JP5301794B2 - ポリオキシメチレン樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Description
ポリオキシメチレン樹脂にポリウレタン樹脂を配合する技術(例えば、特許文献1、2参照)、ポリオキシメチレン樹脂にオレフィン系エラストマーとポリウレタンを配合する技術(例えば、特許文献3参照)、ポリアセタール樹脂に多層インターポリマーと熱可塑性ポリウレタンを配合する技術(例えば、特許文献4参照)、ポリオキシメチレンに熱可塑性ポリウレタンとポリエーテルブロックコポリアミドを配合する技術(例えば、特許文献5参照)などが知られている。これらの技術の中で、ポリウレタンを添加する技術が実用化されている。しかし、これらの組成物は制振性能を有せず、さらに摺動性能も著しく劣るため制振・消音を目的とする用途には使用されなかった。
上記の問題の解決技術として、本発明者らはポリオキシメチレン樹脂に水素添加された芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体を少なくとも一個有する粘弾性スペクトルにおけるtanδの主分散ピークが60℃以下の重合体、及び任意にポリオレフィン系樹脂を含み、特定の範囲で配合した組成物(特許文献7参照)を提案した。この組成物は上記の問題点を解決した組成物であるが、更に低硬度の領域を狙うためには、圧縮永久歪の改良が必要とされた。
すなわち、本発明は、以下である。
1.(A)ポリオキシメチレン樹脂 20〜99.5質量部、(B)圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動的架橋型エラストマーと(C)ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する粘弾性スペクトルにおけるtanδの主分散ピークが60℃以下の重合体とからなり、(B)+(C)が0.5〜80質量部であり、かつ(B)/(C)が100/0〜10/90質量%の範囲であることを特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物。
2.(B)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動的架橋型エラストマーが、ラジカル架橋性エラストマーとラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下に溶融混練させながら架橋したものである、前記1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
3.(A)ポリオキシメチレン樹脂が、下記式(1)で表される数平均分子量10000〜500000のポリオキシメチレンブロック共重合体(A−1)であることを特徴とする前記1または2に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
4.(A)ポリオキシメチレン樹脂が、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基をオキシメチレンユニットに対して、0.1〜10モル%を含有するポリオキシメチレン共重合体(A−2)と前記(A−1)との併用であり、その質量比が(A−1)/(A−2)=99/1〜10/90であることを特徴とする前記3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
5.(A)、(B)及び(C)からなる組成物100質量部に対して、更に(D)潤滑剤0.05〜20質量部および/または(E)無機充填剤0.1〜150質量部添加された前記1〜4いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
6.(C)ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する重合体の粘弾性スペクトルにおけるtanδの主分散ピークが60℃〜−20℃の範囲である前記1〜5いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
7.前記1〜6いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物からなる成形体。
本発明の(A)成分に用いられるポリオキシメチレン樹脂は、ホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の両末端をエーテル、エステル基により封鎖したホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどとを共重合させて得られた炭素数2〜8のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.1〜40モル%を含有するオキシメチレンコポリマーや、さらに分岐状分子鎖を有するもの、オキシメチレン単位からなるセグメント50質量%以上と異種セグメント50質量%以下とを含有するオキシメチレンブロックポリマーから選ばれる少なくとも一種である。
上記ポリオキシメチレンブロック共重合体(A−1)は、オレフィン成分を含むポリマーとの相容性改良に効果があり、その点では(A−1)の単独使用が最も効果があるが、ポリオキシメチレン共重合体(A−2)と併用する場合は(A−1)/(A−2)の質量比が、99/1〜10/90の範囲で任意に用いることが可能であり、95/5〜80/20の範囲が好ましく、95/5〜70/30の範囲が特に好ましい。
本発明で用いられるポリオキシメチレン樹脂には、従来のポリオキシメチレン樹脂に使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤等を単独、またはこれらを組み合わせて用いることが出来る。熱安定剤としては、酸化防止剤、ホルムアルデヒドやぎ酸の捕捉剤およびこれらの併用が効果を発揮する。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また上記ベンゾトリアゾール系物質、シュウ酸アニリド系物質とヒンダードアミン系物質の組合せが最も好ましい。
(2)特開平03−292342号公報に示される、油添オレフィン共重合体ゴム、オレフィン樹脂、及び軟化剤を有機過酸化物で架橋した後に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを添加してなる組成物。
(3)特開平07−11067号公報に示される、架橋ゴム含有熱可塑性エラストマーとスチレン系ブロック共重合体、軟化剤及びポリオレフィン系樹脂とからなる組成物。
(4)特開平10−287775号公報に示される、特定のエチレン−αオレフィン共重合体、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるを水素添加」してなるブロック共重合体、プロピレン系重合体及びゴム用オイルからなる混合物をラジカル開始剤および架橋助剤により架橋した低硬度熱可塑性エラストマー組成物。
(5)WO2000/61681号公報に示される、メタロセン触媒を用いて製造したエチレン−αオレフィン共重合体、オレフィン系樹脂とからなり、架橋度が50%以上のエチレン−αオレフィン共重合体と、後から添加された熱可塑性エラストマーを含むゴム組成物。
本発明の樹脂組成物は(C)ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも1個有する重合体を含有することができる。ビニル芳香族化合物と上記の共役ジエン化合物とをランダム共重合したブロックを必ず1個以上持った重合体であればいかなる重合体であっても構わない。
具体的には、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックA(ビニル芳香族化合物の含有量が少なくとも90質量%以上である)と、少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックB(ビニル芳香族化合物の含有量が3重量%以上、90質量%未満である)とからなるブロック共重合体、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックC(共役ジエン化合物の含有量が少なくとも97重量%以上である)と、少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックB(ビニル芳香族化合物の含有量が3質量%以上、90質量%未満である)とからなるブロック共重合体、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックA(ビニル芳香族化合物の含有量が少なくとも90質量%以上である)と少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックB(ビニル芳香族化合物の含有量が3質量%以上、90質量%未満である)及び共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックC(共役ジエン化合物の含有量が少なくとも97質量%以上である)とからなるブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体が挙げられる。中でもビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックBとからなるブロック共重合体、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCと、少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックBとからなるブロック共重合体、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと少なくとも1個のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックB及び共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCとからなるブロック共重合体が前駆体として好ましい。上記したブロック共重合体中のランダム共重合体ブロックのビニル芳香族化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該ランダム共重合体ブロックは、ビニル芳香族化合物が均一に分布しているブロックおよび/またはテーパー状に分布しているブロックがそれぞれ複数個共存していてもよい。また該ランダム共重合体ブロックは、ビニル芳香族化合物含有量が異なるブロックが複数個共存していてもよい。
(A−B)n、A−(B−A)n−B、B−(A−B)n+1、[(A−B)k]m+1−Z、[(A−B)k−A]m+1−Z、[(B−A)k]m+1−Z、[(B−A)k−B]m+1−Z
(上式において、Zはカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物の開始剤の残基を示す。n、kおよびmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)
(C−B)n、C−(B−C)n−B、B−(C−B)n+1、[(C−B)k]m+1−Z、[(C−B)k−C]m+1−Z、[(B−C)k]m+1−Z、[(B−C)k−B]m+1−Z
(上式において、Zはカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物の開始剤の残基を示す。n、kおよびmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)
(A−B−C)n、A−(B−A)n−C 、C−(A−B)n+1、[(A−B−C)k]m+1−Z、[(A−B−C)k−A]m+1−Z、[(B−A−C)k]m+1−Z、[(B−A)k−C]m+1−Z
(上式において、Zはカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物の開始剤の残基を示す。n、kおよびmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)
本願の(B)成分と(C)成分の配合割合は(A)成分20〜99.5質量部に対して、(B)+(C)が0.5〜80質量部の範囲である。(A)成分が20質量部以上で成形加工時の流動性と成形品の外観が良好であり、99.5質量部以内で柔軟性が付与される。好ましい配合割合は(A)成分20〜95質量部に対し、(B)+(C)が80〜5質量部の範囲であり、さらに好ましくは(A)成分25〜90質量部に対し、(B)+(C)が75〜10質量部の範囲であり、最も好ましくは(A)成分25〜80質量部に対し、(B)+(C)が75〜20質量部の範囲である。
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールである。1価アルコールの例としてはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコールなどの飽和または不飽和アルコールがあげられる。
これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
また、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。これら、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルがさらに好ましい。
例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物とは以下の式(3)で示される化合物である。
またはアレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等で表されるジオレフィン系モノマーがある。これらオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる化合物であってもかまわない。オレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合は熱安定性向上の観点から慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
シリコーン化合物としては、
シリコーン化合物は、シリコーンガムとポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂である。
シリコーンガムは下式(4)に示される化合物であり、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエチレン樹脂などの樹脂に高濃度に予め配合したマスターバッチも市販されている。
これらシリコーン化合物は電気接点汚染の観点より環状低分子モノマーやオリゴマー(D4〜D20)の含有量を極力少なくしたものが好ましい。
これらの潤滑剤を用いる場合の配合割合は(A)、(B)及び(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜7質量部、最も好ましくは0.1〜5質量部である。また、これらの潤滑剤は組み合わせて使用することで摺動相手材に対応した性能が得られる。
さらに本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリオキシメチレン樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、潤滑剤、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを用いることが出来る。
本発明の成形体は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形或いは押出成形品の切削加工等の成形法で成形される。
また、シャーシ、トレー、側板、プリンターおよび複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラおよびデジタルカメラに代表されるカメラまたはビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Versatile Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む〕、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステムおよびモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像または情報機器、携帯電話およびファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品である。
さらにシャープペンシルのペン先およびシャープペンシルの芯を出し入れする機構部品、洗面台および排水口、排水栓開閉機構部品、自動販売機の開閉部ロック機構および商品排出機構部品、衣料用のコードストッパー、アジャスターおよびボタン、散水用のノズルおよび散水ホース接続ジョイント、階段手すり部および床材の支持具である建築用品、使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器および住宅設備機器に代表される工業部品として好適に使用できる。
[使用成分の内容]
A.ポリオキシメチレン樹脂
(a−1):熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整し、水+蟻酸=4ppmであるトリオキサンを40モル/hrで、同時に環状ホルマールとして1、3−ジオキソランを2モル/hrで重合機に供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解下させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10−5モルになるように、また連鎖移動剤として、下記式(7)の両末端ヒドロキシル基水素添加ポリブタジエン(Mn=2330)をトリオキサン1モルに対し1×10−3モルになるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、そのポリマーを濾過、洗浄し、濾過洗浄後の粗ポリオキシメチレン共重合体1重量部に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素の量に換算して20質量ppmになるよう添加し、均一に混合した後120℃で乾燥した。
(b−1):ラジカル架橋性エラストマーとしてエンゲージ8180(デュポンダウエラストマーズ社製、エチレンとオクテンとの共重合体でαオレフィンの共重合体比率28質量%、密度0.863g/cm3、ショアA硬度66)100質量部とブロック共重合体(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン構造を有し、スチレン含有量20質量%、数平均分子量51000、ポリブタジエン部分の水素添加率が99%)30質量部、ラジカル架橋性のない樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン(日本ポリケム社製商品名 MA2(ASTM D1238メルトインデックス15g/10min))40重量部を良くブレンドし、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=47で混練部をバレル中央部の両側に有し、シリンダー温度は220℃に設定)ホッパーに投入する。次いで押出し機の中央部の注入口より、ラジカル開始剤(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂(株)商標パーヘキサ25B)0.4質量部と架橋助剤としてジビニルベンゼン1.3質量部をポンプで注入し、加熱混練し、架橋反応させ、ペレタイズして組成物ペレットを得た。
1)引張破断強度(JIS K6251に準じ23℃で測定):6.3MPa
2)引張破断伸度(JIS K6251に準じ23℃で測定):360%
3)圧縮永久歪(JIS K6301に準じ、70℃×22時間で測定):33%
4)表面硬度(2mm厚シートを4枚重ね、ASTM D2240に準じて測定):66
(b−2〜7):表1に示す組成でb−1と全く同様に動架橋エラストマー及び比較品を製造し、同様に物性を測定した。結果を示した。
(c−1):窒素ガスで置換した攪拌機付きリアクターのシクロヘキサン溶媒中で、n−ブチルリチウムを重合開始剤として用い、A−B−A構造を有し、数平均分子量100,000、分子量分布1.5、全結合スチレン量70質量%、ポリマー中のブロックA全ての含有量が5質量%であり、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合量が70%であるスチレン−ブタジエンランダム共重合体を重合した。その後、窒素ガスで置換された別のリアクターへ重合液を移送し、米国特許4501857号に記載された方法にて水素添加反応をポリブタジエン部分のエチレン性不飽和結合に対して実施し、水素添加率98.9%のポリマーを得た。この水素反応後のポリマー溶液に熱劣化安定剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールをポリマー100質量部に対して3部添加し、溶剤であるシクロヘキサンを加熱除去し、水素添加されたA−B−A構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する重合体を得た。このポリマーのtanδの主分散ピーク温度は15℃であった。
(d−1):シリコーングラフトポリオレフィン樹脂
ラボ・プラストミル(東洋精機(株)製)を用いて、5質量%のメタクリル酸メチルを含有するメルトインディックス(ASTM D1238)が5g/10minのエチレン−メチルメタクリレート共重合体24g、下記式(8)のシリコーン化合物36gを、温度=180℃、回転数=60rpmで20分間溶融混練することによって得られたポリオレフィンにシリコーン化合物がグラフトした樹脂。
このシリコーングラフト化ポリオレフィン系樹脂中のシリコーン化合物のグラフト率は70wt%で、フリーのリコーン化合物は18wt%であった。
(d−2):ミリスチン酸セチルエステル
(e−1):ウォラストナイト(平均粒子径3μm、アスペクト比3)
(e−2):炭酸カルシウム(平均粒子径0.2μm、アスペクト比2)
(1)物性評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100GN)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で物性評価用試験片を成形した。この試験片を用いて下記の試験を行った。
i)引張強度、伸度;ASTM D638に基づいて測定した。
ii)曲げ強度、弾性率;ASTM D790に基づいて測定した。
iii)アイゾッド衝撃強度;ASTM D256に基づいて測定した。
(2)ショア硬度(D);JIS K7215に準じて測定した。
(3)圧縮永久歪;JIS K6301に準じて測定した。
実施例及び比較例でえられたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100E)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で、厚さ3.0mm×幅13mm×長さ175mmのダンベル成形品を作成した。この成形品を用い、無響音室にて、片方の端部を固定し、その固定端の根元をインパルスハンマーで打撃した際の放射音を測定したものであり、小野測器社製の音響解析システムにより、ハンマーの加振力信号とマイクロホンの音圧信号との周波数応答関数を求めたものである。数値の大きい方が、制振性能・消音性能に優れる。
往復動摩擦摩耗試験
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製 TI−30G)で金型温度70℃、冷却時間20秒の条件で、厚さ3mmの平板を成形し試験片とした。この試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製 AFT−15MS型)を用いて荷重400g、線速度30mm/sec、往復距離20mm、温度23℃で5000回往復し、摩擦係数と摩耗量を測定した。相手材料は、5mmφのSUS球を用いた。
(A)、(B)及び(C)成分の相溶性評価のためハクリ性能の評価を行った。 物性測定を行ったASTMダンベル片のランナー部分を24時間室温で放置し、ゲート部分をニッパで引き裂いて評価を行った。評価の基準は以下の通り。
◎;全くハクリが認められないもの。
○;ゲート部分の一部にハクリが認められるもの。
△;ゲート部分の広範囲にハクリがあるもの。
×;ゲートからランナーにかけて表面ハクリが認められるもの。
成形機のホッパーや乾燥機でのブロッキングの指標として評価を行った。
実施例及び比較例で得られたペレットを500mlのSUS容器に約300mlを入れ、80℃のギヤオーブンで3時間加熱乾燥を行い、ペレットのブロッキング性能を評価した。評価の基準は以下の通り。
◎;全くブロッキングなく、容器を傾けると流出可能なもの。
○;若干ブロッキングあるが弱い衝撃で流出可能なもの。
△;ブロッキングが認められ強い衝撃を加えると流出可能なもの。
×;SUS容器から全く流出せず、強い衝撃を与えても流出しないもの。
(a−1)成分のポリオキシメチレン樹脂 42質量部、(b−1)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動架橋エラストマー 58質量部、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3質量部、ポリアミド66 0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を加え、ブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表2に示す。
(b−1)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動架橋エラストマーを表2に示す成分に変更する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
(b−1)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動架橋エラストマーを表2に示す成分に変更する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
(a−1)成分のポリオキシメチレン樹脂 42質量部、(b−1)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動架橋エラストマー 43質量部、(c−1)成分の芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する重合体 15質量部、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3質量部、ポリアミド66 0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を加え、ブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表2に示す。
実施例1の(b−1)成分を(c−1)成分に変更する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
ポリオキシメチレン樹脂として(a−2)を用いる以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例1に更に(d)、(e)成分を表3に従って添加する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表3に示す。
実施例7に更に(d)、(e)成分を表3に従って添加する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表3に示す。
(1)プリンター及び複写機に代表されるOA機器に使用される部品
(2)VTRおよびビデオムービーに代表されるビデオ機器に使用される部品
(3)カセットプレーヤー、LD、MD、CD(含CD−ROM、CD−R、CD−RW)、DVD(含DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−Audio)、ナビゲーションシステムおよびモバイルコンピューターに代表される音楽、映像、または情報機器に使用される部品
(4)携帯電話、およびファクシミリに代表される通信機器に使用される部品
(5)自動車内外装部品に使用されるクリップ、スルーアンカー、タング、燃料タンク、燃料タンクおよび その周辺部品に使用される部品
(6)使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、コンベア、バックル、および住設機器に代表される工業雑貨に使用される部品
Claims (7)
- (A)ポリオキシメチレン樹脂 20〜99.5質量部、(B)圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動的架橋型エラストマーと(C)ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する粘弾性スペクトルにおけるtanδの主分散ピークが60℃以下の重合体とからなり、(B)+(C)が0.5〜80質量部であり、かつ(B)/(C)が100/0〜10/90質量%の範囲であることを特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物。
- (B)成分の圧縮永久歪(C−セット)が70〜20%の動的架橋型エラストマーが、ラジカル架橋性エラストマーとラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下に溶融混練させながら架橋したものである、請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- (A)ポリオキシメチレン樹脂が、下記式(1)で表される数平均分子量10000〜500000のポリオキシメチレンブロック共重合体(A−1)であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- (A)ポリオキシメチレン樹脂が、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基をオキシメチレンユニットに対して、0.1〜10モル%を含有するポリオキシメチレン共重合体(A−2)と前記(A−1)との併用であり、その質量比が(A−1)/(A−2)=99/1〜10/90であることを特徴とする請求項3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- (A)、(B)及び(C)からなる組成物100質量部に対して、更に(D)潤滑剤0.05〜20質量部および/または(E)無機充填剤0.1〜150質量部添加された請求項1〜4いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- (C)ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体ブロックを少なくとも一個有する重合体の粘弾性スペクトルにおけるtanδの主分散ピークが60℃〜−20℃の範囲である請求項1〜5いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物からなる成形体。
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