JP5228378B2 - 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法に関する。
近年、固体高分子形燃料電池には、自動車用途を中心に、低加湿環境下における運転が要求されている。そのため、膜電極接合体の固体高分子電解質膜に含まれるプロトン伝導性ポリマーとしては、低加湿環境下において高い導電性を発現する材料が求められている。
固体高分子形燃料電池を自動車に用いて自動車が実際に運転される際、固体高分子電解質膜は、様々な湿度環境に曝されることになる。これを模擬するための試験として、固体高分子電解質膜を、相対湿度25%以下の乾燥した環境と、相対湿度100%以上の湿潤した環境のそれぞれに繰り返し曝すサイクル試験(以下、湿潤−乾燥サイクル試験と記す。)が提案されている(非特許文献1参照)。
該湿潤−乾燥サイクル試験においては、固体高分子電解質膜が、湿潤した環境になると膨潤し、乾燥した環境になると収縮し、湿潤と乾燥とのサイクルに伴って膨潤と収縮とを繰り返すことにより、特に平面方向の寸法変化を起こす。そのため、湿潤−乾燥サイクル試験により、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での膜電極接合体の機械的な耐久性能が評価できる。
Yeh−Hung Lai,Cortney K.Mittelsteadt,Craig S.Gittleman,David A.Dillard,"VISCOELASTIC STRESS MODEL AND MECHANICAL CHARACTERIZATION OF PERFLUOROSULFONIC ACID(PFSA)POLYMER ELECTROLYTE MEMBRANES",Proceedings of FUELCELL2005,Third International Conference on Fuel Cell Science,Engineering and Technology,FUELCELL2005,(2005),74120.
低加湿環境下において高い導電性を発現するためには、プロトン伝導性ポリマーの導電性を向上させることが有効であり、そのためには、イオン性基を増やせばよい。また、膜電極接合体においては、固体高分子電解質膜の膜厚を薄くすることにより、低加湿環境下における導電性を向上できる。
しかし、イオン性基を増やすことにより、プロトン伝導性ポリマーの含水率が高くなる。固体高分子電解質膜に用いるプロトン伝導性ポリマーの含水率が高くなりすぎると、プロトン伝導性ポリマーが膨潤しやすくなり、前記の湿潤−乾燥サイクル試験において、固体高分子電解質膜の平面方向への膨潤および収縮の度合いがより大きくなる。そのため、固体高分子電解質膜においては穴が空くおそれがあり、膜電極接合体の機械的な耐久性能が低下する。
また、膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の膜厚を薄くした場合、固体高分子電解質膜の機械的強度が下がり、耐久性能が低下してしまう。
本発明は、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法を提供する。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、電極触媒とプロトン伝導性ポリマーを含む第1の触媒層および第1のガス拡散層を有する第1の電極と、電極触媒とプロトン伝導性ポリマーを含む第2の触媒層および第2のガス拡散層を有する第2の電極と、前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間に配置される固体高分子電解質膜とを備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体において、前記第1のガス拡散層および前記第2のガス拡散層が、カーボンファイバーの織布、カーボンぺーパーおよびカーボンフェルトからなる群から選ばれる1種以上の導電性材料を含み、前記固体高分子電解質膜が、下記一般式(α)
Figure 0005228378
[式中、Q は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基である。Q は、単結合またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基である。R f1 は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子である。aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2である。Yは、フッ素原子または1価のパーフルオロ有機基である。]
で表される基(α)を有する繰り返し単位を有するポリマーを含む膜であり、前記固体高分子電解質膜が、温度80℃、相対湿度40%の雰囲気下における導電率が0.05S/cm以上であり、前記固体高分子電解質膜と前記第1のガス拡散層との間の90°剥離強度が0.03N/cm以上であり、かつ、前記第1のガス拡散層を80℃の温水に浸漬した際の寸法変化率が10%未満であることを特徴とする。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体においては、前記固体高分子電解質膜が、前記基(α)を有する繰り返し単位を有するポリマーが分散媒に分散された液状組成物をキャストして形成されることが好ましい。
また、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記第1のガス拡散層上に形成された前記第1の触媒層と、前記固体高分子電解質膜とを接合することにより、前記本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を得ることを特徴とする。
また、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記固体高分子電解質膜上に形成された前記第1の触媒層と、前記第1のガス拡散層とを接合することにより、前記本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を得ることを特徴とする。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れる。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法によれば、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる。
本明細書においては、式(α)で表される基を基(α)と記す。他の式で表される基も同様に記す。また、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
<固体高分子形燃料電池用膜電極接合体>
図1は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す概略断面図である。
膜電極接合体1は、第1の触媒層12および第1のガス拡散層14を有する第1の電極10と、第2の触媒層22および第2のガス拡散層24を有する第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に、第1の触媒層12および第2の触媒層22にそれぞれ接した状態で配置される固体高分子電解質膜30とを備える。
第1の電極10および第2の電極20は、それぞれアノードであってもよく、カソードであってもよく、相互に異なるものであればよい。
(90°剥離強度)
膜電極接合体1においては、固体高分子電解質膜30と第1のガス拡散層14との間の90°剥離強度が0.03N/cm以上であり、0.07N/cm以上であることが好ましい。
該90°剥離強度が0.03N/cm以上であれば、固体高分子電解質膜30と第1のガス拡散層14とが第1の触媒層12を介して充分な接合強度で接合される。このため、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れる。特に、該90°剥離強度が0.07N/cm以上であると、固体高分子電解質膜30の変形がより抑制され、膜電極接合体1の湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能がさらに優れる。
また、膜電極接合体1においては、固体高分子電解質膜30と第2のガス拡散層24との間の90°剥離強度も0.03N/cm以上であることが好ましい。
本発明において、「固体高分子電解質膜30と第1のガス拡散層14との間の90°剥離強度」とは、以下に示す90°剥離強度の測定方法において、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する界面の90°剥離強度を示すものとする。
具体的な90°剥離強度の測定方法は、膜電極接合体1の製造方法に応じて、たとえば以下の2種類の方法で測定できる。すなわち、固体高分子電解質膜に触媒層を形成した後、該触媒層とガス拡散層とを接合する場合は90°剥離試験(I)を行い、ガス拡散層に触媒層を形成した後、該触媒層と固体高分子電解質膜とを接合する場合は90°剥離試験(II)を行う。
以下、図2、3を参照しながら説明する。
90°剥離試験(I):
(手順1)図2(a)に示すように、固体高分子電解質膜30の一方の面に第1の触媒層12を形成し、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12とからなる試験片90を作製する。
(手順2)試験片90の末端90aから長手方向へ80mm分と、第1のガス拡散層14の末端14aから長手方向へ80mm分とを、第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30との間に第1の触媒層12が位置するように接合させて、幅20mm×長さ220mmの試験片91を作製する。
(手順3)図2(b)に示すように、固体高分子電解質膜30の第1の触媒層12側とは反対側の全面を、幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのアルミ板94に両面テープ96で貼り付け、第1のガス拡散層14の接合されていない方の末端14bを、直径6mmのステンレス製のローラ92を介して、引張り試験機(図示せず)の試料取り付け部に挟持する。
なお、両面テープ96としては、試験片91の第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面の剥離強度、および第1の触媒層12と固体高分子電解質膜30との界面の剥離強度のいずれよりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
(手順4)挟持された末端14bを、固体高分子電解質膜30に対して垂直(矢印)方向に、速度50mm/分で引っ張り、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する方の界面の剥離強度を測定する。
90°剥離試験(I)は、手順1および手順2により作製された3枚の試験片91について行う。
「90°剥離強度」は、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する方の界面が剥離するまでの強度を、ロードセルを介して測定してパソコンに記録し、測定された強度の中で、該強度の値が安定している部分、すなわち剥離強度測定の開始時と終了時の値を除いた部分について平均値を求めてそれを剥離強度とし、剥離強度の3回の平均値を算出し、この平均値を、試験片91の幅20mmで除して求められる。
90°剥離試験(II):
(手順1)図3(a)に示すように、第1のガス拡散層14の表面に第1の触媒層12を形成し、第1のガス拡散層14と第1の触媒層12とからなる第1の電極10を作製し、さらに、第1の電極10と固体高分子電解質膜30とを、第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30との間に第1の触媒層12が位置するように接合させて、幅20mm×長さ150mmの試験片91を作製する。
(手順2)試験片91の末端91aから長手方向へ80mm分の第1のガス拡散層14の表面に、片面粘着テープ98を粘着させる。
なお、片面粘着テープ98としては、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面の剥離強度、および第1の触媒層12と第1のガス拡散層14との界面の剥離強度よりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
(手順3)図3(b)に示すように、固体高分子電解質膜30の第1の触媒層12側とは反対側の全面を、幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのアルミ板94に両面テープ96で貼り付ける。
なお、両面テープ96としては、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面の剥離強度、および第1の触媒層12と第1のガス拡散層14との界面の剥離強度よりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
そして、片面粘着テープ98の末端98bを、直径6mmのステンレス製のローラ92を介して、引張り試験機(図示せず)の試料取り付け部に挟持する。
(手順4)挟持された末端98bを、試験片91に対して垂直(矢印)方向に、速度50mm/分で引っ張り、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する方の界面の剥離強度を測定する。
90°剥離試験(II)は、手順1により作製された3枚の試験片91について行う。
「90°剥離強度」は、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する方の界面が剥離するまでの強度を、ロードセルを介して測定してパソコンに記録し、測定された強度の中で、該強度の値が安定している部分、すなわち剥離強度測定の開始時と終了時の値を除いた部分について平均値を求めてそれを剥離強度とし、剥離強度の3回の平均値を算出し、この平均値を、試験片91の幅20mmで除して求められる。
すでに、第1の触媒層12が、固体高分子電解質膜30および第1のガス拡散層14といずれも接合している膜電極接合体1において、前記の90°剥離強度を測定する場合は、たとえば以下の測定方法により測定できる。
まず、膜電極接合体1から幅20mm×長さ200mmのサンプルを切り出し、測定しない側の第2のガス拡散層24を剥がす。そして、第2のガス拡散層24を剥がした側の面をアルミ板94に両面テープ96で貼り付ける。
なお、用いる両面テープ96は、サンプルの固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面の剥離強度、および第1の触媒層12と第1のガス拡散層14との界面の剥離強度よりも充分に高い粘着強度を有するものを用いる。
次に、90°剥離試験(II)の手順2と同様にして、第1のガス拡散層14の表面に、片面粘着テープ98を粘着させる。次いで、90°剥離試験(II)の手順3に準じて、片面粘着テープ98の末端98bを引張り試験機の試料取り付け部に挟持する。そして、90°剥離試験(II)の手順4に準じて、挟持された末端98bを、固体高分子電解質膜30に対して垂直(矢印)方向に、速度50mm/分で引っ張り、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12との界面、および第1のガス拡散層14と第1の触媒層12との界面のうち、先に剥離する方の界面の剥離強度を測定する。
(ガス拡散層)
膜電極接合体1において、第1のガス拡散層14は、下記(手順1)〜(手順4)により求められる、80℃の温水に浸漬した際の寸法変化率が10%未満であり、5%未満であることが好ましい。
該寸法変化率が10%未満であれば、膜電極接合体1が湿潤または乾燥した環境に曝された際、固体高分子電解質膜30の特に平面方向への変形を抑制する機能が発揮される。特に、該寸法変化率が5%未満であると、固体高分子電解質膜30の機械的な耐久性能がさらに向上する。一方、該寸法変化率が10%以上では、固体高分子電解質膜30の変形を抑制する効果が充分ではなく、機械的な劣化による固体高分子電解質膜30の破損を抑制することができない。
また、膜電極接合体1においては、第2のガス拡散層24の該寸法変化率も10%未満であることが好ましい。
第1のガス拡散層14の寸法変化率は、下記(手順1)〜(手順4)により求める。
(手順1)第1のガス拡散層14について、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下に16時間以上置いた後、寸法(a)を計測する。
(手順2)次に、該ガス拡散層14を80℃の温水に16時間浸漬する。
(手順3)その後、該ガス拡散層14を温水に浸漬した状態で室温まで冷却し、水中から取り出して寸法(b)を計測する。
(手順4)下式から寸法変化率を算出する。
寸法変化率(%)=[寸法(b)−寸法(a)]/寸法(a)×100
第1のガス拡散層14および第2のガス拡散層24(以下、まとめてガス拡散層とも記す。)の材料としては、特に限定がなく、カーボンファイバーの織布、カーボンぺーパー、カーボンフェルト等の導電性材料が挙げられる。
ガス拡散層の厚さは、100〜400μmが好ましく、140〜350μmがより好ましい。
ガス拡散層は、該導電性材料からなる層の表面に、カーボンを主成分とする多孔層(表面処理層)を有していてもよい。
該多孔層は、第1の触媒層12および第2の触媒層22の撥水性を向上できることから、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系の樹脂成分を含むことが好ましい。該多孔層は、第1の触媒層12および第2の触媒層22と密着させて用いることが好ましい。
(固体高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜30は、プロトン伝導性ポリマーを含む膜である。
固体高分子電解質膜30においては、温度80℃、相対湿度40%の雰囲気下における導電率が0.05S/cm以上であることが必要であり、0.07S/cm以上であることが好ましい。該導電率が0.05S/cm以上であれば、高温、低加湿環境下で発電を行う場合であっても、膜電極接合体1は高い発電性能を発現できる。
固体高分子電解質膜30の導電率は、下記方法により求める。
5mm幅のフィルム(固体高分子電解質膜30)に、5mm間隔で4端子電極が配置された基板を密着させ、公知の4端子法により、温度80℃、相対湿度40%の恒温恒湿条件下にて交流10kHz、1Vの電圧でフィルムの抵抗を測定し、該結果から導電率を算出する。
固体高分子電解質膜30においては、80℃の温水に浸漬した際の含水率が180質量%未満であることが好ましく、150質量%未満であることがより好ましい。
固体高分子電解質膜30の導電性を高めるためには、プロトン伝導性ポリマーのイオン交換容量を高くすることが有効である。しかし、一般的に、プロトン伝導性ポリマーのイオン交換容量を上げていくと、温水に浸漬した際の含水率が高くなり、含水時の寸法変化率が大きくなる。そのため、湿潤と乾燥とを繰り返す湿度変化に対する機械的な耐久性能は低下する傾向がある。該含水率が180質量%未満であれば、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能がより向上する。
固体高分子電解質膜30の含水率は、下記方法により求める。
固体高分子電解質膜30を80℃の温水中に16時間浸漬した後、温水に浸漬したままの状態で固体高分子電解質膜30を室温まで冷却する。その後、水中より固体高分子電解質膜30を取り出し、固体高分子電解質膜30表面に付着した水滴をふき取り、直ちに含水時の質量を測定する。ついで、該固体高分子電解質膜30をグローブボックスに入れ、乾燥窒素を流した雰囲気下に24時間以上放置し、乾燥させる。そして、グローブボックス中で固体高分子電解質膜30の乾燥質量を測定する。
前記の含水時の質量と乾燥質量との差が、固体高分子電解質膜30が含水時に吸収する水の質量となる。そして、下式より固体高分子電解質膜30の含水率を求める。
含水率(%)=(固体高分子電解質膜30が含水時に吸収する水の質量/固体高分子電解質膜30の乾燥質量)×100。
該プロトン伝導性ポリマーとしては、イオン性基を有するフッ素系ポリマー、イオン性基を有する炭化水素系ポリマー等が挙げられ、化学的な耐久性の点から、イオン性基を有するフッ素系ポリマーが好ましい。イオン性基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基等が挙げられる。
イオン性基を有するフッ素系ポリマーとしては、化合物(1)に基づく繰り返し単位を有するポリマーを加水分解、酸型化して得られるスルホン酸基を有するポリマー(以下、ポリマーHと記す。)、基(α)を有する繰り返し単位を有するポリマー(以下、ポリマーQと記す。)が好ましく、ポリマーQがより好ましい。
CF=CF(OCFCFX−O−(CF−SOF ・・・(1)。
Figure 0005228378
ただし、式中の記号は下記意味を示す。
式(1)中、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
基(α)中、Qは、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基であり、Qは、単結合またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基であり、Rf1は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子であり、aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Yは、フッ素原子または1価のパーフルオロ有機基である。
ポリマーH:
化合物(1)としては、化合物(11)〜(14)が好ましい。
CF=CFO(CFSOF ・・・(11)、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(12)、
CF=CF(CFSOF ・・・(13)、
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOF ・・・(14)。
ただし、qは、1〜8の整数であり、rは、1〜8の整数であり、sは、1〜8の整数であり、tは、1〜5の整数である。
ポリマーHは、さらに、後述する他のモノマーに基づく繰り返し単位を有していてもよい。他のモノマーに基づく繰り返し単位のうち、化学的な耐久性の点から、パーフルオロモノマーに基づく繰り返し単位が好ましく、化学的な耐久性および機械的強度の点から、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位がより好ましい。
ポリマーHとしては、化学的な耐久性の点から、パーフルオロカーボンポリマーが好ましい。該パーフルオロカーボンポリマーは、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。
ポリマーQ:
基(α)中、Q、Qのパーフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、パーフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
パーフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が多すぎると、含フッ素モノマーの沸点が高くなり、蒸留精製が難しくなる。また、炭素数が多すぎると、ポリマーQのイオン交換容量が低下する。
は、エーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。Qがエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であれば、Qが単結合である場合に比べ、長期にわたって固体高分子形燃料電池を運転した際に、出力電圧の安定性に優れる。
、Qの少なくとも一方は、エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基を有する含フッ素モノマーは、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
−SOX(SOf1 基としては、スルホン酸基(−SO 基)、スルホンイミド基(−SON(SOf1基)、スルホンメチド基(−SOC(SOf1 基)が挙げられる。
f1のパーフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。Rf1の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。Rf1としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が好ましい。
スルホンメチド基の場合、2つのRf1は、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
Yとしては、フッ素原子、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
ポリマーQは、さらに、後述する他のモノマーに基づく繰り返し単位を有していてもよい。他のモノマーに基づく繰り返し単位のうち、化学的な耐久性の点から、パーフルオロモノマーに基づく繰り返し単位が好ましく、化学的な耐久性および機械的強度の点から、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位がより好ましい。
ポリマーQとしては、化学的な耐久性の点から、パーフルオロカーボンポリマーが好ましい。該パーフルオロカーボンポリマーは、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。
ポリマーQは、たとえば、下記工程を経て製造できる。
(I)基(β)を有するモノマー(以下、化合物(m1)と記す。)および必要に応じて他のモノマーを重合し、−SOF基を有する前駆体ポリマー(以下、ポリマーPと記す。)を得る工程。
Figure 0005228378
(II)必要に応じて、ポリマーPとフッ素ガスとを接触させ、ポリマーPの不安定末端基をフッ素化する工程。
(III)ポリマーPの−SOF基を、スルホン酸基、スルホンイミド基、またはスルホンメチド基に変換し、ポリマーQを得る工程。
(I)工程:
化合物(m1)は、たとえば、後述する<プロトン伝導性ポリマーの合成(1)>において示す合成ルートによって得ることができる。
他のモノマーとしては、たとえば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、CF=CFORf2、CH=CHRf3、CH=CHCHf3等が挙げられる。ただし、Rf2は、エーテル性の酸素原子を含んでもよい炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基であり、Rf3は、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基である。
他のモノマーのうち、化学的な耐久性の点から、パーフルオロモノマーが好ましく、テトラフルオロエチレンがより好ましい。
重合法としては、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法が挙げられる。
重合は、ラジカルが生起する条件で行われる。ラジカルを生起させる方法としては、紫外線、γ線、電子線等の放射線を照射する方法、開始剤を添加する方法等が挙げられる。
重合温度は、通常、20〜150℃である。
開始剤としては、ビス(フルオロアシル)パーオキシド類、ビス(クロロフルオロアシル)パーオキシド類、ジアルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシルパーオキシド類、パーオキシエステル類、アゾ化合物類、過硫酸塩類等が挙げられ、不安定末端基が少ない前駆体ポリマーPが得られる点から、ビス(フルオロアシル)パーオキシド類等のパーフルオロ化合物が好ましい。
溶液重合法にて用いる溶媒としては、ポリフルオロトリアルキルアミン化合物、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、分子鎖末端に二重結合を有しないフルオロオレフィン、ポリフルオロシクロアルカン、ポリフルオロ環状エーテル化合物、ヒドロフルオロエーテル類、フッ素含有低分子量ポリエーテル、tert−ブタノール等が挙げられる。
(II)工程:
不安定末端基とは、連鎖移動反応によって形成される基、ラジカル開始剤に基づく基等であり、具体的には、−COOH基、−CF=CF基、−COF基、−CFH基等である。不安定末端基をフッ素化することにより、ポリマーQの分解が抑えられる。
フッ素ガスは、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して用いてもよく、希釈せずにそのまま用いてもよい。
ポリマーPとフッ素ガスとを接触させる際の温度は、室温〜300℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、100〜220℃がさらに好ましく、150〜200℃が特に好ましい。
ポリマーPとフッ素ガスとの接触時間は、1分〜1週間が好ましく、1〜50時間がより好ましい。
(III)工程:
たとえば、−SOF基をスルホン酸基に変換する場合は、(III−1)工程を行い、−SOF基をスルホンイミド基に変換する場合は、(III−2)工程を行う。
(III−1)ポリマーPの−SOF基を加水分解してスルホン酸塩とし、スルホン酸塩を酸型化してスルホン酸基に変換する工程。
(III−2)ポリマーPの−SOF基をスルホンイミド化してスルホンイミド基に変換する工程。
(III−1)工程:
加水分解は、たとえば、溶媒中にてポリマーPと塩基性化合物とを接触させて行う。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。溶媒としては、水、水と極性溶媒との混合溶媒等が挙げられる。極性溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
酸型化は、たとえば、−SOF基が加水分解されたポリマーPを、塩酸、硫酸等の水溶液に接触させて行う。
加水分解および酸型化は、通常、0〜120℃にて行う。
(III−2)工程:
スルホンイミド化としては、米国特許第5463005号明細書に記載の方法、Inorg.Chem.32(23)、5007頁(1993年)に記載の方法等、公知の方法が挙げられる。
炭化水素系ポリマーとしては、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルホキシド、スルホン化ポリフェニレンサルファイド、スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトンケトン、スルホン化ポリイミド等が挙げられる。
固体高分子電解質膜30の厚さは、50μm以下が好ましく、5〜30μmが特に好ましい。固体高分子電解質膜30の厚さを50μm以下、特に30μm以下とすることにより、低加湿環境下での固体高分子形燃料電池の発電性能の低下がより抑えられる。固体高分子電解質膜30の厚さを5μm以上とすることにより、短絡が起きることがない。
固体高分子電解質膜30は、必要に応じて補強材を含んでいてもよい。
補強材としては、多孔体、繊維、織布、不織布等が挙げられる。
補強材の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド等が挙げられる。
(触媒層)
第1の触媒層12および第2の触媒層22(以下、まとめて触媒層とも記す。)は、電極触媒およびプロトン伝導性ポリマーを含む層である。
電極触媒としては、カーボン担体に、白金または白金合金が担持された担持触媒が好適に挙げられる。
カーボン担体としては、活性炭、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボン担体の比表面積は、200m/g以上であることが好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置により、カーボン表面への窒素吸着により測定する。
また、カーボン担体の化学的耐久性能を向上させるために、熱処理等によりグラファイト化したものが好ましい。
白金合金としては、白金を除く白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、金、銀、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、およびスズからなる群から選ばれる1種以上の金属と、白金との合金が好ましい。該白金合金には、白金と合金化される金属と、白金との金属間化合物が含まれていてもよい。
白金または白金合金の担持量は、電極触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
プロトン伝導性ポリマーとしては、固体高分子電解質膜30に含まれるプロトン伝導性ポリマーと同様のものが挙げられる。
プロトン伝導性ポリマーがフッ素系ポリマーの場合、電極触媒とフッ素系ポリマーとの比率(電極触媒/プロトン伝導性ポリマー)は、電極の導電性および撥水性の点から、4/6〜9.5/0.5(質量比)が好ましく、6/4〜8/2が特に好ましい。
触媒層に含まれる白金量は、電極反応を効率よく行うための最適な厚みの点から、0.01〜0.5mg/cmが好ましく、0.05〜0.35mg/cmがより好ましい。
触媒層の厚さは、触媒層中のガス拡散を容易にし、固体高分子形燃料電池の発電性能を向上させる点から、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、触媒層の厚さは、均一であることが好ましい。触媒層の厚さを薄くすると、単位面積あたりに存在する電極触媒量が少なくなって反応活性が低くなるおそれがあるが、該場合は電極触媒として白金または白金合金が高担持率で担持された担持触媒を用いれば、薄くても電極触媒量が不足することなく電極の反応活性を高く維持できる。
触媒層は、フラッディングの抑制効果が高まる点から、撥水化剤を含んでいてもよい。撥水化剤としては、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。撥水化剤としては、触媒層を撥水化処理しやすい点から、溶媒に溶解できるフッ素系ポリマーが好ましい。
撥水化剤の量は、触媒層(100質量%)中、0.01〜30質量%が好ましい。
以上説明した膜電極接合体1においては、固体高分子電解質膜30が、温度80℃、相対湿度40%の雰囲気下における導電率が0.05S/cm以上であり、固体高分子電解質膜30と第1のガス拡散層14との間の90°剥離強度が0.03N/cm以上であり、かつ、第1のガス拡散層14を80℃の温水に浸漬した際の寸法変化率が10%未満である。
膜電極接合体1は、固体高分子電解質膜30の導電率が0.05S/cm以上であるため、導電性が良好であり、高い発電性能を発現できる。
膜電極接合体1が様々な湿度環境に曝されると、固体高分子電解質膜30は、本来、該湿度環境に応じて水を含み、平面方向、厚み方向に向けて等方に寸法が変化する。湿度環境が湿潤と乾燥とを繰り返すことにより、固体高分子電解質膜30は膨潤と収縮とを繰り返し、特に平面方向の該繰り返しが機械的な疲労となって破断に至るおそれがある。
膜電極接合体1における第1のガス拡散層14は、80℃の温水に浸漬した際の寸法変化率が10%未満であるため、湿度環境が変わっても寸法変化を起こしにくいものである。そこで、該第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30との間の90°剥離強度を0.03N/cm以上とすることにより、第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30とが強固に接合されるため、固体高分子電解質膜30の特に平面方向の変形が抑制される。そして、固体高分子電解質膜30の変形が抑制されるため、第1の電極10と固体高分子電解質膜30との剥離が起こらない。よって、本発明の膜電極接合体1によれば、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能を飛躍的に向上させることができる。
なお、本発明の膜電極接合体は、図4に示すように、第1の触媒層12と第1のガス拡散層14との間、および第2の触媒層22と第2のガス拡散層24との間に、それぞれ中間層84を有するものであってもよい。中間層84を有することにより、ガス拡散層と触媒層との接合強度が高まり、それらの密着性がより高まって本発明の効果がさらに向上する。
中間層84は、第1の電極10および第2の電極20のいずれか一方の電極側にのみ設けられていてもよい。
中間層84としては、たとえば、プロトン伝導性ポリマーと炭素材料からなる層が挙げられる。プロトン伝導性ポリマーは、触媒層との密着性を向上させる機能を持ち、炭素材料は、ガス拡散層と触媒層との導電性を確保する機能を持つ。
該プロトン伝導性ポリマーとしては、特に限定されず、前記の固体高分子電解質膜30および触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーと同様のものが挙げられる。このように、特に触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーと同様のものを含有する中間層84を設けることにより、触媒層とガス拡散層との接合強度をより高めることができる。
該炭素材料としては、炭素繊維が特に好ましく、微細でかつ電子伝導性を有する点から、カーボンナノファイバーが好ましい。カーボンナノファイバーとしては、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等)等が挙げられる。
炭素繊維の繊維径は、50〜200nmであることが好ましく、繊維長は、1〜50μmであることが好ましい。該炭素繊維を用いることにより、中間層84と触媒層との界面において、触媒層に含まれる電子伝導性物質(白金または白金合金、およびカーボン担体)に絡まり、該電子伝導性物質の点接触による導電パスに加えて新たな導電パスが発現するため、触媒層の電子伝導性が向上する。また、該炭素繊維は、該炭素繊維を含む塗工液を塗工する際、互いに絡み合って空隙を形成しやすく、該空隙がガスチャンネルとして機能する。
炭素材料とプロトン伝導性ポリマーとの比率(炭素材料/プロトン伝導性ポリマー)は、1/0.1〜1/5(質量比)が好ましく、1/0.2〜1/1がより好ましい。該範囲とすることにより、炭素材料の分散性、中間層84とガス拡散層との密着性、中間層84のガス拡散性および排水性が良好となる。
中間層84の厚さは、2〜20μmが好ましい。該範囲とすることにより、中間層84とガス拡散層との密着性が良好となり、また、ガス拡散層と触媒層との接触抵抗が充分小さくでき、また、膜電極接合体1を薄くできる。
固体高分子形燃料電池においては、カソード側の触媒層内では水(水蒸気)が生成し、該水は触媒層と隣接して配置されるガス拡散層を通って系外に排出される。触媒層とガス拡散層との間に、炭素繊維を主体とする中間層84を設けることにより、水が毛細管現象によって触媒層から中間層84へと速やかに移動し、固体高分子形燃料電池運転時のフラッディングの問題が解消されやすくなる。
<固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法>
本発明の膜電極接合体1の製造方法は、第1のガス拡散層14上に形成された第1の触媒層12と前記固体高分子電解質膜30とを接合する方法、または、固体高分子電解質膜30上に形成された第1の触媒層12と第1のガス拡散層14とを接合する方法である。
膜電極接合体1の製造方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
(I)第1のガス拡散層14上に形成された第1の触媒層12、および第2のガス拡散層24上に形成された第2の触媒層22と、固体高分子電解質膜30とをそれぞれ接合する方法。
(II)固体高分子電解質膜30上にそれぞれ形成された第1の触媒層12および第2の触媒層22と、第1のガス拡散層14および第2のガス拡散層24とをそれぞれ接合する方法。
[(I)の方法]
(I)の方法としては、たとえば、以下の(I−1)〜(I−4)工程を有する方法が挙げられる。図5を参照しながら説明する。
(I−1)別途用意した基材(以下、「剥離基材」という。)の表面に固体高分子電解質膜30を形成する工程。
(I−2)第1のガス拡散層14および第1の触媒層12からなる第1の中間体50(すなわち、第1の電極10)を作製する工程。
(I−3)第2のガス拡散層24および第2の触媒層22からなる第2の中間体60(すなわち、第2の電極20)を作製する工程。
(I−4)第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30との間に第1の触媒層12が位置し、かつ、第2のガス拡散層24と固体高分子電解質膜30との間に第2の触媒層22が位置するように、第1の中間体50と固体高分子電解質膜30と第2の中間体60とを接合し、膜電極接合体1とする工程。
(I−1)工程:
固体高分子電解質膜30は、剥離基材の表面に、プロトン伝導性ポリマーを含む液状組成物を塗工して、乾燥させることにより形成できる。特に、固体高分子電解質膜30は、剥離基材の表面に、プロトン伝導性ポリマーが分散媒に分散された液状組成物をキャストして形成されることが好ましく、該キャストした後にさらに熱処理して形成されることがより好ましい。これにより、薄膜で、かつ、均一な厚さを有する固体高分子電解質膜30が得られやすくなる。
剥離基材としては、樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の非フッ素系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂が挙げられる。
非フッ素系樹脂フィルムは、離型剤で表面処理されていることが好ましい。
液状組成物は、プロトン伝導性ポリマーを、溶媒に溶解、または分散媒に分散させることにより調製される。
液状組成物としては、プロトン伝導性ポリマーが分散媒に分散された分散液であることが好ましい。
分散媒としては、水酸基を有する有機溶媒および水を含む分散媒が好ましい。
水酸基を有する有機溶媒としては、主鎖の炭素数が1〜4のアルコールが好ましく、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノール等が挙げられる。水酸基を有する有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
分散媒は、含フッ素溶媒を含んでいてもよい。
含フッ素溶媒としては、たとえば、下記化合物が挙げられる。
ヒドロフルオロカーボン:2H−パーフルオロプロパン、1H,4H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、3H,4H−パーフルオロ(2−メチルペンタン)、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H−パーフルオロ(2−メチルペンタン)等。
フルオロカーボン:パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロブタン)、パーフルオロクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロヘキサン等。
ヒドロクロロフルオロカーボン:1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等。
フルオロエーテル:1H,4H,4H−パーフルオロ(3−オキサペンタン)、3−メトキシ−1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン等。
含フッ素アルコール:2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等。
液状組成物中の水酸基を有する有機溶媒の割合は、分散媒(100質量%)のうち、1〜90質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
液状組成物中の水の割合は、分散媒(100質量%)のうち、10〜99質量%が好ましく、40〜99質量%がより好ましい。水の割合を増やすことにより、分散媒に対するプロトン伝導性ポリマーの分散性を向上できる。
液状組成物中のプロトン伝導性ポリマーの割合は、液状組成物(100質量%)のうち、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
液状組成物の調製方法としては、大気圧下、またはオートクレーブ等で密閉した状態下において、分散媒中のプロトン伝導性ポリマーにせん断を加える方法が挙げられる。
調製温度は、0〜250℃が好ましく、20〜150℃がより好ましい。必要に応じて、超音波等のせん断を付与してもよい。
塗工方法は、特に限定されず、バッチ式の方法または連続式の方法が挙げられる。
バッチ式の方法としては、バーコータ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
連続式の方法としては、後計量法、前計量法が挙げられる。後計量法は、過剰の塗工液を塗工し、後から所定の膜圧となるように塗工液を除去する方法である。前計量法は、所定の膜厚を得るのに必要な量の塗工液を塗工する方法である。
後計量法としては、エアドクタコータ法、ブレードコータ法、ロッドコータ法、ナイフコータ法、スクイズコータ法、含浸コータ法、コンマコータ法等があげられる。
前計量法としては、ダイコータ法、リバースロールコータ法、トランスファロールコータ法、グラビアコータ法、キスロールコータ法、キャストコータ法、スプレイコータ法、カーテンコータ法、カレンダコータ法、押出コータ法等が挙げられる。
均一な固体高分子電解質膜30を形成するためには、スクリーン印刷法またはダイコータ法が好ましく、経済性を考慮すると連続式のダイコータ法がより好ましい。
液状組成物を塗工した後の乾燥温度は、70〜170℃が好ましい。
熱処理の温度は、130〜220℃が好ましい。熱処理の温度が低すぎると、プロトン伝導性ポリマーの種類によっては、ポリマー骨格が安定せず、本来の含水率より高い含水率になるおそれがある。熱処理の温度が高すぎると、イオン性基の熱分解が始まり、本来の含水率より低い含水率になるおそれがある。
(I−2)工程:
第1のガス拡散層14上に第1の触媒層12を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、第1のガス拡散層14上に、電極触媒とプロトン伝導性ポリマーとを含む第1の触媒層形成用塗布液を塗工し乾燥して形成する方法が好ましく、該触媒層形成用塗布液を塗工し乾燥した後に熱処理して形成する方法がより好ましい。
これにより、第1のガス拡散層14と第1の触媒層12とを高い接合強度で接合できるため、固体高分子電解質膜30の変形が抑制され、本発明の効果がより得られやすくなる。
第1のガス拡散層14としては、カーボンファイバーの織布、カーボンぺーパー、カーボンフェルト等の導電性材料をそのまま用いることができる。
第1のガス拡散層14の表面にカーボンを主成分とする多孔層(表面処理層)を有している場合、該多孔層は、第1の触媒層12側に配置されることが好ましい。
第1の触媒層形成用塗布液は、電極触媒およびプロトン伝導性ポリマーを分散媒に分散させた分散液である。
分散媒としては、前記液状組成物における分散媒と同様のものが挙げられる。
該触媒層形成用塗布液は、たとえば、前記液状組成物と、電極触媒の分散液とを混合することにより調製できる。
該触媒層形成用塗布液の粘度は、第1の触媒層12の形成方法によって異なるため、数十cP程度の分散液であってもよく、20000cP程度のペースト状の分散液であってもよい。
また、該触媒層形成用塗布液は、粘度を調節するために、増粘剤を含んでいてもよい。該増粘剤としては、エチルセルロース、メチルセルロース、セロソルブ系増粘剤、フッ素系溶剤(5フッ化プロパノール、フロン等)が挙げられる。
塗工方法は、特に限定されず、前記固体高分子電解質膜30における液状組成物の塗工方法と同様の方法が用いられる。
乾燥温度は、70〜170℃が好ましい。
熱処理温度は、130〜220℃が好ましい。熱処理の温度が低すぎると、プロトン伝導性ポリマーの種類によっては、ポリマー骨格が安定せず、本来の含水率より高い含水率になるおそれがある。また、熱処理の温度が高すぎると、イオン性基の熱分解が始まり、本来の含水率より低い含水率になるおそれがある。しかし、熱処理の温度によっては、触媒のカーボン担体が酸化分解するおそれがある。よって、熱処理は、窒素雰囲気下、減圧下、またはプレス等の圧力で触媒層中の酸素を減らした環境下で行うことが好ましい。また、酸化分解を抑制するために、カーボン担体として、熱処理等でグラファイト化されたカーボン担体を用いてもよい。
(I−3)工程:
第2のガス拡散層24上に第2の触媒層22を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、第2のガス拡散層24上に、電極触媒とプロトン伝導性ポリマーとを含む第2の触媒層形成用塗布液を塗工し乾燥して形成する方法が好ましく、該触媒層形成用塗布液を塗工し乾燥した後に熱処理して形成する方法がより好ましい。
これにより、第2のガス拡散層24と第2の触媒層22とを高い接合強度で接合できるため、固体高分子電解質膜30の変形が抑制され、本発明の効果がより得られやすくなる。
具体的な作製方法は、(I−2)工程において、第1の触媒層形成用塗布液を第2の触媒層形成用塗布液に変更する以外は、(I−2)工程と同様の作製方法とすればよい。
(I−4)工程:
接合方法としては、熱プレス法、熱ロールプレス、超音波融着等が挙げられ、面内の均一性の点から、熱プレス法が好ましい。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましく、プレス圧力は、0.5〜2.0MPaが好ましい。
[(II)の方法]
(II)の方法としては、たとえば、以下の(II−1)〜(II−4)工程を有する方法が挙げられる。図6を参照しながら説明する。
(II−1)別途用意した剥離基材の表面に固体高分子電解質膜30を形成する工程。
(II−2)固体高分子電解質膜30の一方の面に第1の触媒層12を形成して、固体高分子電解質膜30および第1の触媒層12からなる第1の中間体50を作製する工程。
(II−3)第1の中間体50から剥離基材を剥離し、第1の触媒層12とは反対側の固体高分子電解質膜30の面に第2の触媒層22を形成して、第1の触媒層12、固体高分子電解質膜30、および第2の触媒層22からなる第2の中間体60を作製する工程。
(II−4)第1のガス拡散層14と固体高分子電解質膜30との間に第1の触媒層12が位置し、かつ、第2のガス拡散層24と固体高分子電解質膜30との間に第2の触媒層22が位置するように、第1のガス拡散層14と第2の中間体60と第2のガス拡散層24とを接合し、膜電極接合体1とする工程。
(II−1)工程:
(I−1)工程と同様にして行えばよい。
(II−2)工程:
固体高分子電解質膜30の一方の面に第1の触媒層12を形成する方法としては、特に限定されず、たとえば以下の方法により形成できる。
1)第1の触媒層形成用塗布液を適当な剥離基材上に塗工し、乾燥、熱処理した後に、固体高分子電解質膜30上に転写する方法。
2)第1の触媒層形成用塗布液を固体高分子電解質膜30上に塗工し、乾燥、熱処理する方法。
前記2つの方法において、第1の触媒層形成用塗布液を塗工した後の乾燥温度、並びに熱処理の温度および条件は、(I−2)工程と同様の温度および条件とすればよい。
特に、2)の方法は、固体高分子電解質膜30と第1の触媒層12とを高い接合強度で接合できるため、固体高分子電解質膜30の変形が抑制され、本発明の効果がより得られやすくなるため、好ましい。
(II−3)工程:
第2の中間体60は、第1の中間体50から剥離基材を剥離し、第1の触媒層12とは反対側の固体高分子電解質膜30の面に第2の触媒層22を形成することにより作製される。
固体高分子電解質膜30の面に第2の触媒層22を形成する方法および条件は、(II−2)工程において、第1の触媒層形成用塗布液を第2の触媒層形成用塗布液に変更する以外は、(II−2)工程と同様の方法および条件とすればよい。
なお、(II−2)工程において1)の方法を用いる場合、第1の中間体50を経ずに、固体高分子電解質膜30から剥離基材を剥離し、固体高分子電解質膜30のそれぞれの面に、第1の触媒層12と第2の触媒層22を同時に転写して第2の中間体60を直接作製することもできる。
また、(II−2)工程において、固体高分子電解質膜30の一方の面に第2の触媒層22を先に形成し、(II−3)工程において、第2の触媒層22とは反対側の固体高分子電解質膜30の面に第1の触媒層12を後で形成してもよい。
(II−4)工程:
第1のガス拡散層14および第2のガス拡散層24の作製方法は、(I−2)工程と同様の方法、条件とすればよい。
また、接合方法および条件は、(I−4)工程と同様の方法、条件とすればよい。
また、本発明の製造方法により製造される膜電極接合体においては、ガス拡散層と触媒層との接合強度を高めて両者の密着性をより向上させるため、図4に示すように、ガス拡散層と触媒層との間に中間層84を設けることができる。特に、ガス拡散層と触媒層とを熱プレス等により貼り合わせる際、該中間層84を設けることが好ましい。
図4に示す膜電極接合体は、前記の製造方法((I−2)、(I−3)または(II−4))において、たとえば、予めガス拡散層の触媒層側の面に中間層84を設けた、ガス拡散層と中間層84とからなる積層体を用いることにより製造できる。
中間層84は、たとえば、炭素粒子または炭素繊維と、前記液状組成物とを混合して調製される中間層形成用塗布液を、ガス拡散層上に塗工して乾燥することにより形成できる。
<固体高分子形燃料電池>
本発明の膜電極接合体1の両面に、たとえばガスの流路となる溝100が形成されたセパレータ80を配置することにより、図7に示すような固体高分子形燃料電池が得られる。
セパレータ80としては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂を混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することにより、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電を行うメタノール燃料電池にも、本発明の膜電極接合体1を適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1、3、4は実施例であり、例2、5、6は比較例である。
(イオン交換容量)
ポリマーのイオン交換容量は、下記方法により求めた。
ポリマーを、水およびメタノールを溶媒とする一定濃度の水酸化ナトリウム溶液に浸漬して加水分解し、該溶液を逆滴定することによりイオン交換容量を求めた。
(TQ値)
TQ値(単位:℃)は、ポリマーの分子量の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件でポリマーの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm/秒となる温度である。
フローテスタCFT−500A(島津製作所社製)を用い、温度を変えてポリマーの押出し量を測定し、押出し量が100mm/秒となるTQ値を求めた。
(導電率)
ポリマーの導電率は、下記方法により求めた。
ポリマーからなる5mm幅のフィルムに、5mm間隔で4端子電極が配置された基板を密着させ、公知の4端子法により、温度80℃、相対湿度40%の恒温恒湿条件下にて交流10kHz、1Vの電圧でフィルムの抵抗を測定し、該結果から導電率を算出した。
(含水率)
ポリマーの含水率は、下記方法により求めた。
ポリマーを80℃の温水中に16時間浸漬した後、温水ごとポリマーを室温まで冷却した。水中よりポリマーを取り出し、表面に付着した水滴をふき取り、直ちにポリマーの含水時の質量を測定した。ついで、該ポリマーをグローブボックス中に入れ、乾燥窒素を流した雰囲気中に24時間以上放置し、ポリマーを乾燥させた。そして、グローブボックス中でポリマーの乾燥質量を測定した。ポリマーの含水時の質量と乾燥質量との差から、ポリマーが含水時に吸収する水の質量を求めた。そして、下式よりポリマーの含水率を求めた。
含水率=(ポリマーが含水時に吸収する水の質量/ポリマーの乾燥質量)×100
〔90°剥離試験〕
固体高分子電解質膜と、カソードまたはアノードのガス拡散層との間の90°剥離強度は、膜電極接合体の製造方法に応じて、前記の90°剥離試験(I)または90°剥離試験(II)を行って求めた。
両面テープには、NW−20(商品名:ナイスタック、ニチバン製)を用いた。
片面テープには、カプトン粘着テープ(商品名:カプトン粘着テープ No.6564S #25、寺岡製作所製)を用いた。
引張り試験機には、RTE−1210(製品名:万能試験機(テンシロン)、オリエンテック社製)を用いた。
〔ガス拡散層の寸法変化率〕
ガス拡散層の寸法変化率は、下記(手順1)〜(手順4)により求めた。
(手順1)ガス拡散層について、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下に16時間以上置いた後、寸法(a)を計測した。
(手順2)次に、該ガス拡散層を80℃の温水に16時間浸漬した。
(手順3)その後、該ガス拡散層を温水に浸漬した状態で室温まで冷却し、水中から取り出して寸法(b)を計測した。
(手順4)下式から寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=[寸法(b)−寸法(a)]/寸法(a)×100
〔発電特性〕
発電特性の試験は、下記方法により行った。
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、膜電極接合体の温度を80℃に維持し、アノードに水素(利用率50%)、カソードに空気(利用率50%)を、それぞれ200kPa(絶対圧力)に加圧して供給した。ガスの加湿度を、水素を相対湿度50%、空気を相対湿度0%にし、電流密度が1.0A/cmのときのセル電圧をそれぞれ記録した。
〔湿潤−乾燥サイクル試験〕
湿潤−乾燥サイクル試験は、前記非特許文献1に記載の方法に準じ、下記方法により行った。
膜電極接合体を発電用セル(電極面積25cm)に組み込み、セル温度80℃、アノードおよびカソードにそれぞれ窒素を1L/minで供給した。その際に、ガスの加湿度をアノードおよびカソード共に相対湿度150%にして2分間供給した後、相対湿度0%にして2分間供給する工程を1サイクルとして繰り返した。100サイクルごとに、アノードとカソードとの間に圧力差を生じさせ、物理的なガスリークの有無を判定した。ガスリークが生じ、かつ、ガスクロスオーバー速度が10sccm以上になった時点を寿命と判断した。該時点におけるサイクル数を耐久性能の指標とした。
サイクル数が10000サイクル未満を×、10000サイクル以上20000サイクル未満を△、20000サイクル以上を○とした。
<プロトン伝導性ポリマーの合成(1)>
以下に示す合成ルートにより化合物(m11)を合成し、該化合物(m11)を用いてプロトン伝導性ポリマー(共重合体A)を合成した。
Figure 0005228378
化合物(a1)の合成:
特開昭57−176973号公報の実施例2に記載の方法と同様にして、化合物(a1)を合成した。
化合物(c1)の合成:
ジムロート冷却管、温度計、滴下ロート、および撹拌翼付きガラス棒を備えた300cmの4口丸底フラスコに、窒素雰囲気下、フッ化カリウム(森田化学社製、商品名:クロキャットF)1.6gおよびジメトキシエタン15.9gを入れた。ついで、丸底フラスコを氷浴で冷却して、滴下ロートより化合物(b1)49.1gを32分かけて、内温10℃以下で滴下した。滴下終了後、滴下ロートより化合物(a1)82.0gを15分かけて滴下した。内温上昇はほとんど観測されなかった。滴下終了後、内温を室温に戻して約90時間撹拌した。分液ロートで下層を回収した。回収量は127.6gであり、GC純度は55%であった。回収液を200cmの4口丸底フラスコに移して、蒸留を実施した。減圧度1.0〜1.1kPa(絶対圧)の留分として化合物(c1)97.7gを得た。GC純度は98%であり、収率は80%であった。
化合物(d1)の合成:
200cmのステンレス製オートクレーブに、フッ化カリウム(森田化学社製、商品名:クロキャットF)1.1gを入れた。脱気後、減圧下で、オートクレーブにジメトキシエタン5.3g、アセトニトリル5.3gおよび化合物(c1)95.8gを入れた。
ついで、オートクレーブを氷浴で冷却して、内温0〜5℃にて、ヘキサフルオロプロペンオキシド27.2gを27分かけて加えた後、撹拌しながら内温を室温に戻して一晩撹拌した。分液ロートで下層を回収した。回収量は121.9gであり、GC純度は63%であった。回収液の蒸留により沸点80〜84℃/0.67〜0.80kPa(絶対圧)の留分として化合物(d1)72.0gを得た。GC純度は98%であり、収率は56%であった。
化合物(m11)の合成:
内径1.6cmのステンレス製管を用いて、長さ40cmのU字管を作製した。該U字管の一方にガラスウールを充填し、他方にステンレス製焼結金属を目皿としてガラスビーズを充填し、流動層型反応器を作製した。流動化ガスとして窒素ガスを用い、原料を、定量ポンプを用いて連続的に供給できるようにした。出口ガスはトラップ管を用いて液体窒素で捕集した。
流動層型反応器を塩浴に入れ、反応温度を340℃に保持しながら、化合物(d1)/Nのモル比が1/20となるように、流動層型反応器に化合物(d1)34.6gを1.5時間かけて供給した。反応終了後、液体窒素トラップより27gの液体を得た。GC純度は84%であった。該液体の蒸留により沸点69℃/0.40kPa(絶対圧)の留分として化合物(m11)を得た。GC純度は98%であった。
化合物(m11)の19F−NMR(282.7MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)。
δ(ppm):45.5(1F),45.2(1F),−79.5(2F),−82.4(4F),−84.1(2F),−112.4(2F),−112.6(2F),−112.9(dd,J=82.4Hz,67.1Hz,1F),−121.6(dd,J=112.9Hz,82.4Hz,1F),−136.0(ddt,J=112.9Hz,67.1Hz,6.1Hz,1F),−144.9(1F)。
プロトン伝導性ポリマーの合成:
30cmのステンレス製オートクレーブに、化合物(m11)9.84g、溶媒である化合物(3−1)3.09gおよび開始剤である化合物(4−1)1.3gを入れ、液体窒素で冷却して脱気した。
CClFCFCHClF ・・・(3−1)、
(CHC(CN)N=NC(CH(CN) ・・・(4−1)。
内温を70℃に昇温し、オートクレーブにテトラフルオロエチレンを導入し、圧力を1.31MPaG(ゲージ圧)とした。温度、圧力を一定に保持して、5.7時間重合を行った。ついで、オートクレーブ内を冷却して重合を停止し、系内のガスをパージした。反応液を化合物(3−1)で希釈した後、化合物(3−2)を加え、ポリマーを凝集させ、ろ過した。
CHCClF ・・・(3−2)。
化合物(3−1)中でポリマーを撹拌した後、化合物(3−2)を加え、ポリマーを再凝集し、ろ過した。ポリマーを80℃で一晩減圧乾燥し、テトラフルオロエチレンと化合物(m11)との共重合体であるプロトン伝導性ポリマー(以下、共重合体Aと記す。)を得た。共重合体Aの収量は1.2gであった。共重合体Aの特性を表1に示す。
<プロトン伝導性ポリマーの合成(2)>
テトラフルオロエチレン(CF=CF)と化合物(2−1)とを共重合し、プロトン伝導性ポリマー(以下、共重合体Bと記す。)を得た。共重合体Bの特性を表1に示す。
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(2−1)。
Figure 0005228378
<液状組成物の調製(1)>
共重合体Aが下記〔酸型処理〕により酸型に変換されたポリマーに、エタノールと水と1−ブタノールの混合溶媒(エタノール/水/1−ブタノール=35/50/15質量比)を加え、固形分濃度を15質量%に調整し、オートクレーブを用いて125℃で8時間、撹拌した。その後、さらに水を添加して固形分濃度を9質量%に調整し、該ポリマーが分散媒に分散された液状組成物(以下、液状組成物SAと記す。)を調製した。分散媒の組成は、エタノール/水/1−ブタノール=21/70/9(質量比)であった。
〔酸型処理〕
まず、共重合体AのTQ温度にて、加圧プレス成形により共重合体Aを厚さ100〜200μmのフィルムに加工した。
ついで、該フィルムを、ジメチルスルホキシドの30質量%および水酸化カリウムの15質量%を含む水溶液に、80℃で16時間浸漬させることにより、該フィルム中の−SOF基が加水分解され、−SOK基に変換された。
ついで、該フィルムを、3モル/L塩酸水溶液に、50℃で2時間浸漬した。塩酸水溶液を交換し、同様の処理をさらに4回繰り返した。該フィルムをイオン交換水で充分に水洗し、該フィルム中の−SOK基がスルホン酸基に変換されたフィルム状のポリマーを得た。
<液状組成物の調製(2)>
共重合体Bが前記〔酸型処理〕により酸型に変換されたポリマーに、エタノールと水との混合溶媒(エタノール/水=40/60質量比)を加え、固形分濃度を25質量%に調整し、オートクレーブを用いて110℃で8時間、撹拌して液状組成物(以下、液状組成物SBと記す。)を調製した。
<膜電極接合体の製造>。
(例1)
前記の製造方法(I)により膜電極接合体を製造した。
(I−1)工程:
液状組成物SAを、厚さ100μmのエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなるシート(商品名:アフレックス100N、旭硝子社製;以下、ETFEシートと記す。)上に、ダイコータを用いて塗工し、80℃で30分乾燥し、さらに190℃で30分の熱処理を施し、膜厚25μmの固体高分子電解質膜(導電率0.105S/cm)(以下、固体高分子電解質膜MA25と記す。)を形成した。
(I−2)工程:
熱処理を施したカーボンブラック粉末に白金が質量比で50質量%担持された触媒20gを、水70gに添加し、超音波を10分かけて均一に分散させた。これに、液状組成物SAを80g添加し、さらに100gのエタノールを添加して固形分濃度を10質量%とし、これを触媒層形成用塗布液(以下、塗布液CAと記す。)とした。
表面がカーボンブラック粒子とポリテトラフルオロエチレンとを含む分散液により処理されたカーボンペーパー(商品名:H2315T10AC1、NOK社製)(以下、カーボンペーパーと記す。)からなるガス拡散層を用意した。
該ガス拡散層の寸法変化率は1%であった。該結果を表2に示す。
該ガス拡散層上に、塗布液CAを、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、さらに減圧雰囲気下(5mmHg)で190℃の熱処理を施し、触媒層中のプロトン伝導性ポリマーを安定化させて触媒層を形成し、第1の中間体を作製した。
(I−3)工程:
(I−2)工程と同じ方法により、第2の中間体を作製した。
(I−4)工程:
固体高分子電解質膜MA25からETFEシートを剥離した。
カソード側およびアノード側のいずれもガス拡散層と固体高分子電解質膜との間に触媒層が位置するように、第1の中間体と第2の中間体との間に固体高分子電解質膜MA25を挟み込み、これを、あらかじめ140℃に加熱したプレス機の中に入れ、1.5MPaのプレス圧で5分間熱プレスし、電極面積が25cmの膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(II)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
例1において得られる固体高分子電解質膜MA25および第1の中間体を用い、第1の中間体と固体高分子電解質膜MA25とを、ガス拡散層と固体高分子電解質膜MA25との間に触媒層が位置するように、例1の(I−4)工程と同様の方法および条件で接合させて、幅20mm×長さ150mmの試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(II)を実施した。その結果を表2に示す。
(例2)
前記の製造方法(I)により膜電極接合体を製造した。
(I−1)工程:
液状組成物SBを、厚さ100μmのETFEシート上に、ダイコータを用いて塗工し、80℃で30分乾燥し、さらに150℃で30分の熱処理を施し、膜厚15μmの固体高分子電解質膜(導電率0.04S/cm)(以下、固体高分子電解質膜MB15と記す。)を形成した。
(I−2)〜(I−4)工程:
例1において、固体高分子電解質膜MA25を固体高分子電解質膜MB15に変更した以外は、例1と同様にして膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(II)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
すなわち、例1において、固体高分子電解質膜MA25を固体高分子電解質膜MB15に変更した以外は、例1と同様にして試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(II)を実施した。その結果を表2に示す。
(例3)
前記の製造方法(II)により膜電極接合体を製造した。
(II−1)工程:
例1と同じ方法により、固体高分子電解質膜MA25を形成した。
(II−2)〜(II−3)工程:
例1と同じ方法により、塗布液CAを調製した。
該塗布液CAを、別途用意したETFEシート上に、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、さらに減圧雰囲気下(5mmHg)で190℃の熱処理を施し、触媒層中のプロトン伝導性ポリマーを安定化させて2枚の触媒層(以下、触媒層EAと記す。)を形成した。
固体高分子電解質膜MA25からETFEシートを剥離した。
2枚の触媒層EAの間に固体高分子電解質膜MA25を挟み込み、これを、プレス温度140℃、プレス時間5分間、圧力1.5MPaの条件にて加熱プレスして固体高分子電解質膜MA25の両面にそれぞれ触媒層を接合した。
触媒層からETFEシートを剥離して、電極面積25cmの第2の中間体(膜触媒層接合体)を作製した。
(II−4)工程:
気相成長炭素繊維(商品名:VGCF−H、昭和電工社製;繊維径約150nm、繊維長10〜20μm)20gにエタノール27gおよび蒸留水153gを添加し、よく撹拌した。これに、液状組成物SBを140g添加してよく撹拌し、さらにホモジナイザーを用いて混合、粉砕させて中間層形成用塗布液FBを調製した。
例1と同じ方法により作製したカーボンペーパーの表面に中間層形成用塗布液FBを、固形分量が0.8mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥して、カーボンペーパーの表面に中間層が形成された積層体(以下、ガス拡散層GDBと記す。)2枚を作製した。
カソード側およびアノード側のいずれもガス拡散層GDBと触媒層との間に中間層が位置するように、2枚のガス拡散層GDBの間に第2の中間体を挟み込み、これを、プレス温度130℃、プレス時間2分間、圧力3MPaの条件にて加熱プレスして電極面積が25cmの膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(I)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
例3において得られる固体高分子電解質膜MA25、触媒層およびガス拡散層GDBを用い、固体高分子電解質膜MA25の一方の面に触媒層を例3の(II−2)〜(II−3)工程と同様の方法および条件で接合させて、試験片90を作製した。
該試験片90の末端から長手方向へ80mm分と、ガス拡散層GDBの末端から長手方向へ80mm分とを、ガス拡散層GDBと固体高分子電解質膜MA25との間に触媒層が位置するように接合させて、幅20mm×長さ220mmの試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(I)を実施した。その結果を表2に示す。
(例4)
前記の製造方法(II)により膜電極接合体を製造した。
(II−1)工程:
例1と同じ方法により、固体高分子電解質膜MA25を形成した。
(II−2)工程:
例1と同じ方法により、塗布液CAを調製した。
該固体高分子電解質膜MA25の一方の面に、塗布液CAを、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、さらに減圧雰囲気下(5mmHg)で190℃の熱処理を施し、触媒層中のプロトン伝導性ポリマーを安定化させて触媒層を形成し、第1の中間体を作製した。
(II−3)工程:
第1の中間体からETFEシートを剥離した。
触媒層とは反対側の固体高分子電解質膜の面に、(II−2)工程と同様の温度および条件により触媒層を形成し、第2の中間体(膜触媒層接合体)を作製した。
(II−4)工程:
例3と同じ方法により、2枚のガス拡散層GDBと第2の中間体とを接合して膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(I)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
例4において得られる第1の中間体およびガス拡散層GDBを用い、該第1の中間体の末端から長手方向へ80mm分と、ガス拡散層GDBの末端から長手方向へ80mm分とを、ガス拡散層GDBと固体高分子電解質膜MA25との間に触媒層が位置するように接合させて、幅20mm×長さ220mmの試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(I)を実施した。その結果を表2に示す。
(例5)
前記の製造方法(II)により膜電極接合体を製造した。
(II−1)〜(II−3)工程:
例3と同じ方法により、第2の中間体(膜触媒層接合体)を作製した。
(II−4)工程:
例1と同じ方法により、カーボンペーパーからなるガス拡散層2枚を作製した。
2枚の該ガス拡散層の間に第2の中間体を挟み込み、例3と同じ方法により接合して膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(I)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
すなわち、例3において、ガス拡散層GDBをカーボンペーパーのみに変更した以外は、例3と同様にして試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(I)を実施した。その結果を表2に示す。
(例6)
前記の製造方法(II)により膜電極接合体を製造した。
(II−1)工程:
例2と同じ方法により、固体高分子電解質膜MB15を形成した。
(II−2)〜(II−4)工程:
例5において、固体高分子電解質膜MA25を固体高分子電解質膜MB15に変更した以外は、例5と同様にして膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および湿潤−乾燥サイクル試験を実施した。その結果を表2に示す。
〔90°剥離試験に供する試験片の作製〕
90°剥離試験(I)の手順1、2に準じて試験片を作製した。
すなわち、例5において、固体高分子電解質膜MA25を固体高分子電解質膜MB15に変更した以外は、例5と同様にして試験片を作製した。この試験片について、90°剥離試験(I)を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 0005228378
表2の結果から、本発明の膜電極接合体を用いることにより、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れていることがわかる。
本発明の膜電極接合体は、低加湿環境下においても高い発電性能を発現できると共に、湿潤と乾燥とを繰り返す環境下での耐久性能に優れることから、自動車等の移動体用電源、分散発電システム、家庭用コージェネレーションシステム等として用いられる固体高分子形燃料電池にきわめて有用である。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す概略断面図である。 図2(a)は90°剥離試験(I)に供する試験片を示す略図であり、図2(b)は90°剥離試験(I)の装置を示す略図である。 図3(a)は90°剥離試験(II)に供する試験片を示す略図であり、図3(b)は90°剥離試験(II)の装置を示す略図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の他の例を示す概略断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を用いた固体高分子形燃料電池の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 膜電極接合体 10 第1の電極 12 第1の触媒層 14 第1のガス拡散層 20 第2の電極 22 第2の触媒層 24 第2のガス拡散層 30 固体高分子電解質膜 50 第1の中間体 60 第2の中間体 80 セパレータ 91 試験片

Claims (4)

  1. 電極触媒とプロトン伝導性ポリマーを含む第1の触媒層および第1のガス拡散層を有する第1の電極と、
    電極触媒とプロトン伝導性ポリマーを含む第2の触媒層および第2のガス拡散層を有する第2の電極と、
    前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間に配置される固体高分子電解質膜と
    を備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体において、
    前記第1のガス拡散層および前記第2のガス拡散層が、カーボンファイバーの織布、カーボンぺーパーおよびカーボンフェルトからなる群から選ばれる1種以上の導電性材料を含み、
    前記固体高分子電解質膜が、下記一般式(α)
    Figure 0005228378
    [式中、Q は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基である。Q は、単結合またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基である。R f1 は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子である。aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2である。Yは、フッ素原子または1価のパーフルオロ有機基である。]
    で表される基(α)を有する繰り返し単位を有するポリマーを含む膜であり、
    前記固体高分子電解質膜が、温度80℃、相対湿度40%の雰囲気下における導電率が0.05S/cm以上であり、
    前記固体高分子電解質膜と前記第1のガス拡散層との間の90°剥離強度が0.03N/cm以上であり、かつ、
    前記第1のガス拡散層を80℃の温水に浸漬した際の寸法変化率が10%未満であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
  2. 前記固体高分子電解質膜が、前記基(α)を有する繰り返し単位を有するポリマーが分散媒に分散された液状組成物をキャストして形成される請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
  3. 前記第1のガス拡散層上に形成された前記第1の触媒層と、前記固体高分子電解質膜とを接合することにより、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を得ることを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記固体高分子電解質膜上に形成された前記第1の触媒層と、前記第1のガス拡散層とを接合することにより、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を得ることを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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