JP6429760B2 - 擁壁及びその構築方法 - Google Patents

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本発明は、法面を補強する擁壁、及びその構築方法に関する。
図7〜図10に示す従来例1(特許文献1の実施例1)の抗土圧擁壁工法では、図7a等に示すように、法面8の手前に、上下に開口した箱型の擁壁用ブロック91を左右に並べて設置する。各擁壁用ブロック91は、前側の表面板91aと、後側の控板91cと、それらの左右中間部どうしを連結した左右2つの繋ぎ板91bとを含み、コンクリートでプレキャストされている。
そして、各擁壁用ブロック91の内側にある中央空所S1や、左右に並ぶ各2つの擁壁用ブロック91どうしの間にある側部空所S2や、擁壁用ブロック91と法面8との間にある後方空所S3などに単粒度の砕石94を層状に詰めることで一の擁壁段90aを構築する。その擁壁段90aの上に同様に、図8a等に示すように次の擁壁段90bを法面8に沿って後退させて構築する。以下同様にそれを繰り返すことで、複数の擁壁段90a,90b,90c・・を法面8に沿って階段上に積み上げて複数段の擁壁90を構築する。
これらのとき、側部空所S2に砕石94を詰める前には、図7a等に示すように、左右に連なる各2つの表面板91aの後方に防護材92を設置する。その防護材92は、側面視でL字形のジオグリッド(高分子樹脂製の網状体)であり、詳しくは、左右に連なる表面板91aの後面にその相互間を跨いであてがわれる前面部92aと、その下端から後方に延びる底面部92bとを備えている。
この防護材92の機能及び目的は、表面板91aの裏側付近の砕石94の拘束を行いながら、万が一の砕石94の流出を防止することにある。すなわち、底面部92bの上に載る砕石94の重さと、防護材92と砕石94との摩擦、また、砕石94どうしの噛み合わせ効果により、拘束力が上がり、地震時に表面板91aどうしの間の目地が開きにくいという効果を発揮する。さらに、破壊的な地震によって擁壁用ブロック91が大きく揺すられ、万が一、図7bに示すように、目地が開いた際にも、側部空所S2内の砕石94が該目地から前方に流出するのが防護材92により防止される。
他方、左右に並ぶ各2つの控板91cの前方には、このような防護材が設置されていない。控板91cどうしの間には、構造上、砕石94の大きさ分以上の隙間があるが、後方空所S3には砕石40が充填されているため、この隙間から砕石94が後方に流出することは基本的には無いからである。
また、図11に示す従来例2(特許文献1の実施例4)の擁壁90’は、従来例1のL字形の防護材92をリング状の防護材93に代えたものである。詳しくは、そのリング状の防護材93は、前面部93aと底面部93bと後面部93cと天面部93dとを備え、それらで側部空所S2内の砕石40をリング状に拘束して、強化を図っている。
特許第4583365号
図7等に示す従来例1は、中央空所S1では、砕石94が擁壁用ブロック91の内面に強く押し付けられることで大きな摩擦が生じる。その摩擦は、強固でフレキシブルなものである。他方、側部空所S2では、控板91cどうしの間に隙間があるため、土圧(砕石圧)は、図8に矢印で示すように控板91cどうしの間から後方に逃げてしまう。そのため、側部空所S2で得られる擁壁用ブロック91の拘束力(摩擦力)は、中央空所S1で得られる拘束力に比べて小さい。
しかしながら、破壊的な地震等においても擁壁用ブロック91をずれにくくするためには、側部空所S2でも中央空所S1と同様に強固な拘束力が得られることが好ましい。なぜなら、左右に連なる擁壁用ブロック91どうしは金具などで緊結しない工法のため、破壊的な地震においては擁壁用ブロック91がずれる(変状する)おそれがあるからである。例えば、図9に示すように、背後から強力な荷重が加わった場合には、擁壁用ブロック91が前方にずれるおそれがある。
また、次に示す課題も考えられる。すなわち、後方空所S3には砕石40が充填されているので、基本的には上記のとおり、控板91cどうしの隙間から砕石94が後方に流出することはないが、それでもなお、背後の法面8が、破壊的な地震や長年の経年変化や圧縮沈下になどにより、図10に示すように陥没した場合には、後方空所S3に詰められている裏込め砕石94と共に、側部空所S2内の砕石94が、控板91cどうしの間から後方に流出する可能性がある。そして、そのような状況が生じると上段の擁壁用ブロック91の沈下や、擁壁用ブロック91の背面側への傾斜など、擁壁機能に大きな変状が生じる。
他方、図11に示す従来例2は、リング状の防護材93の後面部93cが、左右に並ぶ控板91cの前面にそれらの相互間を跨いであてがわれるため、側部空所S2内の砕石94が、控板91cどうしの間から後方に流出する心配はない。しかしながら、該リング状の防護材93の底面部93b及び天面部93dは、側部空所S2の前端(表面板91a)から後端(控板91c)にまで延びているため、擁壁用ブロック91の積み上げの際に、図11bに示すように、上下段の砕石94どうしの噛みあわせ部の縁を切る形になり、その影響で砕石94どうしの上下一体性と剛性とが低下して、側部空所S2での擁壁用ブロック91の拘束力に悪影響を及ぼす心配がある。特に、上段の防護材93の底面部93bと下段の防護材93の天面部93dとが、この図11bに示すように、上下に密着して二重に重なる場合には、顕著になると心配される。
そこで、側部空所での擁壁用ブロックの拘束力を、中央空所での拘束力と同様に強固にすることで、破壊的な地震等においても擁壁用ブロックをずれにくくすると共に、そのような地震等により擁壁の背後の法面が陥没した場合にも、側部空所内の砕石を控板どうしの間から後方に流出しにくくすることを、本発明の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の擁壁は次のように構成されている。すなわち、法面の前方に起立する表面板と、表面板の後方に離間して起立する控板と、表面板と控板との左右中間部どうしを連結した繋ぎ板とを含む擁壁用ブロックが、表面板どうしが左右に隣接し、控板どうしが左右に砕石の大きさ分よりも離間するように複数並べられている。そして、左右に連なる2つの表面板の後方に、前記砕石よりも小さい網目を備えた網状体である前側防護材が設置されている。その前側防護材は、両表面板の後面にそれらの相互間を跨いであてがわれる前面部を少なくとも備えている。そして、左右に並ぶ2つの控板の前方に、前記砕石よりも小さい網目を備えた網状体である後側防護材が設置されている。その後側防護材は、両控板の前面にそれらの相互間を跨いであてがわれる後面部を少なくとも備えている。そして、前側防護材の上部側の端と後側防護材の上部側の端との前後方向の離間距離は、表面板と控板との前後方向の離間距離の50〜100%である。そして、表面板と法面との間の空所に前記砕石が充填されている。
ここで、基本的には砕石が流出する心配のない控板どうしの間に後側防護材を設置するのは、左右に並ぶ擁壁用ブロックどうしの間に形成される側部空所内の土圧(砕石圧)が控板どうしの間から後方に逃げるのを後側防護材で防止することで、側部空所内の土圧による擁壁用ブロックの拘束力を従来例1よりも高めることができるからである。また、前後の防護材の上部側の端が前後に離間しているのは、該離間している部分で砕石どうしが、前後の防護材の上部側(天面部等)を挟まずに上下に噛み合うことで、上下の噛み合わせや剛性が従来例2よりも高まり、この点でも、側部空所での擁壁用ブロックの拘束力が高まるからである。
なお、前側防護材の下部側の端と後側防護材の下部側の端との前後方向の離間距離は、特に限定されないが、表面板と控板との前後方向の離間距離の0〜100%である態様を例示する。
本発明によれば、上記の通り、側部空所での擁壁用ブロックの拘束力を高めることができるので、破壊的な地震等においても擁壁用ブロックがずれにくい。さらに、そのような地震等により擁壁の背後の法面が陥没した場合にも、側部空所内の砕石が控板どうしの間から後方に流出するのが、後側防護材により防止される。
aは実施例1の擁壁を示す斜視図、bはその擁壁の防護材を示す斜視図、cはその防護材の底面部及びその下方に砕石を示す斜視図である。 aはその擁壁の側面断面図(bに示すIIa−IIa断面図)、bは平面断面図(aに示すIIb−IIb断面図)である。 その擁壁に背後から強力な荷重が加わったときを示す平面断面図である。 aはその擁壁の背後の法面が陥没したときを示す側面断面図(bに示すIVa−IVa断面図)、bは平面断面図(aに示すIVb−IVb断面図)である。 aは実施例2の擁壁を示す側面断面図、bは実施例3の擁壁を示す側面断面図である。 aは実施例4の擁壁を示す側面断面図、bは実施例5の擁壁を示す側面断面図である。 aは従来例1の擁壁を示す斜視図、bはその擁壁の表面板どうしの間に隙間ができたときを示す斜視図である。 aはその擁壁の側面断面図(bに示すVIIIa−VIIIa断面図)、bは平面断面図(aに示すVIIIb−VIIIb断面図)である。 その擁壁に背後から強力な荷重が加わったときを示す平面断面図である。 aはその擁壁の背後の法面が陥没したときを示す側面断面図(bに示すXa−Xa断面図)、bは平面断面図(aに示すXb−Xb断面図)である。 aは従来例2の擁壁を示す斜視図、bはその擁壁を示す側面断面図である。
前後の防護材の上部は、特に限定されないが、次のように構成されていることが好ましい。すなわち、前側防護材は、前面部の上端から後方に延びる天面部等を備えず、前面部の上端が、前側防護材の上部側の端であることが好ましい。そして、後側防護材は、後面部の上端から前方に延びる天面部等を備えず、後面部の上端が、後側防護材の上部側の端であることが好ましい。前後の防護材の上部側の端が、前後方向に大きく(表面板と控板との前後方向の離間距離の略100%)離間し、それにより、砕石どうしの上下の噛み合わせが強くなるからである。
前後の防護材の下部は、特に限定されないが、次のように構成されていることが好ましい。すなわち、前側防護材は、前面部の下端から後方に延びる前側底面部を備えていることが好ましい。また、後側防護材は、後面部の下端から前方に延びる後側底面部を備えていることが好ましい。
前後の各底面部の上に載る砕石の重みや摩擦で、前後の各防護材が拘束されてずれにくくなると共に、側部空所内の前部や後部にある砕石の前後左右の拘束力も、前後の底面部により高まり、さらに、前後の防護材で囲まれた部分での砕石どうしの噛み合わせも、強固になるからである。
そして、前側底面部の後端が、前側防護材の下部側の端であり、後側底面部の前端が、後側防護材の下部側の端である場合、前側防護材の下部側の端と後側防護材の下部側の端との前後方向の離間距離は、表面板と控板との前後方向の離間距離の30〜80%であることが好ましい。該30%以上の離間距離で離間している部分で、砕石どうしが前後の防護材の下部側(底面部)を挟まずに上下に噛み合うことで、上下の噛み合わせや剛性が高まるからである。他方、80%以下なのは、それを超えると、前後の底面部の前後長さの合計が、表面板と控板との離間距離の20%未満になり、防護材や砕石の拘束力が十分に得られないおそれがあるからである。
この擁壁の構築方法は、特に限定されないが、次のものを例示する。すなわち、擁壁用ブロックを設置するブロック設置工程と、ブロック設置工程の後に、前側防護材及び後側防護材を設置する防護材設置工程と、防護材設置工程の後に、前記空所に砕石を充填する砕石充填工程とを含んでいる。
次に本発明の実施例を図面を参照に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
図1〜図4に示す実施例1の擁壁1は、法面8に沿って階段状に積み上げられた複数の擁壁段1a,1b,1c・・からなる。そして、各擁壁段は、図1等に示すように、複数の擁壁用ブロック10と、複数の前側防護材20及び後側防護材30と、無数の砕石40とを含み構成されている。
[擁壁用ブロック10]
擁壁用ブロック10は、左右に並べられている。各擁壁用ブロック10は、表面板11と控板17と2つの繋ぎ板14とを含み、コンクリートでプレキャストされている。この擁壁用ブロック10の重さは、約1300kgである。
表面板11は、法面8の前方に起立した長方形の板状部である。この表面板11の寸法は、左右長さが約2000mmで、上下長さが約1000mmで、前後厚さが約120mmである。この表面板11の表面には、例えば石垣模様、溝模様等の模様が設けられている。そして、この表面板11の左右両側面の上下両端部には、凹部12が形成されている。そして、左右に並ぶ各2つの擁壁用ブロック10の表面板11どうしは、左右に隣接している。そして、左右に隣接する表面板11の各2つの凹部12によって、スリットが形成されている。
控板17は、表面板11の後方に離間して起立した長方形の板状部である。この控板17の寸法は、左右長さが約1860mmで、上下長さが約500mmで、前後厚さが約120mmである。そして、左右に並ぶ各2つの擁壁用ブロック10の控板17どうしは、左右に約140mm離間している。
左右の各繋ぎ板14は、表面板11と控板17との左右中間部どうしを連結した板状部である。各繋ぎ板14の寸法は、前後長さが約1000mm(よって、表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dは約1000mm)で、上下長さが約500mmで、左右厚さが約100mmである。但し、各繋ぎ板14の前部には、補強部15が上方に突出形成されており、該前部での上下長さは、該補強部15によって約900mmに増加している。
[前側防護材20]
前側防護材20は、左右に連なる2つの表面板11の相互間(目地)に地震等により隙間ができた際に該隙間から砕石40が前方に流出するのを防止するためのものである。この前側防護材20は、高分子樹脂製の網状体であるジオグリッドを側面視でL字形に曲げて形成している。この前側防護材20の網目の大きさは、図1cに示すように、砕石40が突出可能な大きさ、よって、該網目を通して砕石40が噛み合い得る大きさとなっている。詳しくは、該網目の大きさは、砕石40の平均的な大きさ(約35mm)の約40%にあたる、約14mmとなっている。この前側防護材20は、左右に連なる各2つの表面板11の後方に設置されており、図1b等に示すように、前面部21と前側底面部24とを備えている。
前面部21は、両表面板11の後面にそれらの相互間を跨いであてがわれる長方形の部位である。この前面部21の寸法は、左右長さが約500mmで、上下長さが約980mmで、前後厚さが2〜5mm程である。また、前側底面部24は、前面部21の下端から後方に延びる長方形の部位である。この前側底面部24の寸法は、左右長さが約500mmで、前後長さが約270mmで、上下厚さが2〜5mm程である。この前側防護材20は、前面部21の上下の端を表面板11の上下の端に合わせ、且つ前面部21の左右中央を両表面板11の相互間(目地)に合わせて設置される。
[後側防護材30]
後側防護材30は、高分子樹脂製の網状体であるジオグリッドを側面視でL字形に曲げて形成している。この後側防護材30の網目の大きさは、前側防護材20と同様、約14mmとなっている。この後側防護材30は、左右に並ぶ各2つの控板17の前方に設置されており、図1b等に示すように、後面部31と後側底面部34とを備えている。
後面部31は、両控板17の前面にそれらの相互間を跨いであてがわれる長方形の部位である。この後面部31の寸法は、左右長さが約500mmで、上下長さが約480mmで、前後厚さが2〜5mm程である。また、後側底面部34は、後面部31の下端から前方に延びる長方形の部位である。この後側底面部34の寸法は、左右長さが約500mmで、前後長さが約150mmで、上下厚さが2〜5mm程である。この後側防護材30は、後面部31の上下の端を控板17の上下の端に合わせ、且つ後面部31の左右中央を両控板17の相互間の左右中央に合わせて設置される。
上記の構成及び寸法のため、図2aに示す離間距離Da,Dbは、次の通りである。すなわち、前側防護材20の上部側の端20a(前面部21の上端)と後側防護材30の上部側の端30a(後面部31の上端)との前後方向の離間距離Daは、約1000mm(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの略100%)である。そして、前側防護材20の下部側の端20b(前側底面部24の後端)と後側防護材30の下部側の端30b(後側底面部34の前端)との前後方向の離間距離Dbは、約580mm(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの約58%)である。
[砕石40]
砕石40は、30〜40mmの範囲内の大きさの砕石(いわゆる3号の単粒度砕石)であり、表面板11と法面8との間の空所Sに充填されている。前記空所Sは、中央空所S1と側部空所S2と後方空所S3とを含む。中央空所S1は、各擁壁用ブロック10の内側、すなわち、表面板11と控板17と左右2つの繋ぎ板14とで囲まれた部分に形成された空所である。また、側部空所S2は、左右に並ぶ各2つの擁壁用ブロック10どうしの間、すなわち、左右2つの表面板11と左右2つの控板17と左右2つの繋ぎ板14とで囲まれた部分に形成された空所である。また、後方空所S3は、控板17と法面8との間に形成された空所である。
[擁壁の構築方法]
以上に示した擁壁1は、次のように構築する。すなわち、まず最初に一番下の擁壁段1aを構築する。次に、その擁壁段1aの上に次の擁壁段1bを法面8に沿って後退させて構築する。以下同様にそれを繰り返すことで複数の擁壁段1a,1b,1c・・を法面8に沿って階段状に積み上げる。そして、各擁壁段1a,1b,1c・・の構築方法は、ブロック設置工程と、防護材設置工程と、砕石充填工程とを含んでいる。
ブロック設置工程は、擁壁用ブロック10を設置する工程である。具体的には、砕石40の上に、擁壁用ブロック10を左右に連ねて並べることで行う。なお、ここでいう砕石40は、一番下の擁壁段1aの場合は、法面8の手前に予め溝を設けて敷いておく砕石40であり、それ以外の擁壁段1b,1c・・の場合は、一つ下の擁壁段の砕石40である。
防護材設置工程は、ブロック設置工程の後に、前側防護材20及び後側防護材30を設置する工程である。具体的には、前側防護材20の設置は、左右に連なる2つの表面板11の後面に前面部21をあてがうと共に、その縁部分を該後面に粘着テープtで貼り付けて仮止めすることで行う。また、後側防護材30の設置は、左右に並ぶ2つの控板17の前面に後面部31をあてがうと共に、その縁部分を該前面に粘着テープtで貼り付けて仮止めすることで行う。
砕石充填工程は、防護材設置工程の後に、前記空所Sに砕石40を充填する工程である。これにより、前側防護材20の前面部21は、側部空所S2に充填された砕石40からの圧力によって、表面板11の後面に押圧され該後面に摩擦で結合する。また、後側防護材30の後面部31は、側部空所S2に充填された砕石40からの圧力によって、控板17の前面に押圧され該前面に摩擦で結合する共に、側部空所S2内の砕石40と後方空所S3内の砕石40とが、後面部31の左右中央部の網目から突出して互いに噛み合うことで、それら砕石40の相互間に拘束される。さらに、前後の底面部24,34は、それらの上下にある砕石40が網目から突出して互いに噛み合うことによって、それら砕石40の相互間に拘束される。
本実施例1によれば、次の効果を得ることができる。
[A]図2に示すように、側部空所S2内の土圧(砕石圧)が控板17どうしの間から後方に逃げるのを後側防護材30で防止することで、該土圧による擁壁用ブロック10の拘束力を、図8に示す従来例1(擁壁用ブロック91の拘束力)に比べて高めることができる。さらに、図2に示すように、前後の防護材20,30で砕石40を囲むことでも、砕石40どうしの噛み合わせを強固にして、側部空所S2での擁壁用ブロック10の拘束力を高めることができる。さらに、前後の防護材20,30の上部側の端20a,30aは、前後方向に離間し、また、下部側の端20b,20bも前後方向に離間しているので、該離間している部分で砕石40どうしが防護材20,30を挟まずに直接上下に噛み合うことで、上下の噛み合わせや剛性が、図11に示す従来例2に比べて高まる。そのため、この点でも、側部空所S2での擁壁用ブロック10の拘束力が高まる。よって、以上の作用から、擁壁1は背後等からの荷重に対してフレキシブルに強く抵抗しやすくなる。よって、例えば、図3に示すように、背後から強力な荷重が加わった場合にも、擁壁用ブロック10が、例えば図9に示す従来例1(擁壁用ブロック91)に比べて前方にずれにくく、ずれ幅Gが小さくなる。
[B]図4に示すように、破壊的な地震等により擁壁1の背後の法面8が陥没した場合にも、側部空所S2内の砕石40が控板17どうしの間から後方に流出するのが、後側防護材30により防止される。よって、図10に示す従来例1(砕石94)のように流出する心配がない。そのため、上の段の擁壁用ブロック10の安定も保たれる。そのため、突然の陥没に対して、擁壁用ブロック10の状態や擁壁1としての機能を維持することができる。そのため、耐震性が高まり安定した擁壁1となる。
図5aに示す実施例2の擁壁2は、実施例1と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、前側防護材20は、前面部21のみからなり、前側底面部24を備えていない。また、後側防護材30は、後面部31のみからなり、後側底面部34を備えていない。よって、前側防護材20の下部側の端20b(前面部21の下端)と、後側防護材30の下部側の端30b(後面部31の下端)との前後方向の離間距離Dbは、約1000mm(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの略100%)である。本実施例2でも、上記のA,Bの効果を得ることができる。
図5bに示す実施例3の擁壁3は、実施例1と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、前側防護材20は、前面部21の上端から後方に延びる天面部25を備えている。そして、前側防護材20の上部側の端20a(天面部25の後端)と後側防護材30の上部側の端30a(後面部31の上端)との前後方向の離間距離Daは、500mm以上(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの50%以上)である。本実施例3でも、上記のA,Bの効果を得ることができる。
図6aに示す実施例4の擁壁4は、実施例1と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、前側底面部24と後側底面部34とが前後方向に繋がって一体になっている。よって、前側防護材20の下部側の端と後側防護材30の下部側の端との前後方向の離間距離Dbは、0mm(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの0%)である。本実施例4によれば、上記Aの効果のうち、前後の防護材20,30の下部側の端が前後方向に離間していることによる効果は得られないが、上部側の端20a,30bは前後方向に離間しているので、少なくとも図11bに示す従来例2ように、上段の防護材の底面部93bと下段の防護材の天面部93dとが、上下に密着して二重に重なる心配はない。よって、砕石40どうしの上下の噛み合わせは、従来例2に比べて高まる。よって、実施例4でも、上記のA,Bと同様の効果が期待できる。
図6bに示す実施例5の擁壁5は、実施例4と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、前側防護材20は、前面部21の上端から後方に延びる天面部25を備えている。そして、前側防護材20の上部側の端20a(天面部25の後端)と後側防護材30の上部側の端30a(後面部31の上端)との前後方向の離間距離Daは、500mm以上(表面板11と控板17との前後方向の離間距離Dの50%以上)である。本実施例5でも、実施例4と同様の効果を得ることができる。
1 擁壁(実施例1)
2 擁壁(実施例2)
3 擁壁(実施例3)
4 擁壁(実施例4)
5 擁壁(実施例5)
8 法面
10 擁壁用ブロック
11 表面板
14 繋ぎ板
17 控板
20 前側防護材
20a 前側防護材の上部側の端
20b 前側防護材の下部側の端
21 前面部
24 前側底面部
30 後側防護材
30a 前側防護材の上部側の端
30b 前側防護材の下部側の端
31 後面部
34 後側底面部
40 砕石
S 空所
D 表面板と控板との前後方向の離間距離
Da 前後の防護材の上部側の端の前後方向の離間距離
Db 前後の防護材の下部側の端の前後方向の離間距離

Claims (5)

  1. 法面(8)の前方に起立する表面板(11)と、表面板の後方に離間して起立する控板(17)と、表面板(11)と控板(17)との左右中間部どうしを連結した繋ぎ板(14)とを含む擁壁用ブロック(10)が、表面板(11)どうしが左右に隣接し、控板(17)どうしが左右に砕石(40)の大きさ分よりも離間するように複数並べられ、
    左右に連なる2つの表面板(11)の後方に、前記砕石(40)よりも小さい網目を備えた網状体である前側防護材(20)が設置され、前側防護材(20)は、両表面板(11)の後面にそれらの相互間を跨いであてがわれる前面部(21)を少なくとも備え、
    左右に並ぶ2つの控板(17)の前方に、前記砕石(40)よりも小さい網目を備えた網状体である後側防護材(30)が設置され、後側防護材(30)は、両控板(17)の前面にそれらの相互間を跨いであてがわれる後面部(31)を少なくとも備え、
    前側防護材(20)の上部側の端(20a)と後側防護材(30)の上部側の端(30a)との前後方向の離間距離(Da)は、表面板(11)と控板(17)との前後方向の離間距離(D)の50〜100%であり、
    表面板(11)と法面(8)との間の空所(S)に前記砕石(40)が充填されている擁壁。
  2. 前側防護材(20)の下部側の端(20b)と後側防護材(30)の下部側の端(30b)との前後方向の離間距離(Db)は、表面板(11)と控板(17)との前後方向の離間距離(D)の0〜100%である請求項1記載の擁壁。
  3. 前記前面部(21)の上端が、前側防護材(20)の上部側の端(20a)であり、
    前記後面部(31)の上端が、後側防護材(30)の上部側の端(30a)である請求項1又は2記載の擁壁。
  4. 前側防護材(20)は、前面部(21)の下端から後方に延びる前側底面部(24)を備え、前側底面部(24)の後端が、前側防護材(20)の下部側の端(20b)であり、
    後側防護材(30)は、後面部(31)の下端から前方に延びる後側底面部(34)を備え、後側底面部(34)の前端が、後側防護材(30)の下部側の端(30b)であり、
    前側防護材(20)の下部側の端(20b)と後側防護材(30)の下部側の端(30b)との前後方向の離間距離(Db)は、表面板(11)と控板(17)との前後方向の離間距離(D)の30〜80%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の擁壁。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の擁壁の構築方法であって、
    擁壁用ブロック(10)を設置するブロック設置工程と、
    ブロック設置工程の後に、前側防護材(20)及び後側防護材(30)を設置する防護材設置工程と、
    防護材設置工程の後に、前記空所(S)に前記砕石(40)を充填する砕石充填工程とを含む擁壁の構築方法。
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