JP2011070991A - 固体高分子形燃料電池単セル、これの製造方法、およびこれを有する燃料電池スタック - Google Patents

固体高分子形燃料電池単セル、これの製造方法、およびこれを有する燃料電池スタック Download PDF

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Abstract

【課題】カソード触媒層およびアノード触媒層中の水が触媒層および高分子電解質膜のプロトン伝導度を保ちつつ、余分な水が抜けやすくなることでフラッディングを防止し得る固体高分子形燃料電池単セルを提供することを課題とする。
【解決手段】凸部および凹部で形成された流路を有し、高分子電解質膜、電極触媒層およびガス拡散層を挟持するセパレータを具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、ガス拡散層が、開口部と細路部とからなる孔部を有する固体高分子形燃料電池単セルとする。第一実施形態としては、ガス拡散層5が、セパレータのガス流路の凸部15に接する面に設けた第一の開口部17と電極触媒層側の面に設けた第二の開口部18とを結ぶ細路部21からなる第一の孔部23を有するガス拡散層であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池において、発電性能向上のための技術に関する。
燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する発電装置であり、高効率かつ環境負荷が低いなどの利点を有する。中でも電解質に高分子を用いる固体高分子形燃料電池は、低温での動作が可能であるため家庭用あるいは車載用の電源としての利用が見込まれている。
固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に電極を設けた膜電極接合体を備える。膜電極接合体の製造方法としては、基材として転写シートを用い、転写シート上に触媒インクを塗布、乾燥させ、電極触媒層を形成し、転写シート上の電極触媒層を熱プレスすることにより高分子電解質膜の両面に電極触媒層を接合する方法が挙げられる。また、基材としてガス拡散層を用い、ガス拡散層上に触媒インクを塗布、乾燥させ、電極触媒層を形成したガス拡散層を熱プレスすることにより高分子電解質膜の両面に電極触媒層を接合する方法が挙げられる。
作製された膜電極接合体は固体高分子形燃料電池単セルに組み込まれる。燃料電池単セル内部の構造としては、膜電極接合体の外側にガス拡散層があり、これらを挟持するようにセパレータが接合している。セパレータはガス流路を備えており、燃料極(アノード)では主に水素である燃料ガス、空気極(カソード)では主に酸素および空気である酸化剤ガスを、流路を介してアノードおよびカソードに供給する役割を持つ。またセパレータは膜電極接合体で生じた起電力により流れた電流を集める集電体としての役割も有すため、導電性を持つ材料から作られる必要がある。なお、アノードおよびカソードに供給されるガスが混合されると電極での電気化学反応を阻害するため、混合されないようにシールする必要があり、膜電極接合体の外周部にある高分子電解質膜を覆うようにガスケットが配置される。
燃料電池は、車載用や家庭用といった実用機では、大電流を確保するために燃料電池単セルを複数直列に接続させスタックとしたものを指す。
単セル内の膜電極接合体とガス拡散層は正対している。またガス拡散層はセパレータ流路を覆うように載置されている。
ガス拡散層は主に3つの機能を持つ。第一の機能として、セパレータの流路を通じ運ばれた燃料ガスおよび酸化剤ガスを拡散させて電極触媒層の緻密な構造の中に入りやすくさせることである。第二として、電極触媒層で反応により生成した水を速やかにガス流路に排出させることである。第三として、反応に寄与する電子を伝導することである。
これら第一の機能と第二の機能には水の関与が大きい。燃料電池単セルのアノードに水素である燃料ガスを、カソードには主に酸素および空気である酸化剤ガスを流し電流を取り出すと、カソードでは電極反応により水が発生する。この水はアノードおよびカソードの高分子電解質のプロトン伝導を引き起こすのには必須の物質である一方、水が大量に膜電極接合体中の主にカソードに滞留すると、ガスの拡散性が悪化し、燃料効率が落ちることから単セルの発電性能は低下する問題がある。この現象をフラッディングと呼ぶ。
以上のように、膜電極接合体にあっては、電極反応によって生成される水がカソード触媒層中に多すぎても少なすぎても、単セルの発電性能を下げてしまう。また、アノードに供給されるガス中の水分やカソードからの水の逆拡散によってアノードにおけるフラッディングの問題もある。
フラッディング対策としては、水の排出性を高めるためにガス拡散層基材への撥水処理や、ガス拡散層の電極触媒層側にMPL(マイクロポーラスレイヤー)と呼ばれるカーボン粒子にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など撥水性樹脂を添加した混合物を塗布することや、ガスを大量に流しガス流路を通して、水を単セル外部に排出することが検討されている。また、ガス拡散層の形状に関しては、セパレータのガス流路部の溝を臨むように貫通孔を形成し、水を抜けやすくさせることや(例えば、特許文献1参照)、セパレータと接する面内で、集電部分とガスおよび水蒸気透過部分と水分透過部分とに分けることが行われている(例えば、特許文献2参照)。また、拡散層中に発電中に生成した生成水を優先的に通過させてガス流路へ排出するための排水路領域を形成することが行われている(例えば、特許文献3参照)。
特開2008−66208号公報 特開2003−142110号公報 特開2007−273326号公報
FC EXPO 2009 大学・国公立研究所による研究成果発表フォーラム PEFC・セル内における水分管理と計測評価技術 京都工芸繊維大学 西田耕介
しかしながら、ガス拡散層基材への撥水処理やガス拡散層へのMPLの付与を行ってもフラッディングは完全に防止できないことや、多量の酸化剤ガスを一度に流す場合は補機が必要になりコストがかかることやガスの無駄になってしまう問題がある。
また、非特許文献1にあるように、反応によって生成された水は、セパレータのガス流路の凸部であるセパレータリブ部に対向するガス拡散層内で凝縮することが知られており、セパレータのガス流路の溝部の水を抜くよりもリブ部の水を抜く方がより効率よく水をガス流路に排出させることができる。また、前記先行特許文献に記載のガス拡散層の形状を変化させる製造方法は複雑であると同時に、ガス拡散層の各種水の排出性機能を持つ部分のセパレータのガス流路に対するアライメント精度を確保することも困難であるという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、カソード触媒層およびアノード触媒層中の水が電極触媒層および高分子電解質膜のプロトン伝導度を保ちつつ、ガス拡散層に孔を設けることでガス拡散層に溜まった余分な水を効率良く排出させフラッディングを防止すること、およびこの孔を簡易に製造し、ガス拡散層と、セパレータのガス流路の凸部とのアライメント精度の良い孔を作製することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、前記高分子電解質膜および前記電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、前記高分子電解質膜、前記電極触媒層、および前記ガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、前記ガス拡散層は、前記流路の凸部に接する面に設けた第一の開口部と前記電極触媒層側の面に設けた第二の開口部とを結ぶ細路部からなる第一の孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項2に係る発明としては、高分子電解質膜と、高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、高分子電解質膜および電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、高分子電解質膜、電極触媒層、およびガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、ガス拡散層は、流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部と流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項3に係る発明としては、ガス拡散層は、流路の凹部に流路の凸部を介して隣接する凹部に対向する面に設けた第四の開口部と流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第三の孔部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項4に係る発明としては、第一の開口部および第二の開口部の直径の最大値が、第一の開口部が形成されるガス拡散層に接する流路の凸部の幅の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項5に係る発明としては、第三の開口部および第四の開口部の直径の最大値が、それぞれ、第三の開口部および第四の開口部が各々形成されるガス拡散層の面に対向する流路の凹部の幅の50%以下であることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項6に係る発明としては、細路部が直線形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項7に係る発明としては、高分子電解質膜と、高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、高分子電解質膜および電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、高分子電解質膜、電極触媒層、およびガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、ガス拡散層は、流路の凸部に接する面に設けた第一の開口部と電極触媒層側の面に設けた第二の開口部とを結ぶ細路部からなる第一の孔部、流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部と流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部、および流路の凹部に流路の凸部を介して隣接する凹部に対向する面に設けた第四の開口部と流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第三の孔部のうち少なくとも2つの孔部が交差してなる孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項8に係る発明としては、ガス拡散層が、孔部を複数有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項9に係る発明としては、ガス拡散層が、流路長を半分に分け、燃料ガスまたは酸化剤ガスが最初に流れる流路の半分を上流、後に流れる流路の半分を下流としたとき、上流と下流とで数の異なる孔部を有することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項10に係る発明としては、流路の凸部における直線部のうち1本の直線部の長さをXとし、1本の直線部に直径Yの孔部がn個存在するとき、X/2n>Yを満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項11に係る発明としては、ガス拡散層が撥水性を有することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項12に係る発明としては、ガス拡散層の表面に撥水性の樹脂を持つ粒子層を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルとした。
また、請求項13に係る発明としては、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルに用いるガス拡散層の製造方法において、膜電極接合体および両極におけるガス拡散層に燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏れを防止するシール材を付加して燃料電池単セルの中に組み入れ、いったん燃料電池単セルから燃料電池単セルを構成する各部材を取り出し、両極におけるガス拡散層に残るセパレータのガス流路の凸部分の跡を用いて孔部を形成することを特徴とするガス拡散層の製造方法とした。
また、請求項14に係る発明としては、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の燃料電池単セルを複数有し、燃料電池単セルが積層されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池スタックとした。
本発明の燃料電池単セルにあっては、ガス拡散層がセパレータの流路の凸部に接する面に設けた第一の開口部と電極触媒層側に設けた第二の開口部とを結ぶ細路部からなる第一の孔部を有すること、あるいはガス拡散層がセパレータの流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部とセパレータの流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部を有すること、あるいはガス拡散層が、セパレータの流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部とセパレータの流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部を有し、セパレータの流路の凹部に凸部を介して隣接する凹部に対向する面に設けた第四の開口部とセパレータの流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第三の孔部を有することで、電極反応において余分な水を単セル外部に抜けやすくすることができるため、発電性能向上に寄与し得る燃料電池単セルとすることができる。本発明によって得られる固体高分子形燃料電池単セルにあっては良好な発電特性を示すことができた。
また、本発明の燃料電池単セルにあっては、電極反応に余分な水が単セル外部に抜けやすくなるため、カソードに供給されるガスが少量でも余分な水の排出が行われるので、ガスの流量を減らすことができた。
さらに、本発明の燃料電池単セルにあっては、上記孔部を有するガス拡散層を簡便に製造することが可能になるため、製造コストや製造に要する時間を削減することができた。
図1は本発明に係る固体高分子形燃料電池単セルの分解模式図である。 図2は本発明に係るセパレータのガス流路とガス拡散層の説明図である。 図3は本発明に係る第一の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部の説明図である。 図4は本発明に係る第二の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部の説明図である。 図5は本発明に係る第二および第三の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部の説明図である。
以下に、本発明の膜電極接合体および燃料電池について説明する。なお、本発明は、以下に記載する各実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
まず、本発明の固体高分子形燃料電池単セルについて図1を参照して説明する。図1に固体高分子形燃料電池単セルの分解模式図を示した。
本発明の固体高分子形燃料電池単セルにあっては、膜電極接合体12のカソード触媒層2およびアノード触媒層3に対向して、カソードガス拡散層4およびアノードガス拡散層4´が各々配置される。これらにより、それぞれカソード6及びアノード7が構成される。そしてガス流通用のガス流路8がリブ11によって構成され、相対する面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性かつ不透過性の材料よりなる1組のセパレータ10が配置される。カソード6側のセパレータ10のガス流路8からは、酸化剤ガスとして、例えば酸素を含むガスが供給される。一方、アノード7側のセパレータ10のガス流路8からは燃料ガスとして、例えば水素ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と酸素ガスとを触媒の存在下で電極反応させることにより、アノードとカソードの間に起電力を生じさせることができる。
図1に示した固体高分子形燃料電池は単セルであるが、本発明にあっては、セパレータ10を介して複数のセルを積層して燃料電池としてもよい。
次に本発明のセパレータとガス拡散層の関係について図2を参照して説明する。図2にセパレータのガス流路とガス拡散層の説明図を示した。
燃料ガスおよび酸化剤ガスは、ガス入口13から入り、ガス流路8を通ってガス出口14から抜ける構造になっている。本発明に係るセパレータ10とガス拡散層5とは、セパレータ10のガス流路8の凸部15で接している。本発明に係るガス拡散層の孔部の一例としては、ガス流路の凸部15とガス流路8との境界部である丸で囲った点線部に存在してもよい。
(第一実施形態)
次に本発明の第一の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部について図3を参照して説明する。図3に第一の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部を説明するための図を示した。
図3で示されるように、本発明の実施の形態に係るガス拡散層は、セパレータのガス流路の凸部15に接する面に設けた第一の開口部17と電極触媒層側の面に設けた第二の開口部18とを結ぶ細路部21からなる第一の孔部23を有する。
(第二実施形態)
次に本発明の第二の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部について図4を参照して説明する。図4に第二の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部を説明するための図を示した。
図4で示されるように、本発明の実施の形態に係るガス拡散層は、セパレータのガス流路の凹部16に対向する面に設けた第三の開口部19とセパレータのガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内とを結ぶ細路部21からなる第二の孔部24を有する。
(第三実施形態)
次に本発明の第二および第三の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部について図5を参照して説明する。図5に第二および第三の孔部を有するガス拡散層とセパレータのガス流路の凹部および凸部を説明するための図を示した。
図5で示されるように、本発明の実施の形態に係るガス拡散層は、セパレータのガス流路の凹部16に対向する面に設けた第三の開口部19とセパレータのガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内とを結ぶ細路部21からなる第二の孔部24を有し、ガス流路の凹部16とガス流路の凸部15を介して隣接する凹部16´に対向する面に設けた第四の開口部20とガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内とを結ぶ細路部21からなる第三の孔部25を有する。
従来のガス拡散層5では、カソード触媒層2における反応によって生成された水はガス拡散層5中に滞留するが、ガス拡散層基材に施された撥水処理効果やガス拡散層表面に撥水性の樹脂を持つ粒子層を備えていることで、水の排出性を高めていた。しかし、ガス拡散層5中に滞留する水は、セパレータのガス流路の凹部16の部分ではガスの流れる力によって排出が促進されるため、ガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内に溜まることが知られている。
本発明においては、第一の孔部23がガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22の中にあるため、ガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22中に溜まるべき水が第一の孔部23中に溜まり、凝縮することで水の移動度が高まり、水の排出性が向上する。
また、第二の孔部24の一部は、ガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内に接しているために、第二の孔部が1つの路となって、ガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内に溜まるべき水がガス流路の凹部16へ排出されやすくなる。
さらに本発明においては、第三の孔部25がガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22の中にあるとともに、第二の孔部24もガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22の中にあるため、ガス流路の凸部15に接するガス拡散層の領域22内中に溜まるべき水がガス流路の凹部16へ排出されやすくなるという効果が高まる。
本発明の実施の形態に係る細路部21は直線状である。これは直線状でない場合に、第一の孔部23、第二の孔部24と、第三の孔部25を製造しにくくなることや、水の排出路が直線状に比べると最短経路をとることができず、排出性が悪くなるためである。
また、本発明の実施の形態に係る第一の開口部17と第二の開口部18の直径の最大値は、第一の開口部17が形成されるガス拡散層5が接するガス流路の凸部15の幅の50%以下であり、第三の開口部19と第四の開口部20の直径の最大値は、それぞれ、第三の開口部19および第四の開口部20が各々形成されるガス拡散層5の面に対向するガス流路の凹部16、16′の幅の50%以下であることが好ましい。
これは、第一の開口部17と第二の開口部18の直径の最大値が、第一の開口部17が形成されるガス拡散層5が接するガス流路の凸部15の幅の50%より大きい場合、第一の孔部中に溜まる水の量が多くなり、水の排出性が悪化することや、セパレータ10とガス拡散層5の電子伝導性が悪くなることがあるためである。また、第三の開口部19と第四の開口部20の直径の最大値が、それぞれ、第三の開口部19および第四の開口部20が各々形成されるガス拡散層5が接するガス流路の凹部16、16′の幅の50%より大きい場合もセパレータ10とガス拡散層5の電子伝導性が悪くなることや、ガス拡散層基材の強度が弱くなってしまうことがあるためである。
また、本発明の実施の形態に係る第一の孔部23、第二の孔部24、および第三の孔部25のうち、少なくとも2つが交差してなる孔部を有してもよく、上記の第一の孔部23の効果、第二の孔部24の効果、および第三の孔部25の効果をそれぞれ奏することができるため、より水の排出性を高めることができる。
本発明の実施の形態に係るガス拡散層5は、第一の孔部23、第二の孔部24、および第三の孔部25を複数有し、燃料ガスまたは酸化剤ガスの流れる方向のうち、ガス流路長を半分に分け、燃料ガスが最初に流れる流路の半分を上流、後に流れる流路の半分を下流とした場合、上流と下流とで孔部の数が異なるようにしてもよい。これは上流、下流で発生する水の量が、発電条件によって異なるため、ガス拡散層内で孔の数を変化させることによって、水の排出能力の高低を面内でコントロールすることができる。これにより幅広い発電条件で運転することができる燃料電池単セルとすることができる。
また、セパレータ10のガス流路凸部15における直線部1本の長さをXとし、1本の直線部において、Yの直径を持つ第一、第二、第三の孔部(23、24、25)がn個存在するとき、第一、第二、第三の孔部(23、24、25)の直径Yは、X>2nYすなわちX/2n>Yを満たすことが好ましい。
これは、第一、第二、第三の孔部(23、24、25)の直径YがX/2n<Yとなる場合、ガス拡散層5とセパレータ10の密着性が悪化し電子伝導性が悪くなることや、ガス拡散層基材の強度が弱くなってしまうことがあるからである。
ガス拡散層5は撥水性の基材からなることが好ましい。また、ガス拡散層5の表面に撥水性の樹脂を持つ粒子層(MPL)を備えていることが好ましい。撥水性の部材を備えていなくてもよいが、撥水性部材と第一、第二、第三の孔部(23、24、25)の両者を備えることで、より効率的に発電に余分な水の排出性を高めることができる。
本発明の実施の形態に係るガス拡散層5に第一、第二、第三の孔部(23、24、25)を設ける方法において、膜電極接合体12および両極におけるガス拡散層5に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏れを防止するシール材を付加して燃料電池用単セルの中に組み入れる工程と、いったんセルから各部材を取り出し、両極におけるガス拡散層5に残るセパレータ10のガス流路の凸部15の跡を用いて孔部を設ける工程を含んでもよい。この製造方法により、第一の孔部23、第二の孔部24、および第三の孔部25を開けるべき箇所を可視化することができるため、セパレータ10のガス流路の凸部15とアライメント精度の良い第一、第二、第三の孔部(23、24、25)を作製することができる。
本発明の実施の形態に係るガス拡散層5に設ける第一、第二、第三の孔部(23、24、25)の製造方法においては、第一の開口部17と第二の開口部18の直径の最大値がガス流路の凸部15の幅の50%以下であり、第三の開口部19と第四の開口部20の直径の最大値がガス流路の凹部16、16′の幅の50%以下であること、および、ガス流路の凸部15における直線部1本の長さをXとし、第一、第二、第三の孔部(23、24、25)の直径をYとしたとき、X>2nYすなわちX/2n>Yを満たすような第一、第二、第三の孔部(23、24、25)を開けることができれば、特に制限はない。例としては、YAGレーザをガス拡散層5に照射することや、注射針などの細い部材を用いて、ガス拡散層を貫通させることで、第一、第二、第三の孔部(23、24、25)を作製しても良い。
次に、より詳細に本発明に係る固体高分子形燃料電池単セル、および膜電極接合体について説明する。
本発明におけるガス拡散層は、ガス拡散性と導電性とを有する材質から成るものであれば何でもよい。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、不織布などのポーラスカーボン材を用いてもよい。
ガス拡散層への撥水加工は、フッ素系樹脂を分散させた溶液にガス拡散層を浸し、フッ素樹脂の融点以上の温度で焼結させることにより形成してもよい。フッ素系樹脂としては、PTFE等を利用してもよい。撥水加工をされたガス拡散層は、膜電極接合体中の余分な水分を効率よく排出する働きをする。
MPLはカーボン粒子とフッ素系樹脂とを混練して、フッ素系樹脂の融点以上の温度で焼結させることにより形成してもよい。フッ素系樹脂としては、PTFE等を利用してもよい。MPLは、触媒インクがガス拡散層の中に染み込むことを防止することができ、その塗布量が少ない場合でもMPL上に堆積して三相界面を形成できる。また、電解質膜中により多くの水分を保持させる働きや膜電極接合体中の余分な水分を効率よく排出する働きをする。
MPLは基本的にはガス拡散層の中でも触媒層側に付与され、水の排出や保持の管理に使われるが、MPLがガス拡散層のセパレータ側にも付与され、ガス拡散層の両面にMPLが付与されているタイプでも良い。MPLがセパレータ側のガス拡散層に付与されていると、より水の排出性に効果があることや、ガス拡散層とセパレータ間の接触が良くなり、セル抵抗が低くなる効果がある。
また、MPLがガス拡散層のセパレータ側に付与されている場合、ガス拡散層を単セル内に組み入れ潰した際に、セパレータのガス流路の凸部の跡が残りやすい。
また、ガス拡散層の水の排出性や保持性は、単セルに組み入れたときのガス拡散層基材の潰れ具合にもよる。ガス拡散層基材の潰れ具合は、燃料ガスの単セルからの漏れを防止するために使用されているガスケットの厚みや単セルの締め付け具合に依拠する。本発明はセパレータとガス拡散層の電子伝導性を確保するため及びガス拡散層にセパレータのガス流路の凸部の跡を残すためにもガス拡散層基材が少なくとも潰されていることが求められるが、中でも7〜9割程度潰されていることが望ましい。
本発明におけるセパレータは、燃料ガスが供給されるためのガス流路を有し、集電体としての役割を持つものであればよい。燃料電池セパレータの基材としては、非金属系と金属系に分けられ、非金属系セパレータとしては、例えば緻密カーボングラファイト等のカーボン系材料、樹脂材料を用いてもよい。金属系の材料としては、例えばステンレス鋼(SUS)、チタン、アルミニウム等を用いてもよい。なお、ガス拡散層とセパレータとは一体構造となっていても構わない。金属系の場合は、錆止め防止のための導電性樹脂がコーティングされているタイプでも構わない。
本発明の膜電極接合体に用いられる高分子電解質膜としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いてもよい。フッ素系高分子電解質としては、例えば、Dupont社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、Gore社製Gore Select(登録商標)などを用いてもよい。炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いてもよい。中でも、高分子電解質膜としてDupont社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いてもよい。
本発明の膜電極接合体において高分子電解質膜の両面に形成される電極触媒層は、触媒インクを用いて形成される。触媒インクは、少なくとも、触媒を担持する電子伝導物質と高分子電解質と溶媒とを含む。
本発明の触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜と同様の素材を用いてもよい。フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いてもよい。フッ素系高分子電解質としては、例えば、Dupont社製Nafion(登録商標)系材料などを用いてもよい。また、炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いてもよい。中でも、高分子電解質としてDupont社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いてもよい。なお、電極触媒層と高分子電解質膜との密着性を考慮すると、高分子電解質膜と同一の材料を用いることが好ましい。
本発明で用いる触媒物質としては、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属又はこれらの合金、または酸化物、複酸化物等を使用してもよい。また、これらの触媒の粒径は、0.5〜1μmが好ましい。更に好ましくは1〜5nmが良い。
これらの触媒を担持する電子伝導物質は、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンを使用してもよい。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10〜100nmが良い。さらには、触媒が電子伝導物質に担持されていなくても構わない。混合しただけの場合でも良い。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒を担持した電子伝導物質や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はない。
触媒インクは必要に応じて分散処理がおこなわれる。触媒インクの粘度、粒子のサイズは、触媒インクの分散処理の条件によって制御されてもよい。分散処理は、様々な装置を用いておこなうことができる。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理などが挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザーなどを用いても良い。
触媒インク中の固形分含有量は、多すぎると触媒インクの粘度が高くなるため電極触媒層表面にクラックが入りやすくなり、また逆に少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまうため、0.1質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。また触媒インクの粘度は、0.1cP以上2000cP以下の範囲内であることが好ましく、さらには5cP以上100cP以下の範囲内であることが好ましい。
触媒インクから膜電極接合体を作製する方法は多数考えられているが、本発明は膜電極接合体の作製方法にはよらない。膜電極接合体の作製方法としては、例えば、転写シートもしくはガス拡散層から選択される基材上に触媒インクを塗布し、該塗膜を乾燥し基材上に電極触媒層を形成し、基材上の電極触媒層と高分子電解質膜を熱プレスし、さらに基材が転写シートの場合はシートを剥がして膜電極接合体とする方法や、高分子電解質膜に直接触媒インクを塗布し、乾燥させ、熱プレスを行うことで膜電極接合体を得る方法等がある。
以下に、基材として転写シートを用いて膜電極接合体を作製する場合を説明する。基材として用いられる転写シートとしては、転写性がよい材質であればよい。基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜に電極触媒層を接合後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体とすることができる。転写シートには離型剤が付着したものであっても良い。
触媒インク塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などを用いてもよい。
乾燥工程の温度は、特に制限されるものではないが(基材温度)℃以上150℃以下でおこなうことが好ましい。これよりも温度を高くすると、電極触媒層の乾燥ムラの発生や、高分子電解質膜に与える熱処理の影響も大きくなるため、適切でない。触媒インク中の溶媒の沸点以上では蒸発速度が著しく大きくなることから、溶媒の沸点未満であることが好ましい。
熱プレス工程で用いられる保護フィルムは、フィルム自身の平滑性が保たれており、熱プレス時、基材や電極触媒層、高分子電解質膜に余計な応力をかけないものであれば良い。保護フィルムの外側に挟み込まれるプレス部材は、圧力や温度を面内に均一にかけることや緩衝材の役割を果たす。このプレス部材は平滑性が保たれており、熱プレス時に、触媒が塗布される基材や電極触媒層、高分子電解質膜に余計な応力をかけないものであれば良い。
熱プレス工程で高分子電解質膜及び電極触媒層にかけるプレス圧力は、膜電極接合体の電池性能に影響する。電池性能の良い膜電極接合体を得るには高分子電解質膜及び電極触媒層にかけるプレス圧力は、0.5MPa以上20MPa以下の範囲内であることが好ましく、さらには1MPa以上15MPa以下の範囲内であることが好ましい。プレス圧力が上記範囲を超える場合には電極触媒層が圧縮されすぎて、電池性能が低下することがある。またプレス圧力が上記範囲を下回る場合には電極触媒層と高分子電解質膜の接合性が低下して電池性能が低下することがある。
また、熱プレスの温度は、高分子電解質膜および電極触媒層の高分子電解質のガラス転移点付近に設定するのが好ましい。具体的には、熱プレスの温度は(高分子電解質膜のガラス転移点−40℃)以上(高分子電解質膜のガラス転移点+60℃)以下の範囲内であることが好ましい。熱プレスの温度が(高分子電解質膜のガラス転移点−40℃)を下回る場合、電極触媒層と高分子電解質膜の間で十分な界面密着性が得られず電池性能が低下することがある。一方、熱プレスの温度が(高分子電解質膜のガラス転移点+60℃)を超える場合は、高分子電解質が軟化して電極触媒層の空孔がつぶれてしまいガスや生成水の拡散性が低下し電池性能が低下することがある。
以上に該当する実施形態に即して、第一および第二、第三の実施形態に該当するガス拡散層を用いたところ、水の排出性が向上したことが確認された。また、水の排出性が高まったことで、発電に余分な水をより多くセル内から排除することができ、ガスの拡散性を高め、ガスの利用率を向上させることができた。発電に余分な水を排除することにより、単セルの発電性能向上に寄与することができた。
また、ガス拡散層とセパレータの密着性が良好であり、ガス拡散層に第一の孔部、第二の孔部、および第三の孔部ともに、セパレータのガス流路の凸部とアライメント精度の良い孔を簡便に作製することができた。
本発明の固体高分子形燃料電池単セルは、ガス拡散層に第一、第二、および第三の孔部を設けることにより、電極反応により発生した余分な水の排出が促進され、かつ安定的に単セル外部に余分な水を抜け出させるといった水の拡散性、および余分な水による燃料ガス供給の阻害を減らすといったガスの拡散性を良好にすることができるため、発電性能向上に寄与する。また、電極反応に余分な水が単セル外部に抜けやすくなるため、カソードに供給されるガスが少量でも余分な水の排出が行われるので、ガスの流量を減らすことにも寄与する。また、本発明におけるガス拡散層に設けた孔部の製造方法は簡便であるため、生産性も高い。したがって、本発明は高分子形燃料電池、特に家庭用燃料電池システムや燃料電池自動車などにおける、燃料電池単セルやスタックに好適に活用することができる。
1・・・・高分子電解質膜
2・・・・カソード触媒層
3・・・・アノード触媒層
4・・・・カソードガス拡散層
4´・・・アノードガス拡散層
5・・・・ガス拡散層
6・・・・空気極(カソード)
7・・・・燃料極(アノード)
8・・・・ガス流路
9・・・・冷却水流路
10・・・セパレータ
11・・・リブ
12・・・膜電極接合体
13・・・ガス入口
14・・・ガス出口
15・・・ガス流路の凸部
16・・・ガス流路の凹部
16´・・ガス流路の凹部16とガス流路の凸部15を介して隣接する凹部
17・・・第一の開口部
18・・・第二の開口部
19・・・第三の開口部
20・・・第四の開口部
21・・・細路部
22・・・ガス流路の凸部に接するガス拡散層の領域
23・・・第一の孔部
24・・・第二の孔部
25・・・第三の孔部

Claims (14)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、前記高分子電解質膜および前記電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、前記高分子電解質膜、前記電極触媒層、および前記ガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、
    前記ガス拡散層は、前記流路の凸部に接する面に設けた第一の開口部と前記電極触媒層側の面に設けた第二の開口部とを結ぶ細路部からなる第一の孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セル。
  2. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、前記高分子電解質膜および前記電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、前記高分子電解質膜、前記電極触媒層、および前記ガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、
    前記ガス拡散層は、前記流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部と前記流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セル。
  3. 前記ガス拡散層は、前記流路の凹部に前記流路の凸部を介して隣接する凹部に対向する面に設けた第四の開口部と前記流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第三の孔部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  4. 前記第一の開口部および前記第二の開口部の直径の最大値が、前記第一の開口部が形成される前記ガス拡散層に接する前記流路の凸部の幅の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  5. 前記第三の開口部および前記第四の開口部の直径の最大値が、それぞれ、前記第三の開口部および前記第四の開口部が各々形成される前記ガス拡散層の面に対向する前記流路の凹部の幅の50%以下であることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  6. 前記細路部が直線形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  7. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する電極触媒層と、前記高分子電解質膜および前記電極触媒層を挟持するガス拡散層と、凸部および凹部で形成された流路を有し、前記高分子電解質膜、前記電極触媒層、および前記ガス拡散層を挟持するセパレータと、を具備する固体高分子形燃料電池単セルにおいて、
    前記ガス拡散層は、前記流路の凸部に接する面に設けた第一の開口部と前記電極触媒層側の面に設けた第二の開口部とを結ぶ細路部からなる第一の孔部、
    前記流路の凹部に対向する面に設けた第三の開口部と前記流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第二の孔部、
    および前記流路の凹部に前記流路の凸部を介して隣接する凹部に対向する面に設けた第四の開口部と前記流路の凸部に接するガス拡散層の領域内とを結ぶ細路部からなる第三の孔部のうち少なくとも2つの孔部が交差してなる孔部を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池単セル。
  8. 前記ガス拡散層が、前記孔部を複数有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  9. 前記ガス拡散層が、前記流路長を半分に分け、燃料ガスまたは酸化剤ガスが最初に流れる流路の半分を上流、後に流れる流路の半分を下流としたとき、前記上流と前記下流とで数の異なる前記孔部を有することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  10. 前記流路の凸部における直線部のうち1本の前記直線部の長さをXとし、前記1本の前記直線部に直径Yの前記孔部がn個存在するとき、X/2n>Yを満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  11. 前記ガス拡散層が撥水性を有することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  12. 前記ガス拡散層の表面に撥水性の樹脂を持つ粒子層を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セル。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池単セルに用いる前記ガス拡散層の製造方法において、前記膜電極接合体および両極における前記ガス拡散層に燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏れを防止するシール材を付加して前記燃料電池単セルの中に組み入れ、いったん前記燃料電池単セルから前記燃料電池単セルを構成する各部材を取り出し、前記両極における前記ガス拡散層に残る前記セパレータのガス流路の凸部分の跡を用いて孔部を形成することを特徴とするガス拡散層の製造方法。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の燃料電池単セルを複数有し、前記燃料電池単セルが積層されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池スタック。
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