JP4301397B2 - 燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法 - Google Patents

燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池に用いる膜電極接合体とその製造方法に関する。
高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その膜電極接合体の構造について図1に示す。
水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜11の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末からなる触媒粒子と、水素イオン伝導性高分子電解質を混合した触媒層12(アノード側触媒層12−1、カソード側触媒層12−2)が形成されている。この高分子電解質膜11と触媒層12を合わせて膜触媒層接合体14と呼ぶ。
現在、高分子電解質膜11としては、化1に示した化学構造を持つパーフルオロスルホン酸が一般的に使用されている。
Figure 0004301397
さらに、この触媒層12の外面には、燃料ガスや酸化剤ガスの通気性と、電子導電性を併せ持つガス拡散層13が形成されている。そして、ガス拡散層13と触媒層12の間には、図1に示すように、撥水性導電層15を設けることが好ましい。
このガス拡散層13と触媒層12からなり、好ましくは撥水性導電層15をも含む構成体を電極16(アノード電極16−1、カソード電極16−2)と呼び、高分子電解質膜11とその両側の電極16からなる構成体を膜電極接合体と呼ぶ。撥水性導電層15を設けた膜電極接合体を用いた燃料電池は、例えば特許文献1で提案されている。
電池運転時には、アノード電極16−1において、ガス拡散層13を通して供給される燃料ガス中の水素から、アノード側触媒層12−1中の触媒により水素イオンと電子が生成される。生成された水素イオンは、高分子電解質膜11中を移動し、カソード電極16−2において、ガス拡散層13を通して供給される酸化剤ガス中の酸素および、外部回路を経て供給される電子と反応して、水が生成される。
高分子電解質膜11や、触媒層12中の水素イオン伝導性高分子電解質の水素イオン伝導性を確保するためには、系内に適切な量の水分が存在する必要があり、電池運転に用いられる燃料ガス、酸化剤ガスは、適切に加湿された状態で供給される。さらに、ガス拡散層13と触媒層12の間に撥水性導電層15を設けることにより、膜触媒層接合体14内の必要な水分量を確保するとともに、余分な水分のガス拡散層13の基材への浸透、滞留と、それに伴なう反応ガスや水分などの物質移動の阻害による電池特性の低下を抑制することができる。
このような燃料電池用膜電極接合体の製造方法としては、従来より以下の方法が用いられていた。
燃料電池用膜電極接合体の従来の第1の製造方法の模式図を、図2に示す。図2(a)は、撥水性導電層を含まない膜電極接合体の場合の、図2(b)は、撥水性導電層を含む膜電極接合体の場合の、それぞれの製造方法を示している。
撥水性導電層が形成されない場合は、図2(a)に示すように、触媒粒子とイオン導電性樹脂を含む触媒層用インクを、ガス拡散層23上に塗布することにより、ガス解散層23表面に触媒粒子とイオン導電性樹脂を含む触媒層22を積層した電極を形成させる。そして、これらの電極を、高分子電解質膜21の両側に熱圧着などの方法で接合する方法が用いられていた。
同様に、撥水性導電層が形成される場合は、図2(b)に示すように、触媒層用インクを撥水性導電層26および27上に塗布することにより、ガス拡散層23と撥水性導電層26、27からなる積層体の撥水性導電層26、27表面に触媒層22を積層した電極を形成させる。そして、これらの電極を、高分子電解質膜21の両側に熱圧着などの方法で接合する方法が用いられていた。
接合方法としては、ホットプレス、ロールプレスなどによる熱圧着方法のほか、イオン導電性樹脂溶液を接着剤とする方法、高分子電触質膜材料を溶解できる溶媒を用いて接合する方法なども提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3など)が、プロセスの簡便性からは、熱圧着法が望ましい。
次に、燃料電池用膜電極接合体の従来の第2の製造方法の模式図を、図3に示す。図3(a)は、撥水性導電層を含まない膜電極接合体の場合の、図3(b)は、撥水性導電層を含む膜電極接合体の場合の、それぞれの製造方法を示している。
図3に示す方法では、塗布法により、触媒層32を高分子電解質膜31の表面に直接に形成させる。
撥水性導電層が形成されない場合は、図3(a)に示すように、膜触媒層接合体35を、ガス拡散層33と接合することにより、膜電極接合体が構成される。一方、撥水性導電層が形成される場合は、図3(b)に示すように、膜触媒層接合体35を、ガス拡散層33表面に積層された撥水性導電層34と接合することにより、膜電極接合体が構成される。接合方法としては、いずれも上記の従来の第1の製造方法と同様の手法が用いられる。
特開2000−289230号公報 特開平7−220741号公報 特開平8−148167号公報
しかしながら、上記従来の膜電極接合体の製造方法では、以下に述べるような課題が存在した。
電極を形成してから、高分子電解質膜に接合するという従来の第1の製造方法では、図2(b)に示すように触媒層22をガス拡散層23上に形成された撥水性導電層26、27上に形成させる場合、触媒層用インクを撥水性導電層26、27上に塗布する際、触媒層用インクが撥水性導電層26、27からガス拡散層23内まで浸透し、最終的に触媒層22の一部がガス拡散層23まで達することとなる。
この場合、触媒層22とガス拡散層23が撥水性導電層26、27で区切られているという構成が崩れることとなるため、電池運転時における、撥水性導電層26、27による水分管理機能が低下する。そして、膜触媒層接合体の水分量不足によるイオン導電性の低下や、ガス拡散層23の基材への水分の浸透、滞留による反応ガスや水分などの物質移動の阻害を招くこととなり、結果として充分な電池特性が得ることができないという課題があった。
一方、触媒層を高分子電解質膜の表面に直接に形成し、得られた膜触媒層接合体を、ガス拡散層上に形成された撥水性導電層と接合するという、図3(b)に示す従来の第2の製造方法の場合にも、以下のような課題が存在した。
ガス拡散層33の撥水性導電層34の樹脂主成分として、優れた撥水性を有するポリテトラフルオロエチレンが従来より用いられている。この場合、触媒層32とガス拡散層33の撥水性導電層34との接合は、熱圧着やイオン導電性樹脂溶液を接着剤とする方法、高分子電解質膜材料を溶解できる溶媒を用いる方法などが用いられている。
しかし、ポリテトラフルオロエチレンが高融点で接着性に乏しいことから、これらの従来より用いられている接合方法では、触媒層32と撥水性導電層34との接合性が不十分なものとなる。このため、電池特性上十分に満足できるほどに触媒層32と撥水性導電層34間の接触抵抗を小さくすることができなくなるとともに、触媒層32(特に生成水が生ずるカソード側)と撥水性導電層34間の接合不十分な部分に水が蓄積することによる抵抗の増大や、これに伴う反応ガスや生成水などの物質移動の阻害といった問題が生じる。
この問題を解消する方法として、触媒層32と撥水性導電層34間の接合性を高めるために、熱圧着時の温度や圧力を上げたり、燃料電池組立時の締め付け圧力を高くする方法が考えられる。しかし、このような対応をした場合、高分子電解質膜31に熱あるいは圧力によるダメージが与えられることとなり、得られた膜電極接合体では、十分な初期電池性能が得られない、または長時間の使用による電池の性能が低下する、などの問題がある。
本発明は、上記従来の課題を考慮し、優れた初期電池特性および耐久電池特性を有する高分子電解質型燃料電池を実現できる燃料電池用膜電極接合体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の両側のそれぞれに配置された2つの電極とを備え、
前記2つの電極の少なくとも一方の電極は、前記高分子電解質膜側から順に配置された、触媒層と、所定の撥水性と所定の接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第二の撥水性導電層と、前記所定の撥水性よりも強い撥水性と前記所定の接着性よりも弱い接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第一の撥水性導電層と、ガス拡散層で構成されており、
前記第一の撥水性導電層の樹脂主成分は、テトラフルオロエチレン成分またはテトラフルオロエチレンの同族体の共重合体成分であり、
前記第二の撥水性導電層の樹脂主成分は、ポリフッ化ビニリデン成分である、燃料電池用膜電極接合体である。
また、第2の本発明は、
前記それぞれの電極のうちのカソード側の電極は、
前記高分子電解質膜側から順に配置された、前記触媒層と、前記第二の撥水性導電層と、前記第一の撥水性導電層と、前記ガス拡散層で構成されている、第1の本発明の燃料電池用膜電極接合体である。
また、第3の本発明は、
高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の両側のそれぞれに配置された2つの電極とを備え、
前記2つの電極の少なくとも一方の電極は、前記高分子電解質膜側から順に配置された、触媒層と、ポリフッ化ビニリデン成分とポリテトラフルオロエチレン成分を樹脂主成分とする撥水性導電層と、ガス拡散層で構成されている、燃料電池用膜電極接合体である。
また、第4の本発明は、
前記2つの電極のうちのカソード側の電極は、
前記高分子電解質膜側から順に配置された、前記触媒層と、前記撥水性導電層と、前記ガス拡散層で構成されている、第3の本発明の燃料電池用膜電極接合体である。
また、第5の本発明は、
両面に触媒層を形成させた高分子電解質膜の両側から、撥水性導電層を表面に形成させた2つのガス拡散層を、それぞれ、前記触媒層と前記撥水性導電層が向き合うように熱圧着法により接合する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、
前記撥水性導電層を表面に形成させた2つの前記ガス拡散層の少なくとも一方の前記撥水性導電層は、前記ガス拡散層側から順に、所定の撥水性と所定の接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第一の撥水性導電層と、前記所定の撥水性よりも弱い撥水性と前記所定の接着性よりも強い接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第二の撥水性導電層とを配置して構成する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法である。
また、第6の本発明は、
前記第一の撥水性導電層の樹脂主成分は、テトラフルオロエチレン成分またはテトラフルオロエチレンの同族体の共重合体成分であり、
前記第二の撥水性導電層の樹脂主成分は、ポリフッ化ビニリデン成分である、第5の本発明の燃料電池用膜電極接合体の製造方法である。
また、第7の本発明は、
前記ガス拡散層に配置されている前記第二の撥水性導電層は、前記第一の撥水性導電層上に塗布により形成されている、第5または6の本発明の燃料電池用膜電極接合体の製造方法である。
また、第8の本発明は、
両面に触媒層を形成させた高分子電解質膜の両側から、撥水性導電層を表面に形成させた2つのガス拡散層を、それぞれ、前記触媒層と前記撥水性導電層が向き合うように熱圧着法により接合する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、
前記撥水性導電層を表面に形成させた2つの前記ガス拡散層の少なくとも一方の前記撥水性導電層は、ポリフッ化ビニリデン成分とポリテトラフルオロエチレン成分を樹脂主成分とする、燃料電池用膜電極接合体の製造方法である。
本発明により、優れた初期電池特性および耐久電池特性を有する高分子電解質型燃料電池を実現できる燃料電池用膜電極接合体、およびその製造方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の製造方法の模式図を示している。図4を用いて、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の製造方法について説明する。
まず、塗布法または転写法により、触媒層42および43を高分子電解質膜41の両面に直接に形成させ、膜触媒層接合体48を作製する。
そして、ガス拡散層44と第一の撥水性導電層45からなる接合体の第一の撥水性導電層45上に、導電性微粒子とポリフッ化ビニリデン樹脂を含む第二の撥水性導電層46を、塗布により形成させ、3層積層電極47を作製する。
そして、膜触媒層接合体48の両側に、3層積層電極47を配置し、熱圧着法により触媒層42、43と3層積層電極47の第二の撥水性導電層46を接着して、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体を作製する。
本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の第一の撥水性導電層45は、導電性粒子と樹脂主成分としてのテトラフルオロエチレンまたはその同族体の共重合体成分を含むものであればよく、他の撥水性樹脂、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が含まれてもよい。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、黒鉛などが用いられ、特に微粉末状粒子が好適に用いられるが、カーボン繊維などでもよい。
第一の撥水性導電層45のガス拡散層44上への形成方法を例示すると、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする撥水性フッ素系樹脂とフッ素樹脂を水中に分散させる乳化剤とカーボンブラックとの混合物を水を分散媒としてペーストとする。その後、このペーストをフッ素系樹脂系離型フィルム上に塗布し、その表面にカーボン織布等のガス拡散層(シート材料)を配置する。そして、加熱乾燥後、離型フィルムを剥がすことにより、ガス拡散層上にカーボンブラックとフッ素系樹脂からなる多孔質層を形成させることができる。
また、撥水化処理して上記ペーストが内部に浸透しないようにしたカーボン繊維織布に、上記ペーストを直接塗布、乾燥することにより、その表面にカーボンブラックとフッ素系樹脂からなる多孔質層を形成させることができる。フッ素系樹脂とカーボンブラックの混合比率(重量比)は、例えば、20対80から60対40の間、好ましくは30対70から50対50の間で設定する。
また、この例の場合、得られた多孔質層には、乳化剤等、膜電極接合体系内で、電池特性に悪影響を与える成分が混入している可能性がある。この電池特性に悪影響を与える成分を取り除くため、フッ素系樹脂が溶融しない範囲でできるだけ高い温度条件、例えば、240℃や310℃において、多孔質膜の焼成処理を実施する。焼成時間としては、例えば、1〜3時間などの条件が挙げられる。最終的な膜重量について例示すると、積層方向に垂直な面に関して、単位面積あたり、2.0〜7.0mg/cm、好ましくは3.0〜4.0mg/cmである。
また、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の第二の撥水性導電層46については、導電性粒子と樹脂主成分としてのポリフッ化ビニリデン成分を含むものであればよく、他の撥水性樹脂、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が含まれてもよい。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、黒鉛などが用いられ、特に微粉末状粒子が好適に用いられるが、カーボン繊維などでもよい。最終的な膜重量について例示すると、積層方向に垂直な面に関して、単位面積あたり、0.1〜1.0mg/cm、好ましくは0.3〜0.7mg/cmである。
本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体は、図1に示す従来の燃料電池用膜電極接合体とは、導電性微粒子とポリフッ化ビニリデン成分を含む第二の撥水性導電層46を、ガス拡散層44とポリテトラフルオロエチレン成分を含む第一の撥水性導電層45からなる接合体の第一の撥水性導電層45上に、塗布により形成させるという点が異なる。
本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の製造方法では、第二の撥水性導電層46の樹脂主成分がポリフッ化ビニリデン成分であり、撥水性を有するとともに、第一の撥水性導電層45の樹脂主成分であるポリテトラフルオロエチレンより、格段に優れた熱圧着性を持つ。従って、図3(b)に示す撥水性導電層34と触媒層32を接合する場合、従来の第2の製造方法の場合と比較すると、プロセスの簡便性に優れる熱圧着により、良好に密着した接合面を得ることができる。
このため、電池特性上十分に満足できるほどに触媒層42、43と第二の撥水性導電層46間の接触抵抗を小さくすることができる。それとともに、触媒層42、43(特に生成水が生ずるカソード側触媒層43)と第二の撥水性導電層46間の接合不十分な部分に水が蓄積することによる抵抗の増大や、これに伴う反応ガスや生成水などの物質移動の阻害といった、従来の製造方法によって作製された燃料電池用膜電極接合体において認められた問題を避けることが可能となる。
また、図3(b)に示した従来の第2の製造方法の場合のように、触媒層32と撥水性導電層34間の接合性を高めるために、熱圧着時の温度や圧力を上げたり、燃料電池組立時の締め付け圧力を高くする必要がない。従って、高分子電解質膜41に対して、熱あるいは圧力によるダメージが与えられることもなく、得られた膜電極接合体で、十分な初期、耐久電池性能を実現することが可能となる。
また、第二の撥水性導電層46は、第一の撥水性導電層45上に、塗布により形成されるため、第二の撥水性導電層46は流動性のあるインクの状態で、第一の撥水性導電層45表面の微細な凹部にも入り込むこととなる。このため、第一の撥水性導電層45、第二の撥水性導電層46の界面の接触面積は、第一の撥水性導電層45、第二の撥水性導電層46の固体膜を圧着法などにより接合する場合と比較すると、格段に大きくなり、結果として、第一の撥水性導電層45と第二の撥水性導電層46の界面の接着性も充分なものとなり、電池性能上悪影響を与えることもない。
なお、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の製造方法における塗布については、ペースト、インク状の塗料を、ウェットな状態の膜として、基材等の被塗着体上に形成し、これを乾燥固化させることにより、層状の固体膜を得る手法であれば、特に限定されることはない。各種塗工機、例えば、ダイコーター、ブレードコーター、ビードコーター、エアドクターコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、スクリーン印刷機等を用いて実施することができる。
また、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の製造方法における転写については、他の基材上に形成された固体膜を、何らかの手法により、目的基材の上に移動させる手法であれば特に限定されることはなく、代表的な手法としては熱転写法が挙げられる。
以上のように、本実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体とその製造方法によれば、樹脂主成分としてポリフッ化ビニリデン樹脂を含む第二の撥水性導電層を、第一の撥水性導電層と触媒層の間に形成させることにより、触媒層と第二の撥水性導電層間との密着性、および第一の撥水性導電層間と第二の撥水性導電層間の密着性が向上し、これら界面における水素イオンや水分の移動に対する抵抗が軽減される。それとともに、触媒層を第一の撥水性導電層上に形成させる場合のように、膜電極接合体内の水分量を不安定化するという問題も回避されるため、結果として良好な電池特性をもつ燃料電池を実現することが可能となる。
このように、撥水性導電層を、第二の撥水性導電層46と、第二の撥水性導電層46の撥水性よりも強い撥水性と弱い接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第一の撥水性導電層45との二層構造とすることにより、十分な初期、耐久電池性能が得られる燃料電池の膜電極接合体を実現することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体の製造方法の模式図は、従来の第2の製造方法で示した図3(b)と同じである。図3(b)を用いて、本実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体の構成について説明する。
本実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体は、ガス拡散層33上に設けられた撥水性導電層34が、導電性粒子とポリフッ化ビニリデン成分とポリテトラフルオロエチレン成分を含む点が、従来のポリフッ化ビニリデン成分を含まない燃料電池用膜電極接合体とは異なる。
また、膜触媒層接合体35の触媒層32と、ガス拡散層33と撥水性導電層34からなる接合体の撥水性導電層34との接着を熱圧着法により実施することが、本実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体の製造方法の特徴である。
本実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体では、撥水性導電層34が、撥水性と優れた熱圧着性を有するポリフッ化ビニリデン成分と、格段に優れた撥水性を有するポリテトラフルオロエチレン成分の双方を含む。従って、プロセスの簡便性に優れる熱圧着により撥水性導電層34と触媒層32を接合する場合、従来の樹脂成分がポリテトラフルオロエチレン成分からなる撥水性導電層34を用いる場合と比較して、良好に密着した接合面を得ることができる。
このため、電池特性上十分に満足できるほどに触媒層32と撥水性導電層34間の接触抵抗を小さくすることができる。それとともに、触媒層32(特に生成水が生ずるカソード側)と撥水性導電層34間の接合不十分な部分に水が蓄積することによる抵抗の増大や、これに伴う反応ガスや生成水などの物質移動の阻害といった、従来の製造方法によって作製された燃料電池用膜電極接合体において認められた問題を避けることが可能となる。
また、従来の第2の製造方法の場合のように、触媒層32と撥水性導電層34間の接合性を高めるために、熱圧着時の温度や圧力を上げたり、燃料電池組立時の締め付け圧力を高くする必要がない。従って、高分子電解質膜31に対して、熱あるいは圧力によるダメージが与えられることもなく、得られた膜電極接合体で、十分な初期、耐久電池性能を実現することが可能となる。
また、撥水性導電層34中に含まれるポリテトラフルオロエチレン成分の効果で、撥水性導電層34に求められる撥水性も確保されることとなる。
なお、各実施の形態の燃料電池用膜電極接合体に用いられるガス拡散層としては、導電性、通気性を有するシート材料として、カーボンペーパー、カーボン織布、カーボン不織布、カーボンフェルトなどの通気性導電性基材や、それらに撥水処理を施したものを用いることができる。
また、各実施の形態の触媒層としては、触媒粒子と導電材、イオン導電性樹脂を含むものが用いられる。触媒粒子としては、水素の酸化反応あるいは酸素の還元反応に触媒作用を有するものであればよく、白金その他の貴金属のほか、鉄、クロム、ニッケルや、それらの合金が用いられる。導電材としては炭素系粒子、例えば、カーボンブラック、活性炭、黒鉛などが好適であり、特に微粉末状粒子が好適に用いられるが、カーボン繊維などでもよい。代表的には、表面積20m/g以上のカーボンブラック粒子に、貴金属粒子、特に白金または白金と他の金属との合金を担持したものが用いられる。
また、触媒層中のイオン導電性樹脂は、触媒層を形成するバインダーとなる材料であり、また、触媒によって生じたイオン等が移動するための通路を形成する役割をもつ。このようなイオン導電性樹脂としてはイオン導電性を有する高分子樹脂であればよく、代表的には、含フッ素高分子を骨格とするスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン基などの基を有する樹脂を挙げることができ、具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマー等が挙げられる。
また、触媒層は、アノードでは水素ガスなどの燃料ガスが、カソードでは酸素ガスなどの酸化剤ガスが、触媒とできるだけ多く接触することができるように、多孔性であることが好ましい。また、触媒層の中に含まれる触媒量としては、膜・触媒層の積層方向に垂直な面に関して、単位面積あたり0.1〜1.0mg/cm、好ましくは0.2〜0.5mg/cmである。
また、各実施の形態の燃料電池用膜電極接合体とその製造方法に用いることができる高分子電解質膜としては、イオン導電性を有する高分子膜であればよく、代表的には、含フッ素高分子を骨格とするスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン基などの基を有する樹脂を挙げることができる。高分子電解質膜の厚みは、抵抗に大きく影響を与えるため、性能向上のためにより薄いものが求められ、膜厚としては10〜50μm、好ましくは20〜30μmのものが用いられる。具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオンTM膜(デュポン社製)や、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜にイオン導電性樹脂を含浸させて補強したGORE−SELECTTM(ジャパンゴアテックス社製)等を用いることができる。
次に、本発明の具体例について説明する。
(実施例1)
本実施例1で作製した膜電極接合体は、実施の形態1で説明した膜電極接合体の一例であり、その構成模式図は、図4に示す通りである。
まず、電極の触媒層の作製方法を説明する。比表面積が800m/gのケッチェンブラックに白金を50重量%担持した触媒カーボンを電極の触媒とした。この触媒粉末16重量%を、10重量%の水素イオン伝導性高分子電解質(パーフルオロスルホン酸系ポリマー)を溶解したアルコール溶液84重量%と混合し、超音波分散処理を行うことで触媒層用インクを調整した。このインクを、ダイコーターを用いて、高分子電解質膜41(米国デュポン社製、ナフィオン112)の両面に塗布し、白金の担持量が0.3mg/cmとなるように触媒層42、43を形成し、膜触媒層接合体48を作製した。なお、触媒層42、43の面方向の寸法は、60mm×60mmとした。
次に、ガス拡散層44となるカーボン繊維織布上に、以下に示すような手法で第一の撥水性導電層45を形成させた。まず、PTFE樹脂とPTFE樹脂を水中に分散させる乳化剤とカーボンブラックとの混合物を、水を分散媒としてペーストとした。その後、これを、ガス拡散層となるカーボン繊維織布に、スクリーン印刷法により、直接塗布後、乾燥し、さらに350℃下での焼成処理を行い、第一の撥水性導電層45を得た。
さらに、上記、第一の撥水性導電層45上に、第二の撥水性導電層46を塗布法により形成させた。用いたインクについては、固形分組成(重量比)を、ケッチェンブラック/ポリフッ化ビニリデン=4/6とし、溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、樹脂溶液として、ポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(固形分濃度:13%)を用い、最終インク固形分濃度は10重量%とした。このインクを、ドクターブレード塗布し、加熱乾燥することにより、第二の撥水性導電層46を第一の撥水性導電層45上に形成させた。第二の撥水性導電層46の面方向の大きさは60mm×60mmとし、その目付け重量は0.6mg/cmとした。
上記で作製した膜触媒層接合体48の両面に、上記で作製したガス拡散層44上に第一の撥水性導電層45、第二の撥水性導電層46を形成させた3層積層体を、触媒層42、43と第二の撥水性導電層46が向き合うようにして熱圧着し、本実施例1の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた膜触媒層接合体のカソード側の面に、実施例1と同様の手法により得られた、ガス拡散層上に第一の撥水性導電層、第二の撥水性導電層を形成させた3層積層体を、カソード側触媒層と第二の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着する。それとともに、その膜触媒層接合体のアノード側の面に、実施例1と同様の手法により得られる、ガス拡散層上に第一の撥水性導電層を形成させた2層積層体を、アノード側触媒層と第一の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着し、本実施例2の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた膜触媒層接合体のアノード側の面に、実施例1と同様の手法により得られた、ガス拡散層上に第一の撥水性導電層、第二の撥水性導電層を形成させた3層積層体を、アノード側触媒層と第二の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着する。それとともに、その膜触媒層接合体のカソード側の面に、実施例1と同様の手法により得られる、ガス拡散層上に第一の撥水性導電層を形成させた2層積層体を、カソード側触媒層と第一の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着し、本実施例3の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(実施例4)
本実施例4で作製した膜電極接合体は、実施の形態2で説明した膜電極接合体の一例であり、その構成模式図は、図3(b)に示す通りである。
本実施例4の燃料電池用膜電極接合体を、以下のようにして作製した。
まず、ガス拡散層33となるカーボン繊維織布上に撥水性導電層を塗布法により形成した。インクとしてはケッチェンブラックを用い、樹脂成分は、ポリフッ化ビニリデンとポリテトラフルオロエチレンの混合物とし、その混合比を=5/5とした。溶剤としては、N―メチル―2−ピロリドン(NMP)を用い、樹脂成分についても、ポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(固形分濃度:13%)、ポリテトラフルオロエチレンのNMP分散体の形で使用した。最終インク固形分濃度は10重量%とした。このインクを、ドクターブレード塗布し、加熱乾燥することにより、撥水性導電層34を形成させた、撥水性導電層34の面方向の大きさは60mm×60mmとし、その目付け重量は6.0mg/cmとした。
上記で作製したガス拡散層33上に撥水性導電層34を形成させた2層積層体を、実施例1で得られた膜触媒層接合体35の両面に、触媒層32と撥水性導電層34が向き合うようにして熱圧着し、本実施例4の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(実施例5)
実施例1で得られた膜触媒層接合体のカソード側の面に、実施例4で得られた、ガス拡散層上にポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた2層積層体を、カソード側触媒層と撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着する。それとともに、その膜触媒層接合体のアノード側の面に、実施例2で得られた、ガス拡散層上にポリフッ化ビニリデン成分を含まない第一の撥水性導電層を形成させた2層積層体を、アノード側触媒層と第一の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着し、本実施例5の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(実施例6)
実施例1で得られた膜触媒層接合体のアノード側の面に、実施例4で得られた、ガス拡散層上にポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた2層積層体を、アノード側触媒層と撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着する。それとともに、その膜触媒層接合体のカソード側の面に、実施例2で得られた、ガス拡散層上にポリフッ化ビニリデン成分を含まない第一の撥水性導電層を形成させた2層積層体を、カソード側触媒層と第一の撥水性導電層が向き合うようにして熱圧着し、本実施例6の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(比較例1)
本比較例1で作製した膜電極接合体は、従来の第2の製造方法2で作製した膜電極接合体の一例であり、その構成模式図は、図3(b)に示す通りである。
実施例1と同様の手法により得られた膜触媒層接合体35の両面に、実施例1と同様の手法により得られる、ガス拡散層33上に第一の撥水性導電層34を形成させた2層積層体を、触媒層32と第一の撥水性導電層34が向き合うようにして熱圧着し、本比較例1の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力2.5MPa、処理時間3分の条件で実施した。
(比較例2)
本比較例2で作製した膜電極接合体は、従来の第1の製造方法2で作製した膜電極接合体の一例であり、その構成模式図は、図2(b)に示す通りである。
実施例1と同様の手法により得られる、ガス拡散層23上に第一の撥水性導電層26、27を形成させた2層積層体の第一の撥水性導電層26、27上に、実施例1の触媒層インクを塗布後、乾燥することにより触媒層22を形成させた。塗布重量は実施例1と同様に、白金の担持量が0.3mg/cmとなるよう調整した。
その後、この3層積層体を、高分子電解質膜21(米国デュポン社製、ナフィオン112)の両面に、触媒層側で熱圧着し、本比較例2の燃料電池用膜電極接合体を作製した。なお、熱圧着は、温度140℃、圧力1.0MPa、処理時間3分の条件で実施した。
以下、実施例1〜6および比較例1、2で作製した燃料電池用膜電極接合体について評価を行い、本発明の効果を確認した。
まず、接合部の密着性を評価するため、90°剥離試験を実施した。
試験片の幅は15mmとし、燃料電池用膜電極接合体の片側面を両面テープで基材に固定した状態で、剥離速度5.0mm/分で試験を行った。試験開始より5mm剥離した時点から、15mm剥離した時点までの剥離強度を積分平均したデータについて、表1に示す。
Figure 0004301397
本発明の燃料電池用膜電極接合体の実施例1〜6において、アノード側、カソード側双方に第二の撥水性導電層を形成させた実施例1の場合と、アノード側、カソード側双方に、ポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例4の場合に、特に大きな剥離強度が観測された。
カソード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例2の場合と、アノード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例3の場合は、第二の撥水性導電層を形成しない側の第一の撥水性導電層と触媒層の間で剥離が発生するため、剥離強度は比較的小さくなる。
また、カソード側のみにポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例5場合と、アノード側のみにポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例6の場合も、ポリフッ化ビニリデン成分を含まない側の撥水性導電層と触媒層間で剥離が発生するため、剥離強度は比較的小さくなる。
一方、従来の第1の製造方法で作製した比較例2については、触媒層を第一の撥水性導電層上に塗布法により形成させたため、これらの層間の密着強度は大きく、結果として剥離強度も大きな値となった。しかし、比較例2については、以下に説明するように、触媒層のガス拡散層への浸透に伴う、電池特性上の問題がある。
次に、各燃料電池用膜電極接合体を用いた、電池の初期性能と性能の経時変化の評価を行った。
実施例1〜6および比較例1、2の燃料電池用膜電極接合体について、その高分子電解質膜の外周部にブチルゴム製のガスケット板を接合するとともに、冷却水と燃料ガスおよび酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成した。さらに、アノード側の面には燃料ガス流路が形成されたセパレーターを、カソード側の面には酸化剤ガス流路が形成されたセパレーターを重ね合わせ、それぞれのセパレーターの反対側に集電板を重ね、全体を締結固定し、単電池とした。なお、セパレーターとしては、樹脂含浸黒鉛を素材とし、ガス流路、冷却媒体流路の深さが0.5mmのものを用いた。また、単電池の締結固定については、膜電極接合体にかかる締結圧が1MPaとなる条件で実施した。
これら単電池のアノード側に水素ガスを、カソード側に空気を供給し、電池の初期性能と性能の経時変化の評価を、高分子電解質型燃料電池評価装置にて行った。電池運転条件としては、電池温度を75℃、燃料利用率を80%、空気利用率を30%とし、ガス加湿は、アノード側の露点が75℃、カソード側の露点が65℃となるように調整した。
まず、はじめに、初期の電流密度−電圧(I−V)特性評価を実施し、その後、電流密度0.2A/cmで連続運転試験を実施した。
電流密度0.5A/cm時における初期電圧の評価結果を表2に示す。本発明の膜電極接合体を用いた実施例1〜6の場合、従来の膜電極接合体を用いた比較例1、2の場合より優れた特性となった。
Figure 0004301397
本発明の膜電極接合体については、アノード側、カソード側の両方に第二の撥水性導電層を形成させた実施例1の場合が、カソード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例2、およびアノード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例3のいずれの場合よりも優れた特性を示した。そして、カソード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例2の場合と、アノード側のみに第二の撥水性導電層を形成させた実施例3の場合を比較すると、実施例2の方が優れた特性を示した。
また、アノード側、カソード側の両方にポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例4の場合の方が、カソード側のみにポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例5、アノード側のみにポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を形成させた実施例6のいずれの場合よりも優れた特性を示した。
また、連続運転1000時間後の電圧の低下量の評価結果も表2に示す。こちらの結果についても、初期電圧の評価の結果と同じ序列となった。
以上の結果より、第二の撥水性導電層を、アノード側、カソード側の少なくとも一方に形成させる、もしくは、ポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層を、アノード側、カソード側の少なくとも一方に形成させることを特徴とする本発明の膜電極接合体とその製造方法によれば、優れた初期電池特性、耐久電池特性を持つ燃料電池を実現できることが明らかとなった。
また、第二の撥水性導電層、およびポリフッ化ビニリデン成分を含む撥水性導電層については、アノード側、カソード側の両方に形成させることが電池特性上好ましく、片方のみに形成させる場合、カソード側のみに形成させる場合の方が、電池特性上好ましい。
本発明にかかる燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法は、優れた初期電池特性および耐久電池特性を有する高分子電解質型燃料電池を実現し、高分子電解質型燃料電池に用いる膜電極接合体とその製造方法等として有用である。
従来の高分子電解質型燃料電池の膜電極接合体の基本構成を示す図 従来の燃料電池用膜電極接合体の第1の製造方法を示す図 従来の燃料電池用膜電極接合体の第2の製造方法、および本発明の実施の形態2の燃料電池用膜電極接合体の製造方法を示す図 本発明の実施の形態1の燃料電池用膜電極接合体の構造およびその製造方法を示す図
符号の説明
11 高分子電解質膜
12 触媒層
12−1 アノード側触媒層
12−2 カソード側触媒層
13 ガス拡散層
14 膜触媒層接合体
15 撥水性導電層
16 電極
16−1 アノード電極
16−2 カソード電極
21 高分子電解質膜
22 触媒層
23 ガス拡散層
26、27 撥水性導電層
31 高分子電解質膜
32 触媒層
33 ガス拡散層
34 撥水性導電層
35 膜触媒層接合体
41 高分子電解質膜
42 アノード側触媒層
43 カソード側触媒層
44 ガス拡散層
45 第一の撥水性導電層
46 第二の撥水性導電層
47 3層積層電極
48 膜触媒層接合体

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の両側のそれぞれに配置された2つの電極とを備え、
    前記2つの電極の少なくとも一方の電極は、前記高分子電解質膜側から順に配置された、触媒層と、所定の撥水性と所定の接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第二の撥水性導電層と、前記所定の撥水性よりも強い撥水性と前記所定の接着性よりも弱い接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第一の撥水性導電層と、ガス拡散層で構成されており、
    前記第一の撥水性導電層の樹脂主成分は、テトラフルオロエチレン成分またはテトラフルオロエチレンの同族体の共重合体成分であり、
    前記第二の撥水性導電層の樹脂主成分は、ポリフッ化ビニリデン成分である、燃料電池用膜電極接合体。
  2. 前記それぞれの電極のうちのカソード側の電極は、
    前記高分子電解質膜側から順に配置された、前記触媒層と、前記第二の撥水性導電層と、前記第一の撥水性導電層と、前記ガス拡散層で構成されている、請求項1記載の燃料電池用膜電極接合体。
  3. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の両側のそれぞれに配置された2つの電極とを備え、
    前記2つの電極の少なくとも一方の電極は、前記高分子電解質膜側から順に配置された、触媒層と、ポリフッ化ビニリデン成分とポリテトラフルオロエチレン成分を樹脂主成分とする撥水性導電層と、ガス拡散層で構成されている、燃料電池用膜電極接合体。
  4. 前記2つの電極のうちのカソード側の電極は、
    前記高分子電解質膜側から順に配置された、前記触媒層と、前記撥水性導電層と、前記ガス拡散層で構成されている、請求項に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  5. 両面に触媒層を形成させた高分子電解質膜の両側から、撥水性導電層を表面に形成させた2つのガス拡散層を、それぞれ、前記触媒層と前記撥水性導電層が向き合うように熱圧着法により接合する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、
    前記撥水性導電層を表面に形成させた2つの前記ガス拡散層の少なくとも一方の前記撥水性導電層は、前記ガス拡散層側から順に、所定の撥水性と所定の接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第一の撥水性導電層と、前記所定の撥水性よりも弱い撥水性と前記所定の接着性よりも強い接着性を有する樹脂を樹脂主成分とする第二の撥水性導電層とを配置して構成する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  6. 前記第一の撥水性導電層の樹脂主成分は、テトラフルオロエチレン成分またはテトラフルオロエチレンの同族体の共重合体成分であり、
    前記第二の撥水性導電層の樹脂主成分は、ポリフッ化ビニリデン成分である、請求項に記載の燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  7. 前記ガス拡散層に配置されている前記第二の撥水性導電層は、前記第一の撥水性導電層上に塗布により形成されている、請求項またはに記載の燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  8. 両面に触媒層を形成させた高分子電解質膜の両側から、撥水性導電層を表面に形成させた2つのガス拡散層を、それぞれ、前記触媒層と前記撥水性導電層が向き合うように熱圧着法により接合する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、
    前記撥水性導電層を表面に形成させた2つの前記ガス拡散層の少なくとも一方の前記撥水性導電層は、ポリフッ化ビニリデン成分とポリテトラフルオロエチレン成分を樹脂主成分とする、燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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