JP5391968B2 - 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層およびその製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下、「PEFC」という。)は、固体高分子膜を電解質として、水素などの燃料をアノード電極(正極、以下、「アノード」という。)に、空気(正確には空気中の酸素)などの酸化剤ガスをカソード電極(負極、以下、「カソード」という。)にそれぞれ供給して、電気化学反応を起こさせることによって電力を発生させる装置である。PEFCにおける電池の最小単位である単位電池(以下、「単セル」という。)は、固体高分子膜の両面に電極(アノードおよびカソード)が接合された膜、つまり、電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下、「MEA」という。)を、ガス流路が形成されたセパレータで挟持して構成されている。この単セルを積層してPEFCのセルスタックを構成する。
PEFCのアノードおよびカソードは、ガス拡散層と触媒層とを備える。ガス拡散層は、触媒層と、セパレータとに、直接接しており、電気を通す機能や化学反応に必要な空気と水素を効率よく導く機能を持っている。また、ガス拡散層において、カーボーンペーパーなどの基材層には、電流密度の均一化と撥水性の向上のために、炭素質材料と撥水性の樹脂とからなる中間層が備えられている。
このようなガス拡散層およびその製造方法として、例えば、特許文献1では、基材層上に中間層を形成した後に焼成する方法が開示されている。
このガス拡散層では、撥水性が不十分なために、フラッディングによるPEFCの耐久性能の低下が起こる。フラッディングとは、水分がガス拡散層内に生成され、この水分により空気や水素などのガスをガス拡散層全体に行き渡るのを妨げる現象をいう。
このフラッディングを抑える方法として、例えば、特許文献2では、基材上に撥水性を有する樹脂を主成分とする第1の層と、第1の層よりも撥水性の低い樹脂を主成分とする第2の層とをガス拡散層に備えたものが開示されている。
特開平09−245801号公報 特開2005−071755号公報
しかしながら、特許文献2で示されたガス拡散層は、第1の層の撥水性が不十分であるためフラッディングによるPEFCの耐久性が低下しやすく、また、第1の層と基材との結着性が不十分であるために第1の層および第2の層が剥離しやすく、その結果、電流密度が不均一化となり、セル電圧の低下が起こりやすいという問題点があった。そして、撥水性および結着性を向上させるために、第1の層の樹脂(撥水性樹脂層)の割合を増大させると、内部抵抗の上昇によってセル電圧が低下するという問題点があった。
本発明は、主として上記のようなPEFCの耐久性能の問題を、セル電圧を低下させることなく解決しようとするものであり、内部抵抗を増大させることなく、撥水性を向上させた固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層およびその製造方法を提供することを課題とする。
第1の発明に係る固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層は、炭素繊維を含む基材層、フッ素樹脂を含む樹脂層、および炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層がこの順で配置される。そして、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合より低いこと、および、基材層に含まれる炭素繊維が樹脂層を貫通して前記中間層と接することを特徴とする。
第1の発明に係るガス拡散層では、中間層よりもフッ素樹脂を多く含む樹脂層を設けることで、撥水性を向上させることができる。そして、電導性のある各層の炭素粉末と、樹脂層を貫通して中間層に接する基材層に含まれる炭素繊維とが、電流パスを形成するため、電気抵抗は、樹脂層を設けない従来のガス拡散層と比べても増大しない。
第2の発明に係るガス拡散層は、第1の発明に係るガス拡散層において、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の質量の割合が20質量%以上900質量%以下であることを特徴とする。
樹脂層または中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を増大させると電導性が向上し、反対に、その炭素粉末の割合を減少させると撥水性が向上する。ここで、フッ素樹脂に対する炭素粉末の質量の割合において、20質量%とは、フッ素樹脂と炭素粉末との質量の比が1:0.2を、900質量%とは、フッ素樹脂と炭素粉末との質量の比が1:9を、25質量%とは、フッ素樹脂と炭素粉末との質量の比が1:0.25をそれぞれ意味する。なお、炭素と樹脂との表面積を規定することが難しいので、炭素と樹脂との質量の割合で規定した。
第2の発明に係るガス拡散層では、樹脂層または中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を上記のように規定することで、樹脂層では撥水性を高め、中間層では樹脂層よりも撥水性が劣るが電気抵抗を少なくし、その結果、電気抵抗を増大させることなく撥水性の高いガス拡散層を得ることができる。
第3の発明に係るガス拡散層は、第1の発明または第2の発明に係るガス拡散層において、樹脂層および中間層のフッ素樹脂が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」という。)を含むことを特徴とする。
第3の発明に係るガス拡散層では、第1の発明または第2の発明に係るガス拡散層において、樹脂層および中間層のフッ素樹脂を、従来のフッ素樹脂の中で撥水性と結着性とが優れたFEPとすることで、基材層と樹脂層との結着性と樹脂層と中間層との結着性を高め、ガス拡散層の撥水性を保持しつつ剥離などの耐久性を向上させることができる。
第4の発明に係る固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層の製造方法は、まず、炭素繊維からなる基材層上に少なくとも炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層ペーストを含ませて、乾燥する(S2,S3)。そして、中間層を焼成する(S4)。ステップS1からS4までにより、基材層と中間層との積層体である積層体を得る。そして、基材層と焼成した中間層とからなる積層体にフッ素樹脂を含む溶液を付着させる(S5)。そして、その積層体の表面に付着した余分な溶液を除去する(S6)。そして、その工程(S6)を経た積層体を乾燥し(S7)、その後その積層体を焼成する(S9)。
第4の発明に係るガス拡散層の製造方法では、基材層とフッ素樹脂膜との積層体が上記工程(S4からS7までとS9)を経ることにより、基材層とフッ素樹脂膜との境界部分にフッ素樹脂を含む樹脂層を設けたガス拡散層を得ることができる。そして、そのガス拡散層では、炭素繊維がその樹脂層を貫通してフッ素樹脂膜と接する構造となる。
第5の発明に係るガス拡散層の製造方法は、第4の発明に係るガス拡散層の製造方法において、積層体にフッ素樹脂を含む溶液を付着させる工程(S5)と、積層体の表面に付着した余分な溶液を除去する工程(S6)と、工程(S6)を経た積層体を乾燥する工程(S7)とを所定回数繰り返すことを特徴とする。
第5の発明に係るガス拡散層の製造方法では、上記工程(S5、S6、S7)の繰り返し回数を増やすことによって樹脂層の膜厚を増加させ、樹脂層のフッ素樹脂の量を増やすことができる。
第6の発明に係るガス拡散層の製造方法は、第4の発明または第5の発明に係るガス拡散層の製造方法において、フッ素樹脂は四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)を含むことを特徴とする。
第6の発明に係るガス拡散層の製造方法では、第3の発明に係るガス拡散層と同様の構成を持つガス拡散層を得ることができる。
第4から6までの発明は、第2の発明と同様に、撥水性材料のフッ素樹脂に対する炭素粉末の質量の割合が20質量%以上900質量%以下とし、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の質量の割合が25質量%以下とするようにガス拡散層を製造しても良い。このようにすると、特に、電気抵抗を増大させず撥水性の高いガス拡散層とすることができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層およびその製造方法では、単セルの内部抵抗を増大させることなく、従来よりも撥水性と剥離などの耐久性を向上させたガス拡散層を得ることができる。これにより、PEFCの耐久性を向上させることができる。
本発明に係るガス拡散層を用いた単セルの構造を概略的に示す図。 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の断面の概略を示す図。(a)樹脂層の形成前のガス拡散層の断面の概略を示す図。(b)樹脂層の形成後の本実施形態のガス拡散層の断面の概略を示す図。(c)樹脂層を備え、基材層の炭素繊維を中間層に接触させないガス拡散層の断面の概略を示す図。 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造の工程を示す図。 ガス拡散層の種類の表を示す図。 中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セル電圧の低下率[μV・h−1]との関係を示す図。 中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セル電圧[V]との関係を示す図。 中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セルの内部抵抗[mΩ・cm]との関係を示す図。 樹脂層を備え、基材層の炭素繊維を中間層に接触させない従来のガス拡散層の種類の表を示す図。 樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セル電圧[V]との関係を示す図。 樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セルの内部抵抗[mΩ・cm]との関係を示す図。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るガス拡散層10bを用いた単セルの積層構造を概略的に示す断面図である。単セル20は、電極接合体(MEA)16と、アノードガスケット12aと、カソードガスケット12bと、アノード側セパレータ14aと、カソード側セパレータ14bとを備えている。MEA16は、固体高分子からなる電解質膜11の両面にアノード13aおよびカソード13bを備える。アノード13aおよびカソード13bは、本発明に係るガス拡散層10bと触媒層5とが積層されてなる。アノードガスケット12aおよびカソードガスケット12bは、酸化剤や燃料の漏れを防ぐためにアノード13aおよびカソード13bの周囲に設けられる。アノード側セパレータ14aは、MEA16に臨む面にアノード13aに供給するメタノール水溶液を流通するための流路15(破線)を備える。カソード側セパレータ14bは、MEA16に臨む面にカソード13bに供給する空気を流通するための流路15を備える。
−固体高分子形燃料電池用ガス拡散層について−
図2は、一例として、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の断面の概略を示す図である。そして、図2(a)は、樹脂層2の形成前のガス拡散層10aの断面の概略を示す図であり、図2(b)は、樹脂層2の形成後のガス拡散層10bの断面の概略を示す図である。ガス拡散層10bは、ガス拡散層10aに樹脂層2を設けることにより得られる。このガス拡散層10bの基材層1の炭素繊維4は、中間層3に接している。
図2(a)は、炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層3と、炭素繊維を含むカーボンペーパーなどからなる基材層1とがこの順に積層されてなるガス拡散層10aを示している。基材層1および中間層3は、ガス拡散層10bと同様であるので、以下のガス拡散層10bと一緒に詳細に説明する。
図2(b)は、炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層3と、フッ素樹脂を含む樹脂層2と、炭素繊維4を含むカーボンペーパーなどからなる基材層1とがこの順に積層されてなるガス拡散層10bを示している。基材層1は、主に電導性およびガス拡散性を有する層である。樹脂層2は、主に撥水性を有する層である。中間層3は、基材層1と触媒層5の中間にあり、主に導電性、撥水性および結着性を有する層である。
アノード13aおよびカソード13bの電極13は、中間層3を触媒層5と接するように、ガス拡散層10bと触媒層5とを積層させてなる。
基材層1は、主に炭素繊維4から構成される。炭素繊維4は、繊維直径の10倍以上の長さを持つ炭素材料、例えば、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロスなどを用いることができる。炭素繊維4は、電子伝導性を高めるために焼結されていてもよい。
炭素繊維4は、樹脂層2を貫通して中間層3と接している。ここで、炭素繊維4が中間層3と接するとは、炭素繊維4と中間層3とが電気的に接続された状態をいい、炭素繊維4の先端部が中間層3内部に入り込んでいる状態をいう。これにより、電気的接続が確保され、ガス拡散層10は、基材層1と中間層3の間に樹脂層2を有しても、抵抗の増大を抑えることができる。
基材層1は、樹脂を含有してもよく、それによりフラッディングを抑え得る。その樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などの強い撥水性を有するものを用いることが好ましいが、イオン交換基を持たないフッ素樹脂であればよい。その材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロアルキルエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFF)などが使用できる。これらのフッ素樹脂のうち、撥水性が高く、熱可塑性のある四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)は、高い撥水性と結着性とが得られることから特に好ましい。
基材層1の空孔が多い程、そのガス拡散層のガス拡散性は優れる。しかし、基材層1の空孔が多くなると、電子の伝導経路は減少し、その燃料電池の出力特性は低下する。したがって、ガス拡散性と電子伝導性とを両立させるためには、多孔度が50%以上95%以下の基材層1を用いることが好ましい。
樹脂層2は、フッ素樹脂で構成される。フッ素樹脂は、中間層3の撥水剤としての役割と、中間層と基材層とを結着するためのバインダーとしての役割を果たす。樹脂層2は、炭素粉末を含んでもよいが、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は25質量%以下であることが好ましい。樹脂層2は、炭素粉末を含まなくてもよい。さらに、樹脂層2のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、樹脂層2の幅、奥行き、厚さやある基準の方向によって変化したり、ある部分に偏ってたりしてもよい。
樹脂層2のフッ素樹脂は、PEFCの運転にともなう生成水によるフラッディングを防ぐために、イオン交換基を持たないフッ素樹脂を使用するのが好ましい。このフッ素樹脂として、基材層1と同様のフッ素樹脂を使用することができる。また、基材層1と同様に、このフッ素樹脂は、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
中間層3は、主に炭素粉末とフッ素樹脂とから構成される。中間層3のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、20〜900質量%であることが好ましい。
炭素粉末は、一次粒子の平均粒径が1μm未満の粉末状の炭素材料を用いることができる。その炭素粉末は、電子伝導性の高いものが好ましく、例えば、アセチレンブラックやファーネスブラックなどのカーボンブラックおよび活性炭などが使用できる。フッ素樹脂は、中間層3に撥水性を与えるための撥水剤としての役割と、中間層3を形成するためのバインダーとしての役割を果たす。
中間層3のフッ素樹脂は、PEFCの運転にともなう生成水によるフラッディングを防ぐために、イオン交換基を持たないフッ素樹脂を使用するのが好ましい。このフッ素樹脂として、基材層1と同様のフッ素樹脂を使用することができる。また、基材層1と同様に、このフッ素樹脂は、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
以上から、第1の実施形態は、触媒層の表面に設けられる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層であり、炭素繊維を含むカーボンペーパーなどからなる基材層1の表面付近に、フッ素樹脂を主体として含む樹脂層2が形成され、樹脂層2の表面に炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層3が形成された積層構造を有する。そして、そのガス拡散層では、樹脂層2におけるフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が、中間層3におけるフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合よりも低く、および基材層1に含まれる炭素繊維が樹脂層2を貫通して中間層3と接している。
第1の実施形態では、基材層1に含まれる炭素繊維4が樹脂層2を貫通して中間層3と接しているため、樹脂層2のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を低減しても、電子伝導性を保持しつつ撥水性と結着性とを高めることができる。樹脂層2のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は0%まで低減することができる。
(第2の実施形態)−固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法について−
第2の実施形態は、第1の実施形態の製造方法である。第1の実施形態は、基材層1の表面に、炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層3を積層させた成型物(以下、「成型物」という。図2(a)参照。)に、フッ素樹脂を含ませる工程(以下、ステップS5からS9まで)を経ることにより製造することができる。第2の実施形態において、技術的な意義として最も重要な部分は、ステップS5からS9までにより、成型物の基材層と中間層の境界部分に多くのフッ素樹脂を担持した層、つまり、樹脂層2を形成させることである。
図3は、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造の工程を示す図である。まず、炭素粉末と、溶媒と、FEPディスパージョンとを攪拌機で混合して中間層ペーストを製作する(ステップS1)。FEPディスパージョンとは、FEPの微粒子を、水に分散させた液体である。次に、カーボンペーパーをFEPディスパージョンを含む溶液中に浸漬させて、そのカーボンペーパーを乾燥する。そして、そのカーボンペーパー上に、その中間層ペーストを塗布する(ステップS2)。ステップS2において、中間層ペーストの塗布は、アプリケーターを用いたブレードコーティング法でおこなうのが好ましい。他の方法としては、スプレーで前記ペーストを吹き付ける方法、刷毛で塗布する方法などのカーボンペーパーの片面に前記ペーストを含ませる方法でおこなうこともできる。なお、カーボンペーパーを中間層ペーストに浸漬させる方法は基材層1を消失させてしまうので好ましくない。次に、そのカーボンペーパーを60℃の乾燥機に30分間静置して乾燥する(ステップS3)。次に、そのカーボンペーパーを窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する(ステップS4)。ステップS4の焼成の工程は、200℃以上350℃以下の温度でおこなうことが好ましく、特に、230℃以上330℃以下の温度であることが好ましい。また、焼成の工程は、空気雰囲気下でおこなってもよいが、窒素およびアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。このステップS4は、必要に応じて実施し、省くこともできる。ステップS1からS4までにより、図2(a)に示すような成型物を得る。
次に、その成型物を、FEPディスパージョンを含む溶液中に浸漬させ、その後その成型物を取り出す(ステップS5)。FEPディスパージョンを含む溶液には、エタノール、メタノール、プロパノールなどのアルコールや水などを用いることができる。このFEPディスパージョンの量を変えることにより、樹脂層の量を増減することができる。ステップS5において、成型物にFEPディスパージョンを含む溶液を含ませることが目的なので、FEPディスパージョンを含む溶液中に浸漬させる代わりに、スプレーで液体を吹き付ける方法、刷毛で塗布する方法をステップS5でおこなってもよい。ステップS5は、減圧下で実施することもできる。
次に、ステップ5でFEPディスパージョンを含む溶液を含ませた成型物を、不織布などで両面から押さえることにより、その表面の余分なFEPを除去する(ステップS6)。このFEPを除去する方法としては、吸水性材料でふき取る方法、気流で吹き飛ばす方法、樹脂製のへらで拭う方法などが挙げられる。次に、その成型物を、60℃の乾燥機に30分間静置して乾燥する(ステップS7)。ここで、成型物から溶媒を除去する方法としては、温度を上げる方法、減圧する方法、溶媒を置換する方法があるが、凍結乾燥や常温に静置する方法を用いることもできる。好ましくは、溶媒を短時間で除去できることから、60℃30分間乾燥することにより除去することがよい。ステップS5からS7までにより、その処理後の成型物の表面、つまり、ガス拡散層の表面にフッ素樹脂が付着することを避けることができる。さらに、ステップS5からS7までを必要回数繰り返す(ステップS8)。ステップS8の繰り返し回数により、樹脂層のフッ素樹脂の量を増大させることができる。次に、その成型物を、窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する(ステップS9)。ステップS1からS9までにより、基材層と中間層とが積層された成型物に、基材層と中間層との境界部分に樹脂層を設けた、図2(b)に示すような固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を製造することができる。
第2の実施形態では、予め中間層と基材層とを形成した後に、中間層と基材層との境界部分に樹脂層を形成するため、基材層に含まれる炭素繊維が樹脂層を貫通して中間層と接しているガス拡散層を製造できる。
(実施例)
以下、本発明の実施形態の一例として実施例を説明する。先ず、以下のガス拡散層を製造した。そして、そのガス拡散層を用いて以下の単セルを構成し、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[質量%]と、単セル電圧の低下率[μV・h−1]、単セル電圧[V]および単セルの内部抵抗[mΩ・cm]との関係をそれぞれ調べて評価した。ここで、単セル電圧の低下率とは、1時間当たりに低下する単セルの電圧をいう。また、単セルの内部抵抗とは、膜のシート抵抗をいい、単セルを二枚の板の間に挟んで一定の圧力を加え、JIS K7194に準じた四端子四探針法により単セルのシート抵抗[mΩ・cm]を測定した。
1.ガス拡散層の製造
まず、以下(1)から(3)までの手順により、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が1200質量%、900質量%、230質量%、40質量%、20質量%である、図2(a)で示すような樹脂層を備えないガス拡散層をサンプルA、B、C、D、Eとして製造した。
(1)炭素粉末(Vulcan XC−72)5.0gと、2−プロパノール33gと、水11gと、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)22gと、FEPディスパージョン(FEP 120 J)との混合物を調製し、撹拌機で混合して中間層ペーストを製作する。このとき、この中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、FEPディスパージョンの量によって決まり、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を1200質量%にする場合、FEPディスパージョンの量を0.77gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を900質量%にする場合、FEPディスパージョンの量を1.0gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を230質量%にする場合、FEPディスパージョンの量を4.0gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を40質量%にする場合、FEPディスパージョンの量を23gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を20質量%にする場合、FEPディスパージョンの量を46gとする。
(2)つづいて、基材層として、2%のFEP溶液に浸して乾燥させた75mm×75mmの大きさのカーボンベーパー上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法で上記(1)の中間層ペーストを塗布し、60℃の乾燥機に30分静置して乾燥する。
(3)そして、乾燥機から取り出して窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する。
以上の(1)から(3)までの手順により、図2(a)に示すような基材層上に中間層を備えた従来のガス拡散層A、B、C、D、Eを得る。
次に、以下(4)から(7)までの手順により、ガス拡散層A、B、C、D、Eに樹脂層を設けて、図2(b)で示すような本実施形態の樹脂層を備えるガス拡散層を製造する。なお、以下では、その樹脂層を備えるガス拡散層を、次の表記で区別している。
図4は、ガス拡散層の種類の表を示す図である。そして、各ガス拡散層の、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合と、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合とを表で示している。図4の耐久性は、フラッディッグや各層の剥離による単セルの電圧低下率を示し、その耐久性、単セル電圧および内部抵抗を、樹脂層を備えないガス拡散層と比べてそれぞれ評価している。ここで、○は良好、△は普通、−は評価無しをそれぞれ示す。
例えば、ガス拡散層Aに樹脂層を設けた場合であって、
樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が45質量%の場合そのガス拡散層をA1と、
樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が25質量%の場合そのガス拡散層をA2と、
樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が10質量%の場合そのガス拡散層をA3と、
樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が0質量%の場合そのガス拡散層をA4としている。
また、ガス拡散層B、C、D、Eも同様に表記する。ただし、ガス拡散層Dは、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を45質量%、25質量%、10質量%の3通りの樹脂層を設け、その表記もそれぞれD1、D2、D3としている。また、ガス拡散層Eは、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を45%、25%の2通りの樹脂層を設け、その表記もそれぞれE1、E2としている。
(4)ガス拡散層A、B、C、D、Eを、3%のFEPディスパージョン(FEP 120 J)を含むメタノール中に浸漬し、5分間静置する。
(5)その後、上記(4)のガス拡散層を取り出して、不織布などで両面から押さえて表面の余分なFEPを除去する。そして、それを大気中60℃で乾燥する。
(6)上記(4)および(5)を所定回数繰り返す。この所定回数は、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合によって異なり、繰り返し回数を増やすと、樹脂層のフッ素樹脂の量が多くなって、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は減少する。
(7)上記(6)のガス拡散層を窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する。
以上の(4)から(7)までの手順により、図2(b)に示すような樹脂層を備えた本発明のガス拡散層A1からA4まで、B1からB4まで、C1からC4まで、D1からD3まで、E1およびE2を得る。
さらに、つぎの手順(8)から(12)により、基材層と、樹脂層と、中間層とがこの順で配置され、かつ基材層の炭素繊維と中間層とが接しない構造であるガス拡散層を製造した。樹脂層は、フッ素樹脂を含み、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が10質量%、25質量%または45質量%である。中間層は炭素粉末とフッ素樹脂とを含み、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が230質量%である。
(8)炭素粉末(Vulcan XC−72)5.0gと、2−プロパノール33gと、水11gと、DMF22gと、FEPディスパージョン(FEP 120 J)との混合物を調製し、撹拌機で混合して中間層ペーストを製作する。このとき、この中間層ペーストを用いて製作した中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、FEPディスパージョンの量によって決まり、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を230質量%とする場合、FEPディスパージョンの量を1.0gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を45質量%とする場合、FEPディスパージョンの量を21gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を25質量%とする場合、FEPディスパージョンの量を37gと、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を10質量%とする場合、FEPディスパージョンの量を93gとする。この例では、中間層ペーストを樹脂層の材料にも用いる。
(9)つづいて、基材層として2%のFEP溶液に浸して乾燥させた75mm×75mmの大きさのカーボンペーパー上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法で上記(8)のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が10質量%、25質量%および45質量%である中間層ペーストを塗布し、60℃の乾燥機に30分間静置して乾燥する。
(10)そして、乾燥機から取り出して窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する。これにより、基材層は、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が10質量%、25質量%および45質量%である樹脂層をそれぞれ備える。
(11)さらに、その樹脂層上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法で上記(8)のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が230質量%である中間層ペーストを塗布し、60℃の乾燥機に30分間静置して乾燥する。
(12)そして、乾燥機から取り出して窒素雰囲気下330℃で30分間焼成する。これにより、基材層と樹脂層との積層体は、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が230質量%である中間層をそれぞれ備える。
以上の、(8)から(12)までの手順により、図2(c)で示すような、基材層上に撥水性の高い樹脂層と、樹脂層より撥水性の低い中間層とを備えたガス拡散層10cを製造する。樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が10質量%、25質量%および45質量%であるガス拡散層をC12、C13、およびC14とする。
2.単セルの製造
次に、以下の手順により、上記手順で製造したガス拡散層を用いて単セルを製造した。
(1)3.0gの白金担持カーボン(田中貴金属製TEC10E−50E)と、21gの固体商分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5質量%溶液)との混合物を調製し、プロペラ式撹拌機で混合して、触媒ペーストを製作する。
(2)上記手順で製造したガス拡散層上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法で上記2.(1)の触媒ペーストを塗布する。これにより、電極を得る。
(3)上記2.(2)の電極の白金担持量が0.5mg・cm−2となるように、アプリケータのスリット幅を調整する。
(4)さらに、上記2.(3)の電極を25cmの大きさに切断し、その電極2枚を固体高分子膜(Nafion112Dupont製)の両面に、135℃で加熱圧接することよって接合する。この加熱圧接では、スペーサを用いて電極の厚さが25%減少するようにする。これにより、MEAを得る。
(5)上記2.(4)のMEAをセパレータで挟持する。これにより、単セルを得る。
3.実験
次に、上記手順で製造した単セルに空気および水素を供給し、300[mA・cm−2]の電流密度で連続運転をおこなって、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[質量%]と、単セル電圧の低下率[μV・h−1]、単セル電圧[V]および単セルの内部抵抗[mΩ・cm]との関係を調べた。
図5は、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[質量%]と単セル電圧の低下率[μV・h−1]との関係を示す図であり、連続運転試験における単セルの電圧低下率を示す。なお、横軸の中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、対数で表している。図5より、本発明のガス拡散層である、樹脂層を備えたガス拡散層を備えた単セルの電圧低下率[μV・h−1]は、従来の樹脂層を備えないガス拡散層を用いた単セルと比較して著しく低いことがわかる。これは、本発明のガス拡散層を用いることにより、高い撥水性が付与されたので、フラッディングによるセル電圧の低下を抑制することができた結果である。特に、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が25質量%より小さいガス拡散層を用いた場合に、単セル電圧低下率が著しく小さいことがわかる。これは、フッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が25質量%より小さいことによって撥水性が著しく向上した結果、フラッディングの抑制効果が著しく高くなったためである。また、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が1200質量%のガス拡散層を用いた場合には、その割合が900質量%以下のものと比べてセル電圧低下率が高いことがわかる。これは、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が高すぎるので、中間層の機械的強度の減少によって電流密度分布が不均一になったためと考えられる。
つづいて、図4に示したガス拡散層を用いたセルの電流I−電圧V特性と電気的な内部抵抗とを測定した。図6は、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[質量%]と単セル電圧[V]との関係を示す図である。また、図7は、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[%]と単セルの内部抵抗[mΩ・cm]との関係を示す図である。図6および図7は共に、300[mA・cm−2]の電流密度における電圧および単セルの内部抵抗を示している。なお、図6および図7は共に、横軸の中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、対数で表している。図6より、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が40質量%より小さいガス拡散層を用いた単セルは、電圧が著しく低いことがわかる。また図7より、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が40質量%より小さいガス拡散層を用いた単セルは、内部抵抗が著しく高いことがわかる。これらの結果よりわかるように、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が40質量%より小さいガス拡散層を用いた単セルは、中間層のフッ素樹脂が多いことに起因してガス拡散層の抵抗が高くなったので、単セルの内部抵抗が増大し、単セル電圧が低下した。さらに、図6および図7より、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合は、単セル電圧および内部抵抗に影響をおよぼさないことがわかる。これは、本発明のガス拡散層は、基材層に含まれる炭素繊維が樹脂層を貫通して中間層と接するので、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が減少しても電気的な抵抗が変化しないことにより、単セル電圧に影響をおよぼさないことを示している。
さらに、図8に示したガス拡散層を用いたセルのI−V特性および電気的な内部抵抗とを測定した。図9および図10は、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合[質量%]と300[mA・cm−2]の電流密度における単セル電圧[V]および内部抵抗[mΩ・cm]の関係を示す図である。図9より、本発明のガス拡散層を用いた場合、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が単セル電圧に影響をおよぼさないのに対して、従来のガス拡散層を用いた場合、その割合が低下するにしたがって、単セル電圧が著しく低下することがわかる。図10より、本発明のガス拡散層を用いた場合、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が単セルの内部抵抗に影響をおよぼさないのに対して、従来のガス拡散層を用いた場合、その割合が低下するにしたがって、単セルの内部抵抗が著しく高くなることがわかる。これらの結果より、撥水性および結着性を向上するために樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合を低下させた場合、本発明のガス拡散層では、基材層と中間層とが接触しているので電気的な内部抵抗が増大しないのに対して、従来のガス拡散層では、樹脂層が絶縁体として働き、内部抵抗が増大した結果単セル電圧が低下することが確認された。
(まとめ)
以上の結果より、本実施形態の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層は、単セルの電気的な内部抵抗を増大させることなく、ガス拡散層の撥水性を高めることによって、PEFCの耐久性能を向上させ得ることが確認された。特に、そのガス拡散層において、中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が20〜900質量%であり、樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が25質量%以下であると、その拡散層を用いる単セルの出力特性および耐久性能は、著しく優れることが確認された。
本発明によって、従来のPEFCのセル電圧を保持しつつ耐久性を向上させるため、信頼性の高い、省エネルギー効果を有するPEFCが得られる。特に、このようなPEFCは、小規模業務用から家庭用、携帯用をはじめ車載用など幅広い分野での利用が期待され、環境保全や経費削減を意識したエコの社会も考慮され、需要の拡大を図ることができ、産業上の利用可能性は極めて大きい。
1 基材層
2 樹脂層
3 中間層
4 炭素繊維
5 触媒層
10a 樹脂層を備えない従来のガス拡散層
10b 樹脂層を備え、炭素繊維が中間層に接触したガス拡散層
10c 樹脂層を備えた従来のガス拡散層
11 電解質膜
12a アノードガスケット
12b カソードガスケット
13 電極
13a アノード(負極)
13b カソード(正極)
14a アノード側セパレータ
14b カソード側セパレータ
15 流路
16 MEA
20 単セル(単位電池)

Claims (6)

  1. 炭素繊維を含む基材層、フッ素樹脂を含む樹脂層、および炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層がこの順に配置された固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層であって、
    前記樹脂層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合が、前記中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の割合より低いこと、および、
    前記基材層に含まれる炭素繊維が前記樹脂層を貫通して前記中間層と接すること
    を特徴とするガス拡散層。
  2. 前記中間層のフッ素樹脂に対する炭素粉末の質量の割合が20質量%以上900質量%以下であること
    を特徴とする請求項1記載のガス拡散層。
  3. 前記樹脂層および中間層のフッ素樹脂が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)を含むこと
    を特徴とする請求項1または2に記載のガス拡散層。
  4. 固体高分子形燃料電池の電極に用いられるガス拡散層の製造方法であって、
    炭素繊維からなる基材層上に少なくとも炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層ペーストを含ませて、乾燥する工程(S2,S3)と、
    前記中間層を焼成する工程(S4)と、
    前記基材層と前記焼成した中間層とからなる積層体にフッ素樹脂を含む溶液を付着させる工程(S5)と、
    前記積層体の表面に付着した余分な溶液を除去する工程(S6)と、
    前記工程(S6)を経た積層体を乾燥する工程(S7)と、
    その後焼成する工程(S9)と
    を具備するガス拡散層の製造方法。
  5. 前記積層体にフッ素樹脂を含む溶液を付着させる工程(S5)と、
    前記積層体の表面に付着した余分な溶液を除去する工程(S6)と、
    前記工程(S6)を経た積層体を乾燥する工程(S7)とを所定回数繰り返す
    ことを特徴とする請求項4に記載のガス拡散層の製造方法。
  6. 前記炭素粉末とフッ素樹脂とを含む中間層ペーストおよび前記フッ素樹脂を含む溶液のフッ素樹脂が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)を含むこと
    を特徴とする請求項4または5に記載のガス拡散層の製造方法。
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