JP3821698B2 - ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂に関し、熱安定性を損なうことなく、優れた耐衝撃性と摺動性を兼ね備え、さらに帯電防止性能を有するポリオキシメチレン樹脂組成物に関する。本発明の組成物は精密機器、家電・OA機器、自動車、工業材料及び雑貨などにおける部品に好適である。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシメチレン樹脂はバランスのとれた機械的性質と優れた耐摩耗性をもつエンジニアリング樹脂として、各種の機構部品をはじめ、OA機器などに広く用いられている。しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂は耐衝撃性が十分なレベルではない。このため、ポリオキシメチレン樹脂とエラストマー成分との組成物とする試みがなされている。特開昭59−155453号公報、特開昭59−145243号には、ポリオキシメチレン樹脂にポリウレタン樹脂を配合する技術が、特開昭54−155248号公報にはポリオキシメチレン樹脂にオレフィン系エラストマーとポリウレタンを配合する技術が、特開昭62−036451号公報にはポリアセタール樹脂に多層インターポリマーと熱可塑性ポリウレタンを配合する技術が、特開昭63−280758号公報にはポリオキシメチレンに熱可塑性ポリウレタンとポリエーテルブロックコポリアミドを配合する技術が、特開平8−183115号公報にはポリアセタール樹脂にポリアルキレンオキサイドを配合する技術が示されている。これらの技術の中で、実用レベルにあるのはポリウレタンを添加する技術であるが、ポリウレタン樹脂は高価である、摺動性が劣る、成形品のウエルド部分の強度が低い、などの問題があった。
【0003】
本願に用いられるポリアミドエラストマーをポリオキシメチレン樹脂に用いる技術としては、特開昭59−191752号公報にポリアセタール樹脂にポリエーテルエステルアミドを配合した帯電防止性に優れた樹脂組成物が、特開昭63−110245号公報にはポリアセタール樹脂とポリエーテルエステルアミドからなる耐衝撃性と帯電防止性能に優れる樹脂組成物が、特開平10−81845号公報にはポリアセタール樹脂とポリエーテルエステルアミドからなる耐衝撃性と帯電防止性能に優れる樹脂組成物が、特開平4−168145号公報にはポリアセタール樹脂とポリエーテルエステルアミド及び潤滑剤からなる機械的特性、帯電防止性能および摩擦摩耗性に優れる樹脂組成物が、特開平4−370156号公報にはポリアセタール樹脂を含む熱可塑性樹脂にポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミドから選ばれるポリアミドエラストマーに1,2−アルキレンキサイドをグラフト重合してなる変性ポリアミドエラストマーからなる帯電防止性能と耐衝撃性に優れる樹脂組成物が示されている。しかしこれらの組成物は、耐衝撃性において前記ポリウレタン系に較べて大幅に劣っており、また摩擦摩耗性も満足出来るレベルではなかった。
【0004】
また本願に用いられる酸変性オレフィン系樹脂を用いる技術としては、特開昭59−204652号公報にポリアセタール樹脂と酸変性α−オレフィン共重合体からなる組成物が示されているが、ポリアセタール樹脂は酸に弱いため高温、高剪断下で混練を行うとポリアセタール樹脂の分解を生じる場合があり、得られた組成物の耐衝撃性は前期したポリウレタン系には較べて大幅に劣っていた。
さらに、ポリアミドエラストマーと酸変性オレフィン共重合体とを用いる技術としては、特開平7−188475号公報にポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステル樹脂及び/またはポリアセタール樹脂および変性低分子ポリオレフィンからなる樹脂組成物が示されているが、これは基本的にポリオレフィン系樹脂に他の成分を分散させた系で、ポリアセタール樹脂の添加目的はポリエーテルエステルアミドを樹脂表面へ出やすくするためであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂の熱安定性を損なうことなく、優れた耐衝撃性と摺動性を兼ね備え、さらに帯電防止性能を有する組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオキシメチレン樹脂の耐衝撃性を改良するために各種の耐衝撃改良材を検討した結果、(A)ポリオキシメチレン樹脂、(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂からなり、(B)/(C)の割合が特定の範囲である樹脂からなる組成物が、ポリオキシメチレン樹脂の熱安定性を損なうことなく、ポリウレタン系と同等以上の優れた耐衝撃性を有し、さらにポリウレタン系の問題点である摺動性、ウエルド強度を解決出来ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
1.(A)ポリオキシメチレン樹脂40〜99.5重量部、および(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性率が0.05〜15重量%である酸変性オレフィン系樹脂からなり、(B)/(C)の割合が10/90〜90/10重量%の範囲である樹脂0.5〜60重量部からなる樹脂組成物、
2.(A)成分が連続相をとり、(B)成分と(C)成分が球状または球が重なりあった形状の分散相で存在し、その分散粒子径が0.01〜20μmの範囲である1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物、
3.(A)ポリオキシメチレン樹脂および(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂からなる樹脂100重量部に対して、(D)潤滑剤0.1〜10重量部及び/又は(E)無機充填材0.1〜150重量部添加してなる1または2に記載の樹脂組成物、
4.1〜3のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体、
【0008】
5.1〜3のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形、切削または成形・切削加工して得られる機構部品、アウトサートシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー及び側板からなる群から選ばれた少なくとも一種の部品、
6.機構部品が、ギヤ、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、関節、軸、軸受け、キーステム、キートップからなる群から選ばれる少なくとも一種の部品である5記載の部品、
7.OA機器に使用される5または6記載の部品、
8.ビデオ機器に使用される5または6記載の部品、
9.音楽、映像または情報機器に使用される5または6記載の部品、
10.通信機器に使用される5または6記載の部品、
11.自動車内外装部品に使用される5または6記載の部品、
12.工業雑貨に使用される5または6記載の部品
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
<ポリオキシメチレン樹脂組成物>
本発明の(A)ポリオキシメチレン樹脂は、ホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の両末端をエーテル基、エステル基により封鎖したホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどとを共重合させて得られた炭素数2〜8のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.1〜20モル%を含有するオキシメチレンコポリマーやさらに分岐状分子鎖を有するもの、オキシメチレン単位からなるセグメント50重量%以上と異種セグメント50重量%以下とを含有するオキシメチレンブロックポリマーのうちの少なくとも一種である。
【0010】
オキシメチレンブロックポリマーとしては、特開昭57−31918号公報に示されるポリアルキレングリコールとポリオキシメチレンホモポリマーとのブロックポリマー、国際公開(WO)01/09213号パンフレットに開示された水素添加ポリブタジエンとオキシメチレンコポリマーのブロックポリマーが好ましい。また、これらポリオキシメチレン樹脂はその目的によって使い分けすることが出来る。摺動性や剛性の観点からはホモポリマーやコモノマー量の少ないコポリマーの使用が好ましく、熱安定性や耐衝撃性の観点からはコモノマー量の多いコポリマーや水素添加ポリブタジエンとオキシメチレンコポリマーのブロックポリマーの使用が好ましい。また、本発明で用いるポリオキシメチレン樹脂の溶融指数MI(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は、0.5g/10分から100g/10分、好ましくは1.0g/10分から80g/10分である。0.5g/10分未満では成形加工が困難で、100g/10分を超えると耐久性が不十分である。
【0011】
本発明のポリオキシメチレン樹脂には、従来のポリオキシメチレン樹脂に使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤を単独、またはこれらを組み合わせて用いることが出来る。熱安定剤としては酸化防止剤、ホルムアルデヒドやぎ酸の捕捉剤およびこれらの併用が効果を発揮する。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等が挙げられる。これらヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでもトリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。
【0012】
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体、(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩またはアルコキシド等が挙げられる。
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物としては、(1)ジシアンジアミド、(2)アミノ置換トリアジン、(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物等が挙げられる。
【0013】
(2)アミノ置換トリアジンとしては、例えば、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン(アメライト)、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン(アメリン)、N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、などが挙げられる。(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物としては、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド重縮合物、などが挙げられる。これらの中で、ジシアンジアミド、メラミン及びメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物が好ましい。
【0014】
さらに(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素基を有する重合体としては、(1)ポリアミド樹脂、(2)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体、(3)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとをラジカル重合の存在下で重合して得られる重合体、(4)アミン、アミド、尿素及びウレタン等窒素基を含有する重合体でも良い。
【0015】
(1)のポリアミド樹脂としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等及びこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等が挙げられる。(2)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体としては、ポリ−β−アラニン共重合体が挙げられる。これらのポリマーは米国特許第5,015,707号明細書、特公平5−87096号、特公平5−47568号及び特開平3−234729号の各公報記載の方法で製造することができる。(3)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとをラジカル重合の存在下で重合して得られる重合体は、米国特許第5,011,890号明細書記載の方法で製造することが出来る。
【0016】
(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩またはアルコキシドとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、カルボン酸塩が挙げられる。該カルボン酸塩のカルボン酸は、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸等であり、これらのカルボン酸はヒドロキシル基で置換されていてもよい。飽和脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸は、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸などが挙げられる。又、アルコキシドとして、上記金属のメトキシド、エトキシドなどが挙げられる。
【0017】
耐候(光)安定剤としては、(イ)ベンゾトリアゾール系物質、(ロ)シュウ酸アニリド系物質及び(ハ)ヒンダードアミン系物質が好ましい。(イ)ベンゾトリアゾール系物質としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ、好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル]ベンゾトリアゾールである。
【0018】
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
(ハ)ヒンダードアミン系物質としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,26,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、
【0020】
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート等が挙げられ、好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。上記ヒンダードアミン系物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また上記ベンゾトリアゾール系物質およびシュウ酸アニリド系物質の少なくとも一種とヒンダードアミン系物質の組合せが最も好ましい。
【0021】
本発明の(B)成分に用いられる(B)ポリアミドエラストマーはポリエーテルエステルアミドおよびポリエーテルアミドである。ポリエーテルエステルアミドは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとポリエーテルまたはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物とからなるブロック共重合体である。両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは(1)ラクタムの開環重合体、(2)アミノカルボン酸の重縮合体若しくは(3)ジカルボン酸とジアミンの重縮合体であり、(1)のラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。(2)のアミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。(3)のジカルボン酸としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、イソフタル酸等が挙げられ、またジアミンとしてはヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。上記ポリアミド形成用モノマーとして例示したものは2種以上を併用しても良い。
【0022】
両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは、炭素数4〜20のジカルボン酸成分を分子量調整剤として使用し、これの存在下に上記ポリアミド形成モノマーを常法により開環重合あるいは重縮合させることによって得られる。炭素数4〜20のジカルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、3−スルホイソフタルナトリウム、3−スルホイソフタル酸カリウム等のイソフタル酸アルカリ金属塩である。かかるポリアミドの数平均分子量は、300〜15000、好ましくは500〜5000である。
【0023】
一方ポリエーテルブロック単位としては、(1)炭素数2〜4の開環されたアルキレンオキサイドを構成単位とするポリアルキレンオキサイドと(2)ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物である。(1)炭素数2〜4の開環されたアルキレンオキサイドを構成単位とするポリアルキレンオキサイドは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(1,2ブチレンオキサイド)、ポリ(1,4−ブチレンオキサイド)、ポリ(テトラメチレンオキサイド)またはこれらの混合物若しくは共重合体である。(2)ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物はビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)および4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン)等が挙げられ、このビスフェノール類にアルキレンオキサイドを付加させることにより得られる。またアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドが好ましく、他のアルキレンオキサイドを併用することも出来るが、他のアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドの10重量%以下が好ましい。かかるポリエーテルまたはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物ポリエーテルブロック単位の分子量は200〜8000、好ましくは500〜3000である。
【0024】
この、ポリエーテルエステルアミドは、前述した組成物特許(具体的には特開昭59−191752号公報、特開平7−10989号公報など)にその製造方法が示されているが、特公昭56−45419号公報、特公昭57−24808号公報、特公昭63−32090号公報、特公昭63−456号公報、特公昭63−20254号公報などにも詳細に示される方法でも製造できる。
ポリエーテルアミドは、(1)ポリアミド形成モノマー、(2)アミノ末端基及び/またはカルボキシル基末端を有するポリエーテル、(3)(2)の末端基に実質的等量の脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸及び/又はジアミンを出発原料として重縮合により製造される。
【0025】
ポリアミド形成モノマーとしては、ラクタム、アミノカルボン酸およびジアミンとジカルボン酸との塩が例示される。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。アミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。ジアミンとジカルボン酸の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−2,4,2−トリメチレヘキサメチレンジアミン、1,3−/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4’アミノシクロヘキシル)メタン、m−/p−キシリレンジアミンのようなジアミンとシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。上記ポリアミド形成用モノマーとして例示したものは2種以上を併用しても良い。
【0026】
これらポリエーテルアミドの製造方法は前述した特開平4−168145号公報に示されているが、特公昭45−7559号公報、特開昭55−118924号公報、特公昭62−50495号公報、特開昭59−131628号公報、特開昭59−133224号公報、特公昭63−55535号公報、特公昭63−456号公報、特公昭63−20254号公報などに詳細に示される方法でも製造することが出来る。
【0027】
かくして得られるポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドの分子量は、本発明の目的からは特に制限されるものではないが、一般的には1000〜50000、好ましくは10000から40000である。さらに、該共重合体中のラクタム成分またはポリアミド成分対ポリエーテル成分の構成比率は、15〜90重量%対85〜10重量%の範囲、望ましくは20〜80重量%対80〜20重量%である。ポリアミド成分が15重量%より少ないと酸変性オレフィン系樹脂との結合が不十分となり、ポリエーテルブロックが10重量%より少ないとポリオキシメチレン樹脂との界面接着強度が低下するため好ましくない。また、上記ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドは2種類以上を併用することは当然可能である。
【0028】
本発明の(C)酸変性ポリオレフィン系樹脂におけるオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等のα−オレフィンの単独重合体、または前記α−オレフィンおよびかかるα−オレフィンと共重合可能な単量体との共重合体(ランダム、ブロックまたはグラフト重合体)などが例示できる。
【0029】
前記α−オレフィンと共重合可能な単量体としては、共役ジエン成分(ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなど)、非共役ジエン(1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、5−エチリデンノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなど)、(メタ)アクリル酸またはそのエステル誘導体(メタクリル酸メチルなど)、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニル単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなど)、ビニルエーテル(ビニルメチルエーテルなど)、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)などが挙げられる。
これらのオレフィン系樹脂の単独重合体または共重合体を、α,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸)及び/又はその酸無水物で(必要により過酸化物を併用して)変性して酸変性オレフィン系樹脂を得る。酸変性オレフィン系樹脂は、各種のオレフィン類と酸無水物を共重合したものでも良い。
【0030】
本発明においては、酸変性オレフィン系樹脂における酸変性率は0.05〜15重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
酸変性オレフィン系樹脂の酸変性率は、樹脂サンプルを熱キシレンで溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてナトリウムメチラートで滴定して求めることができる。
酸変性率が0.05重量%未満では(B)成分中のポリアミドとの結合が不十分なため、分散粒子径のコントロールが難しく、耐衝撃性が低下するため好ましくない。酸変性率が15重量%を超えると残存する未反応酸基が多くなるため熱安定性が低下するため好ましくない。
酸変性オレフィン系樹脂の分子量は重量平均で5000〜500000の範囲が好ましい。
なお、樹脂の組成、分子量および酸変性率の異なるものを2種以上併用することは当然有効であるし、未変性のオレフィン系樹脂に酸変性オレフィン系樹脂を混合したものを用いることも有効である。
【0031】
本発明においては、(A)成分の量を、ポリオキシメチレン樹脂組成物100重量部に対して40〜99.5重量部とすることが好ましく、より好ましくは45〜99.0重量部である。また、(B)成分および(C)成分の合計量は、ポリオキシメチレン樹脂組成物100重量部に対して0.5〜60重量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜55重量部である。
また、本発明においては(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂との割合は、(B)/(C)が10/90〜90/10重量%の範囲であり、好ましくは15/85〜85/15重量%の範囲であり、さらに好ましくは20/80〜80〜/20重量%の範囲である。(B)が10%未満では、酸変性オレフィン系樹脂の酸成分により押出時にポリオキシメチレン樹脂が分解したり、組成物とした場合にも耐衝撃性が低下するなどの問題があり好ましくなく、(C)が10%未満ではポリオキシメチレン樹脂との相溶性が悪くなる分散粒径を保持できなくなるため好ましくない。(B)が10%未満では、酸変性オレフィン系樹脂の酸成分により押出時にポリオキシメチレン樹脂が分解したり、ポリオキシメチレン樹脂との相溶性が悪くなる分散粒径を保持できなくなるため好ましくない。(C)が10%未満では耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0032】
また、(B)ポリエーテルエステルアミドと(C)酸変性オレフィン系樹脂におけるアミド基と酸基の割合はアミド基量100モルに対して、酸基が0.1〜50モルの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜40モルの範囲である。酸基が50モルを超えると、残存する酸基により、押出加工時にポリオキシメチレン樹脂が分解するため好ましくなく、酸基が0.1モル%未満では次項で述べる分散粒子径をコントロールする事が難しく耐衝撃性の改良効果が不十分となるため好ましくない。
【0033】
(B)ポリエーテルエステルアミドと(C)酸変性オレフィン系樹脂からなる成分は(A)ポリオキシメチレン樹脂成分中に球状および球が重なりあった形状の分散相で存在し、その分散粒子径は0.01〜20μm以下の範囲であることが必要であり、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、さらに好ましくは0.1〜10μmの範囲である。分散粒径が20μmを超えると耐衝撃性が低下すると共に表面外観が悪くなるため好ましくない。
なお、本発明の(B)ポリアミドエラストマーおよび(C)酸変性オレフィン系樹脂の(A)ポリオキシメチレン樹脂への添加方法としては、特に制限されないが、(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂とをそれぞれ単独に(A)ポリオキシメチレン樹脂に添加する方法、または、あらかじめ(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂とを混練して添加する方法等が挙げられる。
【0034】
本発明においては、上記ポリオキシメチレン樹脂組成物に、更に(D)潤滑剤を添加することができる。かかる潤滑剤としては、例えばシリコーン化合物、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール及び平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物等が挙げられる。
シリコーン化合物としては、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂とシリコーンガムである。ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂(これらは必要により酢酸ビニルなどの少量のビニル系単量体を含有していても良い。)に、以下の式(1)に示すポリジメチルシロキサンに代表される化合物をグラフト重合したものである。
【0035】
【化1】
(式中のメチル基は、水素、アルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基や反応性置換基であるヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基、アリル基、ポリエーテル基、フッ素含有アルキル基などを有する置換基で置換されていても良く、グラフトのためにはビニル基又はアリル基を有する置換基、好ましくはビニル基を有することがより好ましい。平均重合度はn=1000〜10000の範囲である。平均重合度(n)1000未満や10000を超える範囲は摺動性能が不十分なため好ましくない。)
【0036】
このポリオレフィンにシリコーンガムがグラフトした樹脂は米国特許第3865897号明細書に示す様に、前述したポリオレフィン系樹脂とシリコーンガムを特定の温度および剪断条件下で溶融混練することによって製造することが出来る。また、同様の技術は米国特許第4252915号明細書や特開平1−230652号公報に詳細に示されている。また、ポリオレフィン系樹脂とシリコーンガムを溶融混練するに際して、少量の有機過酸化物を用いる事も可能である。
【0037】
本願のポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂は、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムが緩やかに(シリコーン成分が架橋構造によりゴム弾性を生ずるほどの高度の架橋構造を持たない事とシリコーン成分の摺動性能改良効果を損なわない範囲である)グラフトしていることが必要であり、その指標としては、溶剤(トリクロロエチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素やトルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素)を用いた溶出試験により求められたシリコーンガムのグラフト率(添加シリコーン量から溶出シリコーン量を差し引いた量を添加シリコーン量で割った値(重量%))で示され、このグラフト率が98〜30重量%の範囲であることが必要である。好ましくは95〜40重量%、さらに好ましくは90〜50重量%の範囲である。グラフト率が30重量%を下回ると、フリーのシリコーンガムが増えるため薄肉成形品ハクリが悪化するため好ましくなく、98重量%を超えるとシリコーンガムの架橋が進むため摺動性が悪化するため好ましくない。また、原料に用いられるリコーン化合物は電気接点汚染の観点より環状低分子モノマーやオリゴマー(D4〜D20)の含有量を極力少なくしたものが好ましい。
これら、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂はダウコーニング・アジア社からシリコーンマスターペレットとして市販されている。具体的にはSP−100、SP−110、SP−300、SP−310、SP−350(以上商品名)などのグレードがある。
【0038】
シリコーンガムは下記(2)に示すポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーン化合物である。
【化2】
(式中のメチル基は水素、アルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基や反応性置換基であるヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基、アリル基、ポリエーテル基、フッ素含有アルキル基などを有する置換基で置換されていても良い。式中nは平均重合度を示し、n=1000〜10000の範囲である。)
nが1000未満や10000を超える範囲は摺動性能が不十分なため好ましくない。また、これらシリコーン化合物は電気接点汚染の観点より環状低分子モノマーやオリゴマー(D4〜D20)の含有量を極力少なくしたものが好ましい。
【0039】
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールである。1価アルコールの例としては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコールなどの飽和または不飽和アルコールが挙げられる。
【0040】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。
【0041】
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
【0042】
アルコールと脂肪酸のエステルとしては下記に示すアルコールと脂肪酸とのエステルである。アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールであり、例えば、1価アルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和アルコールが挙げられる。
【0043】
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0044】
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。これら、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルがさらに好ましい。
【0045】
アルコールとジカルボン酸のエステルは、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和の一級アルコールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等のジカルボン酸とのモノエステル、ジエステル及びこれらの混合物である。これらのアルコールとジカルボン酸のエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0046】
ポリオキシアルキレングリコール化合物としては、3種類の化合物が挙げられる。第1のグループとしては、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合モル数の好ましい範囲は5〜1000、より好ましい範囲は10〜500である。第2のグループは、第1のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。第3のグループは、第1のグループと高級脂肪酸とのエステル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
【0047】
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物とは、以下の式(3)で示される化合物である。
【化3】
(式中、R1 、R2 は、水素、アルキル基、アリール基、エーテル基より選ばれ、各々同一でも異なっていても良い。mは平均重合度で10〜500である。アルキル基としては、例えばエチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等であり、アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基等がある。またエーテル基としては、例えばエチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がある。)
【0048】
具体的にオレフィン化合物を構成するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等で表されるオレフィン系モノマー、またはアレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等で表されるジオレフィン系モノマーが挙げられる。これらオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる化合物であってもかまわない。オレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合は熱安定性向上の観点から慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
【0049】
オレフィン化合物を構成するオレフィン単位の平均重合度nは10〜500の間にある必要があり、好ましくは15〜300の範囲であり、さらに好ましくは15〜100の範囲である。平均重合度nが10より小さい場合は長期の摺動特性が低下すると共に金型汚染性へも悪影響を与えるため好ましくない。nが500より大きい場合は、初期の摺動特性が大きく低下するため好ましくない。
これら潤滑剤を用いる場合の配合割合はポリオキシメチレン樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2〜7重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。添加量が0.1重量部未満では摺動性の改良効果が不十分であり、10重量部を超えて添加すると、摩耗量が増加するとともにハクリが悪化するため好ましくない。
【0050】
本発明においては、上記ポリオキシメチレン樹脂組成物に、更に(E)無機充填材を添加することもできる。無機充填剤としては、繊維状、粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮、等の金属繊維等の無機質繊維があげられる。また、繊維長の短いチタン酸カリ、酸化亜鉛、酸化チタン等のウイスカーや針状ウォラストナイト(珪酸カルシウム)も含まれる。粉子状充填剤としては、黒鉛、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等があげられる。板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、各種金属箔があげられる。中空状充填剤としては、カーボンナノチューブ、ガラスチューブ、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等があげられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。
【0051】
これらの充填剤は表面処理されたもの、表面処理されていないもの、何れも使用可能であるが、成形品表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施されたものの使用が好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的には、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
【0052】
これらの充填剤の粒子径は各々の充填剤の使用目的によって決まってくるため、特に規定されないが、その使用目的から以下の様に区分される。
(1)成形品表面外観と摺動性の付与
成形品の表面外観と優れた摺動性を付与するという観点からは、無機充填剤の粒子径は体積平均粒子径で100μm以下のものが使用され、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。この目的で好ましく用いられる無機充填剤は具体的には、チタン酸カリウィスカー、ウォラストナイト(針状、粒状)、炭酸カルシウム、タルク、黒鉛、ネフェリンサイナイト、ヒドロキシアパタイト、シリカ、カーボンブラック、カオリンが好ましく、チタン酸カリウィスカー、ウォラストナイト(針状、粒状)、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラックが特に好ましい。
【0053】
(2)剛性の付与
成形品に高いレベルの剛性を付与するという観点からは、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、マイカなどが用いられる。
(3)導電性の付与
成形品に導電性を付与するという観点からは、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維などが用いられる。
これら充填剤を添加する場合の添加割合はポリオキシメチレン樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜150重量部の範囲であり、好ましくは1〜100重量部の範囲である。0.5重量部未満では充填剤の補強効果が不十分であり、150重量部を超えると表面外観の悪化とともに成形加工性や耐衝撃性が低下するため好ましくない。
さらに本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリオキシメチレン樹脂で用いられる各種の添加剤(例えば、本願記載以外の潤滑剤、耐衝撃性改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを用いることが出来る。
【0054】
<ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造>
本発明の樹脂組成物の製造方法は一般的に使用されている溶融混練機を用いることができる。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等上げることができる。このときの加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
<成形体>
本発明の成形体は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形或いは押出成形品の切削加工等の成形法で成形される。
【0055】
かかる成形品は、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受けおよびガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンターおよび複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラおよびデジタルカメラに代表されるカメラまたはビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk )、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Versatile Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む〕、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステムおよびモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像または情報機器、携帯電話およびファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品、自動車用の部品としてガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア廻り部品、シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品、コンビスイッチ部品、スイッチ類およびクリップ類の部品、さらにシャープペンシルのペン先およびシャープペンシルの芯を出し入れする機構部品、洗面台および排水口、排水栓開閉機構部品、自動販売機の開閉部ロック機構および商品排出機構部品、衣料用のコードストッパー、アジャスターおよびボタン、散水用のノズルおよび散水ホース接続ジョイント、階段手すり部および床材の支持具である建築用品、使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器および住宅設備機器に代表される工業部品として好適に使用できる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。はじめに、実施例および比較例で使用する成分の内容と評価方法を以下に示す。
[使用成分]
(A)ポリオキシメチレン樹脂
a−1;1,3ジオキソラン1.3モル%を共重合成分として含む、曲げ弾性率2600MPaで、メルトインデックス3.0g/10分(ASTM D−1238−57T)のポリオキシメチレンコポリマー
a−2;1,3ジオキソラン0.5モル%を共重合成分として含む、曲げ弾性率2900MPaで、メルトインデックス3.0g/10分(ASTM D−1238−57T)のポリオキシメチレンコポリマー
a−3;1,3ジオキソラン2.5モル%を共重合成分として含む、曲げ弾性率2450MPaで、メルトインデックス3.0g/10分(ASTM D−1238−57T)のポリオキシメチレンコポリマー
【0057】
a−4;水+ギ酸=4ppmであるトリオキサンを40モル/hrで、同時に環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを1モル/hrで重合機に供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し1×10-5モルになるように、また連鎖移動剤として下記式(4)の両末端ヒドロキシ基水素添加ポリブタジエン(Mn=2330)をトリオキサン1モルに対し1×10-3モルになるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、そのポリマーを濾過、洗浄し、濾過洗浄後の粗ポリオキシメチレン共重合体1重量部に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素の量に換算して20重量ppmになるように添加し、均一に混合した後120℃で乾燥した。
【0058】
【化4】
【0059】
次に、上記乾燥粗ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3重量部添加し、ベント付き2軸スクリュー式押出機に供給した。押出機中の溶融しているオキシメチレン共重合体に必要に応じて水及び/又はトリエチルアミンを添加し、押出機の設定温度200℃、滞留時間5分で不安定末端部の分解を行った。不安定末端部の分解されたポリオキシメチレン共重合体は−600mmHgの条件下で減圧脱気され、押出機ダイス部よりストランドとして押し出されカッターでペレタイズされた。得られたポリオキシメチレン共重合体はメルトインデックス3.5g/10分(ASTM D−1238−57T)であった。
a−5;1,3ジオキソラン0.5モル%を共重合成分として含む、曲げ弾性率2900MPaで、メルトインデックス9.0g/10分(ASTM D−1238−57T)のポリオキシメチレンコポリマー
【0060】
(B)ポリエーテルエステルアミド
b−1;3リットルのステンレス性オートクレーブに、ε−カプロラクタム105重量部、アジピン酸17.1重量部、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.3重量部および水6重量部を仕込み、窒素置換後、220℃で加圧密閉化4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドオリゴマーを117部得た。次に数平均分子量2,000のビスフェノールAエチレンオキサイド付加物225重量部および酢酸ジルコニル0.5重量部をくわえ、245℃、1mmHg以下の減圧下の条件で5時間重合し、粘ちょうなポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状に取り出し、ペレタイズして、ポリエーテルエステルアミドを得た。このものの相対粘度は2.2(0.5重量%、m−クレゾール溶液、25℃)であり、NMRによる共重合組成は以下の通りであった。
カプロラクタムの残基 28.3重量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の残基 67.2重量部
アジピン酸の残基 4.5重量部
【0061】
b−2;3リットルのステンレス性オートクレーブに、カプロラクタム500重量部、ポリエチレングリコール450重量部、アジピン酸66重量部および酸化防止剤(イルガノックス1098、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)5重量部の割合で仕込み、窒素雰囲気下、260℃で1時間加熱撹拌して、均質透明溶液とした後、三酸化アンチモン触媒1.0部を添加した。その後、減圧を開始して、1時間で1mmHg以下とした後、3時間反応させた。得られた粘ちょうなポリマーをベルト上にストランド状に取り出しペレタイズして、ポリエーテルエステルアミドを得た。このものの相対粘度は2.0(0.5重量%、m−クレゾール溶液、25℃)であり、NMRによる共重合組成は以下の通りであった。
カプロラクタムの残基 50.0重量部
ポリエチレングリコールの残基 44.2重量部
アジピン酸の残基 5.8重量部
【0062】
b−3;約50重量%のポリアミド12と約50重量%のポリ(テトラメチレンオキサイド)からなるポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(ダイセルヒュールス社製、ダイアミドE40、商品名)
b−4;約60重量%のポリアミド12と約40重量%のポリ(テトラメチレンオキサイド)からなるポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(ダイセルヒュールス社製、ダイアミドE47、商品名)
【0063】
b−5;カプロラクタム50重量部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコールジアミンおよびこれとほぼ等量のダイマー酸を合計で50重量部オートクレーブに仕込み、窒素置換して240℃、3時間過熱した後、1時間かけて270℃とし、さらに3時間加熱して重縮合を完結させた。得られた粘ちょうなポリマーをベルト上にストランド状に取り出しペレタイズしポリエーテルアミドを得た。このものの相対粘度は1.8(0.5重量%、m−クレゾール溶液、25℃)であり、NMRによる共重合組成は以下の通りであった。
カプロラクタムの残基 51.0重量部
ポリエチレングリコールの残基 49.0重量部
b−6;ミラクトランP22M(日本ポリウレタン(株)製ポリウレタン樹脂、商品名)
【0064】
(C)酸変性ポリオレフィン系樹脂
c−1;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が0.5重量%でメルトインデックス2.5g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−2;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が1.0重量%でメルトインデックス3.0g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−3;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が1.5重量%でメルトインデックス3.0g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−4;マレイン酸変性エチレンブテン共重合体(マレイン酸変性率が1.5重量%でメルトインデックス5.0g/10分(ASTM D−1238−57T))
【0065】
c−5;マレイン酸変性水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン/ブタジエン=20/80重量%のタフテックH1052(旭化成(株)製)を無水マレイン酸で変性し、マレイン酸変性率が1.0重量%でメルトインデックス0.4g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−6;直鎖状低密度ポリエチレン(メルトインデックス2.5g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−7;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が0.05重量%でメルトインデックス2.5g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−8;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が0.1重量%でメルトインデックス2.5g/10分(ASTM D−1238−57T))
【0066】
c−9;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が3.0重量%でメルトインデックス3.2g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−10;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が4.0重量%でメルトインデックス3.7g/10分(ASTM D−1238−57T))
c−11;マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(マレイン酸変性率が5.0重量%でメルトインデックス4.0g/10分(ASTM D−1238−57T))
【0067】
(D)潤滑剤
d−1;ミリスチン酸セチルエステル
d−2;ポリエチレングリコール(分子量2000)
d−3;平均重合度5000のポリジメチルシロキサン
(E)無機充填材
e−1;レーザー式粒子径測定装置で測定した体積平均粒子径が3μmで、アスペクト比が3の粒子状ウォラストナイト
e−2;ケッチェンブラックEC(ライオン・アクゾ(株)製導電性カーボンブラック)
【0068】
[評価方法]
(1)分散粒子形状、粒径
後記の(4)で物性測定に使用した成形品を用いて、成形品の中心部を流動方向に直角に切削し、透過型電子顕微鏡を用いて、分散粒子の形状と粒子径を求めた。
(2)熱安定性
実施例及び比較例で得られたペレットを100℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度215℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製;TI−30G)で滞留させた後、金型温度70℃、冷却時間15秒の条件で厚さ3mmの平板を成形し、成形品表面にシルバーが発生するまでの滞留時間を測定した。
【0069】
(3)体積抵抗率
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製;IS−100E)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で、130×110×3mmの平板を成形した。この平板を温度23℃、湿度50%の恒温室で48時間放置した後、JIS−K−6911に従って測定を行った。
【0070】
(4)物性評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製;IS−100E)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で物性評価用試験片を成形した。この試験片を用いて下記の試験を行った。
a.引張強度、伸度;ASTM−D638に基づいて測定。
b.曲げ強度、弾性率;ASTM−D790に基づいて測定。
c.アイゾッド衝撃強度;ASTM−D256に基づいて、23℃と−50℃で測定。
d.ゲート部ハクリ;引張試験用ダンベルのゲート部分で有無を判定。
e.ウエルド部伸度;両端にゲートのあるダンベル試験片を用いて成形し、aに従って測定した。
【0071】
(5)摺動性能
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製;TI−30G)で金型温度70℃、冷却時間20秒の条件で、厚さ3mmの平板を成形し試験片とした。この試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製;AFT−15MS型)を用いて荷重2kg、線速度30mm/sec、往復距離20mmおよび環境温度23℃および80℃の条件で5000回往復し、摩擦係数と摩耗量を測定した。相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)とポリオキシメチレン樹脂試験片(旭化成(株)製テナック−C4520を用いて成形した直径5mmの円筒状で先端R=2.5mm)を用いた。
【0072】
【実施例1】
(a−1)成分のポリオキシメチレン樹脂95重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド6−6;0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド2.5重量部および(c−3)成分の酸変性オレフィン系樹脂2.5重量部をブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表1に示した。
【実施例2〜7】
表1に示す成分および量に変更し、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【比較例1】
(a−1)成分を100重量部とし(b−1)成分および(c−3)成分を添加しない以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
【比較例2〜5】
(c−3)添加せずに(b−1)成分の量を変更する以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
【比較例6〜9】
(b−1)成分を(b−6)成分に変更をする以外は比較例2〜5と同様に実施した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【比較例10】
A−1成分のポリオキシメチレン樹脂75重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(c−1)成分の酸変性オレフィン系樹脂25重量部をブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表3に示した。
【0077】
【比較例11】
(c−1)成分を(c−2)成分とする以外は比較例10と同様に実施した。結果を表3に示す。
【比較例12】
(c−1)成分を(c−3)成分とする以外は比較例10と同様に実施した。結果は押出時に樹脂が分解発泡したため、物性評価は出来なかった。
【0078】
【比較例13】
A−1成分のポリオキシメチレン樹脂65重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(c−3)成分の酸変性オレフィン系樹脂35重量部をブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。結果は押出時に樹脂が分解発泡したため、物性評価は出来なかった。
【比較例14】
(c−2)成分を(c−3)成分とする以外は比較例13と同様に実施した。結果は押出時に樹脂が分解発泡したため、物性評価は出来なかった。
【0079】
【表3】
【0080】
【実施例8】
(a−2)成分のポリオキシメチレン樹脂65重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド17.5重量部および(c−3)成分の酸変性オレフィン系樹脂17.5重量部をブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表4示した。
【実施例9〜16】
(a−2)成分、(b−1)成分および(c−3)成分を表1に示す成分および量に変更し、実施例8と同様に実施した。結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
【0082】
【実施例17、18、参考例1】
(b−1)成分と(c−3)成分を表5に示す成分および量に変更し、実施例4と同様に実施した。結果を表5に示す。
【比較例15】
(b−1)成分と(c−3)成分の量を変更する以外は参考例1と同様に実施した。結果は押出時に樹脂が分解発泡したため、物性評価は出来なかった。
【0083】
【表5】
【0084】
【比較例16】
(a−1)成分のポリオキシメチレン樹脂65重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド10重量部および(c−6)成分の酸変性オレフィン系樹脂25重量部をブレンダーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表6に示した。
【実施例20〜26】
(c−6)成分を表6に示す成分に変更し、比較例16と同様に実施した。結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】
【実施例27】
(a−5)成分のポリオキシメチレン樹脂96重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド2重量部および(c−1)成分の酸変性オレフィン系樹脂2重量部をブレンダーで均一にブレンドした後200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表7に示した。
【0087】
【実施例28】
さらに(c−1)成分を1重量部添加する以外は実施例27と同様に実施した。結果を表7に示す。
【実施例29、30】
(c−1)成分を表7に示すものと量に変更する以外は実施例28と同様に実施した。結果を表7に示す。
【比較例17〜20】
(b−1)成分と(c−1)成分を無添加とする以外は実施例27〜30と同様に実施した。結果を表−7に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【実施例31】
(a−5)成分のポリオキシメチレン樹脂96重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド6−6;0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド2重量部および(c−1)成分の酸変性オレフィン系樹脂2重量部および(e−1)無機充填材25重量部をブレンダーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数200rpm、8kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行った。結果は表8に示す。
【0090】
【実施例32】
さらに(c−1)成分を1.5重量部添加する以外は実施例31と同様に実施した。結果を表8に示す。
【比較例21〜22】
(b−1)成分と(c−1)成分を無添加とする以外は実施例31、32と同様に実施した。結果を表−8に示す。
【0091】
【実施例33】
(a−5)成分のポリオキシメチレン樹脂95重量部(安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%、ポリアミド66 0.05重量%を含む)、(b−1)成分のポリエーテルエステルアミド2.5重量部および(c−1)成分の酸変性オレフィン系樹脂2.5重量部、(e−2)導電性カーボンブラック7重量部および安定剤としてトリフェニルポスフィン1重量部、エポキシ樹脂(ARALDITE ECN1299 旭化成エポキシ(株)製)2重量部、ジシアンジアミド0.3重量部をブレンダーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の30mmφ二軸押出機を用い、スクリュー回転数200rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行った。結果を表8に示す。
【比較例23】
(b−1)成分と(c−1)成分を無添加にする以外は実施例33と同様に実施した。結果を表8に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
【発明の効果】
本発明の組成物は、従来の組成物に比較して、ポリキシメチレン樹脂の熱安定性を保持しつつ、著しく優れた耐衝撃性を有し、さらに帯電防止性能を有する組成物であり、OA機器、VTR機器、音楽・映像・情報機器、通信機器、自動車内外装部品および工業雑貨に好適である。
Claims (12)
- (A)ポリオキシメチレン樹脂40〜99.5重量部、および(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性率が0.05〜15重量%である酸変性オレフィン系樹脂からなり、(B)/(C)の割合が10/90〜90/10重量%の範囲である樹脂0.5〜60重量部からなる樹脂組成物。
- (A)成分が連続相をとり、(B)成分と(C)成分が球状または球が重なりあった形状の分散相で存在し、その分散粒子径が0.01〜20μmの範囲である請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
- さらに、(A)ポリオキシメチレン樹脂、(B)ポリアミドエラストマーと(C)酸変性オレフィン系樹脂からなる樹脂100重量部に対して、(D)潤滑剤0.1〜10重量部及び/又は(E)無機充填材0.1〜150重量部添加してなる請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形、切削または成形・切削加工して得られる機構部品、アウトサートシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー及び側板からなる群から選ばれた少なくとも一種の部品。
- 機構部品が、ギヤ、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、関節、軸、軸受け、キーステム、キートップからなる群から選ばれる少なくとも一種の部品である請求項5記載の部品。
- OA機器に使用される請求項5または6記載の部品。
- ビデオ機器に使用される請求項5または6記載の部品。
- 音楽、映像または情報機器に使用される請求項5または6記載の部品。
- 通信機器に使用される請求項5または6記載の部品。
- 自動車内外装部品に使用される請求項5または6記載の部品。
- 工業雑貨に使用される請求項5または6記載の部品。
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