JP5333438B2 - 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体および固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Description
(1)多孔質微細構造を有する延伸膨張テトラフルオロエチレン膜にイオン交換樹脂を含浸させた厚さ約25μm以下の薄い複合膜(特許文献1)
(2)無作為に配向した個々の繊維の多孔質体内にイオン伝導性ポリマーを含ませた複合膜(特許文献2)。
(3)固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、導電性ナノ繊維を含む補強材を配置した膜電極接合体(特許文献3)。
(2)の複合膜も、充分な化学安定性および量産性を有する多孔質体を選定した場合、補強されていない膜に比べて、イオン伝導性が低下してしまい、特に低加湿条件での発電性能が低くなる問題がある。
(3)の膜電極接合体においては、寸法安定性および機械的強度はいまだ不充分であり、特に固体高分子電解質膜の厚さが25μm以下の場合には、前記膨潤と収縮との繰り返しに耐えうることができない。
前記補強層は、結着剤をさらに含み、該結着剤は、含フッ素イオン交換樹脂であることが好ましい。
前記導電性ファイバーはカーボンファイバーであり、該カーボンファイバーの平均繊維径は、50〜300nmであり、平均繊維長は、5〜30μmであることが好ましい。
前記シート状補強材は、複数の細孔を有し、かつ平均細孔径は、0.4〜7μmであることが好ましい。
前記シート状補強材は、複数の繊維からなり、かつ該繊維の平均繊維径は、0.2〜7μmであることが好ましい。
前記シート状補強材は、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルムであることが好ましい。
前記補強層に接して、中間層をさらに有することが好ましい。
前記固体高分子電解質膜のEWは、900g/当量以下であることが好ましい。
前記固体高分子電解質膜は、下式(U1)で表される繰り返し単位と下式(U2)で表される繰り返し単位とを有し、当量重量が400〜900g/当量であるポリマー(Q)からなる固体高分子電解質膜であることが好ましい。
固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の周縁部に配置されたフレーム状のサブガスケットをさらに有していてもよい。
本発明の固体高分子形燃料電池は、低加湿条件においても安定的発電が可能であり、加湿器などの周辺機器を簡素化することができることから、コスト的、小型化に有利である。
20 カソード
22 触媒層
24 補強層
26 ガス拡散層
28 中間層
30 アノード
32 触媒層
34 補強層
36 ガス拡散層
38 中間層
80 サブガスケット
また、本明細書においては、式(2)で表される化合物を化合物(2)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)は、カソードまたはアノードの少なくとも一方が補強層を有し、この補強層で固体高分子電解質膜を外側から補強することにより、固体高分子電解質膜の寸法変化を充分に抑えつつ、固体高分子電解質膜を内部から補強する場合に比べて抵抗の上昇を抑えて発電特性を向上させることができる。特に、低加湿条件での発電特性を高くすることができる。
触媒層22および触媒層32(以下、まとめて触媒層とも記す。)は、触媒およびイオン交換樹脂を含む層である。触媒層22および触媒層32は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
カーボン担体の比表面積は、200m2/g以上が好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置により、カーボン表面への窒素吸着により測定する。
白金または白金合金の担持量は、担持触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
ポリマー(H)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位と、単位(1)とを有するコポリマーである。
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
CF2=CFO(CF2)n1SO2F ・・・(2−1)、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)n2SO2F ・・・(2−2)、
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m3O(CF2)n3SO2F ・・・(2−3)。
ただし、n1、n2、n3は1〜8の整数であり、m3は1〜3の整数である。
ポリマー(Q)は、単位(U1)と単位(U2)とを有するコポリマーである。
単結合は、CY1またはCY2の炭素原子と、SO2のイオウ原子とが直接結合していることを意味する。
有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
Q1、Q2のパーフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、パーフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
パーフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料の含フッ素モノマーの沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。また、炭素数が6以下であれば、ポリマー(Q)の当量重量の増加が抑えられ、プロトン伝導率の低下が抑えられる。
Q1、Q2の少なくとも一方は、エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基を有する含フッ素モノマーは、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
パーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が好ましい。
単位(U1)が2つ以上のRf1を有する場合、Rf1は、それぞれ同じ基であってもよく、それぞれ異なる基であってもよい。
−(SO2X1(SO2Rf1)a)−H+基としては、スルホン酸基(−SO3 −H+基)、スルホンイミド基(−SO2N(SO2Rf1)−H+基)、またはスルホンメチド基(−SO2C(SO2Rf1)2)−H+基)が挙げられる。
Y1としては、フッ素原子、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Q3のパーフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、パーフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
パーフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、ポリマー(Q)の当量重量の増加が抑えられ、プロトン伝導率の低下が抑えられる。
パーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が好ましい。
−(SO2X2(SO2Rf2)b)−H+基としては、スルホン酸基(−SO3 −H+基)、スルホンイミド基(−SO2N(SO2Rf2)−H+基)、またはスルホンメチド基(−SO2C(SO2Rf2)2)−H+基)が挙げられる。
Y2としては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
ポリマー(Q)は、さらに、後述する他のモノマーに基づく繰り返し単位(以下、他の単位と記す。)を有していてもよい。他の単位の割合は、ポリマー(Q)の、当量重量が後述の好ましい範囲となるように、適宜調整すればよい。
TFEに基づく繰り返し単位の割合は、機械的強度および化学的な耐久性の点から、ポリマー(Q)を構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。
TFEに基づく繰り返し単位の割合は、電気抵抗の点から、ポリマー(Q)を構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、92モル%以下が好ましく、87モル%以下がより好ましい。
ポリマー(Q)は、化学的な耐久性の点から、パーフルオロポリマーであることが好ましい。
従来から汎用的に用いられているポリマーのEWは、電気抵抗と機械的強度とのバランスから、900〜1100g/当量とされている。一方、ポリマー(Q)においては、EWを小さくして、電気抵抗を下げても、機械的強度を保持できる。
ポリマー(Q)の質量平均分子量は、−SO2F基を有する前駆体ポリマーのTQ値を測定することにより評価できる。TQ値(単位:℃)は、ポリマーの分子量の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件で前駆体ポリマーの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm3/秒となる温度である。たとえば、TQ値が200〜300℃であるポリマーは、ポリマーを構成する繰り返し単位の組成で異なるが、質量平均分子量が1×105〜1×106に相当する。
ポリマー(Q)は、たとえば、下記の工程を経て製造できる。
(i)化合物(u1)、化合物(u2)、および必要に応じて他のモノマーを重合し、−SO2F基を有する前駆体ポリマー(以下、ポリマー(P)と記す。)を得る工程。
(iii)ポリマー(P)の−SO2F基をスルホン酸基、スルホンイミド基、またはスルホンメチド基に変換し、ポリマー(Q)を得る工程。
化合物(u1)としては、化合物(m1)が好ましく、化合物(m11)、化合物(m12)または化合物(m13)がより好ましい。
CF2=CF−(OCF2CFZ)u−O−Rf ・・・(m3)、
CF2=CF−O−(CF2)vCF3 ・・・(m31)、
CF2=CF−OCF2CF(CF3)−O−(CF2)wCF3 ・・・(m32)、
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))x−O−(CF2)2CF3 ・・・(m33)。
ただし、Zは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Rfは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基であり、uは、0〜3の整数であり、vは、1〜9の整数であり、wは、1〜9の整数であり、xは、2または3である。
他のモノマーのうち、機械的強度および化学的な耐久性の点から、パーフルオロモノマーが好ましく、TFEがより好ましい。
重合は、ラジカルが生起する条件で行われる。ラジカルを生起させる方法としては、紫外線、γ線、電子線等の放射線を照射する方法、ラジカル開始剤を添加する方法等が挙げられる。
ラジカル開始剤としては、ビス(フルオロアシル)パーオキシド類、ビス(クロロフルオロアシル)パーオキシド類、ジアルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシルパーオキシド類、パーオキシエステル類、アゾ化合物類、過硫酸塩類等が挙げられ、不安定末端基が少ないポリマーFが得られる点から、ビス(フルオロアシル)パーオキシド類等のパーフルオロ化合物が好ましい。
非イオン性のラジカル開始剤としては、ビス(フルオロアシル)パーオキシド類、ビス(クロロフルオロアシル)パーオキシド類、ジアルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシルパーオキシド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキシド類、ビス(フルオロアルキル)パーオキシド類、アゾ化合物類等が挙げられる。
分散媒には、助剤として前記溶媒;懸濁粒子の凝集を防ぐ分散安定剤として界面活性剤;分子量調整剤として炭化水素系化合物(ヘキサン、メタノール等。)等を添加してもよい。
不安定末端基とは、連鎖移動反応によって形成される基、ラジカル開始剤に基づく基等であり、具体的には、−COOH基、−CF=CF2基、−COF基、−CF2H基等である。不安定末端基をフッ素化または安定化することにより、ポリマー(Q)の分解が抑えられ、耐久性が向上する。
ポリマー(P)とフッ素ガスとを接触させる際の温度は、室温〜300℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、100〜220℃がさらに好ましく、150〜200℃が特に好ましい。
ポリマー(P)とフッ素ガスとの接触時間は、1分〜1週間が好ましく、1〜50時間がより好ましい。
たとえば、−SO2F基をスルホン酸基に変換する場合は、工程(iii−1)を行い、−SO2F基をスルホンイミド基に変換する場合は、工程(iii−2)を行う。
(iii−1)ポリマー(P)の−SO2F基を加水分解してスルホン酸塩とし、スルホン酸塩を酸型化してスルホン酸基に変換する工程。
(iii−2)ポリマー(P)の−SO2F基をイミド化して塩型のスルホンイミド基(−SO2NMSO2Rf1基)(ただし、Mは、アルカリ金属または1〜4級のアンモニウムである。)とし、さらに酸型化して酸型のスルホンイミド基(−SO2NHSO2Rf1基)に変換する工程。
加水分解は、たとえば、溶媒中にてポリマー(P)と塩基性化合物とを接触させて行う。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。溶媒としては、水、水と極性溶媒との混合溶媒等が挙げられる。極性溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール等。)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
酸型化は、たとえば、スルホン酸塩を有するポリマーを、塩酸、硫酸等の水溶液に接触させて行う。
加水分解および酸型化は、通常、0〜120℃にて行う。
イミド化としては、下記の方法が挙げられる。
(iii−2−1)−SO2F基と、Rf1SO2NHMとを反応させる方法。
(iii−2−2)アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、MF、アンモニアまたは1〜3級アミンの存在下で、−SO2F基と、Rf1SO2NH2とを反応させる方法。
(iii−2−3)−SO2F基と、Rf1SO2NMSi(CH3)3とを反応させる方法。
酸型化は、塩型のスルホンイミド基を有するポリマーを、酸(硫酸、硝酸、塩酸等。)で処理することにより行う。
化合物(u1’)、(u2’)は、化合物(u1)、(u2)の不飽和結合に塩素または臭素を付加し、−SO2F基を工程(iii−2)と同様の方法でスルホンイミド基に変換した後、金属亜鉛を用いて脱塩素または脱臭素反応を行うことにより製造できる。
単位(U1)の側鎖は二つのイオン性基を有しており、一つのイオン性基を側鎖に有する単位(U2)にくらべて側鎖の運動性が低い。そのため、単位(U2)を有し、かつ単位(U1)を有さないポリマーに比べて、単位(U1)と単位(U2)とを有するポリマー(Q)の軟化温度が高くなると考えられる。また、単位(U2)の側鎖は、ポリマーの主鎖の屈曲性を高める効果があるため、単位(U1)を有し、かつ単位(U2)を有さないポリマーに比べて、単位(U1)と単位(U2)とを有するポリマー(Q)は、柔軟性が高いと考えられる。
触媒層の厚さは、触媒層の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)等によって観察することにより測定する。
撥水化剤としては、TFEとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、TFEとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)等が挙げられる。撥水化剤としては、触媒層を撥水化処理しやすい点から、溶媒に溶解できる含フッ素ポリマーが好ましい。
撥水化剤の量は、触媒層(100質量%)中、0.01〜30質量%が好ましい。
補強層24および補強層34(以下、まとめて補強層とも記す。)は、ポリマーからなる多孔質のシート状補強材と、導電性ファイバーと、必要に応じて結着剤とを含む層である。補強層24および補強層34は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
多孔質フィルムとしては、PTFEからなる多孔質フィルムが好ましい。PTFEからなる多孔質フィルムは、PTFEフィルムを延伸して製造される。該製造方法によれば、量産性、製造コストに優れ、100μm以下の薄いフィルムを製造できる。
シート状補強材の平均繊維径は、SEM等によって表面を観察することにより測定する。
シート状補強材の平均細孔径は、バブルポイント法(JIS K3832)で測定できる。
シート状補強材の厚さは、デジマチックインジケータ(Mitutoyo社製、543−250、フラット測定端子:φ5mm)を用いて4箇所の厚さを測定し、これらを平均して算出する。
カーボンファイバーとしては、微細でかつ電子伝導性が高い点から、カーボンナノファイバーが好ましい。カーボンナノファイバーとしては、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等。)等が挙げられる。
カーボンファイバーの繊維径および繊維長は、光学顕微鏡、SEM、TEM(透過型電子顕微鏡)等による観察により測定する。カーボンナノファイバーの繊維径および繊維長は、それぞれ、カーボンナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長を示す。
補強層の厚さは、補強層の断面をSEM等によって観察することにより測定する。
ガス拡散層26およびガス拡散層36(以下、まとめてガス拡散層とも記す。)としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等のガス拡散性基材が挙げられる。
本発明の膜電極接合体においては、ガス拡散層を設けた場合、ガス拡散層を構成する繊維等が、固体高分子電解質膜に突き刺さる等の物理的なダメージを補強層によって防ぐことができる。これにより膜電極接合体の短絡を抑えることができ、膜電極接合体の耐久性をより向上させることができる。
さらに、補強層が触媒層とガス拡散層との間に存在することにより、ガス拡散層を構成する繊維等による触媒層や固体高分子電解質膜の両方への物理的ダメージを防ぐことができ、膜電極接合体の短絡をより一層抑え、膜電極接合体の耐久性をさらに向上させることができる。
ガス拡散層の表面は、膜電極接合体の導電性の点から、撥水性の含フッ素ポリマーおよび導電性カーボンを含む分散液よって撥水処理されていることがより好ましい。
ガス拡散層の撥水処理された表面が、触媒層、補強層、または後述の中間層に接する。
ガス拡散層の厚さは、デジマチックインジケータ(Mitutoyo社製、543−250、フラット測定端子:φ5mm)を用いて4箇所の厚さを測定し、これらを平均して算出する。
本発明の膜電極接合体は、触媒層と補強層との間に、導電性ファイバーと結着剤とを含み、シート状補強材を含まない中間層(図示略)を有していてもよい。また、図2に示すように、補強層とガス拡散層との間に、同様に中間層28および中間層38(以下、まとめて中間層とも記す。)を有していてもよい。
中間層の厚さは、中間層の断面をSEM等によって観察することにより測定する。
固体高分子電解質膜40は、イオン交換樹脂の膜である。
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン性基を有するパーフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましく、ポリマー(H)またはポリマー(Q)がさらに好ましく、ポリマー(Q)が特に好ましい。ポリマー(Q)の膜は、従来のイオン交換樹脂の膜よりも高い軟化温度を有し、かつ柔軟性が高いため、電気抵抗が低く、従来のイオン交換樹脂の膜よりも高い耐熱性を有し、かつ湿潤状態における膨潤と乾燥状態における収縮とを繰り返しても破損しにくい。
固体高分子電解質膜40の厚さは、固体高分子電解質膜40の断面をSEM等によって観察することにより測定する。
滴定によりあらかじめEWがわかっている2種のポリマー(EWが1000g/当量のものと909g/当量のもの)を用意し、それぞれのポリマーからなる2種の膜(厚さ200μm)について、蛍光X線(リガク社製、RIX3000)を用いてイオウ原子に基づくピーク強度を測定し、該ピーク強度とEWとの関係を示す検量線を作成する。ポリマー(P)またはポリマー(F)を、後述するTQ値の温度でプレスして厚さ200μmの膜を作製し、蛍光X線でイオウ原子に基づくピーク強度を測定し、前記検量線にてEWを求める。なお、ポリマー(P)またはポリマー(F)の−SO2F基の割合(モル比)と、ポリマー(Q)またはポリマー(H)の−SO3H基の割合(モル比)は同じであるため、ポリマー(P)またはポリマー(F)のEWは、そのままポリマー(Q)またはポリマー(H)のEWとして扱うことができる。
本発明の膜電極接合体は、図3に示すように、膜電極接合体10の周縁部の固体高分子電解質膜40および補強層を挟み込むように配置された2つのフレーム状のサブガスケット80を有していてもよい。サブガスケット80は、外縁部が固体高分子電解質膜40の周縁部と接し、内縁部が補強層の周縁部とガス拡散層の周縁部との間に挟まれている。
サブガスケット80は、外縁部が固体高分子電解質膜40と接することができる大きさを有し、かつ開口部の面積が補強層、ガス拡散層の面積よりも小さくされたものである。この際、固体高分子電解質膜40の面積は、補強層、ガス拡散層の面積よりも大きくされている。
サブガスケット80の材料としては、非フッ素系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等。)、含フッ素樹脂(PTFE、ETFE、FEP、PFA等。)等が挙げられる。
固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在するすべての界面における90°剥離強度は、0.1N/cm以上が好ましく、0.3N/cm以上がより好ましく、0.5N/cm以上がさらに好ましい。該界面は、固体高分子電解質膜40と触媒層との界面および触媒層と補強層との界面である。中間層を有する場合の該界面は、固体高分子電解質膜40と触媒層との界面、触媒層と中間層との界面および中間層と補強層との界面である。
(手順1)補強層/(中間層)/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/(中間層)/補強層からなる、幅10mm×長さ80mmの試験片を作製する。
(手順2)図4に示すように、試験片の末端から長さ方向の60mmまでの補強層24(34)の表面に、長さ120mmの片面粘着テープ52を粘着させる。
なお、片面粘着テープ52としては、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在するすべての界面における90°剥離強度よりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
(手順3)図4に示すように、片面粘着テープ52を粘着させてない側の補強層34(24)の全面を、幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのアルミニウム板54に両面粘着テープ56で貼り付ける。
なお、両面粘着テープ56としては、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在するすべての界面における90°剥離強度よりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
そして、片面粘着テープ52の末端を、直径6mmのステンレス製のローラ58を介して、引張り試験機(図示略)の試料取り付け部に挟持する。
(手順4)挟持された片面粘着テープ52の末端を、試験片に対して垂直方向に、速度50mm/分で引っ張り、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在する界面のうちの最初に剥離した界面の剥離強度を測定する。
90°剥離強度は、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在する界面のうちの最初に剥離し始めた界面が完全に剥離するまでの強度を、ロードセルを介して測定してパソコンに記録し、測定された強度の中で、該強度の値が安定している部分、すなわち剥離強度の測定の開始時と終了時の値を除いた部分について平均値を求めてそれを剥離強度とし、剥離強度の3回の平均値を算出し、この平均値を、試験片の幅10mmで除して求められる。
膜電極接合体10の絶縁抵抗は、1500Ω/cm2以上が好ましい。該絶縁抵抗が1500Ω/cm2未満では、ガス拡散層を構成する繊維等が固体高分子電解質膜40に食い込み、または貫通しているため、アノードとカソードが電気的に短絡していることが考えられ、該短絡箇所を流れる電流による局所発熱や、該短絡箇所でのガスリークによって反応ガスが直接燃焼することによる局所的な温度上昇によって、固体高分子電解質膜40にしだいに大きな穴を生じさせる可能性が高くなる。絶縁抵抗が1500Ω/cm2以上であれば、電気的な短絡が生じている可能性は小さく、短絡を原因として固体高分子電解質膜40に穴を生じさせることはない。
膜電極接合体10を発電用セルに組み込み、膜電極接合体10の温度を80℃に維持し、アノードに水素を50cc/分、カソードに窒素を200cc/分、それぞれ150kPa(絶対圧力)に加圧して供給する。ガスの加湿度を、水素および空気ともに相対湿度100%にし、アノードに対するカソードの電位を、ポテンショスタットを用いて0.08Vから0.5Vまで0.5mV/分の速さで走引して、その時の電流値を電位とともにパソコンに記録する。記録した電流値と電位から、電位が0.2Vから0.5Vの範囲について電位に対する電流値の傾きを最小二乗法で求め、その傾きの逆数を絶縁抵抗とする。
膜電極接合体10の製造方法としては、たとえば、下記の工程(I)〜(V)を有する方法が挙げられる。
(I)固体高分子電解質膜40を形成する工程。
(II)補強層を形成する工程。
(III)補強層の表面に触媒層を形成し、補強層/触媒層から構成される第1の積層体を得る工程。
(IV)固体高分子電解質膜40と第1の積層体とを接合して、補強層/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/補強層から構成される第2の積層体を得る工程。
(V)第2の積層体とガス拡散性基材とを接合し、膜電極接合体10を得る工程。
固体高分子電解質膜40は、たとえば、下記方法によって形成される。
(I−1)ポリマー(F)またはポリマー(P)を膜状に成形した後、前記工程(iii)を行う方法。
(I−2)前記工程(iii)で得られたポリマー(H)またはポリマー(Q)を膜状に成形する方法。
ポリマー(F)またはポリマー(P)を膜状に成形する方法としては、ポリマー(F)およびポリマー(P)が溶融流動性に優れる点から、押出成形法、加圧プレス成形法、延伸法等が挙げられる。
ポリマー(H)またはポリマー(Q)を膜状に成形する方法としては、ポリマー(H)またはポリマー(Q)の液状組成物を基材フィルムの表面に塗工、乾燥する方法(キャスト法)が挙げられる。
液状組成物は、水酸基を有する有機溶媒および水を含む分散媒に、ポリマー(H)またはポリマー(Q)を分散させた分散液である。
水酸基を有する有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水酸基を有する有機溶媒の割合は、分散媒(100質量%)のうち、1〜90質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
液状組成物は、含フッ素溶媒を含んでいてもよい。含フッ素溶媒としては、たとえば、ポリマー(Q)の製造における溶液重合法にて用いた含フッ素溶媒が挙げられる。
固体高分子電解質膜40は、必要に応じて過酸化水素水で処理してもよい。
基材フィルムの表面に、シート状補強材を配置した後、シート状補強材に、導電性ファイバーと必要に応じて結着剤とを含む分散液(以下、導電性塗工液と記す。)を塗工し、浸透させ、乾燥して補強層を形成する。
溶媒としては、結着剤がイオン交換樹脂の場合、水とアルコール類(エタノール等。)との混合溶媒が好ましい。
導電性塗工液の固形分濃度は、5〜30質量%が好ましい。
塗工方法としては、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましい。
補強層の表面に、触媒とイオン交換樹脂とを含む塗工液(触媒層形成用塗工液と記す。)を塗工し、乾燥して触媒層を形成することにより、補強層/触媒層から構成される第1の積層体を得る。
溶媒としては、水とアルコール類(エタノール等。)との混合溶媒が好ましい。
塗工方法としては、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましい。
固体高分子電解質膜40と触媒層とが接するように、高分子電解質膜と2つの第1の積層体とを接合することにより、補強層/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/補強層から構成される第2の積層体を得る。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましい。
プレス圧力は、0.5〜4.0MPaが好ましい。
なお、2つの第1の積層体は、工程(II)〜(III)を経ていれば、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
補強層の表面から基材フィルムを剥離した後、2つのガス拡散基材と第2の積層体を接合することにより、膜電極接合体を得る。
また、サブガスケット80を配置する場合は、図5に示すように、第2の積層体100の上下に、2枚のフレーム状のサブガスケット80を配置した後、2つのガス拡散基材(ガス拡散層26、36)と、サブガスケット80付の第2の積層体100とを接合することにより、図3に示すサブガスケット80付の膜電極接合体10を得る。
なお、サブガスケット80は、液状シール材を第2の積層体100の上下にフレーム状に塗布した後、硬化させて形成してもよく、熱可塑性樹脂を熱プレスや射出により第2の積層体100の上下に成形して形成してもよい。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましい。
プレス圧力は、0.5〜4.0MPaが好ましい。
また、以上説明した膜電極接合体10にあっては、固体高分子電解質膜40内に補強材が存在していないため、固体高分子電解質膜40のイオン伝導性が損なわれることがない。その結果、低加湿条件においても高い発電性能を発現できる。
(i)固体高分子電解質膜40を保護するためのサブガスケット80の内縁部を補強層の周縁部に配置することにより、加熱接合の際、補強層が緩衝材となりサブガスケット80の内縁部が固体高分子電解質膜40にくい込むことを防止できる。これによって、固体高分子電解質膜40の局所的な薄膜化を抑え、機械的強度が向上する。
(ii)ガス拡散層を加熱接合した場合、ガス拡散層を構成する繊維等が固体高分子電解質膜40に突き刺さる等の物理的なダメージを補強層によって防ぐことができる。これによって、膜電極接合体10の短絡を抑えることができる。すなわち耐久性に優れる。
(iii)サブガスケット80の内縁部が補強層の周縁部にくい込むため、第2の積層体100の両面に、サブガスケット80による段差ができにくい。これによって、ガス拡散層の接合を良好に行うことができる。
また、サブガスケット80付の膜電極接合体10は、固体高分子電解質膜40とサブガスケット80とが部分的に接するように配置することにより、水素ガス等のガスリークを抑えることができる。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池に用いられる。固体高分子形燃料電池は、たとえば、膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで対向して配置された一対のセパレータとからなるセルを、膜電極接合体とセパレータとが交互に配置されるようにスタックしたものである。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂とを混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
固体高分子形燃料電池の種類としては、水素/酸素型燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)等が挙げられる。
例1〜5、9〜16、18〜21は実施例であり、例6〜8、17は比較例である。
ポリマー(P)のEWは、下記の方法により求めた。
滴定によりあらかじめEWがわかっている2種のポリマー(EWが1000g/当量のものと909g/当量のもの)を用意し、それぞれのポリマーからなる2種の膜(厚さ200μm)について、蛍光X線(リガク社製、RIX3000)を用いてイオウ原子に基づくピーク強度を測定し、該ピーク強度とEWとの関係を示す検量線を作成した。ポリマー(P)を、後述するTQ値の温度でプレスして厚さ200μmの膜を作製し、蛍光X線でイオウ原子に基づくピーク強度を測定し、前記検量線にてEWを求めた。なお、ポリマー(P)の−SO2F基の割合(モル比)と、ポリマー(Q)の−SO3H基の割合(モル比)は同じであるため、ポリマー(P)のEWは、そのままポリマー(Q)のEWとして扱うことができる。
ポリマーのフィルムを110℃、16時間真空乾燥させたものを約2g用意し、このフィルムを30mLの0.1Nの水酸化ナトリウムに浸漬することで、フィルム中のプロトンをナトリウムイオンに置換した。ついで、0.1Nの塩酸を用いて中和滴定を行い、フィルムへのイオン交換により消費された水酸化ナトリウム量からEWを算出した。
ポリマー(P)を構成する繰り返し単位のモル比を、溶融19F−NMRにより求めた。
TQ値(単位:℃)は、ポリマーの分子量の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件でポリマーの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm3/秒となる温度である。
フローテスタCFT−500A(島津製作所社製)を用い、温度を変えてポリマー(P)の押出し量を測定し、押出し量が100mm3/秒となるTQ値を求めた。
ポリマー(Q)のフィルムのプロトン伝導率は、下記の方法により求めた。
5mm幅のポリマー(Q)のフィルムに、5mm間隔で4端子電極が配置された基板を密着させ、公知の4端子法により、温度80℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて交流10kHz、1Vの電圧でフィルムの抵抗を測定し、該結果からプロトン伝導率を算出した。該プロトン伝導率は、固体高分子電解質膜の電気抵抗の目安となる。
ポリマー(Q)の軟化温度およびガラス転移温度は、下記の方法により求めた。
動的粘弾性測定装置(アイティー計測社製、DVA200)を用い、試料幅0.5cm、つかみ間長2cm、測定周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件にて、ポリマー(Q)のフィルムの動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率が50℃における値の半分になる値を軟化温度とした。また、tanδのピーク値からガラス転移温度(Tg)を求めた。
90°剥離強度は、下記の手順により測定した。
(手順1)第2の積層体から、幅10mm×長さ80mmの試験片を切り出した。
(手順2)図4に示すように、試験片の末端から長さ方向の60mmまでの補強層24(34)の表面に、長さ120mmの片面粘着テープ52(日東電工製、両面粘着テープNo.5015において片面の粘着層のみを使用)を粘着させた。
(手順3)図4に示すように、片面粘着テープ52を粘着させてない側の補強層34(24)の全面を、幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのアルミニウム板54に両面粘着テープ56で貼り付けた。
そして、片面粘着テープ52の末端を、直径6mmのステンレス製のローラ58を介して、引張り試験機(オリエンテック社製、万能試験機(テンシロン)、RTE−1210)の試料取り付け部に挟持した。
(手順4)挟持された片面粘着テープ52の末端を、試験片に対して垂直方向に、速度50mm/分で引っ張り、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在する界面のうちの最初に剥離した界面の剥離強度を測定した。
90°剥離強度は、固体高分子電解質膜40と補強層との間に存在する界面のうちの最初に剥離し始めた界面が完全に剥離するまでの強度を、ロードセルを介して測定してパソコンに記録し、測定された強度の中で、該強度の値が安定している部分、すなわち剥離強度の測定の開始時と終了時の値を除いた部分について平均値を求めてそれを剥離強度とし、剥離強度の安定した2回の測定値の平均値を算出し、この平均値を、試験片の幅10mmで除して求めた。
第2の積層体または膜触媒層接合体の寸法変化率は、下記の手順により測定した。
(手順1)第2の積層体を、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下に16時間以上置いた後、サンプルの中心部において縦と横の長さを測定し、その平均寸法(a)を算出した。
(手順2)第2の積層体を80℃の温水に3時間浸漬した。
(手順3)第2の積層体を温水に浸漬した状態で室温まで冷却し、水中から取り出してサンプルの中心部において縦と横の長さを測定し、その平均寸法(b)を算出した。
(手順4)下式から寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=[寸法(b)−寸法(a)]/寸法(a)×100。
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、膜電極接合体を表中に示す温度に維持し、アノードに水素(利用率70%)、カソードに空気(利用率50%)を、それぞれ表中に示す圧力(絶対圧力)に加圧して供給した。ガスの加湿度を、水素および空気ともに表中に示す相対湿度にし、表中に示す電流密度のときのセル電圧をそれぞれ記録した。
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、セル電圧の測定時と同じ条件で、電流遮断法により抵抗を測定した。
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、膜電極接合体の温度を80℃に維持し、アノードに水素を50cc/分、カソードに窒素を200cc/分、それぞれ150kPa(絶対圧力)に加圧して供給した。ガスの加湿度を、水素および空気ともに相対湿度100%にし、アノードに対するカソードの電位を、ポテンショスタット(ソーラートロン社製、1287)を用いて0.08Vから0.5Vまで0.5mV/分の速さで走引して、その時の電流値を電位とともにパソコンに記録した。記録した電流値と電位から、電位が0.2Vから0.5Vの範囲について電位に対する電流値の傾きを最小二乗法で求め、その傾きの逆数を絶縁抵抗とした。
湿潤−乾燥サイクル試験は、下記の文献に記載の方法に準じて行った。
Yeh−Hung Lai,Cortney K. Mittelsteadt,Craig S. Gittleman,David A. Dillard,”VISCOELASTIC STRESS MODEL AND MECHANICAL CHARACTERIZATION OF PERFLUOROSULFONIC ACID (PFSA) POLYMER ELECTROLYTE MEMBRANES”,Proceedings of FUELCELL2005,Third International Conference on Fuel Cell Science,Engineering and Technology,FUELCELL2005,(2005),74120.
膜電極接合体を発電用セル(電極面積25cm2)に組み込み、セル温度80℃、アノードおよびカソードにそれぞれ窒素を1L/分で供給した。その際に、ガスの加湿度をアノードおよびカソードともに相対湿度150%にして2分間供給した後、相対湿度0%にして2分間供給する工程を1サイクルとして繰り返した。100サイクルごとに、アノードとカソードとの間に圧力差を生じさせ、物理的なガスリークの有無を判定した。ガスリークが生じ、かつ、ガスクロスオーバー速度が10sccm以上になった時点を寿命と判断した。該時点におけるサイクル数を耐久性能の指標とする。
サイクル数が20000サイクル未満を×、20000サイクル以上を○とした。
下記合成ルートにより化合物(m12)を合成した。
特開昭57−176973号公報の実施例2に記載の方法と同様にして、化合物(a2)を合成した。
ジムロート冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌翼付のガラス棒を備えた300cm3の4口丸底フラスコに、窒素雰囲気下、フッ化カリウム(森田化学社製、クロキャットF)の1.6gおよびジメトキシエタンの15.9gを入れた。ついで、丸底フラスコを氷浴で冷却して、滴下ロートより化合物(b11)の49.1gを32分かけて、内温10℃以下で滴下した。滴下終了後、滴下ロートより化合物(a2)の82.0gを15分かけて滴下した。内温上昇はほとんど観測されなかった。滴下終了後、内温を室温に戻して約90時間撹拌した。分液ロートで下層を回収した。回収量は127.6gであり、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと記す。)純度は55%であった。回収液を200cm3の4口丸底フラスコに移して、蒸留を実施した。減圧度1.0〜1.1kPa(絶対圧)の留分として化合物(c2)の97.7gを得た。GC純度は98%であり、収率は80%であった。
200cm3のステンレス製オートクレーブに、フッ化カリウム(森田化学社製、クロキャットF)の1.1gを入れた。脱気後、減圧下で、オートクレーブにジメトキシエタンの5.3g、アセトニトリルの5.3gおよび化合物(c2)の95.8gを入れた。
ついで、オートクレーブを氷浴で冷却して、内温0〜5℃にて、ヘキサフルオロプロペンオキシドの27.2gを27分かけて加えた後、撹拌しながら内温を室温に戻して一晩撹拌した。分液ロートで下層を回収した。回収量は121.9gであり、GC純度は63%であった。回収液の蒸留により沸点80〜84℃/0.67〜0.80kPa(絶対圧)の留分として化合物(d2)の72.0gを得た。GC純度は98%であり、収率は56%であった。
内径1.6cmのステンレス製管を用いて、長さ40cmのU字管を作製した。該U字管の一方にガラスウールを充填し、他方にステンレス製焼結金属を目皿としてガラスビーズを充填し、流動層型反応器を作製した。流動化ガスとして窒素ガスを用い、原料を、定量ポンプを用いて連続的に供給できるようにした。出口ガスはトラップ管を用いて液体窒素で捕集した。
δ(ppm):45.5(1F),45.2(1F),−79.5(2F),−82.4(4F),−84.1(2F),−112.4(2F),−112.6(2F),−112.9(dd,J=82.4Hz,67.1Hz,1F),−121.6(dd,J=112.9Hz,82.4Hz,1F),−136.0(ddt,J=112.9Hz,67.1Hz,6.1Hz,1F),−144.9(1F)。
工程(I):
(ポリマー(P1)の合成)
オートクレーブ(内容積2575cm3、ステンレス製)を窒素で置換し、充分に脱気を行った。減圧下で、化合物(m12)の950.3g、化合物(m21)の291.4g、溶媒である化合物(3−1)の490.1g、メタノールの173.7mgおよびラジカル開始剤である化合物(4)(日本油脂社製、パーロイルIPP)の873.1mgを入れ、オートクレーブ内を蒸気圧まで脱気した。
CClF2CF2CHClF ・・・(3−1)、
(CH3)2CHOC(=O)OOC(=O)OCH(CH3)2 ・・・(4)。
反応液を化合物(3−1)で希釈した後、化合物(3−2)を加え、ポリマーを凝集させ、ろ過した。
CH3CCl2F ・・・(3−2)。
ポリマー(P1)を下記の方法で処理し、酸型のポリマー(Q1)のフィルムを得た。
まず、ポリマー(P1)を、メタノールを含む水酸化カリウム水溶液に加熱しながら加え、−SO2F基を加水分解し、−SO3K基に変換した。
ついで、該ポリマーを水洗し、硫酸水溶液に加えて、−SO3K基がスルホン酸基に変換された、酸型のポリマー(Q1)を得た。
ポリマー(Q1)分散液をETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面にダイコータで塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させ、さらに160℃の乾燥器内で1時間の熱処理を施して、ポリマー(Q1)のフィルム(固体高分子電解質膜、厚さ:20μm)を得た。
ポリマー(Q1)のフィルムの軟化温度、ガラス転移温度、プロトン伝導率を測定した。結果を表2に示す。
TFEに基づく単位と、単位(11)とからなるポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノールに分散させ、固形分濃度10質量%のイオン交換樹脂液(A)を調製した。
ETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面に、ポリプロピレン不織布を配置し、該不織布に50質量%のエタノールの水溶液を含ませてETFEフィルムに密着させた後、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させてETFEフィルムの表面に定着させた。
工程(I)で得られたポリマー(P1)を、メタノールを含む水酸化カリウム水溶液に加熱しながら加え、−SO2F基を加水分解して−SO3K基に変換した。
該ポリマーを水洗し、硫酸水溶液に加えて、−SO3K基をスルホン酸基に変換し酸型のポリマー(Q1)を得た。
ポリマー(Q1)をエタノールおよび水に分散させ、固形分濃度13質量%のポリマー(Q1)分散液を得た。
固体高分子電解質膜として、工程(I)で得られた厚さ20μmのポリマー(Q1)のフィルムを用意した。
ポリマー(Q1)のフィルムと触媒層とが接するように、ポリマー(Q1)のフィルムと2枚の第1の積層体(B1)とを重ね、これらを、あらかじめ130℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスした。
プレス機から取り出した直後にETFEフィルムを取り除き、電極面積が25cm2である第2の積層体(C1)を得た。
第2の積層体(C1)について、90°剥離強度、寸法変化率を測定した。結果を表3に示す。
撥水処理が施されたカーボンペーパー(NOK社製、H2315T10A)を、第2の積層体(C1)の両側に配置し、膜電極接合体(D1)を得た。
膜電極接合体(D1)について、セル電圧、抵抗を測定した。また、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
シート状補強材であるポリプロピレン不織布の目付け量を3g/m2に変更した以外は、例1と同様にして第2の積層体(C2)および膜電極接合体(D2)を得た。補強層の厚さはおよそ50μmであった。
第2の積層体(C2)について、90°剥離強度、寸法変化率を測定した。結果を表3に示す。
膜電極接合体(D2)について、セル電圧、抵抗を測定し、湿潤−乾燥サイクル試験を行った。結果を表3に示す。
工程(II):
シート状補強材として、延伸多孔質PTFEフィルム(ドナルドソン社製、Tetratex II 3108、厚さ:20μm、平均細孔径;3μm)を用意した。
ETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面に、延伸多孔質PTFEフィルムを配置し、該フィルムにエタノールを含ませてETFEフィルムに密着させた後、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させてETFEフィルムの表面に定着させた。
工程(III)〜(V)は、補強層を変更した以外は例1と同様にして第2の積層体(C3)および膜電極接合体(D3)を得た。
第2の積層体(C3)について、90°剥離強度、寸法変化率を測定した。結果を表3に示す。
膜電極接合体(D3)について、セル電圧、抵抗を測定し、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
工程(V):
撥水処理が施されたカーボンペーパー(NOK社製、H2315T10A)の表面に、バーコータを用いて導電性塗工液(a)を塗工した後、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させ、さらに120℃の乾燥器内で30分間の熱処理を施し、中間層を形成した。中間層の厚さは、およそ5μmであった。
膜電極接合体(D4)について、セル電圧、抵抗を測定した.また、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
工程(II):
メルトブローン不織布製造装置(日本ノズル社製)を用い、ダイ温度:290℃、延伸用ホットエアー温度:320℃の条件で、ETFEをダイから吹き飛ばし、吸引能力を有するコンベア上にETFE不織布を形成した。
ETFE不織布を構成するETFEは連続繊維であり、アスペクト比は最低10000以上であった。ETFE不織布の目付け量は、10g/m2であり、平均繊維径は5μmであり、厚さは60μmであった。
工程(III)〜(IV)は、補強層を変更した以外は例1と同様にして第2の積層体(C5)を得た。
第2の積層体(C5)について、90°剥離強度、寸法変化率を測定した。結果を表3に示す。
第2の積層体(C5)を用いた以外は、例4と同様にして膜電極接合体(D5)を得た。
膜電極接合体(D5)について、セル電圧、抵抗を測定し、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
ETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面に、触媒層用塗工液(b)を、白金量が0.5mg/cm2となるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥して触媒層を形成した。
ポリマー(Q1)のフィルムと触媒層とが接するように、ポリマー(Q1)のフィルムと2枚の触媒層付のETFEフィルムとを重ね、これらを、あらかじめ130℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスした。
プレス機から取り出した直後にETFEフィルムを取り除き、電極面積が25cm2である膜触媒層接合体を得た。
膜触媒層接合体について、寸法変化率を測定した。結果を表3に示す。
膜電極接合体(D6)について、セル電圧、抵抗を測定した。また、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
ポリマー(Q1)をエタノールおよび水の混合分散媒に分散させ、固形分濃度13質量%のポリマー(Q1)分散液を調製する。
例2に用いたものと同じポリプロピレン不織布(目付け量が3g/m2)を、縁を拘束した状態で、ポリマー(Q1)分散液に浸漬し、毎分100mmの速度で引き上げ、ポリマー(Q1)を不織布中に含浸させる。この浸漬、引き上げの操作を3回繰り返した後、拘束した状態で、55℃で1時間乾燥し、次に140℃の乾燥器内で30分の熱処理を施して、さらにあらかじめ150℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスしてポリプロピレン不織布で内部から補強した厚さがおよそ25μmである固体高分子電解質膜を得る。
膜触媒層接合体について、寸法変化率を測定する。結果を表3に示す。
膜電極接合体(D7)について、セル電圧、抵抗を測定する。また、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
ETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面に、導電性塗工液(a)のみを塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させて層を形成した。この層の厚さは、およそ30μmであった。さらに、この層の表面に、触媒層用塗工液(b)を、白金量が0.5mg/cm2となるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させて触媒層を形成した。
ポリマー(Q1)のフィルムと触媒層とが接するように、ポリマー(Q1)のフィルムと2枚の触媒層付のETFEフィルムとを重ね、これらを、あらかじめ130℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスした。
プレス機から取り出した直後にETFEフィルムを取り除き、電極面積が25cm2である膜触媒層接合体を得た。
膜触媒層接合体について、寸法変化率を測定する。結果を表3に示す。
膜電極接合体(D8)について、セル電圧、抵抗を測定する。また、湿潤−乾燥サイクル試験を行う。結果を表3に示す。
工程(I):
(ポリマー(Q2)のフィルムの製造)
ポリマー(Q1)を水およびエタノールの混合分散媒に分散させ、固形分濃度が10質量%のポリマー(Q1)分散液を得た。
ポリマー(Q1)分散液に、硝酸セリウムを蒸留水に溶解した溶液を加え、ポリマー(Q1)中のスルホン酸基の約10%をCe3+でイオン交換したポリマー(Q2)分散液を得た。
ポリマー(Q2)分散液をETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面にダイコータで塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させ、さらに160℃の乾燥器内で1時間の熱処理を施して、ポリマー(Q2)のフィルム(固体高分子電解質膜、厚さ:20μm)を得た。
ポリマー(Q2)のフィルムのEW、プロトン伝導率を測定した。結果を表4に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(Q1)のフィルムを、ポリマー(Q2)のフィルムに変更した以外は、例1と同様にして第2の積層体(C9)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C9)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
サブガスケットを、第2の積層体(C9)の両側に配置し、あらかじめ130℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスし、図5に示すようなサブガスケット付の第2の積層体(C9)を得た。
撥水処理が施されたカーボンペーパー(NOK社製、H2315T10A)を、サブガスケット付の第2の積層体(C9)の両側に配置し、図3に示すようなサブガスケット付の膜電極接合体(D9)を得た。
膜電極接合体(D9)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
カソード側の補強層の形成に用いる導電性塗工液(a)中の気相成長炭素繊維とポリマー(H1)との質量比(気相成長炭素繊維/ポリマー(H1))を1/0.7に変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C10)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D10)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C10)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D10)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
アノード側の補強層の形成に用いる導電性塗工液(a)中の気相成長炭素繊維とポリマー(H1)との質量比(気相成長炭素繊維/ポリマー(H1))を1/1に変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C11)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D11)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C11)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D11)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
シート状補強材であるポリプロピレン不織布の平均繊維径を5μmに変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C12)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D12)を得た。補強層の厚さはおよそ65μmであった。
第2の積層体(C12)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D12)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
シート状補強材であるポリプロピレン不織布の目付け量を10g/m2に変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C13)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D13)を得た。補強層の厚さはおよそ120μmであった。
第2の積層体(C13)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D13)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(Q2)のフィルムの厚さを15μmに変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C14)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D14)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C14)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D14)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(Q2)のフィルムの厚さを10μmに変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C15)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D15)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C15)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D15)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(Q2)のフィルムの厚さを5μmに変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C16)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D16)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C16)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D16)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
ETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面に、触媒層用塗工液(b)を、白金量が0.5mg/cm2となるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させて触媒層を形成した。
ポリマー(Q2)のフィルムと触媒層とが接するように、ポリマー(Q2)のフィルムと2枚の触媒層付のETFEフィルムとを重ね、これらを、あらかじめ130℃に加熱したプレス機の中に入れ、3MPaのプレス圧で3分間熱プレスした。
プレス機から取り出した直後にETFEフィルムを取り除き、電極面積が25cm2である膜触媒層接合体を得た。
膜触媒層接合体について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
撥水処理が施されたカーボンペーパー(NOK社製、H2315T10A)を、サブガスケット付の膜触媒層接合体の両側に配置し、サブガスケット付の膜電極接合体(D17)を得た。
膜電極接合体(D17)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
工程(I):
(ポリマー(H2)のフィルムの製造)
TFEに基づく単位と、単位(11)とからなるポリマー(H1)(EW:910g/当量)を水およびエタノールの混合分散媒に分散させ、固形分濃度が20質量%のポリマー(H1)分散液を得た。
ポリマー(H1)分散液に、硝酸セリウムを蒸留水に溶解した溶液を加え、ポリマー(H1)中のスルホン酸基の約15%をCe3+でイオン交換したポリマー(H2)分散液を得た。
ポリマー(H2)分散液をETFEフィルム(旭硝子社製、アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面にダイコータで塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥させ、さらに160℃の乾燥器内で1時間の熱処理を施して、ポリマー(H2)のフィルム(固体高分子電解質膜、厚さ:25μm)を得た。
ポリマー(H2)のフィルムのEW、プロトン伝導率を測定した。結果を表5に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(Q2)のフィルムを、ポリマー(H2)のフィルムに変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C18)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D18)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C18)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D18)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(H2)のフィルムの厚さを15μmに変更した以外は、例18と同様にして第2の積層体(C19)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D19)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C19)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D19)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜であるポリマー(H2)のフィルムの厚さを5μmに変更した以外は、例18と同様にして第2の積層体(C20)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D20)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C20)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D20)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
固体高分子電解質膜を市販品(デュポン社製、ナフィオン(登録商標)NRE211、厚さ:25μm)に変更した以外は、例9と同様にして第2の積層体(C21)およびサブガスケット付の膜電極接合体(D21)を得た。補強層の厚さはおよそ70μmであった。
第2の積層体(C21)について、寸法変化率を測定した。結果を表6に示す。
膜電極接合体(D21)について、絶縁抵抗、セル電圧、抵抗を測定した。結果を表6、7に示す。
なお、2008年3月21日に出願された日本特許出願2008−074447号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (16)
- 触媒層を有するカソードと、
触媒層を有するアノードと、
前記カソードの触媒層と前記アノードの触媒層との間に配置される固体高分子電解質膜とを備え、
前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方が、ポリマーからなる多孔質のシート状補強材と、導電性ファイバーとを含む補強層をさらに有する、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。 - 前記カソードおよび前記アノードが、ガス拡散層をさらに有し、
前記補強層が、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に存在する、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。 - 前記補強層が、結着剤を含み、該結着剤が、含フッ素イオン交換樹脂である、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記導電性ファイバーと前記結着剤との質量比(導電性ファイバー/結着剤)が、1/0.05〜1/1である、請求項3に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記導電性ファイバーがカーボンファイバーであり、該カーボンファイバーの平均繊維径が、50〜300nmであり、平均繊維長が、5〜30μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記シート状補強材が、複数の細孔を有し、かつ平均細孔径が、0.4〜7μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記シート状補強材が、複数の繊維からなり、かつ該繊維の平均繊維径が、0.2〜7μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記シート状補強材が不織布であり、該不織布が、メルトブローン法で製造されたポリプロピレンまたは含フッ素ポリマーからなる不織布である、請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記シート状補強材が、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルムである、請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記補強層に接して、中間層をさらに有する、請求項1〜9のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記固体高分子電解質膜の厚さが、10〜30μmである、請求項1〜10のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記固体高分子電解質膜の当量重量が、900g/当量以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記固体高分子電解質膜が、下式(U1)で表される繰り返し単位と下式(U2)で表される繰り返し単位とを有し、当量重量が400〜900g/当量であるポリマー(Q)からなる固体高分子電解質膜である、請求項1〜12のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 前記固体高分子電解質膜と前記補強層との間に存在するすべての界面における90°剥離強度が、0.5N/cm以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の周縁部に配置されたフレーム状のサブガスケットをさらに有する、請求項1〜14のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を有する固体高分子形燃料電池であって、
相対湿度が25%以下の反応ガスを供給して発電を行う、固体高分子形燃料電池。
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