JP3923448B2 - 擁壁ブロック及び同擁壁ブロックの段積み工法 - Google Patents

擁壁ブロック及び同擁壁ブロックの段積み工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、擁壁ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、護岸は、護岸力学設計法に準拠して設計されており、同護岸力学設計法では、段積みした各擁壁ブロックの上面と下面との間の滑動(並進運動)を照査するようにしている。
【0003】
すなわち、下記の滑動安全率の式に適合しているか否かを照査するようにしている。
【0004】
【数1】
Figure 0003923448
また、擁壁ブロックの一形態として、前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成して、擁壁ブロック自体の軽量化を図ったものがある。
【0005】
そして、前壁の左右側端面にそれぞれ前壁と同一高さの左右間隔保持片を外側方へ突設すると共に、後壁の左右側端面にそれぞれ後壁と同一高さの左右間隔保持片を外側方へ突設して、左右方向に隣接させて多数の擁壁ブロックを敷設する際に、左右間隔保持片を介して左右方向の擁壁ブロック同士の間隔を一定に保持することができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−120693号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した滑動安全率を満たしていない場合には、鉛直荷重を増大させる必要があり、この場合、通常は擁壁ブロックの控え長さを長くして、同擁壁ブロック内に充填する胴込め材の量(胴込量)を増大させるようにしているが、そうすると、擁壁ブロック自体が大きくなって、同擁壁ブロックの単価が高くなる上に、胴込め材の増量分の費用が増大して、施工費が増大すると共に、控え壁を長くした分だけ地山を掘削する量が増大して、この点からも施工費が増大するという不具合がある。
【0008】
そして、曲線施工を行う必要性のある擁壁では、左右方向に隣接させて敷設したブロック本体の下段の列と、その上に段積み状態にて左右方向に隣接させて敷設したブロック本体の上段の列とでは、各段毎に列の曲率半径が異なるために、下段の列に対して上段の列が左右方向に少しづつ位置ずれして、列が長くなるに連れて、上段のブロック本体の左右側部の下面が、下段のブロック本体の左・右側壁の天端面の二個所に載らなくなるという不具合が生じる。
【0009】
また、前・後壁の左右側端面にそれぞれ左右間隔保持片を設けているために、曲線施工を行う必要性のある擁壁では、後壁の左右側端面に設けた左右間隔保持片を適宜切断して、左右方向に隣接する擁壁ブロックの後壁の左右側端面に設けた左右間隔保持片同士を、相互に干渉させないようにする必要性がある。
【0010】
しかも、左右方向に隣接する擁壁ブロックの前壁の左右側端面に設けた左右間隔保持片は、側端面が平面に形成されているだけであるために、曲線施工時には、左右方向に隣接する左右間隔保持片同士が前後方向に位置ずれして、施工に手間を要するという不具合がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込み可能に形成した棒状支持片と、同棒状支持片の上部に交差状に取り付けた前壁当接板状片とから形成して、同前壁当接板状片をブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前壁を当接させ、前壁の前面下部を面で受けることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしたことを特徴とする擁壁ブロックを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0013】
(1)前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込んで、同ブロック本体の天端面より上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、差込孔中には、滑動防止片と吊上用連結片のいずれかの下部を選択的に差し込み可能としたこと。
【0014】
(2)前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしたこと。
【0015】
(3)前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成し、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内、少なくともいずれか一方に前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成したこと。
【0016】
(4)前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成したこと。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
すなわち、本発明に係る擁壁ブロックは、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込んで、同ブロック本体の天端面より上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしている。
【0039】
しかも、差込孔中には、滑動防止片と吊上用連結片のいずれかの下部を選択的に差し込み可能としている。
【0040】
また、本発明に係る擁壁ブロックは、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体内から上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、前後方向及び/又は左右方向に位置調節自在に配置して、同ブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前方への滑動を防止するようにしている。
【0041】
そして、ブロック本体内に左右方向位置決め体を左右方向に位置調節自在に配置し、同左右方向位置決め体に滑動防止片を前後方向に位置調節自在に取り付けるようにしている。
【0042】
すなわち、左・右側壁間に左右方向に伸延する支持体を架設し、同支持体とブロック本体の前壁との間に左右方向位置決め体を左右方向に移動自在に架設し、同支持体の前面上部に左右方向に伸延する段付き凹状後側受け部を形成する一方、前壁の後面上部に左右方向に伸延する段付き凹状前側受け部を上記段付き凹状後側受け部と前後方向に対向させて形成し、両段付き凹状前・後側受け部間に左右方向位置決め体を左右方向に摺動自在に架設している。
【0043】
この際、ブロック本体の前壁と左・右側壁と支持体とにより、客土充填空間を形成し、同客土充填空間内に植生用の客土を充填可能としている。
【0044】
しかも、左右方向位置決め体は、少なくとも上面開口の固定材充填空間を具備し、同固定材充填空間内に固定材を充填して、同固定材により滑動防止片を上方へ突出状に固定するようにしている。
【0045】
上記のように構成した擁壁ブロックは、複数の擁壁ブロックを左右方向に隣接させて敷設し、これらの擁壁ブロックの上に上記した複数の擁壁ブロックを左右方向に隣接させて段積み状態に敷設して、同状態にて、下段の各擁壁ブロックに滑動防止片を前後方向及び/又は左右方向に位置調節しながら上方へ突出状に取り付けると共に、各滑動防止片を直上方に段積みした各擁壁ブロックの前壁の前面下部に当接させることにより、段積みした各擁壁ブロックの前方への滑動を防止することができる。
【0046】
また、本発明に係る擁壁ブロックは、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体の後壁に突設して、裏込め材からの鉛直荷重を受ける鉛直荷重受け片とを装備している。
【0047】
すなわち、鉛直荷重受け片は、ブロック本体の後壁の後面下部より後方へ突設すると共に、上面に鉛直荷重受け面を形成し、かつ、同鉛直荷重受け面の後方張り出し幅を鉛直荷重受け片の上下幅の約2.0倍ないしはそれよりも短幅に形成しており、鉛直荷重受け片は、後面を擁壁構築現場の地山の切土面に略沿わせた傾斜面に形成している。
【0048】
また、本発明に係る擁壁ブロックは、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成し、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内、少なくともいずれか一方に前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成しており、前壁の天端面の前端から左・右側壁の前部天端面の後端までの前後幅Wxは、
Wx≧H1×N×0.1+Wa
H1:前壁の高さ
N:法勾配(分)
Wa:ブロック上載面の前後幅
の関係を満足するようにしている。
【0049】
そして、左右間隔保持片は、前壁の左・右側端面と左・右側壁の前部外側面とに跨る位置に、外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成し、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内、少なくともいずれか一方に前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成することもできる。
【0050】
しかも、左右いずれか一方の左右間隔保持片の外側端に上下方向に伸延する嵌合凹条部を形成すると共に、他方の左右間隔保持片の外側端に上下方向に伸延して上記嵌合凹部に嵌合・接続する嵌合凸条部を形成することができる。
【0051】
また、左・右側壁にリフト用挿通部を形成し、左・右側壁の前部間に左右方向に伸延する支持体を介設することができる。
【0052】
そして、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内の少なくともいずれか一方に、滑動防止片を上方へ突出状に設けて、同滑動防止片により直上方に段積みするブロック本体の前方への滑動を防止することも、また、支持体とブロック本体の前壁との間に左右方向位置決め体を左右方向に位置調節自在に配置し、同左右方向位置決め体に滑動防止片を設け、同滑動防止片により直上方に段積みするブロック本体の前方への滑動を防止することもできる。
【0053】
本発明にかかる擁壁ブロックの段積み工法は、複数の擁壁ブロックを左右方向に隣接させて敷設し、これらの擁壁ブロックの上に複数の擁壁ブロックを左右方向に隣接させて段積み状態に敷設するものであって、滑動安全率Fsが下記の関係を満足しない段位の擁壁ブロックとしては、滑動防止片を設けた擁壁ブロックを採用するようにしている。
【0054】
【数2】
Figure 0003923448
この際、曲線施工の場合には、
(1)滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位の擁壁ブロックとして、滑動防止片を設けた擁壁ブロックを採用して、単数の擁壁ブロック毎に左右方向に所定の間隔を開けて不連続状態に敷設すると共に、上段の擁壁ブロックは下段の擁壁ブロックの直上方位置に載置し、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位の擁壁ブロックは、各段毎に左右方向に連続させて敷設する段積み工法、
(2)滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位の擁壁ブロックとして、滑動防止片を設けた擁壁ブロックを採用して、連続敷設許容範囲内の複数の擁壁ブロックを左右方向に連続させて敷設することにより複数擁壁ブロック組を形成すると共に、左右方向に隣接する複数擁壁ブロック組同士の間には所定の間隔を開けて不連続状態となし、上段の擁壁ブロックは下段の擁壁ブロックの上方位置に載置し、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位の擁壁ブロックは、各段毎に左右方向に連続させて敷設する段積み工法、
(3)滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位の擁壁ブロックとして、左右方向位置決め体を介して滑動防止片を左右方向位置調節自在に設けた擁壁ブロックを採用して、左右方向に連続させて敷設する段積み工法、
のいずれかの段積み工法を選択することができる。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0056】
〔第1実施例としての擁壁ブロック〕
図1〜図5に示すAは、本発明に係る第1実施例としての擁壁ブロックであり、同擁壁ブロックAは、ブロック本体1と、同ブロック本体1に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片2とを具備している。
【0057】
そして、ブロック本体1は、図1〜図5に示すように、前・後壁3,4と左・右側壁5,6とから上・下面開口の筒状に形成しており、同ブロック本体1の左・右側壁5,6の中途部間に左右方向に伸延する支持体7を架設し、同支持体7とブロック本体1の前壁3との間に複数(本実施例では二個)の左右方向位置決め体8,8を左右方向に移動自在に架設している。
【0058】
左・右側壁5,6は、後側上部を段付き凹状に形成して、前半部5a,6aを前壁3と同一高さに形成する一方、後半部5b,6bを後壁4と同一高さに形成しており、後壁4は前壁3の略半分の高さに形成して、前半部5a,6aの前部天端面5d,6dと後半部5b,6bの後部天端面5e,6eとの間に段差を形成している。
【0059】
このようにして、ブロック本体1をコンパクトにしてかつ軽量に形成している。
【0060】
しかも、左・右側壁5,6の前半部5a,6aの外側面には、左右間隔保持片としての接合部9,10を外側方へ膨出させかつ上下方向に伸延させて形成しており、左側の接合部9には上下方向に伸延しかつ断面半円弧状の接合用凹条部9aを形成し、同接合用凹条部9aの前側と後側にそれぞれテーパー面9b,9cを形成する一方、右側の接合部10には上下方向に伸延しかつ断面半円弧状の接合用凸条部10aを形成し、同接合用凸条部10aの前側と後側にそれぞれテーパー面10b,10cを形成している。
【0061】
このようにして、複数のブロック本体1,1は、図6に示すように、左右方向に伸延する略同一直線上にて接続状態に配置することができ、この際、左側のブロック本体1の接合用凸条部10aと右側のブロック本体1の接合用凹条部9aとを嵌合させている。
【0062】
そして、複数のブロック本体1,1は、図7に示すように、前方へ凸状に湾曲する円弧線状に配置すると共に、左右方向に接続することができ、この際、両ブロック本体1,1には後側のテーパー面9c,10cを形成しているため、両テーパー面9c,10cが当接するまで曲率半径を小さく設定することができ、両ブロック本体1,1同士を干渉させるこなく曲線施工を行うことができる。
【0063】
また、複数のブロック本体1,1は、図8に示すように、後方へ凸状に湾曲する円弧線状に配置すると共に、左右方向に接続することができ、この際、両ブロック本体1,1には前側のテーパー面9b,10bを形成しているため、両テーパー面9b,10bが当接するまで曲率半径を小さく設定することができ、両ブロック本体1,1同士を干渉させることなく曲線施工を行うことができる。
【0064】
さらには、図3に示すように、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dを、前壁3の天端面3cと略面一のブロック上載面13,14を形成して、両ブロック上載面13,14上に上段のブロック本体1を載置するようにしている。
【0065】
また、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dの内、少なくともいずれか一方に、前壁3の天端面3cと略面一のブロック上載面13,14を形成することもできる。
【0066】
左右側の接合部9,10の天端面9d,10dには、それぞれ差込孔11,11を形成し、各差込孔11,11中に、上下方向に伸延する棒状の滑動防止片2,2の下部を差し込んで、両接合部9,10の天端面9d,10dより上方へ突出させることにより、両滑動防止片2,2によりブロック本体1の直上方に段積みするブロック本体1の前方への滑動を防止することができるようにしている。なお、差込孔11は、ブロック本体1を吊り上げる際の連結孔としても利用することができるようにしている。
【0067】
また、左・右側壁5,6の前半部5a,6aの内側面には、図3及び図4に示すように、支持体受け用凹部5c,6cを左右方向に対向状態に形成しており、各支持体受け用凹部5c,6cは、それぞれ上方と内側方と後方とが開口する段付き凹状に形成している。
【0068】
そして、左右方向に対向する支持体受け用凹部5c,6c間に左右方向に伸延する支持体7を着脱自在に架設しており、同支持体7は、左右側端部を各支持体受け用凹部5c,6cに嵌合して、各支持体受け用凹部5c,6cにより支持体7の前方と下方への動きを規制している。
【0069】
なお、各支持体受け用凹部5c,6cは、前方と下方のみならず後方への動きを規制するようにしてもよい。
【0070】
また、支持体7は、断面縦長四角形に形成して、前面上部に左右方向に伸延する段付き凹状後側受け部7aを形成する一方、ブロック本体1の前壁3の後面上部には、左右方向に伸延する段付き凹状前側受け部3aを上記段付き凹状後側受け部7aと前後方向に対向させて形成し、両段付き凹状前・後側受け部3a,7a間に左右方向位置決め体8,8を左右方向に摺動自在に架設して、左右方向に位置調節自在に配置することができるようにしている。
【0071】
ここで、ブロック本体1の前壁3と左・右側壁5,6と支持体7とにより、客土充填空間S1が形成され、図1及び図2に示すように、同客土充填空間S1内に植生用の客土Gを充填することにより、同客土Gに植物(図示せず)を植生することもできるようにしている。
【0072】
左右方向位置決め体8は、前後方向に伸延する底板8aと、同底板8aの左右側縁部より上方へ立ち上げて形成した側壁8b,8bとから断面略U字状に形成して、内部に上面と前後面とが開口する固定材充填空間S2を形成している。
【0073】
そして、固定材充填空間S2内にモルタル等の固定材Kを充填して、同固定材Kにより上下方向に伸延する棒状の滑動防止片2を上方へ突出状に固定するようにしている。
【0074】
この際、滑動防止片2は、固定材充填空間S2内において、前後・左右方向の任意の位置に位置調節自在に配置・固定して、ブロック本体1の直上方に段積みするブロック本体1の前方への滑動を滑動防止片2により防止することができるようにしている。
【0075】
また、ブロック本体1の後壁4には、図1〜図5に示すように、裏込め材Uからの鉛直荷重を受ける鉛直荷重受け片12を一体的に突設している。
【0076】
すなわち、鉛直荷重受け片12は、ブロック本体1の後壁4の後面下部より後方へ突設すると共に、上面に鉛直荷重受け面12aを形成し、かつ、同鉛直荷重受け面12aの後方張り出し幅wを鉛直荷重受け片12の上下幅hの約2.0倍ないしはそれよりも短幅に形成している。
【0077】
しかも、鉛直荷重受け片12は、後面12bを擁壁構築現場の地山Jの切土面Jkに略沿わせた傾斜面に形成している。
【0078】
このようにして、図1、図2及び図5に示すように、鉛直荷重受け片12上に、段積みした各ブロック本体1,1,1の後壁4,4,4の上部後端を結ぶ上側仮想線F1と、段積みした各ブロック本体1,1,1の鉛直荷重受け片12,12,12の上部後端を結ぶ下側仮想線F2との間に位置する裏込め材Uからの鉛直荷重が作用するようにして、この裏込め材Uもブロック本体1の荷重として下段のブロック本体1に上載するようにしているため、鉛直荷重受け片12上の裏込め材Uも、滑動安全率の式中の鉛直荷重の中に組み込んで計算(カウント)することができて、そのブロック本体1の滑動安全率を効率的に高めることができる。
【0079】
この際、鉛直荷重受け片12の鉛直荷重受け面12aに裏込め材Uからの鉛直荷重が作用するにもかかわらず、同鉛直荷重受け片12については、力学設計上、曲げモーメントの作用による鉛直荷重受け片12の曲げ・引張応力がコンクリートのみの曲げ・引張許容応力で足りる、すなわち、鉛直荷重受け片12内に鉄筋を設けなくてもすむ形状・サイズとしているため、曲げモーメントの作用を考慮する必要性がなく、従って、鉄筋を配筋する必要性もなく、簡易にかつ安価にブロック本体を製造することができる。
【0080】
しかも、鉛直荷重受け片12がブロック本体1の後壁4から後方へ突出しているにもかかわらず、同鉛直荷重受け片12の後面を切土面Jkに略沿わせているため、同切土面Jkの切削量を可及的に少なくすることができて、滑動安全率を適正に確保すると共に、施工費を安価なものとなすことができる。
【0081】
また、図1及び図2に示すBは、基礎ブロックであり、同基礎ブロックBは、ブロック本体20と、同ブロック本体20に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片2とを具備して、基本的構造を前記した擁壁ブロックAのブロック本体1と同じくしているが、ブロック本体20の高さをブロック本体1の高さの略半分とし、ブロック本体20の前後幅をブロック本体1の前後幅よりもやや広幅に形成している点で異なる。21は前壁、22は後壁である。
【0082】
次に、上記のように構成した擁壁ブロックAにより擁壁Yを構築する際の、第1実施例としての段積み工法について説明する。
【0083】
〔直線施工の場合〕
(1)擁壁Yを左右方向に直線施工する場合は、図1及び図6に示すように、基礎ブロックBのブロック本体20を左右方向に直線状に敷設する。
【0084】
(2)ブロック本体20中に栗石等の胴込め材Dを充填する。
【0085】
(3)ブロック本体20の左・右側壁に形成した差込孔11,11中に滑動防止片2,2の下部を差し込んで、各滑動防止片2,2をブロック本体20の左・右側壁の天端面より上方へ突出状となす。
【0086】
(4)ブロック本体20上にて、擁壁ブロックAのブロック本体1を左右方向に直線状に敷設して、一段目のブロック列L1を形成する。
【0087】
この際、各ブロック本体1は、前壁3を左・右側壁上に載置すると共に、後壁4をブロック本体20の後壁22及び左・右側壁上に載置し、前壁3の前面下部を、ブロック本体20の左・右側壁に突設した滑動防止片2,2に後方より当接させておく。
【0088】
(5)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを、左・右側壁5,6の後半部5b,6bの高さまで入れる。
【0089】
(6)胴込め材D及び裏込め材Uを転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0090】
この際、ブロック本体1の左・右側壁5,6は、後半部5b,6bを前半部5a,6aの高さの略半分に切り欠いた状態としているため、ブロック本体1の後半部では、胴込め材Dさらには裏込め材Uの上面に左右方向に連通する空間が形成されて、同空間を通して作業者が転圧装置を楽に横移動させることができて、転圧作業等を効率良く行うことができる。
【0091】
そして、ブロック本体1が大型化した場合でも、作業者が左・右側壁5,6の後半部よりブロック本体1内に楽に出入りすることができる。
【0092】
(7)各ブロック本体1の前半上部さらには各ブロック本体1の後半上部の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填する。
【0093】
(8)ブロック本体1の左・右側壁5,6に形成した差込孔11,11中に滑動防止片2,2の下部を差し込んで、各滑動防止片2,2をブロック本体1の左・右側壁5,6の天端面より上方へ突出状となす。
【0094】
(9)ブロック本体1上にて、別個のブロック本体1を左右方向に直線状に敷設して、二段目のブロック列L2を形成する。
【0095】
この際、各ブロック本体1は、前壁3を左・右側壁5,6上に載置すると共に、後壁4を裏込め材U上に載置し、前壁3の前面下部を、ブロック本体1の左・右側壁5,6に突設した滑動防止片2,2に後方より当接させておく。
【0096】
(10)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを、左・右側壁5,6の後半部5b,6bの高さまで入れる。
【0097】
(11)胴込め材D及び裏込め材Uを転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0098】
(12)各ブロック本体1の前半上部さらには各ブロック本体1の後半上部の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填する。
【0099】
(13)ブロック本体1の左・右側壁5,6に形成した差込孔11,11中に滑動防止片2,2の下部を差し込んで、各滑動防止片2,2をブロック本体1の左・右側壁5,6の天端面より上方へ突出状となす。
【0100】
(14)ブロック本体1上にて、別個のブロック本体1を左右方向に直線状に敷設して、三段目のブロック列L3を形成する。
【0101】
この際、各ブロック本体1は、前壁3を支持体7及び左・右側壁5,6上に載置すると共に、後壁4を裏込め材U上に載置し、前壁3の前面下部を、ブロック本体1の左・右側壁5,6に突設した滑動防止片2,2に後方より当接させておく。
【0102】
(15)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを支持体受け用凹部5c,6cの下端位置まで入れる。
【0103】
(16)左右一対の支持体受け用凹部5c,6c間に支持体7を架設し、同支持体7により仕切られた前側を客土充填空間S1として、同客土充填空間S1内に客土Gを充填する一方、支持体7の後側の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填する。24は客土吸出防止シートであり、同客土吸出防止シート24により客土Gが胴込め材D中に侵入するのを防止すると共に、河川の護岸においては、客土Gが河川の流水により洗い出された場合に、胴込め材Dが河川の流水によりブロック本体1外に吸い出される(流出される)のを防止している。
【0104】
(17)上記した(13)〜(16)の作業を所要段数まで繰り返し行う。
【0105】
このようにして、擁壁Yの直線施工を行うことができ、滑動防止片2により上段に段積みしたブロック本体1の滑動を防止することにより、下段のブロック本体1に滑動抵抗力を付加することができる。Nは、二段目のブロック列L2の中途部まで土を根入れして形成した根入れ部である。
【0106】
なお、本実施例では、あらかじめ左・右側壁5,6に滑動防止片2を突設した状態で、その上段のブロック本体1の前壁3を滑動防止片2に当接させるようにしているが、先に上段のブロック本体1を位置決めしておき、その後に滑動防止片2を左・右側壁5,6に突設することもできる。
【0107】
〔曲線施工の場合〕
(1)擁壁Yを左右方向に敷設すると共に、前方へ凸状(後方へ凸状)に湾曲させて曲線施工する場合は、図2及び図7(図8)に示すように、基礎ブロックBのブロック本体20を地形等の条件に応じて前方へ凸状(後方へ凸状)に湾曲させて敷設する。
【0108】
(2)ブロック本体20中に栗石等の胴込め材Dを支持体受け用凹部(図示せず)の下端位置まで入れて、転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0109】
(3)左右一対の支持体受け用凹部間に支持体7を架設し、同支持体7により仕切られた後側の空間内に胴込め材Dを充填し、転圧装置により転圧する。
【0110】
(4)支持体7に形成した段付き凹状後側受け部7aと、擁壁ブロックAのブロック本体1の前壁3の後面上部に形成した段付き凹状前側受け部3aとの間に、左右方向位置決め体8,8を左右方向に摺動自在に架設して仮置きする。
【0111】
(5)ブロック本体20上にて、ブロック本体1を前方へ凸状(後方へ凸状)に湾曲させて敷設し、各ブロック本体1を所要の位置に位置決めして、一段目のブロック列L1を形成する。
【0112】
この際、左右方向に隣接させて敷設したブロック本体20の列と、その上に段積み状態にて左右方向に隣接させて敷設したブロック本体1の一段目のブロック列L1とでは、各段毎に列の曲率半径が異なるために、下段の列に対して上段の列が左右方向に少しづつ位置ずれして、列が長くなるにつれて、上段のブロック本体1の左右側部の下面が、下段のブロック本体20の左・右側壁の天端面の二個所に載らなくなるという不具合が生じることがある。
【0113】
しかしながら、このような場合には、本実施例では、ブロック本体20の左右一対の支持体受け用凹部間に支持体7を架設しているため、同支持体7により上段のブロック本体1の左右側部のいずれかの下面を確実に支持することができる。
【0114】
また、作業者が必要に応じて支持体7上に載って作業を行うこともでき、作業能率を向上させることができる。
【0115】
(6)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを支持体受け用凹部5c,6cの下端位置まで入れ、転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0116】
この際、ブロック本体1の左・右側壁5,6は、後半部5b,6bを前半部5a,6aの高さの略半分に切り欠いた状態としているため、ブロック本体1の後半部では、胴込め材Dさらには裏込め材Uの上面に左右方向に連通する空間が形成されて、同空間を通して作業者が転圧装置を楽に横移動させることができて、転圧作業等を効率良く行うことができる。
【0117】
そして、ブロック本体1が大型化した場合でも、作業者が左・右側壁5,6の後半部よりブロック本体1内に楽に出入りすることができる。
【0118】
(7)左右一対の支持体受け用凹部5c,6c間に支持体7を架設し、同支持体7により仕切られた後側の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填し、転圧装置により転圧する。
【0119】
(8)支持体7に形成した段付き凹状後側受け部7aとブロック本体1の前壁3の後面上部に形成した段付き凹状前側受け部3aとの間に、左右方向位置決め体8,8を左右方向に摺動自在に架設して仮置きする。
【0120】
(9)ブロック本体1上にて、別個のブロック本体1を前方へ凸状(後方へ凸状)に湾曲させて敷設し、各ブロック本体1を所要の位置に位置決めして、二段目のブロック列L2を形成する。
【0121】
この際、左右方向に隣接させて敷設したブロック本体1のブロック列L1と、その上に段積み状態にて左右方向に隣接させて敷設したブロック本体1の二段目のブロック列L2とでは、各段毎に列の曲率半径が異なるために、下段の列に対して上段の列が左右方向に少しづつ位置ずれして、列が長くなるにつれて、上段のブロック本体1の左右側部の下面が、下段のブロック本体1の左・右側壁の天端面の二個所に載らなくなるという不具合が生じることがある。
【0122】
しかしながら、このような場合には、本実施例では、ブロック本体1の左右一対の支持体受け用凹部5c,6c間に支持体7を架設しているため、同支持体7により上段のブロック本体1の左右側部のいずれかの下面を確実に支持することができる。
【0123】
また、作業者が必要に応じて支持体7上に載って作業を行うこともでき、作業能率を向上させることができる。
【0124】
(10)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを支持体受け用凹部5c,6cの下端位置まで入れ、転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0125】
(11)左右一対の支持体受け用凹部5c,6c間に支持体7を架設し、同支持体7により仕切られた後側の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填し、転圧装置により転圧する。
【0126】
(12)支持体7に形成した段付き凹状後側受け部7aとブロック本体1の前壁3の後面上部に形成した段付き凹状前側受け部3aとの間に、左右方向位置決め体8,8を左右方向に摺動自在に架設して仮置きする。
【0127】
(13)ブロック本体1上にて、別個のブロック本体1を前方へ凸状(後方へ凸状)に湾曲させて敷設し、各ブロック本体1を所要の位置に位置決めして、三段目のブロック列L3を形成する。
【0128】
(14)各ブロック本体1中に栗石等の胴込め材Dさらには裏込め材Uを支持体受け用凹部5c,6cの下端位置まで入れ、転圧装置(図示せず)により転圧する。
【0129】
(15)左右一対の支持体受け用凹部5c,6c間に支持体7を架設し、同支持体7により仕切られた後側の空間内に胴込め材Dさらには裏込め材Uを充填し、転圧装置により転圧する。
【0130】
(16)支持体7により仕切られた前側を客土充填空間S1として、同客土充填空間S1内に客土Gを充填する。
【0131】
(17)上記した(13)〜(16)の作業を所要段数まで繰り返し行う。
【0132】
(18)仮置きした各左右側位置決め体8,8の側方の空間内に胴込め材Dを充填して、左右側位置決め体8,8を位置決めする。
【0133】
この際、各左右方向位置決め体8,8は、左右方向に摺動自在に架設しているため、各左右方向位置決め体8,8を所要の位置、すなわち、滑動防止片2を前壁3の前面下部に当接させるのに適した位置に配置して位置決めすることができる。
【0134】
(19)各左右側位置決め体8,8中にそれぞれ固定材K,Kを充填し、各固定材K,K中に滑動防止片2,2の下部を前後方向及び/又は左右方向に位置調節しながら上方へ突出状に位置決めし、固定材Kの固化により固定すると共に、各滑動防止片2,2を直上方に段積みした各ブロック本体1の前壁3の前面下部に当接させる。
【0135】
なお、各左右側位置決め体8,8の位置決め作業や滑動防止片2,2の位置決め作業は、直上段のブロック列が位置決めされて、同ブロック列を形成する各ブロック本体1中に胴込め材Dさらには裏込め材Uが充填された直後に行うこともできる。
【0136】
このようにして、前方へ凸状(後方へ凸状)の擁壁Yの曲線施工を行うことができ、滑動防止片2により上段に段積みしたブロック本体1の滑動を防止することにより、下段のブロック本体1に滑動抵抗力を付加することができる。
【0137】
〔第2実施例としての擁壁ブロック〕
図9〜図16は、第2実施例としての擁壁ブロックAを示しており、同擁壁ブロックAは、前記した第1実施例としての擁壁ブロックAと基本的構造を同じくしているが、左・右側壁5,6にリフト用挿通部としてのリフト用挿通孔15,15,16,16とブロック反転用支点凹部17,18とを形成して、これらと干渉しないように接合部9,10を段付き凹状に形成した点において大きく異なる。
【0138】
すなわち、左・右側壁5,6には、図9〜図12及び図27(a)に示すように、それぞれ前後一対のリフト用挿通孔15,15,16,16を形成しており、これらの前後のリフト用挿通孔15,15,16,16は、図27(a)に示すように、擁壁ブロックAの前後重心線Cの前方と後方とにそれぞれ位置するように配置すると共に、左右のリフト用挿通孔15,16を左右方向に整合させ、かつ、少なくとも、例えば、リフト装置としてのフォークリフト(図示せず)のリフト用フォークを挿通することができる程度の大きさに開口している。
【0139】
このようにして、擁壁ブロックAの側方からフォークリフトのリフト用フォークをリフト用挿通孔15,15,16,16中に貫通させて、同状態にてリフト用フォークにより擁壁ブロックAを昇降させることができるようにしており、工場等におけるストック及び出荷時の擁壁ブロックAを容易に積み降ろしすることができるようにしている。
【0140】
この際、前後のリフト用挿通孔15,15,16,16は、擁壁ブロックAの前後重心線Cの前方と後方とにそれぞれ位置するように配置しているため、リフト用フォークにより擁壁ブロックAを昇降させる際の安定性を良好に確保して、確実に積み降ろしを行うことができる。
【0141】
しかも、リフト用挿通孔15,15,16,16は、ブロック本体1内に充填した胴込め材Dの一部が外方へ突出する程度の大きさに形成することにより、ブロック本体1内の胴込め材Dと、ブロック本体1の外部に充填された裏込め材Uとが干渉して、ブロック本体1の前後方向の滑動抵抗を増大させることができる。
【0142】
さらには、ブロック本体1の強度を確保したまま、リフト用挿通孔15,15,16,16を可及的に大きく形成することにより、ブロック本体1の重量を軽量化して、製造コストの軽減と施工の簡易化を図ることができる。
【0143】
また、左・右側壁5,6には、図10〜図12に示すように、ブロック反転用支点凹部17,18を形成しており、両ブロック反転用支点凹部17,18は、擁壁ブロックAの前後重心線C上ないしはその近傍に配置している。
【0144】
このようにして、型枠(図示せず)内にて天地(上下)を逆にして成形したブロック本体1を、両ブロック反転用支点凹部17,18中に差し込んだ左右一対の支点ピン(図示せず)を中心にして、簡単に反転させることができるようにしている。
【0145】
しかも、両ブロック反転用支点凹部17,18は、ブロック本体1を吊り上げる際の連結孔としても利用することができるようにしている。
【0146】
そして、本実施例に係る擁壁ブロックAでは、図10及び図11に示すように、上記のように前側のリフト用挿通孔15,16とブロック反転用支点凹部17,18を形成するようにしているため、接合部9,10の中央下部と後部にそれぞれ挿通孔開放用段付き凹部9e,10eと支点凹部開放用段付き凹部9f,10fを形成している。
【0147】
すなわち、挿通孔開放用段付き凹部9e,10eは、接合部9,10の中央下部を前側のリフト用挿通孔15,16の前側縁部15a,16aと上側縁部15b,16bとに沿わせて鉤状に切欠することにより、段付き凹部を形成して、前側のリフト用挿通孔15,16の側方を開放している。
【0148】
そして、支点凹部開放用段付き凹部9f,10fは、接合部9,10の後側中央部をブロック反転用支点凹部17,18の直前方と直上方にかけて鉤状に切欠することにより、段付き凹部を形成して、ブロック反転用支点凹部17,18の側方を開放している。
【0149】
また、左側の接合部9には接合用凹状部9aの下端部を挿通孔開放用段付き凹部9eの直上方近傍位置まで伸延させる一方、右側の接合部10には接合用凸状部10aの下端部を挿通孔開放用段付き凹部10eの直上方近傍位置まで伸延させている。
【0150】
このようにして、接合部9,10による左右間隔保持片としての機能を良好に確保したまま、前側のリフト用挿通孔15,16の側方と支点凹部開放用段付き凹部9f,10fの側方とをそれぞれ開放すべく、挿通孔開放用段付き凹部9e,10eと支点凹部開放用段付き凹部9f,10fを形成しているため、前側のリフト用挿通孔15,16と支点凹部開放用段付き凹部9f,10fの機能を良好に確保することができると共に、この点からもブロック本体1の重量を軽量化して、製造コストの軽減と施工の簡易化を図ることができる。
【0151】
また、本実施例に係る擁壁ブロックAでも、前記第1実施例に係る擁壁ブロックAと同様に、支持体7は、図13〜図21に示すように、断面縦長四角形に形成して、前面上部に左右方向に伸延する段付き凹状後側受け部7aを形成する一方、ブロック本体1の前壁3の後面上部には、左右方向に伸延する段付き凹状前側受け部3aを上記段付き凹状後側受け部7aと前後方向に対向させて形成し、両段付き凹状前・後側受け部3a,7a間に左右方向位置決め体8,8を左右方向に摺動自在に架設して、左右方向に位置調節自在に配置することができるようにしている。
【0152】
そして、左右方向位置決め体8,8は、ブロック本体1の前壁3と支持体7との間に介設しているため、同支持体7に胴込め材Dによる圧力が後方から作用した場合にも、同支持体7を補強して、かかる圧力に対抗させることができるようにしている。
【0153】
ここで、左右方向位置決め体8は、図22及び図23に示すように、前後方向に伸延する断面四角形のブロック状に形成すると共に、同左右方向位置決め体8の上面に後面が略垂直面の凸条片を一体成形して、同凸条片を滑動防止片2となしている。
【0154】
そして、かかる滑動防止片2の後面2aと、上段に段積みしたブロック本体1の前壁3の前面下部との間に間隙が生じる場合には、同間隙中にモルタル等の充填材mを充填・固化させて、同充填材mを介して滑動防止片2により上段に載置したブロック本体1の前方への滑動を防止するようにしている。
【0155】
また、接合部9,10の天端面に形成した差込孔11中に差し込む滑動防止片2は、図9及び図24に示すように、上下方向に伸延させて下部を上記差込孔11中に差し込み可能に形成した棒状支持片2bと、同棒状支持片2bの上部に交差状に取り付けた前壁当接板状片2cとから形成している。
【0156】
このようにして、上段に載置されるブロック本体1の前壁3に、滑動防止片2の前壁当接板状片2cを当接させて、同前壁当接板状片2cにより前壁3の前面下部を面で受けるようにしている。
【0157】
この際、ブロック本体1の前壁3の前面下部が前壁当接板状片2cに当接していれば、同ブロック本体1が左右方向に位置ずれしていてもよい。
【0158】
また、図25は、他実施例としての滑動防止片2を示しており、棒状支持片2bの上部に平面視六角形の前壁当接片2dを設けて、同前壁当接片2dの周囲に六個の側面2eを形成している。
【0159】
このようにして、前壁当接片2dの周囲に形成した六個の側面2eの内のいずれか一つの側面2eにより、上段に載置したブロック本体1の前壁3の前面下部を面で受けるようにしている。
【0160】
なお、安定計算上、滑動防止片2を必要としない段位においても、盛土等の裏込め材Uや胴込め材Dの転圧時において、ブロック本体1の前方への滑動の虞が生じる場合には、かかる滑動防止片2を適宜使用して滑動を防止すれば、裏込め材Uや胴込め材D等の転圧による締め固めにも有効に機能することになる。
【0161】
しかも、支持体7の前面には、複数(本実施例では四個)の後側係合用凹部7bを左右方向に間隔を開けて形成しており、各後側係合用凹部7bは、段付き凹状後側受け部7aより下方へ連通させて凹状に形成している。
【0162】
一方、ブロック本体1の前壁3の後面上部には、複数(本実施例では四個)の前側係合用凹部3bを左右方向に間隔を開け、かつ、上記後側係合用凹部7bと前後方向に対向させて形成しており、各前側係合用凹部3bは、段付き凹状前側受け部3aより下方へ連通させて凹状に形成している。
【0163】
このようにして、前後方向に対向する前・後側係合用凹部3b,7b間に、前後方向に伸延させて形成したシート押さえ体30を配置して、同シート押さえ体30により客土吸出防止シート24を上方から押さえて、同客土吸出防止シート24がめくれ上がらないようにしている。
【0164】
ここで、客土吸出防止シート24は、客土充填空間S1と、同客土充填空間S1の後方に支持体7を介して形成される空間にわたって張設しており、同客土吸出防止シート24の客土充填空間S1内に位置する部分は、前記したシート押さえ体30により上方から押さえる一方、同客土充填空間S1の後方に支持体7を介して形成される空間内に位置する部分は、胴込め材Dにより上方から押させて、客土吸出防止シート24を確実に固定している。
【0165】
また、左・右側壁5,6の前半部5a,6aの天端部内側面には、図13〜図16及び図26に示すように、上方と内側方とが開口した係合凹部31,32を、前後方向に一定の間隔を開けて二個ずつ形成しており、左右方向に対向する係合凹部31,32間には、左右方向に伸延する棒状の胴込め材(栗石)流出防止片33を上方から横架すると共に、各係合凹部31,32中にモルタル等の固化材を充填して、上記胴込め材(栗石)流出防止片33をブロック本体1に一体的に固定することができるようにしている。
【0166】
このようにして、擁壁ブロックAにより河川の護岸を構築した場合には、左右方向に対向する係合凹部31,32間に胴込め材(栗石)流出防止片33を横架すると共に、ブロック本体1と一体化しておくことにより、横ブロック本体1内に充填した胴込め材Dが河川の流水により流出されるのを防止することができる。
【0167】
図27(b)〜(d)は、前記した図27(a)に示すリフト用挿通孔15,16の変容例を示しており、図27(b)では、前後のリフト用挿通孔15,16を一体的に連通させて一つの横長のリフト用挿通孔34を形成している。図27(c)では、左・右側壁5,6の下端部に上方へ凸条のリフト用係合凹部35,36を擁壁ブロックAの前後重心線Cの前方と後方とにそれぞれ位置するように配置して形成している。図27(d)では、前後のリフト用係合凹部35,36を一体的に連通させて一つの横長のリフト用係合凹部37を形成している。
【0168】
また、図28に示すように、左右間隔保持片としての接合部9,10は、前壁3の左・右側端面の位置にて外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成することができ、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dを、前壁3の天端面3cと略面一に形成して、これらの天端面5d,6d,9d,10dにブロック上載面13,14を形成している。
【0169】
ここで、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dの内、少なくともいずれか一方に前壁3の天端面3cと略面一のブロック上載面13,14を、全面的ないしは部分的に形成することもできる。
【0170】
図28及び図29中、Pは、上段の擁壁ブロックAが上載された際の前壁3の前面の上載位置であり、同上載位置Pと左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dの後端部との間に形成される幅を、ブロック上載面の前後幅Waとしている。W1は、接合部9,10の前後幅、W2はブロック本体1の前後幅、W3は後壁4の前後幅、H1は前壁3の高さ、H2は後壁4の高さである。
【0171】
そして、前壁3の天端面3cの前端から左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dの後端までの前後幅Wxは、
W2−W1≧Wx≧H1×N×0.1+Wa
N:法勾配(分)
の関係を満足するようにしている。
【0172】
このようにして、前壁3の天端面3cの前端から左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dの後端までの前後幅Wxを必要最小限に形成して、前部天端面5d,6dと後部天端面5e,6eとの間に段差を形成しているため、擁壁ブロックA自体を軽量化することができると共に、ブロック上載面13,14の前後幅を確保して、同ブロック上載面13,14上に載置される上段の擁壁ブロックAを確実かつ安定状態に支持することができる。
【0173】
しかも、前壁3の左・右側端面の位置に、接合部9,10を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成しているため、両接合部9,10を介して左右方向に隣接する擁壁ブロックA,Aの側壁同士の間隔を一定に確保することができると共に、曲線施工を行う際にも、左右方向に隣接する擁壁ブロックA,A同士を、側壁の後端部が当接する位置まで角度を持たせて配置することができて、曲率半径の小さい曲線施工にも充分に適応させることができる。
【0174】
さらには、左右いずれか一方の接合部9の外側端に上下方向に伸延する接合用凹条部9aを形成すると共に、他方の接合部10の外側端に上下方向に伸延して上記接合用凹部9aに嵌合・接続する接合用凸条部10aを形成することもできる。
【0175】
また、後壁4の高さH2は、
H1×0.25≦H2≦H1×0.9
の関係を満足するようにしている。
【0176】
このようにして、ブロック本体1内に充填した胴込め材Dの転圧を効率良くかつ確実に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0177】
そして、後壁4の高さH2は、製品仮積み上及びトラック輸送上、好ましくは、H2 = H1×0.5に設定することができる。
【0178】
また、ブロック反転用支点凹部17,18ないしは図28に示すブロック反転用支点貫通孔38は、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと後部天端面5e,6eとの間に形成される傾斜面5f,6fよりも前方位置に形成している。W4はブロック反転用支点貫通孔38と傾斜面5fの後端部との前後幅である。
【0179】
このようにして、ブロック反転用支点凹部17,18ないしはブロック反転用支点貫通孔38を支点とするブロック本体1の反転がスムーズに行えるようにすると共に、ブロック反転用支点凹部17,18ないしはブロック反転用支点貫通孔38を利用したブロック本体1の吊り上げを安定姿勢にて行えるようにしている。
【0180】
また、図29に示すように、左右間隔保持片としての接合部9,10は、前壁3の左・右側端面と左・右側壁5,6の前部外側面とに跨る位置にて外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成することができ、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dを、前壁3の天端面3cと略面一に形成して、これらの天端面5d,6d,9d,10dにブロック上載面13,14を形成している。
【0181】
ここで、左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dと接合部9,10の天端面9d,10dの内、少なくともいずれか一方に前壁3の天端面3cと略面一のブロック上載面13,14を、全面的ないしは部分的に形成することもできる。
【0182】
そして、前壁3の天端面3cの前端から左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dの後端までの前後幅Wxは、
W2−W1≧Wx≧H1×N×0.1+Wa
N:法勾配(分)
の関係を満足するようにしている。
【0183】
このようにして、前壁3の天端面3cの前端から左・右側壁5,6の前部天端面5d,6dの後端までの前後幅Wxを必要最小限に形成して、前部天端面5d,6dと後部天端面5e,6eとの間に段差を形成しているため、擁壁ブロックA自体を軽量化することができると共に、ブロック上載面13,14の前後幅Waを確保して、同ブロック上載面13,14上に載置される上段の擁壁ブロックAを確実かつ安定状態に支持することができる。
【0184】
しかも、前壁3の左・右側端面と左・右側壁5,6の前部外側面とに跨る位置に、接合部9,10を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成しているため、両接合部9,10を介して左右方向に隣接する擁壁ブロックAの側壁同士の間隔を一定に確保することができると共に、曲線施工を行う際にも、左右方向に隣接する擁壁ブロックA,A同士を、側壁の後端部が当接する位置まで角度を持たせて配置することができて、曲率半径の小さい曲線施工にも充分に適応させることができる。
【0185】
さらには、前壁3の左・右側端面と左・右側壁5,6の前部外側面とに跨る位置に、接合部9,10を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成しているため、左右いずれか一方の接合部9の外側端に上下方向に伸延する接合用凹条部9aを形成すると共に、他方の接合部10の外側端に上下方向に伸延して上記接合用凹部9aに嵌合・接続する接合用凸条部10aを容易に形成することができる。
【0186】
また、図30に示すように、滑動防止片2を差し込むための差込孔11は、接合部9の天端面9dと左側壁5の前部天端面5dと左側壁5の内側面に形成したブロック上載部40の天端面40aの内、少なくともいずれか一つに設けることができ、上段に載置されるブロック本体1の左右方向のずれ具合に応じていずれかを適宜選択することができる。
【0187】
なお、図30には図示していないが、上記と同様に、滑動防止片2を差し込むための差込孔11は、接合部10の天端面10dと右側壁6の前部天端面6dと右側壁6の内側面に形成したブロック上載部40の天端面40aの内、少なくともいずれか一つに設けることができ、上段に載置されるブロック本体1の左右方向のずれ具合に応じていずれかを適宜選択することができる。
【0188】
また、上記のように構成した第2実施例としての擁壁ブロックAにより擁壁Yを構築する際の段積み工法は、前記した第1実施例としての擁壁ブロックAにより擁壁Yを構築する際の第1実施例としての段積み工法と同様に行うことができる。
【0189】
次に、本発明に係る擁壁ブロックAの第2実施例〜第5実施例としての段積み工法について、図31〜図34を参照しながら説明する。
【0190】
〔第2実施例としての段積み工法〕
まず、ここで、曲線施工の場合の擁壁ブロックAの段積み工法の不具合について説明すると、曲線施工を行う必要性のある擁壁Yでは、左右方向に隣接させて敷設したブロック本体1の下段の列と、その上に段積み状態にて左右方向に隣接させて敷設したブロック本体1の上段の列とでは、各段毎に列の曲率半径が異なるために、下段の列に対して上段の列が左右方向に少しづつ位置ずれして、列が長くなるに連れて、上段のブロック本体の左右側部の下面が、下段のブロック本体の左・右側壁の天端面の二個所に載らなくなるという不具合が生じる。
【0191】
そこで、第2実施例としての段積み工法では、図31に示すように、最上段に載置されるブロック本体1が左右方向に連続状態に敷設されるように、あらかじめ最下段(一段目)に敷設されるブロック本体1,1同士の間隔t、二段目に敷設されるブロック本体1,1同士の間隔t・・・・最上段の一つ下の段に敷設されるブロック本体1,1同士の間隔tn−1を逆算して設定し、各ブロック本体1の直上方位置に上段のブロック本体1を載置する工法、いわゆるイモ積み工法を採用している。
【0192】
そして、滑動安全率Fsが下記の「数」の関係を満足しない段位の擁壁ブロックAは、前記した滑動防止片2を具備する擁壁ブロックを採用することにより、下記の「数」の関係を満足させるようにしている。
【0193】
【数3】
Figure 0003923448
【0194】
【数4】
Figure 0003923448
すなわち、滑動安全率Fsが、例えば、1.5と同等ないしはそれよりも大きくなるように滑動抵抗力Frを設定することにより、擁壁ブロックの前後幅を極力抑える(短幅に形成する)ことができると共に、滑動安全率Fsを適正に確保することができる。
【0195】
なお、滑動安全率Fsは、一般的には1.5であるが、現場の諸条件等により変動する場合は、その値に準ずる。また、摩擦係数μは、例えば、0.600として計算することができる。
【0196】
〔第3実施例としての段積み工法〕
第3実施例としての段積み工法は、図32に示すように、曲線施工の場合に、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足しない段位の擁壁ブロックAは、滑動防止片2を具備する擁壁ブロックAを採用して、単数の擁壁ブロックA毎に左右方向に所定の間隔を開けて不連続状態に敷設すると共に、上段の擁壁ブロックAは下段の擁壁ブロックAの直上方位置に載置し、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足する段位の擁壁ブロックAは、各段毎に左右方向に連続させて敷設するようにしている。
【0197】
このようにして、滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位、例えば、一段目と二段目についてだけ、滑動防止片2を設けた擁壁ブロックAを単数毎に段積み(いわゆる、イモ積み)して、同滑動防止片2により滑動安全率Fsを適正に確保すると共に、単数毎に左右方向にあらかじめ設定した間隔を開けて不連続状態に敷設することにより、一段目と二段目の曲率半径の違いに基づく左右方向のずれを調整することができる。
【0198】
そして、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位、例えば、三段目以降については、滑動防止片2を設けていない擁壁ブロックAを、下段の擁壁ブロックAの位置とは関係なく、各段毎に左右方向に連続させて敷設することができる。
【0199】
そのため、左右方向の間隔設定を行うことなく、楽に敷設作業を行うことができると共に、擁壁構築時間を大幅に短縮させることができる。
【0200】
なお、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位についても、必要に応じて滑動防止片2を設けた擁壁ブロックを敷設することができる。
【0201】
〔第4実施例としての段積み工法〕
第4実施例としての段積み工法は、図33に示すように、曲線施工の場合に、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足しない段位の擁壁ブロックAは、滑動防止片2を具備する擁壁ブロックAを採用して、連続敷設許容範囲内の複数(本実施例では三個)の擁壁ブロックAを左右方向に連続させて敷設することにより複数擁壁ブロック組Gaを形成すると共に、左右方向に隣接する複数擁壁ブロック組Ga,Ga同士の間には所定の間隔を開けて不連続状態となし、上段の擁壁ブロックAは下段の擁壁ブロックAの上方位置に載置し、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足する段位の擁壁ブロックAは左右方向に連続させて敷設するようにしている。
【0202】
このようにして、滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位、例えば、一段目と二段目についてだけ、滑動防止片2を設けた擁壁ブロックAを、曲線施工の曲率半径に応じて、連続敷設許容範囲内の複数の擁壁ブロックAを左右方向に連続させて敷設することにより複数擁壁ブロック組Gaを形成すると共に、左右方向に隣接する複数擁壁ブロック組Ga,Ga同士の間にはあらかじめ設定した間隔を開けて不連続状態となして、各複数擁壁ブロック組Ga,Ga毎に段積みして、滑動防止片2により滑動安全率Fsを適正に確保すると共に、各複数擁壁ブロック組Ga毎に左右方向にあらかじめ設定した間隔を開けて不連続状態に敷設することにより、一段目と二段目の曲率半径の違いに基づく左右方向のずれを調整することができる。
【0203】
この際、複数擁壁ブロック組Gaを形成する擁壁ブロックAの連続数は、曲線施工における曲率半径に応じて、すなわち、曲率半径が小さい場合には、擁壁ブロックAの連続数を少なく設定し、また、曲率半径が大きい場合には、擁壁ブロックAの連続数は多く設定することができ、かかる擁壁ブロックAの連続数に応じて各複数擁壁ブロック組Ga,Ga同士の左右方向の間隔をあらかじめ設定することができるため、滑動安全率Fsが上記の関係を満足しない段位の擁壁ブロックAの敷設作業を非常に楽に行うことができる。
【0204】
そして、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位、例えば、三段目以降については、滑動防止片2を設けていない擁壁ブロックAを、下段の擁壁ブロックAの位置とは関係なく、各段毎に左右方向に連続させて敷設することができる。
【0205】
そのため、左右方向の間隔設定を行うことなく、楽に敷設作業を行うことができると共に、擁壁構築時間を大幅に短縮させることができる。
【0206】
なお、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位についても、必要に応じて滑動防止片2を設けた擁壁ブロックAを敷設することができる。
【0207】
〔第5実施例としての段積み工法〕
第5実施例としての段積み工法は、図34に示すように、曲線施工の場合に、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足しない段位の擁壁ブロックは、左右方向に位置調節自在の滑動防止片2を具備する擁壁ブロックAを採用して、左右方向に連続させて敷設するようにしている。
【0208】
このようにして、滑動安全率Fsが前記「数」の関係を満足しない段位、例えば、一段目と二段目についてだけ、滑動防止片2を設けた擁壁ブロックAを左右方向に連続させて敷設して、各滑動防止片2により滑動安全率Fsを適正に確保することができる。
【0209】
この際、滑動防止片2は、左右方向位置決め体8を介して左右方向に位置調節自在に配置することができるため、左右方向に位置ずれしたブロック本体1の上段の列を適宜位置決めした後に、各滑動防止片2を左右方向に適宜位置調節して所要の位置に配置することにより、上段に段積みしたブロック本体1の滑動を確実に防止することができる。
【0210】
そして、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位、例えば、三段目以降については、滑動防止片2を設けていない擁壁ブロックAを、下段の擁壁ブロックAの位置とは関係なく、各段毎に左右方向に連続させて敷設することができる。
【0211】
そのため、左右方向の間隔設定を行うことなく、楽に敷設作業を行うことができると共に、擁壁構築時間を大幅に短縮させることができる。
【0212】
なお、滑動安全率Fsが上記の関係を満足する段位についても、必要に応じて滑動防止片2を設けた擁壁ブロックAを敷設することができる。
【0213】
〔第6実施例としての擁壁ブロック〕
図35は、第6実施例としての基礎ブロックBと魚巣用の擁壁ブロックA1と植生用の擁壁ブロックA2とにより構築した護岸擁壁Yを示しており、同護岸擁壁Yは、河床K1の地盤中に基礎ブロックBと複数段(本実施例では二段)の魚巣用の擁壁ブロックA1を根入れブロックとして段積みし、さらにその上の河川K2中に複数段(本実施例では二段)の魚巣用の擁壁ブロックA1を段積みし、さらにその上に複数段(本実施例では五段)の植生用の擁壁ブロックA2を段積みして構築している。
【0214】
そして、基礎ブロックB内と魚巣用の擁壁ブロックA1内には、例えば、50mm〜150mmの栗石を胴込め材Dとして充填すると共に、これらのブロックB,A1の背後に同じ栗石を裏込め材Uとして充填し、また、植生用の擁壁ブロックA2内には、例えば、0.01mm〜50mmの砕石を胴込め材Dとして充填すると共に、同擁壁ブロックA2の背後に同じ砕石を裏込め材Uとして充填している。
【0215】
ここで、魚巣用の擁壁ブロックA1と植生用の擁壁ブロックA2は、図36及び図37にも示すように、それぞれ前記した第1実施例としての擁壁ブロックAと基本的構造を同じくしており、ブロック本体1の左右側前部の天端面に略鉛直方向に伸延する差込孔11,11を形成して、各差込孔11,11中に滑動防止片2,2(図25参照)と吊上用連結片41,41(図38参照)のいずれかの下部を選択的に差し込み可能としている。
【0216】
このようにして、ブロック本体1の左右側前部の天端面に形成した差込孔11,11中に、滑動防止片2,2の下部を差し込んで、同滑動防止片2,2を天端面より上方へ突出させ、同滑動防止片2,2にブロック本体1の直上方に段積みするブロック本体1の前面下部を当接させることにより、上段のブロック本体1の前方への滑動を防止することができる。
【0217】
そして、滑動防止片2,2により上段に段積みしたブロック本体1の滑動を防止することにより、下段のブロック本体1に前記滑動抵抗力Frを付加することができる。
【0218】
また、ブロック本体1の左右側前部の天端面に形成した差込孔11,11中に、吊上用連結片41,41の下部を差し込んで、同吊上用連結片41,41を天端面より上方へ突出させ、同吊上用連結片41,41を吊上用ワイヤ等を介して吊上作業機に連結することにより、同吊上作業機にて擁壁ブロックA1,A2を容易に吊り上げることができる。
【0219】
ここで、吊上用連結片41は、図38に示すように、連結本片41aの上端部にリング状連結片41bを形成すると共に、連結本片41aの下端部に係止片41cを形成して、同係止片41cを差込孔11中に係止させる一方、リング状連結片41bに吊上用ワイヤ等を連結するようにしている。
【0220】
従って、擁壁ブロックA1,A2を吊上用連結片41を介して吊上作業機により吊り上げて段積みすることにより、擁壁構築作業を効率良く行うことができる。
【0221】
また、魚巣用の擁壁ブロックA1は、下段のブロック本体1の前壁3と、上段に段積みしたブロック本体1の前壁3との間に位置する下段のブロック本体1の左・右側壁5,6間に、左右方向に伸延する四角形板状の胴込め材流出防止体42を介設している。46は、川岸K3の土が裏込め材U側に吸い出されるのを防止するための吸出防止マットである。
【0222】
このようにして、下段のブロック本体1の前壁3と、上段に段積みしたブロック本体1の前壁3との間に位置する下段のブロック本体1の左・右側壁5,6間に、胴込め材流出防止体42を介設することにより、下段のブロック本体1の上面開口部43の前後幅W4を短幅化することができて、かかる下段のブロック本体内に充填した胴込め材Dが上面開口部43から洗掘されて外部へ流出されるのを防止することができる。
【0223】
ここで、胴込め材Dは、擁壁構造体の一部を構成しているが、かかる胴込め材Dの洗掘・流出を、胴込め材流出防止体42を介設するだけで、簡単にかつ確実に防止することができて、護岸擁壁Yの強度を良好に確保することができる。
【0224】
また、かかる擁壁ブロックA1を段積みして護岸擁壁Yを構築した際には、水面下に位置するブロック本体1内に、上面開口部43を通して魚等が出入りすることができ、同魚等がブロック本体1内に充填した胴込め材Dの間隙中に卵を産み付ける等して、魚巣ブロックとしても機能させることができる。
【0225】
また、植生用の擁壁ブロックA2は、左・右側壁5,6の前部間に、左右方向に伸延する四角形板状の客土仕切体44(第2実施例としての擁壁ブロックAの支持体7に相当する)を介設して、同客土仕切体44と前壁3と左・右側壁5,6とにより客土充填空間S1を形成し、同客土充填空間S1の底部に透水性を有する客土吸出防止シート24を張設すると共に、同客土吸出防止シート24の後部24aは、客土仕切体44の下方位置まで伸延させると共に、同客土仕切体44の背面に沿わせて上方へ伸延させている。
【0226】
このようにして、客土充填空間S1の底部に透水性を有する客土吸出防止シート24を張設することにより、ブロック本体1内に充填した胴込め材Dと、客土充填空間S1内に充填した客土Gとの間を、客土吸出防止シート24により仕切ることができる。
【0227】
従って、客土吸出防止シート24により粒径の小さい客土Gが、粒径の大きい胴込め材D側に吸い出される(流入する)のを防止することができる。
【0228】
この際、客土吸出防止シート24は、透水性を有するため、客土充填空間S1内に充填した客土Gの排水性を適度に確保することができて、植物の生育(植生)環境を良好に確保することができ、植生ブロックとして機能させることができる。
【0229】
また、かかる擁壁ブロックA1,A2を段積みして護岸擁壁Yを構築した際に、増水により客土充填空間S1内の客土Gが洗掘された場合にも、客土吸出防止シート24が胴込め材Dの上面を覆って、擁壁構造体の一部を構成する胴込め材Dが洗掘・流出されるのを防止することができる。
【0230】
ここで、下段のブロック本体1内に充填した胴込め材Dが洗掘・流出されると、その直上方に段積みした上・下面開口のブロック本体1内の胴込め材Dが、下段のブロック本体1内に落下し、さらに、その落下した胴込め材Dも洗掘・流出されると、最終的に上方に段積みした上・下面開口の全てのブロック本体1内の胴込め材Dが洗掘・流出されるという結果に至ることも考えられ、その場合には、護岸擁壁Yが崩壊するおそれもあるが、本実施例では、前記したように擁壁構造体の一部を構成する胴込め材Dが洗掘・流出されるのを防止することができるため、護岸擁壁Yの強度を良好に確保することができる。
【0231】
そして、客土吸出防止シート24の後部24aは、客土仕切体44の下方位置まで伸延させると共に、同客土仕切体44の背面に沿わせて上方へ伸延させているため、同客土吸出防止シート24の後部24aを客土仕切体44により上方から押圧して固定すると共に、同客土仕切体44の背後に充填した胴込め材Dにより押圧して固定することができて、同客土吸出防止シート24の前記胴込め材流出防止機能と客土吸い出し防止機能を良好に確保することができる。
【0232】
さらには、前壁3と客土仕切体44との間には、前後方向に伸延する四角形板状のシート押さえ体45を介設して、同シート押さえ体45により客土吸出防止シート24を上方から押さえるようにしている。
【0233】
ここで、客土仕切体44の前面には、上方と前方が開口する複数(本実施例では3個)の押さえ体受け用凹部44a,44a,44aを左右方向に間隔を開けて形成し、各押さえ体受け用凹部44a,44a,44aに各シート押さえ体45,45,45の後端部を嵌合させて配置しており、各シート押さえ体45は、客土仕切体44の背後に充填される胴込め材Dにより加圧されて、同客土仕切体44と前壁3との間で挟圧された状態で固定される。
【0234】
このようにして、客土仕切体44と前壁3との間で挟圧された状態で固定されたシート押さえ体45により、客土吸出防止シート24を上方から押さえることができて、同客土吸出防止シート24を張設状態に安定保持させることができ、その結果、客土吸出防止シート24による胴込め材流出防止機能と客土吸い出し防止機能とをより一層良好に確保することができる。
【0235】
また、客土仕切体44と胴込め材流出防止体42は、同一形状に形成して共通化している。
【0236】
このようにして、客土仕切体44と胴込め材流出防止体42を共通化することにより、施工性を向上させることができると共に、客土仕切体44と胴込め材流出防止体42の製造コストを低減させることができる。
【0237】
次に、基礎ブロックBと魚巣用の擁壁ブロックA1と植生用の擁壁ブロックA2について、それぞれ図39〜図41を参照しながら具体的に説明する。
【0238】
すなわち、基礎ブロックBは、図39に示すように、第1実施例の基礎ブロックBと基本的構造を同じくしており、ブロック本体20を前・後壁47,48と左・右側壁49,50とから上・下面開口の筒状に形成し、左・右側壁49,50の前部外側面に、左右間隔保持片としての接合部51,52を外側方へ膨出させかつ上下方向に伸延させて形成している。ここで、図39の(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、及び、(e)は断面側面図である。
【0239】
そして、左側の接合部51には、上下方向に伸延しかつ断面半円弧状の接合用凹条部51aを形成する一方、右側の接合部52には、上下方向に伸延しかつ断面半円弧状の接合用突条部52aを形成している。
【0240】
また、ブロック本体20の前後左右側の四つの隅部には、それぞれ内方へ膨出する膨出部53,53,54,54を形成して、左右側前部と左側後部の膨出部53,53,54の近傍の天端面に略垂直下方向に伸延する差込孔11,11,11を形成し、左側前部の差込孔11中に滑動防止片2(図24参照)の下部を差し込み可能とし、また、右側前部の差込孔11中に滑動防止片2と吊上用連結片41(図38参照)のいずれかの下部を選択的に差し込み可能とし、また、左側後部の差込孔11中に吊上用連結片41の下部を差し込み可能としている。
【0241】
さらに、基礎ブロックBの前後重心位置Gxと上下重心位置Gyとが交差する左・右側壁49,50上の交差部ないしはその近傍に、左右方向に略水平に伸延するブロック反転用支点凹部55,55を形成している。
【0242】
このようにして、基礎ブロックBのブロック本体20を脱型する際には、型枠(図示せず)の上面部を取り外すと共に、左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となし、同状態にて、左右側のブロック反転用支点凹部55,55中に反転用支軸(図示せず)をそれぞれ挿通し、両反転用支軸を介してブロック本体20を吊上装置(図示せず)により吊り上げることにより、型枠からブロック本体20を容易に取り出すことができる。
【0243】
そして、型枠内にて上下逆さ状態に成形したブロック本体20は、脱型時に吊り上げた状態にて、左右の反転用支軸を中心に人力により上下反転させ、その後、吊上装置により所定の載置場所に載置することができる。
【0244】
この際、ブロック反転用支点凹部55,55は、ブロック本体20の前後重心位置Gxと上下重心位置Gyとが交差する左・右側壁49,50上の交差部に、左右方向に略水平に伸延させて形成しているため、同ブロック本体20を吊上装置により吊り上げる作業を円滑に行うことができると共に、人力により上下反転させる作業を楽にかつ円滑に行うことができる。
【0245】
魚巣用の擁壁ブロックA1は、図40に示すように、第1実施例としての擁壁ブロックAと基本的構造を同じくしているが、左・右側壁5,6の後側上部を段付き凹状に形成すると共に、後部に後部重量軽減用開口部56,57を形成して、側面視にて左右の接合部9,10内に、前後重心位置Gxと上下重心位置Gyとが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に左右方向に略水平に伸延するブロック反転用支点凹部17,18を形成している点で異なる。ここで、図40の(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、及び、(e)は断面側面図である。
【0246】
そして、接合部9,10の前後幅W1は、
W2/2≧W1≧H1×N×0.1
の関係を満足するようにしている。ここで、W2はブロック本体1の前後幅、H1は前壁3の高さ、Nは法勾配(分)である。
【0247】
このようにして、魚巣用の擁壁ブロックA1のブロック本体1を脱型する際には、型枠(図示せず)の上面部を取り外すと共に、左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となし、同状態にて、左右側のブロック反転用支点凹部17,18中に反転用支軸(図示せず)をそれぞれ挿通し、両反転用支軸を介してブロック本体1を吊上装置(図示せず)により吊り上げることにより、型枠からブロック本体1を容易に取り出すことができる。
【0248】
そして、型枠内にて上下逆さ状態に成形したブロック本体1は、脱型時に吊り上げた状態にて、左右の反転用支軸を中心に人力により上下反転させ、その後、吊上装置により所定の載置場所に載置することができる。
【0249】
この際、ブロック反転用支点凹部17,18は、ブロック本体1の前後重心位置Gxと上下重心位置Gyとが交差する接合部9,10上の交差部ないしはその近傍に、左右方向に略水平に伸延させて形成しているため、同ブロック本体1を吊上装置により吊り上げる作業を円滑に行うことができると共に、人力により上下反転させる作業を楽にかつ円滑に行うことができる。
【0250】
しかも、接合部9,10上に形成したブロック反転用支点凹部17,18中に反転用支軸を挿通するようにしているため、型枠の左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となした状態でブロック本体1を吊り上げることができ、型枠の左右側面部を外側方へ90度近く回動させる必要性がないことから、後続の型枠組立作業、さらには、ブロック本体1の製造作業の能率を向上させることができる。
【0251】
また、ブロック反転用支点凹部17,18の周囲は、前壁3と直交する鉛直面となる凹部面58,59を形成している。
【0252】
しかも、ブロック本体1の左・右側壁5,6の内面に、それぞれ上方と内側方が開口する流出防止体受け用凹部5f,6fを形成して、図35及び図36に示すように、両流出防止体受け用凹部5f,6fに前記した胴込め材流出防止体42の左右側端部を嵌合させることにより、同胴込め材流出防止体42を下段のブロック本体1の前壁3と、上段に段積みしたブロック本体1の前壁3との間に位置させて横架状に介設している。
【0253】
ここで、下段のブロック本体1の前壁3と胴込め材流出防止体42との間隔、ないしは、同胴込め材流出防止体42と上段のブロック本体1の前壁3との間隔は、少なくともブロック本体1内に充填された胴込め材Dの最大粒径よりも小さくなるように設定して、同胴込め材Dの洗掘・流出を防止することができるようにしている。
【0254】
さらには、前壁3の左右側部には、それぞれ魚等出入り用開口部60,60を形成して、各魚等出入り用開口部60,60を通してブロック本体1内に魚等が出入りすることができるようにして、擁壁ブロックA1が魚巣ブロックとして機能するようにしている。
【0255】
植生用の擁壁ブロックA2は、図41に示すように、基本的構造を前記した魚巣用の擁壁ブロックA1と同じくしているが、ブロック本体1の左・右側壁5,6の内面に、流出防止体受け用凹部5f,6fに代えてそれぞれ上方と内側方が開口する仕切体受け用凹部5g,6gを形成し、また、前壁3には魚等出入り用開口部60,60を形成していない点において異なる。ここで、図41の(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、及び、(e)は断面側面図である。
【0256】
そして、左・右側壁5,6の内面に形成した仕切体受け用凹部5g,6gには、前記した客土仕切体44(第2実施例としての擁壁ブロックAの支持体7に相当する)の左右側端部を嵌合させることにより、横架状に介設している。
【0257】
また、図35及び図36に示すように、上段のブロック本体1は、その前壁3が下段のブロック本体1に設けた客土仕切体44の直上方位置に配置されるようにしている。
【0258】
ここで、上段のブロック本体1は、その前壁3が下段のブロック本体1に設けた客土仕切体44よりも前方位置ないしは後方位置に位置するように配置することもできるが、その前壁3と客土仕切体44との間隔は、少なくともブロック本体1内に充填された胴込め材Dの最大粒径よりも小さくなるように設定して、上・下段のブロック本体1,1内に充填された胴込め材Dが洗掘・流出されることがないようにしている。
【0259】
なお、植生用の擁壁ブロックA2も、前記した魚巣用の擁壁ブロックA1と同様に、ブロック本体1を型枠により成形すると共に、脱型することができる。
【0260】
図42は、客土吸出防止シート24の後端部24aの配設位置の変容例であり、同後端部24aは、客土仕切体44の下方位置に配置して、同客土仕切体44により客土吸出防止シート24の後端部24aを上方から押圧して固定するようにしている。
【0261】
そして、客土吸出防止シート24の前端部24bは、前壁3の背面(後面)に沿わせて上方へ伸延させて、同前端部24bに客土Gの土圧が作用するようにして、客土吸出防止シート24が後方へ引張されて位置ずれするのを防止している。
【0262】
図43は、客土吸出防止シート24の後端部24aの配設位置のもう一つの変容例であり、同後端部24aは、客土仕切体44よりも後方位置まで略水平に伸延させて、同後端部24aを胴込め材Dにより上下方向から挟圧して固定するようにしている。
【0263】
そして、客土吸出防止シート24の前端部24bは、前壁3の背面(後面)に沿わせて上方へ伸延させて、同前端部24bに客土Gの土圧が作用するようにして、客土吸出防止シート24が後方へ位置ずれするのを防止している。
【0264】
また、図35〜図37に示す客土吸出防止シート24においても、前端部24bを、前壁3の背面(後面)に沿わせて上方へ伸延させて、同前端部24bに客土Gの土圧が作用するようにして、客土吸出防止シート24が後方へ位置ずれするのを防止することもできる。
【0265】
なお、本実施例において使用する滑動防止片2としては、図4、図24又は図25に示すいずれかの形態のものを適宜選択して使用することができる。
【0266】
また、本実施例では、上・下面開口のブロック本体1について説明してきたが、上面開口で有底(下面が開口していない)のブロック本体1についても適用することができ、この場合も胴込め材Dの洗掘・流出を確実に防止することができる。
【0267】
【発明の効果】
(1)請求項1記載の本発明では、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込み可能に形成した棒状支持片と、同棒状支持片の上部に交差状に取り付けた前壁当接板状片とから形成して、同前壁当接板状片をブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前壁を当接させ、前壁の前面下部を面で受けることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしている。
【0268】
このようにして、滑動防止片により上段に段積みしたブロック本体の滑動を防止することにより、下段のブロック本体に滑動抵抗力Frを付加することができる。
この際、ブロック本体1の前壁3の前面下部が前壁当接板状片2cに当接していれば、同ブロック本体1が左右方向に位置ずれしていてもよい。
【0269】
すなわち、滑動安全率の式は、次のようになる。
【0270】
【数5】
Figure 0003923448
そこで、滑動安全率Fsが、例えば、1.5と同等ないしはそれよりも大きくなるように滑動抵抗力Frを設定することにより、擁壁ブロックの前後幅を極力抑える(短幅に形成する)ことができると共に、滑動安全率Fsを適正に確保することができる。
【0271】
なお、滑動安全率Fsは、一般的には1.5であるが、現場の諸条件等により変動する場合は、その値に準ずる。
【0272】
(2)請求項2記載の本発明では、前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込んで、同ブロック本体の天端面より上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、差込孔中には、滑動防止片と吊上用連結片のいずれかの下部を選択的に差し込み可能としている。
【0273】
このようにして、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に、滑動防止片の下部を差し込んで、同滑動防止片を天端面より上方へ突出させ、同滑動防止片にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、前記(1)のように上段のブロック本体の前方への滑動を防止することができる。
【0274】
また、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に、吊上用連結片の下部を差し込んで、同吊上用連結片を天端面より上方へ突出させ、同吊上用連結片を吊上用ワイヤ等を介して吊上作業機に連結することにより、同吊上作業機にて擁壁ブロックを容易に吊り上げることができる。
【0275】
従って、擁壁ブロックを吊り上げて段積みすることにより構築する擁壁構築作業を、効率良く行うことができる。
【0276】
(3)請求項3記載の本発明では、前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしている。
【0277】
このようにして、滑動防止片を差し込むための差込孔は、ブロック上載面に形成しており、同ブロック上載面は、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一に形成しているため、上段に載置されるブロック本体の左右方向のずれ具合に応じていずれかを適宜選択することができる。
【0280】
(4)請求項4記載の本発明では、前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、
前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成し、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内、少なくともいずれか一方に前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成している。
【0281】
このようにして、擁壁ブロックのブロック本体を脱型する際には、型枠の上面部を取り外すと共に、左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となし、同状態にて、左右側のブロック反転用支点凹部中に反転用支軸をそれぞれ挿通し、両反転用支軸を介してブロック本体を吊上装置により吊り上げることにより、型枠からブロック本体を容易に取り出すことができる。
【0282】
そして、型枠内にて上下逆さ状態に成形したブロック本体は、脱型時に吊り上げた状態にて、左右の反転用支軸を中心に人力により上下反転させ、その後、吊上装置により所定の載置場所に載置することができる。
【0283】
この際、ブロック反転用支点凹部は、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所に形成しているため、同ブロック本体を吊上装置により吊り上げる作業を円滑に行うことができると共に、人力により上下反転させる作業を楽にかつ円滑に行うことができる。
【0284】
しかも、左右間隔保持片上に形成したブロック反転用支点凹部中に反転用支軸を挿通するようにしているため、型枠の左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となした状態でブロック本体を吊り上げることができ、型枠の左右側面部を外側方へ90度近く回動させる必要性がないことから、後続の型枠組立作業、さらには、ブロック本体の製造作業の能率を向上させることができる。
【0285】
(5)請求項5記載の本発明では、前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成している。
【0286】
このようにして、滑動防止片を差し込むための差込孔は、ブロック上載面に形成しており、同ブロック上載面は、左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一に形成しているため、上段に載置されるブロック本体の左右方向のずれ具合に応じていずれかを適宜選択することができる。
【0287】
また、擁壁ブロックのブロック本体を脱型する際には、型枠の上面部を取り外すと共に、左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となし、同状態にて、左右側のブロック反転用支点凹部中に反転用支軸をそれぞれ挿通し、両反転用支軸を介してブロック本体を吊上装置により吊り上げることにより、型枠からブロック本体を容易に取り出すことができる。
【0288】
そして、型枠内にて上下逆さ状態に成形したブロック本体は、脱型時に吊り上げた状態にて、左右の反転用支軸を中心に人力により上下反転させ、その後、吊上装置により所定の載置場所に載置することができる。
【0289】
この際、ブロック反転用支点凹部は、側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所に形成しているため、同ブロック本体を吊上装置により吊り上げる作業を円滑に行うことができると共に、人力により上下反転させる作業を楽にかつ円滑に行うことができる。
【0290】
しかも、左右間隔保持片上に形成したブロック反転用支点凹部中に反転用支軸を挿通するようにしているため、型枠の左右側面部を外側方へ回動させて傾斜姿勢となした状態でブロック本体を吊り上げることができ、型枠の左右側面部を外側方へ90度近く回動させる必要性がないことから、後続の型枠組立作業、さらには、ブロック本体の製造作業の能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例としての擁壁ブロックを段積みして構築した擁壁の断面側面図(直線施工)。
【図2】本発明に係る第1実施例としての擁壁ブロックを段積みして構築した擁壁の断面側面図(曲線施工)。
【図3】同擁壁ブロックの平面図。
【図4】同擁壁ブロックの断面側面説明図。
【図5】鉛直荷重受け片上に荷重として作用する裏込め材の説明図。
【図6】直線状に段積み配置した擁壁ブロックの説明図。
【図7】前方へ凸状に湾曲させて段積み配置した擁壁ブロックの説明図。
【図8】後方へ凸状に湾曲させて段積み配置した擁壁ブロックの説明図。
【図9】本発明に係る第2実施例としての擁壁ブロックを段積みして構築した擁壁の断面側面図。
【図10】同擁壁ブロックの左側面図。
【図11】同擁壁ブロックの右側面図。
【図12】同擁壁ブロックの断面側面説明図。
【図13】ブロック本体の平面図。
【図14】ブロック本体の背面図。
【図15】擁壁ブロックの平面説明図。
【図16】擁壁ブロックの背面説明図。
【図17】支持体の平面図。
【図18】同支持体の背面図。
【図19】図18のI-I線断面図。
【図20】図18のII-II線断面図。
【図21】図18のIII-III線断面図。
【図22】擁壁ブロック段積み状態の断面側面説明図。
【図23】滑動防止片の斜視説明図。
【図24】他実施例としての滑動防止片の斜視図。
【図25】もう一つの他の実施例としての滑動防止片の斜視図。
【図26】擁壁ブロックの平面説明図。
【図27】リフト挿通部の説明図。
【図28】接合部の説明図。
【図29】接合部の説明図。
【図30】変容例としてのブロック本体の平面説明図。
【図31】第2実施例としての段積み工法の平面説明図。
【図32】第3実施例としての段積み工法の平面説明図。
【図33】第4実施例としての段積み工法の平面説明図。
【図34】第5実施例としての段積み工法の平面説明図。
【図35】第6実施例としての擁壁ブロックを段積みして構築した護岸擁壁の断面側面図。
【図36】同護岸擁壁の部分拡大断面側面図。
【図37】同護岸擁壁の部分拡大平面図。
【図38】吊上用連結片の正面図。
【図39】基礎ブロックの説明図。
【図40】魚巣用の擁壁ブロックの説明図。
【図41】植生用の擁壁ブロックの説明図。
【図42】客土吸出防止シートの変容例を示す断面側面図。
【図43】同客土吸出防止シートのもう一つの変容例を示す断面側面図。
【符号の説明】
A 擁壁ブロック
Y 擁壁
1 ブロック本体
2 滑動防止片

Claims (5)

  1. 前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込み可能に形成した棒状支持片と、同棒状支持片の上部に交差状に取り付けた前壁当接板状片とから形成して、同前壁当接板状片をブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前壁を当接させ、前壁の前面下部を面で受けることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしたことを特徴とする擁壁ブロック。
  2. 前・後壁と左・右側壁とを具備して、少なくとも上面開口に形成したブロック本体と、同ブロック本体に上方へ突出状に取り付ける滑動防止片とを装備すると共に、同滑動防止片は、ブロック本体の前部の天端面に形成した差込孔中に下部を差し込んで、同ブロック本体の天端面より上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、
    差込孔中には、滑動防止片と吊上用連結片のいずれかの下部を選択的に差し込み可能としたことを特徴とする壁ブロック。
  3. 前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、
    前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、
    左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、
    左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、
    同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにしたことを特徴とする擁壁ブロック。
  4. 前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、
    前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成し、
    左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面の内、少なくともいずれか一方に前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、
    同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、
    側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成したことを特徴とする擁壁ブロック。
  5. 前・後壁と左・右側壁とから上・下面開口に形成したブロック本体を具備し、左・右側壁は、後側上部を段付き凹状に形成して、前部天端面と後部天端面との間に段差を形成した擁壁ブロックにおいて、
    前壁の左・右側端面の位置に、左右間隔保持片を外側方へ膨出させてかつ上下方向に伸延させて形成する一方、
    左・右側壁の内側面前部にブロック上載部を形成して、
    左・右側壁の前部天端面と左右間隔保持片の天端面とブロック上載部の天端面の内、少なくともいずれか一つに前壁の天端面と略面一のブロック上載面を形成し、
    同ブロック上載面に差込孔を形成して、同差込孔中に滑動防止片の下部を差し込んで、ブロック上載面より同滑動防止片の上部を上方へ突出させ、同滑動防止片の上部にブロック本体の直上方に段積みするブロック本体の前面下部を当接させることにより、同ブロック本体の前方への滑動を防止するようにし、
    側面視にて左右間隔保持片内に、前後重心位置と上下重心位置とが交差する交差部を配置し、同交差部ないしはその近傍に位置する左右間隔保持片の個所にブロック反転用支点凹部を形成したことを特徴とする擁壁ブロック。
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