JP5046731B2 - カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents
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Description
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来の製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
これらの問題を解決したカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式で着色インクを吹き付けして着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
かかるインクジェット方式によるカラーフィルタ製造方法では、インク吐出時の画素面厚みムラが生じやすく、その帰結として完成したカラーフィルタのITO抵抗値が上がってしまい、高品位なカラーフィルタを得られないという問題があった。この問題に対して、高圧下にてインク吐出を行う方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、カラーフィルタの生産性と、画素部平坦性とが共に優れたカラーフィルタの製造方法、この製造方法により得られたカラーフィルタ及び色むらが抑制された表示装置を提供することを目的とする。
<1> 隔壁により区画された基板上の凹部に、インクジェット方式によりカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を付与するインク付与工程と、少なくとも前記液滴を加熱処理する加熱工程とを含み、前記カラーフィルタ用インクジェットインクは、沸点190℃以上の溶剤を全溶剤の90質量%以上含有し、かつ、沸点250℃以上の溶剤を全溶剤の20質量%以上含有するカラーフィルタ用インクジェットインクであって、
前記沸点250℃以上の溶剤が、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、およびテトラプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、前記インク付与工程での液滴付与の終了から前記加熱工程における加熱処理の開始までの時間間隔が30秒以上であるカラーフィルタの製造方法。
<2> 前記沸点190℃以上の溶剤は、多価アルコールのジアセテートを含むことを特徴とする前記<1>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<3> 前記<1>または<2>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
<4> 前記<3>に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
インク付与工程は、隔壁(濃色離画壁)により区画された基板上の凹部に、カラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を、インクジェット方式で付与して着色層を形成する。この着色層は、例えば、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素とすることができる。
着色層の形成は、後述のようにして基板上に形成された隔壁により区画された基板上の凹部に、着色画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するためのインクジェットインクを侵入させて、2色以上の複数の画素で構成されるように形成することができる。
本発明におけるカラーフィルタ用インクジェットインク(以下、単に「インクジェットインク」や「インク」と称することがある。)は、溶剤、着色剤及び硬化性成分(モノマー)を少なくとも含有したカラーフィルタ用インクジェットインクである。
前記インクジェットインクは、沸点190℃以上の溶剤を全溶剤の90質量%以上含有し、かつ、沸点250℃以上の溶剤を全溶剤の20質量%以上含有する。前記沸点190℃以上の溶剤は1種単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。また、前記沸点250℃以上の溶剤は1種単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。
溶剤としては、例えば、「化学便覧応用編 改定3版、丸善株式会社、昭和60年8月15日発行」、「溶剤ポケットブック、株式会社オーム社、1989年6月20日発行」、「溶剤ハンドブック、株式会社講談社、1982年8月10日発行」に記載されている溶剤を用いることができる。
また、特開2004−220036号公報の段落番号[0066]及び[0092]〜[0096]、特開2006−284752号公報の段落番号[0082]〜[0089]、特開2006−299090号公報の段落番号[0024]〜[0029]、特開2006−345449号公報の段落番号[0019]、WO04−7626号公報、特開2006−83362号公報の段落番号[0024]、特開2005−234045号公報の段落番号[0063]〜[0067]、特許第3692365号公報の段落番号[0014]〜[0026]、特開2006−163306号公報の段落番号[0053]、特開2000−310706号公報の段落番号[0031]〜[0037]等に記載の溶剤を好適に用いることが出来る。
多価アルコール誘導体であって沸点190℃以上のものの具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,5−ペンタンジオールジアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、グリセリン1,3−ジエチルエーテルなどを挙げることができる。
沸点250℃以上の溶剤としては、例えば、2,6−ジメチルナフタレン、ビフェニル、1−クロロナフタレン、アジピン酸ジエチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ブチル、桂皮酸メチル、トリプロピレングリコール、イミダゾール、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、ドデシルベンゼン、1−ブロモナフタレン、桂皮酸エチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、酒石酸ジエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、グリセリン、トリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、p−オクチルフェノール、2−ナフトール、ノニルフェニル、ジオクチルアミン、スルホラン、並びに、多価アルコールのモノアルキルエーテル、多価アルコールのジアルキルエーテル、多価アルコールのポリアルキルエーテル、多価アルコールのモノアルキルエーテルアセテート、多価アルコールのジアセテート及び多価アルコールのポリアセテート等の多価アルコール誘導体であって沸点が250℃以上のもの等が挙げられる。
本発明において好ましく用いることができるアルカン系溶剤としては、例えば、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、イソドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,2,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−メチルオクタンなどが挙げられ、特に、n−デカン、n−ドデカンが好適に用いられる。
本発明におけるインクジェットインクは少なくとも1種の着色剤を含有することができる。本発明において使用される着色剤は、有機顔料、無機顔料、染料など、公知のものを使用できるが、十分な透過濃度や耐光性、基板への密着性、その他の諸耐性が要求されるため、種々の有機顔料が好適である。該着色剤の具体例としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物や、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。着色剤として顔料を含有することで、画素の保存安定性が向上する。
本発明における着色剤の含有量は特に限定されるものではないが、所望の色相、濃度を得るという観点から、インクジェットインクに占める着色剤の割合は10質量%以上が好ましく、12〜70質量%がさらに好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
赤色画素形成用のインク中の顔料は、少なくとも1種の赤色顔料を含むことが好ましいが、1種のみの赤色顔料を用いる形態に限定されることはなく、2種以上の赤色顔料を組み合わせて混合系顔料として用いる形態や、赤色顔料とその他の色の顔料とを組み合わせて混合系顔料として用いる形態も好適である。このような組み合わせとしては、例えば、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、又は、C.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられる。
C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、又は、C.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられる。
無機顔料又は体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。体質顔料の添加量は目的に応じて、適宜調節することができるが、全顔料に対して1質量%〜70質量%の範囲が好ましく、5質量%〜50質量%の範囲がより好ましい。
本発明におけるインクジェットインクには、顔料の分散安定性を得るために、顔料分散剤を添加することが好ましい。
その使用量はインクジェットインク全質量に対して0.1〜10質量%の範囲で分散剤を含有させるのが好ましく、0.1〜9質量%がより好ましく、0.1〜8質量%での範囲が特に好ましい。
該顔料分散剤として、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルりん酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体などを用いることができる。顔料分散剤の具体例としては、特開2005−15672号公報の段落番号[0021]〜[0023]に記載の例が、本発明においても好適なものとして使用できる。
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明のインクジェットインクは、硬化性成分(以下、「モノマー」ともいう)の少なくとも1種を含有することが好ましい。硬化性成分(モノマー)としては、重合性基を2つ以上有するモノマー(以下、「2官能以上のモノマー」ともいう)が好ましい。硬化性成分(モノマー)としては、活性エネルギー線及び/または熱により重合反応可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性等の点から重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、「3官能以上のモノマー」ともいう)がより好ましい。
重合性モノマーの具体例としては特開2001−350012号公報の段落番号[0061]〜[0065]に記載のエポキシ基含有モノマー、特開2002−371216号公報の段落番号[0016]に記載のアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマー。特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報、特開2003−341217号公報の段落番号[0021]〜[0084]及び特開2004 −91556号公報の段落番号[0022]〜[0058]等に記載のオキセタニル基含有モノマー、並びに、シーエムシー出版「反応性モノマーの市場展望」に記載のモノマー等が挙げられる。
以下、オキセタニル基を有する化合物の具体例([O−1]〜[O−25])を挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
本発明におけるインクには、例えば、インク粘度の調整、画素の硬度の調整、画素形状の制御の目的で、バインダー樹脂を用いることができる。バインダー樹脂としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー樹脂を用いてもよい。具体的には、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アイオノマー樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、アクリロニトリルアクリレートスチレン共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリル塩化ポリエチレンスチレン共重合樹脂、エチレン酢ビ樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、酢酸セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリスチレンマレイン酸共重合樹脂、ポリスチレンアクリル酸共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、およびこれらの共重合樹脂などをあげることができる。これらは、膜強度、インク粘度、インク残部粘度、顔料分散安定性、熱安定性、非着色性、耐水性、耐薬品性を考慮し、適宜選択することができる。
また、バインダー樹脂はインク粘度を上昇させる場合があり、本質的にこれを用いないことも好ましい。
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂(光硬化性バインダー樹脂)においては、付与されたインク液滴の形状安定性や基盤に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の大きい重合体を含むことができる。ここでいう比較的分子量が大きいとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が大きいことをいう。比較的分子量の大きい重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUV硬化性樹脂組成物に配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
前記比較的分子量の大きい重合体は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜50質量%の割合で配合することができる。
熱硬化性バインダー樹脂としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
の炭化水素基である。また、R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。
式(4)において、R3として好ましいのは水素原子又はメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
式(1)の構成単位の量が上記の比90:10以下であることにより、硬化の反応点の比率を多くすることができ架橋密度をより高くすることができる。一方、式(2)の構成単位の量が上記の比10:90以下であることにより、嵩高い骨格の比率を多くすることができ硬化収縮を抑制することができる。
更に、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000以下であることにより、粘度上昇を抑制することができ、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が良好になる。また、長期保存の安定性が良好になる。
本発明におけるインクにおいて、モノマー及びバインダー樹脂の重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用しても良い。重合開始剤は、インクに用いるモノマー及びバインダーの種類、重合経路にあわせて選択することができる。
アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、光硬化性バインダー樹脂に好適な重合開始剤としては、画素部の重合を活性エネルギー線により行う場合には、光重合開始剤が用いられ、画素部の重合を熱により行う場合には、熱重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、例えば特開2006−28455号公報の段落番号[0079]〜[0088]に記載のものが挙げられ、好ましい具体例としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンが挙げられる。
これらの開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
オキセタニル基含有モノマー又はバインダー樹脂に好適な重合開始剤としては、酸を発生させる化合物を挙げることができる。本発明における酸を発生させる化合物とは、インクジェットインクの吐出後に光、又は熱により酸を発生させうる化合物を意味し、吐出後のインク液滴中で、光及び/又は熱の作用によりブレンステッド酸、ルイス酸を発生するものであれば、いかなる化合物も使用することができる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、熱分解性、安定性のバランス、また、増感剤などと併用した場合の光硬化性の観点から、トリアリールスルホニウム塩であり、ハロゲン原子、カルボキシ基などの電子吸引性基を少なくとも1つ有することが好ましく、更に好ましくは2置換以上、最も好ましくは3置換以上であることが好ましい。
エポキシ基含有モノマー、熱硬化性バインダー樹脂には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、エポキシ樹脂技術協会発行の「総説エポキシ樹脂基礎編I」2003年11月19日発行、第3章に記載の硬化剤、促進剤を好適に用いることが出来、例えば、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を用いることができる。
また、本発明において、エポキシ基含有モノマー、熱硬化性バインダー樹脂を用いる場合には、画素の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物。
(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物。
(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物。
(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。
界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、インクジェットインク全量に対して5質量%以下が好ましい。
本発明において、インクの物性値としては、20℃における粘度が2〜100mPa・sであることが好ましく、装置で吐出する際にはインク温度を20〜90℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましく、そのときの粘度が2〜20mPa・sとすることが好ましい。また25℃の表面張力としては10〜50mN/mが好ましく、装置で吐出する際にはインク温度を20〜90℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力が20〜40mN/mとすることが好ましい。インク温度を所定精度で一定に保持するためにはインク温度検出手段と、インク加熱もしくは冷却手段、および検出されたインク温度に応じて加熱もしくは冷却を制御する制御手段を有することが好ましい。さらにあるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
本発明における基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス(例えば、パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス、無アルカリガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)、合成樹脂フフィルム等が挙げられる。また、これらの基板上には、必要に応じて、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
本発明では、基板上に形成された隔壁により区画された基板上の凹部に、インクジェット方式によりカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を付与して着色層が形成される。この隔壁はどの様なものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクス(BM)の機能を持った遮光性を有する隔壁であることが好ましい。該隔壁は公知のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材、方法により作製することができる。例えば、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクスや、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020]や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。
前記公知の作製方法の中でも、コスト削減の観点から感光性樹脂転写材料を用いることが好ましい。感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に少なくとも遮光性を有する樹脂層を設けたものであり、基板に圧着して、該遮光性を有する樹脂層を該基板に転写することができる。
感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムや、転写材料の作製方法については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載のものが好適なものとして挙げられる。
本発明において、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程の他の方法としては、カラーフィルタの透明基板上に、光触媒の作用により親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させる濡れ性可変層を形成し、当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を露光により選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する方法を用いてもよい。具体的には、特開2006−284752号公報の段落番号[0113]〜[0121]等に詳しく記載されている。
本発明においては、隔壁により区画された基板上の凹部にカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴が、インクジェット方式により付与される。本発明において用いられるインクジェット方式としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱してその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の、各種の方法を採用できる。
前記時間が30秒未満の場合、形成される画素の平坦性が不十分となり、表示装置を構成した場合に色むらが発生する傾向がある。
本発明のカラーフィルタの製造法は、前記インク付与工程の終了後に、少なくとも付与されたインク液滴を加熱処理する加熱工程を含む。
具体的には、液滴に含まれる溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部を加熱することでインク残部を硬化させて着色層を形成することができる。この加熱工程は1段階で行うことも、多段階で行うことも可能である。
この加熱工程の前にインク残部を活性エネルギー線でインクを硬化させる工程を行ってもよい。
オーバーコート層は、R、G、B等の着色領域及び隔壁を保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数が増える点からは設けないことが好ましい。
オーバーコート層は樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、カラーフィルタ用光硬化性組成物の樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
本発明の表示装置としては既述の本発明のカラーフィルタを備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などをいう。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
[隔壁形成用の濃色組成物の調製]
まず表1に記載の量のK顔料分散物1と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、攪拌しながら、表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、フェノチアジン、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって濃色組成物K1を得た。なお、表1に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤(下記化合物1) 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ
500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
(感光性転写材料の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフイルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方Cからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る酸素遮断層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記表1に記載の濃色組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に、乾燥膜厚が6.0μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの酸素遮断層と、乾燥膜厚が2.5μmの感光性樹脂層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフイルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と酸素遮断層とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性転写材料K1を作製した。
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、
分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、
分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを
2当量脱水縮合した化合物(新中村化学(株)製BPE−500) 9.1部
・前記界面活性剤1 0.54部
・PVA205(ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(BASF社製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
無アルカリガラス基板に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
前記感光性転写材料K1の保護フィルムを剥離後、ラミネーター(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、マスクと該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量90mJ/cm2でパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1(富士フイルムアーチ製)を純水で100倍に希釈したもの)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、マトリックス状ブラック(K)の画像を得た。その後更に、該基板に対して該樹脂層の側から超高圧水銀灯で1000mJ/cm2の光でポスト露光し、更に、該基板に対して該樹脂層と反対側から超高圧水銀灯で1000mJ/cm2の光でポスト露光し、その後、220℃、30分熱処理し、隔壁を形成した。
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
(条件)
使用ガス :CF4
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green36、商品名:Rionol Green 6YK、東洋インキ製造(株)製)に顔料分散剤1(上記化合物1)及び溶剤(1,3−ブタンジオールジアセテート)(以下1,3−BGDAと略す。)を下記の表2に示す如く配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填率80%で用い、周速9m/sで25時間分散し、G用顔料分散液(G1)を調製した。G用顔料分散液(G1)において、顔料及びその他の成分を表2に示す如く配合した以外はG用顔料分散液(G1)と同様にして、G用顔料分散液(G2)、R用顔料分散液(R1)、(R2)、B用顔料分散液(B1)、(B2)を調製した。
次に、R用顔料分散液(R1)及びR用顔料分散液(R2)を混合した混合液を撹拌しながら、前記モノマー液をゆっくりと添加し、25℃で30分間撹拌し、R用インクジェットインク(インクR−1)を調製した。
以下同様に、G用インクジェットインク(インクG−1)、B用インクジェットインク(インクB−1)各色インクを調製した。
・C.I.Pigment Red 254(商品名:Irgaphor Red B−CF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・C.I.Pigment Red 177(商品名:Cromophtal Red A2B、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株) 製)
・C.I.Pigment Green 36(商品名:Rionol Green6YK、東洋インキ製造(株)製)
・C.I.Pigment Yellow 150(商品名:Bayplast Yellow 5GN 01、バイエル株式会社製)
・C.I.Pigment Blue 15:6(商品名:Rionol Blue ES、東洋インキ製造(株)製)
・C.I.Pigment Violet 23(商品名:Hostaperm Violet RL−NF、 クラリアントジャパン(株)製)
・DPHA(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)
・界面活性剤2:下記構造物2
・TPNB(トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル;沸点274℃)
・PEGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;沸点147℃)
・1,3−BGDA(1,3−ブタンジオールジアセテート;沸点232℃)
本実施例では上記で作製したインクジェットインクR−1、G−1、B−1を用い、インクの打滴を以下の形態で行った。
3色のインクジェットヘッドとしてDimatix社製SX−3を3個具備したヘッド部を有し、吐出制御装置として専用のピエゾ駆動回路およびステージ制御専用回路を有するインクジェットインク打滴装置を用いてインクの打滴を行った。SX−3はオンデマンド型ピエゾ駆動のヘッドであって、一つのヘッドに128のノズルが508μmの間隔で配置されている。
ピエゾを駆動するにあたり、電圧の中心値を50V、パルス幅を8マイクロ秒として、前述の飛翔形状観察及び吐出量計測により、各々のノズルからの吐出量の差が2%以内となるようにノズルごとの電圧を調整した。吐出量の中心値は8ng/滴であった。
ヘッドと基板の間隔は500μmに調整されており、ヘッドのピエゾが駆動されてからインク滴が形成され、基板に着弾するまでの時間は約63μ秒であった。
基板上の画素のサイズは、X方向が300μm、Y方向が100μmであって、X方向に対してヘッドを53.8度傾けることにより、Y方向の見かけ上のノズル間隔が300μmとなるように調整した。
ピエゾは連続打滴する場合の駆動周波数を10KHzに設定されており、基板を8.2cm/秒の等速度で移動させて画素のX方向270μmの区間内に33滴264ngを打滴した。
この後、ホットプレートで100℃2分間加熱乾燥させた後、230℃オーブン中で30分加熱処理することで隔壁、画素ともに完全に硬化させカラーフィルタを作製した。このとき、インク打滴終了から最初の加熱乾燥までに要した時間を、30秒、60秒、120秒、600秒と変化させて、カラーフィルタをそれぞれ作製した。
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びに隔壁の上に更に、ITO(IndiumTinOxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施した。
前記ITOの透明電極上の隔壁の上部に相当する部分にフォトスペーサを設け、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられた隔壁外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、実施例の液晶表示装置1とした。
実施例1におけるインクジェットインクの調製において、各インクの組成を上記表3に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインク(R−2、G−2、B−2)を調製した。
実施例1のインクジェット方式による画素部の形成において、インクジェットインクR−1、G−1、B−1の代わりに、上記インクジェットインクR−2、G−2、B−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、液晶表示装置を作製した。
実施例1のインクジェット方式による画素部の形成において、インク打滴終了から最初の加熱乾燥までに要した時間を、5秒、15秒と変化させた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、液晶表示装置を作製した。
実施例2のインクジェット方式による画素部の形成において、インク打滴終了から最初の加熱乾燥までに要した時間を、5秒、15秒と変化させた以外は、実施例2と同様にして、カラーフィルタを作製し、液晶表示装置を作製した。
実施例1におけるインクジェットインクの調製において、各インクの組成を上記表3に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインク(R−3、G−3、B−3)を調製した。
実施例1のインクジェット方式による画素部の形成において、インクジェットインクR−1、G−1、B−1の代わりに、上記インクジェットインクR−3、G−3、B−3を用い、インク打滴終了から最初の加熱乾燥までに要した時間を、5秒、15秒、30秒、60秒、120秒、600秒と変化させた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、液晶表示装置を作製した。
実施例1におけるインクジェットインクの調製において、各インクの組成を上記表3に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインク(R−4、G−4、B−4)を調製した。
実施例1のインクジェット方式による画素部の形成において、インクジェットインクR−1、G−1、B−1の代わりに、上記インクジェットインクR−4、G−4、B−4を用い、インク打滴終了から最初の加熱乾燥までに要した時間を、5秒、15秒、30秒、60秒、120秒、600秒と変化させた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、液晶表示装置を作製した。
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ及び表示装置について以下の評価を行った。評価結果を表4に示した。
<色ムラの評価>
得られた赤色(R)の着色画素部を有するカラーフィルタを光学顕微鏡で1画素内の濃度ムラを確認し、下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
○:反射像、透過像ともに色ムラが観察されなかった。
△:透過像では反射ムラが観察されないが、反射像に若干色ムラが観察された。
△×:透過像で若干色ムラが観察された。
×:透過像で明らかな色ムラが観察された。
上記画素部のうちインク付与工程と加熱工程との時間間隔が30秒である画素の形状を、非接触式表面形状測定装置 New View 6K(Zygo社製)を用いて観察し、表面形状のプロファイルを算出した。最も低い部分をA,最も高い部分をBとし、高低差(B−A)により平坦性の評価を以下の評価基準で行った。
尚、比較例1及び比較例2の場合には、時間間隔が15秒である画素の形状について測定した。
−評価基準−
◎:B−A<0.1μm
○:0.1≦B−A<0.3μm
△:0.3≦B−A<0.6μm
×:0.6μm≦B−A
Claims (4)
- 隔壁により区画された基板上の凹部に、インクジェット方式によりカラーフィルタ用インクジェットインクの液滴を付与するインク付与工程と、少なくとも前記液滴を加熱処理する加熱工程とを含み、
前記カラーフィルタ用インクジェットインクは、沸点190℃以上の溶剤を全溶剤の90質量%以上含有し、かつ、沸点250℃以上の溶剤を全溶剤の20質量%以上含有するカラーフィルタ用インクジェットインクであって、
前記沸点250℃以上の溶剤が、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、およびテトラプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、
前記インク付与工程での液滴付与の終了から前記加熱工程における加熱処理の開始までの時間間隔が30秒以上であるカラーフィルタの製造方法。 - 前記沸点190℃以上の溶剤は、多価アルコールのジアセテートを含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
- 請求項3に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
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