JP2000058072A - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池

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JP2000058072A
JP2000058072A JP10227102A JP22710298A JP2000058072A JP 2000058072 A JP2000058072 A JP 2000058072A JP 10227102 A JP10227102 A JP 10227102A JP 22710298 A JP22710298 A JP 22710298A JP 2000058072 A JP2000058072 A JP 2000058072A
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Masahiko Asaoka
賢彦 朝岡
Satoru Kosaka
悟 小坂
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 拡散層を薄くした場合であっても、触媒層全
体に反応ガス等の物質や電子を効率よく供給することが
でき、また、電池内に生ずる温度ばらつきが小さく、し
かもガス拡散電極と集電体との電気的接触が確実に得ら
れる燃料電池を提供すること。 【解決手段】 金属メッシュ又は金属多孔体からなる拡
散層36bの片面に炭素粉を含む撥水化層36cを形成
し、さらに撥水化層36c側に電極触媒を含む触媒層3
6aを形成してガス拡散電極36とし、このガス拡散電
極36を電解質膜34の両面に接合して、電極・電解質
接合体32とした。さらに、この電極・電解質接合体3
2を両面から集電体38で挟んで固体高分子型燃料電池
30とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池に関し、
さらに詳しくは、固体高分子電解質膜の両面に設けられ
るガス拡散電極の拡散層として、金属メッシュもしくは
金属多孔体を用いることにより、ガス拡散電極を薄層化
し、高出力、高エネルギー効率が得られるようにした燃
料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は、電解質として
固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)
を用いる燃料電池であり、出力密度が高いこと、構造が
単純であること、動作温度が比較的低いこと、静粛性が
あること、等の特徴を有していることから、従来から宇
宙開発用あるいは軍用の電源として用いられている。ま
た、燃料電池は、水素を燃料として用いた場合には、本
質的には窒素酸化物及び炭酸ガスを排出しないことか
ら、近年では、自動車用の低公害動力源としても注目さ
れているものである。
【0003】図11に、固体高分子型燃料電池の基本構
造の一例を示す。図11において、固体高分子型燃料電
池1の発電単位となる単電池2は、電解質膜12の一方
の面にガス拡散電極(燃料極)14を接合し、他方の面
にガス拡散電極(空気極)16(図11中には、図示せ
ず)を接合した電極・電解質接合体10を、集電体1
8、18で挟んだ構造をとっている。
【0004】電解質膜12には、一般に、ナフィオン
(登録商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフ
ルオロスルホン酸膜に代表される、厚さ50〜200μ
mのフッ素系電解質膜が用いられている。
【0005】また、ガス拡散電極14、16は、図12
に示すように、白金等の電極触媒を担持させたカーボン
粒子と電解質からなる多孔質、かつ疎水性の触媒層14
a、16aと、ガスが拡散可能な多孔質材料からなる拡
散層14b、16bの2層からなっている。
【0006】さらに、集電体18、18は、集電性能が
高く、酸化水蒸気雰囲気下でも安定な緻密質のグラファ
イトが一般に用いられ、耐酸化性の表面処理を施したス
テンレス鋼やアルミニウムなどの金属を用いることもで
きる。また、集電体18、18には、ガス拡散電極1
4、16に電子を供給するための山部18aと、ガスや
水などの物質を供給するための溝部18bが設けられて
いる。
【0007】そして、図11に示す単電池2を多数積層
して所定の圧力で締め付け、ガス拡散電極(燃料極)1
4及びガス拡散電極(空気極)16(図11中には図示
せず)と、集電体18、18の表面に設けられた山部1
8a、18a…とを接触させることにより、1つの固体
高分子型燃料電池1が構成される。
【0008】このような構造を有する固体高分子型燃料
電池1の両端に負荷を接続した状態で、ガス拡散電極1
4(燃料極)側に改質ガス等の水素を含むガスを流し、
ガス拡散電極16(空気極)側に空気等の酸素を含むガ
スを流すと、水素と酸素から水が生成し、その際の自由
エネルギー変化が、固体高分子型燃料電池1の両端に配
した集電体18、18から直接、電気エネルギーとして
取り出されるものである。
【0009】固体高分子型燃料電池1内で発電が行われ
る際、ガス拡散電極14、16では、周知のように、次
のような電極反応が生じている。すなわち、燃料極14
側では、集電体18の溝部18bに供給された水素ガス
が、拡散層14bを通って触媒層14aに達する。そし
て、触媒層14aにおいて、水素ガスが解離し、水素イ
オンと電子が生成する。
【0010】また、空気極16側では、図13に示すよ
うに、電解質膜12を介して燃料極14側から移動して
きた水素イオンが空気極16側の触媒層16aに達する
と共に、集電体18の山部18aから供給される電子
と、空気極16側に設けられた集電体18の溝部18b
から供給される酸素ガスが、それぞれ拡散層16bを通
って触媒層16aに達する。そして、触媒層16aにお
いて、水素イオンと、電子と、酸素ガスから水が生成す
る。また、電極反応により生成した水は、拡散層16b
を通って、集電体18側に排出される。
【0011】さらに、強酸基を有するパーフルオロ系の
電解質膜12は、導電性を発現するには水を必要とする
が、集電体18の溝部18b内に乾燥した反応ガスを流
し続けると、電解質膜12が乾燥し、導電性が低下す
る。また、水素イオンが燃料極14側から空気極16側
に移動する際に水分子も同時に移動するため、燃料極1
4側は、特に乾燥しやすくなっている。そのため、反応
ガスを加湿し、反応ガス中に含まれる水蒸気により、電
解質膜12に水を供給することが一般に行われている。
【0012】このように、ガス拡散電極14、16に設
けられる拡散層14b、16bは、触媒層14a、16
aで進行する電極反応に必要な物質(反応ガス、水)の
通り道であると同時に、電子の通り道としての役割を担
っている。すなわち、拡散層14b、16bには、集電
体18、18からそれぞれ別個に供給されるガスや水な
どの物質と電子とを分散させ、触媒層14a、16a全
面に行き渡らせることにより、発電反応を促進させる機
能が求められる。
【0013】そのため、拡散層14b、16bには、一
般に、反応ガスや生成ガス、水等の物質の拡散性と、電
子の伝導性とを両立させることが可能な材料が用いられ
ている。具体的には、カーボンペーパー、カーボンクロ
ス、あるいはカーボン粉末をポリテトラフルオロエチレ
ンなどの高分子バインダと共にシート状に成形したもの
等、通気性を有する多孔質の炭素系材料が用いられてい
る。(例えば、米国特許第4,847,173号、同
3,899,354号、同3,912,538号等参
照)。
【0014】また特開平10−55805号公報には、
金属製網状三次元材料を集電装置とした燃料電池が開示
されている。ここでは、集電装置としての金属多孔体、
金属メッシュをガス拡散電極に押し当てて燃料電池を構
成しており、集電装置の他にガス拡散電極を備えてい
る。この場合、ガスや水の拡散は、もっとも多孔度の低
いガス拡散電極で決まり、ガス拡散電極のガス透過性や
電気伝導性、熱伝導性が低いと、電池全体としてのガス
拡散性や電気伝導性、熱伝導性がやはり低下する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料電池の
出力と、エネルギー効率のさらなる向上のためには、拡
散層を通して反応物質(燃料、酸素、水)がより迅速に
効率よく触媒層に供給あるいは排出される必要がある。
そのためには、拡散層の厚さを薄くして、物質や電子の
移動距離を短くする方法が有効と考えられる。
【0016】しかしながら、本願発明者らによる実験に
よれば、拡散層として、従来から用いられている多孔質
の炭素系材料を用いた場合には、拡散層の厚さをある程
度以上薄くすると、かえって燃料電池の出力及びエネル
ギー効率が低下するという結果が得られている。
【0017】また、燃料電池においては、燃料が本来持
つエネルギーの内、電気エネルギーとして取り出せない
部分が非効率分として熱にかわる。触媒層、あるいは電
解質膜で発生した熱により電池内の温度ばらつきが生じ
ると、燃料電池の出力低下の原因となる。従って、高出
力の燃料電池を得るためには、発生した熱を効率よく外
部に放散させる必要がある。
【0018】しかしながら、従来のカーボンクロス、カ
ーボンペーパあるいはカーボン粉末のような炭素系材料
からなる拡散層は、熱伝導特性が不十分であり、触媒層
や電解質膜で発生する熱を効率よく外部へ放散させるこ
とができなかった。
【0019】さらに、集電体の材料として従来用いられ
てきたグラファイトに代わって、コスト面で有利な金属
が採用される動きが広がっている。しかしながら、集電
体が金属製となった場合、従来の炭素系材料からなる拡
散層では、ガス拡散電極と集電体との間の電気的な接触
抵抗が大きくなり、燃料電池の出力が低下するという問
題がある。
【0020】本発明が解決しようとする課題は、拡散層
を薄くした場合であっても、触媒層全体に反応ガスや水
等の物質及び電子を効率よく供給することができ、高出
力及び高エネルギー効率が得られる燃料電池を提供する
ことにある。
【0021】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、拡散層の熱伝導特性を改善することにより、電池内
に生ずる温度のばらつきを小さくし、高出力が得られる
燃料電池を提供することにある。
【0022】さらに、本発明が解決しようとする他の課
題は、ガス拡散電極と金属製の集電体との間の電気的接
触を確実にし、接触抵抗を低減することにより、高出力
が得られる燃料電池を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、電解質と、該電解質の両面に接合された一
対のガス拡散電極と、該ガス拡散電極が接合された前記
電解質を挟持する集電体とを備えた燃料電池において、
前記ガス拡散電極は、前記電解質側に設けられた電極触
媒を含む触媒層と、前記集電体側に設けられた金属メッ
シュ又は金属多孔体からなる拡散層とを備えていること
を要旨とするものである。
【0024】上記構成を有する本発明に係る燃料電池
は、拡散層として金属メッシュ又は金属多孔体を用いて
いるので、拡散層の導電率は、従来の炭素系材料からな
る拡散層の導電率に比較して3桁〜6桁高くなる。
【0025】そのため、拡散層の開口率あるいは多孔率
を高くした場合であっても、拡散層の導電率を大きく低
下させることがない。また、拡散層を薄くした場合であ
っても、物質の拡散性及び電子の伝導性は、電極面に垂
直な方向のみならず、電極面に平行な方向でも確保され
る。これにより、触媒層への反応ガス、水等の物質と、
電子の供給が容易となり、燃料電池の出力とエネルギー
効率が向上する。
【0026】また、金属メッシュもしくは金属多孔体
は、熱伝導率が高いので、触媒層や電解質膜で発生した
熱を、効率よく外部へ放散させることができる。そのた
め、電池内に温度ばらつきが小さくなり、燃料電池の出
力が向上する。
【0027】ここで、金属メッシュ又は金属多孔体から
なる前記拡散層は、前記触媒層と接する面に、炭素粉を
含む薄層が付与されていることが好ましい。金属メッシ
ュや金属多孔体からなる拡散層の面の内、触媒層と接す
る面に、炭素粉を含む薄層が付与されると、触媒層と拡
散層との間の電気的接触が改善されるので、出力がさら
に向上する。また、触媒層に含まれる電解質と拡散層が
直接、接触しなくなるので、拡散層の腐食、不働態化に
よる劣化が抑制される。
【0028】また、前記拡散層は、その表面に耐食性及
び耐不働態化性の機能を有するコーティング層が被覆さ
れていることが望ましい。拡散層の表面に耐食性、耐不
働態化性のコーティング層が被覆されると、拡散層の腐
食や不働態化による劣化がおきにくくなるので、拡散層
と集電体との接触抵抗の増加が抑制され、燃料電池の出
力がさらに向上する。
【0029】さらに、前記集電体が金属製の集電体であ
る場合には、金属メッシュもしくは金属多孔体からなる
前記拡散層は、前記集電体に直接接合されていてもよ
い。金属メッシュ又は金属多孔体からなる拡散層と金属
製の集電体とを直接接合すれば、両者の電気的な接触が
確実なものとなり、燃料電池の出力がさらに向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る
固体高分子型燃料電池30の内、一方のガス拡散電極
(空気極)36側の拡大断面図を示したものである。
【0031】図1において、固体高分子型燃料電池30
は、電解質膜34と、電解質膜34の一方の面に接合さ
れた空気極36と、電解質膜34の他方の面に接合され
た燃料極(図示せず)と、空気極36及び図示しない燃
料極が接合された電解質膜34(以下、これを「電極・
電解質接合体32」という)を両面から挟持する集電体
38とを備えている。
【0032】電解質膜34としては、プロトン伝導性を
有する各種の電解質膜を用いることができ、特に限定さ
れるものではない。一般的には、パーフルオロスルホン
酸膜に代表される、厚さ50〜200μmのフッ素系電
解質膜が用いられる。
【0033】パーフルオロスルホン酸膜は、電解質基と
してスルホン酸基を有するパーフルオロビニルエーテル
とテトラフルオロエチレンとの共重合体であり、高いプ
ロトン伝導性を有し、しかも耐酸化性に優れていること
から、固体高分子型燃料電池用の電解質膜として賞用さ
れているものである。
【0034】空気極36は、触媒層36aと、拡散層3
6bと、撥水化層36cとを備えている。触媒層36a
は、電極反応の場となる部分であり、白金等の電極触媒
を担持させたカーボン粒子と、パーフルオロスルホン酸
ポリマー等の電解質からなる多孔質かつ疎水性を有する
層である。
【0035】拡散層36bは、電極反応に必要な反応ガ
スや水等の物質と、電子とを触媒層36aに供給する役
割を有するものであり、本発明では、金属メッシュ又は
金属多孔体が用いられる。そのため、拡散層36bは、
多数の開口部36dを備えており、開口部36dによ
り、集電体38側と触媒層36a側とを連通させるよう
になっている。
【0036】拡散層36bの基材となる金属メッシュ又
は金属多孔体の材質は、電気伝導性及び熱伝導性が良好
なものであれば特に限定されるものではない。具体的に
は、Al、Cu、Fe、ステンレス鋼等からなる金属メ
ッシュ又は金属多孔体が好適な一例として挙げられる。
【0037】また、拡散層36bは、その表面に耐食
性、耐不働態化性のコーティング層が被覆されていても
良い。拡散層36bに耐食性、耐不働態化性のコーティ
ング層を被覆すると、拡散層36bが、腐食や不働態化
により劣化しにくくなるという利点がある。具体的に
は、酸化水蒸気雰囲気下でも安定なSn又はSn合金か
らなるコーティング層が好適な一例として挙げられる。
【0038】拡散層36bの厚さは、1μm〜500μ
mが好適であり、さらに好ましくは、10μm〜200
μmである。拡散層36bの厚さが厚すぎると、電極面
に垂直な方向(図1のy方向)の物質の拡散距離が長く
なり、出力やエネルギー効率が低下するので、好ましく
ない。
【0039】また、電極・電解質接合体32と集電体3
8とを多数積層して固体高分子型燃料電池30を構成し
た場合、拡散層36bの厚さが厚すぎると、コンパクト
化という観点からも好ましくない。
【0040】一方、拡散層36bの厚さが薄すぎると、
拡散層36bの断面積が小さくなり、電極面に平行な方
向(図1のx方向)の物質移動や電子伝導に対する抵抗
が大きくなるので、好ましくない。
【0041】拡散層36bに備えられる開口部36dの
開口径は、1mm以下が好適であり、さらに好ましくは
500μm以下である。開口径が大きすぎると、開口部
36dの直下にある触媒層36aへの電子の供給が不十
分となり、出力及びエネルギー効率が低下するので、好
ましくない。なお、「開口径」とは、拡散層36bとし
て金属メッシュを用いる場合は、「目の開き」をいい、
金属多孔体を用いる場合は、「平均孔径」をいう。
【0042】さらに、拡散層36bに用いられる金属メ
ッシュの開口率又は金属多孔体の多孔率は、10%以上
が好適であり、さらに好ましくは20%以上である。開
口率又は多孔率が小さすぎると、反応ガスや水の拡散性
が低下し、出力の低下をもたらすので、好ましくない。
なお、開口率又は多孔率は、形状が維持でき、しかも、
開口径が上述の範囲に収まる限り、大きい程良い。
【0043】撥水化層36cは、炭素を含む多孔質、か
つ疎水性の薄層からなり、触媒層36aと拡散層36b
の間に設けられる。具体的には、カーボン粒子とポリテ
トラフルオロエチレン(以下、これを「PTFE」とい
う)粒子からなる多孔質の薄層が好適な一例として挙げ
られる。
【0044】撥水化層36cは、必ずしも必要なもので
はないが、触媒層36aと拡散層36bの間に撥水化層
36cを設けると、拡散層36bの開口部36dが炭素
を含む撥水化層36cで埋められるので、触媒層36a
と拡散層36bの電気的接触が改善され、開口部36d
の真下に位置する触媒層36aへの電子の供給が容易に
なるという利点がある。
【0045】また、撥水化層36cを設けると、拡散層
36bと触媒層36aに含まれる電解質とが直接接触し
なくなるので、拡散層36bの腐食や不働態化による劣
化がおきにくくなるという利点がある。
【0046】なお、電解質膜34の他方の面に接合され
ている燃料極は、図示はしないが、空気極36と同様の
構成を有しており、電極触媒を含む触媒層と、金属メッ
シュ又は金属多孔体からなる拡散層の間に、炭素粉を含
む撥水化層が設けられた構造を有している。
【0047】集電体38は、拡散層36bに、電極反応
に必要な電子と反応ガスを供給するためのものである。
集電体38には、ガス流方向に沿って、山部38aと溝
部38bが設けられ、山部38aを拡散層36bに押し
付けることにより、電極・電解質接合体32を集電体3
8で挟持するようになっている。
【0048】なお、集電体38の形状は、山部38aと
溝部38bを備えたものに限定されるものではなく、例
えば、拡散層36bと接する面に、孤立した多数の突起
を設けるようにしても良い。また、集電体38の材質と
しては、一般に、酸化水蒸気雰囲気下でも安定な、緻密
質のグラファイトが用いられるが、金属製の集電体を用
いても良い。
【0049】次に、本発明に係る固体高分子型燃料電池
により、高出力、高エネルギー効率が得られる理由につ
いて説明する。図3は、触媒層16bとして多孔質の炭
素系材料を用いた、従来一般に用いられている固体高分
子型燃料電池1の空気極16側の拡大断面図を示したも
のである。
【0050】図3に示すように、拡散層16bとして、
十分な厚さを有する多孔質の炭素系材料を用いた場合、
集電体18の溝部18bを流れるガス中に含まれる酸素
は、図3の点線矢印に示すように、集電体18の溝部1
8bの真下に位置する触媒層16aのみならず、集電体
18の山部18aの真下に位置する触媒層16aにも十
分に拡散する。
【0051】また、図示しない燃料極から、同じく図示
しない負荷を通って集電体18の山部18aに達した電
子は、図3の実線矢印に示すように、集電体18の山部
18aの真下に位置する触媒層16aのみならず、集電
体18の溝部18bの真下に位置する触媒層16aにも
十分に流れ込む。そのため、電極反応に必要な電子と酸
素ガスは、図3の網掛部Bで示すように、触媒層16a
の全面に行き渡る。
【0052】一方、図4に示すように、拡散層16bの
厚さを薄くした場合には、y方向の物質移動及び電子伝
導に対する抵抗は軽減される。しかし、拡散層16bの
断面積が小さくなるために、x方向の物質移動に対する
抵抗はかえって増大する。また、触媒層16aには、電
子伝導性のない高分子電解質が含まれているので、触媒
層16aによるx方向の電子伝導は期待できず、x方向
の電子伝導に対する抵抗も増大する。
【0053】そのため、図4の点線矢印に示すように、
集電体18の溝部18bを流れるガス中に含まれる酸素
ガスは、溝部18bの真下に位置する触媒層16aには
十分供給されるが、集電体18の山部18aの真下に位
置する触媒層16aまで十分に拡散することができな
い。
【0054】同様に、図4の実線矢印に示すように、集
電体18の山部18aに達した電子は、山部18aの真
下に位置する触媒層16aには十分供給されるが、集電
体18の溝部18bの真下に位置する触媒層16aまで
十分に流れ込むことができない。
【0055】その結果、集電体18の山部18aの真下
に位置する触媒層16aでは酸素ガスが不足し、溝部1
8aの真下に位置する触媒層16aでは電子が不足す
る。すなわち、電極反応に必要な電子と酸素ガスの双方
が供給されるのは、図4の網掛部Cに示すように、触媒
層16aの一部のみとなる。そのため、かえって燃料電
池の出力及びエネルギー効率が低下する
【0056】これに対し、本発明に係る固体高分子型燃
料電池30においては、図2に示すように、拡散層36
bとして、金属メッシュ又は金属多孔体を用いており、
従来の炭素系材料と比較して、開口径、開口率及び電気
電導率が大きくなっている。
【0057】そのため、拡散層36bの厚さを薄くした
場合であっても、図2の点線矢印で示すように、集電体
38の溝部38bを流れるガス中に含まれる酸素は、溝
部38aの真下に位置する触媒層36aのみならず、集
電体38の山部38aの真下に位置する触媒層36aま
で十分に拡散する。
【0058】また、集電体38の山部38aに供給され
る電子は、図2の実線矢印に示すように、山部38aの
真下に位置する触媒層36aのみならず、集電体38の
溝部38bの真下に位置する触媒層36aまで十分に流
れ込む。しかも、図2の場合、触媒層36aと拡散層3
6bの間に炭素粉を含む撥水化層36cを介在させてい
るので、x方向の電子伝導がさらに容易になり、開口部
36dの真下に位置する触媒層36aにも電子を十分に
供給することができる。
【0059】その結果、電極反応に必要な電子と酸素ガ
スは、図2の網掛部Aに示すように、拡散層36bの厚
さを薄くした場合であっても、触媒層36aの全面に行
き渡り、高い出力と、高いエネルギー効率を得ることが
可能となる。
【0060】さらに、金属メッシュ又は金属多孔体は、
従来一般に用いられてきた多孔質の炭素系材料と比較し
て、熱伝導率が大きいので、電極反応の際に触媒層36
a又は電解質膜34で発生した熱は、拡散層36b及び
集電体38を介して、効率よく外部に放散させることが
できる。その結果、電池内部の温度を均一化することが
でき、高い出力を得ることが可能となる。
【0061】また、金属メッシュ又は金属多孔体からな
る拡散層36bの表面に、Sn又はSn合金等、耐食性
及び耐不働態化性に優れたコーティング層を形成した場
合には、腐食又は不働態化による拡散層36bの劣化が
おきにくくなる。そのため、酸化水蒸気雰囲気下に長時
間曝された場合であっても、拡散層36bと集電体38
との間の接触抵抗の増加が抑制され、触媒層36aへの
電子の供給が阻害されることはない。
【0062】さらにまた、集電体38として、金属製の
集電体を用いた場合には、金属メッシュ又は金属多孔体
からなる拡散層36bと集電体38とを直接、接合する
ことができる。拡散層36bと集電体18とを接合した
場合には、両者の電気的な接触が良好で安定なものとな
るので、触媒層36bへの電子の供給がさらに容易にな
り、電池の出力が向上する。
【0063】図示しない燃料極においても、拡散層とし
て金属メッシュ又は金属多孔体を用いれば、水素ガス及
び水の拡散性と電子の伝導性を損なうことなく拡散層を
薄くすることができる点、熱伝導率が大きくなるために
電池内部の温度を均一化できる点、Sn等をコーティン
グすれば拡散層の耐食性・耐不働態化性を向上できる
点、金属製の集電体と拡散層とを接合すれば両者の電気
的接続が良好となる点等は、空気極36と同様である。
【0064】(実施例1)拡散層として、線径30μ
m、開口率50%、厚さ60μmのSUS304製ステ
ンレスメッシュを用い、このステンレスメッシュの片面
にカーボンブラック(Vulcan XC−72、Ca
bot社製)とPTFEの混合物を塗布して、撥水化層
を形成した。
【0065】次いで、撥水化層側に、重量比40%のP
tが担持されたカーボンブラックと、パーフルオロスル
ホン酸ポリマーの電解質溶液との混合物を塗布し、電極
面積1cm当たり0.3mgのPtが含まれるように
触媒層を形成し、ガス拡散電極とした。得られたガス拡
散電極を電解質膜(ナフィオン112、デュポン社製)
の両面に接合し、さらにその両側を集電体で挟んで、試
験用単電池を作製した。
【0066】(実施例2)実施例1で用いたSUS30
4製ステンレスメッシュの表面に、Niメッキを施し、
さらにその上にSnメッキを施したものを拡散層として
用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、試験用単
電池を作製した。
【0067】(比較例1)拡散層として、厚さ300μ
mのカーボンクロスを用いた以外は、実施例1と同様の
手順に従い、試験用単電池を作製した。
【0068】実施例1〜2、及び比較例1で得られた各
試験用単電池について、それぞれ、空気と水素を1.5
atmの圧力で供給し、0.5A/cm一定電流での
放電を行い、放電開始から10分後及び20時間後の電
圧を測定した。なお、電圧の測定は、電池温度を80
℃、水素利用率を80%、空気利用率を70%又は30
%とし、空気は加湿せず、水素は飽和の水蒸気を含む条
件下で行った。結果を図5に示す。
【0069】拡散層として厚さ300μmのカーボンク
ロスを用いた比較例1において、空気利用率が30%の
場合には、放電開始から10分後及び20時間後の電圧
は、それぞれ、0.71V及び0.70Vの高い値を示
した。しかしながら、空気利用率を70%に上げた場合
には、放電開始から10分後及び20時間後の電圧は、
いずれも、0.3Vまで低下した。
【0070】これに対し、拡散層として厚さ60μmの
ステンレスメッシュを用いた実施例1では、空気利用率
が30%の場合には、放電開始から10分後の電圧は、
0.74Vの高い値を示した。また、放電開始から20
時間後の電圧は、若干低下したが、0.62Vを示し
た。空気利用率を70%に上げた場合も同様に、放電開
始から10分後及び20時間後の電圧は、それぞれ0.
72V及び0.61Vであり、空気利用率を30%とし
た場合と同等の値を示した。
【0071】さらに、拡散層としてSnをコーティング
した厚さ60μmのステンレスメッシュを用いた実施例
2では、空気利用率が30%の条件下における放電開始
から10分後及び20時間後の電圧、並びに空気利用率
70%の条件下における放電開始から10分後及び20
時間後の電圧は、いずれも0.7V以上の高い値を示し
た。
【0072】実施例1及び2と、比較例1とを比較する
と、実施例1及び2で得られた燃料電池の方が、空気利
用率の高い条件下において高い電圧が得られており、本
発明に係る燃料電池の優位性が顕著に表れていることが
わかる。これは、酸素や反応で生成した水の移動性が電
池性能に強く影響するためである。
【0073】すなわち、拡散層としてカーボンクロスを
用いた比較例1の場合、拡散層の厚さが厚いために、空
気利用率が高い条件下では、電池内での酸素濃度の低下
が顕著となることに加え、酸素や反応で生じた水が移動
する際の抵抗が大きくなるために、電圧が低下する。こ
れに対し、拡散層として薄層化された金属メッシュを用
いた実施例1及び実施例2の場合、酸素や水の移動性が
容易になるので、空気利用率の高い条件下でも、高い電
圧を得ることができる。
【0074】また、実施例1と実施例2とを比較する
と、実施例2で得られた燃料電池の方が、放電開始から
20時間後の電圧が高いことがわかる。これは、ステン
レスメッシュにSnメッキを施したことにより、ステン
レスメッシュの耐食性が向上し、拡散層と集電体との間
の接触抵抗の増加が抑制されたためである。
【0075】以上の結果から、拡散層として薄層化され
た金属メッシュを用いると、空気利用率の高い条件下に
おいても高い電圧が得られ、燃料電池の高出力化及び高
エネルギー効率化を達成できることがわかった。また、
Snメッキを施した金属メッシュを拡散層に用いた場合
には、拡散層の耐食性が向上し、耐久性の高い燃料電池
が得られることがわかった。
【0076】(実施例3)線径、厚さ、目の開き、及び
開口率の異なる9種類のSUS304製ステンレスメッ
シュを拡散層として用いた以外は、実施例1と同様の手
順に従い、試験用単電池を作製した。拡散層に用いたス
テンレスメッシュの物性を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】得られた各試験用単電池について、空気と
水素とを、それぞれ1.5atmの圧力で供給し、0.
8A/cmの一定電流での放電を行い、その電圧を測
定した。なお、電圧の測定は、電池温度を80℃、空気
利用率を70%、水素利用率を80%とし、空気は加湿
せず、水素は飽和の水蒸気を含む条件下で行った。
【0079】(比較例2)拡散層として、厚さ100μ
m、200μm、300μm及び400μmのカーボン
クロスを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、
試験用単電池を作製した。得られた試験用単電池につい
て、実施例3と同一の条件下で放電を行い、その電圧を
測定した。
【0080】図6に、実施例3で得られた、線径30μ
m、厚さ60μmのステンレスメッシュを拡散層に用い
た試験用単電池(サンプルNo.1〜4)の開口率と電
圧の関係を示す。図6より、ステンレスメッシュの開口
率が大きくなるほど、燃料電池の電圧が向上しているこ
とがわかる。これは、ステンレスメッシュの開口率が大
きくなるほど、酸素及び反応により生成した水の移動が
容易になるためである。
【0081】また、図7に、開口率が41〜42%であ
るステンレスメッシュを拡散層に用いた試験用単電池
(サンプルNo.3、5〜9)のメッシュの目の開き又
は厚さと電圧との関係を示す。図7より、開口率が同一
であっても、目の開きが大きすぎると、電圧が低下して
いることがわかる。これは、目の開きが大きくなりすぎ
ると、メッシュの開口部の真下に位置する触媒層への電
子の供給が不十分となるためである。
【0082】さらに、図8に、開口率が41〜42%で
あるステンレスメッシュを拡散層に用いた試験用単電池
(サンプルNo.3、5〜9)の拡散層の厚さと電圧の
関係を示す。なお、図8には、比較例2で得られたカー
ボンクロスを拡散層に用いた試験用単電池の拡散層の厚
さと電圧の関係も併せて示した。
【0083】図8より、カーボンクロスを拡散層に用い
た比較例2では、拡散層の厚さが200μm以下になる
と、電圧が大きく低下しているのに対し、金属メッシュ
を拡散層に用いた実施例3(サンプルNo.3、5〜
9)では、拡散層の厚さが200μm以下であっても、
高い電圧が得られていることがわかる。
【0084】これは、金属メッシュを拡散層に用いた試
験用単電池では、開口率及び電気電導率が高いので、拡
散層の厚さを薄くした場合であっても、電極面と平行方
向への物質移動及び電子伝導に対する抵抗の増加が少な
く、反応物質と電子の供給が容易となるためである。
【0085】以上の結果から、ステンレスメッシュの開
口率、目の開き及び厚さは、試験用単電池の出力に影響
を及ぼすことがわかった。また、拡散層としてステンレ
スメッシュを用いることにより、拡散層の薄層化が可能
であることがわかった。
【0086】(実施例4)実施例2で作製した試験用単
電池をステンレス鋼製の集電体を介して、直列に20セ
ル積層して積層電池とした。また、2セルに1つの割合
で、集電体に冷却水の流路を設け、これに冷却水を流通
した。
【0087】次いで、このような積層電池に空気と水素
を1.5atmの圧力で供給し、0.8A/cm一定
電流での放電を行い、各単電池の電圧(以下、これを
「セル電圧」という)、燃料極側の温度(以下、これを
「アノード温」という)、及び空気極側の温度(以下、
これを「カソード温」という)を測定した。なお、電圧
の測定は、電池温度を80℃、空気利用率を70%、水
素利用率を80%とし、空気は加湿せず、水素は飽和の
水蒸気を含む条件下で行った。
【0088】(比較例3)比較例1で作製した試験用単
電池をステンレス鋼製の集電体を介して、直列に20セ
ル積層して積層電池とした。また、2セルに1つの割合
で、集電体の流路を設け、これに冷却水を流通し、実施
例4と同一の条件下で放電を行い、セル電圧、アノード
温及びカソード温を測定した。
【0089】実施例4及び比較例3で作製した積層電池
のセル電圧、アノード温及びカソード温を、それぞれ図
9及び図10に示す。集電体として炭素系材料を用いた
比較例1の場合、2セルに1つの割合でセル間の集電体
を水冷しているので、図10に示すように、冷却されて
いる集電体に接している極(奇数No.セルのカソード
と、偶数No.のアノード。以下、これらを「冷却極」
という)の温度は、冷却水の温度に近くなっており、効
率よく冷却されていることがわかる。
【0090】しかし、冷却されていない集電体に接して
いる極(奇数No.セルのアノードと、偶数No.のカ
ソード。以下、これを「非冷却極」という)の温度は、
冷却極の温度より高くなっており、その差は、14〜1
6℃に達した。
【0091】また、このような周期的な電池内の温度の
ばらつきは、セル電圧のばらつきとなって表れた。すな
わち、奇数No.セルでは0.7V、偶数No.セルで
は、0.5Vを示し、その差は、0.2Vに達した。そ
のため、各セル電圧の和である電池の総電圧が低下し
た。
【0092】これに対し、集電体として金属メッシュを
用いた実施例4では、図9に示すように、集電体の熱伝
導率が高いために、冷却極の温度のみならず非冷却極の
温度も冷却水の温度に近くなっており、アノード温とカ
ソード温の差は、約4℃に縮小した。
【0093】また、電池内の温度ばらつきが縮小したこ
とに対応して、セル電圧のばらつきも小さくなった。す
なわち、奇数No.セルでは0.7V、偶数No.セル
では0.67Vを示し、セル電圧の差は、0.03Vに
縮小した。また、セル電圧のばらつきが解消されたこと
により、総電圧も比較例3と比べて増大した。
【0094】以上の結果から、集電体として熱伝導率の
高い金属メッシュを用いると、炭素系材料を集電体とし
て用いた場合に比較して、積層電池の各セル間の温度ば
らつきが小さくなり、それに伴い、積層電池の総電圧が
大きくなることがわかった。
【0095】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しないで種々の改変
が可能である。
【0096】例えば、上記実施例では、ステンレスメッ
シュからなる拡散層を電解質膜に接合した電極・電解質
接合体をステンレス鋼製の集電体で単に挟んで燃料電池
を構成しているが、スポット溶接等により、ステンレス
メッシュからなる拡散層とステンレス鋼製の集電体とを
一体化すれば、さらに触媒層への電子の供給が容易化さ
れ、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0097】また、上記実施例では、集電体としてステ
ンレスメッシュを用いているが、Alメッシュ、Cuメ
ッシュ等、他の金属メッシュ、あるいは、ステンレス
鋼、Al、Cu等からなる金属多孔体を用いても良く、
これにより上記実施例と同様の効果を得ることができ
る。
【0098】
【発明の効果】本発明に係る燃料電池は、ガス拡散電極
に備えられる集電体として、金属メッシュ又は金属多孔
体を用いているので、拡散層の厚さを薄くした場合であ
っても、触媒層全体に反応ガスや水等の物質、あるいは
電子を効率よく供給することができ、高出力、高エネル
ギー効率の燃料電池が得られるという効果がある。
【0099】また、金属メッシュ又は金属多孔体からな
る拡散層は、熱伝導率が高いので、電池内に生ずる温度
のばらつきが小さくなり、高出力の燃料電池が得られる
という効果がある。
【00100】さらに、拡散層として金属メッシュ又は
金属多孔体を用いることに加え、金属製の集電体を用い
て燃料電池を構成した場合には、拡散層と集電体とを直
接、接合することができる。これによりガス拡散電極と
集電体との電気的接触が確実なものとなり、燃料電池の
出力をさらに向上させることができるという効果があ
る。
【0101】以上のように、本発明によれば、燃料電池
の高出力化及び高エネルギー効率化を図ることができる
同時に、拡散層の厚さを薄くすることができるので、燃
料電池のコンパクト化を図ることができる。そのため、
これを例えば自動車用の燃料電池システムに応用すれ
ば、自動車の高出力化、軽量化等が可能となるものであ
り、産業上その効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体高分子型燃料電池の空気極側
の拡大断面図である。
【図2】図1に示す燃料電池の触媒層への酸素と電子の
供給状態を説明する図である。
【図3】従来一般に用いられている炭素系材料を拡散層
として用いた燃料電池の触媒層への酸素と電子の供給状
態を説明する図である。
【図4】図3に示す燃料電池の拡散層の厚さを薄くした
場合における、触媒層への酸素と電子の供給状態を説明
する図である。
【図5】拡散層として金属メッシュを用いた燃料電池
と、カーボンクロスを用いた燃料電池の空気利用率と電
圧の関係を示す図である。
【図6】拡散層として用いた金属メッシュの開口率と、
一定電流密度における電圧との関係を示す図である。
【図7】拡散層として用いた金属メッシュの目の開き及
び厚さと、一定電流密度における電圧との関係を示す図
である。
【図8】拡散層として金属メッシュ又はカーボンクロス
を用いた場合における、拡散層の厚さと、一定電流密度
における電圧との関係を示す図である。
【図9】拡散層として金属メッシュを用いた積層電池の
セル電圧、カソード温及びアノード温を示す図である。
【図10】拡散層としてカーボンクロスを用いた積層電
池のセル電圧、カソード温及びアノード温を示す図であ
る。
【図11】固体高分子型燃料電池の基本構造を示す分解
斜視図である。
【図12】電極・電解質接合体の拡大断面図である。
【図13】図11に示す固体高分子型燃料電池の空気極
側における、物質及び電子の移動状態を説明する図であ
る。
【符号の説明】 30 固体高分子型燃料電池 32 電極・電解質接合体 34 固体高分子電解質膜(電解質膜) 36 ガス拡散電極(空気極) 36a 触媒層 36b 拡散層 36c 撥水化層 38 集電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H018 AA06 BB08 DD03 DD08 EE02 EE04 EE08 EE18 5H026 AA06 CC03 CX00 EE02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質と、該電解質の両面に接合された
    一対のガス拡散電極と、該ガス拡散電極が接合された前
    記電解質を挟持する集電体とを備えた燃料電池におい
    て、 前記ガス拡散電極は、前記電解質側に設けられた電極触
    媒を含む触媒層と、前記集電体側に設けられた金属メッ
    シュ又は金属多孔体からなる拡散層とを備えていること
    を特徴とする燃料電池。
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