JP7008662B2 - 擁壁 - Google Patents

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本発明は、擁壁用ブロックを用いて構築された擁壁に関する。
下記特許文献1に記載された擁壁は、擁壁用ブロック(プレキャストコンクリートブロック)を用いて構築されたものであり、特に、上下に開口した箱型形状の擁壁用ブロックを用いた、いわゆる箱型擁壁とされている。下記特許文献1に記載された箱型擁壁は、それを構成する複数の擁壁用ブロック同士が連結されずに構築されるものであるため、地震時の土圧に対して擁壁用ブロックが微小に挙動することで、発生する応力を減少させ、擁壁用ブロックのひび割れ、擁壁の崩壊を防止することができるものとなっている。また、地盤反力が小さく、地盤の圧密沈下や地震時の地盤変状に伴う擁壁の不同沈下にも追従性を発揮して、安定性の高いものとなっている。なお、上記特許文献1に記載の擁壁に用いられている擁壁用ブロックは、擁壁の表面側に配される表面壁と、表面壁から後方に離間して設けられた控壁と、互いに側方に間隔をおいて配され、それぞれが表面壁と控壁とを繋ぐ一対の繋ぎ壁と、を備えたものとされて、箱型形状とされている。
特開2017-95898号公報
上記特許文献1に記載の擁壁を含め、擁壁は、一般的に、耐震性・安定性の向上が望まれる。特に、上記特許文献1に記載の擁壁のように、擁壁用ブロックを階段状に積んだ擁壁は、地震時の揺れや大量の湧水を伴う土圧等による背面側からの推力に対して、ブロックを変状させないようにする必要があり、未だ改良の余地が残されている。
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、背面側からの推力に対してブロックの変状を抑えることが可能な擁壁を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の擁壁は、
法面の前方に配されてその法面を補強する擁壁であって、
立設されて当該擁壁の表面を構成する表面壁と、それぞれが前記表面壁の背面側から延び出すように形成され、互いに水平方向に間隔をおいて立設された一対の延出壁と、を備える擁壁用ブロックが用いられ、
法面の前方において前記表面壁が連なるようにして水平方向に並んで設置された複数の前記擁壁用ブロックと、それら複数の前記擁壁用ブロックの前記表面壁と法面との間に充填された単粒度砕石と、含んで当該擁壁の1つの段が形成され、
上段が下段に対して法面側にずらされつつ複数段積み上げられることで構築されたことを特徴とする。
この構成の擁壁に用いられる擁壁用ブロック(以下、単に「ブロック」と呼ぶ場合がある)は、箱型擁壁に用いられるブロックに対して、表面壁から背面側(後側)に控えた位置に立設された壁(先に説明した控壁)が存在しない形状のものとされている。つまり、このような形状とされたブロックを用いた上記構成の擁壁は、各ブロックが備える一対の延出壁の間に充填された中詰材、および、隣接するブロック間(詳しく言えば、あるブロックの延出壁と、隣接するブロックの延出壁との間)に充填された中詰材と、ブロックと法面との間に充填された裏込材とが、箱型擁壁のようにブロックの控壁によって前後方向(表面壁に直交する方向)において仕切られておらず、前後方向に連なった構造となっている。したがって、当該擁壁に対する背面側からの推力は、単粒度砕石同士の噛み合いによって様々な方向に分散するが、この構成の擁壁は、裏込材だけなく中詰材によっても、背面側からの推力を分散させることができるため、表面壁に作用する表面壁に直交する方向の力を効果的に抑制することができる。
また、この構成の擁壁においては、一対の延出壁の両面の各々と、それに接する単粒度砕石との間で、摩擦抵抗が働くことになる。特に、地震によって生じる慣性力によって比重の大きなブロックが表面側に移動しようとする(いわゆる引き抜きが発生しようとする)が、一対の延出壁と単粒度砕石との摩擦によって、そのブロックの表面側(前側)への移動を効果的に抑制することができる。換言すれば、この構成の擁壁は、一対の延出壁と単粒度砕石との間に生じる引き抜きに対する摩擦力によって、ブロックと充填材との一体化が図られたものとなっているのである。
さらに、中詰材および裏込材は、単粒度砕石であるため、背面側からの推力を比較的均等に分散させ、表面壁に作用する表面壁に直交する方向の力を効果的に減衰抑制することができる。また、単粒度砕石からなる中詰材および裏込材によって、湧水を擁壁外へ容易に流出させることができるため、擁壁に作用する背面側からの推力を効果的に減衰抑制することができる。
さらにまた、この構成の擁壁は、箱型擁壁と比較すると、控壁が存在しない形状のブロックとなっており、中詰材と裏込材との連続性や、段と段との間の充填材の連続性が良いため、ねじれに強く、安定性の高いものとなる。
上記構成において、前記一対の延出壁の各々は、背面側の端部から側方に張り出したフランジ部が形成されている構成とすることができる。
この構成の擁壁においては、一対の延出壁の各々に前後方向に対して交差する方向にフランジ部が張り出しているため、ブロックの前後方向への移動、特に、ブロックの前方向への移動に対して、アンカー効果が生じることになる。つまり、この構成の擁壁は、ブロックの変状をより効果的に抑えることができ、より安定性の高いものとなる。
また、上記構成において、前記フランジ部は、張り出した寸法が単粒度砕石の粒径と略同じ寸法とされた構成とすることができる。
フランジ部が張り出しすぎると、そのフランジ部によって中詰材と裏込材との間が仕切られてしまい、それら中詰材と裏込材との連続性が低くなってしまう。この構成の擁壁は、フランジ部が単粒度砕石と略同じ寸法(例えば、±10mm程度)とされているため、中詰材と裏込材との連続性は確保しつつ、ブロックにアンカー効果を生じさせることができる。
また、上記構成において、前記単粒度砕石は、粒径が30mm以上のものとすることができる。
この構成の擁壁は、単粒度砕石が比較的大きな粒径のものが採用されており、高い排水性および高い衝撃吸収性を有するものとなる。なお、粒径が大きくなりすぎると、背面側からの衝撃の分散性が低くなるため、例えば、単粒度砕石は粒径が50mm以下であることが望ましい。つまり、この構成の擁壁には、JIS・道路用砕石S-40の単粒度砕石が好適である。
また、上記構成において、前記擁壁用ブロックは、前記一対の延出壁の各々の上端に、表面側の部分より高さが低くされた段差部が形成されており、上段の前記擁壁用ブロックは、下段の前記擁壁用ブロックにおける前記段差部に載せ置かれるように構成することができる。
例えば、豪雨等によって擁壁の背面に、大量の雨水や湧水が浸入する場合がある。そのような場合、各ブロックには、浮力が働き、水平方向に移動しやすい状況となる。この構成の擁壁は、そのような場合であっても、各ブロックが下段のブロックに当接して、詳しく言えば、下段ブロック延出壁における、段差部の天端とその段差部より表面側の部分の天端とを繋いで背面側(後方)を向く面に当接して、ブロックの表面側(前側)への移動が防止される。したがって、この構成の擁壁は、ブロックの変状を防止して、安定性の高いものとなる。
本発明によれば、背面側からの推力に対してブロックの変状を抑えることが可能な擁壁を提供することができる。
本発明の第1実施例の擁壁の外観図である。 本発明の第1実施例の擁壁の側面断面図である。 第1実施例の擁壁に用いられる擁壁用ブロックの側面断面図である。 第1実施例の擁壁に用いられる擁壁用ブロックの平面図である。 本発明の第1実施例の擁壁の1段目を拡大して示す側面断面図である。 本発明の第2実施例の擁壁の側面断面図である。 第2実施例の擁壁に用いられる擁壁用ブロックの側面断面図である。 第2実施例の擁壁に用いられる擁壁用ブロックの平面図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
本発明の第1実施例の擁壁10は、図1および図2に示すように、法面12に沿って階段状に構築されたもの、詳しく言えば、上段が下段に対して法面12側にずらされて複数段(本実施例においては5段)積み上げられて構築されたものである。そして、本実施例の擁壁10の各段10a,10b,10c,10d,10eは、おおまかには、法面12の前方に配された擁壁用ブロック20と、充填材(中詰材および裏込材)としての単粒度砕石22とからなる。なお、単粒度砕石22は、30mm以上のものが望ましく、本実施例においてはS-40とされている。そして、各段10a,10b,10c,10d,10eは、擁壁用ブロック20が水平方向に複数並べられ、それら複数の擁壁用ブロック20と法面12との間に、単粒度砕石22が充填されることによって形成される。本実施例の擁壁10の構築方法については、後に説明するものとし、先に、本実施例の擁壁10に用いられる擁壁用ブロック20について、詳しく説明する。なお、以下の説明において、擁壁10の表面に直交する方向を前後方向と、擁壁10の擁壁用ブロック20が並べられている方向を左右方向と、それぞれ呼ぶ場合がある。
擁壁用ブロック20は、プレキャストコンクリートであり、図3および図4に示すように、立設されて擁壁10の表面を構成する表面壁30と、それぞれが表面壁30の背面側から延び出すように形成され、互いに水平方向において間隔をおいて立設された一対の延出壁32と、を備えている。表面壁30は、概して長方形の板状(矩形状)のものとされており、表面30aが意匠面とされて環境や景観に合わせた模様が施されたものとなっている。ちなみに、この表面壁30の寸法は、左右方向の幅が約2000mm、上下方向の幅(高さ)が約850mm、前後方向の厚みが約130mmとされている。また、表面30aには、上端から約750mmの高さ範囲に意匠が施され、下端から約100mmの高さ範囲には意匠が施されていない。
一対の延出壁32の各々は、表面壁30に対して後方に向かって垂直に延び出すように形成されている。つまり、一対の延出壁32の各々は、それぞれ独立して形成され、後端や下端等の全ての箇所において、互いに連結されない形状とされている。一対の延出壁32の各々は、左右方向の厚みが約150mmで、表面壁30の表面30aから後方に約1250mmの位置まで延びており、前後方向の長さが約1120mmとされている。
一対の延出壁32の各々は、側面視で、段付き形状とされている。詳しく言えば、各延出壁32は、表面壁30から連なる前方側の前方部40が表面壁30と同じ高さとされ、後方側の後方部42が、前方部40より低い約500mmとされている。また、それら前方部40と後方部42との間には、それらの中間の高さとされた段差部44が形成されている。具体的には、段差部44は、高さが前方部40の高さより100mm低くされている。なお、段差部44の前後方向の位置は、擁壁10の勾配によって異なり、図3に実線で示すものが、図2に示した5分勾配の擁壁10に用いられるものとなっている。ちなみに、二点鎖線Lで示した形状のものが、3分勾配の擁壁に用いられるものであり、二点鎖線Lで示した形状のものが、1割勾配の擁壁に用いられるものである。
さらに、各延出壁32には、図4に示すように、後端に左右方向に張り出したフランジ部50が形成されている。そのフランジ部50は、延出壁32から張り出した寸法が、本擁壁10に用いられる単粒度砕石22の粒径(40mm)と略同じ寸法(本実施例においては50mm)とされている。
本実施例の擁壁10は、上述した擁壁用ブロック20を用いて構築されている。まず、法面12の直ぐ前方に、法面12の左右方向に沿って溝14が掘削され、図5に拡大して示すように、その溝14の中に、基礎60が敷設される。基礎60は、コンクリート基礎であり、砕石(例えば、クラッシャランC-40やRC-40)62とその上層に打設されたコンクリート64とからなる。
この基礎60の上には、最下段(1段目)10aを構成する複数の擁壁用ブロック20が、表面壁30が連なるようにして左右(水平)に並べて据え付けられている。最下段10aには、暗渠70が設置される。暗渠70は、複数の擁壁用ブロック20の後方にそれら複数のブロック20に沿って延設された横断パイプ72と、その横断パイプ72から分岐するとともに、表面壁30を貫通して擁壁用ブロック20の前方に延び出された縦断パイプ74とからなる。なお、縦断パイプ74は、横断パイプ72の延設方向において所定間隔(例えば10m)をおいて設けられ、擁壁10の外部に設けられた排水路に接続されている。そして、擁壁用ブロック20と法面12との間、詳しく言えば、擁壁用ブロック20の表面壁30との法面12との間に、充填材である単粒度砕石22が、充填・転圧され、一対の延出壁32の段差部44の高さに締め固められている。こうして、1段目10aが形成される。
次いで、上記1段目10aの上に、2段目10bを構成する複数の擁壁用ブロック20が、1段目10aの擁壁用ブロック20より後方側に後退させた位置において、左右方向に並べて据え付けられる。なお、上記1段目10aを構成する擁壁用ブロック20における一対の延出壁32の上端に、2段目10bの擁壁用ブロック20が載せ置かれるように据え付けられる。詳しく言えば、擁壁用ブロック20における段差部44の上端に、2段目10bの擁壁用ブロック20における表面壁30の下端が接する状態で、その2段目10bの擁壁用ブロック20が据え付けられるのである。また、先にも説明したように、下段に対する上段の擁壁用ブロック20の前後方向における位置は、下段の擁壁用ブロック20の段差部44によって規定されており、前方部40の天端と段差部44の天端とを結ぶ後方(背面側)を向く面である連結面46(正確には、その連結面46の下端)に接する状態で、2段目10bの擁壁用ブロック20が据え付けられる。そのような構造により、本擁壁10は、設計勾配を容易に実現することができ、施工作業の簡素化が図られている。そして、1段目10aと同様に、単粒度砕石22の充填・転圧が行われ、2段目10bが形成される。
そして、上記2段目10bの上に3段目10c以降が順次2段目10bと同様に積み上げられて、複数段(例えば4段~30段、本実施例においては5段)よりなる本実施例の擁壁10が構築されている。なお、先に説明したように、段差部44の前後方向における位置が異なるものを用いれば、勾配が3分から1割程度までの擁壁を構築することができる。また、勾配を段の途中で変化させた擁壁や、勾配を徐々に変化させた擁壁(石垣勾配の擁壁)を構築することもできる。また、本擁壁10が構築される法面12は、盛土であっても切土であってもよい。ただし、例えば片切・片盛土における盛土部分のように、地山に水が浸入しやすい箇所の補強には、排水性の高い本擁壁10が好適である。
ちなみに、本実施例の擁壁用ブロックを製造するための型枠を、例えば段差部を成形する部分をアタッチメント化して、段差部の成形位置を変更可能な構成のものとすることで、段差部の位置が異なる擁壁用ブロック、換言すれば、3分から1割の勾配の擁壁を構築するための擁壁用ブロックを容易に製造することが可能である。
以上のように構築された本実施例の擁壁10は、擁壁用ブロック20が、箱型擁壁に用いられるブロックのように、表面壁から背面側(後側)に控えた位置に立設された控壁が存在しない形状のものとされている。つまり、前述の擁壁用ブロック20を用いた本擁壁10は、各擁壁用ブロック20が備える一対の延出壁32の間に充填された中詰材と裏込材との間、および、隣接する擁壁用ブロック20間(詳しく言えば、ある擁壁用ブロック20の延出壁32と、隣接する擁壁用ブロック20の延出壁32との間)に充填された中詰材と裏込材との間が、箱型擁壁のようにブロックの控壁によって前後方向(表面壁に直交する方向)において仕切られておらず、中詰材と裏込材とが前後方向に連なった構造となっている。したがって、背面側からの推力は、単粒度砕石22同士の噛み合いによって様々な方向に分散するが、本擁壁10は、裏込材だけなく中詰材によっても、背面側からの推力を分散させることができるため、表面壁30に作用する前向きの力を効果的に減衰抑制することができる。
また、本擁壁10においては、一対の延出壁32の両面の各々と、それに接する単粒度砕石22との間で、摩擦抵抗が働くことになる。特に、地震によって生じる慣性力によって比重の大きな擁壁用ブロック20が前側に移動しようとする(いわゆる引き抜きが発生しようとする)が、一対の延出壁32と単粒度砕石22との摩擦によって、その擁壁用ブロック20の前向きの移動を効果的に抑制することができる。換言すれば、本擁壁10は、一対の延出壁32と単粒度砕石22との間に生じる摩擦力によって、擁壁用ブロック20と充填材(単粒度砕石22)との一体化が図られたものとなっているのである。
さらに、中詰材および裏込材のすべてが、単粒度砕石22とされているため、背面側からの推力を比較的均等に分散させ、表面壁30に作用する前向きの力を効果的に抑制することができる。また、単粒度砕石22からなる中詰材および裏込材によって、湧水を本擁壁10の外へ容易に流出させることができるため、本擁壁10に作用する背面側からの推力を効果的に減少させることができる。
また、本擁壁10は、一対の延出壁32の各々が、背面側の端部から側方に張り出したフランジ部50が形成されたものとなっている。そのような構成により、本擁壁10においては、そのフランジ部50の存在によって、擁壁用ブロック20の前後方向への移動、特に、擁壁用ブロック20の前方向への移動に対して、アンカー効果が生じることになる。つまり、本擁壁10は、そのアンカー効果によって、擁壁用ブロック20の変状をより効果的に抑えることができ、より安定性の高いものとなる。なお、フランジ部50は、張り出した寸法(50mm)が単粒度砕石22の粒径(40mm)と略同じ寸法とされているため、中詰材と裏込材との連続性は確保しつつ、アンカー効果を生じさせることができる。
第2実施例の擁壁100を図6に示す。第2実施例の擁壁100は、第1実施例の擁壁10が用いられた法面12より、勾配の緩い法面を補強するためのものであり、具体的には、1割を超え2割程度の勾配までの法面を補強可能なものである。図6に示した本実施例の擁壁100は、2割勾配の法面102に対して構築されたものとなっている。
第2実施例の擁壁100は、第1実施例の擁壁10とほぼ同様の構成であり、複数の擁壁用ブロック110と、充填材としての単粒度砕石22と、からなる。ただし、本擁壁100を構成する擁壁用ブロック110の形状が、第1実施例における擁壁用ブロック20とは異なるものとなっている。図7および図8に示すように、第2実施例の擁壁100に用いられる擁壁用ブロック110は、第1実施例における擁壁用ブロック20と同様に、表面壁120と一対の延出壁122とを備えるものとされており、表面壁120のサイズは同じであるが、一対の延出壁122のサイズが異なる。具体的には、第2実施例における擁壁用ブロック110は、一対の延出壁122の前後方向の長さが、第1実施例における擁壁用ブロック20より長く、表面壁120の表面から後方に約2000mmの位置まで延びている。
また、一対の延出壁122の各々には、第1実施例と同様に、上段の擁壁用ブロック110を連結するための段差部130が形成されている。なお、その段差部130は、法面102の勾配(緩勾配)に対応して、一対の延出壁122における比較的後方側に軽声されている。ちなみに、図7に実線で示すものが、図6に示した2割勾配の擁壁100に用いられるものとなっており、二点鎖線Lで示した形状のものが、1割5分勾配の擁壁に用いられるものである。
つまり、第1実施例と同様に、第2実施例の擁壁用ブロックを製造するための型枠を、段差部を成形する部分をアタッチメント化して、段差部の成形位置を変更可能な構成のものとすることで、段差部の位置が異なる擁壁用ブロック、換言すれば、1割から2割の勾配の擁壁を構築するための擁壁用ブロックを容易に製造することが可能である。
さて、近年では、異常気象と呼ばれ、想定される以上の雨量(ゲリラ豪雨や長雨)となる場合がある。そのような場合には、緩斜面であっても表面崩壊や深層崩壊してしまう事態が生じている。本実施例の擁壁100は、そのような緩斜面に対して、法枠工,モルタル吹付,アンカー工法等に比較して、安価で短期間での施工が可能であり、場所を選ばず簡便な手法によって緩斜面を保護することができる。
また、第2実施例の擁壁100は、一対の延出壁122の壁面の面積が、第1実施例の擁壁10より大きくされているため、一対の延出壁122と単粒度砕石22との間の摩擦によって擁壁用ブロック110の前向きの移動を抑制する力が大きくなり、擁壁用ブロック20の変状をより効果的に抑えることができ、より安定性の高いものとなる。
上述した2つの実施例で説明したように、本発明の擁壁は、おおまかに分けて2種類の擁壁用ブロックで、3分勾配から2割勾配までに対応可能なものとなる。また、本発明の擁壁は、第1実施例における擁壁用ブロック20と第2実施例における擁壁用ブロック110の両者を用いて、種々の形状(断面形状)を実現可能なものとなり、様々な場所に構築可能なものとなる。
10…擁壁(第1実施例)、12…法面、20…擁壁用ブロック、22…単粒度砕石、30…表面壁、 32…一対の延出壁、44…段差部、50…フランジ部、100…擁壁(第2実施例)、102…法面、110…擁壁用ブロック、120…表面壁、122…一対の延出壁、130…段差部

Claims (3)

  1. 法面の前方に配されてその法面を補強する擁壁であって、
    立設されて当該擁壁の表面を構成する表面壁と、それぞれが前記表面壁の背面側から延び出すように形成され、互いに水平方向に間隔をおいて立設された一対の延出壁と、を備え、前記一対の延出壁の各々が前記表面壁側の一端を除いて互いに連結されず、前記一対の延出壁の間が上下および後方に開口した形状とされた擁壁用ブロックが用いられ、
    前記一対の延出壁の各々は、前後方向の寸法が、前記表面壁の高さ寸法より長くされており、
    法面の前方において前記表面壁が連なるようにして水平方向に並んで設置された複数の前記擁壁用ブロックと、それら複数の前記擁壁用ブロックの前記表面壁と法面との間に充填された単粒度砕石と、を含んで当該擁壁の1つの段が形成され、
    当該擁壁は、上段における前記擁壁用ブロックの表面と下段における前記擁壁用ブロックの表面との前後方向の距離が、上段における前記擁壁用ブロックの上端と下段における前記擁壁用ブロックの上端との高低差の1/3の距離以上となるように、上段が下段に対して法面側にずらされつつ複数段積み上げられることで構築され
    前記一対の延出壁の各々は、背面側の端部から側方に張り出したフランジ部が形成され、
    前記フランジ部は、張り出した寸法が前記単粒度砕石の粒径と略同じ寸法とされた擁壁。
  2. 前記単粒度砕石は、粒径が30mm以上50mm以下のものとされた請求項1に記載の擁壁。
  3. 前記擁壁用ブロックは、前記一対の延出壁の各々の上端に、表面側の部分より高さが低くされた段差部が形成されており、
    上段の前記擁壁用ブロックは、下段の前記擁壁用ブロックにおける前記段差部に載せ置かれるように構成された請求項1または請求項2に記載の擁壁。
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