JP2006083697A - 補強土構造物および壁面ブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】部分的な壁面ブロックの膨れだしや応力集中を避けることができて崩壊する恐れがなく、きわめて安定した補強土構造物および壁面ブロックを提供する。
【解決手段】複数の壁面ブロック1を積層して壁体Aを構成する。壁体Aの背部に盛土2を充填する。壁体Aと盛土2との間に礫または砕石2aを一定厚充填する。盛土2および礫または砕石2a内に金属製の盛土補強材3を複数層に埋設する。盛土補強材3の一端側3aを壁面ブロック1に連結する。盛土補強材3の他端側3bを礫または砕石2a内に埋設する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の壁面ブロック1を積層して壁体Aを構成する。壁体Aの背部に盛土2を充填する。壁体Aと盛土2との間に礫または砕石2aを一定厚充填する。盛土2および礫または砕石2a内に金属製の盛土補強材3を複数層に埋設する。盛土補強材3の一端側3aを壁面ブロック1に連結する。盛土補強材3の他端側3bを礫または砕石2a内に埋設する。
【選択図】図1
Description
本願発明は、複数の壁面ブロックを積層して壁体を構成し、この壁体の背部に盛土を充填し、かつこの盛土内に金属製の盛土補強材を複数層に埋設して構築される補強土構造物および壁面ブロックに関するものである。
例えば図24(a),(b)は、道路や敷地などに面する擁壁として構築された補強土構造物の一例を示し、図24(a)において直方体形に成形された小型のコンクリートブロック20(以下「ブロック20」という)が、壁面ブロックとして複数段に積層され、その背部に盛土21が充填されている。
また、盛土21内にジオテキスタイル等の合成樹脂ネットからなる盛土補強材22が複数層に埋設され、各盛土補強材22の先端側22aは上下ブロック20,20間に挟む等してそれぞれ定着されている。
しかし、盛土補強材22としてジオテキスタイルを用いた場合、ジオテキスタイルのクリープ量が大きいという問題があった。また、ジオテキスタイルは砕石を礫の上に設置すると角部が当って転圧時に破断されやすいという問題があった。
また、図24(b)に図示するように、盛土補強材22が直接連結されていないブロック層20Aが土圧や地震荷重によって壁面の外側にとび出してしまうという局部変位の問題があった。
しかし、盛土補強材22としてジオテキスタイルを用いた場合、ジオテキスタイルのクリープ量が大きいという問題があった。また、ジオテキスタイルは砕石を礫の上に設置すると角部が当って転圧時に破断されやすいという問題があった。
また、図24(b)に図示するように、盛土補強材22が直接連結されていないブロック層20Aが土圧や地震荷重によって壁面の外側にとび出してしまうという局部変位の問題があった。
また、図25に図示する例の場合、壁面ブロックとしてそれ自体自立しえない鉄筋コンクリートパネル23(以下「パネル23」という)が互いに連結棒24によって連結しつつ複数段に積層され、かつ各パネル23ごとに連結ボルト25によって連結された金属製の盛土補強材26が盛土21内に埋設されている。
このようなパネル方式の補強土構造物の場合、パネル23ごとに盛土補強材26が連結されているため、パネル23と盛土21との一体性はすぐれているが、パネル23が大型でしかも薄いため施工時の安定性が悪く、このため壁面が変形しやすく、特に不安定な地形条件においては重機を使用しなければならないため、作業性が悪いという問題があった。
またこの場合、コンクリートパネルに連結された補強材は盛土の転圧による圧縮によって剛性のコンクリートパネルを垂直方向に相対変位を生じてコンクリートパネルが破壊するが、補強材とコンクリートパネルの連結部が破断するという問題が生じる。また、螺着による補強材の連結は螺着部で亜鉛メッキが過不足しやすく作業性のトラブルと防食上の問題が生ずる。
ところで、ブロックを用いた補強土構造物の壁面の安定について詳述すると、例えばパネル方式の補強土の場合、一般に一辺1.5m、厚さ8cm(1.5×1.5=2.25m2 )に形成された正方形のパネル23が、幅10cm、厚さ3mmの断面形状に形成された4本の帯状盛土補強材26を介して盛土21との一体化が図られている。
この土圧条件で、幅40cm、高さ20cm、奥行き30cmのブロック20を用いるとすると、表面積は0.2×0.4=0.08m2 であるから、28(2.25÷0.08)個のブロックを必要とする。
したがって、4個のブロック20が帯状盛土補強材で固定されているとすると、28個−4個=24個は盛土補強材で固定されていないことになるため、盛土補強材で固定されないブロック20の安定性が問題になる。
このため従来、例えば図24(a)に図示するように、盛土21内に盛土補強材22としてジオテキスタイルを複数層に敷設し、その一端22aを上下ブロック20,20間に挟んでブロック20に連結することで、少なくとも横方向に隣接するブロック20どうしはジオテキスタイルを介して盛土21と共に一体化されていた。
しかし、盛土補強材20の連結されていないブロック層が盛土と一体化されないという問題があり、さらに盛土補強材20としてジオテキスタイルを用いた場合、ジオテキスタイルのクリープによって壁面が変位しやすいという問題があり、これらを解決するにはクリープを生じない金属製の盛土補強材を使用することが望ましい。
しかし、金属製の盛土補強材として帯状補強材や棒状補強材(鉄筋網も含む)が一般に用いられるため、横方向ブロック層において盛土補強材が連結されていないブロックが生じ、そのブロックの安定性に問題があった。
また、金属製の盛土補強材は曲げ剛性が大きいことからブロック背部の盛土が沈下した場合、ブロック壁面自体は剛体のためブロック壁と盛土間に相対変位が生じ、このため金属製の盛土補強材に、壁面ブロックとの連結部から1m付近迄の間に大きな曲げモーメントが生じ、しかもその範囲に曲げモーメントが集中するとともに盛土補強材に生ずる曲げモーメントによって盛土補強材が曲げ降伏を生じたり、ブロックに作用して盛土補強材の壁面ブロックが上方に力が作用して変位しやすくなるという可能性があった。
一方、ブロック20を用いる補強土工法は、パネル等を使用したパネルタイプのものと違って、ブロック20がほぼ直方体形に成形されていることで自立性を有し、しかも各ブロック20が小型に成形されていることで、水平方向に撓み性を有し、軽量で運搬や積層などの面で取り扱い易く地形の悪いところでも施工性がよい等の長所がある。
しかし、一方、盛土の沈下によって剛性の大きい鋼製盛土補強材に生ずる大きな曲げモーメントがブロック20壁面の安定に好ましくないという課題があった。
また、複数のブロック20からなるブロック層にはそれぞれ盛土補強材22によって固定されている層と固定されていない層が存在するため、盛土補強材22で固定されていないブロック層の安定性の問題があった。即ち、その層が土圧や地震の作用により外側に外れてしまう等の危険があった。
特開2001−059223号公報
特開2000−027186号公報
特開2001−020284号公報
特開平09−195276号公報
また、複数のブロック20からなるブロック層にはそれぞれ盛土補強材22によって固定されている層と固定されていない層が存在するため、盛土補強材22で固定されていないブロック層の安定性の問題があった。即ち、その層が土圧や地震の作用により外側に外れてしまう等の危険があった。
上述したように、従来のブロック方式の補強土工法では、盛土補強材22で固定されないブロック20が、地震時などに盛土21側からの土圧で押し出されないような壁体を構築することが求められる。
特に、地震時に上下方向に荷重が作用した際、上下のブロック20,20間の摩擦が低減されることから、盛土補強材22で固定されていないブロック20が前に押し出されるだけでなく、盛土補強材22がブロック20から外れるおそれがあり、かといって、ブロック20のすべてを盛土補強材22でそれぞれ固定するとすると、盛土補強材22の数量が大幅に増え、施工が面倒になるのみならず過大設計になってしまう等の課題があった。
本願発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、特に剛性の大きな鋼製の盛土補強材を用いて安定性にすぐれた補強土構造物を提供することを目的とし、特に盛土補強材で固定されないブロックが適当に混在して積層され、しかも盛土補強材で固定されないブロックが適当に混在した状態で、沈下性の大きい現場発生材を用いても金属製の盛土補強材に大きな曲げが発生しにくく、補強材が曲げによって破断するのを防止し、盛土補強材が存在していないブロック層区間の局部安定を保ち、全体として一体の壁体を構築せしめ、不均質な土圧が作用したり、あるいは大地震にあっても目地部でわずかの変位を許容する程度で、部分的ブロックの膨れだしを応力集中を避けることができて崩壊する恐れがなく、きわめて安定した補強土構造物および当該補強土構造物に用いられる壁面ブロックを提供することを目的とするものである。
請求項1記載の補強土構造物は、複数の壁面ブロックを積層して壁体とし、その背部に盛土を充填し、前記盛土内に金属製の盛土補強材を複数層に埋設し、かつその端部を前記壁体に連結してなる補強土構造物において、前記壁体と盛土との間に礫または砕石を一定厚充填し、該礫または砕石内に前記盛土補強材の壁体側を埋設してなることを特徴とするものである。
この場合の壁面ブロックとして、湿式方式で製造した壁面ブロックまたは乾式方式による壁面ブロックを用いることができる。また、金属製の盛土補強材としては棒状、帯状または網状の盛土補強材、例えば鉄筋バー、鉄筋バーの端部に支圧プレートを連結した支圧アンカー、帯鋼、鉄筋グリッド等を用いることができる。さらに、礫または砕石としては、最大粒子40mm程度までのものが大小様々均等に含有しているものがよい。
請求項2記載の補強土構造物は、請求項1記載の補強土構造物において、金属製の盛土補強材として棒状、帯状または網状の盛土補強材を盛土定着領域に埋設してなることを特徴とするものである。
請求項3記載の補強土構造物は、複数の壁面ブロックを積層して壁体とし、その背部に盛土を充填し、かつ前記盛土内に盛土補強材としてジオテキスタイルを複数層に埋設してなる補強土構造物において、前記壁体と盛土との間に礫または砕石を一定厚充填し、前記ジオテキスタイルを前記壁体に金属製の連結部材を介して連結し、かつ前記礫または砕石内に該連結部材を埋設してなることを特徴とするものである。
請求項3記載の補強土構造物は、複数の壁面ブロックを積層して壁体とし、その背部に盛土を充填し、かつ前記盛土内に盛土補強材としてジオテキスタイルを複数層に埋設してなる補強土構造物において、前記壁体と盛土との間に礫または砕石を一定厚充填し、前記ジオテキスタイルを前記壁体に金属製の連結部材を介して連結し、かつ前記礫または砕石内に該連結部材を埋設してなることを特徴とするものである。
請求項4記載の補強土構造物は、請求項1〜3のいずれかに記載の補強土構造物において、礫または砕石は壁面ブロックの壁体背面から20〜100cmの範囲内に充填してなることを特徴とするものである。
請求項5記載の補強土構造物は、請求項1〜4のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックどうしはインターロッキングによって組み合わせてなることを特徴とするものである。
請求項6記載の補強土構造物は、請求項1〜5のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は壁面ブロックにインターロッキングによって組合わせてなることを特徴とするものである。
請求項7記載の補強土構造物は、請求項1〜6のいずれかに記載の補強土構造物において、横方向に隣接する複数の壁面ブロックの上面部に連結溝が連続して形成され、該連結溝に連結部材が横方向に連続して挿入されてなることを特徴とするものである。
請求項8記載の補強土構造物は、請求項1〜7のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックの奥行きをw0 、礫または砕石の層の厚さをw1 、そしてw0 +w1 =wとし、盛土補強材が接触または連結している壁面ブロックの上面と下面間の高さをΔH、同じくその間のセットバックの量をw2 、盛土強材が接触または連結してなる壁面ブロック層間にある補強材が接触も連結もしていない壁面ブロックの数をmとしたとき、ΔH:w2 =1:0〜H:w0 、0≦m≦2、ただしw≧40cm、w0 ≧20cm、w1 ≧20cm、m≦2となるように構築してなることを特徴とするものである。
このような寸法比で構築することで、例えば図21や図22に図示するように背面土圧のみならず地震時においても壁面ブロックが抜け出ないきわめて安定した補強土構造物をきわめて経済的に構築することができる。
また、壁面を直立に出来るのみならずセットバックする事によって圧迫感をなくし、かつ構造的安定を可能にするため、生活環境に優しい都市景観を出現せしめる事ができる。
請求項9記載の補強土構造物は、請求項1〜8のいずれかに記載の補強土構造物において、各壁面ブロックおよび/または隣接する壁面ブロック間に空洞部を設け、当該空洞部内に礫または砕石を充填してなることを特徴とするものである。
請求項10記載の補強土構造物は、請求項1〜9のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材の層数は壁面ブロックの層数より少ないことを特徴するものである。
請求項11記載の補強土構造物は、請求項1〜10のいずれかに記載の補強土構造物において、横方向に隣接する壁面ブロックとして、盛土補強材の連結された壁面ブロックと盛土補強材の連結されない壁面ブロックが積層されてなることを特徴するものである。
請求項12記載の補強土構造物は、請求項1〜11のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は、各上下壁面ブロック間に埋設されてなることを特徴とするものである。
請求項13記載の補強土構造物は、請求項1〜12のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は盛土内部の定着領域まで設置されている盛土補強材と壁面ブロックの背部付近に埋設された盛土補強材とからなることを特徴とするものである。
請求項14記載の補強土構造物は、請求項1〜13のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は、壁面ブロックに設けられた溝部に挿入することにより壁体に連結されてなることを特徴とするものである。
請求項15記載の補強土構造物は、請求項1〜14のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は、壁面ブロックに直接または連結金具を介して連結してなることを特徴とするものである。
請求項16記載の補強土構造物は、請求項1〜15のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材の両端のうち少なくとも一端はL型に形成され、壁面ブロックまたは支圧ブロックの溝部または孔に定着されてなることを特徴とするものである。
請求項17記載の補強土構造物は、請求項1〜16のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材は少なくとも亜鉛メッキ、合成樹脂被覆または合成樹脂保護管防食処理が施されてなることを特徴とするものである。
請求項18記載の補強土構造物は、請求項1〜17のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックはセットバックさせて積層してなることを特徴とするものである。
請求項19記載の補強土構造物は、請求項1〜18のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックは定着溝を有することを特徴とするものである。
請求項20記載の補強土構造物は、請求項1〜19のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックは左右隣接する溝をなし、該連結溝に左右隣接する壁面ブロックにまたがって連結棒を挿入してなることを特徴とするものである。
請求項21記載の補強土構造物は、請求項1〜20のいずれかに記載の補強土構造物において、壁面ブロックはやぶれ目地に積層してなることを特徴とするものである。
請求項22記載の補強土構造物は、請求項1〜21のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材の一端は壁面ブロックの溝部または孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とするものである。
請求項23記載の補強土構造物は、請求項1〜22のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材の他端は支圧ブロックの溝部または孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とするものである。
請求項24記載の補強土構造物は、請求項1〜23のいずれかに記載の補強土構造物において、階段状に積層した壁面ブロックによる壁面の間の盛土内に植裁を施してなることを特徴とするものである。
請求項25記載の補強土構造物は、請求項1〜24のいずれかに記載の補強土構造物において、盛土補強材の他端は地山、コンクリート構造物またはモルタル吹付層の孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とするものである。
請求項26記載の壁面ブロックは、請求項1〜25のいずれかに記載の補強土構造物に用いられる壁面ブロックにおいて、表面フランジと背面フランジとウェブ、または表面フランジとウェブとから形成されていることを特徴とするものである。
請求項27記載の壁面ブロックは、請求項26記載の壁面ブロックにおいて、植栽用空洞部が設けられていることを特徴とするものである。
本願発明の原理を図20(a)〜(d)に基いて説明すると、壁面ブロックとして複数の壁面ブロックを積層して構築された壁面は、横方向には撓み性であるため、背部に充填された盛土による背面土圧は低減され、水平方向の変位に対し破壊されにくいという利点がある。
しかし、図20(a),(b)に図示するように、壁面ブロック1の背部に盛土2として砂やそれより細かい現地発生材を充填した場合、壁面ブロック1そのものは剛体であるのに対し、盛土2は時間の経過とともに徐々に沈下するため、壁面ブロック1と盛土2との間に相対変位が生ずる。
このため、盛土2内に埋設された盛土補強材3には、壁面ブロック1近くの20cm〜100cm位の位置で急角度の大きな曲げモーメントM1 が発生することがわかった。特に金属製の盛土補強材3の場合、或いは金属製の連結部材の場合、剛性が 大きいため曲げ変形によって降伏値に達すると、補強土構造物の全体に大きな危険が発生する。
これに対して、図20(c),(d)に図示するように、壁面ブロック1背部(通常は20cm〜100cm程度あればよい)に、盛土2aとして沈下しにくいが、ある程度の沈下を許容する砕石または礫を充填すると、盛土2の沈下にともなって盛土補強材3が変形したとしても、ブロックの直近では殆ど水平を維持し、盛土補強材3に発生する曲げモーメントM2は小さく、盛土補強材3はゆるやかに変形するのみで、大きな曲げ変形による盛土補強材の破壊は生じない。また、連結部が破損することもない。
この結果、水平方向にも鉛直方向の盛土の変位に対しても金属製の盛土補強材は破壊しにくく、またブロック変位のしにくい補強土構造物とすることができる。
また、金属製の盛土補強材は剛性が大きいので、盛土補強材のブロック近くで発生する曲げ変形が過大になると、壁面ブロックは外側への力を受け、このため盛土補強材の連結されていない壁面ブロックが移動しやすいという課題がある。
従来、補強土構造物は、盛土補強材に発生する曲げ応力は、すべり面付近で最大になると考えられていた。
しかし、実際には、壁面ブロックから20cm〜100cmより壁面側の範囲で最大になることがわかった。この曲げモーメントを低減するには、図20(c),(d)に示すように、壁面ブロックの壁体背面からその20cm〜100cmまでの範囲には特に礫や砕石を充填して地盤の剛性を高くすることにより曲げモーメントを低減することができることがわかった。
この結果、ブロック式補強土構造物において、金属製の盛土補強材による伸びが小さいく、壁面が壊れにくく壁面変位の少ない長所を有しながら背面の盛土材の圧縮によって盛土補強材の曲げモーメントが大きくなることによる欠点を解決し、曲げモーメントが小さい値で分布することにより、沈下性の大きい現場発生材を用いても壁面変位が少なく、かつ安全なブロック式補強土構造を完成したものである。
いずれの補強土構造物においても、壁面ブロックとしては、少なくともそのままでも自立できるような形状であれば、特に形状は限定されるものではなく、また盛土補強材としては、帯鋼や形鋼などの鋼材、あるいは鉄筋などの鋼棒や鋼棒を組み合わせた鉄筋メッシュなどを使用することができる。また、盛土補強材は壁面ブロックの背面部または上端部に直接または定着金具や連結キーなどを介して間接的に連結されていてもよい。
いずれの補強土構造物においても、壁面ブロックとしては、少なくともそのままでも自立できるような形状であれば、特に形状は限定されるものではなく、また盛土補強材としては、帯鋼や形鋼などの鋼材、あるいは鉄筋などの鋼棒や鋼棒を組み合わせた鉄筋メッシュなどを使用することができる。また、盛土補強材は壁面ブロックの背面部または上端部に直接または定着金具や連結キーなどを介して間接的に連結されていてもよい。
また、壁面ブロックを積層する場合、例えば横方向に隣接する各段の壁面ブロック間の目地部が上下方向に連続しないで左右に交互にずれる、いわゆる「やぶれ目地」となるように、各段の壁面ブロックを積層し、これに伴い各段の壁面ブロックの上端部に突設された突起部が、その上側に積層された壁面ブロック間に設けられた各空洞部とそれぞれ係合することで、上下壁面ブロックどうしを、突起部と空洞部が係合する、いわゆる「インターロッキング方式」によって横ずれしないように、また上下の壁面ブロック層が前後にずれないように接合することができる。
また、盛土補強材の壁面側の端部を壁面ブロックの溝または孔に挿入し、その上に壁面ブロックを重ねることにより盛土補強材をインターロッキングで壁面に連結することができる。
このように壁面ブロックどうしを、あるいは壁面ブロックと盛土補強材をインターロッキングで組み合わせることにより背面土圧や地盤荷重に対してわずかの変位を許容しながら各部材が外れにくい構造となっているため、1つの壁面にも、盛土補強材の連結部においても応力が集中しにくく、しかも破壊しにくい構造となる。
本願発明は、壁面ブロックと盛土との間の一定範囲(通常は壁面ブロック背面から20cm〜100cmまでの厚さあればよい)に盛土として、特に沈下しにくいが、ある程度の沈下を許容する砕石または礫を充填することで、盛土の沈下にともなって盛土補強材が変形したとしても、壁面ブロックの背部では、金属製盛土補強材は殆ど水平を維持し、変形が非常に小さいので、盛土補強材に発生する曲げモーメントは小さく、大きな曲げ変形によって盛土補強材が破断したり、あるいは壁面ブロックがずれたりする等の問題を未然に防止することができる。
よって、水平方向および鉛直方向の盛土の変位に対しても金属製の盛土補強材は非常に破断しにくく、壁面ブロックの変位のしにくい補強土構造物とすることができる。
図1〜図3は、道路や敷地などに面する擁壁として構築された補強土構造物の一例を示し、図において、符号1は擁壁の壁体Aを構成すべく複数段に積層されたコンクリート壁面ブロック(以下「壁面ブロック1」という)、2は壁体Aの背部に充填された盛土、3は盛土2および後述する礫または砕石2a(以下、「砕石2a」という)の安定と強度を高めるとともに各壁面ブロック1を固定するために盛土2および砕石2a内に複数層に埋設された盛土補強材である。
また、特に符号2aは、壁面ブロック1近傍の背部、および隣接する壁面ブロック1,1間の空洞部4内に充填された、盛土2より粒子の大きい砕石や礫が用いられている。なお、盛土2には現地発生材が用いられている。
そして、符号5は盛土補強材3の引抜きに対する抵抗力を高めるために、盛土2内に盛土補強材3のアンカー部材として埋設されたコンクリート支圧ブロック(以下「支圧ブロック5」という)である。
壁面ブロック1と支圧ブロック5には抵抗部材として鉄筋(後述する鉄筋1hおよび5b)を埋め込むことで、盛土補強材3の引抜き力P対する引張り強度が付与されている。また、図1に示す盛土盛土補強材3の他端側3aに支圧ブロック5との定着部としてL形状のフックが形成され、一端側3aには壁面ブロック1との定着部としてL形状またはT形状のフックが突設されている。
特に、他端側3aのフックは現場において支圧ブロック5の孔5aに挿入され、かつその後から早強セメントまたは接着材系の固結材6を充填することにより定着されている。
このように、支圧ブロック5と盛土補強材3とを連結する場合、従来技術の薄型鉄板からなる支圧プレートのようにナットを用いて固結する必要がない。薄型鉄板を支圧プレートとして用いた場合、支圧プレートを盛土2内に垂直にセットすることが困難であり、またボルトで螺着することより壁面と支圧プレートとの間隔が変動し、正確な長さに調整しにくい等の問題がある。
また、防食のための棒状補強材にはメッキ処理がなされるが、ナットで螺着するため、盛土補強材の端部、すなわち壁面側や支圧板側に溝切りを設けるが、盛土補強材の溝にメッキが埋まって螺着の際に合わない場合が多くトラブルの原因となる。
このようにナットを螺着することなく、盛土補強材3を壁面ブロック1および/または支圧ブロック5に連結する方式は、施工性に優れているのみならず防食性に優れた補強土構造物を可能にする。
このようにナットを螺着することなく、盛土補強材3を壁面ブロック1および/または支圧ブロック5に連結する方式は、施工性に優れているのみならず防食性に優れた補強土構造物を可能にする。
なお、盛土補強材3を螺着する事なく連結する補強土構造の例としては、図1、図2、図4〜図6(c),(h)、図7〜図11、図15〜図17、および図19〜図22に示している。
金属製の盛土補強材の防食処理としては、亜鉛メッキ、合成樹脂被覆または合成樹脂管などを一種または複数種使用する。例えば、亜鉛メッキは溶融亜鉛メッキをJISH8641,HDZ55又はJISH8461,HDZ45の規定によって行う。
また、合成樹脂被覆としては、エポキシ樹脂や高密度ポリエチレン樹脂の被覆を鉄筋(盛土補強材)に直接、あるいは亜鉛メッキをした鉄筋(盛土補強材)の表面に形成する。その他鉄筋または上記被覆処理を行った鉄筋を合成樹脂の管状体の中に挿入して過熱して収縮させて管状体を密着させる等の方法により、さらに防食効果を上げることができる。
ところが、このように防食処理をしても螺着する場合はこれらの防食処理層を被覆して溝を形成しなければならず、さりとてあらかじめ形成した溝の上に防食処理することも困難である。螺着する場合はこれらの防食処理を破ることになり、その部分から腐食がはじまることになりやすい。
本願発明のように螺着することなく盛土補強材を壁面ブロック並びに/または支圧ブロックに連結する方式では完全な防食効果を得る補強土構造が可能になる。
従来、亜鉛メッキはPHが5〜9付近の土質以外は防食効果が小さいと考えられていたため、補強土に適用できる土は限られてきたし、また盛土補強材は鉄道に用いた場合の迷送電流による腐食が問題になっていた。
しかしこのような盛土補強材を用いることで、盛土としてPHが中性領域の砂質土のみならず、酸性土やアルカリ質の現場発生材を用いることができる。
このように螺着することなく盛土補強材を壁面ブロックおよび/または支圧ブロックに連結して、施工時にも施工後も安定で、特に固結物材が最終固化に至るまでに盛土層が転圧や壁面ブロックの積み重ねが可能なためには、壁面ブロックの背面に砕石や礫を所定厚さに充填することで、変位を生じなくしたことによって可能なのである。
それに対し、図1に図示するような支圧ブロック5を用いると、盛土補強材3をそのまま挿入すればよく、また支圧ブロック5は自立し、かつ盛土補強材3がメジャーの働きをするため、正確な施工が可能となり、変位の少ない補強土壁を構築できるという利点がある。
また、図4と図5に図示する盛土補強材3と壁面ブロック1および支圧ブロック5との連結も同様に、それぞれ一端側3aと他端側3aのフックが壁面ブロック1と支圧ブロック5に固結材によって定着できる。
また、図4(c),(d)はフックのない棒状補強材の両端を壁面ブロック1と支圧ブロック5に設けた孔内に固結材によって定着した例である。
壁面ブロック1は、例えば図2(a)に図示するように表面フランジ1a、背面フランジ1bおよびウェブ1cをそれぞれ有し、そのままでもきわめて安定して自立できる平面ほぼH形状(または1形状)に一体的に形成されている。
表面フランジ1aとウェブ1cの各上端部に定着用溝1dがそれぞれ形成され、定着用溝1dは表面フランジ1aとウェブ1cの上端部にそれぞれの長手方向に連続し、かつT字状に1本の溝に連続して形成されている。また、ウェブ1cの上端部に突起1eが形成されている。
本願発明の補強土構造物において、壁面ブロック1は一般に運搬などの取り扱い易さ、施工性などを考慮して通常、高さhが20〜60cm、幅wが30〜100cm、奥行きdが20〜60cm程度の大きさに、さらに重さが20〜150Kg程度の重量に形成されており、それ自体自立性を有している。
また、壁面ブロック1は自立性を保ちながら軽量化を図るために、例えば表面フランジとウェブを組み合わせたり、背面フランジを設けたり、あるいは中抜きした形状に形成されている。
また、壁面ブロック1には乾式ブロックが用いられ、乾式ブロックは即時脱型により一つの型枠で連続的に製造できるため、大量のブロックを短期間に製造できる。また、脱型した直後、柔らかい表面を刃物で割裂して加工することができるため、環境にやさしく、しかも自然景観になじみやすい壁面Aを形成することができる。
このように形成された壁面ブロック1は横方向に互いに隣接させ、かつ複数段に積層されている。また、必要に応じて例えば図3に図示するように各段または数段おきに壁面ブロック1を後退させることにより階段状に積層されている。
この場合、本願発明の補強土構造が安定を維持するための壁面ブロック1の大きさと砕石層(礫層)の厚さと盛土補強材3の連結されている壁面ブロック1と連結されていない壁面ブロック1の関係、並びにセットバックの長さの関係の好ましい例を図21、図22に示す。
図において、壁面ブロック1の奥行きをw0 、礫または砕石の層の厚さをw1 、w0 +w1 =w、盛土補強材3が接触または連結している壁面ブロック1の上面と下面の間の高さを△H、同じくその間のセットバックの量をw2 、盛補強材3が接触または連結された壁面ブロック1の間にあって接触も連結もしていない壁面ブロック1の数をmとしたとき、△H:w2 =1:0〜ΔH:w0 ,0≦m2 ≦2、ただし、w≧40cm w0 ≧20cm、 w1 ≧20cmであることが本願発明の補強土構造が安定である上で好ましい。
ここで、図21(d)は壁面ブロック1と盛土補強材3の数は1: 1の対応でないから盛土補強材3が連結されていない壁面ブロック1が1層存在している壁面とみなす。また、上記において便宜上盛土補強材3が接触している、連結していないブロックに分けたが、本発明においては盛土補強材が接触している場合と連結していることとは同じとみなす。
図21, 図22において、金属製の盛土補強材3は摩擦力、あるいはインターロッキングにより一体となるため、砕石(または礫)にも破損することなくかつ伸びも殆どないため、壁面ブロックと砕石(礫)層と盛土補強材で囲まれたA−B−D−Cは1つのブロックと類似のように挙動する。
しかし、mが2よりも厚くなると背面土圧や地震動により盛土補強材が連結されていない壁面ブロックが外部にすべり出す危険性を生ずる。△H:w2 =1:0の場合は直立壁面である。
△H:w2 =△H:w0 の場合はセットバックの最大値である。この場合、砕石層(礫層)の厚さが20cm以上あるため、大きなセットバックにもかかわらず、安定を保ち得る。このため、本願発明の補強材壁は直立から△H:w0 まで勾配を巾広くとることができるため、圧迫感がなく景観を考慮した最適の勾配をまた してしかも安定した構造が可能になる。△H:w0 よりも勾配がゆるくなると安定が不安定になる。
この場合、各段の横方向に隣接する壁面ブロック1,1間には双方の表面フランジ1aと背面フランジ1bとウェブ1cとからなる空洞部4が形成され、各空洞部4内に砕石2aが充填されている。
なお、空洞部4内には、盛土2の他、礫または固結材、あるいはブロックを充填することにより左右および上下の壁面ブロック1,1どうしを一体化させることができる。
また、特に図1(c)の例で明らかな様に、壁面ブロック1と盛土2との間に砕石2aを一定範囲に渡り充填されている。この場合、壁面ブロック1を多数組み合わせた壁体Aは、横方向には撓み性を有するため、背面土圧が低減され、かつ水平方向の変位に対し破壊されにくいという利点がある。
一般に、壁面ブロック1そのものは剛体であるのに対し、盛土2は時間の経過とともに沈下するため、壁面ブロック1と盛土2との間に相対変位が生ずる。このため、盛土2内に埋設された盛土補強材3、あるいは盛土補強材3を壁面ブロック1に連結すべく壁面ブロック1の背部に突設された連結金具(図省略)には、壁面ブロック1近くの背部において、例えば図2(d)に図示するように、盛土補強材3が下側に大きくたわむような大きな曲げモーメントが発生する。
特に盛土補強材3と連結金具が金属製の場合、これらの部材が曲げ変形によって降伏値に達し、壁体Aが大きな危険にさらされるおそれがある。
これに対し、図1(c)のように壁面ブロック1の背部に、盛土2より粒子の大きい砕石2aとして、ある程度の変位は許容する砕石が一定範囲に渡って充填されていることで、盛土2の沈下が原因で、盛土補強材3が変形したとしても壁面ブロック1のごく近くでは、図2(c)に図示するように、盛土補強材3は殆ど水平性を維持し、盛土補強材3の全体がゆるやかに曲げ変形するのみで、したがって大きな曲げ変形によって盛土補強材3が破壊することはない。
また、盛土補強材3と壁面ブロック1との連結部に異常な応力が発生しにくく、連結部が破壊することはない。
この結果、水平方向および鉛直方向の盛土2の変位にも金属製の盛土補強材3が破壊しにくい補強土構造の構築が可能となる。
また、各段の壁面ブロック1は、例えば図1(a)に図示するように横方向に隣接する表面フランジ1a,1a間の縦目地aが上下方向に連続しないで左右に交互にずれる、いわゆる「やぶれ目地」となるように積層され、これに伴い各段の壁面ブロック1の突起1eはその上の段の隣接する壁面ブロック1,1間の空洞部5と嵌合することで、上下および横方向に隣接する壁面ブロック1どうしは、各壁面ブロック1の突起1eと空洞部4とが嵌合するインターロッキングによって互いに組み合わされている。
盛土補強材3は、盛土2および砕石2a内に水平に連続して埋設され、その一端側(壁面ブロック側)は壁面ブロック1に定着され、その他端側(支圧ブロック側)は支圧ブロック5に定着されている。
盛土補強材3には丸鋼や異形棒鋼などの鉄筋バーまたは鋼棒などの棒状部材が用いられ、表面に亜鉛メッキ、合成樹脂によるシール被覆、塗装被覆または合成樹脂管による被覆などが施されている。また、盛土補強材3としては他に、帯状補強材、金属製ネット、ジオテキスタイル等が用いられる場合もある。
亜鉛メッキされた盛土補強材3は、PHが5〜9程度の壁面に壁面には、錆効果がすぐれているが、酸性、アルカリ性下においては効果が減少する。
しかし、盛土補強材3の表面を亜鉛メッキの上に、さらに合成樹脂で被覆した場合の防食効果はきわめて大きく、盛土2として酸性土の高い現場発生材を用いた場合だけでなく、石灰質土のようなアルカリ性土を使用した場合のいずれの場合に対しても対処することができる。なお、盛土補強材3の表面を亜鉛メッキした上にシール被覆するとその防食効果はより高められる。
また、盛土補強材3の一端側(壁面ブロック側)3aには、定着部として例えば図1(a)に図示するように平面ほぼL字状またはT字状のフックが形成されており、フックは壁面ブロック1の表面フランジ1aおよびウェブ1cの定着用溝1d内に挿入することにより定着されている。
また、必要に応じて定着用溝1d内にコンクリートやモルタル、またはエポキシ樹脂などの固結材6を充填することにより定着用溝1d内にフックが定着されている。
また、必要に応じて定着用溝1d内にコンクリートやモルタル、またはエポキシ樹脂などの固結材6を充填することにより定着用溝1d内にフックが定着されている。
このようにして盛土補強材3の一端側3aのフックが壁面ブロック1の定着用溝1d内に定着されていることで、フックは上側の壁面ブロック1の重量で拘束され、しかも定着用溝1d内の周面との摩擦によって引き抜かれる心配がないため、盛土補強材3のフックは上下の壁面ブロック1,1間に確実かつ強固に定着されている。
このような構造は壁面ブロック1同士がインターロッキングによって組み合わされた壁体を構成し、かつ盛土補強材3は壁面ブロック1とインターロッキングで連結した構造といえる。
このような構造は壁面ブロック1同士がインターロッキングによって組み合わされた壁体を構成し、かつ盛土補強材3は壁面ブロック1とインターロッキングで連結した構造といえる。
さらに、盛土補強材3の一端側3aは横方向に隣接する2〜3個、あるいはそれ以上の壁面ブロック1の定着用溝1d間に跨がって定着されていることで、一本の盛土補強材3で横方向に隣接する複数の壁面ブロック1を同時に固定することができるため、きわめて経済的であり、また施工性が著しく向上する。
また、盛土補強材3のフックが定着用溝1d内で安定していることで、その上側に位置する壁面ブロック1が土圧あるいは地震荷重による応力集中で前にずれたとしても、その下側の壁面ブロック1の定着用溝1d内のフックは連結されたままで破壊されることがなく、むしろ壁面ブロック1が前に移動することで土圧による応力集中が緩和されて安定した土留め擁壁を保ち続けることができる。
また、後述する図6(a)、(b)に図示する壁面ブロックの場合、積層された上下壁面ブロック1,1のキー1jとキー孔1kとが係合することにより、壁面ブロック1のずれをある範囲内におさえるため、一部の壁面ブロックがずれて外れてしまうような壁面ブロック1の大きなずれ、および崩壊を未然に防止することができる。
一方、盛土補強材3の他端側3a(支圧ブロック5側)は盛土2内を水平に延長され、かつ支圧ブロック5の上端部のほぼ中央に形成された定着用孔5aに定着されている。
この場合、盛土補強材3の他端側3aには真下に略直角に突出する定着部としてフックが形成され、フックは定着用孔5a内に挿入され、かつその周囲に早強性のコンクリートやモルタル、またはエポキシ樹脂などの固結材6が充填されている。
また、支圧ブロック5の特に定着用孔5aの近傍には、例えば図1(b)に図示するように、盛土補強材3の引抜き力Pが作用しても、支圧ブロック5がせん断破壊しないように抵抗部材として鉄筋5bが水平に埋設され、この鉄筋5bがフック3bを介して作用する盛土補強材3の引抜き力Pによる支圧ブロック5の破壊作用に強力に抵抗するようになっている。支圧ブロック5には壁面ブロック1と同様に乾式ブロックが用いられている。
また、盛土補強材3は、各段の壁面ブロック1に作用する盛土2からの土圧に対して充分な引抜き抵抗力が得られれば、格段ごとまたは各列ごとに布設される必要はなく、複数段おきまたは複数列おきに布設されていてもよい。むしろ、盛土補強材3は少ないほうが経済的であり、また盛土2の充填および転圧に際して邪魔にならず、施工する上でも望ましい。
この場合の例としては、各段の横方向に隣接する壁面ブロック1として、盛土補強材3の連結された壁面ブロック1と補強材3の連結されていない壁面ブロック1が一段おきまたは数段おきに積層されている場合がある。
また、上下方向に隣接する壁面ブロック1としては、盛土補強材3が連結されている壁面ブロック1と盛土補強材3の連結されていない壁面ブロック1が一列おきまたは数列おきに積層されている場合がある。
また、図4に図示する例においては、壁面ブロック1の定着用溝1dは表面フランジ1aの中央からウェブ1c、さら背面フランジ1bに渡って直線状に1本の溝に連続して形成されている。また、定着用溝1dの先端部(表面フランジ1aの中央)に定着用孔1gが形成されている。
また、盛土補強材3の引抜き力Pが作用しても、壁面ブロックがせん断破壊しないように抵抗部材として鉄筋1hが、定着用孔1gの背面側(ウェブ1c側)に水平に埋設されている。鉄筋1hは少なくとも一段、必要に応じて複数段に水平に埋設されている。
なお、盛土補強材3が連結されていない壁面ブロック1においても、鉄筋1hを埋設することにより土圧や地震などの荷重に対して破壊されにくい壁面を形成するので、ブロックとして用いることができる。一方、盛土補強材3の先端側(壁面ブロック1側)には定着部として真下に略垂直に突出するL字状のフックが形成されている。そして、盛土補強材3の一端側3a側は、フックの水平部分を定着用溝1dに挿入するとともに一端側3a側のフックの垂直部分を定着用孔1gに挿入することにより壁面ブロック1に定着されている。
図5に図示する例においては、特に壁面ブロック1が表面フランジ1aとその背面側に並列に突設された複数のウェブ1c,1cとから形成され、かつ表面フランジ1aの上端部の略中央に定着用孔1gが形成されている。
一方、盛土補強材3の一端側3aには、定着部として真下に略垂直に突出するL字状のフックが形成されている。そして、フックを定着用孔1gに挿入することにより、盛土補強材3の先端側が壁面ブロック1に定着されている。
なお、図5(b)は、盛土補強材3の引抜き力Pが作用しても、壁面ブロック1がせん断破壊しないように抵抗部材として鉄筋1hが、定着用孔1gの背面側(ウェブ1c側)に水平に埋設されている例を示したもので、このように鉄筋1hが埋設されていることで、盛土補強材3に作用する引抜き力Pによって壁面ブロック1がせん断破壊することはない。
このことは、図4に示した支圧ブロック5の場合も同じで、抵抗部材として鉄筋5bが設置されている場合で、鉄筋5bが支圧ブロック5の盛土2側に設置されていることで、係るせん断破壊を未然に防止することができる。
なお、盛土補強材3のた端側を支圧ブロック5に連結する方法として、特に図示しないが、盛土補強材3のた端側を支圧ブロックに貫通させ、その貫通部分にナットを螺合する方法によっても同様の効果がある。
従来、補強土構造物の壁面材として用いられる壁面パネルや壁面ブロックは、セメントと骨材と水とからなる流動性の硬化性材料を型枠内に鉄筋を配筋した後から流し込み、振動を加えて充分に締め固めた後、型枠とともに養生し、そして硬化後脱型する工程で製造する、いわゆる湿式法によって成形されている。
これに対して、近年、セメントと骨材にわずかの水を加えてスランプが殆どゼロの粉状の硬化性材料を外型枠内に充填し、振動加圧しながら内型枠で圧縮成形した後、直ちに脱型して養生する乾式公報によって成形されたブロックが補強土工法の壁面ブロックとして用いられるようになってきた。
この方式は、同じブロック成型型枠を用いてブロックの製造を連続的に行うことができ、しかも養生期間が短いため、短期間でのブロックの製造が可能であるものの、乾式ブロックではコンクリート内に補強部材、連結部材または抵抗部材として鉄筋が配筋されないため、引張りや曲げに対する強度がほとんど期待できず、このため、全体の大きさを小さくして曲げの生じにくいような形状にせざるを得ないものであった。
本願発明は、乾式ブロックの利点を生かしながら引張り力などの外力が作用しても、せん断破壊の生じにくい乾式ブロックを補強土構造物の壁面ブロック1と支圧ブロック5として用いることとしたものである。
これにより、交通荷重や衝撃、さらには地震荷重によって破壊されにくい乾式ブロックを、また引張り部材や連結金具の端部を強固に挿入した乾式ブロックを開発し、それによって乾式ブロックの適用分野を大幅に拡大することを可能にした。
ここで、乾式ブロックの組成物には、セメントと骨材と水とからなるスランプが殆どゼロの混合物が用いられている。例えば、水セメント比が39%、セメント量が400Kg、粗骨材(100m以下)が50%、細骨材が(2mm以下)でスランプをゼロとすると、400Kg/cm2 強度の乾式ブロックを得ることができる。
ここで、乾式ブロックの組成物には、セメントと骨材と水とからなるスランプが殆どゼロの混合物が用いられている。例えば、水セメント比が39%、セメント量が400Kg、粗骨材(100m以下)が50%、細骨材が(2mm以下)でスランプをゼロとすると、400Kg/cm2 強度の乾式ブロックを得ることができる。
図6(a)〜(h)は、乾式ブロックで成形された壁面ブロックの一例を示し、特に6(a)、(e)、(f)、(g)に図示する壁面ブロックにおいて符号1jと1kは上下ブロックを重ねて一体化させるためのキーとキー孔であるが、このキー1jは上述した方法によって乾式ブロックの製造時に直接埋め込むことができ、このキー1jとキー孔1kとを係合させることで強固なブロック壁体を構築することができる。
図6(c)では突起1eがキー1jと同様の効果を有し、また図6(h)は、盛土補強材3として設置された金網の一端をブロック1の定着用溝dに嵌め込む構造であるが、鉄筋1hが埋め込まれていることで、盛土補強材3に引っ張り力が作用しても壁面ブロック1が破壊されることはない。
なお、この場合の壁面ブロックとして、引張力などの外力が作用する領域に鉄筋などの棒状部材を設置する代わりに、合成繊維などの補強繊維を混入して成形された乾式ブロックを用いることもできる。
また、符号1mは表面フランジ1aの上端部に形成された空洞部(客土充填用孔)であり、壁面を緑化する場合にこの客土充填用孔1mに植裁がなされる。
また、図6(c),(d)は、積層された上下壁面ブロックどうしを上下または上下および左右に一体的に連結できるように形成された壁面ブロックを示し、図6(c)の場合、表面フランジ1aの上端部に連結溝1nが形成され、この連結溝1nに連結棒7が複数の壁面ブロック1,1間に跨がって係合されることで横方向に隣接する壁面ブロック1どうしが連結されるようになっている。この構造の別例を図6(i)に示す。
また図6(c)と図6(i)の例において、特に連結溝1n内に連結棒7を挿入した後、連結溝1n内に早強セメント等の固結材を充填すれば、壁面ブロック1どうしが一体に連結された壁面を形成することができる。
さらに、図6(d)の場合、各壁面ブロック1の表面フランジ1aの上端部と下端部に互いに嵌合し合う嵌合突起1oと嵌合溝1pが形成され、この係合突起1oと係合溝1pが嵌合し合うことで積層された上下の壁面ブロック1どうしが上下および左右に連結されるようになっている。
なお、補強材として炭素繊維や鋼繊維などの補強繊維を用いる場合、鉄筋を用いる場合よりも作業一性にすぐれているが、高価になる。しかし、本願発明によれば、すべての乾式ブロック組成分に繊維を混入しなくてもよく、例えば壁面ブロックや支圧ブロックの場合、或いは地山アンカーの反力板の場合、補強材からの引張力によって、或いはアンカーからの引張力によってブロックの補強土側の面や反力板のアンカー側の面に引張力が生ずるため、その側に補強繊維を混合した乾式ブロック組成物とすればよい。また、支圧ブロックのみを鉄筋コンクリートブロックとしてもよい。
図7(a)〜(c)は、一端側3aのフックがL形またはT形に形成された盛土補強材3を使用する場合、特に応力が集中しやすい定着用溝1dの角部に鉄筋1hを鉛直に埋設して補強した構造を示す。
また、図9は、左右の壁面ブロックを連結する連結部材8の両端8aを壁面ブロック1の連結孔1qに挿入する場合、連結孔1の内側に鉄筋1hが水平に埋設して補強した例を示したものである。
図10(a)、(b)は、盛土補強材3の一端側3aを壁面ブロック1に定着する方法の他の例を示し、特に各壁面ブロック1の上端部に定着用溝を設ける代わりに、各壁面ブロック1の背面部に鉄筋などからなる輪環9を突設し、この輪環9に盛土補強材(棒状補強材)3の一端側3aのフックを水平に挿入することで、盛土補強材3の一端側3aが壁面ブロック1に定着されている。上記乾式壁面ブロックの輪環9への埋込みは上記の方法で行われる。
図11(a),(b)は、同じく盛土補強材3の一端側3aをコンクリートブロック10に定着する方法の一例を示し、積層された上下コンクリートブロック10、10間にブロックどうしを連結するための連結部材として連結キー11が設置され、この連結キー11に盛土補強材3の先端側3aが連結されている。
図12〜図14は、特に乾式ブロックを補強土構造物の壁面ブロックや支圧ブロックとして用いる場合の、鉄筋バーや金網材などの盛土補強材3の定着方法を示したものである。
図12(a),(b),(c)の例においては、壁面ブロック1と支圧ブロック5に連結部材12としてそれぞれ突設されたボルト部材や帯状部材に鉄筋バーや金網材などの盛土補強材3がターンバックル13やボルト・ナット14を介して連結されている。
図13(a),(b)の例においては、壁面ブロック1に突設された連結部材15に盛土補強材3としてジオテキスタイルが直接巻き付けることにより取り付けられている。さらに、図14(a),(b),(c)の例においては、壁面ブロック1に形成された定着孔1sまたは定着溝1t内に盛土補強材3として鉄筋バーや帯鋼材などの端部が固結材によって定着されている。
図15(a)〜(c)は、河川護岸壁として構築された補強土構造物の一例を示し、特に砕石層2aの背部に土砂流出防止シート16を埋設して盛土2の土粒子が水位の変動によって流出するのを防止したものである。
この場合の土砂流出防止シート16には、例えば高分子樹脂製のメッシュ状シート等が用いられ、各土砂流出防止シート16は上下の盛土補強材3,3間に盛土2を壁面ブロック1の反対側方向に包み込むように埋設されている。
また特に、図15(a)の例では、盛土補強材3として支圧アンカーが用いられ、その自由端側は支圧ブロック5に定着されている。また、図15(b)の例においては、盛土補強材3として金属製メッシュが用いられ、さらに図15(c)の例においては、盛土補強材3に支圧アンカーが用いられ、盛土補強材3の全領域に礫または砕石2aが充填され、その背部に土砂流出防止シート16が埋設されている。
図16(a)〜(e)は、盛土2内に盛土補強材3としてジオテキスタイルが複数層に埋設され、各盛土補強材3は砕石2a内に埋設された連結金具17を介して壁面ブロック1に連結されている例を示したものである。
なお、この場合の連結金具17として金属製メッシュが用いられ、連結金具17はその一端17aを壁面ブロック1の定着用溝1dに挿入することにより連結されている。また、ジオテキスタイルの一端は連結金具17の網目に鉄筋などからなる連結棒18によって連結されている。
このように構成されていることで、金属製メッシュは砕石の角部に当たっても破断する心配はない。また、金属製メッシュの曲げ剛性は大きいが、砕石層2aも剛性が大きいので沈下は少ない。さらに、砕石が金属製メッシュの網目の中にくい込んで、a,b,c,d,e,fの部分が一体化するので、厚さの大きい土留め壁と作用し、盛土補強材3としてジオテキスタイルを用いていながら壁面を高くしても前方に傾くおそれのない、きわめて安定した補強土壁の構築が可能である。
特に図16(d),(e)の例においては、連結金具19として鉄筋などから矩形状に形成された金属製枠材が用いられ、金属製枠材はその一辺19aを各壁面ブロック1の定着用溝1dに挿入することにより壁面ブロック1に定着され、各ジオテキスタイルは金属製枠材の他辺19bに巻き込んで連結されている。
図17(a),(b)は、盛土2内に盛土補強材3としてジオテキスタイルが複数層に埋設され、また礫または砕石2a内に盛土補強材20として金網などの剛性メッシュ材が埋設されている例を示したものである。この場合、ジオテキスタイルの一端側3aは盛土2を包み込むようにU字状に巻き込んで定着され、盛土補強材20は壁面ブロック1に連結されている。
また特に図17(b)の例においては、各ジオテキスタイルの一端側3aは盛土補強材20に結束線やクリップ等の結束部材20aによって連結されている。
図18(a)〜(d)は、特に盛土補強材として支圧アンカー3Aと金属製メッシュ3Bが併用されている例を示したものであり、特に図18(a)の例においては、支圧アンカー3Aが連結されていない壁面ブロック1に金属製メッシュ3Bを連結して壁面ブロック1と砕石層2aとの一体化を図って支圧アンカー3Aの連結されていない壁面ブロック1の安定が図られている。なお、金属製メッシュ3Bの代わりにジオテキスタイルを用いてもよい。
また、図18(b),(c)の例においては、特に盛土層2および砕石層2aの深い位置に支圧アンカー3Aまたは金属製メッシュ3Bの一方が複数層に埋設され、浅い位置に支圧アンカー3Aまたは金属製メッシュ3Bの他方が複数層に埋設され、かつ各支圧アンカー3Aおよび金属製メッシュ3Bは壁面ブロック1にそれぞれ連結されている
このように支圧アンカー3Aと金属製メッシュ3Bを併用して埋設することにより、すべり面の範囲を小さくすることにより、支圧アンカー3Aおよび金属製メッシュ3Bの長さを短くする等、目的に応じて最適の設計を行うことができる。
このように支圧アンカー3Aと金属製メッシュ3Bを併用して埋設することにより、すべり面の範囲を小さくすることにより、支圧アンカー3Aおよび金属製メッシュ3Bの長さを短くする等、目的に応じて最適の設計を行うことができる。
また、図18(d)の例においては、特に支圧アンカー3Aと金属製メッシュ3Bを盛土2および砕石2a内に交互に埋設することによりa,b,c,d領域の盛土2を一体化することができる。
図19(a)〜(e)は、橋脚などのコンクリート構造物や岩場などの表面を覆って景観に高めるため、あるいは老朽化したコンクリート構造物や劣化したモルタル吹付面上に構築された補強土構造物の一例を示し、コンクリート擁壁、モルタル被覆面、建物の壁面、あるいは岩場や地山を本願発明のブロック壁面を持つ補強土構造物で覆うことにより、乾式ブロックの持つ柔らかい感触の自然にやさしい景観を得ることができる。また、壁面ブロック1を階段状に積層し、その段差に植栽を施すことによって緑化を図ることができる。
例えば、図19(a),(b)は、地山やモルタル吹付面Bの覆工例を示し、各盛土補強材3の自由端側は、地山またはモルタル吹付面Bにそれぞれ直接定着されている。また、図19(c)は、老朽化したコンクリート擁壁面Cの覆工例を示し、各盛土補強材3の自由端側は、コンクリート擁壁Cにアンカーされている。 図19(d),(e)は、建物のコンクリート壁面の覆工例を示したものである。図19(b), (d),(e)は盛土に階段上に積層した壁面ブロックからなる壁面の間の緑化した例を示したものである。
また、図19(c)の例の場合、各壁面ブロック1に植裁用の空洞部(客土充填用孔)1mが設けられ、この空洞部1m内に客土が充填され、かつ植裁が施されている。
また、図19(c)の例の場合、各壁面ブロック1に植裁用の空洞部(客土充填用孔)1mが設けられ、この空洞部1m内に客土が充填され、かつ植裁が施されている。
図23は、壁体A(壁面ブロック1)の背部、すなわち壁面ブロック1と砕石2aとの間にコンクリートまたはソイルセメント2bの層を設けて壁面ブロック1同士および壁面ブロック1と盛土補強材3との一体化を図った例である。この場合、図21、22におけるΔH、w0 ,w1 の関係では、w0 を壁面ブロック1の奥行き(厚さ)とコンクリートまたはソイルセメント2bの層の厚さの和とを考えればよい。
本願発明は、特に盛土の沈下にともなう盛土補強材の変形、当該変形に伴う盛土補強材に発生する曲げモーメントの発生を抑えて、盛土補強材の破断や壁面ブロックのずれ等を未然に防止することにより、非常に安定した補強土構造物とすることができる。
A 擁壁の壁体
1 壁面ブロック(乾式ブロック)
2 盛土
2a 盛土(礫または砕石)
3 盛土補強材
4 空洞部
5 支圧ブロック(乾式ブロック)
6 固結材
1 壁面ブロック(乾式ブロック)
2 盛土
2a 盛土(礫または砕石)
3 盛土補強材
4 空洞部
5 支圧ブロック(乾式ブロック)
6 固結材
Claims (27)
- 複数の壁面ブロックを積層して壁体とし、その背部に盛土を充填し、前記盛土内に金属製の盛土補強材を複数層に埋設し、かつその端部を前記壁体に連結してなる補強土構造物において、前記壁体と盛土との間に礫または砕石を一定厚充填し、該礫または砕石内に前記盛土補強材の壁体側を埋設してなることを特徴とする補強土構造物。
- 盛土補強材として棒状、帯状または網状の盛土補強材を盛土の定着領域に埋設してなることを特徴とする請求項1記載の補強土構造物。
- 複数の壁面ブロックを積層して壁体とし、その背部に盛土を充填し、かつ前記盛土内に盛土補強材としてジオテキスタイルを複数層に埋設してなる補強土構造物において、前記壁体と盛土との間に礫または砕石を一定厚充填し、前記ジオテキスタイルを前記壁体に金属製の連結部材を介して連結し、かつ前記礫または砕石内に前記連結部材を埋設してなることを特徴とする補強土構造物。
- 礫または砕石は、壁面ブロックの壁体背面から20から100cmの範囲内に充填してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックどうしはインターロッキングによって組み合わせてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は壁面ブロックにインターロッキングによって組合わせてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の補強土構造物。
- 横方向に隣接する複数の壁面ブロックの上面部に連結溝が連続して形成され、該連結溝に連結部材が横方向に連続して挿入されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックの奥行きをw0 、礫または砕石の層の厚さをw1 、およびw0 +w1 =wとし、盛土補強材が接触または連結された壁面ブロックの上面と下面との間の高さをΔH、同じくそのセットバックの量をw2 、盛土補強材が接触または連結されたブロック層の間に積層され、かつ盛土補強材が連結も接触もしていない壁面ブロックの数をmとしたとき、ΔH:w2 =1:0〜ΔH:w0 、0≦m≦2、w≧40cm、w0 ≧20cmとしてあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックおよび/または隣接する壁面ブロック間に空洞部を設け、当該空洞部内に礫または砕石を充填してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材の層数は壁面ブロックの層数より少ないことを特徴する請求項1〜9のいずれかに記載の補強土構造物。
- 横方向に隣接する壁面ブロックとして、盛土補強材の連結された壁面ブロックと盛土補強材の連結されない壁面ブロックが積層されてなることを特徴する請求項1〜10のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は、上下壁面ブロック間に埋設されてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は盛土内部の定着領域まで設置されている盛土補強材と壁面ブロックの背部付近に埋設された盛土補強材とからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は、壁面ブロックに設けられた溝部に挿入することにより壁体に連結されてなることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は、壁面ブロックに直接または連結金具を介して連結してなることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材の両端のうち少なくとも一端はL型に形成され、かつ壁面ブロックまたは支圧ブロックに形成された溝部または孔に定着されてなることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材は少なくとも亜鉛メッキ、合成樹脂被覆または合成樹脂保護管防食処理が施されてなることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックはセットバックさせて積層してなることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックは定着溝を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックは左右隣接する溝をなし、該連結溝に左右隣接する壁面ブロックにまたがって連結棒を挿入してなることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の補強土構造物。
- 壁面ブロックはやぶれ目地に積層してなることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材の一端は壁面ブロックの溝部または孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材の他端は支圧ブロックの溝部または孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の補強土構造物。
- 階段状に積層した壁面ブロックによる壁面の間の盛土内に植裁を施してなることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の補強土構造物。
- 盛土補強材の他端は地山、コンクリート構造物またはモルタル吹付層の孔内に固結材によって定着されてなることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の補強土構造物。
- 請求項1〜25のいずれかに記載の補強土構造物に用いられる壁面ブロックであって、表面フランジと背面フランジとウェブ、または表面フランジとウェブとから形成されていることを特徴とする壁面ブロック。
- 植栽用空洞部が設けられていることを特徴とする請求項26記載の壁面ブロック。
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2005
- 2005-10-31 JP JP2005316510A patent/JP2006083697A/ja active Pending
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