JP4508550B2 - 硬化性着色組成物用顔料分散液、硬化性着色組成物、及び、カラーフィルター - Google Patents

硬化性着色組成物用顔料分散液、硬化性着色組成物、及び、カラーフィルター Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気信頼性の高い硬化性着色組成物用顔料分散液及び硬化性着色組成物、当該硬化性着色組成物を用いて作製したカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターなどのフラットディスプレーとして、カラー液晶表示装置が急速に普及してきている。一般にカラー液晶表示装置(101)は、図1に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した画素部7と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図2に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層6が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
【0003】
上記の画素部7及びブラックマトリックス層6は所定のパターンを有する着色層であり、いわゆるフォトリソグラフィーを用いた顔料分散法(以下、「顔料分散法」という)によって形成することができる。顔料分散法によれば、着色剤である顔料と、アルカリ可溶性の光硬化性樹脂を含有する光硬化性着色組成物の塗工液を透明基板上に塗布し、得られた塗膜を所定のパターン状に露光して硬化させ、アルカリ現像することによって、微細パターンの着色層を形成することができる。
【0004】
着色層(特に画素部)を顔料分散法により形成する場合には、露光部の充分な硬化性、塗膜強度等の他、露光後に非硬化領域の塗膜を迅速に溶解できる現像性、非硬化領域の塗膜を完全に溶解し残渣や地汚れを残さないこと、現像後の形状の正確さ、わずかな照射エネルギーで選択的硬化を完了できる感度、基板等に対する密着性など、さまざまな特性のバランスが取れた製版特性が要求される。しかしながら、製版特性を左右する諸特性には相反する要素が組み合わされており、良好な製版特性を得ることは難しい。例えば、欠損の生じにくい画素部を形成するために基板との密着性を向上させようとすると、現像時に非画素部から塗膜を完全に除去することが困難となり、残渣や地汚れが残る。
【0005】
また、顔料分散法によって鮮明な色調と高い着色力を得るためには、顔料粒子を微細化するのが有効である。しかし、顔料を微細化し過ぎると、塗工液に調製した時の分散性及び分散安定性が悪くなり、顔料の凝集や粘度の上昇を招き易くなる。その結果、着色層に充分な鮮明性や着色力を付与できなくなったり、着色層の透明性が悪くなったり、塗工性が悪くなって塗膜を均一な厚さに形成し難くなったり、ポットライフが短くなって取り扱いにくくなるなどの問題を生じる。
【0006】
光硬化性着色組成物中に顔料と共に分散剤を配合することによって顔料の分散性を向上させることができる。しかし、組成物中に分散剤を多量に添加すると、アルカリ可溶性樹脂や光硬化性化合物の濃度が希釈されて感度低下、硬化不良、塗膜強度低下、現像性不足等の問題(ひいては、これらを総合して製版特性の悪化)を招いたり、カラーフィルターを製造するための加熱工程において分散剤が黄変して輝度の低下を招いたり、顔料の濃度が希釈されて着色層の着色濃度が不足し、充分な色再現性が得られなくなる等の問題を生じる。従って、顔料分散法の光硬化性着色組成物は、出来るだけ少ない量の分散剤で充分な顔料分散性を確保することが望まれ、さらには、分散剤を全く用いなくても多量の顔料を微細に且つ均一に組成物中に分散させることが理想的である。
【0007】
カラーフィルターを組み込んだ液晶表示装置は、省エネ、省スペースと言う利点を有することから、従来のCRTモニターに代わるディスプレーとして注目され、実用レベルで現在、急速に普及しつつある。しかしながら、現状ではCRTの表示性能の方が液晶表示装置よりも優っており、カラーテレビの表示規格をクリアできる色再現域を有する液晶表示装置を製造することは非常に困難である。
【0008】
カラーテレビにおける画像信号の代表的な伝送方式としては、NTSC(National Television System Committee)とEBU(European Broadcasting Union)がある。NTSCは日本、アメリカ、カナダ等においてテレビ放送を行う方式、規格として採用されており、EBUはヨーロッパにおいて採用されている。
【0009】
カラーテレビの色再現域を決定するのは受像機の三原色(受像三原色)の色度であり、分光特性もこれによって定まる。NTSC規格の受像三原色は、XYZ表色系における色度座標x及びyについて下記のように定められている。
【0010】
赤:x=0.67;y=0.33
緑:x=0.21;y=0.71
青:x=0.14;y=0.08
一方、EBU規格の受像三原色は、下記のように定められている。
【0011】
赤:x=0.64;y=0.33
緑:x=0.29;y=0.60
青:x=0.15;y=0.06
なお、x=X/(X+Y+Z)であり、y=Y/(X+Y+Z)であり、X,Y,ZはXYZ表色系における3刺激値である。
【0012】
液晶表示装置がこれらの規格をクリアするためには、光源の分光特性及びカラーフィルターの色再現能力の組み合わせが重要である。カラーフィルターに関しては広い色再現域を確保するために、各色の画素部が充分に高い着色濃度を有していることが求められる。各色の画素部が高い着色濃度を得るためには、顔料濃度が高くて薄い着色パターンを形成する必要がある。分散剤を多量に含有していて顔料濃度が希釈された着色組成物を用いる場合でも、比較的厚い塗膜を形成して現像することにより、着色濃度の高い画素部を形成できる。しかしながら、着色組成物の塗膜又はその現像により形成される画素部が厚すぎると、次に述べるような様々な問題を生じる。
【0013】
すなわち、着色組成物の塗膜が厚すぎると、感光後の現像時間を長く取る必要が生じてパターン周辺部の直線性がサイドエッチングにより悪くなる。また、着色組成物の塗膜が厚すぎると照射光が塗膜の底部まで到達しにくいので、その底部付近が未硬化のままとなり、サイドエッチング量が増大し、現像後のパターン断面が、上底の長さが下底の長さよりも大きい逆テーパー形状となる。画素部のパターンが逆テーパー形状になると、その上に蒸着などの方法で形成される透明電極層がパターン周縁の底部に回りこめずに不連続となるので、断線が生じて液晶ディスプレーの表示性能に障害が出る。また、第1色目又は第2色目の画素部のパターンが逆テーパー形状であると、その次に形成される色の画素部パターンにムラが生じやすくなる。このサイドエッチングを低減するために現像時間を短くすると、非硬化部の除去が不充分となり、残渣を残し、現像のラティテュード(許容範囲)が狭くなる。
【0014】
また、カラー液晶表示装置では、液晶の配向不良、液晶に印加される電圧の変化、表示面内の電圧のバラつき等により液晶の配向状態が変化すると、表示不良が生じる。表示不良を改善するため、液晶の配向不良を低減するには、液晶と接触する層の表面平滑性を向上させる必要がある。また電圧を安定して保持するには、液晶層へ悪影響を及ぼす不純物の溶出を低減する必要がある。
【0015】
以上のような観点から、着色層、特に画素部を顔料分散法により形成する場合には、顔料濃度が高く、硬化性及び現像性が高い着色組成物を用いて、薄くても着色濃度が高く、表面平滑性が良好で、且つ不純物が溶出しない高電気信頼性のパターンを形成することが求められる。
【0016】
一方、フォトリソグラフィーによって作製する前記顔料分散法は、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があるため、コスト高になるという問題がある。この問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより着色層(画素部)を形成することが記載されている。
【0017】
しかしながら、熱硬化性樹脂を含有する着色インクを用いた方法においても上述と同様に、顔料濃度が高く、硬化性が高い着色インクを用いて、薄くても着色濃度が高く、表面平滑性が良好で、且つ不純物が溶出しない高電気信頼性のパターンを形成することが求められる。
【0018】
ところで、種々のグラフトポリマーを着色組成物の分散剤又はバインダーポリマーとして用いる提案がされている。グラフトポリマーをバインダーポリマーとして用いる提案として、特許文献2には、(A)酸性官能基を有するA−ブロックと、酸性官能基を持たないB−ブロックからなるA−Bブロック共重合体のB−ブロック末端に重合性二重結合を結合してなる重量平均分子量1×103〜2×104の一官能性マクロモノマー(M)をグラフト共重合体の共重合成分として含む重量平均分子量3×104〜1×106のグラフト共重合体、(B)感放射線性化合物及び、(C)顔料を含有するカラーフィルター用の感放射線性組成物が記載されている。
【0019】
また、特許文献3には、(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性単量体並びに、(D)光重合開始剤を含有するカラーフィルター用感放射線性組成物であって、(A)顔料が予め(B)アルカリ可溶性樹脂及び/又は他の樹脂からなるビヒクル樹脂と共に混練されてなる、カラーフィルター用感放射線性組成物が記載されている。特許文献3の組成物にはアルカリ可溶性樹脂として、(a)1個以上のカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体と(b)重合分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー、N位−置換マレイミド、下記式Aで表される単量体、
式A:
CH2=C(−R)COO−CH2−CH(OH)−CH2OH
(式Aにおいて、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
及び、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの群からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む単量体混合物の共重合体が用いられる。
【0020】
特許文献4には、有機顔料100重量部、分散剤2〜200重量部、マクロモノマー共重合体(グラフトポリマー)2〜100重量部及び、有機溶剤100〜4,000重量部からなるカラーフィルター用有機顔料分散液が開示されており、該分散液においてマクロモノマー共重合体は、分散剤と同様に顔料の分散に寄与していると考えられている。
【0021】
また、特許文献5には、窒素原子を有するグラフトポリマーからなる分散剤、顔料、酸性官能基を有するバインダーポリマー及び多官能モノマーを含有する顔料分散組成物が開示されており、特許文献6には、窒素原子及びアルコール性水酸基を有するグラフト共重合体を含有する顔料分散剤が開示されている。しかしながら、実施例に開示されたグラフトポリマーでは分散が困難な顔料も多い。
【0022】
一方、特許文献7には、顔料がウレタン結合を含む分散剤により分散されていることを特徴とするカラーフィルター用感放射線性組成物が開示されているが、開示されている組成物では、着色濃度、表面平滑性、及び電気信頼性の点で不十分であった。
【0023】
【特許文献1】
特開平9−21910号公報
【特許文献2】
特開平9−62002号公報
【特許文献3】
特開2001−108817号公報
【特許文献4】
特開平8−259876号公報
【特許文献5】
特開平10−339949号公報
【特許文献6】
特開2000−234007号公報
【特許文献7】
特開2000−155209号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、電気信頼性が高いが取り扱いが困難な分散剤を用いて、多量の顔料を微細且つ均一に分散させ、分散安定性の良好な顔料分散液を提供することにある。
【0025】
また、本発明の第二の目的は、分散剤を少量しか含有せず、硬化性、パターン形成性に優れ、且つ、多量の顔料が微細且つ均一に分散されており、薄くても着色濃度が高く、更に表面平滑性が良好で、不純物が溶出しない高電気信頼性の着色層(特に画素部)を形成し得る硬化性着色組成物を提供することにある。
【0026】
また、本発明の第三の目的は、上記硬化性着色組成物を用いて作製された電気信頼性が高く、且つ色再現域の広い、例えばテレビジョンの分野やマルチメディア用ディスプレーの分野でも優れた表示性能を発揮し得るカラーフィルターを提供することにある。
【0027】
本発明は、これらの目的のうち少なくとも一つを解決するものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る硬化性着色組成物用顔料分散液は、少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、及び、有機溶剤を含有する。
【0029】
上記イソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤は、耐熱性が高く低分子不純物の発生が少ないため電気信頼性が高いが、単独では分散できない顔料もあり、また分散剤自体には硬化性がないため着色組成物の調製時に多量に用いると硬化性が悪くなるため、充分な量の顔料を安定に分散させることが困難であった。
【0030】
これに対し、本発明においては、上記顔料分散剤と共に、顔料分散補助機能を有する上記少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位が連結した分子構造を有する共重合体(以下、「高SP値単位含有共重合体」とする)を用いて顔料分散液を調製するので、従来上記顔料分散剤だけでは分散できなかった顔料も分散可能になり、上記顔料分散剤を少量用いるだけで、多量の顔料を微細且つ均一に分散させた顔料分散液を得ることが可能であり、硬化性にも影響を与えない。
【0031】
また、本発明に用いられる上記顔料分散剤の酸価は、10mgKOH/g以下、アミン価が5〜80mgKOH/gであることが、分散性の点から好ましい。
【0032】
更に、本発明に用いられる上記顔料分散剤のガラス転移温度は70℃以上であることが電気信頼性の点から、好ましい。
【0033】
本発明の顔料分散液においては、当該顔料分散液中に顔料100重量部当たり分散剤を40重量部以下の割合で含有させるだけで分散性を充分に向上させることができる。
【0034】
顔料分散性の点から、前記高SP値単位含有共重合体に含まれるSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位が窒素を含むことが好ましい。
【0035】
顔料分散性の点から、前記高SP値単位含有共重合体は、エポキシ基を備えた構成単位として下記式(1)で表される構成単位を含んでいることが好ましい。
【0036】
【化2】
Figure 0004508550
【0037】
(式中、R水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1乃至6のアルキレン基であり、Eはエポキシ基又は環構成炭素数が3〜8の置換基を有していても良い脂環式エポキシ基である。)
更に、顔料分散性の点から、前記高SP値単位含有共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量が、1,000〜30,000であることが好ましい。
【0038】
また、顔料分散性の点から、前記高SP値単位含有共重合体の酸価が10mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0039】
更に、本発明に係る顔料分散液は、インクジェット用インクの調製に好適に用いられる。
【0040】
次に、本発明に係る硬化性着色組成物は、少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、硬化性バインダー系、及び、有機溶剤を含有する。
【0041】
上記顔料分散剤は、耐熱性が高く電気信頼性は高いが、硬化性がなく使用量が制約されるために、これを用いて硬化性着色組成物中に多量の顔料を分散させることが従来はできなかった。
【0042】
これに対して、上記顔料分散剤に上記高SP値単位含有共重合体を組み合わせると、高SP値単位含有共重合体が分散補助剤として機能するので、上記顔料分散剤が少量でも多量の顔料を均一微細に分散させることができる。
【0043】
さらに、上記高SP値単位含有共重合体は、分散補助剤としての機能に加えて、それ自体が、熱硬化性のバインダー樹脂としても機能する。従って、本発明の硬化性着色組成物は、顔料分散剤に由来する電気信頼性に悪影響を与える不純物の発生が少ない上に、優れた硬化性を有するため、硬化時には内部まで良く固まった架橋密度の高いマトリックス内に不純物が閉じ込められて液晶層に溶出しにくくなり、電気信頼性が高い着色硬化膜が得られる。特に、この硬化性着色組成物を用いて液晶パネルの着色層を作製する場合には、表示部の電圧を安定して保持することが可能であり、電気信頼性が高い。
【0044】
さらに、本発明の硬化性着色組成物は、上記高SP値単位含有共重合体の分散補助機能によって分散剤を減量できるという効果もあるので、分散剤が少ない分、顔料及び/又は高SP値単位含有共重合体や硬化性バインダー系(光硬化性化合物やアルカリ現像性を有する化合物や開始剤、熱硬化性化合物や硬化剤等)の濃度が相対的に増し、着色濃度及び、硬化性、パターン形成性が高い塗膜を形成できる。
【0045】
従って、本発明の硬化性着色組成物を用いて着色パターンを作製すると、薄くても顔料濃度の高いパターンを形成でき、当該着色パターンは、良好な硬化性のため表面平滑性が良好で、アルカリ現像性を有する光硬化性着色組成物の場合には逆テーパー状になり難いため、液晶パネルを作製した場合に液晶の配向不良が低減する。
【0046】
本発明に係る硬化性着色組成物が、光硬化性である場合には、上記硬化性バインダー系が光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましく、更に酸性官能基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0047】
本発明に係る硬化性着色組成物が、熱硬化性である場合には、上記硬化性バインダー系が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0048】
本発明の硬化性着色組成物においては、当該硬化性着色組成物中に顔料100重量部当たり分散剤を40重量部以下の割合で含有させるだけで分散性を充分に向上させることができる。
【0049】
本発明の硬化性着色組成物は、顔料のP/V比(硬化性着色組成物中の顔料分/硬化性着色組成物中の顔料以外の固形分)が0.4以上の高濃度とすることができる。
【0050】
本発明によれば高濃度分光用の硬化性着色組成物を調製することが可能である。特に、緑色系高濃度分光用硬化性着色組成物としては、顔料として少なくともC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138又はC.I.ピグメントイエロー83のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でy値が0.54以上である硬化膜を形成し得る硬化性着色組成物が得られる。
【0051】
また、青色系高濃度分光用硬化性着色組成物としては、顔料として少なくともC.I.ピグメントブルー15:6又はC.I.ピグメントバイオレット23のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でy値が0.13以下である硬化膜を形成し得る硬化性着色組成物が得られる。
【0052】
また、赤色系高濃度分光用硬化性着色組成物としては、顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でx値が0.63以上である硬化膜を形成し得る硬化性着色組成物が得られる。
【0053】
また、本発明に係る硬化性着色組成物は、熱硬化性及び/又は光硬化性のインクジェット用インクとしても好適に用いられる。
【0054】
次に、本発明に係るカラーフィルターは、基板上に少なくとも着色層を備えてなり、当該着色層が上記本発明に係る硬化性着色組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
【0055】
このカラーフィルターは、液晶表示装置やELデバイス等の各種表示装置のカラーフィルターとして好適に用いることができ、広い色再現域を必要とする分野、例えばテレビジョンの分野やマルチメディアの分野に対応することが可能である。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。なお、本明細書中において(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
【0057】
<顔料分散液>
本発明の硬化性着色組成物用顔料分散液は、少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、及び、有機溶剤を含有する。
【0058】
顔料分散液とは、後述の硬化性着色組成物を調製する前段階において、予備調製されるP/V比(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)の高い顔料組成物である。具体的には、P/V比は1.0以上である。顔料分散液とバインダー系を混合することにより、顔料分散性の高い硬化性着色組成物を調製することができる。
【0059】
上記イソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤は、耐熱性が高く低分子不純物が溶出することが少ないため、電気信頼性が高いことが見いだされたが、硬化性がなく、多量に用いると組成物にした時に硬化性が悪くなるため、充分な量の顔料を分散させることが困難であった。
【0060】
これに対し、本発明においては、上記顔料分散剤と共に、顔料分散補助機能を有する高SP値単位含有共重合体を用いて顔料を分散することによって、上記顔料分散剤を少量用いるだけで、多量の顔料を微細且つ均一に分散させた顔料分散液を得ることが可能であり、硬化性にも影響を与えない。
【0061】
従って、電気信頼性の高い上記顔料分散剤を用いて顔料分散液を調製することが可能であり、且つ、得られた顔料分散液を用いて硬化性着色組成物を調製しても硬化性を低下させることがない。また、上記顔料分散剤は酸性官能基を有さないため、上記高SP値単位含有共重合体がエポキシ基を有していても、分散安定性は損なわれることなく、粘度が低く、保存安定性にも優れるので、硬化性着色組成物の調製に好適に用いられる。
【0062】
(顔料)
本発明の顔料分散液に用い得る顔料は特に限定されず、種々の有機又は無機顔料を用いることができる。有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等のグリーン系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット23:19など。また、従来分散困難であった臭素化率の高いフタロシアニン、例えば、モナストラルグリーン6YC、9YC等(アビシア(株)製)の高輝度G顔料や、中心金属が銅以外の金属、例えば、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、Sn等の異種金属フタロシアニン顔料からなる高色純度G顔料を用いることができる。
【0063】
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0064】
本発明に係る顔料分散液は、これらの顔料のなかでも液晶表示装置用カラーフィルターに汎用されている各種の顔料に対して優れた分散性を付与することができ、具体的には、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254及び、C.I.ピグメントイエロー139、臭素化率の高い上記フタロシアニン顔料、上記異種金属フタロシアニン顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する顔料分散液を調製する場合に好適に用いることができる。
【0065】
(顔料分散剤)
本発明に用いられる顔料分散剤は、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤である。
【0066】
上記顔料分散剤を用いることによって、電気信頼性の高い顔料分散液、及び、硬化性着色組成物が得られる。その理由として、顔料分散剤が例えば特開平9−169821号記載のポリアリルアミン骨格や特表平8−507960号記載のポリエチレンイミン骨格等のような耐熱性の低い構造であると、着色硬化膜の形成及びその後の加工を含む製造段階での加熱工程、或いは、着色硬化膜を備えた製品が高温環境において熱分解されて低分子不純物を発生させやすくなり、これが電気信頼性を悪化させる大きな原因になっているためと推測される。また、顔料分散剤の分子構造にポリエーテル鎖を含む場合に電気信頼性が低くなることが見出されたが、これも、ポリエーテル鎖がアルキル鎖及びポリエステル鎖に比べて加熱時に切断され易く低分子不純物を発生させやすいために、電気信頼性を悪化させる大きな原因になると推測される。すなわち、本発明においては、イソシアネート類同士が重合した熱分解しにくい主鎖構造を有し、更には、熱分解しやすいポリエーテル鎖を含まない重合体からなる耐熱性の高い顔料分散剤を用いるので、着色硬化膜が製造段階での加熱工程又は製造後の高温環境に置かれても、低分子不純物の発生が少ないために、電気信頼性が高いと推測される。
【0067】
しかしながら、上記顔料分散剤は、硬化性を有しないため、多量の顔料を均一に分散できるように分散剤として充分な量を配合すると、硬化性組成物にした場合に硬化性が悪くなり、パターン形成性が悪化するという問題があり、使用が困難であった。また、上記顔料分散剤は、単独では顔料を分散できない場合も多く、単独で分散できても多量に用いる必要がある場合が多かった。
【0068】
これに対し、本発明においては上記顔料分散剤を後述の顔料分散補助機能を有する高SP値含有共重合体と共に用いて、有機溶剤も適宜最適化して顔料を分散させることにより、電気信頼性の高い上記顔料分散剤を硬化性に影響を与えない程度の少量用いるだけで顔料を分散させることが可能である。更に、従来上記顔料分散剤単独では分散できなかった顔料(例えば、モナストラルグリーン6YC、9YC等(アビシア(株)製)等)をも均一に分散することが可能である。
【0069】
本発明においては顔料分散液中に顔料100重量部当たり上記顔料分散剤を40重量部以下、好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下の割合で含有させるだけで分散性を充分に向上させることができ、得られる顔料分散液及び硬化性着色組成物は電気信頼性が高い。
【0070】
なお、電気信頼性は、硬化性着色組成物を用いて液晶セルを作製した場合の電圧保持率により評価することが出来、電気信頼性が高いとは該電圧保持率が高いことをいう。電圧保持率とは、具体的には以下の方法で測定された電圧保持率をいう。
【0071】
図17に示すように、ガラス基板52,55の表面にITO(酸化インジウムスズ)電極53,56を設けた1組のITO基板51,54を準備し、一方のITO基板51のITO電極53上に、液晶に対して最近傍の位置に硬化性着色組成物を用いて着色樹脂層57を形成し、その後、ITO電極間距離が5〜15μmとなるように他方のITO基板54を対向させ、周辺部をシール部材59により封止し、両ITO基板間に液晶58を注入し測定用液晶セル50を作製する。
着色樹脂層57は、光硬化性組成物を用いて作製する場合には、上記硬化性着色組成物をスピンコーターで塗布し、プリベークを行って膜厚2.0〜2.4μmの塗膜を形成する。次いで、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を60mJ/cm2の露光量で所定のパターン状に照射する。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間、スピン現像機で現像した後、純水で1分間洗浄して乾燥し、基板のポストベークを行って、基板上に画素パターンが配列された画素アレイを作製する。また、熱硬化性組成物を用いて作製する場合には、着色樹脂層57は、熱硬化性着色組成物をスピンコーターで塗布し、十分に乾燥した後、ITO電極53のパターン以外の部分をアセトンを含ませたレンズクリーナー(商品名:トレシー(東レ(株)製))で拭き取り、クリーンオーブン内で230℃で1時間、最終硬化を行うことによって厚さ1.9μmの硬化塗膜を得、画素アレイを作製する。その後、測定用液晶セル50をオーブン中105℃、2.5時間放置後室温に戻し、下記の条件で電圧保持率を測定した。
・ITO電極間距離 :5μm
・印加電圧パルス振幅 :5V
・印加電圧パルス周波数:60Hz
・印加電圧パルス幅 :16.67msec
この評価で、電圧保持率が80%以上であると電気信頼性が高く、90%以上であると電気信頼性がより高いと評価できる。
【0072】
ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造としては、上記ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類の分子間でイソシアネート基同士が結合して重合した分子構造が挙げられる。また、主鎖骨格の連鎖構造内には、置換基を有していても良い芳香環及び/又は異項環等の環構造が含まれていても良い。
【0073】
ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造としては、例えば、式(A−1)〜(A−5)で表されるポリイソシアネートが挙げられ、これらのポリイソシアネートは更に重合連鎖していても良く、更に置換基を有しても良い。なお、式(A−1)は、例えばバイエル社製「デスモジュールIL」等の商品名で、式(A−2)は、例えばバイエル社製「デスモジュールHL」等の商品名で、式(A−3)はエッセアピイチイ社製「ポルレンKC」等の商品名で、式(A−4)は例えばエッセアピイチイ社製「ポルレンHR」等の商品名で、式(A−5)は例えばエッセアピイチイ社製「トルエンジイソシアネート−イソフォロンジイソシアネート−イソシアヌレート」として、市販されている。
【0074】
【化3】
Figure 0004508550
【0075】
【化4】
Figure 0004508550
【0076】
本発明の顔料分散剤に用いられるジイソシアネート類としては、耐熱性の点で芳香族イソシアネート類が好ましく、例えば、ベンゼン−1,3−ジイソシアネート、ベンゼン−1,4−ジイソシアネート等のベンゼンジイソシアネート類;トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,5−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−3,5−ジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類;1,2−キシレン−3,5−ジイソシアネート、1,2−キシレン−3,6−ジイソシアネート、1,2−キシレン−4,6−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,4−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,5−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−キシレン−4,6−ジイソシアネート、1,4−キシレン−2,5−ジイソシアネート、1,4−キシレン−2,6−ジイソシアネート等のキシレンジイソシアネート類等の芳香族ジイソシアネート類を挙げることができ、また前記トリイソシアネート類としては、例えば、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアネート、ベンゼン−1,2,5−トリイソシアネート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート等のベンゼントリイソシアネート類;トルエン−2,3,5−トリイソシアネート、トルエン−2,3,6−トリイソシアネート、トルエン−2,4,5−トリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、トルエン−3,4,6−トリイソシアネート、トルエン−3,5,6−トリイソシアネート等のトルエントリイソシアネート類、1,2−キシレン−3,4,6−トリイソシアネート、1,2−キシレン−3,5,6−トリイソシアネート、1,3−キシレン−2,4,5−トリイソシアネート、1,3−キシレン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3−キシレン−3,4,5−トリイソシアネート、1,4−キシレン−2,3,5−トリイソシアネート、1,4−キシレン−2,3,6−トリイソシアネート等のキシレントリイソシアネート類等の芳香族トリイソシアネート類を挙げることができる。中でも高い耐熱性の点から、トルエンジイソシアネート類が好ましい。これらのジイソシアネート類およびトリイソシアネート類は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に式(A1)や式(A4)で表されるようなトルエンジイソシアネート類が単独で重合した主鎖構造であることが高い耐熱性の点から好ましい。
【0077】
また、本発明に用いられる顔料分散剤は、顔料分散性の点から、酸性官能基を有しない。酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、代表的にはカルボキシル基である。
【0078】
顔料分散剤の酸価は、実質的に酸性官能基がないと見なせる値、具体的には10mgKOH/g以下が好ましく、特に3mgKOH/g以下であることが好ましい。酸性官能基を持たなくても加水分解等の影響や実験誤差により酸価が検出される場合があり、例えば、酸性官能基を含まないメチルメタクリレートホモポリマーであっても酸価実測値が約3mgKOH/mgとなる場合がある。なお、酸価は固形分1gあたりの酸価を示し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めた値をいう。
【0079】
また、アミン価は、5〜80mgKOH/gであることが、更に10〜70mgKOH/gであることが、分散性の点から好ましい。なお、アミン価は固形分1gあたりのアミン価を示し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
【0080】
更に、本発明に用いられる顔料分散剤は、電気信頼性の点から、加熱により切断され易いポリエーテル鎖を含まない重合体である。ここでポリエーテル鎖とは、−(O−Ri)n−(Riは、炭素数1〜10のアルキレン基、nは2以上の整数)で表される構造をいう。具体的には、−(O−CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2CH2CH2)n−が挙げられる。
【0081】
また、本発明に用いられる顔料分散剤は、顔料分散性の点から、更にポリエステル鎖を含む。ここでポリエステル鎖とは、−(O−RCO)n−(Rjは、炭素数1〜20のアルキレン基、nは2以上の整数)で表される構造をいう。具体的には、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリラクトン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の重縮合系ポリエステル類が挙げられる。中でも耐熱性の点から、ポリラクトン類、更にポリカプロラクトンを含むことが好ましい。ポリエステル鎖は、片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類を用いて、上記イソシアネート類のイソシアネート基と反応させることにより導入することが好ましい。
【0082】
更に、上記顔料分散剤の分子量は、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量で500〜30000の範囲が好ましい。なお、重量平均分子量はテトラヒドロフランを展開液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、HLC−8029、東ソー株式会社製)を用い、ポリスチレン換算により求めた値をいう。
【0083】
また、本発明に用いられる上記顔料分散剤のガラス転移温度(Tg)は、70℃以上であることが好ましく、更に150℃以上、特に180℃以上であることが好ましい。Tgが70℃未満である場合には、液晶パネルの電圧保持率が大きく低下する。これは、液晶パネル組み立て時の加熱工程で、塗膜から不純物の溶出が多くなるためと考えられる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、熱化学反応熱量計(SII製)を用いて、温度範囲25〜280℃、昇温速度7.5℃/minの条件下でDSC法により測定することができる。また、Tg測定においてTgを示すピークが2つ以上見られる場合には、ピーク面積、すなわち、得られたチャートのベースラインから突出した部分の面積が最も大きいピークをTgの代表値とする。
【0084】
また、分散剤の市販品として、Disperbyk−161、162、(ビックケミー・ジャパン(株)製)等を挙げることができる。
【0085】
本発明において上記顔料分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0086】
(高SP値単位含有共重合体)
本発明に用いられる高SP値単位含有共重合体は、少なくとも、SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位が連結した分子構造を有する。
【0087】
SP値は物質同士の相溶性、非相溶性を示す指標であり、混合される2つの物質間でSP値の差が小さければ相溶性、溶解性が大きく、易溶性となり、一方、その差が大きければ相溶性、溶解性が小さく、難溶性乃至不溶性となる。
【0088】
SP値の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本発明においては、Michael M. Collman, John F. Graf, Paul C. Painter (Pensylvania State Univ.)が書いた、"Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends" (1991), Technomic Publishing Co. Inc.に記載されている計算方法を用いる。但し、‐COOH基と‐OH基については記載がないため、R. F. Fedorsが書いたPolymer Engineering and Science, 14(2), 147(1974)に記載の値を用いる。
【0089】
顔料はSP値が概ね13以上で高く、顔料を分散するために用いられる有機溶剤はSP値が概ね9以下の低いものが好ましく用いられることより、SP値が10以上の構成単位は、顔料と親和性が高くなると推定される。また、アクリル酸等の酸性官能基を有する構成単位はSP値が10以上の構成単位に分類される場合があるが、分子内にエポキシ基を有するため安定性の点から酸性官能基を含まない方が好ましい。このため、共重合体の分子上に顔料吸着点を形成するためには、SP値が10以上で且つ酸性官能基を含まない構成単位を含むことが望ましい。従って、上記高SP値単位含有共重合体は、上記SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位の部分が顔料表面及び顔料を覆う顔料分散剤表面に吸着して立体障害を形成し、顔料同士の凝集を回避するため、少量の分散剤と共に用いると顔料を分散させることが可能であると推定される。
【0090】
また、エポキシ基を備えた構成単位を含有するため、後述の硬化性着色組成物にした時に熱硬化性のバインダーとしても機能し、硬化膜の硬化性、耐熱性や耐薬品性、及び、その他の物性に寄与する。従来エポキシ基を含有する成分を顔料分散時に用いることは困難であったが、本発明においては、上記高SP値単位含有共重合体と上記酸性官能基を有さない顔料分散剤を選択して組み合わせることにより可能になった。
【0091】
SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とは、該構成単位のホモポリマーのSP値が10以上である構成単位のうち、酸性官能基を含まない構成単位をいい、分散性の点から、SP値が11以上であることが好ましく、12以上であることがさらに好ましい。なお、酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。
【0092】
SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位(高SP値含有単位)は、顔料分散性に寄与する成分であり、その含有割合は、要求される顔料分散性の程度により調整される。高SP値含有単位を高SP値単位含有共重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合と共にSP値が10以上となるように寄与する官能基を有する化合物を使用することができる。
【0093】
SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位を導入するために使用する単量体としては、例えば、グリセロールモノメタクリレート[ホモポリマーのSP値:12.7(以下カッコ内は同様)]、ヒドロキシエチルアクリレート[12.2]、ヒドロキシエチルメタクリレート[11.3]、ヒドロキシプロピルアクリレート[11.1]等のヒドロキシル基含有モノマー;ビニルサクシンイミド[13.9]、N‐フェニルマレイミド[13.6]、N‐p−ヒドロキシフェニルマレイミド[16.7]、N‐p−メチルフェニルマレイミド[13.0]、N‐p−メトキシフェニルマレイミド[13.2]、N‐シクロヘキシルマレイミド[12.0]、N‐ベンジルマレイミド[12.8]、1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミドアクリレート[13.3]等のイミド基含有モノマー、N‐ビニルピロリドン[11.9]等のピロリジノニル基含有モノマー、アクリルアミド[14.5]、メタクリルアミド[12.6]等のアミド基含有モノマー、N‐アクリル−2−オキサゾリドン[14.0]等のオキサゾリドニル基含有モノマー、4−ビニルピリジン[10.3]、下記式3a[10.3]、3b[10.7]、3c[11.5]、3d[10.5]、3e[10.3]、3f[10.7]、3g[10.3]、3h[10.7]、3i[11.5]、3p[11.9]等のピリジル基含有モノマー、3j[11.3]、3k[10.5]、3l[11.8]、3q[12.0]等のイミダゾリル基含有モノマー、3m[11.0]等のトリアゾリル基含有モノマー、3n[11.8]、3o[11.8]等のテトラゾリル含有モノマー等を用いることができる。
【0094】
【化5】
Figure 0004508550
【0095】
【化6】
Figure 0004508550
【0096】
【化7】
Figure 0004508550
【0097】
これらの中でも、顔料吸着性の点から、窒素を含有する単量体であることが好ましく、中でもイミド基、ピロリジノニル基、アミド基、ピリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、を含有する単量体であることが好ましく、特にN−マレイミド基含有モノマー全般、イミド基含有モノマー全般、N−ビニルピロリドン、式3a〜3q等、を用いることが好ましい。
【0098】
エポキシ基を備えた構成単位(エポキシ基含有単位)は、硬化膜の硬化性、耐熱性や耐薬品性、及び、その他の物性に寄与する成分である。その含有割合は、これらの諸物性を考慮して調整される。エポキシ基含有単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、主鎖連結を形成するためのエチレン性不飽和結合をエポキシ基と共に有する化合物を使用することができる。
【0099】
エチレン性不飽和結合をエポキシ基と共に有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0100】
エポキシ基含有単位としては、顔料分散性の点から、下記式(1)で表される構造を持つものが好ましい。
【0101】
【化8】
Figure 0004508550
【0102】
(式中、R1は前記と同じであり、R2は炭素数1乃至6のアルキレン基であり、Eはエポキシ基又は環構成炭素数が3〜8の置換基を有していても良い脂環式エポキシ基である。)
ここで、上記式中Eは、下記式(2a)で表されるエポキシ基、又は下記式(2b)で表される脂環式エポキシ基であり、脂環式エポキシ基の環構成炭素数は、5、6、8が好ましく、6が特に好ましい。
【0103】
【化9】
Figure 0004508550
【0104】
上記式(1)で表されるエポキシ基含有単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸エチルグリシジル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、中でも特に(メタ)アクリル酸グリシジル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0105】
なお、上記高SP値単位含有共重合体は、エポキシ基を含有しているため、保存安定性の点から酸性官能基を含有しないことが好ましい。
【0106】
上記高SP値単位含有共重合体は、さらにアルコール性水酸基を備えた構成単位(アルコール性水酸基含有単位)を含んでいてもよい。アルコール性水酸基を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合とアルコール性水酸基を有する化合物を使用することができる。
【0107】
アルコール性水酸基含有単位としては、下記式(4)で表される構成単位が好ましい。
【0108】
【化10】
Figure 0004508550
【0109】
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R3は炭素数2乃至4のアルキレン基である。)
式(4)に含まれるR3(炭素数2乃至4のアルキレン基)は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等である。
【0110】
式(4)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、下記式(5)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。
【0111】
【化11】
Figure 0004508550
【0112】
(式中、R1及びR3は式(4)と同じである。)
式(5)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が例示される。
【0113】
上記共重合体は、さらに芳香族炭素環を備えた構成単位(芳香族炭素環含有単位)を含んでいてもよい。芳香族炭素環含有単位は、硬化性着色組成物に塗膜性を付与する成分であると共に、顔料分散性を調整する成分である。芳香族炭素環含有単位としては、下記式(6)で表されるものが好ましい。
【0114】
【化12】
Figure 0004508550
【0115】
(式中、Rは上記と同じであり、R4は芳香族炭素環を示す。)
式(6)中に含まれるR4(芳香族炭素環)は、例えば、フェニル基、ナフチル基等である。式(6)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、また、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸機等で置換されていてもよい。
【0116】
上記共重合体は、さらにエステル基を備えた構成単位(エステル基含有単位)を含んでいてもよい。エステル基含有単位は、顔料分散性を調整する成分である。エステル基含有単位としては、下記式(7)で表されるものが好ましい。
【0117】
【化13】
Figure 0004508550
【0118】
(式中、Rは上記と同じであり、R5はアルキル基またはアラルキル基を示す。)
式(7)中に含まれるR5(アルキル基またはアラルキル基)は、例えば、炭素数1乃至12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基である。式(7)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が例示され、中でも顔料分散性を調整する点からは、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0119】
なお、顔料分散性の点からは、構成単位中に芳香族炭化水素が含まれることが好ましく、芳香族炭素環含有単位及び/又はエステル基含有単位のうち芳香族炭素環を含有する単位を有することが好ましい。中でも、製版性を考慮した場合には、ベンジル(メタ)アクリレートを用いて高SP値単位含有共重合体が調製されることが好ましい。
【0120】
上記共重合体は、さらに光硬化性官能基を備えた構成単位(光硬化性官能基含有単位)を含んでいてもよい。光硬化性官能基含有単位の含有割合は要求される光硬化性の程度及び硬化後の諸物性と顔料分散性のバランスにより調整される。
【0121】
光硬化性官能基としては、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合等の様々な反応形式のものを利用できるが、光ラジカル重合、光ラジカル二量化等の光ラジカル反応により硬化する官能基が好ましく、特に、エチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル基等の光ラジカル重合性官能基が特に好ましい。
【0122】
光硬化性官能基を有するモノマーを用いて高SP値単位含有共重合体を合成すると副反応が生じやすいので、光硬化性官能基は、高SP値単位含有共重合体の主鎖連結を形成した後で、適切な官能基を介して導入するのが好ましい。
【0123】
光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を備えた構成単位(エチレン性不飽和結合含有単位)としては、下記式(8)で表されるものが好ましい。
【0124】
【化14】
Figure 0004508550
【0125】
(式中、R及びR3は上記と同じであり、R6はアルキレン基である。R7は水素原子又はメチル基である。)
式(8)の構成単位を高SP値単位含有共重合体に導入するためには、先ず、他のモノマーと共に上記式(5)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合して共重合体の主鎖部分を形成する。その後、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の水酸基に下記式(9)で表されるイソシアネート化合物を反応させればよい。
【0126】
【化15】
Figure 0004508550
【0127】
(式中、R6及びR7は式(8)と同じである。)
式(9)の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートのなかでは、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したものを使用するのが好ましい。具体的には、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは、例えば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で市販されている。
【0128】
また、光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を備えた構成単位(エチレン性不飽和結合含有単位)としては、下記式(10)で表されるものも好ましく用いられる。
【0129】
【化16】
Figure 0004508550
【0130】
(式中、Rは上記と同じであり、R8は水素原子又はメチル基を示す。)
上記式(10)の構成単位を、高SP値単位含有共重合体に導入するためには、先ず、少なくとも単量体として前記(メタ)アクリル酸グリシジルを含有して重合して高SP値単位含有共重合体の主鎖部分を形成した後、前記(メタ)アクリル酸グリシジル由来のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させればよい。
エポキシ基が少なすぎると熱硬化性が不足するので、(メタ)アクリル酸の量を適切に調節する必要がある。
【0131】
各構成単位を高SP値単位含有共重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0132】
本発明において、高SP値単位含有共重合体の分子構造を構成する各構成単位の含有割合は適宜調節されるが、高SP値含有単位の含有割合が少なすぎる場合には顔料分散性が十分に向上しない。一方、高SP値含有単位の含有割合が多すぎる場合には、顔料への吸着点が増え過ぎて顔料間に吸着による架橋が起こり、かえって分散性が低下するという問題がある。また、エポキシ基含有単位が少なすぎる場合には、熱硬化性が低下するという問題があり、多すぎる場合には、顔料分散性が低下するという問題がある。
【0133】
具体的には、単量体としての仕込み量換算で、高SP値含有単位を5モル%〜90モル%、好ましくは10モル%〜80モル%、エポキシ基含有単位を5モル%〜80モル%、好ましくは10モル%〜70モル%とする。また、アルコール性水酸基含有単位を含有する場合には5モル%〜20モル%、芳香族炭素環含有単位を含有する場合には5モル%〜70モル%、エステル基含有単位を含有する場合には5モル%〜70モル%程度含有することが好ましい。更に、式(8)で表されるエチレン性不飽和結合含有単位を含有する場合には、アルコール性水酸基含有単位及びエチレン性不飽和結合のペンダント連結部位としてのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを5モル%〜60モル%程度、及び、エチレン性不飽和結合のペンダント導入単位としてのイソシアネート化合物を5モル%〜60モル%程度とすることが好ましい。更に、式(10)で表されるエチレン性不飽和結合含有単位を含有する場合には、エポキシ基含有単位及びエチレン性不飽和結合のペンダント連結部位としての(メタ)アクリル酸グリシジルを5モル%〜60モル%程度、及び、エチレン性不飽和結合のペンダント導入単位としての(メタ)アクリル酸を5モル%〜60モル%程度とすることが好ましい。
【0134】
分散する顔料の種類や顔料処理剤の種類によって、高SP値含有単位の含有割合の他、必要に応じてエステル基含有単位等の他の主鎖構成単位の含有割合を調整することが好ましい。
【0135】
さらに、エステル基含有単位を含む場合に、高SP値含有単位とエステル基含有単位の含有割合の比は、90:10〜10:90、さらに80:20〜20:80モルが好ましく、分散する顔料の種類や顔料処理剤の種類によって適宜調整することが好ましい。
【0136】
前記の高SP値単位含有共重合体は、公知の方法に準じて合成することができ、例えば特開2000−105456号公報に記載の手順及び条件に順じ、先ず、高SP値含有単位と、エポキシ基含有単位と、さらに必要に応じて、アルコール性水酸基含有単位、芳香族炭素環含有構成単位、エステル基含有単位、光硬化性官能基を有するペンダント構造を後から導入できる官能基を有する構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体(原料重合体)を製造し、必要に応じてそれから当該原料重合体にエチレン性不飽和結合のような光硬化性官能基と共に何らかの別の官能基を有する化合物を反応させて、光硬化性官能基のペンダント構造を導入すればよい。
【0137】
高SP値単位含有共重合体は、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0138】
高SP値単位含有共重合体は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量を2,000〜30,000、さらに好ましくは6,000〜15,000の範囲に調節するのが好ましい。重量平均分子量が2,000より小さいと充分な立体障害を形成することができず、顔料間の距離が近くなる、1分子中の顔料への吸着点が少なくなりすぎて顔料に吸着しづらくなる等の問題が発生して分散性が低下する等の問題がある。一方、重量平均分子量が30,000より大きいと、1分子中の顔料への吸着点が増えすぎて、顔料間に吸着による架橋が起こり、分散性や現像性の低下等の問題がある。
【0139】
高SP値単位含有共重合体の酸価は、エポキシ基を含有するため保存安定性、顔料分散性の点から、低い方が好ましく、10mgKOH/g以下、特に3mgKOH/g以下の酸価とするのが好ましい。ここで、酸価は固形分1gあたりの酸価を示し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求める値をいう。
【0140】
高SP値単位含有共重合体は、上記顔料100重量部に対して、通常は10〜120重量部、好ましくは20〜80重量部の割合で配合することによって、優れた顔料分散性が得られる。
【0141】
(有機溶剤)
本発明に用いられる有機溶剤は、中でも顔料分散性の点から、極性が低い溶剤を用いることが好ましく、SP値は9未満であることが好ましい。
【0142】
具体的には、以下に例示するような各有機溶剤であって含水量の少ないものが好適に用いられる。シクロヘキサン[8.0]、酢酸ブチル[8.5]、酢酸エチル[8.7]、トルエン[8.9]、キシレン[8.9]、メトキシブチルアセテート[8.6]、ジエチレングリコールジメチルエーテル[8.6]、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート[8.7]、エトキシプロピオン酸エチル[8.8]、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル[8.6]、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート[8.9]。特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート[8.7](PGMEA)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル[8.6]、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート[8.9]、メトキシブチルアセテート[8.6](MBA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル[8.6](DMDG)を用いることにより、上記顔料分散剤及び高SP値単位含有共重合体を用いて高い顔料濃度で顔料分散液を調製することができる。
【0143】
特に、アルカリ現像性を有する着色組成物用の場合には、溶剤組成の80質量%以上、好ましくは90質量%以上をMBA又はPGMEAで20質量%以下、好ましくは10質量%以下をDMDG又はジエチレングリコールメチルエチルエーテルを用いることにより、上記顔料分散剤及び高SP値単位含有共重合体を用いて高い顔料濃度で顔料分散液を調製することができる。
【0144】
また、特にインクジェット方式に用いる硬化性着色組成物用の場合には、ヘッドからの吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を有機溶剤の全量に対して80重量%以上、好ましくは85重量%以上の割合で配合することがインクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を確実に得る点から好ましい。また、主溶剤の表面張力は、29dyn/cm以上であることが好ましい。
【0145】
主溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類等が好ましく用いられる。
【0146】
上記有機溶剤は、顔料100重量部に対して通常は100〜1000重量部、好ましくは200〜900重量部の割合で用いる。
【0147】
また、本発明に係る顔料分散液には各種界面活性剤を配合しても良い。更に各種界面活性剤を組み合わせて使用すると分散安定性を向上させることができる。
界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。前記界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類を挙げることができる。
【0148】
界面活性剤の商品名としては、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
【0149】
本発明においては、高電気信頼性のために顔料分散剤として、上記イソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤を用いるが、本発明の目的と効果を損なわない質的及び量的範囲内で、他の顔料分散剤を配合しても良い。
【0150】
使用可能な分散剤として具体例には、ノナノアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N',N'−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N'−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
【0151】
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
【0152】
本発明に係る顔料分散液は、従来公知の顔料分散液の調製手順において、分散剤の一部を高SP値単位含有共重合体に置き換えることにより調製できる。すなわち、上記の顔料、顔料分散剤、高SP値単位含有共重合体、及び、必要に応じてその他の成分を、任意の順序で有機溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製することができる。
【0153】
具体的には、顔料、顔料分散剤、高SP値単位含有共重合体の混合物を有機溶剤に添加して分散させる方法、有機溶剤に顔料、顔料分散剤、高SP値単位含有共重合体を夫々添加して分散させる方法、顔料のみを溶剤に分散させた液と、顔料分散剤及び高SP値単位含有共重合体を溶剤に分散させた液とを混合する方法、顔料及び顔料分散剤を溶剤に分散させた液と、高SP値単位含有共重合体のみを溶剤に分散させた液とを混合する方法、或いは、顔料のみ溶剤に分散させた液に顔料分散剤、高SP値単位含有共重合体を添加する方法などを例示することができる。
【0154】
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。この顔料分散液は、顔料分散性に優れた塗工液を調製するための予備調製物として用いられる。顔料や顔料分散剤を、通常の着色組成物用バインダー樹脂成分と共に希釈溶剤中に直接添加して混合すると、充分な分散性が得られない場合がある。これに対して、本発明に係る顔料分散液に上記高SP値単位含有共重合体の追加分や上記高SP値単位含有共重合体以外のバインダー樹脂や他の成分を混合するか、或いは、本発明に係る顔料分散液、上記高SP値単位含有共重合体の追加分や上記高SP値単位含有共重合体以外のバインダー樹脂、及び他の成分を固形分濃度を調節するための溶剤(希釈溶剤)に添加することによって、顔料分散性に優れた塗工液を容易に調製することができる。本発明に係る顔料分散液を用いて得られた塗工液は、様々な分野で着色塗膜を形成することができるが、特に、カラーフィルターの画素やブラックマトリックスのような着色層等を形成する硬化性着色組成物として好適に用いることができる。
【0155】
<硬化性着色組成物>
次に、本発明に係る硬化性着色組成物を説明する。
【0156】
本発明に係る硬化性着色組成物は、少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、硬化性バインダー系、及び、有機溶剤を含有する硬化性着色組成物である。
【0157】
上記本発明に用いられる高SP値単位含有共重合体は、エポキシ基を含有するので、加熱すると酸性官能基を有する化合物等と反応して硬化し、熱硬化性バインダー樹脂としての機能を発揮することができ、硬化性を向上させる役割を果たす。
【0158】
また、本発明の硬化性着色組成物を光硬化性着色組成物として用いて着色レジストを作製した場合であっても、従来のように更に熱重合性バインダー等を添加しなくても、アルカリ現像性を付与するために添加された酸性官能基と高SP値単位含有共重合体のエポキシ基が光硬化後のポストベーク時に熱硬化反応するので、硬化膜中に残留する酸性官能基が消費されて、カラーフィルターを作製した場合等における耐アルカリ性が向上し、更に硬化膜の架橋密度を高くする効果もある。
【0159】
また、上記高SP値単位含有共重合体は、上述のように顔料分散を補助する性能を併せ持っているので、硬化性着色組成物中に上記電気信頼性の高い顔料分散剤を少量配合するだけで顔料を均一に分散させることが可能である。従って、上記本発明に係る着色組成物は、顔料分散剤の量が少ない分、硬化性着色組成物中の高SP値単位含有共重合体や硬化性バインダー系(光硬化性化合物やアルカリ現像性を有する化合物や重合開始剤、熱硬化性化合物や硬化剤等)及び/又は顔料の濃度が相対的に増し、硬化性、パターン形成性及び着色濃度の高い塗膜を形成でき、電気信頼性も高くなる。
【0160】
硬化性着色組成物には多量の顔料を微細且つ均一に分散させることが可能であり、P/V比(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)を0.4以上、好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上にすることができる。なお、硬化性着色組成物の塗工適性及び硬化性の点からP/V比を1.0以上とすることは通常困難である。ここで、硬化性着色組成物の固形分には、溶剤を除く全ての成分が含まれ、例えば液状のモノマー成分もこれに含まれる。
【0161】
硬化性着色組成物中に上記分散剤を添加する場合の配合割合は顔料分散液を調製する場合と同様であり、顔料100重量部当たり分散剤を40重量部以下、好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下の割合で含有させるだけで分散性を充分に向上させることができる。
【0162】
高SP値単位含有共重合体は、顔料100重量部に対して通常は10〜200重量部、好ましくは20〜100重量部の割合で使用する。高SP値単位含有共重合体の使用量が少な過ぎると、充分な顔料分散性、成膜性、結着性及び優れた製版特性を得ることができない。また、この使用量が多過ぎると顔料の割合が相対的に低くなってP/V比が小さくなり、充分な着色濃度が得られない。
【0163】
本発明に係る硬化性着色組成物に配合される、顔料、上記イソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、高SP値単位含有共重合体、有機溶剤としては、上述した本発明にかかる顔料分散液に配合できるものと同じものを用いることができる。また各成分は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0164】
(硬化性バインダー系)
本発明においては、塗工膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又はインクジェット方式によりパターンを形成後、当該塗膜を重合反応により硬化させることができる、硬化性バインダー系を用いる。このような硬化性バインダー系としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー系や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー系のような、重合硬化可能なバインダー系が挙げられる。
【0165】
通常、光硬化性着色組成物の場合には、光硬化性のバインダー系を含み、熱硬化性着色組成物の場合には、熱硬化性のバインダー系を用いる。また、塗膜に強度、耐久性、密着性を充分に付与する点から、光硬化性バインダー系及び熱硬化性バインダー系の両方を含み、光硬化性及び熱硬化性としても良い。
【0166】
(1)光硬化性バインダー系
紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性バインダー系を用いる場合には、光硬化性化合物、光により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤、更に必要に応じて非硬化性ポリマー、その他の成分などを配合して、光硬化性バインダー系を構成する。更に、着色レジストとする場合には、光硬化性バインダー系には、アルカリ現像性を付与するために酸性官能基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0167】
[光硬化性化合物]
光硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合等の光硬化性官能基を有するモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーを用いることができる。光硬化性化合物は架橋密度を高めるために、一分子中に光硬化性官能基を2個以上有していることが好ましい。
【0168】
エチレン性不飽和結合を含有するモノマー又はオリゴマーとして具体的には、次のような多官能アクリレート系のモノマー又はオリゴマー、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類や、それらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類のほか、トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェート等を挙げることができる。
【0169】
さらに具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンテトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(DPPA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示することができる。なかでも、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらの多塩基酸無水物変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示できる。
【0170】
アルコール性水酸基を有する光硬化性化合物としては、具体的には、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
【0171】
光硬化性化合物の中でもアルカリ現像性を有するものとして、分子内に酸性官能基を有するものが好ましく、中でも酸性官能基とエチレン性不飽和結合を有するもの、特に一分子内に1つ以上の酸性官能基と3つ以上のエチレン性不飽和結合を有するもの(以下、「3官能以上の酸性多官能アクリレートモノマー」という)を用いることが好ましい。3官能以上の酸性多官能アクリレートモノマーは、樹脂組成物の架橋密度を向上させる役割と、アルカリ現像性を向上させる役割を有するため、組成物に顔料を多量に配合する場合であっても、当該酸性多官能アクリレートモノマーによって着色組成物の硬化性及び現像性を損なうことなく調節して向上させることができる。
【0172】
酸性多官能アクリレートモノマーの酸性官能基は、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、アルカリ現像性及び樹脂組成物の取り扱い性の点からカルボキシル基が好ましい。
【0173】
上記したような3官能以上の酸性多官能アクリレートモノマーとしては、(1)水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを多塩基酸無水物で変性することによりカルボキシル基を導入した多官能(メタ)アクリレート、或いは、(2)芳香族多官能(メタ)アクリレートを濃硫酸や発煙硫酸で変性することによりスルホン酸基を導入した多官能(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0174】
酸性多官能アクリレートモノマーとしては、下記一般式(11)、(12)で表されるものが好ましい。なお、一般式(11)、(12)において、T又はGがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がR、X及びWに結合する。
【0175】
【化17】
Figure 0004508550
【0176】
(式(11)中、nは0〜14であり、mは1〜8である。式(12)中、Wは式(11)と同様のR又はXであり、6個のWのうち、3個以上のWがRである。pは0〜14であり、qは1〜8である。一分子内に複数存在するR、X、T、Gは、各々同一であっても、異なっていても良い。)
式(11)、(12)で表される酸性多官能アクリレートモノマーとして、具体的には、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382が挙げられる。
【0177】
また、光硬化性を有するポリマーは、バインダー機能も有するため、好ましく用いられる。このような光硬化性を有するポリマーとしては、上記したような多官能アクリレート系のモノマー又はオリゴマーの重合体を用いることができる。また、このような光硬化性を有するポリマーとしては、例えば、下記式(8)又は下記式(13)で表されるエチレン性不飽和結合含有単位のような光硬化性官能基含有単位を必須成分として含み、必要に応じて、上記アルコール性水酸基含有単位、芳香族炭素環含有単位、エステル基含有単位等を含む共重合体が好ましく用いられる。
【0178】
【化18】
Figure 0004508550
【0179】
(式中、Rは上記と同じであり、R3は炭素数2乃至4のアルキレン基であり、R6はアルキレン基である。R7は水素原子又はメチル基である。)
【0180】
【化19】
Figure 0004508550
【0181】
(式中、Rは上記と同じであり、R9は水素原子又はメチル基を示す。)
上記式(8)で表されるエチレン性不飽和結合含有単位は、高SP値単位含有共重合体で述べた様に導入することができる。上記式(13)の構成単位を、光硬化性を有するポリマーに導入するためには、先ず、少なくとも単量体として(メタ)アクリル酸を含有して重合して光硬化性を有するポリマーの主鎖部分を形成した後、前記(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基に(メタ)アクリル酸グリシジルを反応させればよい。ただし後述するように酸性官能基によりアルカリ現像性を付与する場合には、(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基が少なくなりすぎるとアルカリ可溶性が不足するので、(メタ)アクリル酸グリシジルの量を適切に調節する必要がある。
【0182】
また、上記共重合体が、酸性官能基を備えた構成単位を含む場合には、上記共重合体に光硬化性と共にアルカリ現像性が付与される点から好ましい。
【0183】
酸性官能基を備えた構成単位(酸性官能基含有単位)の含有割合は、硬化性着色組成物に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整される。酸性官能基を有する構成単位を共重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合と酸性官能基を有する化合物を使用することができる。酸性官能基は、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、アルカリ現像性及び樹脂組成物の取り扱い性の点からカルボキシル基が好ましい。
【0184】
酸性官能基を有する構成単位としては、下記式(14)で表される構成単位が好ましい。
【0185】
【化20】
Figure 0004508550
【0186】
(式中、R10は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
式(14)に含まれるR10は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。式(14)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−へプテン等が例示される。
【0187】
なお、本発明に係る硬化性着色組成物がインクジェット用インクである場合には、粘度が高すぎて吐出ヘッドからの吐出性に悪影響を及ぼさないように、それ自体が光硬化性を有する樹脂である光硬化性化合物の分子量は、重量平均分子量で25,000以下であることが好ましい。
【0188】
上記の光硬化性化合物は、夫々単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光硬化性化合物は、顔料100重量部に対して通常は20〜300重量部、好ましくは40〜200重量部の割合で使用する。この使用量が少な過ぎると、充分な光硬化性が得られず、この使用量が多過ぎると顔料の割合が相対的に低くなってP/V比が小さくなり、充分な着色濃度が得られない。
【0189】
硬化性バインダー系には、光硬化性化合物と共に非硬化性のポリマーを用いることができる。
【0190】
ここで、非硬化性ポリマーとしては、エチレン性不飽和結合含有単位のような光硬化性官能基含有単位を必須成分として含まず、上記アルコール性水酸基含有単位、芳香族炭素環含有単位、エステル基含有単位等を含む共重合体を用いることができ、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び、スチレン。
【0191】
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体などを例示することができる。
【0192】
中でも、上記共重合体が、(メタ)アクリル酸等の酸性官能基を備えた構成単位を含む場合には、上記共重合体にアルカリ現像性が付与される点から好ましい。
【0193】
酸性官能基を有する化合物としては、上述のように、酸性多官能アクリレートモノマー又はオリゴマーでも、酸性官能基と共に光硬化性官能基を有するポリマーでも、酸性官能基を有する非硬化性ポリマーでも良いが、中でも光硬化性とアルカリ現像性を共に有する化合物である酸性多官能アクリレートモノマー又はオリゴマーや酸性官能基と共に光硬化性官能基を有するポリマーが好ましく用いられ、特に、酸性官能基と共に光硬化性官能基を有するポリマーが好ましく用いられる。
【0194】
本発明に係る硬化性着色組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、官能基の数が大きい多官能重合性成分を硬化性着色組成物に配合してインクジェット方式で基板上に吹き付けると、吐出性が悪くなる場合があるため、光硬化性化合物としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマー又はオリゴマー、特にモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が100cps以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。この場合、更に4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量併用して配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに充分な膜強度と密着性を付与することができる。
【0195】
この場合の2乃至3官能モノマーの配合割合は、硬化性着色組成物の固形分全量に対して、20〜70重量%の割合で配合することが、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすことなく塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さにおいて、充分な特性が得られる点から好ましい。また、4官能以上の多官能成分は、硬化性着色組成物の固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合する。また、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とすることが、硬化膜の硬さ、耐溶剤性、組成物の硬化速度の点から好ましい。
【0196】
[光重合開始剤]
光硬化性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、高SP値単位含有共重合体及び光硬化性化合物が有する光硬化性官能基の反応形式、すなわちラジカル重合かカチオン重合かアニオン重合かに合わせて、適切な活性種を発生させるものを選択して用いる。光硬化性化合物が光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する場合には、光ラジカル開始剤を用いる。なお、高SP値単位含有共重合体と光硬化性化合物が異なる反応形式である場合には、光硬化性化合物の反応形式に合う開始剤と共に、高SP値単位含有共重合体の反応形式に合う開始剤を組み合わせて用いても良い。
【0197】
光ラジカル開始剤としては、例えば、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物などが用いられる。
【0198】
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0199】
開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、メルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下「メルカプタン系水素供与体」という。)からなる。このようなメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等が挙げることができる。これらのメルカプタン系水素供与体のうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましい。
【0200】
また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下「アミン系水素供与体」という。)からなる。このようなアミン系水素供与体の具体例としては、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、i−プロピル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げることができる。
【0201】
水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、形成された画素が現像時に基板から脱落し難く、また画素強度および感度も高い点で好ましい。また、メルカプト基とアミノ基とを同時に有する水素供与体も好適に使用できる。
【0202】
前記ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインi−プロピルエーテル、ベンゾインi−ブチルエーテル、2−ベンゾイル安息香酸メチル等を挙げることができる。
【0203】
前記アセトフェノン系化合物の具体例としては、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4'−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4'−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4'−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等を挙げることができる。
【0204】
前記ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0205】
前記α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
【0206】
前記多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等を挙げることができる。
【0207】
前記キサントン系化合物の具体例としては、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
【0208】
前記トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2'−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3',4'−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−ブロモ−4'−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0209】
これらのうちでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、及び、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも活性エネルギー線の照射による重合反応を開始し促進するので、本発明において好ましく用いられる。これらは、いずれか一方を単独で、又は、両方を組み合わせて用いることができる。これらは市販品にも存在し、例えば、チバスペシャルティケミカルズ(株)のイルガキュアー(Irgacure)184、369、907等を用いることができ、これらのうちイルガキュアー184は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンである。
【0210】
光ラジカル開始剤を用いる場合には、光硬化性化合物100重量部に対して、光ラジカル開始剤を通常は20〜100重量部の割合で配合する。
【0211】
本発明に用いられる光硬化性バインダー系の組み合わせしては、光硬化性モノマー又はオリゴマーと酸性官能基を有する光硬化性ポリマーと光重合開始剤の組み合わせ、光硬化性モノマー又はオリゴマーと酸性官能基を有するポリマーと光重合開始剤の組み合わせ、酸性官能基を有する光硬化性モノマー又はオリゴマーと酸性官能基を有するポリマーと光重合開始剤の組み合わせ、酸性官能基を有する光硬化性モノマー又はオリゴマーと酸性官能基を有する光硬化性ポリマーと光重合開始剤の組み合わせが好ましく、特に、酸性官能基を有する光硬化性モノマー又はオリゴマーと酸性官能基を有する光硬化性ポリマーと光重合開始剤の組み合わせが好ましい。
【0212】
光硬化性バインダー系の配合割合としては、酸性官能基を有する及び/又は有さない光硬化性モノマー又はオリゴマー:酸性官能基を有する及び/又は有さない光硬化性ポリマー:光重合開始剤が、顔料100重量部に対して、20〜90:40〜160:10〜60となるように配合することが好ましく、更に30〜60:60〜120:20〜50となるように配合することが好ましい。
【0213】
光硬化性バインダー系の酸価は、10〜100mgKOHに調節することが好ましく、更に20〜90mgKOH、特に、30〜80mgKOHに調節することが好ましい。ここで、酸価は前記高SP値単位含有共重合体と同様に求めることができる。
【0214】
光硬化性バインダー系は、顔料100重量部に対して通常は130〜500重量部、好ましくは150〜300重量部の割合で使用する。
【0215】
(2)熱硬化性バインダー系
熱により重合硬化させることができる熱硬化性バインダー系を用いる場合には、熱硬化性樹脂、更に必要に応じて非硬化性ポリマー、その他の成分などを配合して、熱硬化性バインダー系を構成する。熱硬化性樹脂としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。非反応性ポリマーとしては、上記と同様な非反応性ポリマーを用いることができる。
【0216】
[1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物]
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0217】
エポキシ化合物としては、硬化膜に密着性や耐熱性、耐アルカリ性を付与するために通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、粘度調整のために、比較的分子量の低い化合物を併用することが好ましい。
【0218】
通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(15)で表される構成単位及び下記式(16)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0219】
【化21】
Figure 0004508550
【0220】
(R11は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0221】
【化22】
Figure 0004508550
【0222】
(R13は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(15)で表される構成単位は、下記式(17)で表されるモノマーから誘導される。
【0223】
【化23】
Figure 0004508550
【0224】
(R11およびR12は式(15)と同じである。)
式(17)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の硬化性着色組成物から形成される硬化皮膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(17)において、R12は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0225】
上記式(17)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0226】
式(17)において、R11として好ましいのは水素またはメチル基であり、R12として好ましいのは炭素数1〜3のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基が好ましい。上記式(17)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)を挙げることができる。
【0227】
重合体中の式(16)で表される構成単位は、下記式(18)で表されるモノマーから誘導される。
【0228】
【化24】
Figure 0004508550
【0229】
(R13は式(16)と同じである。)
式(16)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する硬化性着色組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(16)または式(18)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(18)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、硬化性着色組成物の粘度が上昇しやすい。
【0230】
式(18)において、R13として好ましいのは水素またはメチル基である。式(18)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0231】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(15)あるいは式(16)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0232】
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(15)の構成単位と式(16)の構成単位の含有量は、式(15)の構成単位を誘導する単量体と式(16)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(15)を誘導する単量体:式(16)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(15)の構成単位の量が過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(16)の構成単位の量が過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0233】
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000〜20,000であることが好ましく、4,000〜15,000であることが特に好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、一方、当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で用いた場合には吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがある。
【0234】
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。
【0235】
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら140℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(15)で表されるモノマー、上記式(6)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、110℃に降温して触媒を追加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
【0236】
本発明に係る熱硬化性バインダー系には、さらに比較的分子量の小さい一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)を添加するのが好ましい。多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。なお、重量平均分子量はテトラヒドロフランを展開液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、HLC−8029、東ソー株式会社製)を用い、ポリスチレン換算により求めた値をいう。
【0237】
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(13)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。硬化性着色組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0238】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、硬化性着色組成物をインクジェットに用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0239】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0240】
より具体的には、商品名エピコート828(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(油化シェルエポキシ社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(油化シェルエポキシ社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(油化シェルエポキシ社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0241】
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0242】
[硬化剤]
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系としては、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
【0243】
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
【0244】
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0245】
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、皮膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
【0246】
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系の組み合わせしては、バインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の組み合わせが好ましい。
【0247】
例えばカラーフィルター用インクジェットインクとして用いられる場合のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の配合割合については、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部、多官能エポキシ化合物を10〜60重量部、及び硬化剤を10〜60重量部の割合で配合することが好ましく、更に、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部、多官能エポキシ化合物を20〜50重量部、及び、硬化剤を20〜50重量部の割合で配合することが好ましく、特に、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部、多官能エポキシ化合物を25〜35重量部、及び、硬化剤を35〜45重量部の割合で配合することが好ましい。
【0248】
充分な架橋密度を得るために、より正確に配合割合を調節する場合には、硬化剤に含有されている酸性官能基と、エポキシ化合物中に含有されている合計のエポキシ基の当量比(酸性官能基の反応当量/エポキシ基の反応当量)が0.2〜2.0の範囲となるように調節するのが好ましく、0.5〜1.2の範囲となるように調節するのが特に好ましい。この当量比(酸性官能基の反応当量/エポキシ基の反応当量)が0.2未満だと反応が遅く、硬化不良となるおそれがあり、一方、この当量比が2.0を超えると、エポキシ基の残存量が少なくなるため、密着性が著しく低下するおそれがある。
【0249】
また、硬化膜に充分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めた硬化性着色組成物の固形分全量に占めるバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の合計割合を50重量%以上とするのが好ましい。ここで、配合割合を特定するための硬化性着色組成物の固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の多官能エポキシ化合物等も固形分に含まれる。
【0250】
熱硬化性バインダー系は、顔料100重量部に対して通常は130〜500重量部、好ましくは150〜300重量部の割合で使用する。
【0251】
(その他の成分)
本発明に係る硬化性着色組成物には、さらに必要に応じて、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)、或いは、その他の成分を配合しても良い。
【0252】
予備調製物である顔料分散液を調製するための有機溶剤は、顔料分散性だけを考慮して選択できるが、硬化性着色組成物を調製するための有機溶剤は、顔料分散性と共に、配合成分の溶解性、分散溶剤との相溶性、塗工の均一性、塗工後の易乾燥性等の諸条件を考慮して選択する必要がある。
【0253】
硬化性着色組成物を調製するための有機溶剤としては、具体的には、上記顔料分散液の有機溶剤に例示したような各有機溶剤であって、特に熱硬化性着色組成物の場合には含水量の少ないものが好適に用いられる。希釈溶剤を用いて、固形分濃度を10〜30質量%に調節することによって、塗工適性に優れた硬化性着色組成物が得られる。
【0254】
また、硬化性着色組成物の全体に占める含水量も希釈溶剤と同様であり、その含水量は20%未満が好ましく、10%未満がさらに好ましく、5%未満が特に好ましく、実質的に0%であることが理想的である。
【0255】
上記の硬化性着色組成物は、上記顔料、上記顔料分散剤、上記高SP値単位含有共重合体、上記硬化性バインダー系等の配合成分を上記有機溶剤に直接混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製しても良い。しかし、全ての配合成分を有機溶剤に直接投入して分散させる方法では、顔料を充分に分散させることができない場合がある。また、全ての配合成分を有機溶剤に直接混合して分散させる方法を行うためには、顔料分散性に優れていて分散溶剤として適していると同時に、高SP値単位含有共重合体の溶解性や易乾燥性にも優れていて希釈溶剤としても適している溶剤を選択する必要があるが、そのような溶剤を選択することは必ずしも容易でない。
【0256】
これに対して、上述した本発明に係る顔料分散液を用いる方法によれば、顔料分散性に優れた硬化性着色組成物を容易に得ることができる。この方法では、顔料と高SP値単位含有共重合体を分散するための溶剤(以下、分散溶剤という)に混合、分散させることにより、本発明に係る顔料分散液を予め調製する。一方、これとは別に硬化性バインダー系や他の成分を、希釈するための溶剤(以下、希釈溶剤という)に混合し溶解又は分散させることにより、クリアレジスト液を調製する。そして、得られた顔料分散液とクリアレジスト液を混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、顔料分散性に優れた硬化性着色組成物が容易に得られる。この方法によれば、分散溶剤及び希釈溶剤を別々に選択できるので、溶剤選択の幅も広がる。
【0257】
顔料分散液を予備調製しない場合には、希釈溶剤に先ず、顔料、顔料分散剤、及び高SP値単位含有共重合体を投入し充分に混合、攪拌して顔料を分散させた後、硬化性バインダー系を含む残りの成分を追加して混合することにより、顔料の分散工程においてその他の配合成分により顔料分散性が阻害されずに済むだけでなく、安定性にも優れる。
【0258】
このようにして得られた硬化性着色組成物が光硬化性着色組成物であって、アルカリ現像性を有する場合には、硬化性着色組成物を支持体に塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、当該塗膜に光線を所定のパターン状に照射することにより塗膜の一部を選択的に硬化させた後、アルカリ液で現像することにより、所定パターンの着色塗膜が得られる。
【0259】
また、得られた硬化性着色組成物が光硬化性着色組成物であってアルカリ現像性を有しない場合、又は熱硬化性着色組成物である場合には、硬化性着色組成物を支持体の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させた後、光照射又は加熱して硬化させることによって、所定パターンの着色膜が得られる。
【0260】
硬化反応に用いる光線としては、紫外線や電離放射線のような放射線又は可視光の中から、光硬化性化合物の反応を引き起こす波長を有するものを適宜選んで用いる。硬化に必要な照射エネルギーは、通常、10〜500mJ/m2程度である。露光工程においては、塗膜の表面にレーザー光を照射するか、又は、マスクを介して光線を照射することによって、塗膜の所定位置を選択的に露光、硬化させることができる。
【0261】
また、加熱硬化は、通常、真空乾燥機、オーブン、ホットプレート、或いはその他の熱を与えられる装置を用いて50〜200℃で乾燥し、その後120〜250℃程度の温度で加熱硬化させる。
【0262】
塗膜中の硬化した部分は、上記本発明に係る高SP値単位含有共重合体及び必要に応じて光硬化性化合物の光硬化反応及び/又は熱硬化性樹脂の熱硬化反応により形成された架橋結合のネットワークによって形成されたマトリックス中に、顔料が均一に分散された構造を有している。
【0263】
この硬化性着色組成物は硬化性に優れ、架橋密度が上がって内部まで均一に良く固まるため、現像時に逆テーパー状になり難く、順テーパー状でエッジがシャープで且つ表面平滑性が良好なパターンが形成される。
【0264】
また、本発明の硬化性着色組成物は、顔料分散剤に由来する電気信頼性に悪影響を与える不純物の発生が少ない上に、硬化時には内部まで良く固まった架橋密度の高いマトリックス内に不純物が閉じ込められて液晶層に溶出しにくくなり、さらに硬化膜の表面の平滑性が高いため、電気信頼性が高い着色硬化膜が得られる。特に、この硬化性着色組成物を用いて液晶パネルの着色層を作製する場合には、表示部の電圧を安定して保持することが可能であり、電気信頼性が高い。
【0265】
また、上記硬化性着色組成物は、高濃度の顔料を微細且つ均一に分散させることができ、着色性が高いため、薄くても着色濃度が大きい着色パターンを形成することができ、色再現域が広い。
【0266】
本発明に係る硬化性着色組成物は、種々の着色塗膜を形成するのに利用できるが、特にカラーフィルターの細部を構成する着色層、すなわち、画素やブラックマトリックスを形成するのに適している。
【0267】
<カラーフィルター>
本発明に係るカラーフィルターは、基板上に少なくとも着色層を備えてなり、当該着色層が前記本発明に係る硬化性着色組成物を硬化させて形成したものである。
【0268】
カラーフィルターは、基板上に少なくとも着色層を備えており、一例としては透明基板に所定のパターンで形成されたブラックマトリックスと、当該ブラックマトリックス上に所定のパターンで形成した画素部と、当該画素部を覆うように形成された保護膜を備えた構成を挙げることができる。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極が形成される場合もある。また、ブラックマトリックス層が形成された領域に合わせて、透明電極板上若しくは画素部上若しくは保護膜上に柱状スペーサーが形成される場合もある。
【0269】
画素部は赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型、「く」の字型に配置されるアイランド型等の所望の形態で配列されてなり、ブラックマトリックスは各着色パターンの間及び画素部形成領域の外側の所定領域に設けられている。画素部は様々な方法で形成でき、上記本発明に係る硬化性着色組成物を用いてフォトリソグラフィーを用いた顔料分散法により形成する方法、上記本発明に係る硬化性着色組成物を用いてインクジェット方式により形成する方法が好ましく用いられる。
【0270】
本発明の硬化性着色組成物には顔料を多量に分散させることができるので、着色濃度が大きく且つ膜厚が薄い画素部を形成することができ、広い色再現域が得られる。更に、上述したように、本発明の硬化性着色組成物を用いてカラーフィルターを作製する場合には、表示部の電圧を安定して保持することが可能であり、電気信頼性が高い。
【0271】
(1)フォトリソグラフィーを用いた顔料分散法により形成する方法
本発明に係る硬化性着色組成物を透明基板の一面側に塗布し、紫外線等の光線を所定のパターン状に照射し、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱してポストベークすることにより画素部を形成できる。画素部は、通常、1〜3μm程度の厚さに形成する。
【0272】
例えば、緑色画素を形成する場合には、顔料として基本的には緑色顔料と黄色顔料を組み合わせて調色され、その場合には、xy色度座標のx値は緑色顔料と黄色顔料の種類と配合割合によって変動し易いが、y値は被膜中の顔料濃度の増加と共に大きくなる傾向があり、y値が増大すれば色再現域が広がる。従って、本発明の硬化性着色組成物に緑色顔料と黄色顔料を組み合わせて配合する場合には顔料の総濃度を高くしてy値を大きくすることができ、その結果、色再現域の大きい緑色画素を形成できる。
【0273】
具体的には、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138又はC.I.ピグメントイエロー83のいずれかを1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合して、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.310, 0.558)、(0.282, 0.573)、(0.279, 0.581)、(0.273, 0.587)又は(0.293, 0.595)等の分光が測定された。また、同様の顔料を組み合わせて、ポストベーク後の最終膜厚が2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.248, 0.654)、(0.286, 0.666)、(0.285, 0.642)、(0.283, 0.693)のような分光が測定された。
【0274】
以上の実測値に基づき、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138又はC.I.ピグメントイエロー83のいずれかを1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のy値が0.54以上、好ましくは0.57以上、さらに好ましくは0.59以上であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、x値が、0.20≦x≦0.33で、且つ、y値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0275】
また、同様の顔料を1種又は2種以上組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が膜厚2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のy値が0.54以上、好ましくは0.64以上、さらに好ましくは0.66以上であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、x値が、0.20≦x≦0.33)で、且つ、y値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0276】
次に、青色画素を形成する場合には、顔料として基本的には青色顔料とバイオレット顔料を組み合わせて調色され、その場合には、xy色度座標のx値は青色顔料とバイオレット顔料の種類と配合割合によって変動し易いが、y値は被膜中の顔料濃度の増加と共に小さくなる傾向があり、y値が減少すれば色再現域が広がる。従って、本発明の硬化性着色組成物に青色顔料とバイオレット顔料を組み合わせて配合する場合には顔料の総濃度を高くしてy値を小さくすることができ、その結果、色再現域の大きい青色画素を形成できる。
【0277】
具体的には、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントブルー15:6又はC.I.ピグメントバイオレット23のいずれか1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合して、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.133, 0.124)、(0.135, 0.121)、(0.146, 0.075)、(0.136, 0.083)又は(0.140, 0.098)等の分光が測定された。また、同様の顔料を組み合わせて、ポストベーク後の最終膜厚が2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.135, 0.086)、(0.141, 0.065)、(0.138, 0.081)等の分光が測定された。
【0278】
以上の実測値に基づき、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントブルー15:6又はC.I.ピグメントバイオレット23のいずれか1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のy値が0.13以下、好ましくは0.10以下、さらに好ましくは0.08以下であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、x値が、0.11≦x≦0.16、且つ、y値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0279】
また、同様の顔料を1種又は2種以上組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が膜厚2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のy値が0.13以下、好ましくは0.09以下、さらに好ましくは0.07以下であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、x値が、0.11≦x≦0.16で、且つ、y値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0280】
次に、赤色画素を形成する場合には、顔料として基本的には赤色顔料と黄色顔料を組み合わせて調色され、その場合には、xy色度座標のx値は被膜中の顔料濃度の増加と共に大きくなるが、y値は赤色顔料と黄色顔料の種類と配合割合によって変動し易い傾向があり、x値が増大すれば色再現域が広がる。従って、本発明の硬化性着色組成物に赤色顔料と黄色顔料を組み合わせて配合する場合には顔料の総濃度を高くしてx値を大きくすることができ、その結果、色再現域の大きい赤色画素を形成できる。
【0281】
具体的には、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139のいずれか1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合して、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.646, 0.342)、(0.643, 0.328)、(0.648, 0.336)又は(0.650, 0.317)等の分光が測定された。また、同様の顔料を組み合わせて、ポストベーク後の最終膜厚が2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下の硬化膜を形成する場合には、C光源により測定されるxy色度座標(x,y)が、例えば(0.684, 0.306)、(0.675, 0.321)又は(0.688, 0.307)等の分光が測定された。
【0282】
以上の実測値に基づき、本発明の硬化性着色組成物に顔料として、少なくともC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139のいずれか1種を配合し、又は必要に応じて組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が2μm以下、好ましくは1.9μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のx値が0.63以上、好ましくは0.64以上、さらに好ましくは0.65以上であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、y値が、0.29≦y≦0.36で、且つ、x値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0283】
また、同様の顔料を1種又は2種以上組み合わせて配合する場合には、これらの顔料のいずれかを少なくとも含有し、ポストベーク後の最終膜厚が膜厚2.7μm以下、好ましくは2.6μm以下であり、C光源で測定したxy色度座標のx値が0.63以上、好ましくは0.66以上、さらに好ましくは0.68以上であるか、或いは、(x,y)座標表示領域で表した時に、y値が、且つ、0.29≦y≦0.36で、且つ、x値が上記範囲となる硬化膜を形成できる。
【0284】
上記したような分光を有するカラーフィルターに最適なバックライトを組み合わせることにより、EBU規格やNTSC規格を満たすディスプレイ(液晶表示装置)を得ることができる。また、RGB三色のLEDを用いたバックライトと組み合わせることにより、NTSC規格の面積比で108%以上を表現するディスプレーを得ることが可能である。
【0285】
ブラックマトリックスは、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法、クロム蒸着等、種々の方法により形成されるが、画素部と同様に、上記本発明に係る硬化性着色組成物を用いる顔料分散法により形成することも可能である。この場合、黒色顔料を含有する硬化性着色組成物を調製し、画素部を形成するのと同様にして選択的露光と現像を行うことで、ブラックマトリックスが得られる。この方法においては、ブラックマトリックスを通常、0.8〜1.5μm程度の厚さに形成する。
【0286】
保護膜は、光又は熱硬化性を有する透明樹脂組成物の塗工液を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し反応硬化させることによって形成できる。保護膜は、例えば、2μm程度の厚さに形成する。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。保護膜用塗工液としては、本発明に係る硬化性着色組成物を調製するために用いられる上記クリアレジスト液を用いても良い。上記クリアレジスト液の塗膜は、フォトマスクを介して又は介さずに紫外線を照射することにより露光され、アルカリ現像後、クリーンオーブン等でポストベークされて保護膜となる。
【0287】
保護膜上の透明電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0288】
透明電極上の柱状スペーサーも、上記クリアレジスト液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し、フォトマスクを介する紫外線照射により露光し、アルカリ現像後、クリーンオーブン等でポストベークすることにより形成できる。柱状スペーサーは、例えば、5μm程度の高さに形成される。スピンコーターの回転数も保護膜を形成する場合と同様に、500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。
【0289】
(2)インクジェット方式により形成する方法
本発明に係る硬化性着色組成物を用いてインクジェット方式によりカラーフィルターを製造する方法の一例を、以下に説明する。先ず、図3(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板13を準備する。この透明基板としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
【0290】
次に、図3(B)に示すように、透明基板13の一面側の画素部間の境界となる領域にブラックマトリックス層14を形成する。ブラックマトリックス層14は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
【0291】
また、ブラックマトリックス層14としては、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、光硬化性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製ブラックマトリックス層の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。
このような樹脂製ブラックマトリックス層のパターニングの方法としては、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0292】
次に、図3(C)に示すように、ブラックマトリックス層のパターンの幅方向中央に、ブラックマトリックス層よりも幅の狭い撥インク性凸部15を必要に応じて形成する。このような撥インク性凸部の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、ブラックマトリックス層に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性樹脂を1種または2種以上混合した組成物や、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を挙げることができる。本発明においては、取扱性および硬化が容易である点等の理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、この撥インク性凸部は、撥インク性が強いほど好ましいので、その表面をシリコーン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
【0293】
撥インク性凸部のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性凸部の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素部の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0294】
次に、R、G又はBの顔料が配合された本発明に係る硬化性着色組成物を用いた各色の画素部形成用インクを用意する。そして、図3(D)に示すように、透明基板13の表面に、ブラックマトリックス層14のパターンにより画成された各色の画素部形成領域16R、16G、16Bに、対応する色の画素部形成用インクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。インク層は赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されるように形成される。このインクの吹き付け工程において、画素部形成用インクは、ヘッド17の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の画素部形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素部形成用インクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。さらに、本発明に係る硬化性着色組成物を用いたインクの安定性は上述のように高いので、一旦使用に供して残ったインクの残液は、短時間の作業ではまだ劣化していない。従って、そのような残液を回収したり或いは新鮮なインクを注ぎ足すなどして再使用することが可能であり、経済的である。
【0295】
次に、図3(E)に示すように、各色のインク層18R、18G、18Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させる。インク層を加熱すると、高SP値単位含有共重合体及び熱硬化性化合物が有するエポキシ基と硬化剤が有する酸性官能基が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。画素部の厚さは、光学特性等を考慮して、通常は0.1〜2.0μm程度とする。
【0296】
次に、図3(F)に示すように、透明基板の画素部19R、19G、19Bを形成した側に、保護膜20を形成する。保護膜の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。保護膜は、例えば、公知の透明光硬化性樹脂、二液硬化型透明樹脂等の中から、透明保護膜として要求される光透過率等を有するものを用いて保護膜用塗工液を調製し、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工することにより形成できる。
【0297】
保護膜上の透明電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0298】
透明電極上に柱状スペーサーを形成する場合には、上記顔料分散法を用いた場合と同様に形成することができる。
【0299】
このようにして、本発明に係る硬化性着色組成物を用いてインクジェット方式によりカラーフィルターが製造される。
【0300】
更に、特に微細パターンの硬化樹脂層を正確に形成することができる第二の方法として、カラーフィルターの基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成し、当該インク層形成領域に、本発明に係る硬化性着色組成物をインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を形成し、当該インク層を硬化させる方法がある。この方法は、特開2001−350012号公報の段落番号100〜段落番号180と同様に行うことができる。
【0301】
なお、本発明に係るカラーフィルターについて、液晶表示装置用カラーフィルターを代表例として説明したが、本発明は、他方式の表示装置用のカラーフィルター、例えばEL(エレクトロルミネッセンス)デバイスのカラーフィルターにも適用可能である。ELデバイスは、RGB各色のEL素子をマトリックス状に配列し、各色の発光を制御すればフルカラー表示可能であるが、EL素子の光取り出し側(鑑賞者側)にカラーフィルターを配置することにより、発色光を変調させて表示性能を向上させることができ、またカラーフィルターがEL素子を外部光から保護して長寿命化に貢献する等の効果も得られる。
【0302】
ELデバイスにカラーフィルターを組み込む方式には幾つかある。例えば、図4a及び図4bに示すように白色発光するEL素子21Wの光取り出し側にカラーフィルター22を配置する方式がある。この方式を開示するものとしては例えば、特開平7‐220871号公報が挙げられる。図4aは、RGB各色のEL素子(21R、21G、21B)を積層して白色EL素子21Wを構成しており、図4bはRGB各色の発色材料を混合して白色EL素子21Wを構成している。
【0303】
また、図4cは、RGB各色のEL素子(21R、21G、21B)をマトリックス状に配列し、その光取り出し側にRGB各色(22R、22G、22B)をマトリックス状に配列したカラーフィルター22をEL素子の色配列と位置合わせして配置する方式である。RGB各色のEL素子を用いる場合でも、取り出した光をカラーフィルターに通すことで色純度を高めて表示品質を高めることができる。
【0304】
また、図4dは、青色を主要な発光成分とするEL素子21Bの光取り出し側に、発光色を透過させるか又は発光色から青色成分を取り出す部分(23B)と、青色を緑色に変換させる部分(23G)と、青色を赤色に変換させる部分(23R)とがマトリックス状に配列した色変換層23を配置し、当該色変換層の光取り出し側に、RGB各色をマトリックス状に配列したカラーフィルター22を色変換層の色配列と位置合わせして配置する方式である。EL素子のなかでも有機EL素子は赤色発光が難しいことから、このような方式は有意義である。この方式を開示するものとしては例えば、特開平10‐255983号公報が挙げられる。
【0305】
本発明のカラーフィルターは、このようなELデバイスのカラーフィルターとしても利用可能である。ELデバイス用カラーフィルターは、基本的には上述した液晶パネル用カラーフィルターと同様の構成とすることができるが、EL素子の発光特性に合わせて、各色の画素部に配合される顔料の種類、顔料の組み合わせ、配合量等を調節して着色濃度を最適化する。
【0306】
【実施例】
(モノマー合成例1)
後述の製造例で用いるモノマー1を合成した。ピリジンプロパノール13.7重量部、トリエチルアミン15.2重量部、N,N−ジメチルアセトアミド50重量部を三口フラスコに導入し、氷浴中、攪拌しながらメタクリル酸クロリド12.5重量部を30分かけて滴下した。一晩室温で放置した後、酢酸エチル100重量部を加え、分液ロート中で水100重量部、次いで飽和食塩水50重量部で洗浄した。溶媒を減圧留去し、黄色液状組成物を得た。それを減圧蒸留〔67Pa(0.5mmHg)〕により精製することで無色油状生成物(モノマー1)10.3重量部を得た。収率は50%であった。
【0307】
(モノマー合成例2)
後述の製造例で用いるモノマー10を合成した。前記モノマー1の合成において、前記3−ピリジンプロパノール13.7重量部を、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール12.5重量部に変更した以外は、モノマー1の合成と同様にして、無色油状生成物(モノマー2)7.7重量部を得た。収率は40%であった。
【0308】
(製造例1)高SP値単位含有共重合体の合成
下記モノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、スリーワンモーターにて攪拌し、完全に溶解させた。
<モノマー溶液1>
・N−フェニルマレイミド:14重量部
・ベンジルメタクリレート(BzMA):43重量部
・グリシジルメタクリレート(GMA):43重量部
・2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬(株)製):3重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):80重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG):50重量部
窒素をフラスコ内に流しながら加熱して、フラスコ内を80℃まで昇温し、1時間撹拌後、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬(株)製)5重量部をフラスコ内の溶液中に添加し、90℃で2時間保持し、さらに100℃で30分反応させ、目的とする共重合体溶液(固形分濃度32.5%)を得た。
【0309】
得られた共重合体の酸価は3mgKOH/g以下、また、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは7500であった。
【0310】
なお、得られた共重合体溶液はDMDGで固形分濃度を30%に調製した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0311】
(製造例2〜17、比較製造例1、2)
反応器に初期に仕込む原料を第1表に示すようにする以外は製造例1と同様にして共重合体を合成した。得られた共重合体の酸価、Mwも第1表に示す。なお、第1表の中のM−100は脂環式エポキシ基を有するメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製CYCLOMER M−100)示す。
【0312】
なお、製造例4は、最初の1時間の加熱温度を90℃に、製造例6は最初の1時間の加熱温度を75℃に、製造例13は最初に添加する2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の量を6重量部にし90℃加熱に、製造例14は最初に添加する2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の量を2重量部にし75℃加熱に変更する以外は同様にして合成した。
【0313】
(比較製造例3)
下記モノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、スリーワンモーターにて攪拌し、完全に溶解させた。
<モノマー溶液1>
・ベンジルメタクリレート(BzMA):54重量部
・アクリル酸(AA):22重量部
・2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬(株)製):3重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):80重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG):50重量部
窒素をフラスコ内に流しながら加熱して、フラスコ内を80℃まで昇温し、1時間撹拌後、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬(株)製)5重量部をフラスコ内の溶液中に添加し、90℃で2時間保持し、さらに100℃で30分反応させた。
【0314】
得られた溶液に下記モノマー溶液を滴下し、90℃で7時間撹拌し、共重合体溶液を得た(固形分31.9質量%)。
<モノマー溶液2>
・グリシジルメタクリレート(GMA):24重量部
・トリエチルアミン:2重量部
・ハイドロキノン:0.3重量部
・PGMEA:60重量部
得られた共重合体の酸価は87mgKOH/g、水酸基価は95mgKOH/gであった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは14300であった。なお、得られた共重合体溶液はPGMEAで固形分濃度を30質量%に調整した後、顔料分散液等の調整に用いた。
【0315】
【表1】
Figure 0004508550
【0316】
(製造例18:顔料分散剤)
(ポリエステル1の合成)
n−デカノール10.3重量部、カプロラクトン92.8重量部、及びジブチルスズラウレート0.003重量部を保護雰囲気下で均質化し、1時間以内で160℃に加熱した。99%の固形含量が得られると直ちに付加反応を終えた。この温度においてこの固形含量は10時間で達成された。室温において無色の固形である生成物(ポリエステル1)が得られ、融点は60℃であった。重量平均分子量は1800であった。
【0317】
デスモジュールIL(バイエル社製)(固形分51%、溶剤:酢酸ブチル)15.5重量部を保護雰囲気下で、キシレン15重量部に溶かしたポリエステル1を13.3重量部と均質化し、ジブチルスズラウレート0.003重量部を加えて反応混合物を50℃に加熱した。ポリエステル1の付加反応の後(NCO基25%定量で確認)、反応混合物をキシレン20重量部で希釈し、1,12−ジアミノドデカン0.7重量部を加えた。発熱反応の後、キシレン14重量部とN−メチルピロリドン20重量部に溶かしたN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1.5重量部を加えた。70℃で1時間撹拌後、冷却した。反応液をヘキサンに添加して再沈精製を行った。得られた固形物20重量部を1−メトキシ−プロピルアセテート/酢酸ブチル=6/1混合溶液26重量部に溶かし、製造例18の顔料分散剤(固形分30%)を得た。重量平均分子量は9600であった。
【0318】
(試験例1:市販品顔料分散剤)
熱分解GCMS、FT−IR及び酸価、アミン価測定を用いた分析試験により、Disperbyk−161(ビックケミージャパン(株)製)が、本発明に係る上記単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステルを含みポリエーテル及び酸性官能基を有しない重合体からなる顔料分散剤であることを確認した。また、ガラス転移温度(Tg)測定も行った。なお、熱分解GCMS及びFT−IR、ガラス転移温度(Tg)の測定は、下記測定条件により行った。
【0319】
<熱分解GCMS>
(手順及び測定条件)
(1)サンプルをガラス板に10mg塗り、ドライヤー、オーブン等で乾燥させる。
(2)乾燥させた皮膜をサンプリングメスで削り取り、試料カップに0.3mg〜0.5mg程度削り取ったサンプルを入れる。
(3)試料カップを熱分解装置にセットし、測定を行う。
○測定装置(アジレントテクノロジー社)
・GC:6890
・MS:5973N
○熱分解装置(フロンティア・ラボ社)
・ダブルショットパイロライザー(PY2020D)
○カラム(スペルコ社)
・PTE−5(膜厚0.25μm、内径0.25mm×長さ30m)
○GC−MS測定条件
・インジェクション温度:320℃
・キャリアガス:ヘリウム 1.7ml/min 定流量モード
○MS測定条件
・インターフェース温度:250℃
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:EI イオン化電圧:70eV
・走査質量範囲:33〜700
○熱分解炉測定条件
・熱分解温度:550℃
・インターフェース温度:320℃
(結果)
図5にトータルイオンクロマトグラムを示し、拡大チャートと各ピークのマススペクトルを以下の図に示す。図6に示されるように11.186分にポリカプロラクトン由来のピーク(1)が検出された。図7に示されるように13.223分に1−デカノール由来のピーク(2)が検出された。図8に示されるように14.429分にトルエンジイソシアネート由来のピーク(3)が検出された。
図9に示されるように26.360分にポリカプロラクトン由来のピーク(4)が検出された。ピーク(3)は、本発明に係るイソシアネート類が重合した主鎖構造の分解ピークと考えられる。ピーク(1)(4)はポリエステル鎖を含むことを示す。また、ポリエーテル鎖は検出されなかった。
【0320】
<FT−IR>
(手順及び測定条件)
(1)サンプル適量をIRE(KRS−5)の板に塗り、ドライヤー等で乾燥させ、皮膜にする。
(2)(1)の測定サンプルを装置にセットして測定する。
○測定装置:Spectrum One(パーキンエルマー社)
○スキャン範囲:4000cm-1〜400cm-1 スキャン回数4回
○分光器分解能:8.00cm-1
(結果)
図10に示されるように、1730cm-1にポリエステル由来のピークが検出され、1710cm-1及び1410cm-1にイソシアヌレート由来のピークが検出された。
【0321】
<酸価>
酸価はJIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めた。その結果、酸価は3mgKOH/g以下であり、酸性官能基を有しないことが明らかになった。
【0322】
<アミン価>
アミン価は0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した。その結果、固形分1gのアミン価は、36.7mgKOH/gであった。
【0323】
<ガラス転移温度(Tg)>
熱化学反応熱量計(SII製)を用いて、温度範囲25〜280℃、昇温速度7.5℃/minの条件下でDSC法により測定した。その結果、Tgは、260℃であった。
【0324】
以上の分析結果より、Disperbyk−161(ビックケミージャパン(株)製)が本発明に係る上記単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤であることが確認できた。
【0325】
(試験例2:市販品顔料分散剤)
熱分解GCMSを用いた分析試験により、Disperbyk−182(ビックケミージャパン(株)製)が、本発明に係る上記単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤ではないことを確認した。なお、熱分解GCMS、FT−IR、Tgの測定は、試験例1と同様に行った。
【0326】
<熱分解GCMS>
図11にトータルイオンクロマトグラムを示し、拡大チャートと各ピークのマススペクトルを以下の図に示す。図12に示されるように14.501分にトルエンジイソシアネート由来のピークが検出された。図13に示されるように34.601分にポリエチレングリコール由来のピークが検出されポリエーテル鎖を含有することが明らかになった。
【0327】
<FT−IR>
図14に示されるように、1710cm-1及び1410cm-1に、イソシアヌレート由来のピークが検出された。
【0328】
以上より、Disperbyk−182(ビックケミージャパン(株)製)は、本発明に用いられる顔料分散剤ではないことが確認された。また、Tgは、140℃であった。固形分43質量%のサンプルをPGMEAで希釈し固形分30質量%に調製した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0329】
(比較製造例4:顔料分散剤)
ラウリン酸(17.58g、0.88モル)とカプロラクトン(50.0g、0.44モル)を、チタン(IV)ブチレート触媒(0.14g)の存在下において170℃で窒素雰囲気下で6時間攪拌した。リシノール酸(78.45g、0.26モル)とチタン(IV)ブチレート(0.14g)を混合物に添加し、170℃で窒素雰囲気下で16時間攪拌して、51.1mgKOH/gの酸価を有する茶色の液体を得た。MW20,000のポリエチレンイミン(11.25g)を液体に添加し、120℃で窒素雰囲気下で6時間攪拌した。比較製造例4の顔料分散剤が茶色の液体として単離された。得られたサンプルをPGMEAで希釈し固形分30質量%に調製した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0330】
(実施例1〜34、比較例1〜6:顔料分散液)
製造例1〜17及び比較製造例1〜3の各共重合体にC.I.ピグメントイエロー138、製造例18で得られた顔料分散剤又はDisperbyk−161を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・C.I.ピグメントイエロー138:30重量部
・製造例18の顔料分散剤又はDisperbyk−161(ビックケミージャパン(株)製)(固形分30%):30重量部
・製造例1〜17又は比較製造例1〜3いずれかの共重合体(固形分30%):40重量部
PGMEA:200重量部
<顔料分散性の評価>
得られた顔料分散液について以下の評価を行った。製造例18の顔料分散剤を用いた実施例1〜17、及び比較例1〜3の評価結果を第2表、Disperbyk−161の顔料分散剤を用いた実施例18〜34、及び比較例4〜6の評価結果を第3表に示す。
【0331】
(a)粒度分布変化
顔料分散液0.1重量部をPGMEA9.9重量部で希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて、分散初期及び25℃保存で2週間後の粒度分布を測定した。評価は50%平均粒子径で行った。
【0332】
(b)粘度変化
回転振動型粘度計(ビスコメイトVM−1G、山一電機社製)を用いて分散初期、及び25℃保存で2週間後の粘度を測定し、増粘の程度を評価した。
【0333】
初期の粒径及び粘度、2週間後の粒径変化及び粘度変化により、下記のように分散状態を総合的に評価した。
【0334】
◎:分散状態が極めて良好である
○:分散状態が良好である。
【0335】
△:分散状態が若干不安定である。
【0336】
×:分散状態が不安定である。
【0337】
【表2】
Figure 0004508550
【0338】
【表3】
Figure 0004508550
【0339】
(実施例35〜36、比較例7、8:顔料分散液)
製造例5の各共重合体にC.I.ピグメントイエロー138、製造例18で得られた顔料分散剤又はDisperbyk−161、及びDisperbyk−182、比較製造例4で得られた顔料分散剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・C.I.ピグメントイエロー138:30重量部
・上記各顔料分散剤(固形分30%):30重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
得られた各顔料分散液について実施例1の分散性評価と同様にして粒度分布変化(50%平均粒子径)と粘度変化を測定した。結果を第4表に示す。
【0340】
【表4】
Figure 0004508550
【0341】
(実施例37〜60:顔料分散液)
製造例5又は11の共重合体に、第5表に示すRGBの各顔料と、製造例18で得られた顔料分散剤を混合し、実施例1と同様にして顔料分散液を調製した。
得られた顔料分散液について実施例1の顔料分散性の評価と同様にして粒度分布変化(50%平均粒子径)と粘度変化を測定した。評価結果を第5表に示す。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):30重量部
・製造例5又は11の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
【0342】
【表5】
Figure 0004508550
【0343】
(実施例61:光硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
製造例5の共重合体にC.I.ピグメントグリーン36(PG36)又はC.I.ピグメントイエロー138(PY138)を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36顔料分散液(61)及びPY138顔料分散液(61)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):30重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
(2)光硬化性着色組成物の調製
得られたPG36顔料分散液(61)及びPY138顔料分散液(61)と他の材料の下記分量を室温で攪拌、混合し、光硬化性着色組成物(61)を得た。
【0344】
<光硬化性着色組成物の組成>
・上記PG36顔料分散液(61):58.2重量部
・上記PY138顔料分散液(61):41.8重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):13.4重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製):6.25重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:3.92重量部
・PGMEA:40重量部
(実施例62〜63、比較例9〜11:光硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
製造例5の共重合体に代えて第6表に示す製造例及び比較製造例の共重合体を同量用い、製造例18の顔料分散剤に代えて第6表に示す顔料分散剤を同量用いた以外は実施例61と同様にしてPG36顔料分散液(62〜63、C9〜C11)及びPY138顔料分散液(62〜63、C9〜C11)をそれぞれ調製した。
【0345】
(2)光硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(61)を同量のPG36顔料分散液(62〜63、C9〜C11)に代え、PY138顔料分散液(61)を同量のPY138顔料分散液(62〜63、C9〜C11)に代えた以外は実施例61と同様にして光硬化性着色組成物(62〜63、C9〜C11)を得た。
【0346】
(実施例64:光硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
組成を以下のように変更した以外は実施例61と同様にして、PG36顔料分散液(64)及びPY138顔料分散液(64)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):40重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):30重量部
・PGMEA:200重量部
(2)光硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(61)を同量のPG36顔料分散液(64)に代え、PY138顔料分散液(61)を同量のPY138顔料分散液(64)に代えた以外は実施例61と同様にして光硬化性着色組成物(64)を得た。
【0347】
(比較例12:光硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
組成を以下のように変更した以外は実施例61と同様にして、PG36顔料分散液(C12)及びPY138顔料分散液(C12)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):70重量部
・PGMEA:200重量部
(2)光硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(61)を同量のPG36顔料分散液(C12)に代え、PY138顔料分散液(61)を同量のPY138顔料分散液(C12)に代えた以外は実施例62と同様にして光硬化性着色組成物(C12)を得た。
【0348】
(実施例61〜64、比較例9〜12の評価)
実施例61〜64、比較例9〜12で得られた光硬化性着色組成物を用いた硬化塗膜の物性を評価した。
【0349】
(1)硬化塗膜の作製
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に上記光硬化性着色組成物をスピンコーターで塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って膜厚2.4μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温まで冷却した後、超高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を60mJ/cm2の露光量で照射した。但し、感度評価を行う場合には、60〜300mJ/cm2の範囲で露光量を変動させた。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間、スピン現像機で現像した後、純水で1分間洗浄し、乾燥した。その後、基板を230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上に画素パターンが配列された画素アレイを作製した。得られた画素の最終膜厚は1.9μmであった。
【0350】
(2)液晶セルの作製
図17に示すように、ガラス基板52,55の表面にITO(酸化インジウムスズ)電極53,56を設けた1組のITO基板51,54を準備し、一方のITO基板51のITO電極53上に、液晶に対して最近傍の位置に硬化性着色組成物を用いて着色樹脂層57を形成し、その後、ITO電極間距離が5μmとなるように他方のITO基板54を対向させ、周辺部をシール部材59により封止し、両ITO基板間に液晶(メルクジャパン社製MLC−6846−000)58を注入し測定用液晶セル50を作製する。この着色樹脂層57は以下のように形成した。すなわち、上記硬化性着色組成物をスピンコーターで塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って膜厚2.4μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温まで冷却した後、超高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を60mJ/cm2の露光量で照射した。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間、スピン現像機で現像した後、純水で1分間洗浄し、乾燥した。その後、基板を230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上に画素パターンが配列された画素アレイを作製した。得られた画素の最終膜厚は1.9μmであった。また、使用する液晶58は、上記の測定用液晶セル50で下記の電圧保持率測定条件で測定した電圧保持率が98%以上である液晶とした。
【0351】
(3)評価方法
<電気信頼性>
測定用液晶セル50をオーブン中105℃、2.5時間放置後室温に戻し、電圧保持率測定システム(VHR−1A型(株)東陽テクニカ製)を用いて下記の条件で電圧保持率を測定した。
・ITO電極間距離 :5μm
・印加電圧パルス振幅 :5V
・印加電圧パルス周波数:60Hz
印加電圧パルス幅 :16.67msec
下記基準で評価した。
・◎:電圧保持率が90%以上
・○:電圧保持率が80%以上
・×:電圧保持率が80%未満。
【0352】
<残渣>
未露光部の基板表面を、エタノールを含ませたレンズクリーナー(商品名トレシー、東レ(株)製)で10回拭き取り、レンズクリーナーの着色の有無を調べ、下記基準で評価した。
・◎:レンズクリーナーが全く着色しない。
・○:レンズクリーナーがかすかに着色する。
・×:レンズクリーナーが着色する。
【0353】
<感度>
20μmのライン&スペースが密着する最小露光量を測定し、下記基準で評価した。
・○:100mJ/cm2以下で20μmのラインが密着する。
・×:100mJ/cm2以下で20μmのラインが密着しない。
【0354】
<密着性>
1μm〜50μmのライン&スペースで、現像工程後に流されずに密着している最小線幅を測定し、下記基準で評価した。
・◎:10μm以下のラインが密着する。
・○:10μmより大きく20μm以下のラインが密着する。
・×:20μm以下のラインが密着しない。
【0355】
<現像性>
未露光部が完全に溶解した時間を測定し、下記基準で評価した。
・◎:10秒〜30秒で完全に溶解する。
・○:60秒以内で完全に溶解する。
・×:60秒以内で完全に溶解しない。
【0356】
<表面粗度(Ra)>
ポストベーク後の基板表面を、タカノ(株)製走査型プローブ顕微鏡(AS−7B)にて、JIS B0601−1994に規定される表面粗度(Ra)(塗膜表面の平滑性)を測定し、下記の基準に従って評価した。
・◎:50Å以下(極めて平滑である)
・○:100Å以下(平滑である)
・×:100Åより大(表面に荒れが見られる)
<断面形状>
得られた画素の断面形状を下記の基準に従って評価した。
・○:図15のように上底よりも下底が長い順テーパー形状
・×:図16のように上底よりも下底が短い逆テーパー形状。
【0357】
(4)硬化塗膜の評価結果
電気信頼性、残渣、感度、密着性、現像性、表面粗度(Ra)、及び断面形状の評価結果を第6表に示す。
【0358】
【表6】
Figure 0004508550
【0359】
(実施例65:熱硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
製造例5の共重合体にC.I.ピグメントグリーン36(PG36)又はC.I.ピグメントイエロー138(PY138)を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36顔料分散液(65)及びPY138顔料分散液(65)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):30重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
(2)熱硬化性着色組成物の調製
得られたPG36顔料分散液(65)及びPY138顔料分散液(65)と共に他の材料の下記分量を室温で攪拌、混合し、熱硬化性着色組成物(65)を得た。
【0360】
<熱硬化性着色組成物の組成>
・上記PG36顔料分散液(65):58.2重量部
・上記PY138顔料分散液(65):41.8重量部
・比較製造例1の共重合体(固形分30%):14重量部
・ノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル社製エピコート154):2.8重量部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:1.4重量部
・硬化剤(トリメリット酸):2.8重量部
・3−エトキシプロピオン酸エチル:20重量部
(実施例66〜67、比較例13〜15)
(1)顔料分散液の調製
製造例5の共重合体に代えて第7表に示す製造例及び比較製造例の共重合体を同量用い、製造例18の顔料分散剤に代えて第7表に示す顔料分散剤を同量用いた以外は実施例65と同様にしてPG36顔料分散液(66〜67、C13〜C15)及びPY138顔料分散液(66〜67、C13〜C15)をそれぞれ調製した。
【0361】
(2)熱硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(65)を同量のPG36顔料分散液(66〜67、C13〜C15)に代え、PY138顔料分散液(65)を同量のPY138顔料分散液(66〜67、C13〜C15)に代えた以外は実施例65と同様にして熱硬化性着色組成物(66〜67、C13〜C15)を得た。
【0362】
(実施例68:熱硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
組成を以下のように変更した以外は実施例65と同様にして、PG36顔料分散液(68)及びPY138顔料分散液(68)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):40重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):30重量部
・PGMEA:200重量部
(2)熱硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(65)を同量のPG36顔料分散液(68)に代え、PY138顔料分散液(65)を同量のPY138顔料分散液(68)に代えた以外は実施例65と同様にして熱硬化性着色組成物(68)を得た。
【0363】
(比較例16:熱硬化性着色組成物)
(1)顔料分散液の調製
組成を以下のように変更した以外は実施例65と同様にして、PG36顔料分散液(C16)及びPY138顔料分散液(C16)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・各顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):70重量部
・PGMEA:200重量部
(2)熱硬化性着色組成物の調製
PG36顔料分散液(65)を同量のPG36顔料分散液(C16)に代え、PY138顔料分散液(65)を同量のPY138顔料分散液(C16)に代えた以外は実施例65と同様にして熱硬化性着色組成物(C16)を得た。
【0364】
(実施例65〜68、比較例13〜16の評価)
実施例65〜68、比較例13〜16で得られた熱硬化性着色組成物を用いて電気信頼性を評価した。なお、電気信頼性の評価方法は、前記実施例61〜64、比較例9〜12の評価と同様に行った。得られた電気信頼性の評価結果を第7表に示す。
【0365】
(1)液晶セルの作製
着色樹脂層57を以下のように形成した以外は、前記実施例61〜64、比較例9〜12の評価と同様に電気信頼性の評価を行った。着色樹脂層は、上記熱硬化性着色組成物をスピンコーターで塗布し、十分に乾燥した後、ITO電極53のパターン以外の部分をアセトンを含ませたレンズクリーナー(商品名:トレシー(東レ(株)製))で拭き取り、クリーンオーブン内で230℃で1時間、最終硬化を行うことによって厚さ1.9μmの硬化塗膜を得た。
【0366】
【表7】
Figure 0004508550
【0367】
(実施例69:カラーフィルター;フォトリソグラフィーを用いた顔料分散法)
以下の手順でフォトリソグラフィーを用いた顔料分散法によりカラーフィルターを作製した。
(1)ブラックマトリックスの形成
先ず、下記分量の各成分に直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、黒色顔料分散液(69)を調製した。
【0368】
<黒色顔料分散液の組成>
・チタンブラック顔料:30重量部
・製造例18の顔料分散剤(固形分30%):30重量部
・製造例5の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性遮光用組成物(69)を得た。
【0369】
<光硬化性遮光用組成物の組成>
・上記の黒色顔料分散液(69):72重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):12重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:3.87重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:3.31重量部
・PGMEA:120重量部
上記光硬化性遮光用組成物(69)を、厚み0.7mmで55cm×65cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上にスピンコーターで塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って膜厚1.2μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温まで冷却した後、超高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を50mJ/cm2の露光量で照射した。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間、揺動型現像機で現像し、純水で1分間洗浄し、乾燥した。その後、基板を230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上の遮光部を形成すべき領域にブラックマトリックス(69)を形成した。
【0370】
(2)赤色画素の作製
製造例5の共重合体にC.I.ピグメントレッド254(PR254)又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)、顔料分散剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254顔料分散液(69)及びPY139顔料分散液(69)をそれぞれ調製した。
<顔料分散液の組成>
・PR254又はPY139:30重量部
・Disperbyk−161(ビックケミージャパン(株)製):30重量部・製造例5の共重合体(固形分30%):40重量部
・PGMEA:200重量部
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性赤色組成物(69)を得た。
【0371】
<光硬化性赤色組成物の組成>
・上記のPR254顔料分散液(69):83.4重量部
・上記のPY139顔料分散液(69):16.6重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):35.9重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製):7.68重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:4.32重量部
・PGMEA:40重量部
上記光硬化性赤色組成物(69)を、ブラックマトリックス(69)を形成した基板上にスピンコーターで塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温まで冷却した後、超高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を50mJ/cm2の露光量で照射した。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間、揺動型現像機で現像し、純水で1分間洗浄し、乾燥した。その後、基板を230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上に最終膜厚が1.98μmの赤色画素パターン(69)が配列された画素アレイを作製した。
【0372】
(3)青色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PB15:6顔料分散液(69)を調製した。
【0373】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性青色組成物(69)を得た。
【0374】
<光硬化性青色組成物の組成>
・上記のPB15:6顔料分散液(69):100.0重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):42.6重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)8.34重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:4.62重量部
・PGMEA:40重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性青色組成物(69)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が1.88μmの青色画素パターン(69)が配列された画素アレイを作製した。
【0375】
(4)緑色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントグリーン36(PG36)又はC.I.ピグメントイエロー138(PY138)を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PG36顔料分散液(69)及びPY138顔料分散液(69)をそれぞれ調製した。
【0376】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性緑色組成物(69)を得た。
【0377】
<光硬化性緑色組成物の組成>
・上記のPG36顔料分散液(69):58.2重量部
・上記のPY138顔料分散液(69):41.8重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):17.6重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)5.16重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:3.86重量部
・PGMEA:40重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性緑色組成物(69)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が1.99μmの緑色画素パターン(69)が配列された画素アレイを作製した。
【0378】
(実施例70:カラーフィルター;フォトリソグラフィーを用いた顔料分散法)
(1)ブラックマトリックスの形成
ブラックマトリックス(70)は、実施例69のブラックマトリックス(69)と同様に形成した。
【0379】
(2)赤色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254(PR254)又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えて、C.I.ピグメントレッド254(PR254)又はC.I.ピグメントレッド177(PR177)を用い、分散剤としてDisperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PR254顔料分散液(70)及びPR177顔料分散液(70)を調製した。
【0380】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性赤色組成物(70)を得た。
【0381】
<光硬化性赤色組成物の組成>
・上記のPR254顔料分散液(70):91.8重量部
・上記のPR177顔料分散液(70):8.2重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):15.3重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製):3.68重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:2.31重量部
・PGMEA:20重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性赤色組成物(70)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が1.97μmの赤色画素パターン(70)が配列された画素アレイを作製した。
【0382】
(3)青色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)を用い、分散剤としてDisperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PB15:6顔料分散液(70)及びPV23顔料分散液(70)を調製した。
【0383】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性青色組成物(70)を得た。
【0384】
<光硬化性青色組成物の組成>
・上記のPB15:6顔料分散液(70):93.6重量部
・上記のPV23顔料分散液(70):6.4重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):30.9重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)6.98重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:4.26重量部
・PGMEA:40重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性青色組成物(70)を用いたこと以外は赤色画素パターン(70)と同様にして、最終膜厚が1.96μmの青色画素パターン(70)が配列された画素アレイを作製した。
【0385】
(4)緑色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントグリーン36(PG36)又はC.I.ピグメントグリーン7(PG7)又はC.I.ピグメントイエロー138(PY138)又はC.I.ピグメントイエロー150(PY150)を用い、分散剤としてDisperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PG36顔料分散液(70)、PG7顔料分散液(70)、PY138顔料分散液(70)及びPY150顔料分散液(70)をそれぞれ調製した。
【0386】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性緑色組成物(70)を得た。
【0387】
<光硬化性緑色組成物の組成>
・上記のPG36顔料分散液(70):27.5重量部
・上記のPG7顔料分散液(70):19.5重量部
・上記のPY138顔料分散液(70):35.2重量部
・上記のPY150顔料分散液(70):17.8重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):13.1重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)3.25重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:2.12重量部
・PGMEA:10重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性緑色組成物(70)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が1.97μmの緑色画素パターン(70)が配列された画素アレイを作製した。
【0388】
(実施例71:カラーフィルター;フォトリソグラフィーを用いた顔料分散法)
(1)ブラックマトリックスの形成
ブラックマトリックス(71)は、実施例69のブラックマトリックス(69)と同様に形成した。
【0389】
(2)赤色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254(PR254)又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えて、C.I.ピグメントレッド177(PR177)を用い、Disperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PR177顔料分散液(71)を調製した。
【0390】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性赤色組成物(71)を得た。
【0391】
<光硬化性赤色組成物の組成>
・上記のPR177顔料分散液(71):100重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):8.3重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製):2.58重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:1.95重量部
・PGMEA:10重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性赤色組成物(71)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が2.48μmの赤色画素パターン(71)が配列された画素アレイを作製した。
【0392】
(3)青色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)を用い、分散剤としてDisperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PB15:6顔料分散液(71)を調製した。
【0393】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性青色組成物(71)を得た。
【0394】
<光硬化性青色組成物の組成>
・上記のPB15:6顔料分散液(71):100.0重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):14.7重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)4.36重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:2.58重量部
・PGMEA:20重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性青色組成物(71)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が2.42μmの青色画素パターン(71)が配列された画素アレイを作製した。
【0395】
(4)緑色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139(PY139)に代えてC.I.ピグメントグリーン7(PG7)又はC.I.ピグメントイエロー150(PY150)を用い、分散剤としてDisperbyk−161に代えて製造例18の顔料分散剤を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(69)又はPY139顔料分散液(69)と同様にして、PG7顔料分散液(71)、及びPY150顔料分散液(71)をそれぞれ調製した。
【0396】
次に下記分量の各成分を十分混合して、光硬化性緑色組成物(71)を得た。
【0397】
<光硬化性緑色組成物の組成>
・上記のPG7顔料分散液(71):58.2重量部
・上記のPY150顔料分散液(71):41.8重量部
・比較製造例3の共重合体(固形分30%):12.6重量部
・TO−1382(東亜合成(株)社製)2.84重量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:1.69重量部
・PGMEA:10重量部
光硬化性赤色組成物(69)に代えて上記光硬化性緑色組成物(71)を用いたこと以外は赤色画素パターン(69)と同様にして、最終膜厚が2.48μmの緑色画素パターン(71)が配列された画素アレイを作製した。
(実施例72:カラーフィルター;インクジェット法)
(1)ブラックマトリックスの形成
ブラックマトリックス(72)は、実施例69のブラックマトリックス(69)と同様に形成した。
【0398】
(2)画素部用熱硬化性着色組成物の調製
画素の顔料分散液(72)は、実施例70の赤色画素の顔料分散液であるPR254顔料分散液(70)及びPR177顔料分散液(70)、青色画素の顔料分散液であるPB15:6顔料分散液(70)及びPV23顔料分散液(70)、緑色画素の顔料分散液であるPG36顔料分散液(70)、PG7顔料分散液(70)、PY138顔料分散液(70)及びPY150顔料分散液(70)と同様に調製し、実施例72の赤色画素の顔料分散液であるPR254顔料分散液(72)及びPR177顔料分散液(72)、青色画素の顔料分散液であるPB15:6顔料分散液(72)及びPV23顔料分散液(72)、緑色画素の顔料分散液であるPG36顔料分散液(72)、PG7顔料分散液(72)、PY138顔料分散液(72)及びPY150顔料分散液(72)を得た。
【0399】
次に下記分量の各成分を十分混合して、熱硬化性組成物(72)を得た。
【0400】
<熱硬化性赤色組成物(72)の組成>
・上記のPR254顔料分散液(72):91.8重量部
・上記のPR177顔料分散液(72):8.2重量部
・比較製造例1の共重合体:14重量部
・ノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル社製エピコート154):2.8重量部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:1.4重量部
・硬化剤(トリメリット酸):2.8重量部
・3−エトキシプロピオン酸エチル:20重量部。
【0401】
<熱硬化性青色組成物(72)の組成>
・上記のPB15:6顔料分散液(72):93.6重量部
・上記のPV23顔料分散液(72):6.4重量部
・比較製造例1の共重合体:21重量部
・ノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル社製エピコート154):4.2重量部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:2.1重量部
・硬化剤(トリメリット酸):4.2重量部
・3−エトキシプロピオン酸エチル:40重量部。
【0402】
<熱硬化性緑色組成物(72)の組成>
・上記のPG36顔料分散液(72):27.5重量部
・上記のPG7顔料分散液(72):19.5重量部
・上記のPY138顔料分散液(72):35.2重量部
・上記のPY150顔料分散液(72):17.8重量部
・比較製造例1の共重合体:12.6重量部
・ノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル社製エピコート154):2.52重量部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:1.26重量部
・硬化剤(トリメリット酸):2.52重量部
・3−エトキシプロピオン酸エチル:10重量部。
【0403】
(3)画素アレイの作製
上記ブラックマトリックスにより区画された赤色画素形成部に、熱硬化性赤色組成物(72)をインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の青色画素形成部に熱硬化性青色組成物(72)を、緑色画素形成部に熱硬化性緑色組成物(72)を、同様にして正確且つ均一に付着させた。その後、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行い、さらにクリーンオーブン内で200℃で30分間、引き続き230℃で30分間のポストベークを行った。このようにして、基板上に最終膜厚が1.98μmの赤色画素パターン、最終膜厚が1.96μmの青色画素パターン、最終膜厚が1.97μmの緑色画素パターンが配列された画素アレイを作製した。
【0404】
(実施例69〜72の評価)
実施例69〜72で得られた各画素パターンの分光を、C光源を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標を測定した。その結果を第8表に示す。
【0405】
【表8】
Figure 0004508550
【0406】
【発明の効果】
本発明においては、上記顔料分散剤と共に、顔料分散補助機能を有する高SP値単位含有共重合体を用いて顔料分散液を調製するので、使用時の制約が多い上記顔料分散剤を用いて多量の顔料を微細且つ均一に分散させた顔料分散液が得られる。また、得られた顔料分散液は、分散安定性に優れ、粘度が低く、保存安定性にも優れる。
【0407】
さらに、上記高SP値単位含有共重合体は、分散補助剤としての機能に加えて、それ自体が、熱硬化性のバインダー樹脂としても機能する。
【0408】
従って、本発明の硬化性着色組成物は、顔料分散剤に由来する電気信頼性に悪影響を与える不純物の発生が少ない上に、硬化時には内部まで良く固まった架橋密度の高いマトリックス内に不純物が閉じ込められて液晶層に溶出しにくくなり、さらに硬化膜の表面の平滑性が高いため、電気信頼性が高い着色硬化膜が得られる。特に、この硬化性着色組成物を用いて液晶パネルの着色層を作製する場合には、表示部の電圧を安定して保持することが可能であり、電気信頼性が高い。
【0409】
さらに、本発明の硬化性着色組成物は、上記高SP値単位含有共重合体の分散補助機能によって分散剤を減量できるという効果もあるので、分散剤が少ない分、顔料及び/又は高SP値単位含有共重合体や硬化性バインダー系(光硬化性化合物やアルカリ現像性を有する化合物や開始剤、熱硬化性化合物や硬化剤等)の濃度が相対的に増し、着色濃度、及び硬化性、パターン形成性が高い塗膜を形成できる。
【0410】
従って、上記硬化性着色組成物は、高濃度の顔料を微細且つ均一に分散させることができ、着色性が高いため、薄くても着色濃度が大きい着色パターンを形成することができ、色再現域が広い。
【0411】
本発明に係る硬化性着色組成物は、種々の着色膜を形成するのに利用できるが、特にカラーフィルターの細部を構成する着色層、すなわち、画素やブラックマトリックスを形成するのに適している。
【0412】
特に、本発明の硬化性着色組成物には多量の顔料を微細且つ均一に分散させることが可能であり、光硬化性及び熱硬化性着色組成物のいずれとしても用いることができるため、顔料分散法に代表される着色レジスト、又はインクジェット方式を用いた熱硬化性インクとして、薄くても着色濃度が大きい画素部を有するカラーフィルターを作製でき、広い色再現域を必要とする分野、例えばテレビジョンの分野やマルチメディアの分野に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルの一例についての模式的断面図である。
【図2】液晶パネルの別の例についての模式的断面図である。
【図3】本発明の硬化性着色組成物を用いてインクジェット方式によりカラーフィルターを製造する方法の説明図である。
【図4】図4a乃至図4dは、それぞれELデバイスにカラーフィルターを組み込む構成例である。
【図5】Disperbyk−161のトータルイオンクロマトグラムである。
【図6】Disperbyk−161の拡大チャートと11.186分のマススペクトルである。
【図7】Disperbyk−161の拡大チャートと13.223分のマススペクトルである。
【図8】Disperbyk−161の拡大チャートと14.429分のマススペクトルである。
【図9】Disperbyk−161の拡大チャートと26.360分のマススペクトルである。
【図10】Disperbyk−161のFT−IRスペクトルである。
【図11】Disperbyk−182のトータルイオンクロマトグラムである。
【図12】Disperbyk−182の拡大チャートと14.501分のマススペクトルである。
【図13】Disperbyk−182の拡大チャートと34.601分のマススペクトルである。
【図14】Disperbyk−182のFT−IRスペクトルである。
【図15】上底よりも下底が長い順テーパー形状の画素の断面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図16】上底よりも下底が短い逆テーパー形状の画素の断面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図17】測定用液晶セルの模式的断面図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルター
2…液晶駆動側基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…画素部
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…粒子状スペーサー
12…柱状スペーサー
13…透明基板
14…ブラックマトリックス層
15…撥インキ性凸部
16…画素部形成領域
17…インクジェットヘッド
18…インキ層
19…画素部
20…保護膜
21(21R、21G、21B、21W)…EL素子
22(22R、22G、22B)…カラーフィルター
23(23R、23G、23B)…色変換層
50…測定用液晶セル
51…ITO基板
52…ガラス基板
53…電極
54…ITO基板
55…ガラス基板
56…電極
57…着色樹脂層
58…液晶
59…シール部材

Claims (21)

  1. 少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、及び、有機溶剤を含有する、硬化性着色組成物用顔料分散液。
  2. 前記顔料分散剤の酸価が10mgKOH/g以下、アミン価が2〜70mgKOH/gである、請求項1に記載の顔料分散液。
  3. 前記顔料分散剤のガラス転移温度が70℃以上である、請求項1又は2に記載の顔料分散液。
  4. 前記共重合体に含まれるSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位が窒素を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の顔料分散液。
  5. 前記共重合体は、エポキシ基を備えた構成単位として下記式(1)で表される構成単位を含んでいる、請求項1乃至4のいずれかに記載の顔料分散液。
    Figure 0004508550
    (式中、R水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1乃至6のアルキレン基であり、Eはエポキシ基又は環構成炭素数が3〜8の置換基を有していても良い脂環式エポキシ基である。)
  6. 前記共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量が、1,000〜30,000である、請求項1乃至5のいずれかに記載の顔料分散液。
  7. 前記共重合体の酸価が10mgKOH/g以下である、請求項1乃至6のいずれかに記載の顔料分散液。
  8. 前記顔料分散剤の配合割合が前記顔料100重量部当たり40重量部以下である、請求項1乃至7のいずれかに記載の顔料分散液。
  9. インクジェット用インクの調製に用いられる、請求項1乃至8のいずれかに記載の顔料分散液。
  10. 少なくとも、顔料、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、ポリエステル鎖を含み、酸性官能基及びポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、少なくともSP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位とエポキシ基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体、硬化性バインダー系、及び有機溶剤を含有する、硬化性着色組成物。
  11. 少なくとも、前記請求項1乃至に記載の顔料分散液、有機溶剤、及び、硬化性バインダー系を混合してなる、請求項10に記載の硬化性着色組成物。
  12. 前記硬化性バインダー系が光硬化性化合物及び光重合開始剤を含み、光硬化性着色組成物である請求項10又は11に記載の硬化性着色組成物。
  13. 前記硬化性バインダー系が更に酸性官能基を有する化合物を含む、請求項12に記載の硬化性着色組成物。
  14. 前記硬化性バインダー系が熱硬化性樹脂を含み、熱硬化性着色組成物である請求項10又は11に記載の硬化性着色組成物。
  15. 前記顔料分散剤の配合割合が前記顔料100重量部当たり40重量部以下である、請求項10乃至14のいずれかに記載の硬化性着色組成物。
  16. 前記顔料のP/V比(硬化性着色組成物中の顔料分/硬化性着色組成物中の顔料以外の固形分)が0.4以上である、請求項10乃至15いずれかに記載の硬化性着色組成物。
  17. 顔料として少なくともC.I.ピグメントイエロー150C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138又はC.I.ピグメントイエロー83のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でy値が0.54以上である硬化膜を形成し得る、請求項10乃至16のいずれかに記載の硬化性着色組成物。
  18. 顔料として少なくともC.I.ピグメントブルー15:6又はC.I.ピグメントバイオレット23のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でy値が0.13以下である硬化膜を形成し得る、請求項10乃至16のいずれかに記載の硬化性着色組成物。
  19. 顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントイエロー139のいずれかを含有し、膜厚が2.7μm以下の時にC光源でx値が0.63以上である硬化膜を形成し得る、請求項10乃至16のいずれかに記載の硬化性着色組成物。
  20. インクジェット用インクである、請求項10乃至19のいずれかに記載の硬化性着色組成物。
  21. 基板上に少なくとも着色層を備えてなり、当該着色層が前記請求項10乃至20のいずれかに記載の硬化性着色組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
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