JP2006338942A - 電解質膜−電極接合体、および、燃料電池 - Google Patents

電解質膜−電極接合体、および、燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】OCV保持時の電解質膜の分解を有効に抑制できる電解質膜−電極接合体を提供する。
【解決手段】高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の一方の側に配置された、第一のカソード触媒層と、前記高分子電解質膜の他方の側に配置された、第一のアノード触媒層と、前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する電解質膜−電極接合体において、前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において温度が相対的に高くなる領域に、前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する、電解質膜−電極接合体。
【選択図】図7

Description

本発明は、電解質膜−電極接合体(MEA)に関し、特に燃料電池用電解質膜−電極接合体に関するものである。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、電解質膜−電極接合体を、ガス拡散層さらにはセパレータで挟持した構造となっている。電解質膜−電極接合体は、高分子電解質膜が一対の電極触媒層により挟持されてなるものである。また、水素含有ガスなどの燃料および酸化剤ガスが相互に混合するのを防止するために、MEAのエッジ領域をシールすることが行われている(特許文献1および2)。
上記したようなMEAを有する固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された水素含有ガス燃料に含まれる水素は、触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる(2H→4H+4e)。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらに電極触媒層と接触している高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する(O+4H+4e→2HO)。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
特開平5−242897号公報 特開平5−21077号公報
固体高分子型燃料電池では、コストとともに電池の寿命が問題となっている。電池の寿命としては、自動車で5000時間、家庭用では4万時間ともいわれ、長期にわたって高い発電性能を維持することが求められている。
しかしながら、従来の固体高分子型燃料電池では、電解質膜が劣化する問題があった。この劣化メカニズムを図1を参照しながら説明する。すなわち、電解質膜は完全にガスを遮断(不透過状態)するものではないため、酸化剤ガスや水素含有ガス燃料の濃度勾配(分圧)によっては、アノード側からカソード側に向かって水素が、カソード側からアノード側に向かって酸素が、僅かながら透過(溶解拡散)している(このような現象を「クロスリーク」とも称する)。特にOCV時は、カソードと電解質膜の界面における酸素濃度は、発電時に比べて高いため、電解質膜を介してカソード側からアノード側へ溶解拡散する酸素量も、発電時に比べて多くなる。このため、クロスリークにより酸素がカソード側からアノード側へ移行して、酸素がアノード側で水素と直接反応して、H+O→Hの反応が起こって、過酸化水素(H)が生成し、また、水素がアノード側からカソード側へ移行して、水素がカソード側で酸素と直接反応して、同様にして過酸化水素が生成する。この過酸化水素は、電解質膜またはアノード若しくはカソードに含まれる電解質成分(アイオノマー)を分解して、電解質膜を化学的に劣化させることが知られている。
燃料電池における発電反応は発熱反応であり、これによりMEAにおいて温度分布が生じると、温度が高い領域でガスのクロスリークが促進されて触媒上で過酸化水素の生成反応が進行する。従って、MEAにおいて温度が高い領域では、過酸化水素の濃度が高くなり、触媒層や高分子電解質膜に含まれる電解質成分の劣化が顕著に生じる。触媒層において温度が低い領域での電解質成分の劣化が少なくても、温度が高い領域の電解質成分の劣化が大きいことに起因して、電池全体の発電性能が低下する傾向がある。
従って、従来の固体高分子型燃料電池では、電解質膜や触媒層に含まれる電解質成分の劣化によって十分な耐久性がえられず、長期にわたって高い発電性能を維持することが困難であった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、OCV保持時の電解質膜の分解を有効に抑制できる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の一方の側に配置された、第一のカソード触媒層と、
前記高分子電解質膜の他方の側に配置された、第一のアノード触媒層と、
前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する電解質膜−電極接合体において、
前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において温度が相対的に高くなる領域に、前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する、電解質膜−電極接合体により上記課題を解決する。
本発明の電解質膜−電極接合体は、OCV保持時の電解質膜の分解が有効に防止/抑制できる。従って、前記電解質膜−電極接合体によれば、OCV保持時の電解質膜の分解を有効に抑制できる燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の第一は、高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の一方の側に配置された、第一のカソード触媒層と、
前記高分子電解質膜の他方の側に配置された、第一のアノード触媒層と、
前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する電解質膜−電極接合体において、
前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において温度が相対的に高くなる領域に、前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する、電解質膜−電極接合体である。
以下、本発明の電解質膜−電極接合体を水素含有ガスを燃料として用いた高分子電解質型燃料電池を例にとって説明する。
上記の通り、電解質成分の劣化によるMEAの発電性能の低下を防止するには、MEAを発電した際に温度が相対的に高くなる領域における電解質成分の劣化を抑制するのがよい。そこで、本発明のMEAは、電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において温度が相対的に高くなる領域に、対極からのクロスリークガスが発電反応を行う触媒層内へ拡散するのを抑制することを目的として、発電反応を行う触媒層と高分子電解質膜との間に第二の触媒層を有することを特徴とするものである。
すなわち、本発明のMEAは、アノード側で、対極であるカソード側からクロスリークしてきた酸化剤ガスを低減させる機能を有する層が、運転(発電)時に2H→4H+4eの反応が起こるアノード触媒層と高分子電解質膜との間に形成されてなる構成を有する。このように、酸化剤ガスを低減させる機能を有する層が、高分子電解質膜とアノード触媒層との間の温度が相対的に高くなる領域に存在することにより、アノード側にクロスリークした酸化剤ガスがアノード触媒層内に拡散するのを抑制することができ、アノード触媒層における過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。
なお、本発明において、運転(発電)時に2H→4H+4eの反応が主として起こるアノード触媒層を「第一のアノード触媒層」とし、酸化剤ガスを低減させる機能を主として有する層を「第二のアノード触媒層」とする。
また、本発明のMEAは、カソード側で、対極であるアノード側からクロスリークしてきた水素含有ガスなどの燃料を低減させる機能を有する層が、運転(発電)時にO+4H+4e→2HOの反応が起こるカソード触媒層と高分子電解質膜との間の温度が相対的に高くなる領域に形成されてなる構成を有する。水素含有ガス燃料を低減させる機能を有する層によれば、上述した第二のアノード触媒層と同様にして、カソード触媒層における過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。
なお、本発明において、運転(発電)時にO+4H+4e→2HOの反応が主として起こるカソード触媒層を「第一のカソード触媒層」とし、燃料を低減させる機能を主として有する層を「第二のカソード触媒層」とする。
さらに、本発明のMEAは、第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成されたガス不透過性のガスケット層を有する。前記ガスケット層を有することにより、酸化剤ガスがアノード側にクロスリークするのをより確実に抑制でき、MEAに供給する酸化剤ガス量も低減することが可能となり燃費向上にも繋がる。なお、本明細書では、カソード触媒層の端部に形成・配置されるガスケット層を、単に「第一のガスケット層」と称する。
このように本発明のMEAは、前記第二のアノード触媒層および/または前記第二のカソード触媒層を有することにより、MEAにおけるクロスリークガスを低減させるとともに、ガスケット層を設けることにより酸化剤ガスのクロスリークをより確実に防止することができ、過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。これにより、過酸化水素による高分子電解質膜および触媒層に含まれる電解質成分の劣化をより高く防止/抑制することができ、かようなMEAを用いた燃料電池は、起動停止/連続運転時及びOCV時の性能をより長期間維持でき耐久性に優れ、燃費もより向上させることができる。
以下、本発明のMEAについてより具体的に説明する。
本発明のMEAは、前記第二のアノード触媒層および前記第二のカソード触媒層のうちいずれか一方を有していればよい。しかしながら、クロスリークガスによる過酸化水素の生成はアノード触媒層の方が生じやすいことから、前記第二のアノード触媒層を有することがより好ましい。また、クロスリークガスによる過酸化水素の生成をより確実に抑制する観点からは、前記第二のアノード触媒層および前記第二のカソード触媒層の双方を有するのが特に好ましい。
前記第二のアノード触媒層および/または前記第二のカソード触媒層は、高分子電解質膜と第一の触媒層との間の特定の領域、すなわち、MEAを用いて発電する際にMEAの面内において、温度が相対的に高くなる領域に配置される。具体的には、MEAを用いて発電する際にMEAの面内、特に第一の触媒層の面内、特に第一の触媒層の面内において、温度が50℃以上、特に90℃以上となる領域に配置されるのがよい。かような高温となる領域ではガスのクロスリークが促進されて過酸化水素の生成量が多くなる傾向があるため、第二の触媒層を配置してクロスリークガスを低減させるのが望ましい。
このようにMEAを用いて発電する際にMEAの面内において温度が相対的に高くなる領域は、前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に前記電解質膜−電極接合体の面内において電流密度が相対的に高くなる領域となる傾向がある。従って、本発明のMEAでは、発電する際に前記電解質膜−電極接合体の面内において電流密度が相対的に高くなる領域に、具体的には電流密度が0.5〜3.0A/cm、特に0.9〜2.0A/cmとなる領域に、前記第二のアノード触媒層および/または前記第二のカソード触媒層が配置されるのがよい。
MEAにおいて電流密度が相対的に高くなる領域は、燃料ガス、または酸化剤ガスの加湿水分とカソードの酸素還元反応により生成する水分が反応ガスの拡散を妨げることが少ない領域、または、燃料ガス、または酸化剤ガスの加湿水分とカソードの酸素還元反応により生成する水分が高分子電解質膜に拡散し、プロトン伝導抵抗が低下する領域であることから、主に燃料電池の燃料ガスと酸化剤ガスの入口配管およびガス流路の相対的な位置関係によって最適な構成が決定される。
例えば、図2に示すMEAでは、燃料ガスと酸化剤ガスが対向流である場合、第一のカソード触媒層と高分子電解質膜との間であって、電流密度が相対的に高くなる領域として第一のカソード触媒層の酸化剤ガス流れ方向上流側(高分子電解質膜を介して対向する第一のアノード触媒層については、燃料ガス流れ方向下流側)に第二のカソード触媒層が配置されてなる構成を有する。なお、図2に示すMEAでは、説明の都合上、第一のガスケット層を省略している。
また、MEAを用いて発電する際にMEAの面内において温度が相対的に高くなる領域は、周囲に伝熱媒体が少ないことから、放熱性の高い、燃料電池端部と相対的に温度が上昇するため、MEAの面内における中央部近傍となり易い。従って、本発明のMEAでは、発電する際に前記電解質膜−電極接合体の面内における中央部近傍に前記第二のアノード触媒層および/または前記第二のカソード触媒層が配置されてもよい。例えば、図3に示すMEAでは、第一のアノード触媒層と高分子電解質膜との間であって、温度が相対的に高くなる領域としてMEAの面内における中央部近傍に第二のアノード触媒層が配置されてなる構成を有する。なお、図3に示すMEAでは、説明の都合上、第一のガスケット層を省略している。
次に、本発明のMEAは、前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層を有する。
第一のガスケット層が、前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成されるとは、MEAの厚み方向において第一のカソード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位を有していればよく、第一のカソード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位の間に第二のカソード触媒層が配置されていてもよい。
第一のガスケット層は、カソード触媒層の端部の少なくとも一部に、カソード触媒層の端部から外側に向かって高分子電解質膜上に形成される。しかしながら、カソード触媒層の酸化剤ガスのクロスリーク量の低減を考慮すると、第一のガスケット層が第一のカソード触媒層の端部全域および高分子電解質膜の全周縁部に形成されることが好ましい。
本発明のMEAにおいて、前記第一のアノード触媒層の有効面積が、前記第一のカソード触媒層の有効面積よりも大きくなるように形成されているのが好ましい。
本明細書において、「第一のアノード触媒層の有効面積」とは、第一のアノード触媒層のうち、運転(発電)時に2H→4H+4eの反応が起こる領域の面積を意味し、具体的には、後述する第二のガスケット層と重ならない第一のアノード触媒層領域における高分子電解質膜と接する面の面積とする。
また、本明細書において、「第一のカソード触媒層の有効面積」とは、第一のカソード触媒層のうち、運転(発電)時にO+4H+4e→2HOの反応が起こる領域の面積を意味し、具体的には、第一のガスケット層と重ならない第一のカソード触媒層領域における高分子電解質膜と接する面の面積とする。
従来の固体高分子型燃料電池では、アノード触媒層とカソード触媒層との形成位置(電解質膜−電極接合体の厚み方向に対する)が完全に一致せずに位置ずれが生じている場合が多く、アノードが対向しないカソード領域で特にカソード電位と電解質電位との差が大きくなり、アノードが存在する領域(中央部)に比べて、導電性担体であるカーボンの腐食(C+2HO→CO+4H+4e)が起こり、電気化学的な触媒有効表面積の低下が顕著に現れる。
そこで、本発明では、第一のアノード触媒層の有効面積が第一のカソード触媒層の有効面積より大きくすることで、第一のカソード触媒層においてカソード電位と電解質電位との差が大きい部分を有意に低減できるため、第一のカソード触媒層におけるカーボンの腐食が効果的に防止/抑制できる。
また、第一のアノード触媒層の有効面積を第一のカソード触媒層の有効面積よりも大きくした場合、第一のアノード触媒層において高分子電解質膜を介して対向する部位に第一のカソード触媒層が存在しない部位が生じる。第一のアノード触媒層におけるかような部位では、第一のカソード触媒層が存在しないため、カソード側に供給された酸化剤ガスのクロスリーク量が多くなる恐れがある。しかしながら、本発明では、第一のカソード触媒層の端部を第一のガスケット層でシールしているため、酸化剤ガスのクロスリークが特に顕著に起こる領域を有意に低減できる。したがって、前記形態を有するMEAは、第一のカソード触媒層のみが存在する周囲部がほとんどまたは全く存在せず、第一のカソード触媒層端部でのカソードからアノードへの酸化剤ガスのクロスリークがほとんどまたは全く起こらない構造をとることができる。
本発明では、第一のガスケット層をカソード触媒層の端部に形成することを必須の構成要件とするが、前記第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に、または、前記第一のアノード触媒層の周囲部の少なくとも一部に、第二のガスケット層をさらに有するのが好ましい。アノード触媒層側にもガスケット層を形成することで、有効カソード触媒層と有効アノード触媒層との位置合わせが正確にかつ容易に行なえ、起動停止/連続運転中のカーボン担体の腐食やOCV保持時の電解質膜の分解が有効に防止/抑制できるからである。なお、本明細書では、このアノード触媒層の端部および/または周囲部に形成されるガスケット層を、単に「第二のガスケット層」と称する。
ここで、「端部に第二のガスケット層を形成する」とは、第一のアノード触媒層と第二のガスケット層が厚み方向に対して重なることを意味し、他方、「周囲部に第二のガスケット層を形成する」とは、第一のアノード触媒層と第二のガスケット層が厚み方向に対して重ならないことを意味する。また、ガスケット層を、第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に形成するとは、MEAの厚み方向において第一のアノード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位を有していればよく、第一のアノード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位の間に第二のアノード触媒層が配置されていてもよい。
第二のガスケット層は、第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に、第一のアノード触媒層の端部から外側に向かって高分子電解質膜上に形成することが望ましい。しかしながら、各触媒層の有効面積の調整の容易さやガス(水素含有ガスや酸化剤ガス)のシール性などを考慮すると、第二のガスケット層が第一のアノード触媒層の端部全域および高分子電解質膜の全周縁部に形成されることが好ましい。
本発明のMEAの好ましい形態は、高分子電解質膜のアノード側表面において、周縁部を残した中央部に第一のアノード触媒層が形成され、前記周縁部には第一のアノード触媒層の端部と重なるように第二のガスケット層が形成され、さらに、第一のアノード触媒層と高分子電解質膜との間の特定の領域に第二のアノード触媒層が形成されてなる形態が挙げられる。また、高分子電解質膜のカソード側表面において、周縁部を残した中央部に第一のカソード触媒層が形成され、前記周縁部には第一のカソード触媒層の端部と重なるように第二のガスケット層が形成され、さらに、第一のカソード触媒層と高分子電解質膜との間の特定の領域に第二のカソード触媒層が形成されてなる形態が挙げられる。
本発明において、有効アノード触媒層の面積が有効カソード触媒層の面積よりも大きくなること好ましい要件であるが、この際、有効アノード触媒層と有効カソード触媒層のMEAの厚み方向に対する位置関係は、特に制限されないが、図4(a)のように、MEAの厚み方向に対して、有効アノード触媒層内に有効カソード触媒層が完全に含まれる場合;または図4(b)のように、MEAの厚み方向に対して、有効カソード触媒層が部分的に有効アノード触媒層内に含まれる場合のいずれであってもよいが、前者の場合がより好ましい。同様にして、各触媒層の位置関係に関しても、特に制限されないが、図4(a)のように、MEAの厚み方向に対して、アノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合;図4(b)のように、MEAの厚み方向に対して、カソード触媒層が部分的にアノード触媒層内に含まれる場合;または図4(c)のように、MEAの厚み方向に対して、カソード触媒層がアノード触媒層と同位置に配置される場合のいずれであってもよいが、カソード触媒層がアノード触媒層と同位置に配置される場合及びアノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合がより好ましく、アノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合が特に好ましい。
本発明のMEAでは、第一のカソード触媒層の端部に第一のガスケット層が形成され、より好ましくは第一のアノード触媒層の端部に第二のガスケット層が形成される形態を有する。これにより、ガス(水素含有ガスや酸化剤ガス)のシール性を向上させることでクロスリークガス量を低減させるだけでなく、各触媒層の有効面積を容易にかつ正確に調節できる。このため、各触媒層の端部が電解質膜−電極接合体の厚み方向に対して同位置で終結するように、各触媒層を予め正確に位置合わせしなければいけない必要がないため、工業的な大量生産を考慮すると非常に望ましい。
すなわち、第一のカソード触媒層の端部と第一のアノード触媒層の端部は、電解質膜−電極接合体の厚み方向に対して、図5に示すようにほぼ同位置で終結していてもよいが、図6に示すように位置がずれていてもよい。このような場合であっても、ガスケット層を、各触媒層が所望の大きさ及び位置関係にあるように、触媒層端部に適宜形成すればよいからである。なお、図5および6は、本発明のMEAにおける第一のアノードまたはカソード触媒層の端部の模式図を示したものであり、第二のアノードおよび/または触媒層の記載は省略してある。
上述したように、本発明では、第一のアノード触媒層の有効面積が第一のカソード触媒層の有効面積より大きいことが好ましいことから、図6に示すように第一のカソード触媒層を予め第一のアノード触媒層の大きさより小さくしておくことにより、使用する触媒や電解質の量を少なく抑えられ、また、ガスケット層部分との重複も少なくできるため、経済的に好ましい。
次に、本発明の電解質膜−電極接合体の各層が含有する成分について説明する。
まず、第一および第二ならびにアノードおよびカソードにそれぞれ用いられる触媒層は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含む。
第一および第二のカソード触媒層に用いられる触媒成分は、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、第一および第二のアノード触媒層に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒をして合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。
なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。
第一および第二のカソード触媒層に用いられる触媒成分及び第一および第二のアノード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、第一および第二のならびにカソードおよびアノードに用いられる触媒層用の触媒成分についての説明は、いずれについても同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、第一および第二のならびにカソードおよびアノードに用いられる各触媒層用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒層インクに用いられる触媒粒子の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、触媒層インクに含まれる触媒粒子の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
電極触媒における導電性担体は、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g未満であると前記導電性担体への触媒成分および固体高分子電解質の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m/gを超えると触媒成分および固体高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
また、前記導電性担体の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
前記導電性担体に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%を超えると、触媒成分の導電性担体上での分散度が下がり、担持量が増加するわりに発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。また、前記担持量が、10質量%未満であると、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり好ましくない。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
本発明の第一および第二のならびにカソードおよびアノードに用いられる各触媒層に用いられる高分子電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であればよい。この際使用できる固体高分子電解質は、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
また、導電性担体への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
アノードおよびカソードに用いられる第一の触媒層における電極触媒と高分子電解質との混合比は、所望の発電性能を有する電解質膜−電極接合体が得られるように適宜決定すればよい。具体的には、電極触媒と高分子電解質との混合比は、質量比(電極触媒:高分子電解質)で、好ましくは3:1〜1:1、より好ましくは3:1〜3:2とするのがよい。触媒層において電極触媒の比率が少なすぎると十分な発電性能を有するMEAが得らない恐れがあり、電極触媒の比率が多すぎても電極触媒の増加量に見合った発電性能の向上が見られずMEAのコストアップに繋がる恐れがある。
また、アノードおよびカソードに用いられる第一の触媒層の厚さは、外部から供給されるガスの拡散性および電解質膜−電極接合体の発電性能を考慮すると、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μmとするのがよい。
第二のアノード触媒層における電極触媒と高分子電解質との混合比は、アノードからカソードへのプロトン伝導性向上の観点から、第一のアノード触媒層よりも電解質成分の濃度を高くするのがよい。具体的には、電極触媒と高分子電解質との混合比は、質量比(電極触媒:高分子電解質)で、好ましくは2:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:4とするのがよい。第二のアノード触媒層が、前記組成を有することにより、対極であるカソードからクロスリークしてきた酸化剤ガスを、アノード触媒層から拡散してきた水素含有ガスと反応させて水を生成する反応(2H+O→2HO)が生じて、アノード側における酸化剤ガス濃度を低減させることが可能となる。さらに、クロスリークしてきた酸化剤ガスが第一のアノード触媒層に侵入して過酸化水素を生成したとしても、第二のアノード触媒層が前記組成を有することにより、過酸化水素を、第一のアノード触媒層から拡散してきた水素含有ガスと反応させて分解(H+H→2HO)することも可能となる。従って、前記組成を有する第二のアノード触媒層によれば、クロスリークした酸化剤ガス濃度の低減により過酸化水素の生成を抑制できる他、さらに、第二のアノード触媒層において生成した微量の過酸化水素濃度を低減させることも可能となり、高分子電解質膜および第一のアノード触媒層に含まれる電解質成分の劣化を効果的に抑制することができる。
前記第二のアノード触媒層の厚さは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmとするのがよい。前記厚さが、1μm未満であると第二のアノード触媒層による機能を十分に発揮できない恐れがあり、20μmを超えると第一のアノード触媒層と高分子電解質膜とのプロトン伝導性が低下して電解質膜−電極接合体の発電性能が却って低下する恐れがある。
第二のカソード触媒層における電極触媒と高分子電解質との混合比は、アノードからカソードへのプロトン伝導性向上の観点から、第一のカソード触媒層よりも電解質成分の濃度を高くするのがよい。具体的には、電極触媒と高分子電解質との混合比は、質量比(電極触媒:高分子電解質)で、好ましくは2:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:4とするのがよい。第二のカソード触媒層が前記組成を有することにより、アノード側からクロスリークしてきた過酸化水素を分解(H→O+2H+2e)させることができる。さらに、第二のカソード触媒層は第一のカソード触媒層と同様に電位が高いため、第二のカソード触媒層における前記過酸化水素の分解反応は促進される。これにより、第一のカソード触媒層にアノード側からクロスリークしてきた過酸化水素が侵入するのを抑制することができ、第一のカソード触媒層に含まれる電解質成分の劣化を防止することが可能となる。
前記第二のカソード触媒層の厚さは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmとするのがよい。前記厚さが、1μm未満であると第二のカソード触媒層による機能を十分に発揮できない恐れがあり、20μmを超えると第一のカソード触媒層と高分子電解質膜とのプロトン伝導性が低下して電解質膜−電極接合体の発電性能が却って低下する恐れがある。
次に、本発明の電解質膜−電極接合体は、高分子電解質膜の周縁部にガスケット層を配置し、好ましくはガスケット層の端部と触媒層の端部とを電解質膜−電極接合体の厚さ方向において重ね合せることにより有効触媒層の面積を調整する。
ガスケット層は、気体、特に酸化剤ガスや水素含有ガスに対して不透過であればよいが、一般的には、高分子電解質膜やカソード/アノード触媒層の端部との接着を目的とする接着層及びガス不透過材料からなる不透過層から構成される。この際、不透過層を構成する材料は、膜にした際に酸素や水素含有ガスに対して不透過性を示すものであれば特に制限されない。具体的には、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。接着層に使用できる材料もまた、高分子電解質膜やカソード/アノード触媒層と、ガスケット層を密接に接着できるものであれば特に制限されないが、ポリオレフィン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー等のホットメルト系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル、ポリオレフィン等のオレフィン系接着剤などが使用できる。
不透過層の厚さは、特に制限されないが、15〜40μmが好ましい。また、接着層の厚さは、特に制限されないが、10〜25μmが好ましい。
本発明のMEAに用いられる高分子電解質膜としては、特に限定されず、触媒層に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された高分子微多孔膜にリン酸やイオン性液体等などの液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記高分子電解質膜に用いられる固体高分子電解質と、各電極触媒層に用いられる固体高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、各電極触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質膜の厚みとしては、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜100μmである。製膜時の強度やMEA作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
なお、本発明によるMEAは、下記に詳述されるように、一般的にガス拡散層をさらに有してもよい。ガス拡散層としては、特に限定されず公知のものが同様にして使用でき、例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。前記基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記ガス拡散層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐことを目的として、前記基材に撥水剤を含ませることが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
また、撥水性をより向上させるために、前記ガス拡散層は、前記基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであってもよい。
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。前記カーボン粒子の粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
前記カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
前記カーボン粒子層における、カーボン粒子と撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、カーボン粒子層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
本発明の電解質膜−電極接合体は、上述した通り、触媒担体として用いられるカーボン担体の腐食、および、電解質膜−電極接合体に含まれる電解質成分の劣化を抑制することが可能となる。また、ガスケット層を設けることにより、触媒層の面積および配置を容易に決定することが可能となり、各触媒層を予め正確に位置合わせしなければいけない必要がないため、工業的な大量生産を考慮すると非常に望ましい。従って、かような電解質膜−電極接合体を用いることにより、製造工程が容易であり、耐久性にも優れる信頼性の高い燃料電池を提供することができる。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池、に代表される酸型電解質の燃料電池ダイレクトメタノール燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子型燃料電池が好ましく挙げられる。
燃料電池のアノード側に供給される燃料は、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したため水素含有ガスを例に挙げて説明した。しかしながら、これに限定されず、燃料電池のアノード側に供給される燃料としては、気体および液体のいずれの形態でも使用でき、また、水素含有ガスやメタノールなども使用でき、燃料電池の種類に応じて適宜選択される。
前記燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスッケット層上の第一および/または第二の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の電解質膜−電極接合体は、公知の方法を適宜修飾した方法を使用することにより製造できる。具体的には、高分子電解質膜上に、第二のカソード触媒層および必要であれば第二のアノード触媒層、第一のカソード触媒層、第一のアノード触媒層、及び第一のガスケット層、ならびに必要であれば第二のガスケット層を、適当な配列、例えば、上記した図2および3の組み合わせとなるように形成する方法が使用できる。すなわち、本発明の電解質膜−電極接合体の製造方法としては、下記(1)および(2)の方法が好ましく挙げられる。
(1)高分子電解質膜のカソード側表面に、第一のガスケット層および第二のカソード触媒層を形成した後、前記第一のガスケット層の端部および第二のカソード触媒層を被覆するように第一のカソード触媒層を形成する工程;および
高分子電解質膜のアノード側表面に、第一のアノード触媒層を形成する工程;を有する方法が挙げられる。前記方法によれば、図2に示す形態を有するMEAが得られる。
前記(1)の方法において、高分子電解質膜のアノード側表面にも第二のアノード触媒層を形成する場合には、前記第一のアノード触媒層を形成する工程が、第二のアノード触媒層を形成した後、前記第二のアノード触媒層を被覆するようにして第一のアノード触媒層をさらに形成する工程とするのがよい。
また、前記(1)の方法において、高分子電解質膜のアノード側表面に第二のガスケット層を配置する場合には、前記第一のアノード触媒層を形成する工程が、高分子電解質膜のアノード側表面に、第二のガスケット層を配置した後、第一のアノード触媒層を形成する工程とするのがよい。この時、前記第一のアノード触媒層は、第二のガスケット層の端部を被覆するように形成されるのが好ましい。
(2)高分子電解質膜のアノード側表面に、第二のアノード触媒層を形成した後、前記第二のアノード触媒層を被覆するようにして第一のアノード触媒層をさらに形成する工程;および
高分子電解質膜のカソード側表面に、第一のガスケット層を形成した後、前記第一のガスケット層の端部を第一のカソード触媒層の端部が被覆するように、前記第一のカソード触媒層を形成する工程;を有する方法が挙げられる。前記方法によれば、図3に示す形態を有するMEAが得られる。
前記(2)の方法において、高分子電解質膜のカソード側表面に第二のカソード触媒層を形成する場合には、前記第一のカソード触媒層を形成する工程が、高分子電解質膜のカソード側表面に、第一のガスケット層および第二のカソード触媒層を形成した後、前記第一のガスケット層の端部および第二のカソード触媒層を被覆するように第一のカソード触媒層を形成する工程とするのがよい。
また、前記(2)の方法において、高分子電解質膜のアノード側表面に第二のガスケット層を配置する場合には、第一のアノード触媒層をさらに形成する工程が、高分子電解質膜のアノード側表面に、第二のガスケット層および第二のアノード触媒層を形成した後、前記第二のガスケット層の端部および第二のアノード触媒層を被覆するように第一のアノード触媒層を形成する工程とするのがよい。
前記(1)および(2)の方法において、第二のカソードまたはアノード触媒層を形成する際に、高分子電解質膜表面の所望の領域に第二のカソードまたはアノード触媒層が形成されるように調整するのがよい。
なお、前記(1)および(2)の方法は、MEAにおいて各層を形成する好ましい工程の順序を記載したものであり、本発明のMEAの製造方法が前記(1)および(2)の方法に限定されるわけではない。
本発明の方法において、第一のアノード触媒層の有効面積が第一のカソード触媒層の有効面積より大きくなるように前記第一のガスケット層及び必要であれば前記第二のガスケット層の形成位置を調整するのがよい。
第一のガスケット層及び必要であれば第二のガスケット層を、第一のカソード触媒層及び第一のアノード触媒層の端部にそれぞれ配置することによって、各触媒層の有効面積を正確に規定することができる。従って、第一のカソード触媒層の端部に第一のガスケット層、及び好ましくは第一のアノード触媒層の端部に第二のガスケット層を形成するため、各触媒層の位置合わせが正確である必要は必ずしもなく、製造方法の簡略化が可能である。即ち、第一のおよび第二のカソード触媒層の端部と第一のおよび第二のアノード触媒層の端部が、電解質膜−電極接合体の厚み方向に対して、ほぼ同位置で終結していてもよいが、第一のおよび第二のカソード触媒層の端部と第一のおよび第二のアノード触媒層の端部の位置がずれていてもよい。このような場合であっても、ガスケット層を、各触媒層が所望の大きさ及び位置にあるように、触媒層端部に適宜形成すればよいからである。従って、MEAの厚み方向において各層の端部が終結する位置が所望の位置となるように、各層を形成または配置すればよい。MEAの厚み方向において各層の端部が終結する位置については、上述の通りである。
また、本発明の方法では、高分子電解質膜と触媒層との間にガスケット層が存在するため、後にガス拡散層などをプレスする際や、燃料電池スタックとして積層する際に高分子電解質膜が破損するなどして触媒層の端部同士が接触してエッジ部の短絡が起こることを防止できるという利点がある。
本発明の方法では、アノードおよびカソードにおける第二の触媒層を形成するには、電極触媒、高分子電解質、および溶剤を所定の混合比で含む第二の触媒層インクを、高分子電解質膜表面に塗布および乾燥させる方法が用いられる。なお、第二のアノード触媒層および第二のカソード触媒層の形成方法としては同様の方法が用いられるため、第二の触媒層の形成方法として纏めて説明する。
第二の触媒層インクに用いられる溶剤としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
第二の触媒層インクにおける電極触媒および高分子電解質などの固形分の含有量は、第二の触媒層インクの全量に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜35質量%とするのがよい。また、第二の触媒層インクにおける電極触媒と高分子電解質との混合比は、質量比(電極触媒:高分子電解質)で、好ましくは2:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:4とするのがよい。
第二の触媒層インクの塗布方法としては、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法など、公知の方法を用いることができる。得られる第二の触媒層が高分子電解質膜表面の所定の領域に形成されるように、第二の触媒層インクを塗布する位置を適宜調整するのがよい。
塗布した第二の触媒層インクの乾燥は、特に制限されないが、真空乾燥機内にてまたは減圧下で、25〜150℃、より好ましくは60〜120℃で、5〜30分間、より好ましくは10〜20分間行えばよい。なお、上記工程において、第二の触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返してもよい。
次に、アノードおよびカソードにおける第一の触媒層を形成するには、電極触媒、高分子電解質、および溶剤を含む第一の触媒層インクを、高分子電解質膜および第二の触媒層表面、または、ガスケット層を部分的に被覆するような状態で高分子電解質膜および第二の触媒層表面に塗布および乾燥させる方法が用いられる。前記溶剤としては、上記したのと同様のものが用いられる。なお、第一のアノード触媒層および第一のカソード触媒層の形成方法としては同様の方法が用いられるため、第一の触媒層の形成方法として纏めて説明する。
第一の触媒層インクにおける電極触媒および高分子電解質などの固形分の含有量は、第一の触媒層インクの全量に対して、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%とするのがよい。また、第一の触媒層インクにおける電極触媒と高分子電解質との混合比は、質量比(電極触媒:高分子電解質)で、好ましくは3:1〜1:1、より好ましくは3:1〜3:2とするのがよい。
第一の触媒層インクの塗布方法および乾燥方法としては、第二の触媒層において上記したのと同様の方法が用いられる。
また、第一の触媒層インクおよび第二の触媒層インクに用いられる高分子電解質、および電極触媒については本発明の第一において上述した通りである。
第二の触媒層インクおよび/または第一の触媒層インクは、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、各インクがうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、エチレングリコール(EG)、ポリビニルアルコール(PVA)、プロピレングリコール(PG)などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、第一の触媒層インクまたは第二の触媒層インクの全質量に対して、好ましくは5〜20質量%である。
ガスケット層の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、高分子電解質膜上の周縁部の少なくとも一部に、あるいは第二の触媒層の端部を被覆しながら高分子電解質膜上の周縁部の少なくとも一部に、上記接着剤を、5〜30μmの厚みになるように塗布した後、上記したようなガス不透過材料を塗布し、これを25〜150℃で、10秒〜10分間加熱することによって接着剤を硬化させる方法などが使用できる。または、予め、ガス不透過材料をシート状に成形した後に、この不透過膜に接着剤を塗布して、ガスケット層を形成した後、これを高分子電解質膜上の周縁部の少なくとも一部に、あるいは第二の触媒層の一部を被覆しながら高分子電解質膜上の周縁部の少なくとも一部に、貼り合わせてもよい。
なお、上記では、各インクを直接塗布することにより、高分子電解質膜に第一の触媒層および第二の触媒層を形成する方法について述べてきたが、本発明のMEAは、転写法などの他の方法によって製造されてもよい。このような場合の製造方法は、特に制限されず、公知の転写方法に適宜修飾を加えて使用できる。
本発明の電解質膜−電極接合体は、さらに、ガス拡散層を有していてもよい。電解質膜−電極接合体にガス拡散層を配置する場合には、上述の通りにして得られた電解質膜−電極接合体をさらにガス拡散層で挟持すればよい。この時、ガス拡散層と触媒層との接合性を向上させるためにホットプレスを行ってもよい。ホットプレスの条件としては、第二の触媒層と高分子電解質膜との接合性を高める際に行う上述したホットプレスの条件と同様である。
次に、本発明の第二の燃料電池について説明する。本発明の第二の燃料電池は以下の構成を有する。
高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の一方の側に配置された第一のカソード触媒層と、
前記高分子電解質膜の他方の側に配置された第一のアノード触媒層と、を有する電解質膜−電極接合体を複数積層した燃料電池において、
前記燃料電池を用いて発電する際に、前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に位置する電解質膜−電極接合体が、
前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層と、
前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する、燃料電池である。
以下、本発明の電解質膜−電極接合体を水素含有ガスを燃料として用いた高分子電解質型燃料電池を例にとって説明する。
上述の通り、MEAにおいて温度が高い領域では、過酸化水素の濃度が高くなり、触媒層や高分子電解質膜に含まれる電解質成分の劣化が顕著に生じる。燃料電池では得られる出力電圧を高くするために、MEAをセパレータなどを介して複数積層させたスタックとして用いる。MEAにおける発電反応は発熱反応であるため、複数積層された各MEAにおいて温度分布が生じる。このとき、温度が相対的に高くなる領域に位置するMEAでは、水素含有ガスなどの燃料または酸化剤ガスのクロスリークが促進されて電解質成分の劣化が顕著に生じる。従って、燃料電池において温度が高い領域に配置されるMEAでは、過酸化水素の濃度が高くなり、触媒層や高分子電解質膜に含まれる電解質成分の劣化が顕著に生じる。
そこで、本発明では、燃料電池を用いて発電する際に、前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAに、対極からのクロスリークガスが発電反応を行う触媒層内へ拡散するのを抑制することを目的として、発電反応を行う触媒層と高分子電解質膜との間に第二の触媒層を有することを特徴とするものである。
すなわち、本発明の燃料電池において上記した特定の領域に配置されるMEAとして、アノード側において、対極であるカソード側からクロスリークしてきた酸化剤ガスを低減させる機能を有する層が、運転(発電)時に2H→4H+4eの反応が起こるアノード触媒層と高分子電解質膜との間に形成されてなる構成を有するMEAを用いる。このように、酸化剤ガスを低減させる機能を有する層が、高分子電解質膜とアノード触媒層との間に存在することにより、アノード側にクロスリークした酸化剤ガスがアノード触媒層内に拡散するのを抑制することができ、アノード触媒層における過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。
なお、本発明において、運転(発電)時に2H→4H+4eの反応が主として起こるアノード触媒層を「第一のアノード触媒層」とし、酸化剤ガスを低減させる機能を主として有する層を「第二のアノード触媒層」とする。
また、本発明の燃料電池では、上記した特定の領域に配置されるMEAに、カソード側において、対極であるアノード側からクロスリークしてきた水素含有ガスなどの燃料を低減させる機能を有する層が、運転(発電)時にO+4H+4e→2HOの反応を行うカソード触媒層と高分子電解質膜との間に形成されてなる構成を有する。水素含有ガスなどの燃料を低減させる機能を有する層によれば、上述した第二のアノード触媒層と同様にして、カソード触媒層における過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。
なお、本発明において、運転(発電)時にO+4H+4e→2HOの反応が主として起こるカソード触媒層を「第一のカソード触媒層」とし、燃料を低減させる機能を主として有する層を「第二のカソード触媒層」とする。
さらに、上記した特定の領域に配置されるMEAにおいて、第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成されたガス不透過性のガスケット層が配置される。前記ガスケット層を有することにより、酸化剤ガスがアノード側にクロスリークするのをより確実に抑制でき、燃料電池に供給する酸化剤ガス量も低減することが可能となり燃費向上にも繋がる。なお、本明細書では、カソード触媒層の端部に形成・配置されるガスケット層を、単に「第一のガスケット層」と称する。
本発明の燃料電池では上記した特定の領域に配置されるMEAが、前記第二のアノード触媒層および/または前記第二のカソード触媒層を有することにより、MEAにおけるクロスリークガスを低減させるとともに、ガスケット層を設けることにより酸化剤ガスのクロスリークをより確実に防止することができ、過酸化水素の生成を抑制することが可能となる。これにより、過酸化水素による高分子電解質膜および触媒層に含まれる電解質成分の劣化をより高く防止/抑制することができ、かような構成を有する燃料電池は、起動停止/連続運転時及びOCV時の性能をより長期間維持でき耐久性に優れ、燃費もより向上させることができる。
以下、本発明の燃料電池についてより具体的に説明する。
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の両側に第一のアノード触媒層と第一のカソード触媒層とが配置されてなるMEAが複数積層されてなる構成を有する。この時、MEAの積層数は、得られる燃料電池の出力電圧を考慮して適宜決定すればよい。例えば、自動車用の燃料電池の場合には、好ましくは50〜500セル、より好ましくは200〜500セルを積層させればよい。
本発明の燃料電池では、このようにMEAが複数積層されてなる燃料電池において、燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAとして、第二のアノードおよび/またはカソード触媒層が配置されてなるMEAを用いる。前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域として具体的には、燃料電池の積層方向の中央部領域を意味し、より具体的には積層数の10〜80%、特に10〜30%程度となる中央部のセル数となる領域とするのが好ましい。
なお、MEAはセパレータを介して複数積層されるが、前記セパレータとしては従来公知のものであれば特に制限なく用いることができ、具体的には本発明の第一において記載したのと同様のものが用いられる。
前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAは、前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する。前記MEAは、前記第二のアノード触媒層および前記第二のカソード触媒層のうちいずれか一方を有していればよい。しかしながら、クロスリークガスによる過酸化水素の生成はアノード触媒層の方が生じやすいことから、前記第二のアノード触媒層を有することがより好ましい。また、クロスリークガスによる過酸化水素の生成をより確実に抑制する観点からは、前記第二のアノード触媒層および前記第二のカソード触媒層の双方を有するのが特に好ましい。
第二のカソードおよび/またはアノード触媒層が、第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間において形成される範囲は、電解質成分の劣化が最も加速される領域とするのがよい。これにより、燃料電池における電解質成分の劣化を効率的に抑制することができる。具体的には、燃料電池を発電する際に、さらに前記MEAの面内において温度が相対的に高くなる領域に第二のアノードおよび/またはカソード触媒層が配置されるのがよい。
前記MEAの面内において温度が相対的に高くなる領域とは、具体的には、燃料電池を運転した際に、MEAにおける温度が50℃以上、特に90℃以上となる領域に配置されるのがよい。かような高温となる領域ではガスのクロスリークが促進されて過酸化水素の生成量が多くなる傾向があるため、第二の触媒層を配置してクロスリークガスを低減させるのが望ましい。
MEAを複数積層させた燃料電池では、電池を良好な温度状態に維持するためにセパレータとセパレータの間などに冷媒流路を挿入し、前記冷媒流路に冷却水を流すことが多い。前記冷媒流路はMEAの面方向と平行に設けられるが、燃料電池を発電させると前記冷媒流路を流れる冷却水は発電反応の発熱により温度が高くなる。これにより、MEAにおいて前記冷媒流路の入口側と出口側とで温度が異なり、MEAの前記冷媒流路の出口側では温度が相対的に高くなる。
従って、前記MEAの面内において温度が相対的に高くなる領域としては、前記冷媒流路の下流近傍と重なる領域が挙げられる。そのため、第二のカソードおよび/またはアノード触媒層が、第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間において形成される領域は、前記冷媒流路の下流近傍と重なる領域とするのがよい。例えば、図7に示すように、第一のカソードおよびアノード触媒層と高分子電解質膜との間の冷媒流路の下流近傍と重なる領域に、第二のカソードおよびアノード触媒層が形成されたMEAなどが好ましく挙げられる。
また、例えば、MEAが冷媒流路を有していない場合、第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間の中央部近傍も温度が相対的に高くなる。従って、第二のカソードおよび/またはアノード触媒層は、第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間の中央部近傍に配置されてもよい。かようなMEAとしては、図3と同様の構成を有するMEAが挙げられる。
本発明の燃料電池では、積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAが、第二のカソードおよび/またはアノード触媒層の他、前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層を有する。
ガスケット層が、前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成されるとは、MEAの厚み方向において第一のカソード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位を有していればよく、第一のカソード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位の間に第二のカソード触媒層が配置されていてもよい。
第一のガスケット層は、カソード触媒層の端部の少なくとも一部に、カソード触媒層の端部から外側に向かって高分子電解質膜上に形成される。しかしながら、カソード触媒層の酸化剤ガスのクロスリーク量の低減を考慮すると、第一のガスケット層が第一のカソード触媒層の端部全域および高分子電解質膜の全周縁部に形成されることが好ましい。
上述の通り、本発明の燃料電池では、積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAとして、第二のカソードおよび/またはアノード触媒層が第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間の中央部近傍に配置されたMEAが用いられてもよく、冷媒流路を有しかつ第二のカソードおよび/またはアノード触媒層が第一のカソードおよび/またはアノード触媒層と高分子電解質膜との間の前記冷媒流路の下流近傍と重なる領域に配置されたMEAが用いられてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
本発明の燃料電池では、少なくとも積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAが、前記第一のアノード触媒層の有効面積が、前記第一のカソード触媒層の有効面積よりも大きくなるように形成されているのが好ましい。これにより、本発明の第一において記載した通り、第一のカソード触媒層においてカソード電位と電解質電位との差が大きい部分を有意に低減できるため、第一のカソード触媒層におけるカーボンの腐食が効果的に防止/抑制できる。また、第一のガスケット層を配置することで、第一のカソード触媒層のみが存在する周囲部がほとんどまたは全く存在せず、第一のカソード触媒層端部でのカソードからアノードへの酸化剤ガスのクロスリークがほとんどまたは全く起こらない構造をとることができる。
本明細書において、「第一のアノード触媒層の有効面積」、および、「第一のカソード触媒層の有効面積」については、本発明の第一において記載した通りである。
本発明の燃料電池では、積層方向において温度が相対的に高くなる領域に配置されるMEAが、第一のガスケット層をカソード触媒層の端部に有することを必須の構成要件とするが、前記第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に、または、前記第一のアノード触媒層の周囲部の少なくとも一部に、第二のガスケット層をさらに有するのが好ましい。アノード触媒層側にもガスケット層を形成することで、有効カソード触媒層と有効アノード触媒層との位置合わせが正確にかつ容易に行なえ、起動停止/連続運転中のカーボン担体の腐食やOCV保持時の電解質膜の分解が有効に防止/抑制できるからである。なお、本明細書では、このアノード触媒層の端部に形成されるガスケット層を、単に「第二のガスケット層」と称する。
ここで、「端部に第二のガスケット層を形成する」とは、第一のアノード触媒層と第二のガスケット層が厚み方向に対して重なることを意味し、他方、「周囲部に第二のガスケット層を形成する」とは、第一のアノード触媒層と第二のガスケット層が厚み方向に対して重ならないことを意味する。また、ガスケット層が第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に形成されるとは、MEAの厚み方向において第一のアノード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位を有していればよく、第一のアノード触媒層の端部とガスケット層の端部とが重なる部位の間に第二のアノード触媒層が配置されていてもよい。
第二のガスケット層は、第一のアノード触媒層の端部の少なくとも一部に、第一のアノード触媒層の端部から外側に向かって高分子電解質膜上に形成することが望ましい。しかしながら、各触媒層の有効面積の調整の容易さやガス(水素含有ガスや酸化剤ガス)のシール性などを考慮すると、第二のガスケット層が第一のアノード触媒層の端部全域および高分子電解質膜の全周縁部に形成されることが好ましい。
上述した特定の領域に配置されるMEAの好ましい形態は、高分子電解質膜のアノード側表面において、周縁部を残した中央部に第一のアノード触媒層が形成され、前記周縁部には第一のアノード触媒層の端部と重なるように第二のガスケット層が形成され、さらに、第一のアノード触媒層と高分子電解質膜との間の特定の領域に第二のアノード触媒層が形成されてなる形態が挙げられる。また、高分子電解質膜のカソード側表面において、周縁部を残した中央部に第一のカソード触媒層が形成され、前記周縁部には第一のカソード触媒層の端部と重なるように第二のガスケット層が形成され、さらに、第一のカソード触媒層と高分子電解質膜との間の特定の領域に第二のカソード触媒層が形成されてなる形態が挙げられる。
前記特定の領域に配置されるMEAにおいて、有効アノード触媒層の面積が有効カソード触媒層の面積よりも大きくなること好ましい要件であるが、この際、有効アノード触媒層と有効カソード触媒層のMEAの厚み方向に対する位置関係は、特に制限されないが、図4(a)のように、MEAの厚み方向に対して、有効アノード触媒層内に有効カソード触媒層が完全に含まれる場合;または図4(b)のように、MEAの厚み方向に対して、有効カソード触媒層が部分的に有効アノード触媒層内に含まれる場合のいずれであってもよいが、前者の場合がより好ましい。同様にして、各触媒層の位置関係に関しても、特に制限されないが、図4(a)のように、MEAの厚み方向に対して、アノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合;図4(b)のように、MEAの厚み方向に対して、カソード触媒層が部分的にアノード触媒層内に含まれる場合;または図4(c)のように、MEAの厚み方向に対して、カソード触媒層がアノード触媒層と同位置に配置される場合のいずれであってもよいが、カソード触媒層がアノード触媒層と同位置に配置される場合及びアノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合がより好ましく、アノード触媒層内にカソード触媒層が完全に含まれる場合が特に好ましい。
本発明の燃料電池において特定の領域に配置されるMEAでは、第一のカソード触媒層の端部に第一のガスケット層が形成されるが、より好ましくは第一のアノード触媒層の端部に第二のガスケット層が形成される形態を有する。これにより、ガス(水素含有ガスや酸化剤ガス)のシール性を向上させることでクロスリークガス量を低減させるだけでなく、各触媒層の有効面積を容易にかつ正確に調節できる。このため、各触媒層の端部が電解質膜−電極接合体の厚み方向に対して同位置で終結するように、各触媒層を予め正確に位置合わせしなければいけない必要がないため、工業的な大量生産を考慮すると非常に望ましい。
すなわち、第一のカソード触媒層の端部と第一のアノード触媒層の端部は、電解質膜−電極接合体の厚み方向に対して、図4に示すようにほぼ同位置で終結していてもよいが、図5に示すように位置がずれていてもよい。このような場合であっても、ガスケット層を、各触媒層が所望の大きさ及び位置関係にあるように、触媒層端部に適宜形成すればよいからである。
上述したように、本発明では、第一のアノード触媒層の有効面積が第一のカソード触媒層の有効面積より大きいことが好ましいことから、図6に示すように第一のカソード触媒層を予め第一のアノード触媒層の大きさより小さくしておくことにより、使用する触媒や電解質の量を少なく抑えられ、また、ガスケット層部分との重複も少なくできるため、経済的に好ましい。
なお、本発明の電解質膜−電極接合体の各層が含有する成分については、本発明の第一に記載したのと同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池、に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子型燃料電池が好ましく挙げられる。
燃料電池のアノード側に供給される燃料は、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したため水素含有ガスを例に挙げて説明した。しかしながら、これに限定されず、燃料電池のアノード側に供給される燃料としては、気体および液体のいずれの形態でも使用でき、また、水素含有ガスやメタノールなども使用でき、燃料電池の種類に応じて適宜選択される。
本発明によれば、電解質成分の劣化が抑制されることにより耐久性に優れかつ燃費効率のよい燃料電池を提供できる。
OCV保持時の酸素のクロスリークを示す説明図である。 本発明の第一の実施態様によるMEAの構造を示す図である。 本発明の第二の実施態様によるMEAの構造を示す図である。 本発明のMEAにおける有効カソード触媒層、有効アノード触媒層、カソード触媒層及びアノード触媒層の配置を示す図である。 本発明の第三の実施態様によるMEAの構造を示す図である。 本発明の第四の実施態様によるMEAの構造を示す図である。 本発明の第五の実施態様によるMEAの構造を示す図である。

Claims (6)

  1. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の一方の側に配置された、第一のカソード触媒層と、
    前記高分子電解質膜の他方の側に配置された、第一のアノード触媒層と、
    前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する電解質膜−電極接合体において、
    前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において温度が相対的に高くなる領域に、前記高分子電解質膜と前記第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と前記第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する、電解質膜−電極接合体。
  2. 前記温度が相対的に高くなる領域は、前記電解質膜−電極接合体を用いて発電する際に、前記電解質膜−電極接合体の面内において電流密度が相対的に高くなる領域である、請求項1に記載の電解質膜−電極接合体。
  3. 前記温度が相対的に高くなる領域は、前記電解質膜−電極接合体の面内における中央部近傍である、請求項1に記載の電解質膜−電極接合体。
  4. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の一方の側に配置された第一のカソード触媒層と、
    前記高分子電解質膜の他方の側に配置された第一のアノード触媒層と、を有する電解質膜−電極接合体を複数積層した燃料電池において、
    前記燃料電池を用いて発電する際に、前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に位置する電解質膜−電極接合体が、
    前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層と、
    前記第一のカソード触媒層の端部の少なくとも一部に形成された第一のガスケット層と、を有する、燃料電池。
  5. 前記燃料電池は、前記電解質膜−電極接合体において発電時に生成する熱を除去するための、前記電解質膜−電極接合体の面内方向と平行に設けられた冷媒流路を有し、前記温度が相対的に高くなる領域は、前記冷媒流路の下流近傍と重なる領域である、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記燃料電池の積層方向において温度が相対的に高くなる領域に位置する電解質膜−電極接合体の面内における中央部近傍に、前記高分子電解質膜と第一のカソード触媒層に挟持されてなる第二のカソード触媒層、および/または、前記高分子電解質膜と第一のアノード触媒層に挟持されてなる第二のアノード触媒層を有する、請求項4に記載の燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012032999A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 シャープ株式会社 膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池
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