試料を、JascoInternational Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS−100を用いて、測定温度25℃、周波数 1Hzにて測定した。
次に、上記のインクR−1、G−1、B−1を用いて、上記で得たプラズマ撥インク処理後の隔壁付基板のブラックマトリクス(隔壁)で区画された凹状の領域(隔壁で囲まれた凹部)に、Dimatix社製のインクジェットヘッド(SE−128)を用いて所望の濃度になるまで各インクの吐出を順に行ない、R、G、Bの画素パターンを形成した。そして、この画素パターンを隔壁付基板と共に、ホットプレート上で90℃2分乾燥することにより、有機溶剤が含まれる場合には該有機溶剤を除去して、インク残部とした後に、隔壁付基板と共に、230℃オーブン中で30分間ベーク処理を行なって、ブラックマトリクス及び画素パターンがともに硬化されたカラーフィルタ1を得た。以下、R、G、Bの画素パターンが設けられた隔壁付基板を「カラーフィルタ基板」という。
(1)画素部の平坦性の評価
カラーフィルタを構成する画素を非接触式表面形状測定装置New View 6K(Zygo社製)を用いて観察し、表面形状のプロファイルを算出した。そして、画素の最も低い部分を「A」とし、最も高い部分を「B」として高低差(B−A)を求め、高低差を指標に下記評価基準にしたがって平坦性の評価を行なった。なお、実用上許容可能な範囲は「○」以上である。
その結果、R、G、Bいずれの画素も「◎」であり、平坦性が非常に良好な画素が得られ、表面平滑なカラーフィルタ1を作製することができた。
[評価基準]
◎:B−A<0.1μm
○:0.1≦B−A<0.3μm
△:0.3≦B−A<0.6μm
×:0.6μm≦B−A
得られたカラーフィルタ1の混色、白抜けの評価は、光学顕微鏡による観察によって行った。
混色については以下のようにして評価した。
まず、前記「−インクジェット法による画素の形成−」において、Gヘッドの位置を画素開口部中心からx方向に1μmずらして(以下「着弾位置ずれ量」という)、G−1インクを打滴することにより、カラーフィルタを作製した。同様にして、上記ずれ量を2、3、・・・40μmとしたカラーフィルタをそれぞれ作製した。なお、x方向の開口部のサイズは150μmである。
上記で得られた40種類のカラーフィルタについて、それぞれ光学顕微鏡により、混色または隔壁表面のインク残りの発生有無を確認し、後述の評価基準に従って評価した。
白抜けについては、光学顕微鏡により100画素を観察し、白抜けが確認された画素数を数えることで評価した。
その結果、カラーフィルタ1はR、G、Bいずれの画素も○であり、混色、白抜けの発生が抑制されたカラーフィルタ1を作製することができた。
[評価基準]
○:混色又はインク残りが観察される着弾位置ずれ量が25μm以上であり、かつ、白抜けは観察されなかった。
△:混色又はインク残りが観察される着弾位置ずれ量が25μ未満で、白抜けが5箇所未満。
×:混色又はインク残りが観察される着弾位置ずれ量が25μ未満で、白抜けが5箇所以上。
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素、並びにブラックマトリクスの上に更に、スパッタリングによりITO(Indium Tin Oxide)の透明電極を形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施した。
次いで、カラーフィルタ基板側の透明電極上の、ブラックマトリクス(隔壁)の上方に位置する領域にフォトスペーサを設け、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
実施例1で調製したインクB−1において、モノマー(アロニクスM-309)を下記表4に示すモノマー成分に変更したこと以外、インクB−1と同様にして、本発明のB用インクジェットインク(インクB−2〜B−7)、及び比較のB用インクジェットインク(インクB−8〜B−11)を調製した。
上記のインクB−2〜B−11及び実施例1で調製したインクB−1を用いて、実施例1と同様にして、隔壁付基板にBlue画素を形成することにより、Blue単色のカラーフィルタを作製した。
得られたBlue単色のカラーフィルタについて、実施例1と同様の方法により、平坦性、混色、白抜けの評価を行なった。ここで、混色については、打滴されたインクが隣の画素にはみ出した場合に混色ありとみなして判断した。
さらに、以下に示す方法により色ムラの評価を行った。評価結果は下記表5に示す。
上記Blue単色のカラーフィルタを白色光にかざし、各カラーフィルタの面積10cm×10cmの範囲を、被験者10人に目視で観察させることにより、色ムラの評価を行った。評価基準を以下に示す。
[評価基準]
○:色ムラがあると認識した人数:0人
△:色ムラがあると認識した人数:1人〜2人
×:色ムラがあると認識した人数:3人以上
実施例1のインクジェットインク(RGB)の調製において、顔料分散液及び他の成分を下記表6〜7に示すように変更して配合したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェットインクR−2〜R−7、インクG−2〜G−7を調製した。
*バインダー3
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=70/30[モル比])のランダム共重合物、分子量1.0万)…45%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…55%
ITOの透明電極のスパッタ形成時におけるシワの発生の程度を目視により観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
[評価基準]
5…シワが全く発生していなかった。
4…ほとんどシワが発生していなかった。
3…わずかにシワの発生が見られた。
2…部分的にシワの発生が見られた。
1…シワが大きく発生しており、画素に曇りが発生した。
実施例1のカラーフィルタ1及び液晶表示装置1の作製において、インクR−1、G−1、B−1をそれぞれ下記表10に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、カラーフィルタ2〜8及び対応する液晶表示装置2〜8を作製した。
上記より得られた液晶表示装置について、下記の評価を行なった。評価結果は下記表11に示す。
(画素内の色濃度のバラツキ評価)
R,G,Bの各単色画像を表示し、各色ごとに面積10cm×10cmの範囲における濃度ムラの程度を10人に観察させて下記の評価基準にしたがって評価した。
[評価基準]
○:濃度ムラがあると認識した人数:0人
△:濃度ムラがあると認識した人数:1人〜2人
×:濃度ムラがあると認識した人数:3人以上
各液晶表示装置を白表示した場合と黒表示した場合とにおける表示ムラを下記の評価基準にしたがって評価した。
[評価基準]
○:白表示、黒表示ともに表示ムラは認められなかった。
△:黒表示では表示ムラが見られないが、白表示で表示ムラが認められた。
×:白表示、黒表示ともに表示ムラが認められた。
−隔壁の形成−
(濃色感光性転写材料K2の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、この熱可塑性樹脂層上に下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて中間層を形成した。この中間層上にさらに、実施例1で調製した濃色組成物K1を塗布、乾燥させて感光性樹脂層を形成した。このようにして、仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2μmの感光性樹脂層とを積層し、その後さらに感光性樹脂層上に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着した。
以上のようにして、仮支持体上に熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と感光性樹脂層とが積層された濃色感光性転写材料を作製した。以下、これを「濃色感光性転写材料K2」と称する。
・メタノール … 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 6.36部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) … 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃) …13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) … 9.1部
・前記界面活性剤1 … 0.54部
・PVA−205 … 32.2部
(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30) … 14.9部
・蒸留水 …524部
・メタノール …429部
その後、上記の露光時に用いた露光機によりマスクを用いずに、このガラス基板に対して両面から3000mJ/cm2の露光量でポスト露光した後、220℃で15分間熱処理を行なった。
次いで、下記の方法により撥インク処理を行なった。
隔壁の形成されたガラス基板の隔壁形成面側に、予めフッ素系界面活性剤(フロラードFC−430、住友3M(株)製)0.5質量%(下記感光性樹脂の固形分に対して)が内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ポジ型フォトレジストAZP4210、ヘキストシャパン(株)製)を、膜厚2μmとなるようにスリット状ノズルを用いて塗布し、温風循環乾燥機中で90℃、30分間の熱処理を行なった。次いで、ガラス基板の隔壁が形成されていない側(裏面側)から110mJ/cm2(38mW/cm2 ×2.9秒)の露光量にて隔壁を介して露光した。続いて、無機アルカリ現像液(ヘキストジャパン社製、AZ400Kデベロッパー、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行ない、ガラス基板上の隔壁の上部に撥インク性樹脂層を形成した(既述した(4)の撥インク処理)。このとき、隔壁で取り囲まれた凹部の内外において表面エネルギー差が形成された。
撥水性樹脂層形成後の画素形成領域と隔壁との表面エネルギーは、離画壁(撥水性樹脂層上)で10〜15dyne/cm(10〜15×10−3N/m)であり、画素形成領域(ガラス基板上)で55dyne/cm(10〜15×10−3N/m)前後であった。
さらに、このカラーフィルタ9を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置9を作製し、この液晶表示装置9について実施例4と同様の評価を行なった。評価結果は下記表11に示す。
実施例2におけるB−1インクを用いたカラーフィルタの作製において、プラズマ撥インク処理の処理時間を5secに代えた以外は実施例2におけるB−1インクを用いたカラーフィルタの作製と同様にして、比較用のBlue単色のカラーフィルタを作製し、評価を行った。評価結果を表12に示す。
Claims (7)
- 隔壁により区画された基材上の凹部へのインクジェット法による着色領域の形成に用いられるカラーフィルタ用インクジェットインクであって、
水との接触角が110°となる条件でプラズマ処理された隔壁との接触角が40°以上であり、
平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度が25℃で50mPa・s以上2000mPa・s以下であり、
固形分中に重合性モノマーを40質量%以上含み、
前記重合性モノマーは、25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーを含み、
重合性モノマー全体に占める、前記25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーの割合が、65質量%以上であるカラーフィルタ用インクジェットインク。 - 着色剤を更に含み、前記インク残部の全質量に占める前記着色剤の割合が20質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
- 有機溶剤を更に含み、前記有機溶剤の含有割合が40質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
- 基材上に遮光性の隔壁を形成し、前記隔壁で離隔された凹部に、前記隔壁との接触角が40°以上であって、平均厚み1mmの状態で5mmHg(0.67kPa)、45℃の条件にて8時間乾燥させて得られたインク残部の粘度が25℃で50mPa・s以上2000mPa・s以下であり、固形分中に重合性モノマーを40質量%以上含み、前記重合性モノマーは、25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーを含み、重合性モノマー全体に占める、前記25℃での粘度が700mPa・s以下である3官能以上の重合性モノマーの割合が、65質量%以上であるカラーフィルタ用インクジェットインクをインクジェット法により付与し画素を形成するカラーフィルタの製造方法。
- 前記インク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線の照射及び/又は加熱を施す工程を有し、前記インク残部を重合硬化させて前記画素を形成することを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項4又は5に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタ。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
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