JP2009026539A - 燃料電池用膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池用膜電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性と発電効率を向上させた燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【解決手段】カソード触媒層において、触媒粒の質量Wcatに対する高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が、カソード側ガス流路長の50%以上に対応する領域において、固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて減少する当該比の厚さ方向分布を有すると共に、当該比が、カソード触媒層の厚さ方向の前記膜に近い側から遠い側にかけて、所定の第一の値から第二の値に減少する変化点aをつなげて得られる界面Aが、いかなる変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記膜に近づいていくか又は当該膜から等距離を維持し、且つ、前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’をつなげて得られる界面A’が前記上流側から前記下流側にかけて、前記膜に近づいていく当該比の面方向分布を有することを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用膜電極接合体に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。電解質として固体高分子電解質を用いる固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード(燃料極)では(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e …(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは(2)式の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO …(2)
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
固体高分子電解質型燃料電池の場合、燃料及び酸化剤は、通常気体状態(燃料ガス、酸化剤ガス)で燃料電池へ連続的に供給される。それらの気体は、導電体である担体に担持された触媒粒子及びイオン伝導路を確保する高分子電解質との接面である三相界面まで導入され、前記反応が進行する。従って、通常燃料電池の電極には、触媒粒子に均一に高分子電解質を混ぜ合わせた多孔質の電極を用いることが知られている。
しかし上記電極を用いることにより以下3点の問題点を生じる。すなわち湿度低下による電解質膜の劣化と、プロトン移動抵抗の増加、及び酸素拡散の低下、である。
湿度低下による電解質膜劣化は、電解質膜分解によるフッ素溶出により引き起こされる。フッ素溶出は特に相対湿度に大きく依存することが報告されている。実際カソード内では加湿の分布不均一が起こっており、カソード側ガス流路下流側においては、電極反応による生成水のため十分に電解質膜に水分が供給されるが、カソード側ガス流路上流側、特に、流路の入口近傍においては、ガスによって水分が持ち去られやすく、電解質膜が乾燥しやすい状態が発生している。したがって触媒粒子に高分子電解質を均一に混ぜ合わせた電極を用いると長時間発電時にはカソード側ガス流路上流側における電解質膜の劣化が起こり、電圧低下にいたると考えられる。
プロトン移動抵抗の増加は、触媒層内において、触媒粒子の量に対する高分子電解質の量の比が大きくなることにより、プロトンの通過経路が延長されることで引き起こされる。触媒粒子が電解質膜に直接接触する場合においては、プロトンは直接電解質膜から触媒粒子へと移動できるが、触媒粒子が高分子電解質に均一に混合された電極を用いることで、電解質膜界面から個々の触媒粒子までの到達距離が長くなることからプロトン移動抵抗が増加し、電圧低下にいたると考えられる。
酸素拡散の低下は、供給される酸素ガスが電解質層を透過して触媒表面に到達するのが困難になることにより引き起こされる。すなわち触媒粒子の量に対する高分子電解質の量の比が大きくなるほど、ガス拡散層界面から個々の触媒粒子までのガス分子の到達距離が長くなることから、電気化学反応に寄与する触媒粒子の寄与率が低下し、電圧低下にいたると考えられる。
これまで上記3点の問題点は個別での検討がなされてきた。すなわち、特許文献1において電解質比の異なる触媒電極層を複数枚厚み方向で貼り合わせることで電解質膜の劣化を防ぐことを検討していた。具体的には、電解質膜により近い層に電解質比の高い触媒電極層を、ガス拡散層により近い層に電解質比の低い触媒電極層を設定することで、電解質膜の保湿を高め、電解質膜の劣化を防ぐことが検討されていた。
また特許文献2において、電極触媒を被覆する第1の電解質と、それら第1の電解質を連接する第2の電解質とで構成される触媒電極層を用いることで、酸素拡散の低減を防ぐことが検討されていた。具体的には、処理の異なる2種の電解質層を設けることで、酸素ガス拡散性を保持しながらイオン導電性を上げる検討がなされていた。
特開2005−243618号公報 特開平11−126615号公報
しかしながら上記のような従来技術は、湿度低下による電解質膜の劣化と、プロトン移動抵抗の増加、及び酸素拡散の低下の3点の問題点を同時に解決するものではなかった。具体的には、上記特許文献1の技術に基づくと、カソード側ガス流路下流かつ電解質膜により近い層である電解質比の高い触媒電極層においては、高負荷状態において酸素分圧の低さにより酸素拡散が悪くなることが示されており、初期電圧が低く効率が悪いことが分かっている。また上記特許文献2の技術に基づくと、電解質膜の劣化については検討されておらず、長時間使用における耐久性は保証されていない。
本発明の燃料電池の膜電極接合体及びそれを用いた燃料電池は、上記3点の問題を同時に解決し、優れた耐久性と高効率の高分子電解質型燃料電池を提供することを目的としてなされ、次の構成を採った。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を設け、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を設けた燃料電池用膜電極接合体であって、前記カソード触媒層は、触媒粒子と、高分子電解質を含有し、触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が、カソード側ガス流路長の50%以上に対応する連続した領域において、前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、減少する当該比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布を有すると共に、当該比(Wp/Wcat)が、カソード触媒層の厚さ方向の前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、所定の第一の値から第二の値に減少する変化点aを選び、前記カソード触媒層の面方向に存在する各変化点aをつなげて得られる界面Aが、いかなる変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていくか又は当該固体高分子電解質膜から等距離を維持し、且つ、カソード触媒層における前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’を面方向につなげて得られる界面A’が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていく当該比(Wp/Wcat)の面方向分布を有することを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜により近い側の領域が、固体高分子電解質膜からより遠い側の領域に比べて前記比(Wp/Wcat)が高いことから、特にカソード側ガス流通方向上流側において電解質膜の保湿を高め、電解質膜の劣化を防ぐことを可能にする。かつ、当該変化点を含む前記カソード触媒層の厚さに対する、前記変化点よりも固体高分子電解質膜に近い側の、前記比(Wp/Wcat)が比較的大きい領域の厚さの比が、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、減少する面方向分布を有することから、特に酸素分圧の低いカソード側ガス流通方向下流において酸素拡散を高め、さらにプロトン移動抵抗を低減することができる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体の好ましい一形態としては、前記カソード触媒層は、前記比(Wp/Wcat)が互いに異なる2つ以上の層が積層し、且つ、前記固体高分子電解質膜に近い層の当該比(Wp/Wcat)よりも、前記固体高分子電解質膜から遠い層の当該比(Wp/Wcat)が小さい多層構造であり、前記多層構造に含まれるいかなる層間界面Bにおいても、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていくか又は当該固体高分子電解質膜から等距離を維持し、且つ、前記層間界面Bのうち、少なくとも1つの界面B’は、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていく当該比(Wp/Wcat)の面方向分布を有することを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、カソード触媒層を、それぞれ異なる前記比(Wp/Wcat)をもつ層で構成される多層構造にすることによって、比較的簡便な方法で作製できるという利点がある。
上記本発明の燃料電池用膜電極接合体の他の好ましい一形態としては、厚みの変動幅が、全く無いか、又はあるとしても、最も薄い部分を基準として10%以内であることを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布及び面方向分布を調節することにより、カソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得やすい。
上記本発明の燃料電池用膜電極接合体の他の一形態としては、前記比(Wp/Wcat)は0.2以上4.0以下の範囲の値であることを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、前記比(Wp/Wcat)の範囲を0.2以上4.0以下に定めることにより、より確実にカソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得ることができる。
上記本発明の燃料電池用膜電極接合体の他の一形態としては、前記カソード触媒層は、前記変化点aを含むカソード触媒層の厚さを1とした時に、カソード側ガス流通方向の上流側において前記変化点aから前記固体高分子電解質膜までの厚さが0.5を超えて1未満、カソード側ガス流通方向の下流側において前記変化点aから前記固体高分子電解質膜までの厚さが0を超えて0.5未満である前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布及び面方向分布を有することを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、カソード側ガス流通方向の上流側における前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布とカソード側ガス流通方向の下流側における前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布とが必ず異なっているため、より確実にカソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得ることができる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体の他の一形態は、固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を設け、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を設けた燃料電池用膜電極接合体であって、前記カソード触媒層は、触媒粒子と、高分子電解質を含有し、単位面積当りの触媒活性が、カソード流路上流で低く、下流で高くなる流路方向分布を有することを特徴とする。
このような構成の膜電極接合体は、カソード上流の酸素濃度が高い部分における電解質膜の劣化を防ぐことが可能になる。
本発明によれば、膜電極接合体におけるカソード側ガス流通方向上流でのカソード劣化を防ぐことで、長時間使用における耐久性が達成される。また、カソード側ガス流通方向下流における酸素拡散の低減の防止及びプロトン抵抗の低減の両方を達成することで、初期電圧の低下を抑制し高効率発電が可能となる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を設け、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を設けた燃料電池用膜電極接合体であって、前記カソード触媒層は、触媒粒子と、高分子電解質を含有し、触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が、カソード側ガス流路長の50%以上に対応する連続した領域において、前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、減少する当該比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布を有すると共に、当該比(Wp/Wcat)が、カソード触媒層の厚さ方向の前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、所定の第一の値から第二の値に減少する変化点aを選び、前記カソード触媒層の面方向に存在する各変化点aをつなげて得られる界面Aが、いかなる変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていくか又は当該固体高分子電解質膜から等距離を維持し、且つ、カソード触媒層における前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’を面方向につなげて得られる界面A’が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていく当該比(Wp/Wcat)の面方向分布を有することを特徴とするものである。
上記本発明の燃料電池用膜電極接合体の好ましい一形態において、前記カソード触媒層は、前記比(Wp/Wcat)が互いに異なる2つ以上の層が積層し、且つ、前記固体高分子電解質膜に近い層の当該比(Wp/Wcat)よりも、前記固体高分子電解質膜から遠い層の当該比(Wp/Wcat)が小さい多層構造であり、前記多層構造に含まれる層間界面Bはいずれも前記界面Aの条件を満たし、且つ、前記層間界面Bのうち、少なくとも1つの界面B’は、前記界面A’の条件を満たす。
ここで、前記「減少する当該比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布を有する」とは、必ずしも厚さ方向分布において常に当該比(Wp/Wcat)が減少し続けることを意味するものではなく、途中経過において一時的に当該比(Wp/Wcat)が変化しない領域を含んでいてもよいが、増加する領域は含まないことを意味する。
また、前記「前記固体高分子電解質膜に近づいていくか又は当該固体高分子電解質膜から等距離を維持し」とは、必ずしも常に前記固体高分子電解質膜に近づいていくかもしくは常に当該固体高分子電解質膜から等距離を維持するかのみを意味するものではなく、途中経過において前記固体高分子電解質膜に近づいていったり等距離を維持したりしてもよいが、前記固体高分子電解質膜から遠ざかることはないことを意味する。
さらに、前記「前記固体高分子電解質膜に近づいていく」とは、必ずしも常に前記固体高分子電解質膜に近づいていくことのみを意味するものではなく、途中経過において一時的に前記固体高分子電解質膜から等距離を維持してもよいが、前記固体高分子電解質膜から遠ざかることはないことを意味する。
以下、図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。図1は本発明の膜電極接合体から成る単セル100の一形態例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。本実施形態の燃料電池の単セル100は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1と、前記電解質膜1を挟んだ一対のカソード電極6及びアノード電極7とでなる膜電極接合体8を含み、さらに前記膜電極接合体8を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ9及び10とでなる。セパレータと触媒層の境界にはガス流路11及び12が確保され、アノード側では水素ガスが、カソード側では酸素を含むガス(通常は空気)がそれぞれ供給される。
通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、カソード電極6はカソード触媒層2とガス拡散層4とを積層したものからなり、アノード電極7はアノード触媒層3とガス拡散層5とを積層したものからなる。さらにカソード触媒層2は2層に分割される。すなわち電解質膜1に近い位置に配置されるカソード触媒層2a及び電解質膜1から遠い位置に配置されるカソード触媒層2bの2層である。本実施形態において、触媒粒の質量Wcatに対する固体高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が0.8〜4.0の範囲のある一定の値でカソード触媒層2aを設定し、前記比(Wp/Wcat)が0.2〜0.6の範囲のある一定の値でカソード触媒層2bを設定した。
図2は本実施形態の単セル100における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。図の上端をカソード側ガス流路上流、図の下端をカソード側ガス流路下流として図示している。カソード触媒層において、カソード側ガス流路上流から下流に向かってN個の面に触媒層を分割し、分割したそれぞれの触媒層を、カソード側ガス流路上流から下流に向かって順に1段目、2段目、3段目、・・・(I−1)段目、I段目、(I+1)段目、・・・N段目の触媒層と呼ぶことにする。いずれの段においてもカソード触媒層2aから先に電解質膜に塗布し、その後にカソード触媒層2bを塗布するものとする。1段目の触媒層における、カソード触媒層2aのカソード触媒層2に対する厚さの比は0.5を超えて1未満のある一定の値であるように設定するが、0.7が望ましい値である。また、N段目の触媒層における、カソード触媒層2aのカソード触媒層2に対する厚さの比は0を超えて0.5未満のある一定の値であるように設定するが、0.3が望ましい値である。さらに、I段目の触媒層における、カソード触媒層2aのカソード触媒層2に対する厚さの比は、(I+1)段目の触媒層における、カソード触媒層2aのカソード触媒層2に対する厚さの比の値を超えて、(I−1)段目の触媒層における、カソード触媒層2aのカソード触媒層2に対する厚さの比の値未満のある一定の値であるように設定する。
上記手法を用いて2つのカソード触媒層の前記比(Wp/Wcat)をそれぞれ設定することにより、前記比(Wp/Wcat)が互いに異なる2層が積層し、且つ、前記電解質膜1に近いカソード触媒層2aの当該比(Wp/Wcat)よりも、前記電解質膜1から遠いカソード触媒層2bの当該比(Wp/Wcat)が小さい2層構造を形成することができ、且つ、前記カソード触媒層2aと前記カソード触媒層2bとの層間界面は、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記電解質膜1に近づいていく構造を形成することができる。
このような構成の膜電極接合体は、前記電解質膜1により近い側の領域が、前記電解質膜1からより遠い側の領域に比べて前記比(Wp/Wcat)が高いことから、特にガスによって水分が持ち去られやすいカソード側ガス流通方向上流側において前記電解質膜1の保湿を高め、長時間発電時における前記電解質膜1の劣化を防ぎ、高い耐久性が達成できる。かつ、カソード触媒層2の厚さに対する、カソード触媒層2aとカソード触媒層2bとの層間界面よりも前記電解質膜1に近い側の、前記比(Wp/Wcat)が比較的大きい領域の厚さの比が、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、減少する面方向分布を有することから、特に酸素分圧の低いカソード側ガス流通方向下流において、ガス拡散層界面から個々の触媒粒子までのガス分子の到達距離が短くなることから酸素拡散性を高め、さらに電解質膜界面から個々の触媒粒子までの到達距離が短くなることからプロトン移動抵抗を低減することができ、結果として初期電圧の低下を抑制し高効率発電が可能となる。
図1及び図2に示すように、本実施形態においては作成したカソード触媒層2の厚さは均一であることが好ましいが、厚さの変動幅が、最も薄い部分を基準として10%以内であれば、前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布及び面方向分布を調節することにより、カソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得ることができる。
図3は本発明の一変形形態である膜電極接合体から成る単セル200の積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。本変形形態の燃料電池の単セル200は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)21と、前記電解質膜21を挟んだ一対のカソード電極26及びアノード電極27とでなる膜電極接合体28を含み、さらに前記膜電極接合体28を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ29及び30とでなる。セパレータと触媒層の境界にはガス流路31及び32が確保され、アノード側では水素ガスが、カソード側では酸素を含むガス(通常は空気)がそれぞれ供給される。
図4は本変形形態の単セル200における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。図の上端をカソード側ガス流路上流、図の下端をカソード側ガス流路下流として図示している。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、カソード電極26はカソード触媒層22とガス拡散層24とを積層したものからなり、アノード電極27はアノード触媒層23とガス拡散層25とを積層したものからなる。さらに、カソード触媒層22は3層に分割される。すなわち電解質膜21に最も近い位置から順番に、カソード触媒層22a、カソード触媒層22b及びカソード触媒層22cの3層であり、前記電解質膜21から最も遠い位置にあるカソード触媒層22cはガス拡散層24と接している。
本変形形態において、触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が2.0以上4.0以下の範囲のある一定の値でカソード触媒層22aを設定し、前記比(Wp/Wcat)が1.0以上2.0以下の範囲のある一定の値でカソード触媒層22bを設定し、前記比(Wp/Wcat)が0.2以上1.0未満の範囲のある一定の値でカソード触媒層22cを設定した。
塗布方法は、カソード触媒層22aから先に電解質膜に塗布し、その後にカソード触媒層22bを塗布し、その後にカソード触媒層22cを塗布するものとする。また、前記カソード触媒層22aの厚さは、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて同じであるように塗布する。図3及び図4に示すように、前記カソード触媒層22bと前記カソード触媒層22cの境界である界面は平面が好ましいが、曲面であっても構わない。ただし、前記カソード触媒層22bの厚さは、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて減少するように、前記カソード触媒層22cの厚さは、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて増加するように塗布する。
上記手法を用いて3つのカソード触媒層の前記比(Wp/Wcat)をそれぞれ設定することにより、それら3つのうちどの2つの層を選んだ時にも、前記電解質膜21に近い層の当該比(Wp/Wcat)よりも、前記電解質膜21から遠い層の当該比(Wp/Wcat)が小さいか又は等しい多層構造にすることができる。
また、前記カソード触媒層22aと前記カソード触媒層22bの層間界面、もしくは前記カソード触媒層22bと前記カソード触媒層22cの層間界面のいずれの界面も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記電解質膜21に近づいていくか又は当該電解質膜21から等距離を維持する構造にすることができる。
さらに、少なくとも前記カソード触媒層22bと前記カソード触媒層22cの前記層間界面が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記電解質膜21に近づいていく構造にすることができる。
このように、カソード触媒層22の多層構造中少なくとも一対の隣り合う2層の層間界面が、前記カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて前記電解質膜21に近づいていく構造を有していれば、その他の隣り合う2層の層間界面が当該電解質膜21から等距離を維持する構造であっても、発明の効果が得られる。
このような構成の膜電極接合体は、カソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得ることができる。
図5は本発明の第2の実施形態である膜電極接合体から成る単セル400の積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。本第2の実施形態の燃料電池の単セル400は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)41と、前記電解質膜41を挟んだ一対のカソード電極46及びアノード電極47とでなる膜電極接合体48を含み、さらに前記膜電極接合体48を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ49及び50とでなる。セパレータと触媒層の境界にはガス流路51及び52が確保され、アノード側では水素ガスが、カソード側では酸素を含むガス(通常は空気)がそれぞれ供給される。
図6は本第2の実施形態の単セル400における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。図の上端をカソード側ガス流路上流、図の下端をカソード側ガス流路下流として図示している。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、カソード電極46はカソード触媒層42とガス拡散層44とを積層したものからなり、アノード電極47はアノード触媒層43とガス拡散層45とを積層したものからなる。
カソード触媒層42における、触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)の分布変化は連続的であり、図6では、前記カソード触媒層42における、所定の第一の値から所定の第二の値に減少する任意の変化点aを選び、前記カソード触媒層の面方向に存在する各変化点aをつなげて得られる界面Aのうち、界面53を含む数枚の界面を仮想線として書き加えてある。前記カソード触媒層42の前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布は、前記電解質膜41側に近いほど前記比(Wp/Wcat)が高く、前記電解質膜41側から遠くガス拡散層44に近いほど前記比(Wp/Wcat)が低く設定され、且つ、図6の右上側、つまりカソード側ガス流路上流かつ前記ガス拡散層44に近い側から、図6の左下側、つまりカソード側ガス流路下流かつ前記電解質膜41に近い側に向かって仮想線が引かれるように前記比(Wp/Wcat)の分布を決定する。さらに前記カソード触媒層42の前記比(Wp/Wcat)は、0.2〜4.0の範囲内で、厚さ方向及び面方向に連続的に変化させることが好ましい。
つまり、本第2の実施形態においては、前記比(Wp/Wcat)の分布を決定することによって、前記電解質膜41に近い側から遠い側にかけて、減少する当該比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布を有すると共に、前記変化点aを含む前記カソード触媒層42の総厚さに対する、当該変化点aよりも前記電解質膜41に近い部分の厚さの比が、いかなる値の変化を示す変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて減少するか又は同じであり、且つ、カソード触媒層の厚さ方向における前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’を選んだ場合に、当該変化点a’を含むカソード触媒層の総厚さに対する、当該変化点a’よりも前記電解質膜41に近い部分の厚さの比が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて減少する、前記比(Wp/Wcat)の面方向分布を有する構造にする。
上流から下流にかけて、前記カソード触媒層42の総厚さに対する、前記変化点aよりも前記電解質膜41に近い部分の厚さの比を上記の如くすることによって、前記カソード触媒層42の面方向に存在する前記変化点aをつなげて得られる前記界面Aが、いかなる変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記電解質膜41に近づいていくか又は当該電解質膜41から等距離を維持し、且つ、前記カソード触媒層42における前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’を面方向につなげて得られる界面53が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記電解質膜41に近づいていく当該比(Wp/Wcat)の面方向分布を有する構造にすることが可能である。
このような構成の膜電極接合体は、カソード劣化防止、酸素拡散性の向上及びプロトン移動抵抗の低減の効果を得ることができる。
また、界面53は必ずしも平面でなくてもよく、図7に示すように一部が折れ曲がった平面であったり、図8に示すように曲面であったりしても、実施形態と同様の効果が得られる。特に図7に示すように、界面53の一部分がカソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて前記電解質膜41から等距離を維持していてもよい。
以下、本発明の膜電極接合体の3つの製造方法、すなわち実施形態、変形形態及び第二の実施形態について、その詳細を述べるが、触媒層の形成方法以外の共通事項は一括して説明する。
(触媒層、触媒粒子及び触媒担体の組成)
触媒層は、高分子電解質及び触媒粒子を含有する触媒インクを用いて形成することができる。
触媒粒子としては、通常、触媒の有効成分を触媒担体である導電性粒子に担持させたものが用いられるが、触媒の有効成分そのものや、マトリックス中に触媒有効成分が分散してなる粒子でも良い。触媒の有効成分としては、アノードの燃料ガスの酸化反応又はカソードの酸化剤ガスの還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。
触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。
(高分子電解質の組成)
ここで、高分子電解質膜とは、燃料電池において使用される高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
(触媒インクの組成)
触媒インクは上記のような触媒と電極用電解質とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
(触媒層の形成方法)
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散層シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成し、当該ガス拡散層シートを電解質膜に熱圧着してもよいし、或いは、電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、電解質膜又はガス拡散シートと熱圧着等により接合し、電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよい。
特にカソード触媒層の形成方法について、例えば図2に示される実施形態のような二層構造を持つ場合は、電解質膜表面にカソード触媒層2aを一段目からN段目まで、厚さを徐々に薄くしながら形成したあと、カソード触媒層2bをその上から形成するという手法を取ることができる他、ガス拡散層シート表面にカソード触媒層2bを一段目からN段目まで、厚さを徐々に厚くしながら形成したあと、カソード触媒層2aをその上から形成するという手法も取ることができる。
また、図4に示される変形形態のような三層構造を持つ場合も、実施形態同様に形成することができ、この場合にはカソード触媒層22bをカソード側ガス流路上流から下流に向かって厚さを徐々に薄くしながら形成することと、カソード触媒層22cをカソード側ガス流路上流から下流に向かって厚さを徐々に厚くしながら形成することが必須である。
図6に示される第2の実施形態のような構造を持つ場合は、前記触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が0.2〜4.0の範囲内において、前記比が異なる触媒インクをできる限り多数用意し、前記比の最も高い触媒層をまず初めに電解質膜表面にできる限り薄く形成し、続いて前記比の高い順に触媒層を形成していく方法を取ることができる。このとき、触媒層は図6の仮想線の向きに沿って、すなわち図6の右上側、つまりカソード側ガス流路上流かつ前記ガス拡散層44に近い側から、図6の左下側、つまりカソード側ガス流路下流かつ前記電解質膜41に近い側に向かって形成することが重要である。
(触媒インクの塗布方法)
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.1〜2.0mg/cm程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
(ガス拡散層の組成)
ガス拡散層を形成するガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
(撥水層の組成)
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
(撥水層の形成方法)
撥水層を導電性多孔質体上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、導電性多孔質体の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。撥水層の厚さは、通常、1〜50μm程度でよい。撥水層インクを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
また、導電性多孔質体は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工されていてもよい。
上記したような方法によって触媒層を形成した電解質膜及びガス拡散層シートは、適宜、重ね併せて熱圧着等し、互いに接合することで、膜電極接合体が得られる
(単セルの形成方法)
作製された膜・電極接合体は、さらに、セパレータで狭持され、単セルを形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
本発明の膜電極接合体から成る単セル100の構造を示す断面を模式的に示した図である。 本発明の単セル100における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。 本発明の膜電極接合体から成る単セル200の構造を示す断面を模式的に示した図である。 本発明の単セル200における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。 本発明の膜電極接合体から成る単セル400の構造を示す断面を模式的に示した図である。 本発明の単セル400における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。 本発明の単セル400における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。 本発明の単セル400における、カソード電極側のカソード側ガス流通方向に平行な断面を模式的に示した図である。
符号の説明
1…固体高分子電解質膜
2a、2b…カソード触媒層
3…アノード触媒層
4,5…ガス拡散層
6…カソード電極
7…アノード電極
8…膜電極接合体
9,10…セパレータ
11,12…ガス流路
100…単セル
21…固体高分子電解質膜
22a、22b、22c…カソード触媒層
23…アノード触媒層
24,25…ガス拡散層
26…カソード電極
27…アノード電極
28…膜電極接合体
29,30…セパレータ
31,32…ガス流路
200…単セル
41…固体高分子電解質膜
42…カソード触媒層
43…アノード触媒層
44,45…ガス拡散層
46…カソード電極
47…アノード電極
48…膜電極接合体
49,50…セパレータ
51,52…ガス流路
53…カソード触媒層42内の所定の前記比(Wp/Wcat)の第一の値から所定の第二の値に減少する変化点a’をつなげて得られる界面
400…単セル

Claims (6)

  1. 固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を設け、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を設けた燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記カソード触媒層は、触媒粒子と、高分子電解質を含有し、
    触媒粒の質量Wcatに対する前記高分子電解質の質量Wpの単位体積当りの比(Wp/Wcat)が、カソード側ガス流路長の50%以上に対応する連続した領域において、前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、減少する当該比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布を有すると共に、
    当該比(Wp/Wcat)が、カソード触媒層の厚さ方向の前記固体高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて、所定の第一の値から第二の値に減少する変化点aを選び、前記カソード触媒層の面方向に存在する各変化点aをつなげて得られる界面Aが、いかなる変化点aを選んだ場合も、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていくか又は当該固体高分子電解質膜から等距離を維持し、且つ、カソード触媒層における前記変化点aのうち、少なくとも1つの変化点a’を面方向につなげて得られる界面A’が、カソード側ガス流通方向の上流側から下流側にかけて、前記固体高分子電解質膜に近づいていく当該比(Wp/Wcat)の面方向分布を有することを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
  2. 前記カソード触媒層は、前記比(Wp/Wcat)が互いに異なる2つ以上の層が積層し、且つ、前記固体高分子電解質膜に近い層の当該比(Wp/Wcat)よりも、前記固体高分子電解質膜から遠い層の当該比(Wp/Wcat)が小さい多層構造であり、
    前記多層構造に含まれる層間界面Bはいずれも前記界面Aの条件を満たし、且つ、前記層間界面Bのうち、少なくとも1つの界面B’は、前記界面A’の条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  3. 前記カソード触媒層は、厚みの変動幅が、全く無いか、又はあるとしても、最も薄い部分を基準として10%以内であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  4. 前記比(Wp/Wcat)は、0.2以上4.0以下の範囲の値である、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  5. 前記カソード触媒層は、前記変化点aを含むカソード触媒層の厚さを1とした時に、カソード側ガス流通方向の上流側において前記変化点aから前記固体高分子電解質膜までの厚さが0.5を超えて1未満、カソード側ガス流通方向の下流側において前記変化点aから前記固体高分子電解質膜までの厚さが0を超えて0.5未満である前記比(Wp/Wcat)の厚さ方向分布及び面方向分布を有する、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  6. 前記カソード触媒層は、前記カソード触媒層の単位面積当りの触媒活性が、カソード流路上流で低く、下流で高くなる流路方向分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
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