JP2006059661A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 含水率の変化に伴う膜−電極接合体の損傷が起こりにくい、固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を有する固体高分子型燃料電池であって、少なくとも一方の触媒層は、当該触媒層よりも面積の大きい固体高分子電解質膜及びガス拡散層によって狭持され、当該触媒層の周縁部は、固体高分子電解質膜及びガス拡散層の周縁部の内側にあり、当該固体高分子電解質膜と当該ガス拡散層は、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ触媒層を取り囲むように形成された固定層を介して接合されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を有する固体高分子型燃料電池であって、少なくとも一方の触媒層は、当該触媒層よりも面積の大きい固体高分子電解質膜及びガス拡散層によって狭持され、当該触媒層の周縁部は、固体高分子電解質膜及びガス拡散層の周縁部の内側にあり、当該固体高分子電解質膜と当該ガス拡散層は、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ触媒層を取り囲むように形成された固定層を介して接合されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体高分子電解質膜の水分による寸法変化を抑えた固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、カルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。固体高分子型燃料電池は、電解質として固体高分子電解質膜を用いる燃料電池であり、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノードでは(1)式の反応が進行する。
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソードに到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは(2)式の反応が進行する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは(2)式の反応が進行する。
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。
このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
固体高分子型燃料電池が広く普及するためには、出力性能の向上の他に、耐久性の向上や原材料コストの低減等の多角的な要求に応えることが望まれる。
このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
固体高分子型燃料電池が広く普及するためには、出力性能の向上の他に、耐久性の向上や原材料コストの低減等の多角的な要求に応えることが望まれる。
固体高分子型燃料電池の出力性能を決める要因の一つに、固体高分子電解質膜のプロトン伝導度があげられる。固体高分子電解質膜は、その膜厚を薄くすることによってプロトン伝導度を改善することができる。
しかし、別の側面において固体高分子電解質膜は、自身の含水率に応じて膨潤・収縮するという性質がある。上記式(1)及び(2)からも分かるように、固体高分子電解質膜内では、発電に伴って水の移動と生成、及び排出が繰り返され、その含水率は大きく変動する。また、電池の作動時に不足しがちな含水率を補うために、外部からの加湿により固体高分子電解質膜に水分を供給することも一般に行われており、この加湿の前後でも含水率が変動する。
特に、電池の起動又は停止に伴って、外部からの加湿も起動又は停止させるので、これらの前後で固体高分子電解質膜の含水率が急激に変化する。このため、固体高分子電解質膜は、固体高分子型燃料電池の一連の作動過程において膨潤・収縮し、特に電池の起動及び停止に伴って膨潤・収縮を繰り返す。
しかし、別の側面において固体高分子電解質膜は、自身の含水率に応じて膨潤・収縮するという性質がある。上記式(1)及び(2)からも分かるように、固体高分子電解質膜内では、発電に伴って水の移動と生成、及び排出が繰り返され、その含水率は大きく変動する。また、電池の作動時に不足しがちな含水率を補うために、外部からの加湿により固体高分子電解質膜に水分を供給することも一般に行われており、この加湿の前後でも含水率が変動する。
特に、電池の起動又は停止に伴って、外部からの加湿も起動又は停止させるので、これらの前後で固体高分子電解質膜の含水率が急激に変化する。このため、固体高分子電解質膜は、固体高分子型燃料電池の一連の作動過程において膨潤・収縮し、特に電池の起動及び停止に伴って膨潤・収縮を繰り返す。
従って、プロトン伝導度を改善するために電解質膜を薄くして膜の機械的強度が低下すると、電解質膜が含水率の変動に伴って膨潤・収縮する際の寸法変動により、破損しやすくなるという問題がある。膨潤・収縮による寸法変動は、電解質膜自体の破損だけでなく、そこに積層される触媒等の隣接構造を破損或いは脱落させる原因にもなる。
従来、固体高分子電解質膜の機械的強度を改善する方法として、補強材を用いて、膜を補強する方法が知られている。
例えば、特許文献1(特開平10−154521号公報)には、イオン交換膜の破損を防止するために、触媒層の周縁部に触媒層の形状と一致する窓を開けた額縁状の補強膜を設けることでイオン交換膜を補強することが開示されている。しかしながら、特許文献1では、カーボン製のガス拡散層を使用しており、原材料コストが高くつく。
この点に関し、近年、原材料コスト削減のために、ガス拡散層として多孔質金属を用いる試みが行われている。しかし、ガス拡散層の材料を金属とすると、固体高分子電解質膜との接合時に、その膜を傷つけやすい、充分な接合強度が得られにくい等という問題がある。
例えば、特許文献1(特開平10−154521号公報)には、イオン交換膜の破損を防止するために、触媒層の周縁部に触媒層の形状と一致する窓を開けた額縁状の補強膜を設けることでイオン交換膜を補強することが開示されている。しかしながら、特許文献1では、カーボン製のガス拡散層を使用しており、原材料コストが高くつく。
この点に関し、近年、原材料コスト削減のために、ガス拡散層として多孔質金属を用いる試みが行われている。しかし、ガス拡散層の材料を金属とすると、固体高分子電解質膜との接合時に、その膜を傷つけやすい、充分な接合強度が得られにくい等という問題がある。
本発明は、含水率の変化に伴う電解質膜の寸法変動を抑えることにより膜−電極接合体の損傷が起こりにくい、固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を有する固体高分子型燃料電池であって、少なくとも一方の触媒層は、当該触媒層よりも面積の大きい固体高分子電解質膜及びガス拡散層によって狭持され、当該触媒層の周縁部は、固体高分子電解質膜及びガス拡散層の周縁部の内側にあり、当該固体高分子電解質膜と当該ガス拡散層は、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ触媒層を取り囲むように形成された固定層を介して接合されていることを特徴としている。
本発明に係る固体高分子型燃料電池では、固体高分子電解質膜と多孔質金属のガス拡散層とを接合するための固定層が触媒層を取り囲む枠状に形成されている。この固定層は、吸湿による膨潤及び/又は乾燥による収縮が小さいため、含水率の変動に伴う寸法変動が起こりにくい。このため、固定層が固体高分子電解質膜を強固に拘束し、電解質膜の膨潤・収縮による寸法変動を抑えるので、起動及び停止の繰り返しにより含水率が頻繁に変化しても膜−電極接合体の損傷が起こりにくい。
前記固定層を触媒層の外縁に沿って接合することで、発電に関与し電解質膜の含水率に影響を与える触媒層と重ね合わされた領域の固体高分子電解質膜を強固に拘束することができる。
また、アノード側及びカソード側の両極に前記固定層が形成されている場合には、前記固定層が固体高分子電解質膜を拘束する力がさらに強くなり、寸法変化をさらに抑制することができる。
また、アノード側及びカソード側の両極に前記固定層が形成されている場合には、前記固定層が固体高分子電解質膜を拘束する力がさらに強くなり、寸法変化をさらに抑制することができる。
前記固定層が、固定層の欠失部分を有する断続的な枠状に形成される場合には、固定層が固体高分子電解質膜を拘束する力を充分なものとするために、当該固定層の軌道と当該軌道の延長線を結ぶことにより規定される枠形状の周回距離の5%以上に敷設されていることが好ましい。
前記固定層を形成するための樹脂としては、撥水性や化学的安定性の観点から、フッ素を含有する樹脂が好適である。該フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマー、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
前記固定層を形成するための樹脂としては、撥水性や化学的安定性の観点から、フッ素を含有する樹脂が好適である。該フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマー、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
前記固定層を形成している樹脂のガラス転移点と、前記固体高分子電解質膜のガラス転移点との差が小さいほど良く、固定層を固体高分子電解質膜に強固に熱圧着することができる。
ポリフッ化ビニリデンは、撥水性及びガラス転移点の何れの点からも、固定層を形成するための樹脂として特に好ましく用いられる。
ポリフッ化ビニリデンは、撥水性及びガラス転移点の何れの点からも、固定層を形成するための樹脂として特に好ましく用いられる。
前記ガス拡散層は、多孔質基材からなることが好ましい。特に、該多孔質基材が金属からなることがコスト面から好ましい。多孔質金属は前記固定層との熱圧着性が良好であり、固体高分子電解質膜と多孔質金属からなるガス拡散層を固定層を介して強固に接合できる点でも好ましい。
前記ガス拡散層を形成する多孔質金属としては、Fe、Ni、Cr、Ta、Ti、Zr、Sm、Inの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属が好ましく、その表面がAu、Pt、C、N、F、Hにより修飾されていても良い。又はAu、Pt、導電性樹脂等によりコーティングされていても良い。
前記ガス拡散層を形成する多孔質金属としては、Fe、Ni、Cr、Ta、Ti、Zr、Sm、Inの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属が好ましく、その表面がAu、Pt、C、N、F、Hにより修飾されていても良い。又はAu、Pt、導電性樹脂等によりコーティングされていても良い。
以上の固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の好適な製造方法としては、次のような第一及び第二の方法がある。
(第一の方法) 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
ガス拡散層として機能するシート上に、触媒層、及び、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる中間積層体を準備し、当該中間積層体を固体高分子電解質膜上に熱圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。
(第一の方法) 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
ガス拡散層として機能するシート上に、触媒層、及び、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる中間積層体を準備し、当該中間積層体を固体高分子電解質膜上に熱圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。
(第二の方法)
固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
固体高分子電解質膜上に、触媒層を形成してなる第一中間積層体を準備し、
ガス拡散層として機能するシート上に、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層と重ね合わせた時に触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる第二中間積層体を準備し、
前記第一中間積層体と第二中間積層体を、前記触媒層の外縁を前記固定層が取り囲むように位置合わせして圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。
上記第一及び第二の方法によれば、熱、湿度及び力学的ストレスによる寸法安定性に優れ、且つ、破損する心配が少ないシート状のガス拡散層上に固定層を設け、最後に破損しやすい固体高分子電解質膜と熱圧着により接合することになるので、製造工程上取り扱いが容易になり好ましい。
固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
固体高分子電解質膜上に、触媒層を形成してなる第一中間積層体を準備し、
ガス拡散層として機能するシート上に、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層と重ね合わせた時に触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる第二中間積層体を準備し、
前記第一中間積層体と第二中間積層体を、前記触媒層の外縁を前記固定層が取り囲むように位置合わせして圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。
上記第一及び第二の方法によれば、熱、湿度及び力学的ストレスによる寸法安定性に優れ、且つ、破損する心配が少ないシート状のガス拡散層上に固定層を設け、最後に破損しやすい固体高分子電解質膜と熱圧着により接合することになるので、製造工程上取り扱いが容易になり好ましい。
本発明に係る固体高分子型燃料電池は、固定層が固体高分子電解質膜を強固に拘束し、電解質膜の膨潤・収縮による寸法変動を抑えるので、起動及び停止の繰り返しにより含水率が頻繁に変化しても膜−電極接合体の損傷が起こりにくく、プロトン伝導度を改善するために電解質膜を薄くすることができる。つまり、薄い電解質膜にも関わらず、起動及び停止の繰り返しにより含水率が頻繁に変化しても、膨潤・収縮による電解質膜の損傷が起こりにくいため耐久性に優れる。
さらに、カーボン材料よりも安価な多孔質金属を用いて、ガス拡散層を形成できる。
従って、耐久性に優れ、高出力であり、車両駆動用の電源又は家庭用電源として好適に使用できる固体電解質燃料電池を、安価に提供することができる。
さらに、カーボン材料よりも安価な多孔質金属を用いて、ガス拡散層を形成できる。
従って、耐久性に優れ、高出力であり、車両駆動用の電源又は家庭用電源として好適に使用できる固体電解質燃料電池を、安価に提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の片面側を模式的に示す断面図であり、その固体高分子電解質膜、触媒層、固定層及びガス拡散層を含む膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の積層構造を説明するための図である。図2は、製造工程の中間段階において、ガス拡散層として機能するシート材料上に触媒層と固定層を設けた積層体の平面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の片面側を模式的に示す断面図であり、その固体高分子電解質膜、触媒層、固定層及びガス拡散層を含む膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の積層構造を説明するための図である。図2は、製造工程の中間段階において、ガス拡散層として機能するシート材料上に触媒層と固定層を設けた積層体の平面図である。
図1に示すように、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜4の少なくとも片方の面上に、触媒層3と、その周囲を取り囲むように形成された固定層2が設けられ、さらにそれら触媒層3と固定層2を、前記固体高分子電解質膜4とで狭持するようにガス拡散層1が設けられた積層構造を有する。
固体高分子電解質膜4は、燃料ガスと酸化剤ガスとを隔離しつつ、イオン伝導性の電解質として機能するものである。固体高分子電解質膜4としては、プロトンを伝導するポリマーであれば良く、好ましくは、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及び、リン酸基のうちから一種を有するものである。また、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするものも使用可能である。含フッ素高分子としては、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロモノクロロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、1,1−ジフルオロ−2,2−ジクロロエチレン、1,1−ジフルオロ−2−クロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロピレン、オクタフルオロイソブチレン、エチレン、塩化ビニル、及びアルキルビニルエステル等の第1群モノマーと、下記一般式(1)
(式中、Yは−SO2F、−SO3NH、−COOH、−CN、−COF、−COOR(Rは炭素数1から10のアルキル基)、−PO3H2、−PO3Hであり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、cは0または1であり、ただしa+b+cは0に等しくはならない。nは0〜6であり、Xはn>1の時、Cl、Br,Fまたはそれらの混合物である。Rf及びR’fは独立に、F、Cl、1〜10個の炭素原子を有するフルオロクロロアルキル基からなる群から選択される。)で表される第2群のモノマーから選ばれた、第2群モノマーを必須成分とする2種あるいは3種以上のモノマーの共重合体、上記第2群の1種以上の共重合体などが挙げられる。特に、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンの重合体であることが好ましい。
上記重合体は、モノマーが2分子以上結合していれば良いが、耐久性の観点から、その分子量は5000以上であることが好ましい。さらに、重合体と低分子量化合物を混合して用いることにより、EWを適宜調節することも可能である。このような材料を用いた固体高分子膜はフィブリル状、繊布状、不繊布状、多孔質シートのパーフルオロカーボン重合体で補強することや、膜表面に無機酸化物あるいは金属をコーティングすることにより補強することもできる。
固体高分子電解質膜4の厚みは、10〜500μmであり、好ましくは10〜100μmである。10μm未満では十分な機械的強度が確保できないおそれがあるために適さない。一方、500μmを超えると抵抗が大きくなってしまうおそれがあり適さない。固体高分子膜のEWは、少なくとも500以上あれば良く、より好ましくは600以上である。そして、1500以下であることが好ましく、1300以下であることがより好ましい。500未満では機械的強度が低くなりすぎるおそれがあるばかりか発電時のフラッディングが著しくなりすぎるおそれがあるため、水の円滑な移動ができなくなるおそれがあり、1500を超えるとプロトン伝導性が低くなりすぎるおそれがあるために、実用に供することができないおそれがある。
図1に示す実施形態では固体高分子電解質膜4の形状は矩形であるが、形状は特に制限されるものではなく、任意の形状でよい。ただし、以下に述べる触媒層3よりも面積が大きく且つその周縁部が触媒層3の周縁部より外側になくてはならない。
本発明にいう触媒層3は、前記プロトン伝導性ポリマー、及び触媒材料、カーボンブラックなどの導電性材料から構成されるものである。触媒材料としては、燃料極、空気極において水素の酸化反応及び酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば良く、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、又はそれらの合金から選択することができる。上記触媒の粒径は10〜300Åが好ましく、さらには15〜100Åがより好ましい。10Å未満では、現実的に作製が困難であり、300Åより大きいと触媒効率が低下してしまい、燃料電池とした時に高い電池電圧は得られない。
これらの触媒粒子は、カーボンブラック等の導電性材料に担持されていても良い。導電性材料としては電子伝導性物質であれば良く、例えば炭素材料としてファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックの他、活性炭、黒鉛、又は他の材料として各種金属等も適用できるものである。触媒の担持量は、触媒層シートを形成した状態で0.01〜5mg/cm2であり、より好ましくは0.1〜1mg/cm2である。0.01mg/cm2未満では触媒の性能が有効的に発揮されず、5mg/cm2より多いとコストが非常に高くなり、しかも、性能的にも量相当分の効果が発揮されない。
プロトン伝導性ポリマーを触媒層内に分散させる方法としては、プロトン伝導性ポリマーを上記触媒層構成材料と共に混合・成形し触媒層としても良いし、予めプロトン伝導性ポリマー以外の他の構成材料を混合・成形し触媒層とした後に、プロトン伝導性ポリマーを含浸させても良い。パーフルオロスルホン酸等のプロトン伝導性ポリマーは、ポリマー自体に結着剤としての機能も有しており、触媒層内で触媒粒子、電導性粒子と充分な安定性のあるマトリックスを形成させることが可能である。また、結着剤としての機能の他に撥水性を付与させる目的から、例えばフッ素を含んだ各種樹脂を用いることも可能である。フッ素樹脂では、融点が400℃以下のものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等が挙げられる。これらのプロトン伝導性ポリマーのEWは、少なくとも500以上あれば良く、より好ましくは600以上である。そして、1500以下であることが好ましく、1300以下であることがより好ましい。500未満では機械的強度が低くなりすぎるおそれがあるばかりか発電時のフラッディングが著しくなりすぎるおそれがあるため、水の円滑な移動ができなくなるおそれがあり、1500を超えるとプロトン伝導性が低くなりすぎるおそれがあるために、実用に供することができないおそれがある。
触媒層内に分散させるプロトン伝導性ポリマーの量は、触媒担持量に対し、重量比で0.1〜10の範囲である。対触媒重量比0.1未満では、反応活性点の濃度の低下により、充分な触媒利用率が得られなくなる。一方、同重量比10以上になると、ガス拡散が阻害されるために触媒利用率が低くなり、充分な性能を引き出すことができなくなってしまう。
本実施形態では触媒層3の形状は矩形であるが、特に制限されるものではなく、任意の形状でよい。ただし、前記固体高分子電解質膜4よりも面積が小さく且つその周縁部が前記固体高分子電解質膜4の周縁部より内側になくてはならない。
本実施形態では触媒層3の形状は矩形であるが、特に制限されるものではなく、任意の形状でよい。ただし、前記固体高分子電解質膜4よりも面積が小さく且つその周縁部が前記固体高分子電解質膜4の周縁部より内側になくてはならない。
そして、本発明に係る固体高分子型燃料電池では、前記触媒層3の周囲を取り囲むように固定層2が形成されている。
固定層2は、固体高分子電解質膜4上に触媒層3の周囲を取り囲む枠状に形成され、当該電解質膜4が膨潤・収縮により寸法変動しないように拘束し、且つ、固体高分子電解質膜4と後述するガス拡散層1との間に介在し、両者を接合するものである。
図2に示すように、本実施形態の固定層2は、額縁状となっており、触媒層3をその開口部内に収めるような形で、触媒層3の外縁に沿って形成されている。
固定層2は、固体高分子電解質膜4上に触媒層3の周囲を取り囲む枠状に形成され、当該電解質膜4が膨潤・収縮により寸法変動しないように拘束し、且つ、固体高分子電解質膜4と後述するガス拡散層1との間に介在し、両者を接合するものである。
図2に示すように、本実施形態の固定層2は、額縁状となっており、触媒層3をその開口部内に収めるような形で、触媒層3の外縁に沿って形成されている。
本実施形態の固定層2は途切れた部分のない一連の額縁状であるが、必ずしも連続している必要はない。固体高分子電解質膜4に対する拘束力、及び、当該電解質膜4とガス拡散層1の間の接合強度が充分な範囲内であれば、触媒層3を取り囲んでいるが不連続部分を有する枠状の固定層を形成してもよい。例えば、図3に示す変形例のように、4個の細長い長方形の固定層12a、12b、12c、12dを組み合わせ、全体的には、これら4個の固定層12a、12b、12c、12dをそれぞれ一辺とする矩形の枠状に配置してもよい。固定層12a、12b、12c、12dの欠失部分が枠形状の全体に対して多くを占め過ぎると、固体高分子電解質膜に対する拘束力、又は、電解質膜とガス拡散層との間の接合強度が弱くなる。そのため、固定層12a、12b、12c、12dを不連続な枠状に形成する場合には、当該固定層12a、12b、12c、12dの軌道と当該軌道の延長線を結ぶことにより規定される枠全体の周回距離の大部分に固定層を敷設することが好ましい。
なお、本発明において固定層を不連続な枠状に形成する場合に、枠全体の周回距離に対する固定層の敷設率を算出するためには、枠の全体形状を規定し、枠の周回距離及び固定層を敷設した距離を測定する必要がある。この場合、枠の全体形状は、隣接する固定層の末端間を直線で結ぶことにより規定し、枠の周回距離及び固定層の敷設距離は、規定された枠の内周に沿って測定する。
図3に示した変形例では、4つの断片に分割された固定層12a、12b、12c、12dの配置により規定される触媒層13を取り囲む枠形状の長さは110×2+50×2=320mmであり、そのうち、固定層12a、12b、12c、12dが占める長さは90×2+50×2=280mmであるので、(280/320)×100=87.5%を固定層12a、12b、12c、12dが占めている。
しかしながら、図1及び図2に示した本実施形態のように、触媒層3を一連につながった固定層2で取り囲むことが、最も効果的に固体高分子電解質膜4を拘束し且つ最も強く固体高分子電解質膜4とガス拡散層1とを接合できることから最も好ましい。
固定層2によって規定される触媒層3を取り囲む領域(本実施例では開口部)と、触媒層3とは形状が異なっていてもよく、また、図3に示した変形例のように、触媒層13の周縁部とそれを取り囲む固定層12a、12b、12c、12dの内周部との間に隙間があってもよい。
しかし、図1及び図2に示した本実施形態のように、固定層2の枠形状及びその内周寸法を触媒層3の形状及び寸法と一致させて、固定層2を触媒層3の外縁に沿って形成する方が、発電に関与し電解質膜4の含水率に影響を与える触媒層3と重ね合わされた領域の固体高分子電解質膜4を強固に拘束することができる。この場合には、電解質膜4の寸法変化による触媒層3の破損、脱落を防止する効果が高い。また、この場合には、発電に関与しないスペースをむやみに生じさせないため、かかる観点からも好ましい。
固定層2によって規定される触媒層3を取り囲む領域(本実施例では開口部)と、触媒層3とは形状が異なっていてもよく、また、図3に示した変形例のように、触媒層13の周縁部とそれを取り囲む固定層12a、12b、12c、12dの内周部との間に隙間があってもよい。
しかし、図1及び図2に示した本実施形態のように、固定層2の枠形状及びその内周寸法を触媒層3の形状及び寸法と一致させて、固定層2を触媒層3の外縁に沿って形成する方が、発電に関与し電解質膜4の含水率に影響を与える触媒層3と重ね合わされた領域の固体高分子電解質膜4を強固に拘束することができる。この場合には、電解質膜4の寸法変化による触媒層3の破損、脱落を防止する効果が高い。また、この場合には、発電に関与しないスペースをむやみに生じさせないため、かかる観点からも好ましい。
固定層2は、固体高分子電解質膜4よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなっている。
ここで、本発明での膨潤度とは、得られた膜をpH7の水に25℃で24時間浸漬、膨潤させた後、体積を測定し、下記数式(1)に従い求めたものである。
ここで、本発明での膨潤度とは、得られた膜をpH7の水に25℃で24時間浸漬、膨潤させた後、体積を測定し、下記数式(1)に従い求めたものである。
水に対する膨潤度が小さい樹脂は撥水性が高く、吸湿による膨潤及び/又は乾燥による収縮が小さいため、含水率の変動に伴う寸法変動が起こりにくい。このため、水に対する膨潤度が固体高分子電解質膜4より小さい樹脂を用いて、固体高分子電解質膜4上に枠状の固定層2を形成することにより、その固体高分子電解質膜4が含水率の変動により膨潤・収縮するのを外部から拘束し、その形状を安定に保持することができる。従って、固体高分子電解質膜4の破損及びそこに積層される触媒層3等の隣接構造の破損或いは脱落を防止することができる。
固定層2を形成する樹脂としては、特に、その膨潤度が無いことが好ましい。水に対する膨潤度が無い樹脂としては、フッ素含有樹脂、ポリノルボルネン等の環状オレフィン樹脂等が挙げられ、そのなかでも、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂が好ましい。
また、固定層2を固体高分子電解質膜4に熱圧着する場合には、強固に圧着するために、前記固定層2を形成する樹脂のガラス転移点と、固体高分子電解質膜4を形成する固体高分子電解質のガラス転移点との差は小さいことが好ましい。
また、固定層2を固体高分子電解質膜4に熱圧着する場合には、強固に圧着するために、前記固定層2を形成する樹脂のガラス転移点と、固体高分子電解質膜4を形成する固体高分子電解質のガラス転移点との差は小さいことが好ましい。
このように、前記固体高分子電解質のガラス転移点との差が小さく、お互いに接合可能な樹脂としては、例えば、固体高分子電解質としてパーフルオロカーボンスルホン酸を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
固定層2の厚さは、通常5〜20μm程度であるが、特に制限されるものではなく、充分な強度を発揮する範囲で、触媒層3の厚さにあわせて決定すればよい。
固定層2の厚さは、通常5〜20μm程度であるが、特に制限されるものではなく、充分な強度を発揮する範囲で、触媒層3の厚さにあわせて決定すればよい。
ガス拡散層1は、触媒層3に燃料ガス又は酸化剤ガスを供給する経路として機能する一方、固体高分子電解質膜4で生じた水を外部に排出する経路でもある。ガス拡散層1としては、カーボンペーパーやカーボンクロス等の電気伝導性多孔質繊布・不繊布等のカーボン材料の他、多孔質金属シートが適用できる。これらのガス拡散層1を形成する材料には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含浸させることにより、必要に応じて撥水性を付与してもよい。特に、コストが安価な点で、多孔質金属を用いることが好ましい。多孔質金属は前記固定層2との熱圧着性も良好であり、固体高分子電解質膜4と多孔質金属からなるガス拡散層1を、ポリフッ化ビニリデン樹脂等からなる固定層2を介して強固に熱圧着できる点でも、カーボン材料と比べて好ましい。なお、電気伝導性多孔質繊布や不繊布又は多孔質材料の空孔率は、50%以上あれば充分な物質交換の機能を有するので好ましい。
本実施の形態では特にガス拡散層1は多孔質金属であり、図1に示したように、その面積は触媒層3よりも大きく且つそのすべての周縁部は触媒層3の周縁部の外側となっていて前記固定層2上に延在している。
図1では、ガス拡散層1の周縁部は固定層2の周縁部と同一の矩形であるが、ガス拡散層1は、その面積が触媒層3よりも大きく且つその周縁部が触媒層3の周縁部の外側となり、固体高分子電解質膜4とガス拡散層1の間に固定層2が介在する枠状の接合領域を確保できる限り、形状は任意であり、円形、楕円形などでもよい。そして、ガス拡散層1の周縁部が、固定層2の周縁部よりも内側になっていても良い。
図1では、ガス拡散層1の周縁部は固定層2の周縁部と同一の矩形であるが、ガス拡散層1は、その面積が触媒層3よりも大きく且つその周縁部が触媒層3の周縁部の外側となり、固体高分子電解質膜4とガス拡散層1の間に固定層2が介在する枠状の接合領域を確保できる限り、形状は任意であり、円形、楕円形などでもよい。そして、ガス拡散層1の周縁部が、固定層2の周縁部よりも内側になっていても良い。
ここで、本発明の多孔質金属とは、多数の空孔を有する金属成形体及び金属表面を持つ成形体を広く意味し、例えば、金属メッシュ、金属発泡体、微細な孔を多数設けられた金属等を含み、且つ、非金属の多孔質物質の表面をメッキ加工して金属表面を持たせたもの、金属繊維を非金属繊維と共に織り込んだ金属−非金属メッシュ等も含むものである。
前記多孔質金属の材質は、電気伝導性が良好なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、Al、Cu、Fe、Ni、Cr、Ta、Ti、Zr、Sm、Inの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属又はステンレス鋼などのそれらの合金が好ましく、その表面がAu、Pt、C、N、F、Hにより修飾されていても良い。又はAu、Pt、導電性樹脂等によりコーティングされていても良い。特に耐蝕性に優れることから、中でもステンレスやチタンが好ましい。また、ガス拡散層1はその表面に耐蝕性のコーティング層が被覆されていてもよい。そして、多孔質金属の全体又は触媒層3に接する部分を、例えばフッ素化するなどして撥水処理し、固体高分子電解質膜4からの水の透過度を調節してもよい。
前記多孔質金属の空孔率は、ガスや水等の物質移動の観点から50〜95%であることが好ましく、さらに60〜80%であることが好ましい。
多孔質金属からなるガス拡散層1の厚さは、使用する金属材料の材質及び空孔率、空孔の平均径等に応じて決定されるものであり、一概には規定できないが、0.1μm〜100μmの間であることが好ましい。
固体高分子電解質膜とガス拡散層の間に、触媒層と当該触媒層を取り囲む枠状の固定層を有する積層構造を、少なくとも片面側に有する膜−電極接合体/ガス拡散層複合体について次に説明する。
多孔質金属からなるガス拡散層1の厚さは、使用する金属材料の材質及び空孔率、空孔の平均径等に応じて決定されるものであり、一概には規定できないが、0.1μm〜100μmの間であることが好ましい。
固体高分子電解質膜とガス拡散層の間に、触媒層と当該触媒層を取り囲む枠状の固定層を有する積層構造を、少なくとも片面側に有する膜−電極接合体/ガス拡散層複合体について次に説明する。
図4は、固体高分子電解質膜24の片方の面のみに、第1の触媒層23と枠状の固定層22を設け、さらに前記触媒層23と固定層22を覆う第1のガス拡散層21を設けた積層構造を有する膜−電極接合体/ガス拡散層複合体20の断面図である。第1のガス拡散層21は多孔質金属により形成されている。他方の面上の第2の触媒層26及び第2のガス拡散層25は公知の材料のものを、公知の方法で積層したものが適用できる。ただし、原材料コスト及び製造時の取り扱いの容易さを考慮すると、第2のガス拡散層25も多孔質金属であることが好ましい。固定層22は固体高分子電解質膜24を強固に拘束するので、このように、片面のみに設ける場合でも充分にその効果を発揮し、固体高分子電解質膜24の含水率の変動による寸法変化を抑制でき、形状を安定に保持することができる。また、前記固定層22を介して多孔質金属からなる第1のガス拡散層21と固体高分子電解質膜24とが接合されているので、それらの接合が強固なものとなる。
図5は、固体高分子電解質膜34の片方の面に、第1の触媒層33と枠状の第1の固定層32を設け、さらに前記触媒層33と固定層32を覆う第1のガス拡散層31を設けた積層構造を有し、且つ、他方の面にも、本発明に係る第2の触媒層43と枠状の第2の固定層42を設け、さらに前記触媒層43と固定層42を覆う第2のガス拡散層41を設けた積層構造を有する膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30の断面図である。このように、固体高分子電解質膜34上に固定層32、42を設けたので、その固体高分子電解質膜34は、固定層32、42により、両面から強固に拘束される。従って、固体高分子電解質膜34の含水量の変動による寸法変化をより効果的に抑制することができ、形状を安定に保たせることができる。
なお、本発明の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体は、上述した各種の機能層以外にも任意の層を有していても良い。
例えば、前記触媒層と前記ガス拡散層の間に、マイクロポーラス層を形成することで触媒層とガス拡散層の間の水透過性及び/又はガス透過性をコントロールすることができる。また、前記触媒層と前記ガス拡散層の間に、保水性に優れた保水層を設けることで、膜−電極接合体の乾燥を防ぐことができる。さらに、前記保湿層と前記電解質膜及び/又は前記触媒層の間に、それらの接合を強固にするための接合層を設けてもよい。
例えば、前記触媒層と前記ガス拡散層の間に、マイクロポーラス層を形成することで触媒層とガス拡散層の間の水透過性及び/又はガス透過性をコントロールすることができる。また、前記触媒層と前記ガス拡散層の間に、保水性に優れた保水層を設けることで、膜−電極接合体の乾燥を防ぐことができる。さらに、前記保湿層と前記電解質膜及び/又は前記触媒層の間に、それらの接合を強固にするための接合層を設けてもよい。
次に、図5に示した膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30について、その製造方法を説明する。図4に示した膜−電極接合体/ガス拡散層複合体20の製造については、片面が公知の触媒層26/ガス拡散層25である以外は図5の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30と同様の構成であり、その製造方法も同様なので説明を省略する。
まず、1組のシート状(フィルム状を含む)の多孔質金属(ガス拡散層用シート)31、41上に、あらかじめ所定の形状に加工された固定層形成用樹脂膜を熱圧着により接合する。
こうして設けたそれぞれの固定層32、42で規定される領域(本実施形態では開口部)に対応する寸法・形状の触媒層33、43を、一般的に知られている各種方法でプラスチックシート上に設け、次に固体高分子電解質膜34上に転写する。
まず、1組のシート状(フィルム状を含む)の多孔質金属(ガス拡散層用シート)31、41上に、あらかじめ所定の形状に加工された固定層形成用樹脂膜を熱圧着により接合する。
こうして設けたそれぞれの固定層32、42で規定される領域(本実施形態では開口部)に対応する寸法・形状の触媒層33、43を、一般的に知られている各種方法でプラスチックシート上に設け、次に固体高分子電解質膜34上に転写する。
具体的には、例えば、噴霧法、転写法、スクリーン印刷法、ローリング法等により作製が可能である。エタノール等の低級アルコールを主成分とする溶媒に溶解させたプロトン電導性ポリマー、触媒、導電性材料、及び/又は撥水性ポリマーからなる触媒分散液を充分撹拌した後、例えば転写法では、PTFEのような平滑なシート上に、ある形状の面積に触媒分散液を塗布・乾燥することにより触媒層を形成させる。このとき、少なくとも2種類以上のプロトン伝導性ポリマーを、予め係る触媒分散液に順次あるいは同時に投入し、2種類以上のプロトン伝導性ポリマーが均一に分散された触媒層としてもよい。また、別の形態としては、前記触媒層を繰り返し重ねて形成することにより、各々異なるプロトン伝導性ポリマーの1種類以上を分散させた複数の触媒層を積層した多層構造触媒層としてもよく、あるいは、プロトン伝導性ポリマーのEWを空気極と燃料極で傾斜させることや、面内で傾斜させてもよい。さらには、触媒層を固体高分子電解質膜に直接触媒分散液を塗布して形成する方法で作製してもよく、また、これらの方法の組み合わせなどによって作製することとしてもよく、様々な形態をとり得るものであり、上記の例示範囲に制限されるものではない。
本実施形態では、アノード側の触媒層33に白金担持カーボンと固体高分子電解質膜材料との複合材料を、カソード側の触媒層43に白金-ルテニウム合金を担持させたカーボンと固体高分子電解質膜材料との複合材料を用いた。
次に、固体高分子電解質膜34の両面に対して、触媒層33,43を形成させたプラスチックシートの触媒層面を電解質膜側にして重ね合わせ、加温・加熱下、触媒層を固体高分子電解質膜34に接合させる。係る接合時の圧力、温度は、固体高分子電解質膜、プロトン伝導性ポリマー、触媒、導電性材料の間に相互に充分な密着性が付加される条件から選択されるものである。特にパーフルオロスルホン酸ポリマーを固体高分子電解質膜として用いる場合、接合温度はそのガラス転移温度以上であれば良く、好ましくは120〜200℃である。
次に、固体高分子電解質膜34の両面に対して、触媒層33,43を形成させたプラスチックシートの触媒層面を電解質膜側にして重ね合わせ、加温・加熱下、触媒層を固体高分子電解質膜34に接合させる。係る接合時の圧力、温度は、固体高分子電解質膜、プロトン伝導性ポリマー、触媒、導電性材料の間に相互に充分な密着性が付加される条件から選択されるものである。特にパーフルオロスルホン酸ポリマーを固体高分子電解質膜として用いる場合、接合温度はそのガラス転移温度以上であれば良く、好ましくは120〜200℃である。
本実施の形態では、得られた1組のガス拡散層31(41)及び枠状の固定層32(42)からなる中間積層体を用い、それらの固定層32(42)側を内側にし、それらの間に触媒層33(43)を設けた固体高分子電解質膜34を挟んで、熱圧着することで膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を作製する。本実施形態では、固定層32、42を形成する樹脂のガラス転移点と、固体高分子電解質膜34のガラス転移点との差を100℃以内とすることによって、熱圧着時に前記固定層32、42と前記固体高分子電解質膜34の両方が軟化し、結果として強い接合を形成することができている。
このようにして、図5に示した膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造できる。
このようにして、図5に示した膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造できる。
また、1組のシート状の多孔質金属31、41上に、固定層形成用樹脂膜を熱圧着により接合し、その固定層32、42で規定される領域(本実施形態では開口部)内に触媒層33、43を設けた中間積層体を準備し、それらの触媒層33(43)及び固定層32(42)側を内側にして対向させ、それらの間に固体高分子電解質膜34を挟んで、熱圧着することで膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造してもよい。
以上のように、多孔質金属からなるガス拡散層用シート上に枠状の固定層32、42を熱圧着し、ガス拡散層用シート上の固定層32、42の枠内か又は電解質膜34上の固定層の枠内に相当する領域に触媒層33、43を形成し、電解質膜34とガス拡散層31、41の間に固定層32、42と触媒層33、43が位置するように、ガス拡散層用シートと電解質膜34を重ね合わせて熱圧着することにより、安価な多孔質金属からなるガス拡散層31、41を固体高分子電解質膜34へ強固に接合することができる。
また、ガス拡散層31、41と固体高分子電解質膜34を樹脂からなる固定層32、42を介して接合することによって、硬い多孔質金属からなるガス拡散層用シート31、41によって電解質膜34を傷つけてしまう可能性を減らすことができる。
また、固体高分子電解質膜34の両方の面上にそれぞれ触媒層33、43を設けて中間積層体を形成し、次に1組の固定層形成用樹脂膜をそれぞれ触媒層33、43の周縁部を取り囲むように位置合わせして重ね合わせ、その状態を保ちながら、その重ね合わせた両側を1組のガス拡散層用シート31、41で狭持して、最後に熱圧着してアノード及びカソードを形成し、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造してもよい。この場合、一度の熱圧着で膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を作製することができる。
また、固体高分子電解質膜34の両方の面上にそれぞれ触媒層33、43を設けて中間積層体を形成し、次に1組の固定層形成用樹脂膜をそれぞれ触媒層33、43の周縁部を取り囲むように位置合わせして重ね合わせ、その状態を保ちながら、その重ね合わせた両側を1組のガス拡散層用シート31、41で狭持して、最後に熱圧着してアノード及びカソードを形成し、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造してもよい。この場合、一度の熱圧着で膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を作製することができる。
そして、両側のガス拡散層用シート31、41上に先ず触媒層33、43を設けて1組の中間積層体を形成し、次に1組の固定層形成用樹脂膜をそれぞれ触媒層33、43の周縁部を取り囲むように位置合わせして配置し、さらに、両中間積層体のそれぞれの触媒層33、43側を内側にして固体高分子電解質膜34を狭持して、最後に熱圧着してアノード及びカソードを形成し、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体30を製造してもよい。
このように、先に固体高分子電解質膜34上に枠状の固定層32、42を設け、次にガス拡散層用シート31、41と熱圧着してもよいし、固体高分子電解質膜34とガス拡散層用シート31、41の間に固定層形成用樹脂膜を挟んで熱圧着してもよいが、一般に、固体高分子電解質膜34よりも多孔質金属からなるガス拡散層用シート31、41の方が、熱、湿度及び力学的ストレスによる寸法安定性に優れ、且つ、破れる心配が少ないなど製造時の取り扱いが容易であるので、上記に示したように、ガス拡散層用シート31、41上に先に固定層32、42を設け、最後に固体高分子電解質膜34と熱圧着により接合する方がより好ましい。
このように、先に固体高分子電解質膜34上に枠状の固定層32、42を設け、次にガス拡散層用シート31、41と熱圧着してもよいし、固体高分子電解質膜34とガス拡散層用シート31、41の間に固定層形成用樹脂膜を挟んで熱圧着してもよいが、一般に、固体高分子電解質膜34よりも多孔質金属からなるガス拡散層用シート31、41の方が、熱、湿度及び力学的ストレスによる寸法安定性に優れ、且つ、破れる心配が少ないなど製造時の取り扱いが容易であるので、上記に示したように、ガス拡散層用シート31、41上に先に固定層32、42を設け、最後に固体高分子電解質膜34と熱圧着により接合する方がより好ましい。
以上のように、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、固定層が固体高分子電解質膜を強固に拘束し、電解質膜の膨潤・収縮による寸法変動を抑えるので、起動及び停止の繰り返しにより含水率が頻繁に変化しても膜−電極接合体の損傷が起こりにくく、プロトン伝導度を改善するために電解質膜を薄くすることができる。
さらに、カーボン材料よりも安価な多孔質金属を用いて、熱圧着工程によってガス拡散層を形成できる。
さらに、カーボン材料よりも安価な多孔質金属を用いて、熱圧着工程によってガス拡散層を形成できる。
従って、耐久性に優れ、高出力であり、車両駆動用の電源又は家庭用電源として好適に使用できる固体電解質燃料電池を、安価に提供することができる。
なお、以上の実施の形態では、ガス拡散層用シートとして多孔質金属シートを使用した例を示したが、カーボンペーパーやカーボンクロス等の電気電導性多孔質繊布・不繊布又を用いることもできる。カーボンペーパーやカーボンクロスには、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含浸させることにより、必要に応じて撥水性を付与することが容易であり、得られるガス拡散層のガス拡散性を制御しやすいという利点がある。
なお、以上の実施の形態では、ガス拡散層用シートとして多孔質金属シートを使用した例を示したが、カーボンペーパーやカーボンクロス等の電気電導性多孔質繊布・不繊布又を用いることもできる。カーボンペーパーやカーボンクロスには、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含浸させることにより、必要に応じて撥水性を付与することが容易であり、得られるガス拡散層のガス拡散性を制御しやすいという利点がある。
(実施例)
40重量%の白金触媒担持カーボンに、プロトンタイプパーフルオロスルホン酸ポリマー樹脂の5重量%溶液を、白金触媒とポリマーとの重量比が2対1となるように添加し、均一に分散させてインクを調整した。このインクをドクターブレード法によりポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布した後、N2雰囲気中100℃で乾燥・固定化し、白金担持量0.2mg/cm2のカソード触媒シートを得た。アノード触媒シートも同様な手順で作製した。これらカソード、アノード触媒シートを向かい合わせ、その間に、EWが1100、厚みが50μmのパーフルオロスルホン酸膜をはさみ、150℃、圧力50kg/cm2でホットプレスした後、両面のポリテトラフルオロエチレンシートを剥がし、膜−電極接合体を作製した。
40重量%の白金触媒担持カーボンに、プロトンタイプパーフルオロスルホン酸ポリマー樹脂の5重量%溶液を、白金触媒とポリマーとの重量比が2対1となるように添加し、均一に分散させてインクを調整した。このインクをドクターブレード法によりポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布した後、N2雰囲気中100℃で乾燥・固定化し、白金担持量0.2mg/cm2のカソード触媒シートを得た。アノード触媒シートも同様な手順で作製した。これらカソード、アノード触媒シートを向かい合わせ、その間に、EWが1100、厚みが50μmのパーフルオロスルホン酸膜をはさみ、150℃、圧力50kg/cm2でホットプレスした後、両面のポリテトラフルオロエチレンシートを剥がし、膜−電極接合体を作製した。
次に、SUS316L製金属多孔質体(厚さ:300μm、空孔率:70%)からなり、表面にAuめっきによる処理を施した、前記膜−電極接合体の外形と同寸法かつ同形状の外形の多孔質金属シートと、ポリフッ化ビニリデンからなり、その中央部に前記触媒層がちょうど入る開口部(36.5mm×36.5mm)を有し、その外形が前記多孔質金属シートと同寸法かつ同形状である額縁状の固定層形成用樹脂と、を重ね合わせ、160℃で10分間ホットプレスすることで接合し、ガス拡散層−固定層シートを作製した。
さらに、PTFEとカーボンブラックをそれぞれ30wt%と70wt%になるように混錬し、厚さ30μmのシート状にしたものを前記触媒層及び前記開口部と同寸法かつ同形状に切り出し、マイクロポーラス層シートとした。
2枚の上記マイクロポーラス層シートを、上記膜−電極接合体の両面の触媒層上にそれぞれ重ね合わせ、さらにその両側からガス拡散層−固定層シートを、その固定層の開口部内にちょうど前記触媒層及びマイクロポーラス層が位置するように重ね合わせ、160℃で20分間ホットプレスし、膜−電極接合体・固定層/マイクロポーラス層・固定層/拡散層で表される層構造を持つ本実施例の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を作製した。
2枚の上記マイクロポーラス層シートを、上記膜−電極接合体の両面の触媒層上にそれぞれ重ね合わせ、さらにその両側からガス拡散層−固定層シートを、その固定層の開口部内にちょうど前記触媒層及びマイクロポーラス層が位置するように重ね合わせ、160℃で20分間ホットプレスし、膜−電極接合体・固定層/マイクロポーラス層・固定層/拡散層で表される層構造を持つ本実施例の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を作製した。
なお、燃料電池の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体としての評価を行う際には、セパレータとして一面にガス流路となる溝を設けたカーボンシートを2枚用意し、それらの溝を設けた面を、前記膜−電極接合体の両面にそれぞれ向けた状態で重ね合わせ、圧力をかけた状態ではさみこんでそのまま固定具で固定し、本実施例の単セルを作製した。
(比較例)
固定層を設けなかったこと以外は、上記実施例の単セルの作製手順とほぼ同様の手順を行って、膜・電極接合体/マイクロポーラス層/拡散層で表される層構造を持つ比較例の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を作製し、実施例で用いたセパレータと同じセパレータを用いて実施例と同様にはさみこんで固定することで、比較例の単セルを作製した。
固定層を設けなかったこと以外は、上記実施例の単セルの作製手順とほぼ同様の手順を行って、膜・電極接合体/マイクロポーラス層/拡散層で表される層構造を持つ比較例の膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を作製し、実施例で用いたセパレータと同じセパレータを用いて実施例と同様にはさみこんで固定することで、比較例の単セルを作製した。
(封圧変化量の測定)
上記単セルを使用し、燃料に水素ガス、酸化剤に空気ガスを用い、それらのガスの供給と停止を繰り返すことにより、単セルのON−OFF耐久試験を行った。実施例及び比較例の評価では、ON(0.1A/cm2)−OFF(OCV)耐久試験において、燃料極入口圧力100kPa/空気極50kPaと設定した時のクロスリークの程度を封圧変化量として測定した。結果を図6に示す。実施例の単セルは比較例のものに比べおよそ1.5倍程度本評価における耐久性において優れていた。
上記単セルを使用し、燃料に水素ガス、酸化剤に空気ガスを用い、それらのガスの供給と停止を繰り返すことにより、単セルのON−OFF耐久試験を行った。実施例及び比較例の評価では、ON(0.1A/cm2)−OFF(OCV)耐久試験において、燃料極入口圧力100kPa/空気極50kPaと設定した時のクロスリークの程度を封圧変化量として測定した。結果を図6に示す。実施例の単セルは比較例のものに比べおよそ1.5倍程度本評価における耐久性において優れていた。
1…ガス拡散層
2…固定層
3…触媒層
4…固体高分子電解質膜
11…ガス拡散層として機能するシート材料
12a、12b、12c、12d…固定層
13…触媒層
20…膜−電極接合体/ガス拡散層複合体
21…第1のガス拡散層
22…固定層
23…第1の触媒層
24…固体高分子電解質膜
25…第2のガス拡散層
26…第2の触媒層
30…膜−電極接合体/ガス拡散層複合体
31…第1のガス拡散層
32…第1の固定層
33…第1の触媒層
34…固体高分子電解質膜
41…第2のガス拡散層
42…第2の固定層
43…第2の触媒層
2…固定層
3…触媒層
4…固体高分子電解質膜
11…ガス拡散層として機能するシート材料
12a、12b、12c、12d…固定層
13…触媒層
20…膜−電極接合体/ガス拡散層複合体
21…第1のガス拡散層
22…固定層
23…第1の触媒層
24…固体高分子電解質膜
25…第2のガス拡散層
26…第2の触媒層
30…膜−電極接合体/ガス拡散層複合体
31…第1のガス拡散層
32…第1の固定層
33…第1の触媒層
34…固体高分子電解質膜
41…第2のガス拡散層
42…第2の固定層
43…第2の触媒層
Claims (10)
- 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体を有する固体高分子型燃料電池であって、少なくとも一方の触媒層は、当該触媒層よりも面積の大きい固体高分子電解質膜及びガス拡散層によって狭持され、当該触媒層の周縁部は、固体高分子電解質膜及びガス拡散層の周縁部の内側にあり、当該固体高分子電解質膜と当該ガス拡散層は、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ触媒層を取り囲むように形成された固定層を介して接合されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
- 前記固定層が、触媒層の外縁に沿って形成されている、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
- アノード側及びカソード側の両極に前記固定層が形成されている、請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記固定層を形成している樹脂のガラス転移点と、前記固体高分子電解質膜のガラス転移点が200℃以下である、請求項1乃至3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記樹脂がフッ素樹脂である、請求項1乃至4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記フッ素含有樹脂がポリフッ化ビニリデンである、請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記ガス拡散層が多孔質基材からなる、請求項1乃至6のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記多孔質基材が金属からなる、請求項1乃至7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
ガス拡散層として機能するシートまたはフィルム上に、触媒層、及び、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる中間積層体を準備し、当該中間積層体を固体高分子電解質膜上に圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。 - 固体高分子電解質膜のアノード側及びカソード側に触媒層とガス拡散層をこの順序で備える膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法であって、
固体高分子電解質膜上に、触媒層を形成してなる第一中間積層体を準備し、
ガス拡散層として機能するシートまたはフィルム上に、固体高分子電解質膜よりも水に対する膨潤度が小さい樹脂からなり且つ前記触媒層と重ね合わせた時に触媒層の周縁部を取り囲む固定層を形成してなる第二中間積層体を準備し、
前記第一中間積層体と第二中間積層体を、前記触媒層の外縁を前記固定層が取り囲むように位置合わせして圧着することによりアノード及び/又はカソードを形成することを特徴とする、膜−電極接合体/ガス拡散層複合体の製造方法。
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