JP5309295B2 - 構造物におけるブロックの上下境界部構造及び構造物 - Google Patents

構造物におけるブロックの上下境界部構造及び構造物 Download PDF

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Description

本発明は、擁壁(空積み擁壁やL型擁壁等)等の構造物におけるブロックの上下境界部及び構造物の滑動を防止するための構造に関する。
基礎部上に複数の擁壁ブロックを段積みして形成される擁壁部においては、基礎部の上端面前部の左右側部に、左右一対の棒状の滑動防止片を上方に向けて突設し、両滑動防止片に最下段を形成する擁壁ブロックの前壁下部の左右側部を当接させて、同擁壁ブロックが前方に滑動するのを防止している。
そして、各擁壁ブロックの上端面前部の左右側部にも、左右一対の棒状の滑動防止片を上方に向けて突設して、両滑動防止片に上段に隣接する擁壁ブロックの前壁下部の左右側部を当接させて、各擁壁ブロックが前方に滑動するのを防止している。(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−204669号公報
上記した特許文献1の擁壁では、以下のような課題を有している。
擁壁ブロックの上端面前部の左右側部に、左右一対の棒状の滑動防止片を上方に向けて突設して、両滑動防止片に上段に隣接する擁壁ブロックの前壁下部の左右側部を当接させて、各擁壁ブロックが前方に滑動するのを防止する擁壁では、各擁壁ブロックに作用する外力が大きくなるほど、滑動防止片としての効力を発揮するが、同時に、滑動防止片及びこれらを支持している周辺部に応力が集中し、局部破壊につながるため、これらの滑動防止片の効力にはおのずと限界がある。
また、曲線施工では、各段毎に円弧の曲率半径が異なるために、擁壁ブロックをすき間無く連続させて、同擁壁ブロックに設けた左右一対の滑動防止片の両方に、上段の擁壁ブロックの前壁下部を当接させることができなくなるという不具合が生じている。
従って、曲線施工においては、擁壁ブロックをすき間無く連続させて敷設することは物理的に困難である。
(1)請求項1記載の発明は、基礎地盤上に配設した基礎部上にブロックを段積みして構築する構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、段積みするブロックは、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備し、ブロックを段積みして形成される各段の上下境界面位置に、下段ブロック側と上段ブロック側に跨がるよう滑動抵抗体を配置して、下段ブロックの前壁と同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の前部拘束層を形成すると共に、同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同下段ブロックの後壁ないしは構造物の背後に形成されている法面との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の後部拘束層を形成する一方、上段ブロックの前壁と同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の前部拘束層を形成すると共に、同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同上段ブロックの後壁との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の後部拘束層を形成して、前記各段の上下境界面位置にて、上・下段の前部拘束層を上下方向に連続させると共に、上・下段の後部拘束層を上下方向に連続させて、上下方向に連続する前部拘束層と上下方向に連続する後部拘束層が、上記滑動抵抗体を介して反力を発揮することにより、上下境界面におけるブロックの滑動抵抗力を強化することを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、請求項1記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、滑動抵抗体は、ブロックとは非連結状態にして配置することを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、請求項1記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、滑動抵抗体は、上下方向に隣接する上・下段ブロックの下段ブロックに連結状態にして配置することを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、請求項3記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、滑動抵抗体は、ブロックの前・後壁を連結する連結体に滑動抵抗体の端部を嵌合させるための嵌合用凹部を設けて、同嵌合用凹部を介して滑動抵抗体を横架状に配置することを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、基礎地盤に凹部を形成し、凹部内に滑動抵抗体を配置して、滑動抵抗体の少なくとも前面側に粒径材を充填して粒径材層を形成すると共に、粒径材層の上に、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備するブロックを配置し、ブロックの前・後壁の間には、粒径材層より上方に伸延させた上記滑動抵抗体の上部を配置して、滑動抵抗体の上部とブロックの前・後壁との間にそれぞれ前・後の空間を形成し、各前・後の空間には、粒径材を充填して前・後部拘束層を形成することにより、少なくとも前部拘束層と前記粒径材層を上下方向に連続させ、上記滑動抵抗体を介して上下方向に連続する前部拘束層と粒径材層が反力(受働)を発揮して、粒径材層の上に載置した上記ブロックの滑動抵抗力を強化する基礎部を構成し、基礎部上には、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備する複数個のブロックを段積みすると共に、ブロックを段積みして形成される各上・下段ブロックの上下境界面位置には、請求項1〜4のいずれか1項記載のブロックの上下境界部構造を備えることを特徴とする。
(6)請求項6記載の発明は、請求項5記載の構造物であって、ブロックの上下境界面位置に配置した滑動抵抗体に帯状の係留体の基端部を連結して、同係留体の先端部を構造物の背後に形成された地盤中に略水平に伸延させて、同地盤中に係留体を埋設状態となしたことを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明では、基礎地盤上に配設した基礎部上にブロックを段積みして構築する構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、段積みするブロックは、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備し、ブロックを段積みして形成される各段の上下境界面位置に、下段ブロック側と上段ブロック側に跨がるよう滑動抵抗体を配置して、下段ブロックの前壁と同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の前部拘束層を形成すると共に、同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同下段ブロックの後壁ないしは構造物の背後に形成されている法面との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の後部拘束層を形成する一方、上段ブロックの前壁と同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の前部拘束層を形成すると共に、同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同上段ブロックの後壁との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の後部拘束層を形成して、前記各段の上下境界面位置にて、上・下段の前部拘束層を上下方向に連続させると共に、上・下段の後部拘束層を上下方向に連続させて、上下方向に連続する前部拘束層と上下方向に連続する後部拘束層が、上記滑動抵抗体を介して反力を発揮することにより、上下境界面におけるブロックの滑動抵抗力を強化するようにしている。ここで、法面とは、地山の切土面や盛土の傾斜面等、構造物の背後地面である。
従って、主働土圧がブロックに作用すると、主働土圧はブロックの後壁及び/又は後部
拘束層を形成する粒径材を経て滑動抵抗体に伝播され、この伝播によって、滑動抵抗体の前面側に位置して上下方向に連続する両前部拘束層を形成する粒径材が滑動抵抗体に反力(受働)を発揮して、上下境界面におけるブロックの前方向への滑動を防止する。
また、主働土圧とは反対方向の外力(地震)がブロックに作用する場合、同外力はブロックの前壁から前部拘束層を形成する粒径材を経て滑動抵抗体に伝播され、この伝播した前方向からの外力に対して、滑動抵抗体の後面側に位置して上下方向に連続する上・下段の後部拘束層の粒径材が、滑動抵抗体に反力(受働)を発揮して、上下境界面におけるブロックの後方向への滑動を防止する。
さらに、滑動抵抗体の前・後面とブロックの前・後壁との間に形成される前・後部空間とは別に、滑動抵抗体の左・右の小口面とブロックの連結体との間に左・右の空間を形成し、両空間に粒径材を充填して左・右側拘束層を形成することができる。この場合、左・右側の拘束層は、左・右方向からの外力(地震等)に対し、上記滑動抵抗体を介して、左・右方向に反力を発揮して、上記ロックの左・右方向への滑動を防止する。
このように、滑動抵抗体を介して前・後・左・右の拘束層を形成する粒径材が滑動抵抗体に発揮する反力(受働)によって、各段の上下境界部のブロックの前・後・左・右方向への滑動を防止することにより、2次元方向(平面−360度)方向への滑動抵抗力が強化できる。
また、滑動抵抗体を介して拘束層を形成する粒径材に反力を発揮させてブロック間の滑動抵抗力を強化する上記の滑動防止構造は、滑動抵抗体に作用する各拘束層の粒径材の重さ及び粒径材に作用する土かぶり圧などの影響を受ける。従って、段積みされたブロックの奥行方向へのずれ幅がより少なくなって、必然的に胴込め材の土かぶり圧が増大する急勾配法面ほど、より大きな反力(受働)を発揮することができる。つまり、急勾配になるほど滑動抵抗力が強化される理想的な滑動防止構造となる。
(2)請求項2記載の発明では、滑動抵抗体は、ブロックとは非連結状態にして配置するようにしている。
このように、滑動抵抗体は、ブロックと連結せずに一定間隔だけ離隔させて設置して、同滑動抵抗体とブロックとの間に形成される空間に粒径材を充填して、同滑動抵抗体の周辺全体を粒径材で囲う非連結式の空積み構造としている。従って、滑動抵抗体には破壊につながる曲げ、引張り、せん断応力等が発生しないため、基本的に滑動抵抗体は破壊しない。
この点、突起をブロックと連結する従来の突起工法は、ブロック前面の下部を突起面に当接して、同突起のせん断力によってブロックの滑動に抵抗するようにしている。しかし、一定以上の外力が作用すると、曲げ、引張り、せん断応力等が発生し、突起部が破損して擁壁の安全性が大きく低下する。また、これらの突起でブロックの滑動抵抗力が発揮できる方向は前方向のみで、左・右方向のから外力に対しては突起の効力は皆無である。そのため、ブロックの両端部から胴込め材が飛び出ることがある。以上のことから、突起をブロックに連結する従来工法は、耐力面・機能性に課題を残している。
(3)請求項3記載の発明では、滑動抵抗体は、上下方向に隣接する上・下段ブロックの下段ブロックに連結状態にして配置するようにしている。
ここで、本発明において「ブロックに連結状態にして配置する」とは、ブロックに形成した嵌合用凹部に被拘束部の端部を嵌合して連結したり、又、ブロックに設けた係合用突起に被拘束部の端部を係合して連結したりする等により、ブロックに対して、滑動抵抗体の配設位置をほぼ(前後の動きに遊びをもたせて)位置決めすることができるようにする場合と、ブロックに連結ボルト等の連結具を介して被拘束部を固定状態に連結する場合と、ブロックに滑動抵抗体を一体成形して、ブロックに被拘束部を一体連結状態となす場合とがある。
従って、上下方向に隣接する上・下段ブロックの下段ブロックに滑動抵抗体を連結状態にして配置することにより、構造面においては、滑動抵抗体の重量と同滑動抵抗体に上載される胴込め材の重量が、同滑動抵抗体を介して下段ブロックに伝播され、同ブロックの鉛直方向の重量が増大すると共に、滑動抵抗体の下部面積の増加により、粒径材のせん断強さ(鉛直成分)が増大する。その結果、これらの重量及びせん断強さが増加した分、鉛直方向の外力に対しての反力が増加することによって擁壁の安定に寄与することができる。
(4)請求項4記載の発明では、滑動抵抗体は、ブロックの前・後壁を連結する連結体に滑動抵抗体の端部を嵌合させるための嵌合用凹部を設けて、同嵌合用凹部を介して滑動抵抗体を横架状に配置するようにしている。
従って、施工面において、嵌合用凹部に滑動抵抗体の端部を嵌合させて横架状に配置するだけで、正確かつ簡単に滑動抵抗体を配置(位置決め)することができると共に、施工中に滑動抵抗体が転倒するのを未然に防止することができる。
(5)請求項5記載の発明では、基礎地盤に凹部を形成し、凹部内に滑動抵抗体を配置して、滑動抵抗体の少なくとも前面側に粒径材を充填して粒径材層を形成すると共に、粒径材層の上に、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備するブロックを配置し、ブロックの前・後壁の間には、粒径材層より上方に伸延させた上記滑動抵抗体の上部を配置して、滑動抵抗体の上部とブロックの前・後壁との間にそれぞれ前・後の空間を形成し、各前・後の空間には、粒径材を充填して前・後部拘束層を形成することにより、少なくとも前部拘束層と前記粒径材層を上下方向に連続させ、上記滑動抵抗体を介して上下方向に連続する前部拘束層と粒径材層が反力(受働)を発揮して、粒径材層の上に載置した上記ブロックの滑動抵抗力を強化する基礎部を構成し、基礎部上には、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備する複数個のブロックを段積みすると共に、ブロックを段積みして形成される各上・下段ブロックの上下境界面位置には、請求項1〜4のいずれか1項記載のブロックの上下境界部構造を備えている。
最初に、土圧が最も大きい最下段ブロックの滑動を防止する。そして、最下段ブロックと最下段ブロックに上載するブロックとの上下境界面位置に、下段ブロック側と上段ブロック側に跨がるよう滑動抵抗体を配置して構造物におけるブロックの上下境界部構造を形成すると共に、同上下境界部構造を最下段ブロックから順次、上段側へ連続することにより、各段のブロックは下段側のブロックが上段側のブロックの滑動を順次防止する一連の滑動防止構造が完成する。
具体的には、最も土圧が大きいブロック(最下段)に主働土圧が作用すると、主働土圧は同ブロック(最下段)の後壁と滑動抵抗体の上部との間に形成した後部拘束層を介して滑動抵抗体に伝播され、この伝播によって同滑動抵抗体の前面側にて上下方向に連続する前部拘束層と粒径材層をそれぞれ形成している粒径材が滑動抵抗体を介して反力(受働)を発揮して、同ブロック(最下段)の滑動を防止する。当然、同ブロック(最下段)より上段位の各段のブロックにも主働土圧が作用しており、これらの主働土圧が各段のブロックの後壁及び/又は後部拘束層を形成する粒径材を経て滑動抵抗体に伝播され、この伝播によって、同滑動抵抗体の前面側の上下方向に連続する両前部拘束層の粒径材が滑動抵抗体に反力(受働)を発揮することにより、上下境界部の下段側のブロックが上段側のブロックの滑動を防止する。
この際、主働土圧は上段位になるほど小さくなるため、主働土圧が最も大きい最下段ブロックが滑動しない限り、各段のブロックは下段側のブロックが上段側のブロックの滑動を順次防止する一連の滑動防止構造が完成する。
そのため、この一連の滑動防止構造の完成により、上下境界部構造に形成した上下に連続する両前部拘束層及び両後部拘束層の粒径材に圧縮応力が発生することによって、拘束層の粒径材が有する圧縮強度が反力となって滑動抵抗体に伝播される。このように、拘束層の粒径材が有する強度の中で最も強い圧縮強度が活用できることにより、滑動安全率(Fs)が飛躍的に向上するため、滑動抵抗体(上下境界面配置用)を小型化することができ、また、内部摩擦角が小さいクラッシャーラン等でも安心して使用できることから、経済性も向上する。
さらに、基礎部の作用効果をより具体的に説明する。すなわち、粒径材層の上に配置したブロックの背面に土圧が作用すると、同土圧はブロックの後壁から滑動抵抗体の上部との間に形成した後部拘束層を経て滑動抵抗体に伝播され、この伝播によって、同滑動抵抗体の前面側にて上下方向に連続する前部拘束層と粒径材層をそれぞれ形成している粒径材が滑動抵抗体を介して反力(受働)を発揮して、粒径材層の上に配置したブロック、つまり、粒径材層に上載する最下段ブロックの前方向への滑動抵抗力を強化する
この際、滑動抵抗体はブロックと連結せずに分離して設置し、滑動抵抗体とブロックとで形成される空間に粒材を充填して同滑動抵抗体の周辺全体を粒材で囲う非連結式の空積み構造とすることができる。この場合、滑動抵抗体には破壊につながる曲げ、引張り、せん断応力等が発生しないことから、同滑動抵抗体は基本的に破壊しない。なお、突起を基礎部と一体化する従来工法では、突起部分に大きな曲げ、引張り、せん断などの応力が発生するため、面倒な設計と施工が要求され、当然コストもアップする。また、反力を発揮する滑動抵抗体の有効面積が減少しないことから、一体・固定式の滑動抵抗体よりも大きな反力(受働)を発揮することができる。
また、滑動抵抗体の左・右の小口面とブロックの連結体の間に左・右の空間を形成することができる。そして、これら左・右の空間に粒径材を充填して左・右側拘束層を形成することができる。このようにして、地震等における左・右方向からの外力に対して、同拘束層が上記滑動抵抗体を介して反力を発揮して、上記ブロックの左・右方向への滑動を防止することができる。
(6)請求項6記載の発明では、ブロックの上下境界面位置に配置した滑動抵抗体に帯状の係留体の基端部を連結して、同係留体の先端部を構造物の背後に形成された地盤中に略水平に伸延させて、同地盤中に係留体を埋設状態となしている。
従来の補強土擁壁工は、擁壁部を形成する擁壁ブロックに係留体を直接連結して、同擁壁部の背後に形成されている地盤に係留体を略水平に伸延させて配置している。そのため、理論上は、ブロックの背面に作用する土圧によりブロックが前方へ僅かに滑動すると、このブロックの滑動と同時に、係留体に引張り応力が発生し、この係留体が発する引張り応力により、同地盤材のせん断抵抗力が強化されて、同擁壁部の背後に形成されている地盤材の安定が確保される。そして、この地盤(材)の安定により、ブロックの滑動・転倒を防止する構造となっている。しかしながら、施工等のミスにより、想定以上にブロックが動いた場合は、擁壁全体の安全性が低下する恐れがある。
その点、本発明では、ブロックに係留体を直接連結するのではなく、ブロックの上下境界面位置に設置した滑動抵抗体に係留体を連結している。従って、理論上は、背面土圧による滑動抵抗体の弱冠の動きに伴って、同滑動抵抗体に連結している係留体自体に引張り応力が生じ、地盤材のせん断抵抗力が強化される。一方、ブロック自体は、各段の上下境界部の両前部拘束層の粒径材が滑動抵抗体を介して発する反力(受働)によって、同ブロックの滑動・転倒を確実に防止することができる。このようにして、滑動抵抗体を介して効果的な反力を発揮して、ブロックの滑動を防止する滑動防止効果と、滑動抵抗体に係留体を連結して地盤材を補強する地盤補強効果とを有機的に一体化させることができて、より堅実な係留体を用いた補強土擁壁工法となすことができる。
本発明に係る第1実施形態としての擁壁の断面側面説明図。 同擁壁の下半部の拡大断面側面説明図。 同擁壁の基礎部の一部切欠平面説明図。 擁壁ブロックの説明図((a)は平面図、(b)は(a)のI-I線断面図、(c)は断面側面図)。 擁壁の施工説明図。 他実施例1としての基礎部本体の施工説明図。 他実施例2としての基礎部の説明図((a)は断面側面図、(b)は一部切欠平面図、(c)は断面背面図、(d)は力学的説明図)。 他実施例3としての基礎部の説明図((a)は断面側面図、(b)は一部切欠平面図、(c)は断面背面図、(d)は力学的説明図)。 変容例としての基礎部用滑動抵抗体の斜視図。 他実施例4としての基礎部の説明図。 他実施例5としての基礎部の説明図。 他実施例6としての基礎部の説明図((a)は断面側面図、(b)は力学的説明図)。 他実施例1としての擁壁部用滑動抵抗体の使用状態説明図((a)は平面説明図、(b)は(a)のII-II線断面図、(c)は断面側面説明図)。 他実施例2としての擁壁部用滑動抵抗体の使用状態説明図((a)は平面説明図、(b)は(a)のIII-III線断面図、(c)は断面側面説明図)。 他実施例3としての擁壁部用滑動抵抗体の取り付け位置を示す断面側面図。 他実施例4としての擁壁部用滑動抵抗体の取り付け位置を示す断面側面図。 他実施例としての境界部ないしは擁壁部の説明図。 第2実施形態としての擁壁の断面側面説明図。 図18のIV-IV線断面平面図。 第2実施形態の第1変容例としての擁壁の断面側面説明図。 第2実施形態の第2変容例としての擁壁の断面側面説明図。 同擁壁の平面説明図。 滑動抵抗体と係留体の連結状態説明斜視図。 第2実施形態の第3変容例としての擁壁の断面側面説明図。 同擁壁の平面説明図。 第3実施形態としての擁壁の一部の断面側面説明図。 第4実施形態としての擁壁の一部の説明図((a)は平面説明図、(b)は(a)のV-V線断面説明図)。 第4実施形態の変容例としての擁壁の一部の説明図((a)は平面説明図、(b)は(a)のVI-VI線断面説明図)。
以下に、本発明に係る実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態としての擁壁]
図1に示す10は、第1実施形態としての水平積みの擁壁であり、同擁壁10は、基礎地盤11に基礎部12を配設し、同基礎部12上に境界部13を介して擁壁部14を載設して構成している。
そして、本発明では、上記基礎部12と境界部13と擁壁部14にそれぞれ滑動抵抗体(後述する基礎部用滑動抵抗体23、境界部用滑動抵抗体30、及び、擁壁部用滑動抵抗体40)を設けて、各部12,13,14における滑動防止機能を良好に確保している。
このようにして、基礎部12の滑動防止機能が良好に確保されるため、その基礎部12の上に形成される境界部13の滑動防止機能がさらに良好に確保され、その境界部13の上に形成される擁壁部14の滑動防止機能がより一層良好に確保されるというように、各部12,13,14における滑動防止機能が相互に一連となって効果を奏して、いわゆる相乗効果が生起されるようにしている。
図1において、15は地山、16は法面としての切土面、17は栗石等の裏込め材、18は埋め戻し材である。
次に、基礎地盤11において、基礎部12の滑動防止機能が良好に確保されるように構成した〔基礎部12の構造〕、基礎部12と擁壁部14との間に形成される〔境界部13の構造〕、及び、〔擁壁部14の構造〕について、順次図面を参照しながら説明する。
〔基礎部12の構造〕
図1、図2及び図5に示すように、基礎地盤11に、凹部として擁壁延設方向に伸延する凹条部20を形成して、同凹条部20内に基礎部12を配設可能となしており、同凹条部20の底部の後部には、擁壁延設方向に伸延する段付凸条となした段差部21を形成している(図5(1)参照)。
そして、凹条部20の底部の前部、すなわち、凹条部20の底部で段差部21よりも前方に位置する底部には、底部支持材を敷設すると共に転圧して底部層22を形成している(図5(2)参照)。ここで、底部支持材としては、内部摩擦角が前記基礎地盤11を成形する地盤材と同等ないしはそれよりも大きい粒径材(例えば、砕石)を使用する。
また、底部層22上には、端面縦長四角形で擁壁延設方向に伸延する板状の基礎部用滑動抵抗体23を、段差部21の直前方に位置させて配置している(図5(3)参照)。
このように、基礎部用滑動抵抗体23は、粒径材である砕石等の底部支持材を敷設して形成した底部層22上に配置するため、同底部層22の層厚さを調整することにより、基礎部用滑動抵抗体23のレベル調整(上下方向の位置調整)を簡単に行うことができる。
上記した底部層22上には、基礎部用滑動抵抗体23の前方に形成される凹条部20内の空間に、粒径材を充填・転圧して前部粒径材層24を形成する一方、同基礎部用滑動抵抗体23の後方かつ段差部21上に形成される凹条部20内の空間に、上記粒径材を充填・転圧して後部粒径材層25を形成している(図5(4)参照)。ここで、前・後部粒径材層24,25を形成する粒径材としては、内部摩擦角が前記基礎地盤11を成形する地盤材と同等ないしはそれよりも大きい粒径材(例えば、砂混じりの礫、砕石、栗石、コンクリート破砕片等)を使用する。
このようにして、上記凹条部20内に、底部層22と基礎部用滑動抵抗体23と前・後部粒径材層24,25とからなる基礎部形成層1を形成している(図2及び図5(4)参照)。
従って、かかる基礎部形成層1において、滑動時の抵抗面となる仮想せん断面45は、基礎部用滑動抵抗体23の下端面の位置である底部層22と前・後部粒径材層24,25との間に形成されることになり、内部摩擦角が小さい粘性土の基礎地盤11であっても、砕石等の底部支持材により粘性土の弱点である内部摩擦角の小ささを強化して補うことができて、滑動時の仮想せん断面45のせん断抵抗力を増大させることができる。そのため、粒径材が有する内部摩擦角に準じたせん断力及び受働土圧を、同粒径材に発揮させることができて、基礎部用滑動抵抗体23による滑動防止機能を高めることができる。
特に、粒径材として、例えば、栗石を用いた場合には、栗石は、粘土や砂質土よりも内部摩擦角が大きくかつ受働崩壊角が小さいため、粘土や砂質土よりも大きなせん断力を発揮して、栗石の内部摩擦角に準じた受働土圧を発揮する。
また、粘土地盤では排水性が極めて不良であるために、非排水条件下では有効応力がさらに低下してせん断抵抗力や受働土圧がさらに減少するが、粒径材である栗石と底部支持材である砕石は、排水性に優れるため、この点においても、栗石の内部摩擦角に見合った安定したせん断力及び受働土圧が期待できる。
基礎部用滑動抵抗体23の背後に形成されている段差部21は、地山15と連続しているため、仮想せん断面45から段差部21の上面までの高さH(図2参照)の分だけ、地山15から擁壁10に作用する土圧を軽減することができる。従って、擁壁10の安全性を高めることができる。
上記のように構成した基礎部形成層1の上には、基礎部本体26を設けると共に、同基礎部本体26を前記基礎部用滑動抵抗体23と一体化させて基礎部12を形成している(図5(5)を参照)。
そして、基礎部本体26は、前・後部拘束層24,25上に、上下方向に開口する四角形枠状のブロックとしての基礎部本体形成片27を載置し、同基礎部本体形成片27内に固化材を、基礎部本体形成片27の略半分の高さまで投入して固化させることにより、平板状の基礎部形成固化片28を一体的に形成している(図5(6)を参照)。
ここで、ブロックとしての基礎部本体形成片27は、図3に示すように、前・後壁83,84と、両前・後壁83,84を連結する連結体としての左・右側壁85,86とから、上・下面開口部を有する横長四角形枠状に形成している。
図3に示すように、左・右側壁85,86の前部には、その上端から下端まで上下方向に伸延する左・右側接続用突部85a,86aを形成して、左側接続用突部85aには上下方向に伸延する嵌合凹部85bを形成する一方、右側接続用突部86aには上下方向に伸延する嵌合凸部86bを形成して、左右方向に隣接する左側の擁壁ブロック32の嵌合凸部86bと、右側の擁壁ブロック82の嵌合凹部85bとが嵌合して左右方向に接続するようにしている。
また、左・右側壁85,86の上部間には、境界部用滑動抵抗体30を架設している。すなわち、図3に示すように、左・右側壁85,86の内側面において、上部かつ後部に位置させて嵌合用凹部87,88を左右方向に対向状態に形成しており、各嵌合用凹部87,88は、左・右側壁85,86の内側面を上方及び内側方が開口する逆台形凹状に形成している。
そして、左・右側壁85,86に嵌合用凹部87,88を介して後述する境界部用滑動抵抗体30を横架するようにしている。ここで、嵌合用凹部87,88の前後幅は、境界部用滑動抵抗体30の前後幅よりもやや幅広に形成して、同境界部用滑動抵抗体30の前後の動きに遊びをもたせている。
基礎部形成固化片28は、前・後部拘束層24,25の上面及び基礎部用滑動抵抗体23の上面と一体的に固化させて形成すると共に、上面は略水平面に形成している。29は、基礎部用滑動抵抗体23から上方へ突出させて設けたアンカー筋である(図5(6)を参照)。
ここで、基礎部用滑動抵抗体23の左右幅は、図3に示すように、基礎部本体形成片27の左右幅よりも広幅に形成しており、同基礎部用滑動抵抗体23の左・右側端部23a,23bは、上記基礎部本体形成片27の左右側壁85、86より外側方へ突出状態となしている。また、前記した固化材としては、コンクリートやモルタル等を使用することができる。
このように、前・後部粒径材層24,25の上に載置した基礎部本体形成片27と、同基礎部本体形成片27の上・下面開口部内にて固化材を固化させて一体的に形成した基礎部形成固化片28とにより、基礎部本体26を形成すると共に、同基礎部形成固化片28は、前・後部粒径材層24,25の上面及び基礎部用滑動抵抗体23の上面と一体的に固化させているため、基礎部12を迅速かつ簡単にして強固に構築することができる。
この際、基礎部本体形成片27は、プレキャストコンクリートブロックを採用し、基礎部形成固化片28は、現場打ちコンクリートを固化させて形成することにより、楽に基礎部を構築することができる。
なお、本実施の形態では、基礎部本体形成片27内の全面に、平板状の基礎部形成固化片28を一体的に形成しているが、同基礎部形成固化片28に、後述する擁壁ブロック32内と前・後部粒径材層24,25とを連通させる上下方向連通部(図示せず)を形成することもできる。
このようにして、擁壁ブロック32を植生ブロックとして使用した場合には、同植生ブ
ロックに植生した植物が、その根を上下方向連通部中を通して基礎地盤11まで伸延させることができる。
〔境界部13の構造〕
図1〜図3に示すように、前記した基礎部本体形成片27には、境界部用滑動抵抗体30を横架しており、同境界部用滑動抵抗体30は、端面縦長四角形で擁壁延設方向に伸延する板状に形成すると共に、前記基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86に形成した嵌合用凹部87,88に左・右側端部が嵌合して梁状に横架される被拘束部30aと、同被拘束部30aの上端縁部から上方へ突状に延設して形成した拘束部30bとから形成している。
このようにして、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86に形成した嵌合用凹部87,88に、境界部用滑動抵抗体30の左・右側端部を嵌合して梁状に横架することにより、基礎部本体形成片27内にて基礎部形成固化片28上に境界部用滑動抵抗体30を安定状態に楽に配置(位置決め)することができるようにしており、同境界部用滑動抵抗体30は、基礎部形成固化片28の前後幅の中央部よりもやや後方寄り位置にて後壁84と略平行させて、同基礎部本体形成片27に連結している。(図5(7)を参照)。
そして、基礎部本体形成片27内にて、境界部用滑動抵抗体30の前後に形成される基礎部形成固化片28上の空間には、拘束層形成材としての胴込め材31を充填すると共に、基礎部本体形成片27の上端面と略面一となるように転圧して、前・後部拘束層90,91を形成している(図5(7)を参照)。
その結果、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86に横架した境界部用滑動抵抗体30の被拘束部30aは、前・後部拘束層90,91をそれぞれ形成する胴込め材31が相互に連動して、前後方向からも支持される一方、境界部用滑動抵抗体30の拘束部30bは、胴込め材31から上方に突出した状態となる。ここで、胴込め材31としては、例えば、砕石、栗石、コンクリート破砕片等の塊状物、又はコンクリートやモルタル等の固化材を使用することができる。
また、後述する擁壁部14は、図1に示すように、ブロックとしての擁壁ブロック32を複数段積みして形成している。
そして、上記擁壁ブロック32は、図4に示すように、前・後壁33,34と、両前・後壁33,34を連結する連結体としての左・右側壁35,36とから、上下方向に開口する四角形筒状に形成しており、後壁34は、前壁33の略半分の高さに低く形成している。なお、後壁34の高さは、前壁33の略半分以下の高さであればよく、本実施形態に限られるものではない。
かかる擁壁部14の最下段を形成する擁壁ブロック32は、前記した基礎部本体形成片27内に胴込め材31を充填・転圧して形成した前・後部拘束層90,91の上に載置し、同擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に上記境界部用滑動抵抗体30の拘束部30bを配置して、同前壁33と拘束部30bとの間に形成される空間に胴込め材31を充填して、同擁壁ブロック32の後方への滑動を拘束する前部拘束層92を形成すると共に、同拘束部30bと上記擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填して、同擁壁ブロック32の前方への滑動を拘束する後部拘束層93を形成している。
しかも、後壁34の上端よりもやや上方位置の転圧ライン39まで胴込め材31を充填すると共に転圧して、基礎部12と最下段の擁壁ブロック32との間に境界部13を形成している(図5(8)参照)。
ここで、転圧ライン39は、図2及び図5(8)(9)に示すように、擁壁ブロック32内に充填した胴込め材31と、同擁壁ブロック32の背後に充填した裏込め材17とを転圧する作業ラインであり、本実施の形態では、擁壁ブロック32の略半分の高さ位置(後壁よりも高い位置)と、同擁壁ブロック32の上端面の高さ位置とに設定している。
このように、基礎部12と最下段の擁壁ブロック32との間に境界部13を形成しているため、上記境界部用滑動抵抗体30の拘束部30bの前後に形成した前・後部拘束層92,93の胴込め材31が相互に連動して(基礎部12が滑動せず、境界部用滑動抵抗体30が破壊しない限り)、擁壁ブロック32の前・後両方向への滑動を拘束する構造となすことができる。
そして、境界部用滑動抵抗体30を介して胴込め材31を充填して形成した前・後拘束層90,91の胴込め材31に滑動に対する反力を発揮させる本技術は、上下段の擁壁ブロック境界面における胴込め材31等のせん断力で滑動に抵抗する従来の空積み擁壁とは、全く異なる空積み擁壁の構造となしている。
従って、壁体重量と上記境界部13における胴込め材31の摩擦力(μ=tanφ)によって支配される従来の空積み擁壁と比べ、本発明は、基礎部12が滑動しない限り、又、境界部用滑動抵抗体30が破壊しない限り、最下段の擁壁ブロック32の前後方向の滑動を堅実に拘束することができる、安全性の高い空積み擁壁の構造となすことができる。
また、拘束部30bと、擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填することなく、同拘束部30bを上記後壁34に接触する状態に配置した場合にも、同拘束部30bに上段の擁壁ブロック32の後壁34が後方から前方へ係合する状態となって、上段の擁壁ブロック32の前方向への滑動防止力を高めることができる。
なお、基礎部本体形成片27内に充填する胴込め材31として塊状物に替えて固化材を投入して固化させることにより、平板状の基礎部形成固化片28を基礎部本体形成片27及び境界部用滑動抵抗体30の被拘束部30aと一体的に形成することもできる。
〔擁壁部14の構造〕
擁壁部14は、図1及び図2に示すように、複数(本実施形態では六個)の擁壁ブロック32を段積みして形成しており、同擁壁ブロック32は、図4に示すように、前・後壁33,34と、両前・後壁33,34の左・右側端部間を連結する左・右側壁35,36とから、上下方向に開口する四角形筒状に形成し、後壁34を、前壁33の半分以下の高さに低く形成している。
そして、左・右側壁35,36の前部には、その上端から下端まで上下方向に伸延する左・右側接続用突部35a,36aを形成して、左側接続用突部35aには上下方向に伸延する嵌合凹部35bを形成する一方、右側接続用突部36aには上下方向に伸延する嵌合凸部36bを形成して、左右方向に隣接する左側の擁壁ブロック32の嵌合凸部36bと、右側の擁壁ブロック32の嵌合凹部35bとが嵌合して左右方向に接続するようにしている。
また、左・右側壁35,36の上部間には、擁壁部用滑動抵抗体40を横架して、前記基礎部本体形成片27と同様に連結している。
すなわち、図4に示すように、左・右側壁35,36の内側面において、上部かつ後部に位置させて嵌合用凹部37,38を左右方向に対向状態に形成しており、各嵌合用凹部37,38は、左・右側壁35,36の内側面を上方及び内側方が開口する逆台形凹状に形成している。
また、擁壁部用滑動抵抗体40は、端面縦長四角形で擁壁延設方向に伸延する板状に形成すると共に、下半部を上記嵌合用凹部37,38に左・右側端部が嵌合して梁状に横架される被拘束部40aと、同被拘束部40aの上端縁部から上方へ突出状に延設した拘束部40bとから形成している。
そして、拘束部40bは、左右幅を被拘束部40aよりも幅狭に形成して、同拘束部40bの左右側方でかつ被拘束部40aの左右側端部上方に干渉回避用空間41,42を形成している。
すなわち、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bは、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に配置することができる左右幅、さらには、上記干渉回避用空間41,42を確保して、各干渉回避用空間41,42内に胴込め材31を充填することにより左・右側拘束層43,44を形成可能な左右幅に形成している。
このようにして、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に、嵌合用凹部37,38を介して擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aを横架して位置決めし、同状態にて擁壁ブロック32内に胴込め材31を充填して前部拘束層92と後部拘束層93とを形成して、同擁壁ブロック32の上端面と、充填した胴込め材31の上面とが略面一となるように転圧する。
かかる状態において、擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aは充填した胴込め材31内に埋設されると共に、拘束部40bは、充填した胴込め材31の上面より上方へ突出しており、同拘束部40bの左右側方には干渉回避用空間41,42が確保されている。この際、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に横架した擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aは、前・後部拘束層92,93をそれぞれ形成する胴込め材31が相互に連動して、前後方向からも支持される。
かかる状態にて、上記擁壁ブロック32の上に、上段用の擁壁ブロック32を載置する。この際、下段の擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に横架した擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bが、上段に載置する擁壁ブロック32の前・後壁33,34間に略平行に配置されるようにする。
ここで、拘束部40bの左右側方には干渉回避用空間41,42が確保されているため、上段の擁壁ブロック32は、左・右側壁35,36を上記拘束部40bに干渉させることなく、前後左右方向への載置姿勢を自由に設定することができる。
そして、上段に段積みした擁壁ブロック32内において、同擁壁ブロック32の前壁33と下段の擁壁ブロック32に設けた擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bとの間に形成される空間に胴込め材31を充填して、上段の擁壁ブロック32の後方への滑動を拘束する前部拘束層92を形成すると共に、同拘束部40bと上段の擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填して、上段の擁壁ブロックの前方への滑動を拘束する後部拘束層93を形成する(図5(9)を参照)。
さらに、上段の擁壁ブロック32を載置した状態において、拘束部40bの左側方に確保されている干渉回避用空間41に胴込め材31を充填して、上段の擁壁ブロック32の右側方への滑動を拘束する左側部拘束層43を形成すると共に、拘束部40bの右側方に確保されている干渉回避用空間42に胴込め材31を充填して、上段の擁壁ブロック32の左側方への滑動を拘束する右側部拘束層44を形成する。
続いて、後壁34の上端よりもやや上方位置の転圧ライン39まで胴込め材31と裏込め材17を同時に充填・転圧する(図5(9)参照)。
その後、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に、嵌合用凹部37,38を介して擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aを横架し、同状態にて擁壁ブロック32内に胴込め材31、背後に裏込め材17を充填して、同擁壁ブロック32の上端面と、充填した胴込め材31及び裏込め材17の上面とが略面一となるように転圧する(図5(10)参照)。
以下、所要の段数まで上記した手順を繰り返すことにより、各上・下段の擁壁ブロック32,32間に擁壁ブロック間境界部94を形成しながら擁壁部14を構築することができる。
このように、下段の擁壁ブロック32に、擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aを横架して連結することにより、土圧等が上段の擁壁ブロック32の後壁34に背後から作用した際には、上段の擁壁ブロック32の後壁34→後部拘束層93を形成する拘束層形成材(胴込め材31)→擁壁部用滑動抵抗体40→下段の擁壁ブロック32に作用力が伝播されて、この伝播とほぼ同時に、擁壁部用滑動抵抗体40の後面側の後部拘束層93を形成する拘束層形成材(胴込め材31)が反力を発揮して、上段の擁壁ブロック32が前方向に滑動するのを堅実に防止する。
また、地震等により滑動力として上段のブロックの前壁に前方から外力が作用した場合は、上段の擁壁ブロック32の前壁33→前部拘束層92を形成する拘束層形成材(胴込め材31)→擁壁部用滑動抵抗体40→下段の擁壁ブロック32に伝播されて、この伝播とほぼ同時に、擁壁部用滑動抵抗体40の前面側の前部拘束層92を形成する拘束層形成材(胴込め材31)が反力を発揮して、上段の擁壁ブロック32が後方向に滑動するのを堅実に防止する。
同様に、地震等により上段の擁壁ブロック32に左(右)方向の滑動力が作用した際には、擁壁部用滑動抵抗体40を介して同擁壁部用滑動抵抗体40の左・右側の左・右側拘束層43,44を形成する拘束層形成材(胴込め材31)が互いに連動して、左右方向に作用する滑動力に対して反力を発揮する。
すなわち、滑動力は、上段の擁壁ブロック32の左(右)側壁35,36→上段の左(右)側の拘束層形成材(胴込め材31)→擁壁部用滑動抵抗体40に伝播する。
この際、下段の擁壁ブロック32に擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aを連結しているため、上段の擁壁ブロック32の左右側の拘束層形成材が互いに連動して左(右)方向への反力を発揮して、上段の擁壁ブロック32の左(右)方向への滑動を堅実に防止する。
このように、各上・下段の擁壁ブロック32,32間に擁壁ブロック間境界部94を形成しているため、擁壁部14を形成する擁壁ブロック32,32同士が、擁壁ブロック間境界部94において、前後方向及び左右方向に滑動するのを防止することができる。
すなわち、上記擁壁部用滑動抵抗体40の前後に形成した前・後部拘束層92,93の相互作用により、上下方向に段積みした各擁壁ブロック32の前後方向の滑動に対する反力を発揮させると共に、左・右側部拘束層43,44の相互作用により、各擁壁ブロック32の左右方向の滑動に対する反力を発揮させる構造は、胴込め材31同士の間のせん断力で滑動力に対抗する従来の空積み擁壁とは全く異なる空積み擁壁となしている。
従って、基礎部12と擁壁部14との間に形成される境界部13と同様に、上・下段の擁壁ブロック32,32間に形成される擁壁ブロック間境界部94にも、滑動に対する反力を発揮する構造とすることにより、従来の空積み擁壁の擁壁部に比して、より安全性に優れる擁壁部14を構築することができる。
しかも、各擁壁ブロック32は、胴込め材31を充填して形成した前・後部拘束層92,93及び左・右側部拘束層43,44、により、前後方向及び左右方向の滑動を拘束した状態にて擁壁部14を形成するようにしているため、各擁壁ブロック32の前後方向及び左右方向への滑動を拘束することができると共に、簡単かつ堅実に擁壁部を構築することができる。
さらには、前記した干渉回避用空間2,3,41,42を形成することにより、擁壁延設方向のブロック設置ズレ幅を許容して、擁壁10の曲線施工を容易にすることができる。
また、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bと、上段に段積みされた擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填することなく、同拘束部40bを上記後壁34に接触する状態に配置した場合にも、同拘束部40bに上段の擁壁ブロック32の後壁34が後方から前方へ係合する状態となって、上段の擁壁ブロック32の前方向への滑動防止力を高めることができる。
第1実施形態としての擁壁10は、上記のように構成しているものであり、基礎構造においては、基礎部用滑動抵抗体23に前・後拘束部24,25に発揮される受働土圧を確実に作用させることができて、基礎部12の滑動を堅実に防止することができる。
そして、境界部13においては、基礎部12の上に載置された最下段の擁壁ブロック32の前後及び左右方向の滑動を境界部用滑動抵抗体30により堅実に防止することができる。
さらに、かかる最下段の擁壁ブロック32の上に段積みした擁壁ブロック32の前後方向及び左右方向の滑動を、擁壁部用滑動抵抗体40により堅実に防止することができる。
このように、擁壁10の基礎部12→境界部13→上下方向に段積みして擁壁部14を形成する各擁壁ブロック32同士間の擁壁ブロック間境界部94というように、擁壁10の下部から上部に向けて各部の滑動を堅実に防止することができるようにしているため、擁壁10自体の滑動を一体的に防止することができる。
この際、擁壁10は、上記のように最下部の基礎部12から最上部の擁壁ブロック32まで、一体的に前後方向の滑動防止を図ると共に、左右方向にも同様に滑動防止を図る構造としているため、特に地震時において効力を発揮する。
〔基礎部12の他実施例1〕
次に、図6を参照しながら、基礎部12の他実施例1について説明する。
すなわち、図6に示す基礎部12の基礎部本体26は、基礎部形成層1の前・後部拘束層24,25上に、固化材としての現場打ちコンクリート等を直接打設して形成したものである。
その施工手順を説明すると、図6(5’)に示すように、前記した本実施形態と同様に基礎部形成層1の前・後部拘束層24,25を形成し、同前・後部拘束層24,25の上に型枠50を配置し、同型枠50内にて前・後部拘束層24,25の上に支持台51を載置し、同支持台51上に境界部用滑動抵抗体30を支持させる。
続いて、図6(6’)に示すように、型枠50内に現場打ちコンクリート等を打設して、基礎部本体26を基礎部用滑動抵抗体23と境界部用滑動抵抗体30と前・後部拘束層24,25の上面部とを一体化させて形成する。
その後、図6(7’)に示すように、脱型した後、擁壁ブロック32を載置する。
このようにして、基礎部本体26は、現場打ちコンクリート等を固化させて形成することにより、大型でも迅速かつ簡単にして強固に構築することができる。
〔基礎部12の他実施例2〕
次に、図7を参照しながら、基礎部12の他実施例2について説明する。
図7に示す基礎部12において、基礎部用滑動抵抗体23は、端面縦長四角形で擁壁延設方向に伸延する板状に形成すると共に、下半部を形成する被拘束部23aと、同被拘束部23aの上端縁部から上方へ延設して形成した拘束部23bとから形成している。そして、拘束部23bは、左右幅を被拘束部23aよりも幅狭に形成して、同拘束部23bの左右側方でかつ被拘束部23aの左右側端部上方に干渉回避用空間2,3を形成している。
すなわち、基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bは、図7(a)〜(c)に示すように、ブロックとしての擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間(ないしは基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86間)に配置することができる左右内面幅、さらには、上記干渉回避用空間2,3を確保して、各干渉回避用空間2,内に拘束層形成材としての胴込め材31を充填することにより左・右側拘束層4,5を形成可能な左右内面幅に形成する一方、同基礎部用滑動抵抗体23の被拘束部23aは、その上に擁壁ブロック32の左・右側壁35,36(ないしは基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86)を直接載置することができる左右幅、さらには、できるだけ大きい受働土圧が発揮されるようにそれよりも幅広の左右幅に形成している。
かかる基礎部用滑動抵抗体23を底部層22上に載置し、同基礎部用滑動抵抗体23の被拘束部23aの前面側に拘束層形成材を充填して前部粒径材層24を形成すると共に、被拘束部23aの後面側に拘束層形成材を充填して後部粒径材層25を形成して、同前・後部拘束層24,25を介して上記基礎部用滑動抵抗体23の前後方向への滑動を拘束するように基礎部形成層1を構成している。
そして、基礎部形成層1の上に、擁壁ブロック32(ないしは基礎部本体形成片27)を載置し、同擁壁ブロック32の前・後壁33,34間に、基礎部形成層1から上方に突出している上記基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bを配置し、同擁壁ブロック32の前壁33と同拘束部23bとの間に形成される空間に、拘束層形成材を充填して前部拘束層92(ないしは前部拘束層90)を形成すると共に、同拘束部23bと同擁壁ブロック32の後壁34との間に形成される空間に、拘束層形成材を充填して後部拘束層93(ないしは後部拘束層91)を形成している。
従って、図7(d)に示すように、基礎部形成層1の上に載置した擁壁ブロック32に、主働土圧Ph等により滑動力が生じた際には、その滑動力が擁壁ブロック32の後壁34と基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bとの間に形成した後部拘束層93(ないしは後部拘束層91)に作用し、同作用力が後部拘束層93(ないしは後部拘束層91)を介して基礎部用滑動抵抗体23に伝播されると、この伝播とほぼ同時に、同基礎部用滑動抵抗体23の前面側の拘束層形成材が同基礎部用滑動抵抗体23に受働土圧Ppを発揮して、基礎部形成層1の上に載置した擁壁ブロック32の滑動に対する抵抗力を増強することができる。図7(d)に示すSsは拘束層形成材の受働崩壊スベリ面、θは受働崩壊角であり、θ=45°−φ/2、φは拘束層形成材の内部摩擦角である。R1、R2はせん断抵抗力である。
また、地震等により滑動力として基礎部形成層1の上に載置した擁壁ブロック32の前壁33に前方から外力が作用したと仮定すると、その外力は擁壁ブロック32の前壁33→前部拘束層92(ないしは前部拘束層90)を形成する拘束層形成材→基礎部用滑動抵抗体23に伝播され、同基礎部用滑動抵抗体23が後方へごく僅かに移動することにより、同基礎部用滑動抵抗体23からその後面側の拘束層形成材に伝播され、この伝播とほぼ同時に、同基礎部用滑動抵抗体23の後面側の拘束層形成材が、基礎部用滑動抵抗体23に反力としての受働土圧Ppを発揮して、擁壁ブロック32が後方向に滑動するのを堅実に防止する。
このように、擁壁ブロック32内に、基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bを介して拘束層形成材を充填して、前部拘束層92(ないしは前部拘束層90)と後部拘束層93(ないしは後部拘束層91)とをそれぞれ形成し、両前・後部拘束層92,93(ないしは両前・後部拘束層90,91)の拘束層形成材が相互に連動して、擁壁ブロック32が前後方向に滑動するのを堅実に防止する。
また、地震等により擁壁ブロック32に左(右)方向の滑動力が作用した際には、基礎部用滑動抵抗体23を介して同基礎部用滑動抵抗体23の左・右側拘束層4,5を形成する拘束層形成材が互いに連動して、左右方向に作用する滑動力に対して反力を発揮する。
すなわち、滑動力は、擁壁ブロック32の左(右)側壁35,36(ないしは基礎部本体形成片27の左(右)側壁85,86)→左・右側拘束層4,5の拘束層形成材→基礎部用滑動抵抗体23に作用力として伝播する。
〔基礎部12の他実施例3〕
次に、図8を参照しながら、基礎部12の他実施例3について説明する。
すなわち、図8に示す基礎部12は、前記した他実施例2の基礎部12と基本的構造を同じくしているが、基礎部用滑動抵抗体23を変容させており、同基礎部用滑動抵抗体23は、図8(a)〜(c)及び図9に示すように、同一形状にて下部を形成する複数(他実施例3では2個)の被拘束部23a,23aを前後方向に間隔を開けて配置し、両被拘束部23a,23aを左右一対の連結体23c,23cを介して連結して、上下方向に開口する平面視枠状に形成すると共に、後側の被拘束部23aに上部を形成する拘束部23bを形成して、前後に対向する被拘束部23a,23aの間に形成される空間には、拘束層形成材を充填して中間部拘束層6を形成している。
このようにして、前後に対向する被拘束部23a,23a間に形成される空間内には、拘束層形成材を充填して中間部拘束層6を形成しているため、同拘束層形成材に反力としての受働土圧Ppをより効果的に発揮させることができる。
すなわち、図8(d)に示すように、対向する前後の被拘束部23a,23a間に充填した拘束層形成材に拘束圧を増大させて、同拘束層形成材の受働崩壊スベリ面Ssの発生と進行を抑制し、同拘束層形成材のせん断力を増大し、受働土圧Ppを発揮することで、より効果的に滑動抵抗力Rを増強することができる。
また、2個の被拘束部23a,23aを連結状態にて基礎部形成層1内に埋設する基礎部用滑動抵抗体23は、受働土圧を発揮する機能と、擁壁10の基礎部12本来の役割である支持力を担う基礎部本体形成片27としての機能(基礎ブロックとしての機能)を有する。
そして、かかる基礎部用滑動抵抗体23を形成する2個の被拘束部23a,23aの左右側部上に、最下段の擁壁ブロック32を直接載置して、その上に順次所要個数の擁壁ブロック32を段積みすることにより擁壁部14を構築することができる。
従って、本他実施例3にかかる基礎部用滑動抵抗体23は、滑動抵抗体と基礎ブロックとしての基礎部本体形成片27を一体的に形成した滑動抵抗体兼用基礎ブロックとして用いることができ、同基礎部用滑動抵抗体23の内部に拘束層形成材を充填して中間部拘束層6を形成すると共に、外部に拘束層形成材を充填して前・後部拘束層24,25を形成することにより基礎部形成層1を形成することができて、同基礎部形成層1の上に擁壁部14を直接設けることができる。
その結果、床堀深さは基礎部用滑動抵抗体23の高さ分を必要としないばかりか、必然的にその分だけは擁壁10の直高が低くなり、最大土圧を低減して滑動安全率を向上させる。また、擁壁10の施工も簡素化され、安価に構築することができる。
また、後方の被拘束部23aと、同被拘束部23aから上方へ伸延させた拘束部23bは、基礎部形成層1の上に直接載置した最下段の擁壁ブロック32の略中央部、すなわち、前壁33と後壁34の略中間位置に配置することにより、上記後方の被拘束部23aと拘束部23bに作用する土圧が軽減されて、最下段の擁壁ブロック32に最大土圧が作用するようにしている。
なお、前側の被拘束部23aは、基礎部形成層1上に載置する擁壁ブロック32の前壁33の近傍、すなわち、擁壁ブロック32内に充填される拘束層形成材の粒径よりも小さい間隔となるように近接配置するのが好ましい。
また、上記した基礎部用滑動抵抗体23の構造は、境界部用滑動抵抗体30や擁壁部用滑動抵抗体40の構造にも適用することができ、その場合には、被拘束部の左右幅を、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86(ないしは擁壁ブロック32の左・右側壁35,36)間に配置可能な左右幅に形成すると共に、拘束部の左右幅を被拘束部の左右幅と同等ないしは幅狭に形成する。
〔基礎部12の他実施例4〕
次に、図10を参照しながら、基礎部12の他実施例4について説明する。
すなわち、図10に示す基礎部12は、前記した他実施例2の基礎部12と基本的構造を同じくしているが、基礎部用滑動抵抗体23を変容させており、同基礎部用滑動抵抗体23は、同一形状にて下部を形成する複数(他実施例3では2個)の被拘束部23a,23aを前後方向に間隔を開けて配置し、両被拘束部23a,23aを左右一対の連結体23c,23cを介して連結して、上下方向に開口する平面視枠状に形成すると共に、前側の被拘束部23aに上部を形成する拘束部23bを形成して、前後に対向する被拘束部23a,23aの間に形成される空間には、拘束層形成材を充填して中間部拘束層6を形成している。
このようにして、前後に対向する被拘束部23a,23a間に形成される空間内には、拘束層形成材を充填して中間部拘束層6を形成しているため、同拘束層形成材に反力としての受働土圧をより効果的に発揮させることができる。
すなわち、対向する前後の被拘束部23a,23a間に充填した拘束層形成材に拘束圧を増大させて、同拘束層形成材の受働崩壊スベリ面Ssの発生と進行を抑制し、同拘束層形成材のせん断抵抗力及び受働土圧Ppを増大させて、より効果的に滑動抵抗力を増強することができる。
また、基礎部形成層1上には基礎ブロックである基礎部本体形成片27を載置し、同基礎部本体形成片27内に充填した拘束層形成材上に、境界部用滑動抵抗体30を介して基礎部形成固化片28を形成して、同基礎部形成固化片28上に擁壁ブロック32ないしは井桁ブロック等を載設するようにしている。
また、上記した基礎部用滑動抵抗体23の構造は、境界部用滑動抵抗体30や擁壁部用滑動抵抗体40の構造にも適用することができ、その場合には、被拘束部の左右幅を、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86(ないしは擁壁ブロック32の左・右側壁35,36)間に配置可能な左右幅に形成すると共に、拘束部の左右幅を被拘束部の左右幅と同等ないしは幅狭に形成する。
なお、本他実施例4において、基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bは、前側の被拘束部23aに上部に代えて、後側の被拘束部23aに上部に形成することもできる。
〔基礎部12の他実施例5〕
次に、図11を参照しながら、基礎部12の他実施例5について説明する。
すなわち、図11に示す基礎部12は、上記した他実施例4の変容例であり、同他実施例4と基本的構造を同じくするが、基礎部形成層1上に載置した基礎部本体形成片27上に基礎部形成固化片28を一体化させて形成している。
なお、本他実施例5において、基礎部用滑動抵抗体23の拘束部23bは、前側の被拘束部23aに上部に代えて、後側の被拘束部23aに上部に形成することもできる。
〔基礎部12の他実施例6〕
次に、図12を参照しながら、基礎部12の他実施例6について説明する。
すなわち、図12に示す基礎部12は、擁壁10の前面の埋め戻し土を施すことが困難な場合、つまり、基礎部埋設のための地盤掘削が不可能な地形においては、基礎地盤11に凹条部20を形成せずに、また、基礎部形成層1上に載置する擁壁ブロック32(ないしは基礎部本体形成片27)の前面に埋め戻し土を施こすことなく、前記した他実施例3の基礎部形成層1と基本的構造を同じくした基礎部形成層1を基礎地盤11上に形成することにより、安全性を確保した擁壁10を構築するようにしている。
そして、基礎部形成層1上に擁壁ブロック32(ないしは基礎部本体形成片27)を配置する際には、同基礎部形成層1の一部を形成する前側の被拘束部23aと略同位置に、上記擁壁ブロック32(ないしは基礎部本体形成片27)の前壁33(ないしは前側83)を近接配置することにより、被拘束部23a,23a間の中間部拘束層6を形成する拘束層形成材を崩落させずに保持させることができて、同拘束層形成材に反力Rとしての受働土圧Ppを堅実に発揮させることができる。従って、この場合も、前記した他実施例3と同様の効果を得ることができる。
〔擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例1〕
次に、図13を参照しながら、擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例について説明する。
すなわち、図13に示すように、擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との前後間隔が大きい場合には、同後壁34と擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bの間に、左右一対の増設滑動抵抗体55,55を配置することができる。
かかる増設滑動抵抗体55は、左右幅が上記拘束部40bの前後幅(肉厚)と略同一で、高さが同拘束部40bと略同一で、後方に伸延する四角形板状に形成している。
そして、増設滑動抵抗体55の前端面55aを上記拘束部40bの後面に当接させると共に、胴込め材31の上に載置して、同増設滑動抵抗体55の後端面55bを上段の擁壁ブロック32の後壁34に近接配置する。
このようにして、増設滑動抵抗体55の後端面55bを上段の擁壁ブロック32の後壁34に近接配置することにより、上記後端面55bと上記擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填して後部拘束層93を形成することができるため、前方への滑動力を増設滑動抵抗体55を介して擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bに堅実に作用させることができる。
その結果、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bと、上段の擁壁ブロック32の後壁34間のスパンが広い場合でも、上記擁壁部用滑動抵抗体40による滑動防止機能を確保することができる。
〔擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例2〕
次に、図14を参照しながら、擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例について説明する。
すなわち、図14に示すように、増設滑動抵抗体56は、前記した増設滑動抵抗体55の変容例であり、同増設滑動抵抗体56は、前後方向に伸延する板状に形成した前後方向伸延片57と、左右方向に伸延する板状に形成した左右方向伸延片58とから略逆T字状に形成して、上記増設滑動抵抗体55と同様に、擁壁ブロック32の後壁34と擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bの間に配置している。
そして、増設滑動抵抗体56は、前後方向伸延片57の前端面57aを前記拘束部40bの後面に当接させると共に、左右方向伸延片58の後面58aを上段の擁壁ブロック32の後壁34に近接配置して、胴込め材31の上に載置する。
このようにして、左右方向伸延片58の後面58aを上段の擁壁ブロック32の後壁34に近接配置することにより、上記後面58aと上記擁壁ブロック32の後壁34との間に胴込め材31を充填して後部拘束層93を形成することができるため、前方への滑動力を増設滑動抵抗体56を介して擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bに堅実に作用させることができる。
この際、増設滑動抵抗体56は、胴込め材31の受け面となる左右方向伸延片58の後面58aの面積を大きく形成することができるため、増設滑動抵抗体55以上に、上記擁壁部用滑動抵抗体40による滑動防止機能を確保することができる。
〔擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例3〕
次に、図15を参照しながら、擁壁部用滑動抵抗体40の配設位置(取り付け位置)の他実施例について説明する。
すなわち、図15に示すように、擁壁ブロック32の前壁33と後壁34の高さを略同一に形成し、同後壁34の上部に背後から擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aである下部を取り付けて連結している。ここで、擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aは、充填した裏込め材17に埋設されることになる。なお、被拘束部40aを下段の擁壁ブロック32に連結して、充填した裏込め材17に埋設する一方、拘束部40bを上段の擁壁ブロック32の前・後壁33,34間に配置する形態は、上記の構造に限られるものではない。
このようにして、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bを上段の擁壁ブロック32の後壁34に近接配置することにより、前方への滑動力を擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bに作用させることができる。
〔擁壁部用滑動抵抗体40の他実施例4〕
次に、図16を参照しながら、擁壁部用滑動抵抗体40の配設位置(取り付け位置)のもう一つの他実施例について説明する。
すなわち、図16に示すように、擁壁ブロック32の前壁33と後壁34の高さを略同一に形成し、同後壁34の上部に内方から擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aである下部を取り付けて連結している。
このようにして、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bを上段の擁壁ブロック32の後壁34に当接させることにより、前方への滑動力を擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bに堅実に作用させることができる。
また、擁壁ブロック32の後壁34を上方へ伸延させて、擁壁部用滑動抵抗体40を一体成形し、擁壁ブロック32に被拘束部40aを一体連結状態となして、同擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bが、上段に載置された擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に配置されて、同拘束部40bの前側に前部拘束層92が形成されると共に、後側に後部拘束層93が形成されるようにすることもできる。
〔境界部13ないしは擁壁部14の他実施例〕
次に、図17を参照しながら第1実施形態の境界部13ないしは擁壁部14の他実施例について説明する。
前記した第1実施形態の境界部13では、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86に嵌合用凹部87,88を介して境界部用滑動抵抗体30を横架して連結しているが、本他実施例では基礎部本体形成片27に境界部用滑動抵抗体30を連結することなく構成している。
すなわち、境界部用滑動抵抗体30は、嵌合用凹部87,88に左右側端部を嵌合させることなく、基礎部形成固化片28の上に載置し、拘束層形成材としての胴込め材31を充填・転圧して形成した前部拘束層90と後部拘束層91とで前後方向への滑動を拘束するようにしている。
また、図17(a)に示すように、前記した第1実施形態の擁壁部14では、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36に嵌合用凹部37,38を介して境界部用滑動抵抗体40を横架して連結しているが、本他実施例では擁壁ブロック32に擁壁部用滑動抵抗体40を連結することなく、段積みして形成される各上・下段の擁壁ブロック32の上下境界面位置に、下段擁壁ブロック32側と上段擁壁ブロック32側に跨がるよう擁壁部用滑動抵抗体40を配置して構成している。
すなわち、擁壁部用滑動抵抗体40は、嵌合用凹部37,38に左右側端部を嵌合させることなく、中途まで転圧した拘束層形成材としての胴込め材31の上に載置し、その後、擁壁ブロック32の上端面まで胴込め材31を充填・転圧して、同擁壁ブロック32の前壁33と擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aとの間に前部拘束層92を形成すると共に、同擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aと後壁34との間に後部拘束層93を形成し、これら前部拘束層92と後部拘束層93とで同境界部用滑動抵抗体40の前後方向への滑動を拘束するようにしている。
そして、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bは、上段に載置された擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に配置されるようにして、同拘束部40bの前側に胴込め材31による前部拘束層92が形成されると共に、後側に胴込め材31による後部拘束層93が形成されるようにするのは、本第1実施形態と同様である。
このように、上・下段の擁壁ブロック32,32の上下境界面位置にて、上・下段の前部拘束層92,92を上下方向に連続させると共に、上・下段の後部拘束層93,93を上下方向に連続させているため、上下方向に連続する前部拘束層92,92と上下方向に連続する後部拘束層93,93が、上記擁壁部用滑動抵抗体40を介して反力(受働)を発揮して、上下境界面における擁壁ブロック32の滑動抵抗力を強化するようにしている。
従って、図17(d)に示すように、主働土圧Ph等が滑動力として上段の擁壁ブロック32の後壁34に背後から作用した際には、上段の擁壁ブロック32の後壁34→後部拘束層93を形成する胴込め材31→擁壁部用滑動抵抗体40に伝播され、同擁壁部用滑動抵抗体40が前方へごく僅かに移動することにより、同擁壁部用滑動抵抗体40からその前面側の胴込め材31(上下方向に連続する前部拘束層92,92を形成する拘束層形成材)に伝播され、この伝播とほぼ同時に、同擁壁部用滑動抵抗体40の前面側の胴込め材31が、擁壁部用滑動抵抗体40に反力としての受働土圧Ppを発揮して、上段の擁壁ブロック32が前方向に滑動するのを堅実に防止する。
また、地震等により滑動力として上段の擁壁ブロック32の前壁に前方から外力が作用したと仮定すると、上段の擁壁ブロック32の前壁33→前部拘束層92を形成する胴込め材31→滑動抵抗体に伝播され、同滑動抵抗体が後方へごく僅かに移動することにより、同擁壁部用滑動抵抗体40からその後面側の胴込め材31(上下方向に連続する後部拘束層93,93を形成する拘束層形成材)に伝播され、この伝播とほぼ同時に、同擁壁部用滑動抵抗体40の後面側の胴込め材31が、擁壁部用滑動抵抗体40に反力としての受働土圧Ppを発揮して、上段の擁壁ブロック32が後方向に滑動するのを堅実に防止する。
このように、上下段ブロック32,32の境界部においては、擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aの前後面側に前部拘束層92と後部拘束層93とをそれぞれ形成すると共に、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bの前後面側に前部拘束層92と後部拘束層93とをそれぞれ形成して、上段の前・後部拘束層92,93及び下段の前・後部拘束層92,93の胴込め材31が相互に連動して、上段のブロック32が下段ブロック32に対して前後方向に滑動するのを堅実に防止する。
また、下段の擁壁ブロック32に擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aを連結せずに、下段の拘束層を形成する胴込め材31によって擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aが拘束されるようにしているため、上・下段境界部に形成する上段の前記左・右側拘束層43,44及び下段の前記左・右側拘束層43,44の胴込め材31が相互に連動し、左(右)方向へ反力としての受働土圧Ppを発揮して、上段の擁壁ブロック32が下段ブロック32に対して左(右)方向に滑動するのを堅実に防止する。
なお、擁壁部用滑動抵抗体40は、下段の擁壁ブロック32の背後において、中途まで転圧した裏込め材17の上に載置する場合もある。その場合は、擁壁ブロック32の上端面の位置まで、同擁壁ブロック32内に胴込め材31を、その背後には拘束層形成材としての裏込め材17を一括に充填・転圧して、擁壁部用滑動抵抗体40の被拘束部40aの前後左右側に裏込め材17による前・後・左・右部拘束層92,93,43,44が形成されるようにして、その上に上段の擁壁ブロック32を載置すると共に、同擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に同擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bが配置されるようにする。
そして、拘束部40bの前後左右側に胴込め材31による前・後・左・右部拘束層92,93,43,44が形成されるようにして、上・下段境界部の両前・後部拘束層92,93及び両左・右部拘束層43,44の胴込め材31が相互に連動し、前後左右方向へ反力としての受働土圧Ppを発揮して、上段の擁壁ブロック32が前後方向及び左右方向に滑動するのを堅実に防止する。
[第2実施形態としての擁壁]
図18に示す60は、第2実施形態としての鉛直壁としての擁壁であり、同擁壁60は、基本的構造を前記第1実施例としての擁壁10と同じくしているが、境界部用の連設型滑動抵抗体61と擁壁部用の連設型滑動抵抗体62とを設けることにより、滑動防止機能に加えて、鉛直壁の転倒面における弱点を解消するようにしている点で異なる。
そして、図19にも示すように、基礎部本体形成片27の左右側壁85,86間に横架する境界部用の連設型滑動抵抗体61と、擁壁ブロック32の左右側壁35,36間に横架する擁壁部用の連設型滑動抵抗体62は、基本的構造は同一であることより、以下に、擁壁部用の連設型滑動抵抗体62の構造について具体的に説明する。
すなわち、擁壁部用の連設型滑動抵抗体62は、図19に示すように、端面横長四角形で擁壁延設方向に伸延する板状の架設部63と、同架設部63の前端縁部から上方に立ち上がる板状の拘束部64と、上記架設部63の後端縁部から上方に突出する突条部65とから側面視略L字状に形成している。
そして、拘束部64は、左右幅を被拘束部63よりも幅狭に形成して、同拘束部64の左右側方でかつ被拘束部63の左右側端部上方に干渉回避用空間66,67を形成して、第1実施形態と同様に、左・右側拘束層を形成することができるようにしている。
しかも、上記連設型滑動抵抗体62には、複数(本実施の形態では4枚)の仕切り壁68を左右方向に間隔を開けて形成して、被拘束部63の上方と拘束部64の後方に形成される空間を複数に仕切っている。
また、擁壁ブロック32の左・右側壁35,36の内側面上部には、上方及び内側方が開口する逆台形凹状の嵌合用凹部69,70を左右方向に対向状態に形成しており、同嵌合用凹部69,70は、上記連設型滑動抵抗体62の被拘束部63の側端部を嵌合可能に形成して、左・右側壁35,36間に嵌合用凹部69,70を介して連設型滑動抵抗体62の梁部63を横架している。
そして、同状態にて擁壁ブロック32内に胴込め材31を充填して、同擁壁ブロック32の上端面と、充填した胴込め材31の上面とが略面一となるように転圧している。
かかる状態において、連設型滑動抵抗体62の被拘束部63は、充填した胴込め材31内に埋設されると共に、拘束部64は、充填した胴込め材31の上面より上方へ突出する一方、突条部65の上端面は、充填した胴込め材31の上面と略面一となしており、同拘束部64の左右側方には干渉回避用空間66,67が確保されるようにしている。
上記のように連設型滑動抵抗体62を取り付けた擁壁ブロック32の上に、別個の擁壁ブロック32を載置する。この際、この上段の擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に、下段の擁壁ブロック32に取り付けた連設型滑動抵抗体62の拘束部64が配置されるようにすると共に、上段の擁壁ブロック32の後壁34の下面は、下段の擁壁ブロック32に取り付けた連設型滑動抵抗体62の突条部65の上面に面接触させる。
このようにして、連設型滑動抵抗体62の被拘束部63と拘束部64と突条部65と仕切り壁68と直上段に段積みした擁壁ブロック32の後壁34とにより、上面開口の充填空間71を複数(本実施形態では四個)形成し、同充填空間71内にコンクリート等の固化材72を充填すると共に、固化させることにより、同固化材72により連設型滑動抵抗体62と直上段の擁壁ブロック32と直下段の擁壁ブロック32とを一体的に連設することができるようにしている。73は固定筋である。
また、境界部用の連設型滑動抵抗体61は、図18及び図19に示すように、擁壁部用の連設型滑動抵抗体62と同様に、埋設部74(連設型滑動抵抗体62の被拘束部63に相当する)と拘束部75と突条部76と仕切り壁77と充填空間78とから形成している。79は固定筋である。
そして、境界部用の連設型滑動抵抗体61は、基礎部本体形成片27内の後部に横架すると共に、同基礎部本体形成片27内に現場打ちコンクリート等を打設して固化させることにより、基礎部形成固化片28を形成して、同基礎部形成固化片28内に埋設部74を埋設して一体化すると共に、拘束部75を上方に突出させる一方、突条部76の上端面は、基礎部形成固化片28の上面と略面一となしている。
かかる状態において、上記基礎部形成固化片28の上に、擁壁部14の最下段を形成する擁壁ブロック32を載置し、同擁壁ブロック32の前壁33と後壁34との間に上記突出部75を配置すると共に、同後壁34の下面は、上記突条部76の上面に面接触させている。
このようにして、連設型滑動抵抗体61の埋設部74と拘束部75と突条部76と仕切り壁77と最下段を形成する擁壁ブロック32の後壁34とにより、上面開口の充填空間78を複数形成し、同充填空間78内にコンクリート等の固化材72を充填すると共に、固化させることにより、同固化材72により連設型滑動抵抗体61と最下段を形成する擁壁ブロック32と基礎部形成固化片28とを一体的に連設することができるようにしている。
上記のように擁壁60を構築することにより、前記した擁壁10と同様に、基礎部12と境界部13と擁壁部14の上・下段の擁壁ブロック32,32間に形成される擁壁ブロック間境界部94における滑動防止機能を良好に確保することができる。
しかも、擁壁60が地山15から主働土圧を受けた際には、直壁を形成する各擁壁ブロック32には、下端の前端縁部を支点として、後端側が図18において反時計廻りに回動されるようなモーメントが発生するが、本実施の形態では、境界部用の連設型滑動抵抗体61と擁壁部用の連設型滑動抵抗体62により、上下方向に段積みしている各擁壁ブロック32,32同士を連設して一体となしているため、これら擁壁ブロック32を一体となして地山15の土圧に対抗させることができる。
なお、本実施の形態では、連設型滑動抵抗体61,62と、上段に段積みされる擁壁ブロック32の後壁34との間に、充填空間71が形成されるように配置しているが、同擁壁ブロック32の前壁33との間に充填空間71が形成されるように配置することもできる。
〔第2実施形態としての擁壁の第1変容例〕
図20は、第2実施形態としての擁壁60の第1変容例であり、基礎部用滑動抵抗体23として前記基礎部12の他実施例3で説明した基礎部用滑動抵抗体23を採用すると共に、連設型滑動抵抗体61,62に替えて前記基礎部12の他実施例6で採用した基礎部用滑動抵抗体23の構造を、境界部用滑動抵抗体30や擁壁部用滑動抵抗体40の構造に適用したものである。
ここで、拘束部23bの左右幅は、基礎部本体形成片27の左・右側壁85,86(ないしは擁壁ブロック32の左・右側壁35,36)間に配置可能な左右幅に形成すると共に、被拘束部23aの左右幅は、拘束部23bの左右幅と同等ないしは幅広に形成している。
〔第2実施形態としての擁壁の第2変容例〕
図21は、第2実施形態としての擁壁60の第2変容例であり、基礎部用滑動抵抗体23として前記基礎部12の他実施例2で説明した基礎部用滑動抵抗体23を採用すると共に、連設型滑動抵抗体61,62に替えて前記他実施例としての境界部13ないしは擁壁部14で採用した擁壁部用滑動抵抗体40の構造を適用したものである。
そして、擁壁ブロック32は、図22にも示すように、左・右側壁35,36の上部の後半部を切り欠いて、後壁34よりも上方位置に段付き凹部35a,36aを形成している。このようにして、段付き凹部35a,36a間に、左・右側壁35,36の外側面幅よりも幅広の横長四角板状に形成した擁壁部用滑動抵抗体40を、横断状に配置している。
しかも、図23にも示すように、各滑動抵抗体23,40の後面中途部に、留め具106を介して帯状の係留体107の基端縁部108を連結すると共に、同係留体107は、先端部を擁壁部14の背後に形成されている地盤(図示せず)中に略水平に伸延させて配置して、後部拘束層93、裏込め材17を充填して形成される裏込め材層中、さらには、地盤中に埋設状態となしている。ここで、係留体107は、所要の張力を有していれば、布材でも網材でも採択することができる。
このように、略水平に配置して後部拘束層93、裏込め材層中、さらには、地盤中に埋設状態となした帯状の係留体107の基端縁部108に、各滑動抵抗体23,40を連結しているため、理論上は、主働土圧による滑動抵抗体23(40)の弱冠の動きに伴って、同滑動抵抗体23(40)に連結している係留体107自体に引張り応力が生じ、地盤材のせん断抵抗力が強化される。一方、擁壁ブロック32自体は、各段の上下境界部の両前部拘束層92,92の形成材が滑動抵抗体23(40)を介して発する反力(受働)によって、同擁壁ブロック32の滑動・転倒を確実に防止することができる。
このようにして、滑動抵抗体23(40)を介して効果的な反力を発揮して、擁壁ブロック32の滑動を防止する滑動防止効果と、滑動抵抗体23(40)に係留体107を連結して地盤材を補強する地盤補強効果とを有機的に一体化させることができて、より堅実な係留体107を用いた補強土擁壁工法となすことができる。
〔第2実施形態としての擁壁の第3変容例〕
図24は、第2実施形態としての擁壁60の第3変容例であり、基礎部用滑動抵抗体23として前記基礎部12の他実施例2で説明した基礎部用滑動抵抗体23を採用すると共に、連設型滑動抵抗体61,62に替えて前記第1実施形態の擁壁部14の構造で採用した擁壁部用滑動抵抗体40の構造を適用したものである。
ここで、図25にも示すように、各擁壁ブロック32の左・右側壁35,36間に、嵌合用凹部37,38を介して擁壁部用滑動抵抗体40を横架して配置している。そして、各擁壁部用滑動抵抗体40を上下方向に伸延する同一仮想線上に配置している。
また、擁壁ブロック32の後壁34の直上方位置には、土砂や砕石等の粒径材を充填した土嚢109を配設している。本実施形態では、後壁34の上端よりもやや上方位置にて胴込め材31や裏込め材17を転圧した転圧ライン39上に、土嚢109を後壁34の前方と後方を跨ぐように載置すると共に、その上から胴込め材31や裏込め材17を充填・転圧して埋設状態となしている。
このように、下段側の各擁壁ブロック32の各後壁34の上に土嚢109を載荷して、擁壁60が前方に転倒するのを防止している。
[第3実施形態としての擁壁]
図26は、第3実施形態としての斜長積み擁壁である擁壁80の一部を示しており、同擁壁80では、擁壁ブロック32を形成する前壁33と後壁34が前低後高の後傾状態に形成されている。
かかる擁壁ブロック32には、第1実施形態の擁壁用滑動抵抗体40と基本的構造を同じくする擁壁用滑動抵抗体81を取り付けており、同擁壁用滑動抵抗体81は、取り付ける擁壁ブロック32の前・後壁33,34に略平行させて、傾斜状に取り付けている。
このようにして、かかる擁壁用滑動抵抗体81によっても、第1実施形態の擁壁用滑動抵抗体40と同様に、滑動防止機能が生起されるようにしている。
なお、上記した第1〜第3実施形態としての擁壁10,60,80にそれぞれ採用している各滑動抵抗体30,40,61.62,81は、適宜、他実施形態としての擁壁10,60,80に採用することができるものである。
[第4実施形態としての擁壁]
図27は、第4実施形態としての擁壁100の一部を示す平面説明図(a)とそのV-V線断面説明図であり、同擁壁100では、ブロックとしての擁壁ブロック101を、いわゆるイモ積み式に直積みして構築している。
擁壁ブロック101は、前壁102と後壁103とを連結体としての連結壁104により連結して平面視「エ」の字状に形成している。そして、連結壁104の左右側面には、略中央部かつ上部に位置させて嵌合用凹部37,38を形成して、左側方ないしは右側方に隣接する他の擁壁ブロック101に形成した嵌合用凹部37,38すなわち、左右に対向する逆台形凹状の嵌合用凹部37と嵌合用凹部38に擁壁部用滑動抵抗体40の左右側端部をそれぞれ嵌合させて、左右に隣接する連結壁104,104間に同擁壁部用滑動抵抗体40を横架している。
このようにして、左右側方に隣接する擁壁ブロック101、101の連結壁104,104間に拘束層形成材としての胴込め材(図示せず)を充填・転圧して、擁壁部用滑動抵抗体40が第1実施形態の擁壁部用滑動抵抗体40と同様の滑動防止機能を果たすようにしている。
また、図17に示す他実施例としての擁壁部14のように、擁壁部用滑動抵抗体40は、連結壁104,104間に横架することなく、単に連結壁104,104間に配置することにより、同擁壁部用滑動抵抗体40が図17に示す他実施例としての擁壁部14の擁壁部用滑動抵抗体40と同様の滑動防止機能を果たすようにすることもできる。
〔第4実施形態の変容例としての擁壁〕
図28は、第4実施形態の変容例としての擁壁100の一部を示す平面説明図(a)とそのVI-VI線断面説明図であり、同擁壁100では、ブロックとしての擁壁ブロック101を、いわゆる千鳥積み式に直積みして構築している。
本変容例の基本的構造は第4実施形態と同じくしているが、擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bの中央部に、連結壁配置用凹部105を形成して、上段に千鳥状に段積みする擁壁ブロック101の連結壁104が、連結壁配置用凹部105内に配置されて、上記拘束部40bと干渉しないようにしている点で異なる。
そして、連結壁配置用凹部105内に配置された連結壁104の側面と、拘束部40bの側端面との間には、干渉回避用空間41,42が形成されるようにして、各干渉回避用空間41,42内、さらには、左右方向に隣接する擁壁部用滑動抵抗体40の拘束部40bの側端面間にも拘束層形成材としての胴込め材(図示せず)を充填・転圧して、左右側拘束層を形成するようにしている。
このようにして、左右側方に隣接する擁壁ブロック101、101の連結壁104,104間に拘束層形成材としての胴込め材(図示せず)を充填・転圧して、擁壁部用滑動抵抗体40が第1実施形態の擁壁部用滑動抵抗体40と同様の滑動防止機能を果たすようにしている。
また、図17に示す他実施例としての擁壁部14のように、擁壁部用滑動抵抗体40は、連結壁104,104間に横架することなく、単に連結壁104,104間に配置することにより、同擁壁部用滑動抵抗体40が図17に示す他実施例としての擁壁部14の擁壁部用滑動抵抗体40と同様の滑動防止機能を果たすようにすることもできる。
10 擁壁
11 地盤
12 基礎部
13 境界部
14 擁壁部
20 凹条部
21 段差部
22 底部層
23 基礎部用滑動抵抗体
24 前部拘束部
25 後部拘束部
26 基礎部本体
27 基礎部本体形成片
28 基礎部形成固化片
30 境界部用滑動抵抗体
32 擁壁ブロック
40 擁壁部用滑動抵抗体

Claims (6)

  1. 基礎地盤上に配設した基礎部上にブロックを段積みして構築する構造物におけるブロックの上下境界部構造であって、
    段積みするブロックは、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備し、
    ブロックを段積みして形成される各段の上下境界面位置に、下段ブロック側と上段ブロック側に跨がるよう滑動抵抗体を配置して、
    下段ブロックの前壁と同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の前部拘束層を形成すると共に、同下段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同下段ブロックの後壁ないしは構造物の背後に形成されている法面との間に形成される空間に、粒径材を充填して下段側の後部拘束層を形成する一方、
    上段ブロックの前壁と同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の前部拘束層を形成すると共に、同上段ブロック側の滑動抵抗体の部分と同上段ブロックの後壁との間に形成される空間に、粒径材を充填して上段側の後部拘束層を形成して、
    前記各段の上下境界面位置にて、上・下段の前部拘束層を上下方向に連続させると共に、上・下段の後部拘束層を上下方向に連続させて、
    上下方向に連続する前部拘束層と上下方向に連続する後部拘束層が、上記滑動抵抗体を介して反力(受働)を発揮することにより、上下境界面におけるブロックの滑動抵抗力を強化することを特徴とする構造物におけるブロックの上下境界部構造。
  2. 滑動抵抗体は、ブロックとは非連結状態にして配置することを特徴とする請求項1記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造。
  3. 滑動抵抗体は、上下方向に隣接する上・下段ブロックの下段ブロックに連結状態にして配置することを特徴とする請求項1記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造。
  4. 滑動抵抗体は、ブロックの前・後壁を連結する連結体に滑動抵抗体の端部を嵌合させるための嵌合用凹部を設けて、同嵌合用凹部を介して滑動抵抗体を横架状に配置することを特徴とする請求項3記載の構造物におけるブロックの上下境界部構造。
  5. 基礎地盤に凹部を形成し、凹部内に滑動抵抗体を配置して、滑動抵抗体の少なくとも前面側に粒径材を充填して粒径材層を形成すると共に、粒径材層の上に、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備するブロックを配置し、
    ブロックの前・後壁の間には、粒径材層より上方に伸延させた上記滑動抵抗体の上部を配置して、滑動抵抗体の上部とブロックの前・後壁との間にそれぞれ前・後の空間を形成し、
    各前・後の空間には、粒径材を充填して前・後部拘束層を形成することにより、少なくとも前部拘束層と前記粒径材層を上下方向に連続させ、上記滑動抵抗体を介して上下方向に連続する前部拘束層と粒径材層が反力(受働)を発揮して、粒径材層の上に載置した上記ブロックの滑動抵抗力を強化する基礎部を構成し、
    基礎部上には、少なくとも前・後壁と、両前・後壁を連結する連結体とを具備する複数個のブロックを段積みすると共に、ブロックを段積みして形成される各上・下段ブロックの上下境界面位置には、請求項1〜4のいずれか1項記載のブロックの上下境界部構造を備えることを特徴とする構造物。
  6. ブロックの上下境界面位置に配置した滑動抵抗体に帯状の係留体の基端部を連結して、同係留体の先端部を構造物の背後に形成された地盤中に略水平に伸延させて、同地盤中に係留体を埋設状態となしたことを特徴とする請求項5記載の構造物。
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