JPH0764282A - 熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物並びに画像形成材料 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物並びに画像形成材料

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JPH0764282A
JPH0764282A JP21429393A JP21429393A JPH0764282A JP H0764282 A JPH0764282 A JP H0764282A JP 21429393 A JP21429393 A JP 21429393A JP 21429393 A JP21429393 A JP 21429393A JP H0764282 A JPH0764282 A JP H0764282A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬化収縮の小さな熱硬化性樹脂組成物、及び
これを用いた耐熱性、透明性、密着性の優れた画像形成
材料を提供する。 【構成】 (A)エチレン性不飽和二重結合とカルボキ
シル基を有する熱重合性化合物100g重量部当り、
(B)熱によりラジカルを発生する重合開始剤を0.1
〜10重量部と、(C)スピロオルソエステル基を1分
子中に2つ以上有するスピロオルソエステル化合物を5
〜100重量部と、を含む低硬化収縮性の熱硬化性樹脂
組成物である。また、このような熱硬化性樹脂組成物を
用いて調製される、硬化物、カラーフィルター用材料、
カラーフィルターインキ、カラーフィルター、タッチパ
ネル用スペーサー材料及びタッチパネルである。 【効果】 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、低硬化収縮
性であり、透明性、耐熱性、密着性に優れた硬化物を与
え、また、これを用いた成形材、接着剤、コーティング
材、画像形成材料は、高い信頼性を発揮するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化収縮の小さな熱硬
化性樹脂組成物及びその硬化物並びに画像形成材料に関
するものである。すなわち、成形体として用いたときに
は寸法安定性に優れ、残留応力や光学歪みが少なく、ま
た、接着剤成分として用いたときには寸法安定性や接着
性に優れ、更に、コーティング剤として用いたときには
膜べりの少ない膜を与える熱硬化性樹脂組成物である。
【0002】また、本発明の硬化物は、硬度、はんだ耐
熱性、透明性、密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤
性、絶縁抵抗、耐電解腐食性及び耐めっき性、コーティ
ング膜の平滑性の点で優れている。更に詳しくは、絶縁
被膜・塗料、接着剤、精密注型剤、印刷インキやコーテ
ィング剤等として、特に液晶の表示装置あるいは撮影素
子に使われるカラーフィルターの保護膜用樹脂組成物、
カラーフィルター用インキ、及びこれらよりなるカラー
フィルターとして有用であり、更には液晶表示画面の上
部に設置される情報入力用のタッチパネルにおける絶縁
セパレーターであるスペーサー材料、これを用いたタッ
チパネルとしても有用である。
【0003】
【従来の技術】一般に、(メタ)アクリレート樹脂、エ
ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂
は、硬化の際に必ず硬化収縮が生じ、これが内部応力に
よるクラックの発生、密着性不良及び外観不良の原因と
なっている。これらの硬化性樹脂の中で最も硬化収縮が
小さいエポキシ樹脂でも3〜6%程度の体積収縮を示
し、硬化時に種々の問題が生じている。
【0004】そこで従来においては、こうした問題点の
改良策として、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アル
ミナ等の無機充填剤を添加して相対的な硬化収縮率の低
減化を図っている。しかしながら、この方法において
は、充填剤の添加により樹脂組成物の粘度が上昇するの
で、低温での注型作業等が困難になるという別の問題が
生じる。また、硬化物に透明性が要求される場合には使
用できない。また、非反応性でエポキシ樹脂と相溶性の
ある樹脂をエポキシ樹脂に添加して、体積収縮を防ぐ試
みも行われている(特公昭58−57,426号公報)
が、硬化物の物性低下、特に耐熱性の低下を招くことが
多いので好ましくない。
【0005】一方、上記の方法とは別に、樹脂単独での
低収縮化についての検討も進められている。高分子、2
7、108(1978)等に述べられているように、重
合反応時に収縮しないモノマーとして、エチレンオキサ
イドとγ−ブチロラクトンとを反応させて得られる1,
4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナンが知られて
いる。この化合物は、開環重合して熱可塑性樹脂を与え
るが、2官能化した場合には熱硬化性樹脂となり得るこ
とが知られている〔J. Macromol. Sci., chem., A9, 84
9(1975) 及びJ. Polym. Sci., Polym. Shmp., 56, 117
(1976) 〕。これらによれば、ハイドロキノンあるいは
ビスフェノールAを骨格としたビススピロオルソエステ
ル化合物に触媒として三フッ化ホウ素−ジエチルエーテ
ル錯体を加え、室温下24時間の条件で開環、硬化させ
ている。この方法によれば、硬化時の収縮を零にするこ
とが可能である。しかしながら、このようなスピロオル
ソエステル化合物の硬化物は、エポキシ樹脂と比較して
耐熱性に劣ることが知られており、耐熱性が必要な用途
で硬化収縮率が大きい希釈剤等と共に用いる場合には、
スピロオルソエステル化合物の含有率を高くすることが
できないという問題がある。
【0006】また、エポキシ(メタ)アクリレートと酸
無水物との付加生成物、無水マレイン酸とビニル化合物
との共重合体にヒドロキシル基を持つ(メタ)アクリル
酸エステルを付加させた光重合性化合物(特公昭56−
40,329号、特開昭63−17,908号、特開平
4−345,608号、特開平4−340,965号、
特開平2−247,654号の各公報)が開示されてい
る。これらは、通常、5%以上の大きな硬化収縮を示
し、光硬化だけでは密着性、耐湿性に乏しい塗膜とな
る。そこで、エポキシ化合物との組成物にすることによ
り、光硬化、現像後に、加熱硬化させてエポキシ基を前
記光重合性化合物に含まれるカルボキシル基と反応さ
せ、これによって吸水率、耐アルカリ性等の物性の向上
を図っている。しかしながら、前述したように、エポキ
シ樹脂の硬化によっても硬化収縮が生じ、内部応力の残
存、クラック発生等の問題を残している。
【0007】また、前述したアルカリ現像可能な感光性
樹脂材料の具体的な用途として、カラーフィルター用材
料として用いることが開示されているが、プレキュアー
後のタック性の問題や、ポストキュアー時の硬化収縮が
大きく、依然として保護膜層膜厚減少、カラーフィルタ
ーのパターン寸法減少、クラック発生等の問題を含んで
いる。
【0008】更に、このようなアルカリ現像可能な感光
性樹脂材料については、特に言及されているわけではな
いが、タッチパネルの絶縁セパレーターとしてのスペー
サーとして用いることも考えられる。しかしながら、こ
のような用途においても、上述したカラフィルターへの
適用の場合と同様の問題が指摘される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチ
レン性不飽和二重結合とカルボキシル基を含む熱重合性
化合物から得られる硬化物の耐熱性等の特長を生かしな
がら、更にスピロオルソエステルを組成物の構成要素に
加えることにより、硬化収縮の低い熱硬化性樹脂組成物
を供給することにある。すなわち、本発明の樹脂組成物
は、これを成形体として用いたときには寸法安定性に優
れ、残留応力や光学歪みが少なく、また、これを接着剤
成分として用いたときには寸法安定性や接着性に優れ、
更に、これをコーティング剤として用いたときには密着
性の優れた膜減りの少ない塗膜を与える。
【0010】従って、本発明における樹脂組成物を用い
ることにより、絶縁被膜・塗料、接着剤、精密注型剤、
印刷インキやコーティング剤等に、特に液晶の表示装置
あるいは撮影素子に使われるカラーフィルターの保護膜
用樹脂組成物、カラーフィルター用インキ、及びこれら
よりなるカラーフィルターとして、更には液晶表示画面
の上部に設置される情報入力用のタッチパネルにおける
絶縁セパレーターであるスペーサー材料、これを用いた
タッチパネルとしても好適な材料を得ることができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
状況に鑑みて鋭意検討した結果、カルボキシル基を持っ
た熱重合性化合物と小さな硬化収縮を与えるオルソスピ
ロエステル基を持つ化合物との樹脂組成物が、硬化収縮
が小さく、寸法精度、密着性に優れることを見出し、本
発明に到った。
【0012】すなわち、本発明は、(A)エチレン性不
飽和二重結合とカルボキシル基を有する熱重合性化合物
(A成分)100重量部当り、(B)熱によりラジカル
を発生する重合開始剤(B成分)を0.1〜10重量部
と、(C)下記一般式(1)
【0013】
【化6】
【0014】(但し、式中pは3〜5の整数である)で
表されるスピロオルソエステル基を1分子中に2つ以上
有するスピロオルソエステル化合物(C成分)を5〜1
00重量部とを含む低硬化収縮性の熱硬化性樹脂組成物
である。
【0015】また、本発明は、このような低硬化収縮性
の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されるその硬化物、
カラーフィルター用材料、カラーフィルターインキ、カ
ラフィルター、タッチパネル用スペーサー材料、更には
タッチパネルである。
【0016】本発明において、エチレン性不飽和2重結
合とカルボキシル基を合わせ持つA成分の具体例として
は、次ぎのものが挙げられる。先ず、エポキシ化合物と
(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸及びメタクリル
酸をこのように総称する)を反応させて得られるヒドロ
キシ基に酸無水物を反応させたエポキシ(メタ)アクリ
レート酸付加物がある。
【0017】この反応に供せられるエポキシ化合物の具
体例としては、芳香族エポキシとしてエポキシのビスフ
ェノール成分に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ
フェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジク
ロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテ
ル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニ
ル)エーテルや、また、
【0018】
【化7】
【0019】を含むものとして、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−
フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンや、
更には4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノー
ル等を含むエポキシ樹脂がある。更には、フェノールノ
ボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキ
シ、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールポ
リグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹
脂、アミンエポキシ樹脂等も挙げられる。これらには、
グリシジルエーテル化の際に、オリゴマー単位が混入す
ることになるが、本発明の樹脂組成物の性能には問題は
ない。
【0020】また、エポキシ(メタ)アクリレート分子
中のヒドロキシル基と反応し得る多塩基酸又はその酸無
水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク
酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロ
フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエン
ドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、
メチルテトラヒドロ無水フタル酸、あるいは無水ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエー
テルテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン
酸無水物が挙げられる。
【0021】更に、A成分の具体例として、無水マレイ
ン酸と共重合可能なエチレン、プロピレン、イソブテ
ン、スチレン、ビニルフェノール及びそのエーテル誘導
体若しくはエステル誘導体、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、アクリルアミド等のモノマーとの共重合体にお
ける無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレー
ト等のアルコール性のヒドロキシル基を持つアクリレー
トやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を持つア
クリレートを反応させ、ハーフエステル化した化合物
や、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステル
とヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒ
ドロキシル基を持つアクリレートとの共重合体のヒドオ
キシル基に更に(メタ)アクリル酸を反応させて得られ
る化合物、等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和
二重結合とカルボキシル基を有する熱重合性化合物は、
必ずしも上述したものに限定されるものではなく、単
独、又は混合して使用してもよい。
【0022】この中で、後述するC成分との相溶性から
考えて、A成分がエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸
の反応物に、更に多塩基性カルボン酸又はその無水物を
反応させて得られる生成物が好んで用いられる。更に、
エポキシ(メタ)アクリレートと反応させる多塩基酸若
しくはその酸無水物として酸二無水物を存在させると、
その硬化物が耐熱性により優れたものとなる。
【0023】すなわち、下記一般式(2)及び(3)
【化8】 〔但し、一般式(2)及び(3)において、R1 及びR
2 は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン
原子のいずれかであり、R3 は水素原子又はメチル基で
あり、Xは−CO−、−SO2 −、−C(CF3
2 −、−Si(CH32 −、−CH2 −、−C(CH
3 2 −、−O−、
【化9】 若しくは不存在を示し、Yは酸無水物の残基を示し、Z
は酸二無水物の残基を示し、構造単位m:nはモル比で
0/100〜100/0の割合である)で表される単位
構造を主とする化合物である。
【0024】これら一般式(2)及び(3)を与え得る
エポキシ化合物の具体例としては、前述した種々のビス
フェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラ
ック等から誘導される一分子中にエポキシ基を2つ以上
含有する芳香族エポキシ化合物がある。
【0025】また、かかる残基Yを導入しうる酸無水物
化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク
酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロ
フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエン
ドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、
メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、Zの酸
二無水物化合物としては、無水ピロメリット酸、ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボ
ン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物が挙げら
れる。
【0026】更に、一般式(2)及び(3)で表される
化合物を主とする生成物の分子量については、この化合
物0.5gをN−メチルピロリドン100mlに溶解し
た溶液を30℃で測定したインヘレント粘度(ηinh
が0.1dl/g以上、好ましくは0.15dl/g以
上で、塗膜乾燥後のタック性フリーとして好ましい結果
を与える。
【0027】そして、この際に使用される酸無水物、酸
二無水物の使用割合は、如何なる割合でもよく、アルカ
リ現像性を考えると、好ましくは酸無水物(m)と酸二
無水物(n)とのモル比(m/n)が5/95〜95/
5であるのがよい。
【0028】(メタ)アクリレートと多塩基酸又はその
酸無水物を反応させて得られる化合物は、次のようにし
て製造することができる。例えば、先ず、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとエピクロロヒ
ドリンとの反応により得られる下記一般式(5)で表さ
れるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物と、下
記一般式(6)で表される(メタ)アクリル酸とを反応
させることにより、下記一般式(7)で表されるビスフ
ェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂を合成
し、次いで前記の酸無水物と、エチルセロソルブアセテ
ート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶
媒中で加熱し、製造される。この際の反応温度として
は、酸無水物がエポキシアクリレート樹脂のOH基1モ
ル当り1/2モルとなるように定量的に反応することが
望ましく、90〜130℃、好ましくは95〜125℃
である。この反応については、一般式(2)及び(3)
の単位構造を有する化合物全体についても同様である。
【0029】
【化10】
【0030】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記(メ
タ)アクリレート化合物を含むものであるが、これを加
熱により硬化させるためのラジカル重合開始剤等を含
む。従って、本発明の樹脂組成物は、加熱することによ
り硬化する。本発明のA成分を硬化させるために用いら
れるB成分のラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカ
ルを発生するものであり、A成分ばかりでなく、必要に
応じて配合される熱重合性の(メタ)アクリルモノマー
や(メタ)アクリルオリゴマー等の重合性不飽和化合物
の重合開始剤としても用いられるものである。
【0031】このような目的で使用されるB成分のラジ
カル重合開始剤としては、公知の過酸化物系開始剤やア
ゾビス系開始剤を使用することができる。ここで、過酸
化物系開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘ
キサンケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオ
キサイド等のケトンパーオキサイド系のものや、イソブ
チルパーオキサイド、m−クロロベンゾイルパーオキサ
イド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o
−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5
−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシル
パーオキサイド系のものや、2,4,4−トリメチルペ
ンチル−2−ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハ
イドロパーオキサイド系のものや、ジクミルパーオキサ
イド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキ
シイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキ
サイド等のジアルキルパーオキサイド系のものや、1,
1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ吉草酸
−n−ブチルエステル等のパーオキシケタール系のもの
や、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシフェノ
キシアセテート、α−クミルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチ
ルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーエ
ステル系のものや、ジ−3−メトキシブチルパーオキシ
ジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)
パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート等のパーカーボネート系のものや、その
他のアセチルシクロヘキシルスルフェニルパーオキシジ
カーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネー
ト等のものが挙げられる。
【0032】また、アゾビス系開始剤の具体例として
は、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニ
トリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビ
ス−(メチルイソブチレート)、α、α’−アゾビス−
(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス−(4−
シアノバレイン酸)等を挙げることができる。
【0033】これらのラジカル重合開始剤は、そのいず
れかを単独で用いることができるほか、2種以上の混合
物としても使用することができ、A成分100重量部に
対してC成分が0.1〜10重量部で配合される。A成
分100重量部に対してC成分の配合割合が0.1重量
部未満であると、重合速度が遅くなり、10重量部を越
えると、硬化物の分子量低下による耐熱性不足、下地に
対する密着性が低下する。
【0034】更に、硬化物の耐湿性、密着性、電気絶縁
安定性を向上させるために、下記一般式(1)
【化11】 (但し、式中pは3〜5の整数)で表されるオルソスピ
ロエステル基を1分子中に2つ以上有する化合物(C成
分)を、A成分100重量部に対して5〜100重量部
の範囲で混合する。
【0035】本発明の樹脂組成物においては、このC成
分の効果により、加熱処理前後における硬化収縮が小さ
く、コーティング材として用いたときには膜減りの減
少、印刷法等で得たパターンの寸法安定性の向上、ガラ
スやITO(インジウムチンオキサイド)等の透明電極
に対する密着性の向上という効果が発揮され、また、接
着剤として用いたいときには寸法精度や接着性が向上
し、成形材として用いたときには寸法安定性の向上、残
留応力、光学歪みの減少等、耐湿性、透明性、表面硬
度、平坦性、耐熱性、耐薬品性に優れた硬化物が形成さ
れる。この際の加熱硬化条件における加熱温度、加熱時
間としては、例えば、それぞれ80〜200℃と10〜
120分が挙げられる。
【0036】本発明の樹脂組成物を構成するスピロオル
ソエステルとしては、例えばγ−ブチロラクトン、δ−
バレロラクトン、ε−カプロラクトンのようなラクトン
と前述のエポキシ化合物とを反応させて製造されるスピ
ロオルソエステルが使用される。そのようなエポキシ化
合物の具体例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
クロロフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)
プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エ
ーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ
ニル)エーテルや、また
【0037】
【化12】
【0038】を含むものとして、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−
フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンや、
更には、4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノ
ール、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾ
ールノボラック、ナフトールノボラック、フェノールや
ナフトールと1,4−ベンゼンジメタノールとを縮合さ
せた樹脂等のフェノール性化合物にエピクロルヒドリン
を反応させて得られる、グリシジルエーテル基を分子内
に平均2個より多く有する芳香族多官能エポキシ樹脂が
ある。また、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ヘキ
サヒドロフタル酸等のカルボン酸基を有する化合物とエ
ピクロルヒドリンを反応させて得られるポリカルボン酸
グリシジルエステル、ダイセル化学工業(株)製EHP
E3150等の脂肪族多官能エポキシ樹脂があり、ま
た、ポリオールポリグリシジルエステル、内部エポキシ
基を分子内に平均2個以上有する脂環式エポキシ樹脂、
例えばチッソ(株)製商品名チッソノックス201、2
21、289、206、207及び1221、ダイセル
化学工業(株)製セロキサイド2021P等があり、更
に、エポキシ化オレフェン、エポキシ化ポリブタジエ
ン、イソシアヌル酸エポキシやヒダントイン誘導体ある
いはイミダゾリン誘導体等から得られる含窒素ヘテロ環
エポキシ等も挙げられる。
【0039】上記のスピロオルソエステル化合物の配合
割合は、A成分100重量部に対して5〜100重量部
が好ましい。A成分100重量部に対するB成分の配合
割合が5重量未満であるとスピロオルソエステル化合物
の添加効果が顕著でなく、反対に、100重量部を越え
ると、スピロオルソエステルの種類によっては充分な耐
熱性が発揮されない。
【0040】耐熱性向上の目的でスピロオルソエステル
を選択する場合、分子内にスピロオルソエステル基を2
つ持つ化合物としては、嵩高い芳香族環、例えば下記一
般式(4)においてフルオレン骨格を含むもの
【0041】
【化13】
【0042】〔但し、式中Aは
【化14】 (但し、式中R1 、R2 は一般式(2)及び(3)と同
じものを示す)であり、qは0又は1〜10の整数であ
り、pは一般式(1)と同じものを示す〕で表されるも
のが好ましく、架橋密度をさほど上げることなく耐熱性
を発現させることができる。
【0043】具体例としては、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−
フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等の
エポキシ化合物とラクトン類と反応させて得られるスピ
ロオルソエステルがある。
【0044】同様な効果に関して、分子中に3個以上の
スピロオルソエステル基を含む芳香族化合物が好まし
い。具体例としては、フェノールノボラック、クレゾー
ルノボラック、ナフトールノボラック、フェノールやナ
フトールと1、4−ベンゼンジメタノールとを縮合させ
た樹脂等のフェノール性化合物とエピクロルヒドリンと
を反応させて得られるエポキシ樹脂から誘導される多官
能スピロオルソエステル化合物を挙げられる。これらは
同時に、少ない添加量で硬化収縮を小さくできるという
効果をも有する。
【0045】上記A成分とC成分の組み合わせは、樹脂
組成物の調製時に互いの相溶性を妨げない限り、如何な
る組み合わせにおいても有効であり、用途に合わせて選
択される。
【0046】更に、本発明の樹脂組成物には、上記A成
分以外に、その使用目的に合わせて熱重合が可能なエチ
レン性不飽和基を有するモノマーやオリゴマーを所定の
範囲内で配合することができる。例えば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステル類等を挙げることができる。これらの
化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種
類以上を併用して使用することもできる。
【0047】これらの化合物は、本発明の樹脂組成物及
びその硬化物の性質を損なわない範囲であることが必要
であり、A成分100重量部に対して、通常50重量部
以下の範囲で使用される。使用量が50重量部を超える
とプレキュアー後のタック性に問題が生じる。
【0048】更には、本発明の樹脂組成物には、上記C
成分調製時の未反応エポキシ樹脂が含まれたり、また硬
化物の物性を損なわない範囲で目的に応じたエポキシ樹
脂を添加することができる。この場合、スピロオルソエ
ステル化合物(C成分)による硬化収縮の低下を発揮さ
せるにはC成分100重量部に対して50重量未満、よ
り好ましくは40重量未満である。
【0049】また、上記熱硬化性樹脂組成物には、必要
に応じて硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、充填材、
溶剤、レベリング剤、消泡剤、等の添加剤を配合させる
ことができる。そして、スピロオルソエステル基の硬化
促進剤としては、アミン化合物類、イミダゾール化合
物、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセ
ン−7及びその塩、三フッ化ホウ素アミン錯体、熱によ
りルイス酸を発生する有機スルホニウム塩、カルボン酸
類、フェノール類、第4級アンモニウム塩類又はメチロ
ール基含化合物類等が挙げられ、それらを少量併用して
塗膜を加熱することにより、得られる硬化物の耐熱性、
耐溶剤性、耐酸性、耐めっき性、密着性、電気特性及び
硬度等の諸特性を向上せしめることができる。
【0050】更に、上記熱重合禁止剤としては、ハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガ
ロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン
等が挙げられる。また、可塑剤としては、ジブチルフタ
レート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げ
られる。充填材としては、グラスファイバー、シリカ、
マイカ、アルミナ、カーボンブラック、銀粉等、その目
的に合わせて添加することも可能である。
【0051】本発明の樹脂組成物をコーティング剤や接
着剤として用いる場合、粘性調整等の目的のため、溶剤
で希釈して用いる場合もある。その際の溶剤としては、
例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソル
ブ類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、等が挙げら
れる。消泡剤、レベリング剤としては、例えば、シリコ
ン系、フッ素系、アクリル系の化合物が挙げられる。
【0052】本発明の樹脂組成物の用途としては、成形
材、絶縁被膜・塗料、接着剤、印刷インキやコーティン
グ剤等が挙げられるが、C成分の効果により、加熱処理
前後における硬化収縮が小さく、コーティング材として
用いたときには、膜減りの減少、パターンの寸法安定性
向上、ガラスやITO(インジウムチンオキサイド)等
透明電極に対する密着性の向上等の効果が発揮され、ま
た、接着剤として用いたときには、寸法精度や接着性の
向上が発揮され、更に、成形材として用いたときには、
寸法安定性の向上、残留応力、光学歪みの減少等、耐湿
性、透明性、表面硬度、平坦性、耐熱性、耐薬品性に優
れた硬化物を形成することができる。
【0053】本発明の熱硬化性樹脂組成物をコーティン
グ材として用いるときは、樹脂組成物を溶液にして基板
表面に塗布し、次いで50〜80℃でプレキュアーする
ことにより溶媒を乾燥させた後、80〜220℃でポス
トベークすることにより硬化膜が得られる。また、スク
リーン印刷等でパターンを形成することも可能である。
【0054】本発明における樹脂組成物の溶液を基板に
塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法
の他、ローラーコーター機、ランドコーター機やスピナ
ー機を用いる等の何れの方法をも採用することができ
る。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、
溶剤を除去すれば被膜が形成される。塗布される基板
は、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフ
ォン等)上にITOや金等の透明電極が蒸着、パターニ
ングされたもの、アルミニウム、鋼材等の金属等が用い
られる。
【0055】溶剤乾燥後、80〜220℃、10〜12
0分の熱処理を行う。ここでC成分のスピロオルソエス
テル化合物は、硬化時の収縮が小さく、レジストパター
ンの寸法安定性に寄与し、塗膜の吸湿性、耐薬品性、密
着性、電気絶縁性等を更に向上させる。
【0056】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、コーティ
ング材として好適に用いることができ、特に液晶の表示
装置あるいは撮影素子に使われるカラーフィルターの保
護膜用樹脂組成物、カラーフィルター用インキ、及びこ
れらよりなるカラーフィルターとして有用であり、更に
は液晶表示画面の上部に設置される情報入力用のタッチ
パネルにおける絶縁セパレーターであるスペーサー材
料、これを用いたタッチパネルとしても有用である。例
えば、本発明における樹脂組成物がカラーフィルター用
保護膜である場合には上記A成分、B成分及びC成分を
主とした構成でよい。
【0057】また、カラーフィルター用インクである場
合には、上記A成分、B成分及びC成分に加えて、塗膜
を着色させるためのD成分として顔料が用いられる。用
いる顔料には有機顔料及び無機顔料がある。有機顔料の
例としては、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、フタロシア
ニン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、イソインド
リノン系、ベリノン系、アントラキノン系、ペリレン系
等、及びこれらの混合物が挙げられる。無機顔料の例と
しては、ミロリブルー、酸化鉄、コバルト系、マンガン
系、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、
ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、
及びこれらの混合物が挙げられる。これらの顔料につい
ては、塗膜の透明性を持続しつつ、塗膜を着色するため
に、顔料は可視光の波長の下限である0.4μm以下の
粒子径に分散されることが好ましく、0.2〜0.3μ
m以下の平均粒子径有するのが実用上好ましい。配合量
は、A成分とC成分の総和100重量部に対して10重
量部未満の添加量であると、所望の分光特性が得られ
ず、また、200重量部を越えると、塗膜の密着性が低
下するので好ましくない。
【0058】更には、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、
上記のようにカラー液晶ディスプレーのカラーフィルタ
ー、その保護膜の他に、カラー液晶表示装置、カラーフ
ァクシミリ、イメージセンサー等の各種の多色表示体イ
ンク材料、保護膜としても使用される。
【0059】本発明の樹脂組成物がタッチパネル用スペ
ーサー材料として用いられるときには、塗布される基板
は、タッチパネルとして使用される形態、環境によって
異なるが、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルス
ルフォン等)上にITOや金等の透明電極が蒸着、パタ
ーニングされたものである。何れの基板に対しても、同
様な密着性、透明性、表面硬度、平坦性、耐湿性、電気
絶縁性、耐熱性、耐薬品性に優れたタッチパネル用スペ
ーサーを提供することができる。
【0060】本発明におけるスペーサー材料を用いてパ
ターンを形成し、引き続いて加熱により硬化させ、タッ
チパネルの絶縁セパレータとしてスペーサーを作製す
る。本発明のスペーサーが用いられるタッチパネルの形
式は、ここでは2枚の透明導電性フィルム若しくは透明
導電基板を用いてスペーサーを介して電極を対向させた
ものであれば、如何なる方法においても使用することが
できる。例えば、透明タッチパネルの構成として、“透
明導電フィルムの製造と応用、第11〜13章”(シー
エムシー発行、田畑三郎監修、1986年)が例示され
る。前述のようにして透明導電基板若しくは透明導電フ
ィルム上にパターン形成されたスペーサーを絶縁セパレ
ーターとし、この上に対向する透明導電フィルムが張り
合わされて透明タッチパネルが形成される。
【0061】
【実施例】以下、合成例、実施例及び比較例に基づい
て、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明のA成分で
ある熱重合性化合物の合成について、合成例1〜14に
示した。
【0062】合成例1 500mlの四口フラスコ中に、ビスフェノールフルオ
レン型エポキシ樹脂231g(エポキシ当量231)、
トリエチルベンジルアンモニウムクロライド450m
g、2,6−ジ−イソブチルフェノール100mg及び
アクリル酸72.0gを仕込んで混合し、空気を吹き込
みながら(25ml/min.)90〜100℃で加熱
溶解した。次に、溶液が白濁したままで徐々に昇温さ
せ、120℃に加熱して完全に溶解させた。溶液は次第
に透明粘稠になり、そのまま攪拌を継続した。この溶液
の酸価を測定し、酸価が2.0mgKOH/g未満にな
るまで加熱攪拌を続けた。この酸価が目標に達するまで
8時間を要した(酸価0.8)。その後、室温まで冷却
し、無色透明な固体を得た。
【0063】次に、上記で得られたビスフェノールフル
オレン型エポキシアクリレート樹脂303gにセロソル
ブアセテート2kgを加えて溶液とした後、1,2,
3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38g、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン二酸無水物80.5g及び臭化テト
ラエチルアンモニウム1gを添加して混合し、徐々に昇
温させて110〜115℃で2時間反応させ、化合物1
(m/n=50/50)を得た。この酸無水物の反応は
IRスペクトルの1780cm-1ピークの消失により確
認した。また、得られた化合物のインヘレント粘度は
0.3dl/gであった(ηinh =0.3)。
【0064】合成例2 合成例1で製造したビスフェノールフルオレン型エポキ
シアクリレート樹脂303gを用い、セロソルブアセテ
ート2kgを加えて溶液とした後、1,2,3,6−テ
トラヒドロ無水フタル酸121.6g、ベンゾフェノン
テトラカルボン二酸無水物64.6g及び臭化テトラエ
チルアンモニウム1gを添加して混合し、徐々に昇温し
て110〜115℃で2時間反応させ、化合物2(m/
n=80/20)を得た。この酸無水物の反応は合成例
1と同様にIRスペクトルにより確認した。また、得ら
れた化合物のインヘレント粘度は0.2dl/gであっ
た(ηinh =0.2)。
【0065】合成例3 合成例1で製造したビスフェノールフルオレン型エポキ
シアクリレート樹脂303gを用い、セロソルブアセテ
ート2kgを加えて溶液とした後、1,2,3,6−テ
トラヒドロ無水フタル酸3.8g、ベンゾフェノンテト
ラカルボン二酸無水物153.8g及び臭化テトラエチ
ルアンモニウム1gを添加して混合し、徐々に昇温して
110〜115℃で2時間反応させ、化合物3(m/n
=0.5/99.5)を得た。酸無水物の反応はIRス
ペクトルにより確認した。また、得られた化合物のイン
ヘレント粘度は、0.3dl/gであった(ηinh
0.3)。
【0066】合成例4 合成例1で製造したビスフェノールフルオレン型エポキ
シアクリレート樹脂303gを用い、セロソルブアセテ
ート2kgを加えて溶液とした後、1,2,3,6−テ
トラヒドロ無水フタル酸144.4g、ベンゾフェノン
テトラカルボン二酸無水物16.1g及び臭化テトラエ
チルアンモニウム1gを添加して混合し、徐々に昇温し
て110〜115℃で2時間反応させ、化合物4(m/
n=95/5)を得た。酸無水物の反応はIRスペクト
ルにより確認した。また、得られた化合物のインヘレン
ト粘度は0.2dl/gであった(ηinh =0.2)。
【0067】合成例5 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ビフェニル型エポキシ樹脂153g(エ
ポキシ当量153)を用いた以外は、合成例1と同様に
操作することにより、酸無水物と反応した化合物5(m
/n=50/50)を得た。酸無水物の反応はIRスペ
クトルにより確認した。得られた化合物のインヘレント
粘度は0.2dl/gであった(ηinh =0.2)。
【0068】合成例6 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂163g
(エポキシ当量163)を用いた以外は、合成例1と同
様に操作することにより、酸無水物と反応した化合物6
(m/n=50/50)を得た。酸無水物の反応はIR
スペクトルにより確認した。得られた化合物のインヘレ
ント粘度は0.3dl/gであった(ηinh =0.
3)。
【0069】合成例7 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、スルホン型エポキシ樹脂181g(エポ
キシ当量181)を用いた以外は、合成例1と同様に操
作することにより、酸無水物と反応した化合物7(m/
n=50/50)を得た。酸無水物の反応はIRスペク
トルにより確認した。得られた化合物のインヘレント粘
度は0.3dl/gであった(ηinh =0.3)。
【0070】合成例8 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ヘキサフルオロプロパン型エポキシ樹脂
221g(エポキシ当量221)を用いた以外は、合成
例1と同様に操作することにより、酸無水物と反応した
化合物8(m/n=50/50)を得た。酸無水物の反
応はIRスペクトルにより確認した。得られた化合物の
インヘレント粘度は0.4dl/gであった(ηinh
0.4)。
【0071】合成例9 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ジメチルシラン型エポキシ樹脂163g
(エポキシ当量163)を用いた以外は、合成例1と同
様に操作することにより、酸無水物と反応した化合物9
(m/n=50/50)を得た。酸無水物の反応はIR
スペクトルにより確認した。得られた化合物のインヘレ
ント粘度は0.2dl/gであった(ηinh =0.
2)。
【0072】合成例10 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ビフェニルメタン型エポキシ樹脂156
g(エポキシ当量156)を用いた以外は、合成例1と
同様に操作することにより、酸無水物と反応した化合物
10(m/n=50/50)を得た。酸無水物の反応は
IRスペクトルにより確認した。得られた化合物のイン
ヘレント粘度は0.4dl/gであった(ηinh =0.
4)。
【0073】合成例11 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ビフェニルプロパン型エポキシ樹脂17
0g(エポキシ当量170)を用いた以外は、合成例1
と同様に操作することにより、酸無水物と反応した化合
物11(m/n=50/50)を得た。酸無水物の反応
はIRスペクトルにより確認した。得られた化合物のイ
ンヘレント粘度は0.4dl/gであった(ηinh
0.4)。
【0074】合成例12 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
アクリレート樹脂に代えて、ビフェニルエーテル型エポ
キシ樹脂157g(エポキシ当量157)を用いた以外
は、合成例1と同様に操作することにより、酸無水物と
反応した化合物12(m/n=50/50)を得た。酸
無水物の反応はIRスペクトルにより確認した。得られ
た化合物のインヘレント粘度は0.3dl/gであった
(ηinh=0.3)。
【0075】合成例13 合成例1で製造したビスフェノールフルオレン型エポキ
シアクリレート樹脂303gを用い、セロソルブアセテ
ート2kgを加えて溶液とした後、1,2,3,6−テ
トラヒドロ無水フタル酸76.0gと臭化テトラエチル
アンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して95〜10
0℃,4時間反応させ、化合物13(m/n=100/
0)を得た。酸無水物の反応はIRスペクトルにより確
認した。得られた化合物のインヘレント粘度は0.15
dl/gであった(ηinh =0.15)。
【0076】合成例14 合成例1におけるビスフェノールフルオレン型エポキシ
樹脂に代えて、ビフェニル型エポキシ樹脂153g(エ
ポキシ当量153)を用いた以外は、合成例13と同様
に操作することにより、酸無水物と反応した化合物14
(m/n=100/0)を得た。酸無水物の反応はIR
スペクトルにより確認した。得られた化合物のインヘレ
ント粘度は0.16dl/gであった(ηinh =0.1
6)。
【0077】次に、C成分であるスピロオルソエステル
化合物について、その合成例15〜19を示す。 合成例15 攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを装着し
た4ツ口フラスコに塩化メチレン50gとγ−ブチロラ
クトン17.2g(0.2mol)とを仕込み、得られ
た溶液を10℃に冷却しながら、三フッ化ホウ素−ジエ
チルエーテル錯体0.80mol(0.0062mo
l)を添加した。次に、反応液温度を5〜10℃に保ち
ながら、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エ
ポキシ当量260)26.0g(0.1当量)と塩化メ
チレン200gの混合液を攪拌下に5時間かけて滴下
し、反応を行った。滴下終了後、更に3時間温度を一定
に保ちながら攪拌を行った後、トリエチルアミン(反応
停止剤)0.72g(0.0072mol)を加え、次
に過剰のγ−ブチロラクトンを除去するために反応液を
6%水酸化ナトリウム水溶液500mlで2回アルカリ
洗浄し、更に蒸留水500mlで2回洗浄を行った。有
機層を分離し、硫酸マグネシウムで脱水した後、脱溶媒
することによりγ−ブチロラクトンカルド型付加体(化
合物15)を得た。得られた生成物の収量は30.4g
(収率は88%)であった。
【0078】合成例16 γ−ブチロラクトンに代えてε−カプロラクトンを用
い、合成例15と同様にして化合物16を得た。収率は
79%であった。
【0079】合成例17 ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂
に代えてビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポ
キシ樹脂(油化シェル製エピコート828、エポキシ当
量190)を用い、合成例15と同様にして化合物17
を得た。
【0080】合成例18 ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂
に代えてクレゾールノボラックのグリシジルエーテル型
エポキシ樹脂、γ−ブチロラクトンにかえてε−カプロ
ラクトンを用い、合成例15と同様にして化合物18を
得た。
【0081】合成例19 ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂
に代えて脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学製2021
P)を使用し、また、γ−ブチロラクトンにかえてε−
カプロラクトンを用い、合成例15と同様にして化合物
19を得た。
【0082】実施例1〜22及び比較例1〜2 上記合成例1〜14で得られた(A)成分、(B)成
分、及び、上記合成例15〜19で得られた(C)成分
と、更に必要に応じて配合される重合性アクリルモノマ
ー若しくはオリゴマー及び有機溶剤とを、それぞれ以下
に示す配合割合(重量部)で混合して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を、脱脂洗浄した厚さ1.2mm
のガラス板上に約2μmの厚さに塗布して乾燥させた
後、熱風乾燥機を用いて200℃で60分間加熱乾燥処
理を行った。得られた塗膜表面は非常に平滑であった。
【0083】得られたサンプルについて、塗膜の乾燥
性、塗膜硬度、基板との密着性、硬化時の膜厚減少、耐
熱性、耐薬品性を評価した。結果を表1に示す。更に、
ネサガラス(ITO蒸着したガラス)に対する密着性に
ついても同様に評価した。結果を表1に示す。この表1
に示す結果から分かるように、実施例1〜22において
は、何れも良好な結果を示した。
【0084】更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ネ
サガラス等のITO上で、耐熱性、透明性、密着性、硬
度、耐溶剤性、耐アルカリ性、平滑性等に優れた硬化物
を提供可能であり、このことからタッチパネル用スペー
サー材料として有用であることがわかる。一方、比較例
1では、スピロオルソエステル化合物に代えてエポキシ
化合物を配合したが、上記各実施例に比べて膜厚減少が
多いことが判明した。また、C成分を含まない比較例2
では、加熱硬化後の耐アルカリ性に問題があることが分
かった。
【0085】 実施例1(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0086】 実施例2(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 化合物16 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0087】 実施例3(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 化合物17 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0088】 実施例4(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 化合物18 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0089】 実施例5(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 化合物19 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0090】 実施例6(m/n=80/20) 成分 割合(重量部) 化合物2 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0091】 実施例7(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物5 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0092】 実施例8(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物6 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0093】 実施例9(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物7 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0094】 実施例10(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物8 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0095】 実施例11(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物9 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0096】 実施例12(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物10 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0097】 実施例13(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物11 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0098】 実施例14(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物12 20 化合物15 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0099】 実施例15(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物5 20 化合物17 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0100】 実施例16(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物5 20 化合物18 4 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 75.3 合計 100
【0101】 実施例17(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物1 20 ジペンタエリスリトール 8.6 化合物15 4.4 ベンゾイルパーオキサイド 1.4 セロソルブアセテート 65.6 合計 100
【0102】 実施例18(m/n=50/50) 成分 割合(重量部) 化合物5 16 化合物15 12 ベンゾイルパーオキサイド 0.6 2MA−OK(四国化成社製) 0.1 セロソルブアセテート 71.3 合計 100
【0103】 実施例19(m/n=0.5/99.5) 成分 割合(重量部) 化合物3 20 化合物16 8 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 70.9 合計 100
【0104】 実施例20(m/n=100/0) 成分 割合(重量部) 化合物4 20 化合物16 8 ベンゾイルパーオキサイド 1.0 2MA−OK(四国化成社製) 0.1 セロソルブアセテート 70.9 合計 100
【0105】 実施例21(m/n=100/0) 成分 割合(重量部) 化合物13 20 化合物15 8 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 71.3 合計 100
【0106】 実施例22(m/n=100/0) 成分 割合(重量部) 化合物14 20 化合物16 8 ベンゾイルパーオキサイド 0.6 2MA−OK(四国化成社製) 0.1 セロソルブアセテート 71.3 合計 100
【0107】比較例1 成分 割合(重量部) 化合物1 20 テトラメチルビフェノール型エポキシ 3 ベンゾイルパーオキサイド 0.6 2MA−OK(四国化成社製) 0.1 セロソルブアセテート 76.3 合計 100
【0108】比較例2 成分 割合(重量部) 化合物1 20 ベンゾイルパーオキサイド 0.7 セロソルブアセテート 79.3 合計 100
【0109】なお、上記各種物性のデータは、下記の条
件で測定した。 (1)塗膜の乾燥性 塗膜の乾燥性は、JIS−5400に準じて評価した。
評価のランクは次の通りである。 ○:全くタックが認められないもの △:わずかにタックが認められるもの ×:顕著にタックが認められるもの
【0110】(2)塗膜硬度 塗膜乾燥した後、200℃で30分間加熱した塗膜の硬
度を、JIS−K5400の試験法に準じて、鉛筆硬度
試験機を用いて荷重1kgをかけた際の塗膜にキズが付
かない最も高硬度をもって表示した。使用した鉛筆は
「三菱ハイユニ」である。
【0111】(3)基板との密着性 塗膜乾燥した後、200℃で30分間加熱した塗膜に、
少なくとも100個の基盤目を作るようにクロスカット
を入れて、次いでセロテープを用いてピーリング試験を
行い、基盤目の剥離の状態を目視によって評価した。評
価のランクは次の通りである。 ○:全く剥離が認められないもの ×:剥離が少しでも認められるもの
【0112】(4)膜厚減少率 塗膜乾燥後の膜厚d、200℃で30分間加熱した後の
塗膜の膜厚Dより膜厚減少率を次式で定義した。 膜厚減少率(%)=100{1−(D/d)}
【0113】(5)耐熱性 塗膜乾燥した後、200℃で30分間加熱した塗膜を2
50℃,3時間オーブンに入れ塗膜の状態を評価した。
評価のランクは次の通りである。 ○:塗膜の外観に異常なし ×:塗膜の外観にわれ、剥離、着色あり。
【0114】(6)耐薬品性 塗膜乾燥した後、200℃で30分間加熱した塗膜を、
下記の薬品に下記の条件で浸漬し、浸漬後の外観及び密
着性を評価した。 耐酸性 :5%HCl中24時間 耐アルカリ性:5%NaOH中24時間浸漬 4%KOH中50℃−10min.1%NaOH中80
℃−5min. 耐溶剤性 :NMP中40℃−10min.NMP中
80℃−5min.(NMP:N−メチル−ピロリド
ン)
【0115】(7)透明性 塗膜を塗布したものと同じガラス板をレファレンスとし
て、耐熱性試験、耐薬品性試験前後における400〜8
00nmの波長における吸収スペクトルを測定した。 ○:全領域で95%以上 ×:95%未満になる。
【0116】実施例23 実施例17に示した組成のワニスと予め有機溶剤に分散
した顔料とを混合し、分散処理を行ってカラーフィルタ
ー用インクを作製した。使用した顔料は、CFカラーレ
ッドEX−274、CFカラーグリーンEX−276、
CFカラーブルーEX−275、CFカラーブラックE
X−277(御国色素製)である。このとき、顔料粒子
径は各色0.3μmになるように、分散を行った。各色
の組成の重量比を表2に示す。
【0117】次に、透明基板として中性洗剤、水洗、イ
ソプロピルアルコール・フロン洗浄したガラス基板を用
い、各インクをスピンコーターにより基板上に塗布し、
80℃にて乾燥した後、熱風乾燥機を用いて200℃で
30分間加熱乾燥処理を行った。このときの、膜厚は
R、G、B、ブラックマトリックスとも2±0.1μm
であった。
【0118】比較例3 ポリビニルアルコール(日本合成製EG−30)6重量
部、重クロム酸アンモニウム0.5重量部、クロムミョ
ウバン0.3重量部及び水93.2重量部からなる感光
性染色基材を用い、染料として赤24P、緑1P、青5
Cを用いて表3の条件で染色した。プリベークは、60
℃、10分、塗布順序は、R−G−Bで行った。このと
きの各画素の膜厚は、R、G、B共に1.5±0.2μ
mであった。
【0119】上記実施例23と比較例3のカラーフィル
ターをキセノンフェードメーターによる耐光性試験にか
け、1,000時間後のLabによる△E(色差)を調べ
た。結果を表4に示す。比較例3に比べて、実施例23
の方が明らかに△Eが小さく、耐光性の信頼性に優れて
いることが判明した。
【0120】比較例4 カラーモザイク(フジハント製R、G、B)を用い、比
較例3と同様の方法でカラーフィルターを作製した。プ
リベークは、90℃で5分間、現像は指定現像液を使用
し、各画素の膜厚は、R,G,Bとも2±0.1μmで
あった。
【0121】上記実施例23と比較例4のカラーフィル
ターを、耐熱性試験(280℃、1時間)にかけ、分光
透過率のピーク値の低下及び膜厚の減少率を調べた。結
果を表5に示す。
【0122】実施例24 実施例1〜22で調製した樹脂組成物を用いてカラーフ
ィルター基材への適性を調べた。試験法は下記の通りで
ある。比較例4と同様にしてカーフィルター基材を作成
し、この基材上への前記樹脂組成物をスピンコートによ
り塗布し、80℃にて10分間乾燥後、熱風乾燥機を用
いて200℃で30分間加熱乾燥処理を行った。得られ
た塗膜表面は非常に平滑であった。
【0123】このようにして作製された保護膜付カラー
フィルター上に、インジウムチンオキシド(ITO)を
常法により蒸着した後、フォトリソグラフィーによりパ
ターニングした。このITOのパターンを有するカラー
フィルターを光学顕微鏡で詳細に観察したが、カラーフ
ィルターや保護膜にしわ、クラック等は全く認められ
ず、カラーフィルターと保護膜との接着性、密着性も良
好であった。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】以上の結果より本発明の熱硬化性樹脂組成
物は、耐熱性、透明性、密着性、硬度、耐溶剤性、耐ア
ルカリ性、平滑性等に優れる硬化物、被膜そしてカラー
フィルターを提供することがわかる。
【0130】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いる
と、溶媒乾燥後に塗膜がタックフリーとなり、しかも、
硬化収縮が比較的小さいために、硬化時の寸法安定性に
優れ、更には密着性、透明性、耐熱性、耐酸性、耐アル
カリ性、耐溶剤性、平坦性、表面硬度等にも優れた塗
膜、硬化物を与える。従って、表面保護層としてその上
にITO等の透明電極を形成するのに適しており、しか
も、極めて平滑で透明性に優れているので、カラーフィ
ルター用材料として用いた場合に鮮明な画像を得ること
ができる。
【0131】また、本熱硬化性樹脂組成物をタッチパネ
ル用スペーサー材料として用いると、熱処理時の膜厚減
少、パターン幅の減少が少ないこと、スペーサーの表面
硬度や透明性に優れたものとなるために基本キーマトリ
ックスを小さく取ること、ペン入力が可能となり、タッ
チパネルのキー数、配置を柔軟に得られ、多様な入力情
報に対応できること、等の利点を有するものとなる。更
に、形成される被膜は基板との密着性、耐薬品性に優れ
るので、プリント配線板関連の層間絶縁材料、光学部
材、接着剤、塗料、スクリーン印刷用のインキ等の幅広
い分野に本発明の樹脂組成物やその硬化物を使用して
も、高い信頼性を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/038 503 G06F 3/033 360 7165−5B (72)発明者 古川 雅也 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内 (72)発明者 寺本 武郎 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン性不飽和二重結合とカル
    ボキシル基を有する熱重合性化合物100重量部当り、
    (B)熱によりラジカルを発生する重合開始剤を0.1
    〜10重量部と、(C)下記一般式(1) 【化1】 (但し、式中pは3〜5の整数である)で表されるスピ
    ロオルソエステル基を1分子中に2つ以上有するスピロ
    オルソエステル化合物を5〜100重量部とを含むこと
    を特徴とする低硬化収縮性の熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱重合性化合物が、エポキシ化合物と
    (メタ)アクリル酸との反応物を更に多塩基酸カルボン
    酸又はその無水物と反応させて得られる生成物である請
    求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱重合性化合物が、下記一般式(2)及
    び(3) 【化2】 〔但し、一般式(2)及び(3)において、R1 及びR
    2 は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン
    原子のいずれかであり、R3 は水素原子又はメチル基で
    あり、Xは−CO−、−SO2 −、−C(CF3
    2 −、−Si(CH32 −、−CH2 −、−C(CH
    3 2 −、−O−、 【化3】 若しくは不存在を示し、Yは酸無水物の残基を示し、Z
    は酸二無水物の残基を示し、構造単位m:nはモル比で
    0/100〜100/0の割合である)で表される単位
    構造を主とする化合物からなり、当該化合物の0.5g
    をN−メチルピロリドン100mlに溶解した溶液を3
    0℃で測定したインヘレント粘度(ηinh)が0.1d
    l/g以上である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 スピロオルソエステル化合物が、下記一
    般式(4) 【化4】 〔但し、式中Aは下記式 【化5】 (但し、式中R1 、R2 は一般式(2)及び(3)と同
    じものを示す)であり、qは0又は1〜10の整数であ
    り、pは一般式(1)と同じものを示す〕で表されるフ
    ルオレン基含有のオルソスピロエステル化合物である請
    求項1〜3の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 スピロオルソエステル化合物が、一分子
    中に3個以上のスピロオルソエステル基を有する化合物
    を含有する請求項1〜3の何れかに記載の熱硬化性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の何れかに記載の熱硬
    化性樹脂組成物を硬化させて得られたものであることを
    特徴とする硬化物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5記載の何れかに記載の熱硬
    化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするカラーフィル
    ター用材料。
  8. 【請求項8】 (A)エチレン性不飽和二重結合とカル
    ボキシル基を有する熱重合性化合物100重量部当り、
    (B)熱によりラジカルを発生する重合開始剤を0.1
    〜10重量部と、(C)一般式(1)で表されるスピロ
    オルソエステル基を1分子中に2つ以上有するスピロオ
    ルソエステル化合物を5〜100重量部と、(D)前記
    熱重合性化合物とスピロオルソエステル化合物の合計1
    00重量部に対して顔料10〜200重量部とを分散さ
    せたことを特徴とするカラーフィルターインキ。
  9. 【請求項9】 請求項7及び/又は8記載の硬化物を用
    いたカラフィルター。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5記載の何れかに記載の熱
    硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするタッチパネ
    ル用スペーサー材料。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のスペーサー材料を硬
    化させて得られたタッチパネル。
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