JP3705554B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐候性、及び、離型性に優れたポリアセタール樹脂組成物に関するもので、特に自動車用関連部材に用いるポリアセタール樹脂組成物、及び成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、機械強度、耐疲労性、耐摩擦・磨耗性、耐薬品性、耐熱性に優れており、その用途は主として、自動車、電気・電子製品、その他工業機械の機構部品や外装部品に多く使用されている。しかし、ポリアセタール樹脂自体は、太陽光および紫外線などの光エネルギーにより、成形品表面にクラックが発生し、強度低下を引き起こしたり、着色成形品の場合は変退色するなどの欠点を有している。このため、自動車用関連部材の様な太陽光の当たる部品にポリアセタール樹脂を使用する場合は、種々の耐候剤を配合した組成物を用いる必要があり、これまでに種々の耐候剤が提案されている。
【0003】
例えば、特開昭60−195155には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いた改良、特開平2−261854には、ベンゾトリアゾール系又は蓚酸アニリド系物質から選ばれた紫外線吸収剤を用いた改良、特開平5−93089には、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を用いた改良が示されている。しかしながら、これらの紫外線吸収剤を配合したポリアセタール樹脂組成物の耐候性は、無配合のものに比べると確かに向上しているもののまだまだ充分とは言えなかった。
【0004】
又、近年、プラスチック製品の形状はますます複雑化してきており、射出成形時の金型離れ能力、いわゆる離型性がプラスチックに求められる機能として重要視されてきている。ポリアセタール樹脂についても、自動車用関連部材等において、耐候性と同時に離型性を兼ね備えた材料が求められて来ているが、従来、耐候性と離型性とを同時に満足させるポリアセタール樹脂の研究はなされてなかったのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、屋外暴露や太陽光、紫外線に長時間曝される条件下において、成形品表面に発生するクラックが極めて少なく、かつ、変退色が著しく抑制された、耐候性に優れ、かつ射出成形時の離型性に優れたポリアセタール樹脂組成物、及びその組成物を成形してなる自動車用関連部材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリアセタール樹脂と下記式1で表されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物、及び、特定のアミド化合物、好ましくは特定の脂肪族カルボン酸カルシウム塩、より好ましくは耐候安定剤、さらにより好ましくはポリアルキレングリコール類、及び/又は、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物を用いることにより耐候性と離型性が同時に改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(B)下記式1で表されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物0.01〜5.0重量部、(C)下記式2で表されるアミド化合物類0.005〜5.0重量部、好ましくは、(D)下記式3で表されるアミド化合物類0.0001〜5.0重量部、より好ましくは、(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩0.01〜5.0重量部、(F)耐候安定剤0.01〜5.0重量部、さらにより好ましくは、(G)下記式4で表されるポリアルキレングリコール類0.01〜3.0重量部、(H)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物から選ばれた1種以上の化合物0.01〜5.0重量部よりなることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物、及び該組成物を成形してなるポリアセタール樹脂製自動車関連部材に関する。
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
(式中、R1、R4は水素、C1〜C30のアルキル基、アシル基、アルキルフェニル基を示す。R2、R3はC2〜C6のアルキレン基を示す。n、mは各々1以上及びn+m<1000を満足させる整数を示す。)
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物で用いられる(A)ポリアセタール樹脂としては、ホルムアルデヒド、又は、その3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の末端をエーテル、エステル基により封鎖したオキシメチレンホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒド、又は、その3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどの環状エーテルとを共重合させたオキシメチレンコポリマーや、更に架橋や分岐状分子鎖を有するポリマー、或いはオキシメチレン単位からなるセグメントと異種成分セグメントとを含有するオキシメチレンブロックコポリマーであり、重合体の末端をエーテル、エステル結合で封鎖したものが挙げられる。好ましいポリアセタール樹脂としては、オキシメチレンホモポリマー、1、3ージオキソランを共重合させたオキシメチレンコポリマーが挙げられる。更により好ましくは、1、3ージオキソランを共重合させたオキシメチレンコポリマーが挙げられる。
【0013】
又、ポリアセタール樹脂のメルトインデックス(以下MIという)については特に制限はないが、通常の成形加工に耐えられポリアセタール樹脂本来の機械強度を示すものが好ましい。本発明組成物においてはMIは0.1〜200g/10分が好ましく、より好ましくは0.1〜120g/10分である。尚、本発明で言うメルトインデックスとは、ASTM−D1238により、190℃、2160gの荷重で測定した値でg/10分の単位で表されるものである。
【0014】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリアセタール樹脂に(B)下記式1で表されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物を添加し、かつ、(C)下記式2で表されるアミド化合物類を添加することが、耐候性と離型性を同時に改良出来ることを見出し本発明に至った。
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】
本発明の組成物で用いられる(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物は紫外線吸収剤として公知の化合物である。特開平5−93089にポリアセタール樹脂の耐候性改善の例がしめされているが、本発明者らが検討を行った結果、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物による耐候性の効果は、従来、ポリアセタール樹脂に用いられている、例えば特開平2−261854に示されている様なベンゾトリアゾール系又は蓚酸アニリド系物質から選ばれた紫外線吸収剤の効果より優れていることを確認したが、本発明の目的からはまだまだ満足出来るものではない。又、本発明のもうひとつの目的である離型性についても満足出来るものではない。
【0018】
一方、(C)式2で表されるアミド化合物は離型剤として公知の化合物である。本発明者らが鋭意検討を行った結果、(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物と(C)式2で表されるアミド化合物を併用することによりポリアセタール樹脂の離型性が向上するのみではなく、同時に(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物単独添加時より耐候性が向上することを見出した。ポリアセタール樹脂に公知の離型剤としてはその他に脂肪酸エステル等があるが、脂肪酸エステルを(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物と併用した場合には、離型性は向上するものの耐候性は向上しない。
【0019】
(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物含有量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜3.0重量部含有されていればよい。0.01重量部未満であると十分な効果が得られず、又、含有量が5.0重量部を越えるとヒドロキシフェニルトリアジン化合物が成形品の表面にブリードアウトし、製品の見栄えを損なったり、又、成形時のモールドデポジットの原因になる為好ましくない。
【0020】
(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物のうち好ましく用いられるものとしては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノールが挙げられる。
本発明の組成物で用いられる(C)式2で表されるアミド化合物としては、エチレンビスラウリルアミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド等が挙げられる。これらアミド化合物類は、1種で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良く何等制限されるものではない。これらアミド化合物類は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.005〜5.0重量部、好ましくは、0.005〜2.0重量部含有されていればよい。0.005重量部未満では添加剤の効果が発現せず、5.0重量部を越えるともはや効果の向上が認められず経済的に得策でない。
【0021】
本発明では(D)式3で表されるアミド化合物が好ましく用いられる。(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物、及び(C)式2で表されるアミド化合物と併用することにより耐候性と離型性がより改善される。(D)式3で表されるアミド化合物は、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0001〜5.0重量部、より好ましくは0.0005〜2.0重量部含有されていればよい。0.0001重量部未満では改善の効果が発現せず、5.0重量部を越えるともはや効果の向上が認められず経済的に得策でない。
【0022】
本発明では(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩がより好ましく用いられる。(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩を更に添加することにより、本発明がより効果を発揮する。本発明の(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩とは、塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを脂肪族カルボン酸カルシウム塩に対して1〜300ppm含有した10〜36個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルシウム塩である。これらのカルボン酸はヒドロキシ基で置換されていても良い。飽和脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグリセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸としては、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸の中でも特にラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸が好ましい。
【0023】
(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.05〜2.0重量部含有されていれば良い。0.01重量部未満では添加剤の効果が発現せず、5.0重量部を越えると成形時にヤケ・コゲの原因となり製品の外観を損ない好ましくない。
【0024】
脂肪族カルボン酸カルシウム塩中に存在する塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウム含有量の定量方法は、イオンクロマトによって定量することが出来る。例えば、脂肪族カルボン酸カルシウム塩をメタノール/水混合液に加え、超音波処理し、その後ろ紙でろ過したろ液をイオンクロマトに注入し、検出されたカルシウム分とクロル分から塩化カルシウム含有量もしくは水酸化カルシウム含有量を定量する。
【0025】
脂肪族カルボン酸カルシウム塩に含有する塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウム量は、脂肪族カルボン酸カルシウム塩に対して、1〜300ppm、好ましくは1〜150ppmである。1ppm未満では紫外線暴露時のクラックの発生が顕著になり、300ppmを越えると、紫外線暴露時の変退色が大きくなり、いずれも耐候性の低下を及ぼす。
【0026】
又、本発明では(F)耐候安定剤が好ましく用いられる。(F)耐候安定剤を(B)式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物、及び(C)式2で表されるアミド化合物と併用することにより、より優れた耐候性を示すポリアセタール樹脂組成物が得られる。
(F)耐候安定剤は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.01〜5.0重量部、より好ましくは、0.05〜3.0重量部含有されていれば良い。0.01重量部未満では安定剤の含有効果が発現せず、5.0重量部を越えるとブリードアウトやアバタにより成形品外観不良が生じ好ましくない。
【0027】
本発明の組成物として用いられる(F)耐候安定剤のうち好ましく用いられるものとしては、▲1▼ベンゾトリアゾール系物質、▲2▼蓚酸アニリド系物質、▲3▼ヒンダードアミン系物質よりなる群から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。これらの物質の例を示すと次のものが挙げられる。即ち、▲1▼ベンゾトリアゾール系物質としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等である。▲2▼蓚酸アニリド系物質としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドである。▲3▼ヒンダードアミン系物質としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−トリレン−2,4−ジカルバメータ、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレート、及び、下記式5で表される化合物等であり、式5の化合物の例として1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物がある。
【0028】
【化11】
【0029】
この中でも、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が特に好ましく用いられる。
【0030】
又、本発明では(G)式4で表されるポリアルキレングリコール類がより好ましく用いられる。本発明では(G)式4で表されるポリアルキレングリコール類を併用することにより、より優れた耐候性を示すポリアセタール樹脂組成物が得られる。
(G)式4で表されるポリアルキレングリコール類としては、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド重合モル数5〜1000)、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキサイド重合モル数5〜1000)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜20)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノレエート(エチレンオキサイド重合モル数2〜10)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックポリマー(平均分子量1000〜10000)等が挙げられる。
【0031】
これらのポリアルキレングリコール類は1種で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良く何等制限するものではない。
これらポリアルキレングリコール類は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜3.0重量部、より好ましくは0.02〜2.0重量部含有されていればよい。0.01重量部未満では添加剤の効果が発現せず、3.0重量部を越えるともはや効果の向上が認められず経済的に得策でない。
【0032】
又、本発明では(H)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物がより好ましく用いられる。(H)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体としては、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,12、ナイロン12等のポリアミド樹脂及びこれらの共重合体、例えば、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/6,12等である。又、ポリアクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体としては、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られるポリ−β−アラニン共重合体等である。これらのホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物は1種で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良く何等制限するものではない。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.05〜2.0重量部含有されていればよい。0.01重量部未満であると添加剤の効果が発現せず、5.0重量部を越えると成形時にヤケ・コゲの原因となり製品の外観を損ない好ましくない。
【0033】
本発明組成物には、さらにポリアセタール樹脂組成物に慣用されている添加剤、例えば、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン(アメライト)、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン(アメリン)、N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、メチロールメラミン等のアミノ置換トリアジン化合物、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、ペンタエリスリチル−テトラキス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、有機繊維などの補強剤、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウムなどの無機充填剤、窒化ホウ素などの核剤等を所望に応じて配合することが出来る。
【0034】
又、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、所望に応じて添加される各種の染料や顔料の変色、退色を防止しうるので、着色成形品の材料としても好適である。さらに、本発明組成物とカーボンブラックとの併用は、より耐候性を向上させることができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、主として、自動車、電気・電子製品、その他工業機械の機構部品や外装部品に使用することが出来る。その中でも好ましくは、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトジャー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系、吸気系各種バルブ、エアーインテックノズルスノーケル、インテックマニーホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースパーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパッドウェアーセンサー、スロットポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフロートセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネスエアコンパネルスイッチ基盤、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電送部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプケット、ランプフレクト、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、ラジエタードレンコック、インタクフェルポンプ、ダイヤフラム弁、オートアンテナギアーケース、ドアロック、ウインカーケース、ワイパーギアー、ワイパーピボットベアリング、スピードメーターギア、パーツ、ハウジング、ウインドウガラスボトムチャネル、シートベルトハウジング、シートベルトリトラクターパーツ、ヒーターコントロールレバー、インサイドドアハンドル、レギュレーターハンドル、アウタードアハンドル、サンバイザーブラケット、シートフック、フェンダーミラーケース、フューエルカップ、ウインドウォッシャーノズル、各種バルブ等の自動車部品、及び自動車関連部品に用いることが出来る。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでない。尚、実施例、比較例においてメルトインデックスの測定、融点の測定、耐候性の評価に用いた方法は以下の通りである。
(1)メルトインデックス
ASTM−D1238に準ずる。温度190℃、荷重2160gで測定した値でありg/10分の単位で示す。
(2)融点
示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7型)を用いて測定した。
【0036】
サンプルは200℃に加熱したプレス機でフィルム状に成形したものから5mgを切り出して測定に用いた。測定条件は、30℃から200℃に320℃/分で昇温し、2分間保持した後、130℃まで10℃/10分で降温し、更に130℃から2.5℃/分で昇温した。最後に昇温する際に、結晶化に伴って吸熱ピークが観測されるが、この時のピークトップ温度を融点とした。
(3)耐候性評価
ペレットを射出成形機を用いて67mm×13mm×3mmの試験片に成形し、その試験片をフェードメーター(スガ試験機社製WEL−SUN−HC−B・EM型)に設置し、ブラックパネル温度83℃、湿度約50%の条件下に暴露した。400、600、800、1000、1200、1500時間の暴露の後、下記の条件で色差とクラックの程度を求めた。
(A)色差
試験片の光照射面を色差計(スガ試験機製ハンディーカラーテスターHC−T)を用いて、ΔE値(JISZ−8730)を求めた。値が小さいほど色の変化が少ないことを示している。
(B)クラックの程度
試験片の光照射面を100倍の顕微鏡で観察し、その程度を次の判定基準に従って評価した。
判定基準:
0:クラックはない。
1:クラックが、僅かにある。
2:クラックが、長くはっきりしている。
3:クラックが、長く、一視野に20本以上ある。
4:クラックが全面にわたり発生している。
(4)離型性評価
ペレットを射出成形機を用いて、高さ50mm、筒径50mm、底円板厚さ3mm、筒壁平均厚さ1.8mm、抜きテーパ0.5度のコップ状成形品に成形する課程において、コップ状成形品をエジェクトする際、エジェクタープレートに内蔵したロードセルにて荷重を検出し、その荷重値を離型力と定義した。ロードセルの荷重値が小さい程離型性は良好である。
【0037】
【実施例1〜17・比較例1〜8】
オキシメチレンホモポリマーを重合しポリアセタール樹脂として実施例1〜17・比較例1〜8に用いた。重合には通常のオキシメチレンホモポリマーの重合方法を用いたが、各々MIの異なるオキシメチレンホモポリマーを得るため分子量調節剤量を変えた条件で重合を行った。
【0038】
具体的には、1時間当り110重量部のホルムアルデヒドガスを、重合触媒として0.1〜20.0×10-3mol/リットルのテトラブチルアンモニウムアセテート、及び分子量調節剤として0.001〜1.0×10-2mol/リットルの無水酢酸を含有するヘキサン500重量部中に導入した。ホルムアルデヒドの供給と同時に、0.1〜20.0×10-3mol/リットルのテトラブチルアンモニウムアセテート、及び0.001〜1.0×10-2mol/リットルの無水酢酸を含有するヘキサンを1時間当り500重量部の割合で3時間連続供給し、この間重合温度は55〜65℃に維持した。重合体を含むヘキサンを供給量に見合って連続的に抜き出し、重合体を濾過により分離した。重合体をアセトンで十分洗浄後60〜65℃にて真空乾燥し290重量部の白色重合体を得た。こうして得たポリオキシメチレン重合体50重量部を無水酢酸500重量部、酢酸ソーダ0.1重量部とともに130〜160℃にて3時間加熱し、重合体49重量部を回収した。得られたポリアセタール樹脂を表1〜3にPOM・NO.1〜6として示す。
【0039】
POM・NO.1〜6をベースポリマーとし、本発明で用いられる各化合物及び顔料類等をそれぞれ表1〜3に示される組成比で、シリンダー温度が200℃に設定された二軸押出機で溶融混練し造粒した。
これらのポリアセタール樹脂組成物を、▲1▼射出成形機を用いて67mm×13mm×3mmの試験片に成形し耐候性評価を実施した、▲2▼射出成形機を用いて、高さ50mm、筒径50mm、底円板厚さ3mm、筒壁平均厚さ1.8mm、抜きテーパ0.5度のコップ状成形品に成形し、成形品をエジェクトする際、エジェクタープレートに内蔵したロードセルにて荷重を検出し離型力を求めた。評価の結果を表10〜12に示す。
【0040】
【実施例18〜38・比較例9〜14】
オキシメチレンコポリマーを重合しポリアセタール樹脂として実施例18〜38・比較例9〜14に用いた。重合には通常のオキシメチレンコポリマーの重合方法を用いたが、各々MIの異なるオキシメチレンコポリマーを得るため分子量調節剤量を変えた条件で重合を行った。
【0041】
具体的には、トリオキサンとトリオキサンに対し4.2mol%の1,3−ジオキソランをモノマーとして調整し、分子量調節剤としてメチラールを用い、フッ化ホウ素ジブチルエーテラート触媒を用いてバルク重合を行った。トリオキサンに対し分子量調節剤及び触媒は、各々0.05mol%〜0.1mol%、0.0005mol%〜0.002mol%の範囲で使用し重合した。
重合装置としては二軸混練機を使用し、液状の高純度モノマー、分子量調節剤及び触媒を供給して、温度90℃で重合を行った。重合装置からは塊状のポリマーが連続的に得られ、重合装置に供給した分子量調節剤量によってMIの異なるポリアセタール樹脂を得た。これらのポリアセタール樹脂の融点は163℃であった。得られたポリアセタール樹脂を表4〜7にPOM・NO.7〜12として示す。
【0042】
POM・NO.7〜12をベースポリマーとし、本発明で用いられる各化合物及び顔料類等をそれぞれ表4〜7に示される組成比で、シリンダー温度が200℃に設定された二軸押出機で溶融混練し造粒した。
これらのポリアセタール樹脂組成物を、▲1▼射出成形機を用いて67mm×13mm×3mmの試験片に成形し耐候性評価を実施した、▲2▼射出成形機を用いて、高さ50mm、筒径50mm、底円板厚さ3mm、筒壁平均厚さ1.8mm、抜きテーパ0.5度のコップ状成形品に成形し、成形品をエジェクトする際、エジェクタープレートに内蔵したロードセルにて荷重を検出し離型力を求めた。評価の結果を表13〜16に示す。
【0043】
【実施例39〜42・比較例15〜16】
オキシメチレンコポリマーを重合しポリアセタール樹脂として実施例39〜42・比較例15〜16に用いた。重合には通常のオキシメチレンコポリマーの重合方法を用いたが、各々MIの異なるオキシメチレンコポリマーを得るため分子量調節剤量を変えた条件で重合を行った。
【0044】
具体的には、トリオキサンとトリオキサンに対し7.2mol%の1,3−ジオキソランをモノマーとして調整し、分子量調節剤としてメチラールを用い、フッ化ホウ素ジブチルエーテラート触媒を用いてバルク重合を行った。トリオキサンに対し分子量調節剤及び触媒は、各々0.05mol%〜0.1mol%、0.0005mol%〜0.002mol%の範囲で使用し重合した。
【0045】
重合装置としては二軸混練機を使用し、液状の高純度モノマー、分子量調節剤及び触媒を供給して、温度90℃で重合を行った。重合装置からは塊状のポリマーが連続的に得られ、重合装置に供給した分子量調節剤量によってMIの異なるポリアセタール樹脂を得た。これらのポリアセタール樹脂の融点は157℃であった。得られたポリアセタール樹脂を表8〜9にPOM・NO.14〜16として示す。
【0046】
POM・NO.14〜16をベースポリマーとし、本発明で用いられる各化合物及び顔料類等をそれぞれ表8〜9に示される組成比で、シリンダー温度が200℃に設定された二軸押出機で溶融混練し造粒した。
これらのポリアセタール樹脂組成物を、▲1▼射出成形機を用いて67mm×13mm×3mmの試験片に成形し耐候性評価を実施した、▲2▼射出成形機を用いて、高さ50mm、筒径50mm、底円板厚さ3mm、筒壁平均厚さ1.8mm、抜きテーパ0.5度のコップ状成形品に成形し、成形品をエジェクトする際、エジェクタープレートに内蔵したロードセルにて荷重を検出し離型力を求めた。評価の結果を表17〜18に示す。
【0047】
【実施例43〜46・比較例17〜18】
オキシメチレンコポリマーを重合しポリアセタール樹脂として実施例43〜46・比較例17〜18に用いた。重合には通常のオキシメチレンコポリマーの重合方法を用いたが、各々MIの異なるオキシメチレンコポリマーを得るため分子量調節剤量を変えた条件で重合を行った。
【0048】
具体的には、トリオキサンとトリオキサンに対し0.3mol%の1,3−ジオキソランをモノマーとして調整し、分子量調節剤としてメチラールを用い、フッ化ホウ素ジブチルエーテラート触媒を用いてバルク重合を行った。トリオキサンに対し分子量調節剤及び触媒は、各々0.05mol%〜0.1mol%、0.0005mol%〜0.002mol%の範囲で使用し重合した。
【0049】
重合装置としては二軸混練機を使用し、液状の高純度モノマー、分子量調節剤及び触媒を供給して、温度90℃で重合を行った。重合装置からは塊状のポリマーが連続的に得られ、重合装置に供給した分子量調節剤量によってMIの異なるポリアセタール樹脂を得た。これらのポリアセタール樹脂の融点は169℃であった。得られたポリアセタール樹脂を表8〜9にPOM・NO.17〜19として示す。
【0050】
POM・NO.17〜19をベースポリマーとし、本発明で用いられる各化合物及び顔料類等をそれぞれ表8〜9に示される組成比で、シリンダー温度が200℃に設定された二軸押出機で溶融混練し造粒した。
これらのポリアセタール樹脂組成物を、▲1▼射出成形機を用いて67mm×13mm×3mmの試験片に成形し耐候性評価を実施した、▲2▼射出成形機を用いて、高さ50mm、筒径50mm、底円板厚さ3mm、筒壁平均厚さ1.8mm、抜きテーパ0.5度のコップ状成形品に成形し、成形品をエジェクトする際、エジェクタープレートに内蔵したロードセルにて荷重を検出し離型力を求めた。評価の結果を表17〜18に示す。
【0051】
尚、本実施例・比較例で用いた各種添加剤と、表1〜9で用いる略称を以下に示す。
(B)成分:式1で表されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物
b−1:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール
(C)成分:式2で表されるアミド化合物
c−1:エチレンビスステアリルアミド
(D)成分:式3で表されるアミド化合物
d−1:エチレンモノステアリルアミド
(E)成分:脂肪族カルボン酸カルシウム塩
e−1:ステアリン酸カルシウム(塩化カルシウム含有量117ppm)
e−2:ステアリン酸カルシウム(塩化カルシウム含有量847ppm)
e−3:ステアリン酸カルシウム(塩化カルシウム又は水酸化カルシウム含有量0ppm)
(F)成分:耐候安定剤
f−1:2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール
f−2:2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド
f−3:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート
f−4:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート
f−5:コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物
f−6:2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)
f−7:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物
(G)成分:ポリアルキレングリコール類
g−1:ポリエチレングリコール(平均分子量約3000)
g−2:ポリエチレングリコール(平均分子量約6000)
(H)成分:ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又はその化合物
h−1:第1級アミド含有量が7ミリモル/ポリマー1gのポリ−β−アラニン共重合体
h−2:ナイロン6,6(分子量約10000)
(I)成分:各種安定剤
i−1:メラミン
i−2:トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)
(J)成分:顔料
j−1:カーボンブラック
j−2:キナクリドン系赤色顔料
(K)成分:その他離型剤
k−1:グリセリンモノステアレート
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【発明の効果】
本発明に係るポリアセタール樹脂組成物は耐候性及び離型性に優れており、各種産業部品、特に自動車用部品の材料として非常に有用である。
Claims (13)
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(E)塩化カルシウムもしくは水酸化カルシウムを1〜300ppm含有する脂肪族カルボン酸カルシウム塩0.01〜5.0重量部を含有してなる請求項1又は2記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(F)耐候安定剤0.01〜5.0重量部を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(H)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体及びその化合物からなる群から選ばれた1種以上の化合物を0.01〜5.0重量部を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂が、オキシメチレンホモポリマー、又は、1,3−ジオキソランを共重合させたオキシメチレンコポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂が、1,3−ジオキソランを共重合させたオキシメチレンコポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (B)式1で表されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物が、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (F)耐候安定剤が、ヒンダードアミン系物質から選ばれた1種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (F)耐候安定剤が、ベンゾトリアゾール系物質及び蓚酸アニリド系物質からなる群から選ばれた1種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (G)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体及びその化合物からなる群から選ばれた化合物がポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミドと他のビニルモノマーとの共重合体から選ばれた1種以上の化合物であることを特徴とする請求項5記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなるポリアセタール樹脂製自動車関連部材。
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