JP2020077581A - 触媒層 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜電極接合体の電気抵抗を増加させることなく、触媒を担持するためのカーボン担体の腐食を抑制することができ、しかも低コストな触媒層を提供すること。【解決手段】触媒層は、カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒と、触媒層アイオノマと、薄片化黒鉛とを備えている。前記薄片化黒鉛は、アスペクト比(=L/D、Lは前記薄片化黒鉛の長径、Dは前記薄片化黒鉛の短径)が3以上20以下であり、前記長径Lの平均値が1μm以上8μm未満である。【選択図】図2

Description

本発明は、触媒層に関し、さらに詳しくは、触媒を担持するためのカーボン担体の腐食を抑制することが可能な触媒層に関する。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒を含む電極(触媒層及びガス拡散層)が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。MEAの両面には、さらに、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。固体高分子形燃料電池は、通常、このようなMEAと集電体からなる単セルが複数個積層された構造(燃料電池スタック)を備えている。
燃料電池スタック内の各単セルは、電気的に直列に接続されている。このような燃料電池スタックを用いて発電する場合において、一部の単セルのみが、燃料供給が途絶えた状態(燃料欠状態)になることがある。例えば、低温始動時において燃料ガス流路の一部が凍結により閉塞していると、一部の単セルのみが燃料欠状態となる(以下、燃料欠状態にある単セルを「燃料欠セル」ともいう)。
この状態で発電を続けると、残りの単セルが電源となる形で燃料欠セルにも電流が流れる。その結果、燃料欠セルのアノード電位が上昇し、燃料以外のアノードの成分(例えば、触媒を担持するためのカーボン担体、単セル内に保持されている水など)の酸化反応が進行する。燃料欠セルにおいてカーボン担体の酸化が起こると、触媒層構造が破壊され、セル性能が著しく低下する。
また、触媒層の劣化は、燃料欠以外の原因によっても起こりうる。例えば、セル電圧の大幅な変化が生じた時には、水が酸化剤となってカソード側のカーボン担体が腐食することが知られている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、アノード側の触媒層とガス拡散層との間に、Pt−Ru触媒担持カーボン、イオン伝導性物質、及び結晶性炭素繊維を含む水分解層を挿入した固体高分子形燃料電池が開示されている。
同文献には、
(a)触媒層とガス拡散層との間に、触媒層よりも水保持性の高い水分解層を挿入すると、燃料欠が生じた時に水分解層内で水の電気分解が優先的に行われ、触媒層内での電気分解を回避することができる点、及び、
(b)水分解層に結晶性炭素繊維を含有させると、水分解層内に空孔が形成されやすくなり、これによって水分解層での水の電気分解が効率的に行われる点、
が記載されている。
特許文献2には、カソード触媒層と固体高分子電解質膜との間に、触媒担持カーボン及びアイオノマを含む緩衝層が挿入された固体高分子形燃料電池が開示されている。
同文献には、
(a)アイオノマ含有比がカソード触媒層より大きい緩衝層をカソード触媒層と固体高分子電解質膜の間に挿入すると、カソード触媒層と固体高分子電解質膜とが直接接触する場合に比べて、酸化還元反応が穏やかになる点、及び、
(b)これによって、カソード触媒層のカーボン担体の腐食や、カソード触媒層から固体高分子電解質膜への触媒金属の溶出が抑制される点、
が記載されている。
特許文献3、4には、カーボンブラックにイリジウム、イリジウム−ルテニウム合金、又は酸化イリジウムを担持した触媒を含む燃料電池用アノード側触媒組成物が開示されている。
同文献には、
(a)イリジウム等は、アノード用触媒として必要な水素酸化能を有している点、及び、
(b)イリジウム等は、白金よりも酸素還元能及び水電解過電圧が低いために、白金を触媒として用いた場合に比べて水の電解反応がスムーズに進行し、これによってアノードの劣化を抑制できる点、
が記載されている。
特許文献5には、白金担持カーボンと、イオン交換樹脂と、酸化イリジウム、イリジウム、酸化ルテニウム、又はルテニウムからなり、比表面積が2〜50m2/gである微粒子とを含むカソード触媒層が開示されている。
同文献には、触媒層に酸化イリジウム等からなる微粒子を添加すると、燃料の欠乏が生じた場合においても電極の特性低下が起こりにくくなる点が記載されている。
さらに、特許文献6には、カーボン担体の表面にPt(高反応活性触媒)とIrO2(水電解触媒)とを共担持させた触媒を含む燃料電池用電極が開示されている。
同文献には、
(a)担体表面に高反応活性触媒と水電解触媒とを共担持させると、燃料電池の運転中に触媒層が1.4V vs SHE以上の高電位に曝された場合であっても、水の電解分解を優先的に起こすことができる点、及び、
(b)これによってカーボンの腐食を抑えることができる点、
が記載されている。
特許文献1、2には、カーボン担体の腐食を抑制するために、MEAのいずれかの部位に水の電気分解を助長させるための中間層(水分解層、緩衝層)を挿入する方法が開示されている。しかしながら、中間層の挿入は、MEAの電気抵抗を増加させる原因となる。
一方、特許文献3〜6には、水電解触媒として機能するIr、Ru、これらの合金、又はこれらの酸化物を単独で、又は、Pt触媒と共に触媒層に添加する方法が開示されている。しかしながら、IrやRu(特に、Ir)は、高価である。
特開2006−134629号公報 特開2006−236631号公報 特開2012−094315号公報 特開2010−277995号公報 特開2009−152143号公報 特開2008−041411号公報
本発明が解決しようとする課題は、MEAの電気抵抗を増加させることなく、触媒を担持するためのカーボン担体の腐食を抑制することができ、しかも低コストな触媒層を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る触媒層は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記触媒層は、
カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒と、
触媒層アイオノマと、
薄片化黒鉛と
を備えている。
(2)前記薄片化黒鉛は、
アスペクト比(=L/D、Lは前記薄片化黒鉛の長径、Dは前記薄片化黒鉛の短径)が3以上20以下であり、
前記長径Lの平均値が1μm以上8μm未満である。
カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒を含む触媒層に、所定の形状を備えた薄片化黒鉛を添加すると、触媒層が高電位状態に曝された場合であっても、カーボン担体の腐食を抑制することができる。これは、以下の理由によると考えられる。
すなわち、触媒インクに薄片化黒鉛を添加し、これを用いて触媒層を形成すると、薄片化黒鉛の周囲に大きな扁平状細孔が形成される。このような触媒層を備えた燃料電池を作動させると、扁平細孔内に相対的に多量の水が蓄えられる。そのため、一時的に高電位状態(例えば、燃料欠状態)に曝された場合であっても、より長時間の水電解反応が可能になる。その結果、カーボン担体の腐食が抑制されたと考えられる。
薄片化黒鉛のアスペクト比を算出する方法を説明するための模式図である。 実施例3で得られた触媒層の断面SEM像である。 放射光ナノX線CTにより撮影された比較例1の三次元像である。 放射光ナノX線CTにより撮影された実施例3の三次元像である。
水電解継続時間に対する薄片化黒鉛の平均アスペクト比の影響を示す図である。 水電解継続時間に対する薄片化黒鉛の平均長径の影響を示す図である。 水電解継続時間に対するカーボン担体の平均粒子径の影響を示す図である。 水電解継続時間に対する空隙率の影響を示す図である。 水電解継続時間に対する平均細孔径の影響を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 触媒層]
本発明に係る触媒層は、以下の構成を備えている。
(1)前記触媒層は、
カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒と、
触媒層アイオノマと、
薄片化黒鉛と
を備えている。
(2)前記薄片化黒鉛は、
アスペクト比(=L/D、Lは前記薄片化黒鉛の長径、Dは前記薄片化黒鉛の短径)の平均値が3以上20以下であり、
前記長径Lの平均値が1μm以上8μm未満である。
[1.1. カーボン担体]
[1.1.1. 材料]
カーボン担体は、その表面に触媒を担持するためのものである。本発明において、カーボン担体を構成する材料の種類は、特に限定されない。カーボン担体の材料としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、黒鉛化炭素粒子、炭素繊維、サーマルブラックなどがある。
[1.1.2. 平均粒子径]
カーボン担体の平均粒子径は、触媒層の耐久性、すなわち、水電解継続時間に影響を与える。
ここで、「カーボン担体の平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法により測定された体積基準の粒子径のメディアン値(d50)をいう。
「水電解継続時間」とは、水電解反応がカーボン担体の酸化反応に優先して進行し続けることができる時間をいう。より具体的には、「水電解継続時間」とは、1cm2セルにおいて、ガス条件:An/Ca=N2/Air、T=30℃(露点30℃)、電流密度:0.2A/cm2の条件で水電解をした時に、電圧が一定である時間をいう。
カーボン担体の平均粒子径が大きくなるほど、水電解継続時間が長くなる。これは、粒子径が大きいほど、細孔径が大きくなり、保水性が高くなるためと考えられる。このような効果を得るためには、カーボン担体の平均粒子径は、5nm以上が好ましい。平均粒子径は、好ましくは、10nm以上、さらに好ましくは、20nm以上である。
一方、カーボン担体の平均粒子径が大きくなりすぎると、かえって水電解継続時間が短くなる。これは、粒子径が大きくなりすぎると、空隙率が小さくなりすぎて、保水量が低下するためと考えられる。従って、カーボン担体の平均粒子径は、200nm以下が好ましい。平均粒子径は、好ましくは、100nm以下、さらに好ましくは、50nm以下である。
[1.2. 触媒]
[1.2.1. 材料]
カーボン担体の表面には、触媒が担持される。本発明において、触媒の材料は、特に限定されない。触媒の材料としては、例えば、
(a)Pt、Pd、Ru、Irなどの貴金属、又は、これらの合金、
(b)Pt−M合金(Mは、Fe、Ni、Coなどの卑金属元素)、
などがある。
[1.2.2. 担持率]
一般に、触媒の担持率が多くなるほど、触媒層の活性が高くなる。一方、触媒の担持率が過剰になると、高コスト化を招く。従って、触媒の担持率は、これらの点を考慮して定めるのが好ましい。触媒の担持率は、具体的には、30重量%〜70重量%程度が好ましい。
[1.3. 触媒層アイオノマ]
[1.3.1. 材料]
触媒層アイオノマは、触媒表面にプロトンを供給するためのものである。本発明において、触媒層アイオノマの材料は、特に限定されない。触媒層アイオノマとしては、例えば、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)、アクイビオン(登録商標)などがある。
[1.3.2. 含有量]
一般に、触媒層アイオノマの含有量が多くなるほど、触媒層の活性が高くなる。一方、触媒層アイオノマの含有量が過剰になると、単位面積当たりの触媒量が減少するために、かえって活性が低下する。従って、触媒層アイオノマの含有量は、これらの点を考慮して定めるのが好ましい。触媒層アイオノマの含有量は、具体的には、触媒層アイオノマ/カーボン担体の質量比(I/C比)で、0.5〜2程度が好ましい。
[1.4. 薄片化黒鉛]
[1.4.1. 定義]
本発明において、触媒層は、薄片化黒鉛を含む。この点が従来とは異なる。ここで、「薄片化黒鉛」とは、黒鉛の層を100nm程度の厚さに薄く剥がし取ったシート状の材料をいう。薄片化黒鉛は、市販されている。
[1.4.2. 平均アスペクト比]
図1に、薄片化黒鉛のアスペクト比を算出する方法を説明するための模式図を示す。薄片化黒鉛はシート状であるため、これを用いて触媒層を形成すると、薄片化黒鉛の表面の中で最も広い面が触媒層の表面に対してほぼ平行になるように配列する。このような触媒層の断面をSEMで観察すると、図1に示すように、楕円状の薄片化黒鉛が観察される。
本発明において、「薄片化黒鉛のアスペクト比」とは、触媒層の断面に現れる楕円状の薄片化黒鉛の短径Dに対する長径Lの比(=L/D)をいう。
「長径L」とは、最も離れた2箇所を結ぶ直線(最長直線)の長さをいう。
「短径D」とは、最長直線に対して垂直方向の長さの最大値をいう。
「アスペクト比の平均値(平均アスペクト比)」とは、触媒層の断面に現れる20個以上の薄片化黒鉛について測定されたアスペクト比(=L/D)の平均値をいう。
薄片化黒鉛の平均アスペクト比は、触媒層の耐久性、すなわち、水電解継続時間に影響を与える。薄片化黒鉛の平均アスペクト比が大きくなるほど、水電解継続時間が長くなる。これは、平均アスペクト比が大きくなるほど、薄片化黒鉛の周囲に大きな扁平状細孔が形成されやすくなり、これによって触媒層の保水性が向上するためと考えられる。このような効果を得るためには、薄片化黒鉛の平均アスペクト比は、3以上である必要がある。平均アスペクト比は、好ましくは、5以上、さらに好ましくは、8以上である。
一方、薄片化黒鉛の平均アスペクト比が大きくなりすぎると、低温・高電流密度での出力が低下する。これは、黒鉛により排水が阻害されるためと考えられる。従って、薄片化黒鉛の平均アスペクト比は、20以下である必要がある。平均アスペクト比は、好ましくは、18以下、さらに好ましくは、14以下である。
[1.4.3. 平均長径]
「長径の平均値(平均長径)」とは、触媒層の断面に現れる20個以上の薄片化黒鉛について測定された長径(L)の平均値をいう。
本発明において、薄片化黒鉛の平均長径は、触媒層の耐久性、すなわち、水電解継続時間に影響を与える。薄片化黒鉛の平均長径が長くなるほど、水電解継続時間が長くなる。これは、平均長径が長くなるほど、薄片化黒鉛の周囲に大きな扁平状細孔が形成されやすくなり、これによって触媒層の保水性が向上するためと考えられる。従って、薄片化黒鉛の平均長径は、1μm以上である必要がある。平均長径は、好ましくは、2μm以上である。
一方、薄片化黒鉛の平均長径が長くなりすぎると、低温・高電流密度での出力が低下する。これは、黒鉛により排水が阻害されるためと考えられる。従って、薄片化黒鉛の平均長径は、8μm未満である必要がある。平均長径は、好ましくは、6μm以下、さらに好ましくは、4μm以下である。
[1.4.4. 含有量]
一般に、薄片化黒鉛の含有量が多くなるほど、触媒層の活性が高くなる。一方、薄片化黒鉛の含有量が過剰になると、単位面積当たりの触媒量が減少するために、かえって活性が低下する。従って、薄片化黒鉛の含有量は、これらの点を考慮して定めるのが好ましい。薄片化黒鉛の含有量は、具体的には、薄片化黒鉛/担体カーボンの質量比で、0.5〜2程度が好ましい。
[1.5. 空隙率]
「空隙率」とは、空間分解能:100nm/vox、エネルギー:8keVの条件下で放射光ナノX線CTを撮影することにより得られる三次元像から算出される値をいう。
触媒層の空隙率は、触媒層の耐久性、すなわち、水電解継続時間に影響を与える。触媒層の空隙率が大きくなるほど、水電解継続時間が長くなる。これは、空隙率が大きくなるほど、触媒層の保水性が高くなるためと考えられる。このような効果を得るためには、触媒層の空隙率は、3%以上が好ましい。空隙率は、好ましくは、5%以上、さらに好ましくは、7%以上である。
一方、触媒層の空隙率が大きくなりすぎると、かえって水電解継続時間が短くなる。これは、触媒層が厚くなりすぎて、電解効率が低下するためと考えられる。従って、触媒層の空隙率は、40%以下が好ましい。空隙率は、好ましくは、30%以下、さらに好ましくは、20%以下である。
[1.6. 平均細孔径]
「平均細孔径」とは、空間分解能:100nm/vox、エネルギー:8keVの条件下において放射光ナノX線CTを撮影することにより得られる三次元像から算出された値をいう。
触媒層の平均細孔径は、触媒層の耐久性、すなわち、水電解継続時間に影響を与える。触媒層の平均細孔径が大きくなるほど、水電解継続時間が長くなる。これは、平均細孔径が大きくなるほど、触媒層の保水性が高くなるためと考えられる。このような効果を得るためには、触媒層の平均細孔径は、0.1μm以上が好ましい。平均細孔径は、好ましくは、0.2μm以上、さらに好ましくは、0.3μm以上である。
一方、触媒層の平均細孔径が大きくなりすぎると、かえって水電解継続時間が短くなる。これは、細孔内表面積の低下により、電解効率が低下するためと考えられる。従って、触媒層の平均細孔径は、1.5μm以下が好ましい。空隙率は、好ましくは、1.2μm以下、さらに好ましくは、1.0μm以下である。
[1.7. 用途]
本発明に係る触媒層は、各種電気化学デバイスの触媒層として用いることができる。本発明に係る触媒層は、特に固体高分子形燃料電池のアノードに用いるのが好ましい。本発明に係る触媒層は、従来の触媒層に比べて保水性が高い。そのため、一時的に燃料欠状態が生じた場合であっても、カーボン担体の酸化を抑制することができる。
[2. 触媒層の製造方法]
本発明に係る触媒層は、
(a)電極触媒、触媒層アイオノマ、及び薄片化黒鉛を溶媒に分散させた触媒インク(触媒層原料ペースト)を作製し、
(b)触媒インクを基材表面に塗布し、溶媒を揮発させる
ことにより製造することができる。
[3. 作用]
カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒を含む触媒層に、所定の形状を備えた薄片化黒鉛を添加すると、触媒層が高電位状態に曝された場合であっても、カーボン担体の腐食を抑制することができる。これは、以下の理由によると考えられる。
すなわち、触媒インクに薄片化黒鉛を添加し、これを用いて触媒層を形成すると、薄片化黒鉛の周囲に大きな扁平状細孔が形成される。このような触媒層を備えた燃料電池を作動させると、扁平細孔内に相対的に多量の水が蓄えられる。そのため、一時的に高電位状態(例えば、燃料欠状態)に曝された場合であっても、より長時間の水電解反応が可能になる。その結果、カーボン担体の腐食が抑制されたと考えられる。
(実施例1〜7、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 比較例1]
粒子径:20nmのカーボンブラックに白金を担持して、白金担持カーボン(Pt/C)触媒を調製した。カーボンブラックと白金の重量比は、10:3とした。次に、Pt/C触媒、白金未担持カーボンブラック、純水、及びナフィオン(登録商標)溶液を混合して触媒インクを得た。なお、Pt/C触媒と白金未担持カーボンブラックの重量比は、1:1とした。
触媒インクをポリテトラフルオロエチレンシートに塗布し、乾燥させた。得られた触媒シートをナフィオン(登録商標)膜の両面にホットプレスにて転写した。その後、ポリテトラフルオロエチレンシートを剥離し、膜電極接合体(MEA)を得た。MEAの両面に、ガス拡散層として撥水層付きカーボンペーパーを配置した。さらに、これをカーボン製セパレータで挟み、固体高分子形燃料電池を得た。
[1.2. 実施例1〜7]
粒子径:5〜200nmのカーボンブラックに白金を担持して、Pt/C触媒を調製した。また、白金未担持カーボンブラックに代えて、平均アスペクト比及び平均長径の異なる種々の薄片化黒鉛を用いた。以下、比較例1と同様にして、固体高分子形燃料電池を作製した。
表1に、各試料のカーボン担体の平均粒子径、及び薄片化黒鉛/カーボン質量比を示す。なお、表1には、後述する試験結果(薄片化黒鉛の平均アスペクト比及び平均長径、空隙率、平均細孔径、並びに、水電解継続時間)も併せて示した。
Figure 2020077581
[2. 試験方法]
[2.1. 微構造解析]
[2.1.1. SEM観察]
触媒層の断面SEM像を撮影した。断面SEM像から、薄片化黒鉛の平均アスペクト比、及び平均長径を求めた。
[2.1.2. 放射光ナノX線CT]
大型放射光施設SPring−8のBL33XUにおいて、空間分解能:100nm/vox、エネルギー:8keVにて、放射光ナノX線CTを撮影した。このようにして得られた三次元画像から、空隙率、及び平均細孔径を算出した。
[2.2. 性能評価]
電極面積:1cm2のセルを用いて、水電解継続時間を評価した。この試験では、燃料欠状態を模擬するために、アノード側にN2、カソード側に空気を供給した。これらのガスは相対湿度:100%とし、触媒層内で水を結露させてから0.2A/cm2で水電解試験を実施し、水電解継続時間(電圧が一定である時間)を求めた。
[3. 結果]
[3.1. 微構造解析]
[3.1.1. SEM観察]
図2に、実施例3で得られた触媒層の断面SEM像を示す。図2より、触媒層の表面に対してほぼ平行に薄片化黒鉛が配列していることが分かる。図2より、実施例3で用いた薄片化黒鉛の平均アスペクト比は10.0、平均長径は3.3nmと見積もられた。
[3.1.2. 放射光ナノX線CT]
図3に、放射光ナノX線CTにより撮影された比較例1の三次元像を示す。図4に、放射光ナノX線CTにより撮影された実施例3の三次元像を示す。なお、図3及び図4中、黒色の領域は細孔を表す。
比較例1は、図3に示すように、大きな黒色領域が認められず、小さな黒色領域が均一に分散していた。一方、実施例3は、図4に示すように、大きな黒色領域(すなわち、大きな扁平細孔)が認められた。これは以下の理由によると考えられる。
すなわち、薄片化黒鉛を含む触媒インクを用いて触媒層を形成する場合、塗膜の乾燥過程において、薄片化黒鉛の直下と周辺では収縮応力が異なる。その結果、薄片化黒鉛の周囲に大きな扁平細孔が形成されたと考えられる。
[3.2. 性能評価]
表1に、性能評価結果を示す。また、図5に、水電解継続時間に対する薄片化黒鉛の平均アスペクト比の影響を示す。図6に、水電解継続時間に対する薄片化黒鉛の平均長径の影響を示す。図7に、水電解継続時間に対するカーボン担体の平均粒子径の影響を示す。図8に、水電解継続時間に対する空隙率の影響を示す。さらに、図9に、水電解継続時間に対する平均細孔径の影響を示す。表1及び図5〜9より、以下のことが分かる。
(1)薄片化黒鉛の平均アスペクト比を3〜20にすると、水電解継続時間が3000秒以上となる。
(2)薄片化黒鉛の平均長径を1〜8μmにすると、水電解継続時間が3000秒以上となる。
(3)カーボン担体の平均粒子径を5〜200nmにすると、水電解継続時間が3000秒以上となる。
(4)触媒層の空隙率を3〜40%にすると、水電解継続時間が3000秒以上となる。
(5)触媒層の平均細孔径を0.1〜1.5μmにすると、水電解継続時間が3000秒以上となる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る触媒層は、固体高分子形燃料電池などの各種電気化学デバイスの触媒層として用いることができる。

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた触媒層。
    (1)前記触媒層は、
    カーボン担体の表面に触媒が担持された電極触媒と、
    触媒層アイオノマと、
    薄片化黒鉛と
    を備えている。
    (2)前記薄片化黒鉛は、
    アスペクト比(=L/D、Lは前記薄片化黒鉛の長径、Dは前記薄片化黒鉛の短径)の平均値が3以上20以下であり、
    前記長径Lの平均値が1μm以上8μm未満である。
  2. 前記カーボン担体の平均粒子径が5nm以上200nm以下である請求項1に記載の触媒層。
  3. 空隙率が3%以上40%以下である請求項1又は2に記載の触媒層。
  4. 平均細孔径が0.1μm以上1.5μm以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の触媒層。
  5. 固体高分子形燃料電池のアノードに用いられる請求項1から4までのいずれか1項に記載の触媒層。
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