JP2008076832A - 顔料分散液、カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルター、並びに液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が特定の脂環式エポキシ樹脂であることを特徴とする、カラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液である。
【選択図】図1
Description
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
また、本発明の第二の目的は、顔料分散性、経時安定性に優れ、硬化膜にしわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックが生じ難いカラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するインクジェットインクを用いて製造された表示不良が低減した高輝度なカラーフィルターを提供することにある。
また、本発明の第四の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性が向上するため、カラーフィルターに適用したときに輝度やコントラストが向上する。更に、インクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなり、透明電極膜等の隣接する層にしわやクラックを生じさせ難くい。また、耐黄変性に優れ、カラーフィルターに適用したときの色純度が良くなる。
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
また、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料分散性、経時安定性に優れ、硬化膜にしわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックが生じ難いものである。また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、耐黄変性に優れ、カラーフィルターに適用したときの色純度が良くなる。更に、顔料分散性に優れるので、カラーフィルターに適用したときの輝度及びコントラストが向上する。
また、本発明に係る液晶表示装置によれば、より性能の良いカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
1.顔料分散液
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液は、顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
以下、本発明に係る顔料分散液に用いられる成分を説明する。
着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、B等や遮光部の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
ここで、顔料の分散平均粒子径は、粒度分布計(例えば、日機装社製MICROTRAC UPA MODEL9230)で動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)により23℃にて測定されるものである。また、ここでの平均粒子径は、50%平均粒子径、すなわち体積基準中位径である。
本発明に係る顔料分散液においては、顔料の含有量が溶媒を含む顔料分散液全量に対し5〜40重量%であることが、顔料分散性、顔料分散経時安定性の点から好ましい。更に好ましくは、10〜30重量%である。
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるために配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
本発明の顔料分散液において、顔料分散剤の含有量は、顔料分散性及び顔料分散経時安定性の点から、顔料100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量部である。
本発明に係る顔料分散液においては、上記顔料分散剤の他に、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂を分散補助樹脂として用いることを特徴とする。
カルボン酸類としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、動植物油の脂肪酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ドデカン2酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ポリアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等がある。
また,乳酸、クエン酸、オキシカプロン酸等、水酸基とカルボン酸を共に有する化合物もあげられる。
チオール類としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、フェニルメルカプタン等のメルカプト類、メルカプトプロピオン酸あるいはメルカプトプロピオン酸の多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールジメルカプトプロピオン酸エステル、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオン酸等があげられる。
また、活性水素を有する化合物は、その骨格中に不飽和2重結合を有していても良く、具体例としては、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、3−シクロヘキセンメタノール、テトラヒドロフタル酸等がある。
これら活性水素を有する化合物であればどのようなものでも用いることが出来、それらは2種以上を混合してもよい。
また、Aとしては、式(3)の構造であることがより好ましい。
本発明に係る顔料分散液には、分散体を調製するための溶剤として、溶剤を含有する。顔料分散液に用いられる溶剤は、顔料分散性を向上させる点も重要であるが、一方で、顔料分散液をインクジェットインクにした場合の溶剤としての性能も考慮する必要がある。
本発明の顔料分散液には、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を分散体調製溶剤の全量に対して50重量%以上の割合で配合するのが好ましい。
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域に本発明のインクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
また、主溶剤としては、インクにした時の経時安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
中でも、副溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが好ましい。
前記副溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
前記副溶剤としては中でも特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、グリセリン1,3−ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、蟻酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールよりなる群から選択される1種以上である溶剤が好適に用いられる。
本発明に係る顔料分散液は、上記の顔料、顔料分散剤、上記分散補助樹脂、及び、必要に応じてその他の成分を、任意の順序で有機溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製することができる。
顔料を分散させる際には、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて数時間分散を行うことが好ましい。また、分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。この顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルター用インクジェットインクを調製するための予備調製物として用いられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料、顔料分散液、分散補助樹脂、バインダー系、及び溶剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
本発明に用いるインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー系を含有する。本発明において、バインダー系とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ、固定するために含有させる液状混合物であり、後の硬化プロセスにおいて反応性を有する硬化性化合物の他、それ自体反応性を有さない化合物も含むものである。
本発明においては、前記バインダー系が、硬化性として、熱硬化性のみを有し、非光硬化性であることが好ましい。本発明に係るインクは、上述のように必ずしも露光現像が可能な光硬化性バインダーを用いなくても良く、光硬化性を利用しない場合には、光照射装置を始めとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットがある。また、エポキシ樹脂等の熱硬化性バインダー系のみを用いる場合には、上記分散補助樹脂として用いる特定のエポキシ樹脂との相乗効果により、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の配合重量比(P/V比)をより高くした場合であっても、硬化膜の耐溶剤性、密着性、超低圧高温下でもしわやクラックが発生し難くなる等、画素の膜物性を良好にすることができる。
熱硬化性バインダー系としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に含有させても良い。
通常バインダー系成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(A)で表される構成単位及び下記式(B)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
重合体中の式(B)で表される構成単位は、下記式(D)で表されるモノマーから誘導される。
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部と多官能エポキシ化合物を10〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部と多官能エポキシ化合物を20〜50重量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部と多官能エポキシ化合物を25〜35重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系には、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
i)重合体
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー系においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始材、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー系を構成する。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUVインクジェットインクに配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
本発明において好適に用いられるグラフトポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であり、且つ、主鎖及びグラフト部分のうちの一方がスチレン系モノマー単位を含有するスチレン系ポリマー鎖により構成され、他方がメタクリレート系モノマー単位を含有するメタクリレート系ポリマー鎖により構成されるグラフトポリマーである。
スチレン系モノマーと共重合させることができるモノマーとしては、各種の(メタ)アクリレートモノマーや、アクリロニトリル、アミド系モノマー等が挙げられる。
メタクリレート系ポリマー鎖は、メタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ただ1種類のメタクリレートの単独重合体であってもよいし、2種類以上のメタクリレートの共重合体であってもよいし、メタクリレートと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
メタクリレート系ポリマーは、比較的高いTgを有し、且つ、スチレンとミクロ相分離を起こすことから硬度・分散性の点で優れている。かかる観点から、メタクリレート系ポリマー鎖はメタクリレート系モノマー単位を50重量%以上の割合で含有するのが好ましく、さらに70重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
当該グラフトポリマーのベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ベンジルメタクリレートの単独重合体であってもよいし、ベンジルメタクリレートと上述したような他のモノマーとの共重合体であってもよい。
ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートモノマー単位を30重量%以上の割合で含有するのが好ましく、50重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
さらに、上記グラフトポリマーの酸価やアミン価を変えることによって、インクの溶剤に対する溶解性、皮膜の耐溶剤性、顔料の分散安定性、染色性、膜硬度、膜強度、などの諸物性を調節できる。
比較的分子量の高い重合体は、インクジェットインクの固形分全量に対して、1〜50重量%の割合で配合するのが好ましい。
それ自体が重合硬化できる重合性を有する比較的分子量の高い重合体を用いる場合にも、塗膜の強度や基盤に対する密着性を向上させるためには、多官能のモノマーやオリゴマーなどの多官能重合性成分を配合するのが好ましい。重合性を有する比較的分子量の高い重合体の分子は、比較的分子量の高い重合体同士で重合するだけでなく、多官能モノマー等の他の重合性成分とも重合してネットワークを形成し、硬化する。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクジェットインクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがあるからである。
4官能以上の多官能モノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがあるからである。
また、光硬化性バインダー系には、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
光硬化性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、樹脂や多官能モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)や、各材料の種類を考慮して適宜選択されるが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を用いることができる。
また、硬化したインク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー系成分の合計割合を25重量%以上とするのが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエートなど。
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤あるいは光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
d)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
e)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
f)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
g)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
顔料は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.5〜2.5μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料分散液と同様に、顔料分散性及び顔料分散経時安定性の点から、顔料100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量部である。
バインダー系は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は20〜80重量%の割合で配合する。
中でも、前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254(PR254)、C.I.ピグメントレッド177(PR177)、及びC.I.ピグメントイエロー150(PY150)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、赤色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.1〜1.2であることが好ましい。
また、前記顔料として、C.I.ピグメントグリーン36(PG36)、C.I.ピグメントグリーン7(PG7)、C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、及びC.I.ピグメントイエロー138(PY138)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、緑色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.5〜1.2であることが好ましい。
更に、前記顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)が含まれ、青色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.1〜0.6であることが好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法は、少なくとも顔料、顔料分散剤及び下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を少なくとも含有する分散体調製溶剤に混合し、分散して顔料分散液を調製する工程と、
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素や遮光部等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
次に、本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素が、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの硬化膜であることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、前記画素が、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを硬化させて形成したものであることから、上述のようにしわやクラックが生じにくく、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜に積層された隣接層のしわ等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。画素部分のパターンが熱膨張収縮することが少ないために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生し、断線するという問題が起こらない。従って、本発明に係るインクジェットインクを用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
透明基板1としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
遮光部2は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。上記遮光部は後述する基材上に形成され、開口部を有するものである。
遮光部としては、通常、同一の形状を有する開口部が等間隔で規則的に形成されたものが用いられる。ここで、上記開口部の具体的な大きさや配置態様は特に限定されるものではなく、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。
遮光部としては、所望の遮光性を有する材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、遮光材料および樹脂から構成されるもの、または、金属材料からなるものが用いられる。
本発明に用いられる撥液性材料としては、遮光部を形成した際に所望の撥液性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような撥液性材料としては、例えば、フッ素含有化合物、および、低表面エネルギー物質の微粒子等を挙げることができる。
一般式(11):Rf−X−Rf’
一般式(12):(Rf−X−R)−Y−(R’−X’−Rf’)
ここで、上記式(11)または(12)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR'は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR”−、−OCONR”−、−SO2NR”−、−SO2−、−SO2O−、−O−、−NR”−、−S−、−CO−、OSO2O−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。R”はアルキル基または水素を表す。
また、上記フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂等も用いることができる。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、前記本発明に係るインクジェットインクを用いて形成された硬化膜であることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを硬化させて形成したものであることから、上述のようにしわやクラックが生じにくい。また、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性に優れるため、画素の輝度やコントラストが向上する。また、上記特定のエポキシ樹脂は脂環式骨格を有するため、二重結合を有するようなアクリル系骨格や、芳香環骨格を有する場合に比べて、耐黄変性が向上し、その結果、色純度の良い、コントラスト性能が向上した画素とすることができる。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、上記本発明に係る顔料分散性の良好なインクジェットインクを用いて形成されるため、当該画素が上記のように例えば中央部付近が盛り上がった断面形状を有していても、輝度が高く、且つコントラストが高いものとしやすい。
画素の厚みは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、遮光部6及び画素7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。
保護膜8の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。
凸状スペーサーは、カラーフィルター101をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
透明電極9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて形成することができる。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば配向膜などその他の部材においては、通常カラーフィルターに用いられるものを用いて、通常の方法で形成することができる。
カラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの基板上の所定領域に、上記カラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を形成し、当該インク層を硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色層を形成することができる。
上記カラーフィルターの製造方法は、インクジェット方式を用いるため、コスト低減や歩留まり向上を実現可能であり、生産性の高い製造方法である。
まず、画素として赤色、緑色、及び青色着色層を形成するための各色の前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク、並びに、基材1上に形成された遮光部2とを有するカラーフィルター用基板3を用意する。そして、図2の2(A)に示すように、基材1上に形成された遮光部2とを有するカラーフィルター用基板3において画成された各色の着色層形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の各着色層形成用インクジェットインクをそれぞれインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料分散経時安定性が高く、ヘッド5の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の着色層形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色のカラーフィルター用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
また、保護膜上には、透明電極膜を、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成する(図示せず)。必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとすることができる。この透明電極の厚みは20nm〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とする。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
以下、本発明に用いられる親液化工程について説明する。
以下、このような撥液化工程について説明する。
このような撥液化方法としては、例えば、上記遮光部自体の撥液性を高くする方法や、上記遮光部上に撥液性の高い層を形成する方法等を挙げることができる。
また、上記プラズマ照射に用いられる導入ガスのフッ素化合物としては、例えばフッ化炭素(CF4)、窒化フッ素(NF3)、フッ化硫黄(SF6)等を挙げることができる。
また、上記導入ガスとして用いられるフッ素化合物の流量は1L/min〜100L/minの範囲内であることが好ましく、なかでも3L/min〜50L/minの範囲内であることが好ましい。
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように表示不良が低減した高輝度なカラーフィルターを用いることから、高品質で且つ生産性の高い液晶表示装置とすることができる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
トリメチロールプロパン134g(1モル)、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド3726g(30モル)を60℃で混合し、ガスクロマトグラフィー分析で4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシドの転化率が98%になるまで反応させ、得られた反応液に酢酸エチルを加えて水洗いし、次に酢酸エチル層を濃縮して粘稠な透明液を得た。さらに、この化合物573gを酢酸エチルに溶解して反応器に仕込み、これに過酢酸387gを酢酸エチル溶液として2時間かけて滴下した。この間反応温度は40℃に保った。過酢酸の仕込み終了後、40℃で更に4時間熟成した。反応粗液に酢酸エチルを追加し、炭酸ソーダ416gを含むアルカリ水で洗い、蒸留水でよく洗浄した。酢酸エチル層を濃縮し、粘稠な透明液を得た。
製造例1と同様の操作でアリルアルコール25g(1モル)、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド868g(7モル)及びBF3エーテラート4.7gを反応させ粘稠な液状の生成物を得た。さらに製造例1と同様にこの化合物492gと過酢酸395gの反応を行い、粘稠な透明液を得た。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を溶剤ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、ECAと示すことがある。)に変更した以外は、製造例3と同様にしてバインダー性エポキシ化合物を得た。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表2に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色(B15:6)顔料分散液を得た。
Disperbyk2000:商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製
Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製
分散補助樹脂1:商品名EHPE−3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物)、分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均15、エポキシ当量179g/eq、ダイセル化学工業(株)製
分散補助樹脂2:製造例1(分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均10)、エポキシ当量
182g/eq
分散補助樹脂3:製造例2(分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均7)エポキシ当量
185g/eq
YDPN−638:商品名、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、東都化成(株)製、エポキシ当量179g/eq
SR−16H:商品名、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、阪本薬品工業(株)製、エポキシ当量157g/eq
EPPN−502H:商品名、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、日本化薬工業(株)製、エポキシ当量168g/eq
jERYX−4000:商品名、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量180〜192g/eq
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
ECA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
得られた顔料分散液について、顔料分散性及び顔料分散経時安定性を以下の方法に従って調べた。その結果も合わせて表2に示す。
1.平均粒子径
各顔料分散液の調製直後、及び1週間後の平均粒子径を測定した。平均粒子径は、各顔料分散液を各主溶剤で100倍に希釈した後、粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC UPA)を用いて、動的光散乱法により、23℃で、測定時間を360秒として測定した。ここでの平均粒子径は、50%平均粒子径、すなわち体積基準中位径である。
各顔料分散液の調製直後、及び、密閉容器中に25℃保存で1日後、1週間後の粘度を測定した。粘度は山一電機社製回転振動型粘度計 ビスコメイトVM-1Gで23℃にて測定した。
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表3に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色(V23)顔料分散液を得た。
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表4に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、赤色インクジェットインク用顔料分散液を得た。
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表5及び表6に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、緑色インクジェットインク用顔料分散液を得た。
(1)熱硬化性バインダー溶液の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例3に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。なお、実施例B4においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更に希釈溶剤としてBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
[熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・製造例3のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):62.5重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):12.5重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:6.25重量部
・トリメリット酸:12.5重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):6.25重量部
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って共重合体、多官能アクリレート等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[光及び熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(商品名アロニックス M−308、東亜合成化学工業株式会社製):14.4重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名アロニックス M−450、東亜合成化学工業株式会社製:3.2重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名KAYARAD SR−399E、日本化薬株式会社製):5.1重量部
・重合開始剤(商品名イルガキュア369、チバスペシャルティケミカルズ社製):5.1重量部
・無水マレイン酸:0.6重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):1.6重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)又はECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート):70重量部
表7及び表8に示されるような配合割合となるように、上記で得られた実施例DB1〜DB8、又は比較例DB1〜DB10の青色用顔料分散液と、上記熱硬化性バインダー溶液、又は上記光及び熱硬化性バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、実施例B1〜B7及び比較例B1〜B10のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
<評価用塗膜の作成>
各インクジェットインクを用いて評価するための塗膜を作成した。
厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)上に、スピンコートにより乾燥膜厚が赤色インクジェットインクは1.61μm、緑色及び青色インクジェットインクは1.65μmとなるように、上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。180℃、60分間の耐熱試験後において、下記基準に従って評価した。また、成膜されたITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
[ITO耐性の評価基準]
○:ITO電極にしわやクラックなどの異常が観測されなかった。
△:ITO電極にしわやクラックなどの異常が数点観測された。
×:ITO電極にしわやクラックなどの異常が全面に観測された。
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用吐膜を形成した基板を、240℃で1時間加熱し、加熱前後の色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出して評価した。色差ΔEabの測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 OSP200を用いた。
[評価基準]
○:ΔEab<3
×:3≦ΔEab
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板に、カッターで直交する縦横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の基準で判定した。
[評価基準]
8点:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満。
6点:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上15%未満。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方面積の15%以上35%未満。
2点:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%以上65%未満。
0点:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板を、液温40℃のN−メチルピロリドンに1時間浸漬させ、浸漬前後の色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出した。測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 OSP200を用いた。
[評価基準]
○:ΔEab<1
△:1≦ΔEab<3
×:3≦ΔEab
各インクジェットインクの調製直後、及び、密閉容器中に25℃保存で1ヵ月後の粘度と平均粒子径を測定した。粘度及び平均粒子径は上記顔料分散液と同様に測定した。
表7及び表8の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例B1〜B7は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、分散補助樹脂を全く用いない比較例B5及びB10は、顔料分散性、及びインクの経時安定性がかなり劣っていた。また、比較例B5及びB10は、超低圧高温下ITO膜を形成した際にITO膜にしわやクラックが発生し、硬化膜の耐溶剤性及び密着性にも劣り、膜物性が悪いものであった。
また、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例B1〜B4及びB6〜B9はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例B1の評価用塗膜表面の写真を図3に、ITO耐性評価後の比較例B5の評価用塗膜表面の写真を図4に示す。
バインダー溶液は、実施例B1の青色インクジェットインクで用いたバインダー溶液と同じ組成のものを用いた。なお、実施例R3においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更にBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
上記で得られた実施例及び比較例の赤色用顔料分散液と、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、表9に示されるような配合割合を有する実施例R1〜R3及び比較例R1〜R2のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
表9の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例R1〜R3は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例R1及びR2はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例R1の評価用塗膜表面の写真を図5に、ITO耐性評価後の比較例R2の評価用塗膜表面の写真を図6に示す。
バインダー溶液は、実施例B1の青色インクジェットインクで用いたバインダー溶液と同じ組成のものを用いた。なお、実施例G3においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更にBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
上記で得られた実施例及び比較例の緑色用顔料分散液と、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、表10に示されるような配合割合を有する実施例G1〜G3及び比較例G1〜G2のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
表10の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例G1〜G3は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例G1及びG2はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例G1の評価用塗膜表面の写真を図7に、ITO耐性評価後の比較例G2の評価用塗膜表面の写真を図8に示す。
上記で得られた実施例B1、B2及び比較例B1、B2の青色インクジェットインク;実施例R1、R2及び比較例R1、R2の赤色インクジェットインク;実施例G1、G2及び比較例G1、G2の緑色インクジェットインクについて、以下のように輝度及びコントラストを評価した。各評価結果を表11に示す。
各インクジェットインクを用いて上記と同様に評価用塗膜(着色層)を作製した。
(1)輝度
顕微分光測定器(オリンパス(株)製、OSP200)を使用して測定した。
厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)40上に、偏光フィルム42(日東電工製 NPF-SEG1425DU)を貼り合わせて偏光板43を形成した。図9に示すように、上記ガラス基板40上に着色層41を形成したものに対して、偏光フィルム42側が外側になるように、2枚の偏光板43を直交、或いは平行となるように挟んで測定試料44とした。測定試料44の構成において、偏光板43と着色層41との距離l1を9.3mm、偏光板43とガラス基板40との距離l2を0mmとした。
図10に示すように、コントラスト測定における輝度測定を行った。測定試料44にバックライト45を点灯し、輝度を測定した。偏光板を直交、続いて平行にセットして測定試料を準備し、それぞれの輝度の測定を行った。コントラスト値は、直交時の輝度に対する平行時の輝度(平行時の輝度/直交時の輝度)で算出した。試料において輝度を測定する位置は、カラーフィルター層において膜厚が均一な位置にした。コントラスト測定における輝度を測定するための装置46としては、輝度計(コニカミノルタセンシング(株)製 LS-100)にクローズアップレンズ(No.153)47を装着したもの用いた。輝度計の視角は1°を用いた。クローズアップレンズ47から測定試料44までの距離Lは、710mmで行った。
カラーフィルター用ガラス材として用いられている厚み0.7mm、横370mm、縦470mmのCorning社製EAGLE2000を用意し、このガラス基材上にフォトリソグラフィー法にて樹脂製のブラックマトリクスを形成することによりカラーフィルター用基板を作製した。このとき、ブラックマトリクスは開口部が100μm×300μm、遮光部分の線幅が20μmとなるように形成し、横方向に120μmピッチ、縦方向に320μmピッチにて縦480画素、横1320画素ずつ配置されるものとした。またこの際、遮光部分の膜厚は平均2.2μmとした。
上記カラーフィルター用基板に対し、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、ブラックマトリクスの表面を撥液性に、それ以外の領域(着色層形成領域)を親液性とした。このとき表面張力40mN/mの液体との接触角を接触角測定器(協和界面化学(株)製CA−Z型)を用いて測定した結果、ブラックマトリクス上で65°、着色層形成領域で9°であった。
その後、25℃のホットプレート上にて120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚としてRが2.1μm、GとBが2.15μmのRGB3色の画素パターンを形成した。平均膜厚は、光干渉方式の三次元非接触表面形状計測装置(米国マイクロマップ製 製品名Micromap557N)を用いて画素形成領域(1画素)の全エリアの膜厚を1μm毎に測定し、それらの平均を求めたものである。
1 透明基板
2 遮光部
3 カラーフィルター用基板
6(6R、6G、6B) インク層
7(7R、7G、7B) 着色層(画素部)
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
12 柱状スペーサー
40 ガラス基板
41 着色層
42 偏光フィルム
43 偏光板
44 測定試料
45 バックライト
46 輝度を測定するための装置
47 クローズアップレンズ
Claims (12)
- 前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂におけるn1〜nkの和が4〜30であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して5〜80重量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して50重量%以上の割合で含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記主溶剤が、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記請求項1乃至5のいずれかに記載の顔料分散液を調製後、少なくともバインダー系を添加してなることを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
- 前記バインダー系が、硬化性として、熱硬化性のみを有することを特徴とする、請求項6又は7に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
- 前記分散補助樹脂が、前記バインダー系100重量部に対して5〜70重量部であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
- 少なくとも顔料、顔料分散剤及び下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を少なくとも含有する分散体調製溶剤に混合し、分散して顔料分散液を調製する工程と、
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。 - 透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素が、前記請求項6乃至9のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクの硬化膜であることを特徴とする、カラーフィルター。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記請求項11に記載のカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
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