JP6952543B2 - 膜電極接合体、電気化学セル、スタック、燃料電池及び車両 - Google Patents

膜電極接合体、電気化学セル、スタック、燃料電池及び車両 Download PDF

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Description

実施形態は、膜電極接合体、電気化学セル、スタック、燃料電池及び車両に関する。
近年、電気化学セルは盛んに研究されている。電気化学セルのうち、例えば、燃料電池は、水素などの燃料と酸素などの酸化剤とを電気化学的に反応させることにより発電させるシステムを含んでいる。中でも、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEFC)は、環境への負荷が少ないことから、家庭用定置電源や自動車用電源として実用化されている。PEFCの各電極に含まれる触媒層としては、カーボンブラック担体に触媒材料を担持させたカーボン担持触媒が一般に使用されている。燃料電池の発電によってカーボン担体が腐食し、触媒層および触媒層を含んだ膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の劣化が大きく、燃料電池耐久性を確保するため多量な触媒が使用されている。PEFCの普及化への一つ大きな課題は、貴金属触媒使用量の低減によるコスト減である。
燃料電池においては、カーボン担体による触媒劣化を回避し、触媒活性と電気化学セルの特性を高めるため、担体レス多孔質触媒層が提案され、少ない白金でも優れた耐久性と高い特性を確保できている。
一方、電気化学セルに使用される電解質膜が非常に高価なため、膜電極接合体もコストが非常に高くなり、一般的に普及の大きな課題となっている。さらに、電気化学セルの性能の向上のため、一般的に電解質膜の薄膜化による膜抵抗の低減が行われている。しかしながら、電極に挟まれた電解質膜において、電極の外側の電解質膜部と電極に挟まれた電解質膜部分が、電極端部での端湿度変動により膜への膨潤収縮による機械的なストレスが大きく、膜の亀裂等が起こりやすいことが知られている。以上のようにMEAとしては未だ十分とは言えず、更なる改善の必要性がある。
特許第5342824号
実施形態は、発電特性を向上させた膜電極接合体、電気化学セル、スタック、燃料電池及び車両を提供することにある。
実施形態の膜電極接合体は、第1支持体と、空隙層を含む積層構造を有する複数の触媒ユニットを含む第1触媒層とを有する第1電極と、第1触媒層と接し、電解質材料を含む電解質膜を有し、第1触媒層は、第1支持体と電解質膜との間に存在し、第1触媒層の複数の触媒ユニット間に電解質膜が存在する平均深さは、第1支持体側とは反対側で電解質膜と接した第1触媒ユニットの面から第1支持体に向かって第1触媒層の厚みの80%以上であり、第1触媒層の複数の触媒ユニット間の空隙の電解質膜側から支持体に向かって少なくとも第1触媒層の厚みの90%までの領域にわたって電解質材料が存在する部分を含む。
実施形態に係る電解質(層)付ガス拡散電極の断面図。 実施形態に係る積層触媒断面の低倍率透過型顕微鏡写真。 実施形態に係る電解質(層)付ガス拡散電極の断面図。 実施形態に係る電極の測定スポットを示す図。 実施形態に係る電解質(層)付ガス拡散電極の界面断面説明図。 実施形態に係る作製工程を示すチャート図。 実施形態に係る膜電極接合体の断面図。 実施形態に係るサブガスケット一体型膜電極接合体の断面図。 実施形態に係る電気化学セルの断面図。 実施形態に係るスタックの断面図。 実施形態に係る燃料電池の断面図。 実施形態に係る車両の概念図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
(実施形態1)
実施形態1の膜電極接合体(MEA)は、第1支持体と、第1支持体上に、空隙層を含む積層構造を有する複数の第1触媒ユニットを含む第1触媒層とを有する第1電極と、複数の第1触媒ユニット間の複数の第1触媒ユニットが対向する面(第1の面)と第1支持体側とは反対側の第1触媒ユニットの面(第2の面)の両方と接した電解質膜を有する。第1支持体側とは反対側で電解質膜と接した第1触媒ユニットの面から第1支持体に向かって少なくとも第1触媒層の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜が存在する部分を含む。
図1に実施形態1の膜電極接合体(MEA)100の断面図(電解質(層)付ガス拡散電極の断面図)を示す。図1のMEA100は、第1支持体2、第1触媒層3を有する第1電極1と、電解質膜4を有する。
MEA100が燃料電池に使用される場合、両側の電極は、それぞれアノードおよびカソードである。アノードには水素が供給され、カソードには空気が供給される。
第1電極1は、第1支持体2に第1触媒層3が設けられた電極である。第1電極1の第1触媒3は、電解質膜4と直接接している。実施形態における接触は、直接的な接触が好ましい。
第1支持体2は、第1触媒層3を支持する基板である。第1支持体2は多孔性と導電性が一般的に要求されるいわゆるガス拡散支持体である。チタン材料やカーボン材料の層状物が一般的に採用されている。第1支持体2の形態については特に限定しないが、メッシュ、繊維からなるクロース、チタン焼結体などが挙げられる。多孔質基材の開口率、特に第1触媒層3に接する部分の空孔構造などの調整、またはブラスト処理など基材の表面処理によって水電解特性を向上させる場合がある。第1触媒層3への水供給、電極反応生成物の排出などがスムーズになり、第1触媒層3における電極反応が促進されたためと考えられる。基材の上に他のコーティング層を付けても良い。導電性のある緻密なコーティング層によって電極の耐久性を大きく向上させる場合がある。コーティング層は特に限定されないが、金属材料、酸化物、窒化物などセラミックス材料、カーボンなどを使用できる。
第1支持体2は、水詰まり、いわゆるフラッディング現象が起こるのを防ぐため、撥水剤を含むことが多い。第1支持体2の撥水剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系高分子材料である。好適な第1支持体2としては、多孔質なカーボン層とカーボン基材との積層体であり、第1触媒層3は多孔質なカーボン層側に設けられている。
第1触媒層3は、第1支持体2上に設けられた複数の触媒ユニットを含む。第1触媒層3は、担体レスで多孔質な触媒層である。電気化学セルに使用される触媒層は高いセル特性を得るため、カーボンなど材料を担体としてその表面に触媒を担持させた、担持触媒によって一般的に構成される。担体材料は主要な電極触媒反応に殆ど寄与しないが、触媒材料の反応面積の向上など触媒材料を制御できるほか、電気化学セルによって空孔構造、電気伝導性、イオン伝導性などを改善できると報告されている。担体レスとは、第1触媒層を構成する触媒には担体を使用しないことである。つまり、第1触媒層3は、触媒材料で構成されている。具体的には、第1触媒層3は多孔体構造を持つ触媒ユニット又は空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットを含む。貴金属触媒を使用した場合は少ない使用量においても、電気化学セルの高い特性と高い耐久性を保つことが可能である。
図2(a)と図2(b)に多孔体構造を持つ触媒ユニットと空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットの低倍率透過型顕微鏡写真をそれぞれ示す。図2(a)は多孔体構造の触媒ユニットであり、図2(b)は空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットをそれぞれ示した。触媒材料が担体に担持された場合は、触媒は一般的にナノサイズの粒子状であるが、多孔体構造を持つ触媒ユニットの場合は触媒自体がスポンジ状である。空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットの場合は、触媒はナノシート状になる。スポンジ状またはナノシート状の触媒を用いることによって電気化学セルの特性を向上させることが可能である。
電極触媒反応は触媒の表面において生じるため、触媒の形状は触媒表面の原子配列、電子状態に影響を及ぼす。空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットの場合は、隣接のナノシート同士は部分的に一体化することが望ましい。メカニズムはまだ完全に解明されていないが、電極反応のためのプロトン伝導または水素原子伝導をよりスムーズに達成できると考えられるためである。
また、図2(c)の低倍率透過型顕微鏡写真に示したように積層構造内部のナノシートを多孔質化することによってより高い特性が得られる。ガス拡散と水管理を向上できるためである。積層構造内部のナノシートの間に繊維状カーボンを含む多孔質ナノカーボン層(図2(d)の低倍率透過型顕微鏡写真)またはナノセラミックス材料層を配置した方が、耐久性、ロバスト性をより向上できる。主要な電極反応を寄与する触媒は多孔質ナノカーボン層に含有される繊維状カーボンに殆ど担持されていないため多孔質ナノカーボン層を含む積層構造ユニットは担体レスと考えている。ここで、水分の排出など物質の移動がよりスムーズになるため、触媒層の空孔率は、50Vol.%以上90Vol.%以下であることが好ましい。また、触媒層の空孔率がこの範囲内であれば、貴金属の利用効率を低下させることなく、物質を十分に移動させることができる。
本実施形態に係る担体レスの触媒層に採用される所定の触媒材料は、例えば、Pt、Ru、Rh、Os、Ir、PdおよびAuなどの貴金属元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む。このような触媒材料は、触媒活性、導電性および安定性に優れている。前述の金属は、酸化物として用いることもでき、2種以上の金属を含む複合酸化物または混合酸化物であってもよい。
最適な貴金属元素は、MEA100が使用される反応に応じて適宜選択することができる。例えば、燃料電池のカソードとして酸素還元反応が必要である場合、Pt1−uで示される組成を有する触媒が望ましい。ここで、uは、0<u≦1であり、元素Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Ta、W、Hf、Si、Mo、Ti、Zr、Nb、V、Cr、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種である。この触媒は、0原子%より多く90原子%以下のPt、および10原子%以上100原子%未満の元素Mを含んでいる。
電解質膜4は、イオン伝導性が要求される膜である。電解質膜4は、複数の第1触媒ユニット間の複数の第1触媒ユニットが対向する面と接し、第1支持体2側とは反対側の第1触媒ユニット31の面と接している。つまり、電解質膜4は、第1触媒層3の第1支持体2側とは反対側の面と接し、複数の第1触媒ユニット間に存在している。電解質膜は、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、タングステン酸とリンタングステン酸からなる群のうちのいずれか1種以上の電解質材料を含む。スルホン酸基を有するフッ素樹脂としては、例えば、ナフィオン(商標、デュポン社製)、フレミオン(商標、旭硝子社製)、およびアシプレック(商標、旭化成社製)などを用いることが好ましい。タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物も電解質材料として好ましい。実施形態の膜電極接合体100を水電解に用いる場合は、電解質膜4には、さらに、過酸化水素分解剤、ラジカル補足剤と補強材からなる群のうちのいずれか1種以上を含むことが、膜の劣化を抑制するため好ましい。
電解質膜4の厚さは、MEA100の特性を考慮して適宜決定することができる。強度、耐溶解性およびMEAの出力特性の観点から、電解質膜4の厚さは、好ましくは5μm以上300μm以下、より好ましくは5μm以上200μm以下である。
第1触媒層3の複数の触媒ユニット間には、電解質膜4が存在する。第1触媒層3上に電解質膜4を形成すると、電解質膜4が第1触媒層3の浅い領域にまで侵入する場合がある。電解質膜の侵入は、実施形態では、この電解質膜4が触媒ユニット間の奥深く第1支持体2側まで侵入することで、第1触媒層3から電解質膜4間の抵抗が減少し発電性能が低下する。
図3に、膜電極接合体100の拡大断面図(電解質(層)付ガス拡散電極の断面図)を示す。図3の断面図には、第1触媒層3の触媒ユニット31が示されている。図3の断面図において、第1触媒層3の複数の触媒ユニット31の間に存在する電解質膜を電解質膜4Aと表し、第1支持体2側とは反対側の第1触媒ユニット31の面と接した電解質膜を電解質膜4Bと表している。触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aは、第1支持体2側の深部にまで存在し、触媒ユニット31と電解質膜4間の低抵抗化に寄与している。
そこで、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって少なくとも第1触媒層3の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜4Aが存在する部分を含むことが好ましい。触媒ユニット31と電解質膜4間の低抵抗化の観点から、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって少なくとも第1触媒層3の厚みの85%までの領域にわたって電解質膜4Aが存在する部分を含むことがより好ましい。第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって少なくとも第1触媒層3の厚みの90%までの領域にわたって電解質膜4Aが存在する部分を含むことがさらにより好ましい。
第1触媒層3の複数の触媒ユニット31間に電解質膜4Aが存在する平均深さは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって第1触媒層3の厚みの75%以上であることが、上記と同様の理由により好ましい。第1触媒層3の複数の触媒ユニット31間に電解質膜4Aが存在する平均深さは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって電解質膜4Aが存在する深さ(第1触媒層3の厚みに対する比率)の平均値である。第1触媒層3の複数の触媒ユニット31間に電解質膜4Aが存在する平均深さが75%未満だと、触媒層と電解質界面の抵抗が増加するため発電性能が低下する。そこで、第1触媒層3の複数の触媒ユニット31間に電解質膜4Aが存在する平均深さは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって第1触媒層3の厚みの80%以上がより好ましい。第1触媒層3の複数の触媒ユニット31間に電解質膜4Aが存在する平均深さは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって第1触媒層3の厚みの85%以上がさらにより好ましい。
第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aの深さは、触媒層3全体にてできるだけ均一に保つことが好ましい。そこで、複数の第1触媒ユニット31間の60%(2つの対向する第1触媒ユニット31を1組としたときの個数比率)以上において、複数の第1触媒ユニット31間の電解質膜4Aは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって少なくとも第1触媒層3の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜4Aが存在することが好ましい。なお、第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aと第1支持体2側とは反対側の第1触媒ユニット31の面と接した電解質膜4Bは直接的に接していることが好ましい。
<担体レス触媒層の厚み>
「触媒層厚み」の測定方法は次の通りである。
まず、MEA100から9スポットのサンプルを切り出した。図4に示される触媒層の面内に9個のスポットを指定し、この9個のスポットの中の触媒層厚みの平均値を当電極の平均触媒層厚みとした。各スポットは、正方形状で少なくとも5mmの領域を有する。また、電極長さ40と電極幅42はLとW(L≧W)をそれぞれとした場合、距離41はW/10、距離43はL/10とした。9スポットのサンプルの中心からサンプルを切断し、TEM観察用サンプルを作製した。電解質膜4と第1触媒層3との界面を観察しやすくするため、0.1M〜1MのRuイオン溶液などにサンプルを浸漬し、前処理を行った。
次いで、各MEA100の各9スポットにつき3箇所/スポットを透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)により観察した。15400倍のTEM像を得て、コントラストから、触媒材料、電解質膜、アイオノマーと細孔とを区別した。なお、撮像範囲は、12μm×9.5μmとした。
最後に、各視野の触媒層厚みを計測した。ここで、「触媒層厚み」とは、上記各サンプルの全視野の計測値の平均値をこのMEA100の触媒層厚みと定義した。こうして得た触媒層厚みを元に、触媒層の空孔率を(1−白金量相当厚み/触媒層厚み)として求めた。
<第1触媒層のへの電解質膜4の食い込み割合>
第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aの深さである第1触媒層3のへの電解質膜4の食い込み割合については、上記155000倍で観察したTEM像から求められる。MEA100の各9スポットにつき3箇所/スポットをTEMにより観察した。なお、撮像範囲は、1.2μm×0.95μmとした。
図5膜電極接合体の断面説明図(電解質(層)付ガス拡散電極の断面説明図)に示す様に、触媒ユニット31と電解質膜4Aとの交差点の連線を基準線52とする。基準線52は、電解質膜4Aとの接点を結ぶ線分を連結した線である。連結する線分の角度は、図5に示すように異なっていてもよい。さらに、基準線52は、各第1触媒ユニット31間の電解質膜4Aの外周辺を通り、かつ、基準線52は、第1支持体2との距離が最も近くなるように定める。基準線52からの垂線と触媒ユニット31と電解質膜4との界面までの距離が最も長くなる垂線の距離、を電解質膜4側の触媒ユニット31と電解質膜4との界面の各点から基準線42までの距離の中の最大距離51を第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aの深さ(侵入深さ)と定義する。
MEA100の各9スポットにつき3箇所の測定値の平均値を取ることで第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aの深さの平均値が得られる。複数の触媒ユニットが連続し(触媒ユニット集団)、TEM観察では集団内部の触媒ユニットの食い込みを特定できない場合がよくある。この場合は集団外側の触媒ユニットの食い込み深さを集団全ユニットの代表値として採用した。
複数の第1触媒ユニット31間の何%が複数の第1触媒ユニット31間の電解質膜4Aは、第1支持体2側とは反対側で電解質膜4Bと接した第1触媒ユニット31の面から第1支持体2に向かって少なくとも第1触媒層3の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜4Aが存在しているかについても第1触媒層3の複数の第1触媒ユニット31の間に存在する電解質膜4Aの深さと同様にTEM像から求められる。
次に、各視野について、食い込み割合が第1触媒層3の厚みの80%以上の第1触媒ユニット31の割合を求め、食い込みの分布とした。各スポットの3視野の平均値を算出し、当スポットの触媒層食い込み平均割合、食い込み分布として算出した。各サンプルの全スポットの計測値の平均値をこのMEAの触媒層食い込み平均割合(侵入割合(%))、食い込み分布(侵入分布(%))とした。
次に、実施形態にかかるMEA100の作製方法を簡単に説明する。実施形態にかかるMEA100の作製方法は、第1支持体2上に、複数の触媒ユニット31を含む第1触媒層3を形成する工程と、第1触媒層上3に電解質を含む溶液を塗布する工程と、電解質が塗布された部材を加圧乾燥する工程とを有する。実施形態にかかるMEA100の作製方法のチャート図を図6に示す。
まず、第1触媒ユニット31を有する第1触媒層3を作製する場合は触媒材料と造孔剤材料を同時に又は交互にスパッタリングまたは蒸着によって触媒層前駆体を第1支持体2上に形成する。次いで、造孔剤を除去し、電極を得る。第1触媒ユニット31を有する第1触媒層3を作製する場合に、触媒材料と造孔剤材料を同時に形成した場合は、触媒材料がスポンジ状の触媒ユニット31が得られる。また、触媒ユニット31を有する第1触媒層3を作製する場合に、触媒材料と造孔剤材料を交互に形成した場合は、触媒材料シート状の積層構造を有する第1触媒ユニット31が得られる。
次いで、第1触媒層3上に電解質膜4を形成する。電解質膜4は、上記の電極の第1触媒層3上に、電解質の分散溶液を塗布し、加熱乾燥することで作製する。電解質の分散溶液は、電解質を溶媒に分散したものであればよく、濃度については、塗布可能な濃度であればよい。溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール溶媒、テトラヒドロフランやジメトキシエチレンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などがあげられるが、これらに限定されるわけではない。 また、分散溶媒としては、各種溶媒の混合溶媒を用いてもよい。溶質は、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、タングステン酸とリンタングステン酸からなる群のうちのいずれか1種以上である。
塗布方法については、スピンコート法、ブレードコート法、インクジェット法、グラビア法、スプレーコート法などが挙げられるが、限定されるわけではない。塗布した電解質を加熱乾燥することによって電解質膜4を作製する。
また、塗布については、濃度が異なる分散液を塗布することや、電解質組成の異なるものを積層してもよい。また、電解質分散溶液中に膜の耐久性を向上させる、金属酸化物などの過酸水素又はラジカル分解剤、有機化合物からなるラジカル補足剤を添加した分散液を塗布して同様に電解質膜4を形成することができる。
電解質膜を形成する際の加熱乾燥は、塗布中でも、塗布後でもよいし、両方行ってもよいが乾燥前に加圧加熱乾燥を行う。加熱温度は、使用している溶媒および電解質に依存するが、30℃から300℃以下が良い。さらに、ホットプレス等により加圧加熱乾燥することで、触媒層の凹凸界面(第1触媒層3とその間の空隙)への電解質の侵入深さに大きな影響を及ぼす。触媒層構造および使用する電解質の特性によって、圧力および温度、乾燥時間最適化することができる。
加圧加熱する装置は、ホットプレス、ローラーなどがあるが、限定されるわけでない。たとえば、ホットプレスを使用する場合は、電解質が塗布された面から第1触媒層3にかかる圧力は0.5kg/cm以上100kg/cm以下で、温度は、80℃以上200°C以下であり、加圧乾燥の処理時間は、20秒以上3600秒以下の範囲が良い。
(実施形態2)
実施形態2は、第2電極をさらに有する膜電極接合体101である。図7に実施形態2の膜電極接合体の断面図を示す。図7の膜電極接合体101は、第1支持体2、第1触媒層3を有する第1電極1と、電解質膜4と、第2支持体6、第2触媒層7を有する第2電極5を有する。
膜電極接合体101を燃料電池に用いる場合は、第2電極5は第1電極3と同じ構成であることが好ましい。膜電極接合体101を水電解に用いる場合は、第2電極5はイリジウムを含む酸化物触媒を用いることが好ましい。
MEA101を燃料電池に用いる場合は、第2電極5の第2触媒層7は複数の第2触媒ユニットを含むことが好ましい。電解質膜4は、複数の第2触媒ユニット間の複数の第2触媒ユニットが対向する面(第1の面)と第2支持体6側とは反対側の第2触媒ユニットの面(第2の面)の両方と接することが好ましい。複数の第2触媒ユニット間の電解質膜4は、第2支持体6側とは反対側で電解質膜4と接した第2触媒ユニットの面から第2支持体6に向かって少なくとも第2触媒層7の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜4が存在する部分を含むことが好ましい。第2支持体6は、ガス拡散支持体であることが好ましい。複数の第2触媒ユニット間に電解質膜4が存在する平均深さは、第2支持体6側とは反対側で電解質膜4と接した第2触媒ユニットの面から第2支持体6に向かって第2触媒層7の厚みの75%以上であることが好ましい。複数の第2触媒ユニット間の60%以上において、複数の第2触媒ユニット間の電解質膜4は、第2支持体6側とは反対側で電解質膜4と接した第2触媒ユニットの面から第2支持体6に向かって少なくとも第2触媒層7の厚みの80%までの領域にわたって電解質膜が存在することが好ましい。
その他の第2電極における好適な条件や測定方法も第1電極3と共通する。
第1電極3の外周は、第2電極5の外周よりも1mm以上50mm以下外方に存在することがリークを防ぐ観点から好ましい。また、MEA101において電解質膜4は、大きい面積を持つ電極の面積以下、もしくは、小さい電極面積より面積が大きいことが好ましい。なぜなら、電解質膜の面積が大きな電極より大きくなると電解質膜部分と電極界面の機械的強度が低下し、小さな電極より小さくなるとよりアノード電極及びカソード電極との間のリークが起こるためである。
第2電極5は実施形態1のMEAを作製する際に、加圧加熱処理する前又は加圧加熱処理した後に第2電極5を形成し、実施形態1と同様に加圧加熱処理をして作製することが好ましい。
(実施形態3)
実施形態3は、サブガスケット一体型の膜電極複合体に関する。実施形態3では、さらに、上記MEA101の電極端部の間の部分にサブガスケット(ガスケット)を接合させている。ガスケットは、燃料供給又は酸化剤供給の流路が配置された集電板と膜電極接合体(MEA)との間にあり、燃料及び酸化剤が漏れないようにするためのシールに使用する。また、サブガスケットは、電解質とガスケットを調整するため使用し、ガスケットをより補完するものであって、MEA101とガスケットの間に使用するものとする。
サブガスケットとガスケットの材質は、同じ材料でなくてもよい。
図8にサブガスケット一体型の膜電極複合体102の断面図を示す。MEA101の第1電極3の端部と第2電極5との端部との間の隙間を覆うようにして、接着剤11を介して、サブガスケット又はガスケット12、13を接合した図である。
サブガスケット一体型の膜電極複合体102の作製方法は、第1支持体2上に、複数の触媒ユニット31を含む第1触媒層3を形成する工程と、第1触媒層上3に電解質を含む溶液を塗布する工程と、電解質が塗布された部材を加圧乾燥する工程と、第2電極5を電解質膜4上に形成する工程と、膜電極接合体101の電極端部に接着剤11を介して、サブガスケット又はガスケット12、13を一体化する工程とを有する。
サブガスケット12、13には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレン、環状ポリオレフィン(COP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられるが、限定されるわけではない。また、サブガスケット12、13とMEA101を接合する接着剤11として、熱可塑樹脂(ホットメルト材料)や反応性樹脂をフィルム化したものを用いるか、サブガスケット12、13に直接塗布したものを用いてもよい。熱可塑樹脂の融点は、電気化学セルが使用する温度以上のものを使用する。熱可塑樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニルーエチレン共重合体などがあるが、限定されるわけではない。その厚みは、電極厚みにより、最適化される。
本実施形態における膜電極接合体100、101、102は、電解セルまたはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型電気化学セルとすることもできる。例えば電解セルは、第1電極3としてアノードの代わりに酸素発生触媒電極を含む以外は、上述の燃料電池と同様の構成とすることができる。
なお、セルの組立、例えばMEA101と垂直方向の締め付け圧力などによって電解質膜への触媒ユニット間への侵入を制御することも可能である。
(実施形態4)
本実施形態にかかる電気化学セルの構成を、図9の電気化学セル200の断面図を用いて簡単に説明する。図9に示す電気化学セル200は、MEA1の両側に、接着剤11、ガスケット12、13を介して、燃料及び酸化剤供給流路付集電板14、15と締め付け板16、17が取り付けられている。燃料及び酸化剤供給流路付集電板14、15と締め付け板16、17の間には、絶縁フィルム18、19が設けられている。
(実施形態5)
本実施形態にかかるスタックの構成を、図10のスタック300の断面図を用いて簡単に説明する。スタック300は、膜電極接合体101、102又は電気化学セル200を複数個、直列に接続した構成である。膜電極接合体101、102又は気化学セル200の両端に締め付け板20、21が取り付けられている。
(実施形態6)
本実施形態にかかる燃料電池の構成を、図11の燃料電池の断面図を用いて簡単に説明する。燃料電池400は、膜電極接合体101、102と、燃料供給ユニット22と、酸化剤供給ユニット23とを有する。燃料電池400で用いられる膜電極接合体101、102の電極は、燃料極3と酸化極7である。膜電極接合体101、102の代わりに、電気化学セル200又はスタック300を用いてもよい。
(実施形態7)
本実施形態にかかる車両の構成を、図12の車両500の概念図を用いて簡単に説明する。車両500は、燃料電池400、車体24、モーター25、車軸26、車輪27と負荷制御ユニット28を有する。燃料電池400の燃料極3と酸化極7は、負荷制御ユニット28を介して、負荷であるモーター25とつながっている。モーターは車輪27とつながった車軸26を回転させて車輪27を回転させる。なお、実施形態の燃料電池は、例えば、ドローンなどの飛翔体の動力源としても用いることができる。
以下、実施例および比較例を説明する。
表1には、以下の条件で作製した実施例1〜10、比較例1〜5の触媒層、電極、触媒層―電解質膜界面の観測結果、および電気化学セルの評価結果等をまとめる。なお、触媒層は担体レスのため、触媒の白金ローディング量の相当厚さと触媒層厚さの比から触媒層の空孔率を求めた。表1には、アノードとカソードの電極についてまとめてある。実施例1−5と比較例1−3がアノードであり、実施例6−10と比較例4−5がカソードである。作製したそれぞれの電極の番号をAE1−5、BAE1−3、CE1−5とBCE4−5と名前付けしている。比較例1、2と4では、電解質膜を塗布していないため、これらの比較例では、電解質膜の厚みが無く、侵入割合(%)、侵入分布(%)と電解質膜材料の塗布後の加圧加熱乾燥条件は(-)で表している。また、比較例3、5では、加熱加圧乾燥をせずに電極を作製している。電極の具体的な作製工程は、表1以降に示す。触媒層への電解質の食い込み割合は、侵入割合(%)で表している。また、触媒層への電解質の侵入分布(%)も表1に示している。
Figure 0006952543
<担体レス触媒層を有する電極及び膜電極複合体の作製>
(燃料電池用アノードの電極作製)
基板として、厚みが1μm以上、50μm以下のMicro porous layer (MPL)を有するカーボンペーパーToray060(東レ社製)を用意した。この基板上に、Pt触媒のローディング密度0.05mg/cmになるように、スパッタリング法により多孔体構造を持つユニットから構成する触媒層を形成し、担体レスの多孔質積層触媒層を有する拡散層電極を得た。触媒量としては、Pt担持量は、0.05mg/cmとした。
この電極の触媒層上に20%ナフィオン分散液(デュポン社製)をエタノールで希釈した約6.5%溶液をスプレーで塗布し、60℃で10分加熱乾燥したのち、加圧加熱乾燥20分して、電解質膜付きガス拡散電極を得た。この電極を5.40cm×5.40cm又は5.00cm×5.00cmの正方形にし、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、比較例3のアノードとして使用した。また、実施例3は、20%nafion溶液をエタノールで希釈した0.5%nafion分散液および7%nafion分散液を作製し、0.5%nafion分散液塗布した後7%分散液を塗布し作製した。これらの結果を、表1にまとめた
(燃料電池用カソードの電極作製)
基板として、表面に厚さ1〜50μmの炭素層を有するカーボンペーパーToray060(東レ社製)を用意した。この基板上に、スパッタリング法により多孔体構造または空隙層を含む積層構造を持つユニットから構成する白金触媒層を形成し、担体レスの多孔質触媒層を有する電極を得た(白金ローディング量が0.18mg/cm)。スパッタリングにあたっては、触媒層ユニットの形態、触媒層の厚さが上記表1に示す値となるように、プロセスを調整した。これら電極を5.00cm×5.00cm又は5.40cm×5.40cmの正方形にし、実施例6、実施例7、実施例9、実施例10と比較例5の電極を作製し、表1にまとめた。
(膜電極接合体(MEA)の作製)
上記で作製した電解質膜付きアノード電極を54mm角にそれぞれ裁断する。また、作製したカソード電極を50mm角に裁断した。SUS板(100mm角、厚み1mm)、シリコンゴムシート(100mm角、厚み2mm)、PTFEフィルム(100mm角、厚み200μm)、アノード電極、カソード電極、PTFEフィルム、シリコンゴムシート、SUS板の順に積層して、ホットプレス(0.3ton、165℃、4分)で圧着したのち、室温に冷却し、実電極を使用しMEAを作製した。
一方、サブガスケットとして帝人・デュポンフィルム株式会社製のPENフィルム(厚み38μm;Q51−38)を75mm角に裁断したものに54.5mm角で中抜きに裁断(54mm角の電極側サブガスケット)した。次に、上記PENフィルムを75mm角に裁断したものに融点点が140℃のポリアミド系ホットメルトフィルム(日本マタイ株式会社 NT−12 膜厚み50μm) 75mm角を重ね130℃で2kgで2分圧着した。ホットメルトシートを積層したPENフィルムを中抜き50.5mm角に裁断した(50mm角電極の用サブガスケット)を作製した。
作製したサブガスケットを上記の作製したMEAとサブガスケットの中抜き部分と合わせて、上記のMEAと同様に130℃、60kgプレスで3分間熱圧着し、サブガスケット一体型膜電極接合体の実施例11から実施例17を作製した。
比較例7には、加圧乾燥していない電解質膜付電極を使用し、サブガスケット使用していないもの、比較例8は、比較例7と同様に加圧乾燥していない電解質膜付電極を使用し、サブガスケットを一体化したものを作製した。
(燃料電池の発電性能評価)
燃料電池用評価セルとして25cmの単セル(アノード;サペンタイン流路、カソード;interdigitated流路)を用いた。MEAをアノード側及びカソード側ガスケットとしてPTFEフィルムを用いて、燃料電池評価セルにセッティングした。また、得られた燃料電池用MEAを流路が設けられている二枚のセパレータの間にセッティングし、高分子電解質型燃料電池の単セル(電気化学セル)を作製した。
作製した単セルを用いて、以下の項目について各MEAをそれぞれ評価した。
(セル電圧評価)
得られた単セルに対して、一日コンディショニングを行った。その後、80℃に維持し、アノードに燃料として水素を供給するとともにカソードに酸素を供給した。水素の流量は0.6L/minとし、酸素の流量は0.3L/minとした。水素および空気の相対湿度は、いずれも100%であった。水素および酸素の供給とともに、電流密度1A/cmを一定にして放電させ、5分後のセル電圧(V)を測定し、表2にまとめた。表2には、使用したアノード及びカソードの番号(表1参照)並びに作製したMEAの番号を示している。比較例6を除き、アノード又はカソードのどちらか一方に塗布乾燥させた電解質膜を用いている。比較例6では、燃料電池用の電解質膜として利用されている25.4μmのナフィオン膜(ナフィオン211)をアノードとカソードの間に挟んでMEAを作製した。セル電圧の他にも、MEAの膜抵抗(mΩ)を交流インピーダンス法(1KHz)で測定し、表2にまとめている。
Figure 0006952543
上記表2に示されるように、実施例11〜17のMEAは、触媒ユニットへの電解質の平均侵入割合が80%以上である。実施例の各セル特性は、電圧が0.66〜0.68と従来の市販の電解質膜であるnafion211を使用した比較例6のMEAより性能は同等以上であった。表2に示したように各実施例で、抵抗値が低減していることから触媒層への電解質の侵入割合が増加したことにより、界面抵抗が低下し、性能が向上したものと考えられる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、担体レス触媒層を有する膜電極複合体の触媒層―電解質膜層の界面制御により、少ない量の貴金属で高いセル電圧、高いロバスト性、耐久性を有する膜電極複合体及びサブガスケット一体型膜電極複合体を提供できる。また、かかる膜電極接合体を用いた燃料電池は、発電特性に優れる。
明細書中、一部元素は、元素記号で表している。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。電気化学セルとして、水素燃料を持つ高分子電解質型燃料電池の単セルを挙げたが、これ以外の電気化学セル、例えば、メタノール型燃料電池、高分子電解質型水電解など電解質膜または隔膜を通してイオン移動または水など物質移動がある電気化学セルでも、同様に本発明を適用できる。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…第1電極;
2…第1支持体;
3…第1触媒層;
4…電解質膜;
5…第2電極;
6…第2支持体;
7…第2触媒層;
11…接着層;
12、13…ガスケット;
14、15…燃料及び酸化剤供給流路付集電板;
16、17…締め付け板;
18、19…絶縁フィルム;
20、21…締め付け板;
22…燃料供給ユニット;
23…酸化剤供給ユニット;
24…車体;
25…モーター;
26…車軸;
27…車輪;
28…負荷制御ユニット;
31…第1触媒ユニット;
40…電極長さ;
41…距離;
42…電極幅;
43…距離;
100、101…膜電極接合体;
102…サブガスケット一体型膜電極接合体;
200…電気化学セル;
300…スタック;
400…燃料電池;
500…車両;

Claims (10)

  1. 第1支持体と、
    前記第1支持体上に、空隙層を含む積層構造を有する複数の第1触媒ユニットを含む第1触媒層とを有する第1電極と、
    前記複数の第1触媒ユニット間の前記複数の第1触媒ユニットが対向する面と前記第1支持体側とは反対側の前記第1触媒ユニットの面の両方と接した電解質膜を有し、
    前記第1触媒層の複数の触媒ユニット間に前記電解質膜が存在する平均深さは、前記第1支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第1触媒ユニットの面から前記第1支持体に向かって前記第1触媒層の厚みの80%以上であり、
    前記第1支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第1触媒ユニットの面から前記第1支持体に向かって少なくとも前記第1触媒層の厚みの90%までの領域にわたって前記電解質膜が存在する部分を含む膜電極接合体。
  2. 前記第1支持体は、ガス拡散支持体である請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記電解質膜は、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、タングステン酸とリンタングステン酸からなる群のうちのいずれか1種以上を含む請求項1又は2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記複数の第1触媒ユニット間に前記電解質膜が存在する平均深さは、前記第1支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第1触媒ユニットの面から前記第1支持体に向かって前記第1触媒層の厚みの85%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 第2支持体と、前記第2支持体上に、空隙層を含む積層構造を有する複数の第2触媒ユニットを含む第2触媒層とを有する第2電極をさらに有し、
    前記電解質膜は、前記複数の第2触媒ユニット間の前記複数の第2触媒ユニットが対向する面と前記第2支持体側とは反対側の前記第2触媒ユニットの面の両方と接し、
    前記複数の第2触媒ユニット間の電解質膜は、前記第2支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第2触媒ユニットの面から前記第2支持体に向かって少なくとも前記第2触媒層の厚みの80%までの領域にわたって前記電解質膜が存在する部分を含み、
    前記第2支持体は、ガス拡散支持体であり、
    前記複数の第2触媒ユニット間に前記電解質膜が存在する平均深さは、前記第2支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第2触媒ユニットの面から前記第2支持体に向かって前記第2触媒層の厚みの75%以上であり、
    前記複数の第2触媒ユニット間の60%以上において、前記複数の第2触媒ユニット間の電解質膜は、前記第2支持体側とは反対側で前記電解質膜と接した前記第2触媒ユニットの面から前記第2支持体に向かって少なくとも第2触媒層の厚みの80%までの領域にわたって前記電解質膜が存在する請求項1ないしのいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  6. 前記第1電極の外周は、前記第2電極の外周よりも1mm以上50mm以下外方に存在する請求項に記載の膜電極接合体。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いた電気化学セル。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の膜電極接合体又は請求項に記載の電気化学セルを用いたスタック。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の膜電極接合体、請求項に記載の電気化学セル、又は、請求項に記載のスタックを用いた燃料電池。
  10. 請求項に記載の燃料電池を用いた車両。
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