JP3808101B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

発明の背景
技術分野
本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。更に詳細には、本発明は、末端安定化ポリアセタール樹脂に、少なくとも1種の脂肪族カルボン酸金属塩を添加してなるポリアセタール樹脂組成物にして、該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物の特定量をオクルードした状態で有しており、且つ、該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をその表面に付着した状態では有していないか又は極めて限定された特定量有していることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物に関する。本発明のポリアセタール樹脂組成物は、耐熱エージング性のみならず耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性に優れ、様々な用途、特に、高温条件下で長時間使用される機構部品(例えば、自動車エンジン回りの機構部品)の製造に極めて好適に用いることができる。
従来技術
ポリアセタール樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び摺動性のバランスに優れ、且つその加工が容易であることから代表的エンジニアリングプラスチックスとして、電気機器や電子機器の機構部品、自動車部品、その他の機構部品を中心に広範囲に亘って用いられている。
ポリアセタール樹脂がこれらの分野に用いられる場合、耐熱エージング性と耐エージング変色性は必要不可欠の特性であり、又モールドデポジット防止性も成形生産性の面から重要な特性である。
従来、ポリアセタール樹脂の耐熱エージング性を改良する方法として、一般に、脂肪族カルボン酸金属塩を添加することが知られている[例えば、日本国特公昭55−22508号公報(米国特許第3,743,614号に対応)、日本国特公昭60−56748号公報(GB公開第1425771号に対応)参照]。
しかしながら、ポリアセタール樹脂に従来公知の脂肪族カルボン酸金属塩を添加すると、耐熱エージング性に或る程度の改良がみられるものの、耐エージング変色性とモールドデポジット防止性が悪くなる。耐エージング変色性の悪化は成形品の外観不良を招き、また、モールドデポジット防止性の悪化は金型分掃頻度を多くして、成形生産性の問題を招く。このような従来技術の問題の解決が切に望まれている。
発明の概要
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、意外にも、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる金属化合物をオクルードした状態で有しており、場合によっては、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる金属化合物をその表面に付着した状態で有する脂肪族カルボン酸金属塩であり、該オクルードされた金属化合物の量及び該表面に付着した金属化合物の量が、それぞれ、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して、1〜300重量ppm及び0〜20重量ppmである特定の脂肪族カルボン酸金属塩を末端安定化ポリアセタール樹脂に添加すると、得られるポリアセタール樹脂組成物が、耐熱エージング性のみならず耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性にも優れることを知見した。本発明はこの知見に基づいて完成されたものである。
従って、本発明の主たる目的は、従来技術では果たし得なかった、耐熱エージング性ならびに、耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性のすべての特性を同時に満足するポリアセタール樹脂組成物を提供することにある。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、次に述べる発明の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになろう。
発明の詳細な説明
本発明によれば、末端安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して、少なくとも1種の脂肪族カルボン酸金属塩0.01〜3.0重量部を添加してなるポリアセタール樹脂組成物にして、
該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をオクルードした状態で有しており、且つ、該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をその表面に付着した状態で有しており、該オクルードされた金属化合物の量及び該表面に付着した金属化合物の量が、それぞれ、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して、1〜300重量ppm及び0〜20重量ppmであることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物が提供される。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、優れた耐熱エージング性と耐エージング変色性を有するものであり、従来のポリアセタール樹脂組成物よりなる成形体を高温雰囲気下で使用した時の問題点であった物性低下(耐熱エージング性の不足に起因する)と外観不良(耐エージング変色性の不足に起因する)の問題を解決するものである。更に、本発明のポリアセタール樹脂組成物はモールドデポジット防止性にも優れるので、成形生産性をも同時に改善するものである。本発明のポリアセタール樹脂組成物は、様々な機構部品、特に自動車エンジン周りの機構部品の成形に好適に用いることができる。
日本国特公昭55−22508号公報と日本国特公昭60−56748号公報には、ポリアセタール樹脂の耐熱エージング性を改良するために脂肪族カルボン酸金属塩を添加する方法が開示されているが、上記2件の公報には、用いる脂肪族カルボン酸金属塩中の金属水酸化物や金属塩化物の含有量に関する記載は無く、また脂肪族カルボン酸金属塩の製法に関する記載もない。
本発明の樹脂組成物における末端安定化ポリアセタール樹脂の例としては、ホルムアルデヒド単量体、またはその3量体(トリオキサン)もしくは4量体(テトラオキサン)等の環状オリゴマーを原料として製造された、実質的にオキシメチレン単位からなるオキシメチレンホモポリマーに末端安定化処理を行って得られるもの、ならびに、上記原料とヒンダードフェノール系酸化防止剤を10〜500ppm添加されたエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオール、グリコールのホルマールや、ジグリコールのホルマール等の環状ホルマールとから製造された、炭素数2〜8のオキシアルキレン単位を0.1〜20重量%含有する、オキシメチレン−オキシアルキレンコポリマーに末端安定化処理を行って得られるものを挙げることができる。本発明における末端安定化ポリアセタール樹脂は、窒素気流下で230℃、60分間加熱した時のホルムアルデヒドガス発生量が該ポリアセタール樹脂の重量に対して600重量ppm以下、更に好ましくは300重量ppm以下であることが望ましい。また、本発明における末端安定化ポリアセタール樹脂は、分岐した構造の分子鎖よりなるオキシメチレン−オキシアルキレンコポリマーでもよいし、また、ポリオキシメチレン(POM)ブロック50重量%以上と、オキシメチレンの繰り返し単位を50重量%以上含むPOMとは異なるポリマーブロック50重量%未満とよりなるブロックコポリマーのようなオキシメチレン系ブロックコポリマーであってもよい。オキシメチレンブロックコポリマーの形状の例としては、A−B−AやA−B(但し、Aはポリオキシメチレンブロックを表わし、Bはオキシメチレン繰返し単位を50重量%以上含む異種ポリマーブロックを表す)を挙げることができ、Bブロックの量はブロックコポリマー全体の50重量%未満である。
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオール等のコモノマーに添加することのできるヒンダードフェノール系酸化防止剤の好ましい例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等を挙げることができる。これらの酸化防止剤は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。この中でも、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
本発明において用いられる末端安定化ポリアセタール樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、共重合の場合を例にとれば、トリオキサン及びコモノマーである環状エーテルを、それらの原料モノマー中に含まれる水、メタノール、蟻酸等の活性水素を有する不純物化合物を蒸留及び吸着等によって除去し、共重合し、得られたポリマーを2軸押出機等によって処理して末端安定化することによって得ることができる。原料モノマー中の活性水素化合物を除去する方法として、例えば、トリオキサン及び環状エーテルをそれぞれベンゼンの存在下で蒸留し、ベンゼンと活性水素化合物を共沸させ除去する方法、また、吸着による方法としては、トリオキサン、環状エーテルをゼオライト等の吸着剤を充填した塔に通すことにより除去する方法が挙げられる。本発明における末端安定化ポリアセタール樹脂の製造においては、原料中の不純物、例えば水、メタノール、蟻酸等の活性水素化合物を蒸留若しくは吸着等の方法によって除去し、原料モノマー中の活性水素(OHの水素)含有化合物の合計量が水の濃度に換算して、トリオキサンに対して20ppm以下とすることが好ましい。蒸留若しくは吸着のいずれかの方法によって活性水素化合物を除去した原料を触媒の存在下で共重合し、末端安定化前のポリアセタール樹脂を得ることができる。重合方法は塊状重合で行われ、バッチ式、連続式の何れの方法によっても可能である。バッチ式重合装置としては一般に用いられる撹拌機付きの反応槽が使用できる。また連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混練機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型混合機が使用できる。重合条件は、常圧下で60℃〜200℃、好ましくは60℃〜120℃の温度範囲で行われる。
重合触媒は、一般に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が用いられ、ガス状または適当な有機溶剤の溶液として使用される。特に好ましい重合触媒は、酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物である。具体的には三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジブチルエーテルが挙げられる。これらの重合触媒はトリオキサンと環状エーテルの合計量1モルに対して、1×10-6モル〜1×10-3モルが添加される。好ましくは5×10-6モル〜1×10-4モルである。
得られた末端安定化前のポリアセタール樹脂は、活性な重合触媒を含有しているため、重合触媒の失活を行うことが望ましい。重合触媒の失活方法は、塩基性物質を含む水溶液中または有機溶媒中で重合触媒を失活する方法で行われる。その他の失活方法としては、塩基性物質を末端安定化前のポリアセタール樹脂に添加し、押出機を用いて溶融状態で失活する方法も使用可能である。失活に使用される塩基性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等が挙げられる。好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩等である。また、アンモニア、及びトリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物等も失活剤として使用することもできる。
重合触媒失活後のポリマーの末端安定化処理を行う方法としては、例えば、(1)溶融状態のポリマーに、少なくとも1種の水酸基含有化合物(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物)を注入し、ついで混練する工程、及び(2)注入された上記水酸基含有化合物の蒸気及び遊離のホルムアルデヒドを解放する脱気工程、という少なくとも2段階の工程からなる末端安定化のための操作を連続的に実施できる2軸スクリュー押出機等によって、溶融したポリアセタール樹脂から揮発成分を除去することによって末端安定化する方法を挙げることができる。上記の少なくとも1種の水酸基含有化合物またはそれらの混合物を注入し、ついで混練する際、pH調整剤としてトリエチルアミン等の塩基性物質を添加することが好ましい。これらの塩基性物質の添加量は、末端安定化前のポリアセタール樹脂に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等の場合は、2〜5000ppm、好ましくは10〜2000ppmである。また、塩基性物質と共に水及びまたは有機溶媒を添加する場合は、末端安定化前のポリアセタール樹脂に対して、0.01〜10重量%の水及びまたは有機溶媒を添加する。末端安定化温度は、ポリアセタール樹脂の融点〜265℃の温度範囲である。特に好ましい温度は180℃〜230℃である。なお、ポリアセタール樹脂の末端安定化法の詳細については、例えば、日本国特公昭58−11450号公報(USP 4366305に対応),日本国特開昭58−152012号公報(EP 0 088 541に対応)、国際出願番号PCT/JP95/00530号を参照することができる。
またポリアセタール重合時、或いは不安定末端処理を行う前にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しても良い。この時に添加できうるヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。これらの酸化防止剤は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。中でもトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]が好ましい。
末端安定化ポリアセタール樹脂のホルムアルデヒドガス発生量は、以下の方法によって定量することができる。末端安定化ポリアセタール樹脂をアルミ製容器に入れ、窒素気流下で230℃、60分間加熱溶融させ、その時に発生したホルムアルデヒドガスを亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させ、0.01規定の硫酸で滴定した量からホルムアルデヒドガス発生量を求めることができる。ポリアセタール樹脂のホルムアルデヒドガス発生量は、該末端安定化ポリアセタール樹脂の重量に対して好ましくは600重量ppm以下、更に好ましくは300重量ppm以下である。
本発明で言う脂肪族カルボン酸金属塩とは、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸の金属塩である。本発明においては、これらの脂肪酸カルボン酸金属塩の1種又は2種以上を用いることができる。これらのカルボン酸は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。飽和脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸は、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸の中でも特にラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。脂肪族カルボン酸金属塩の金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、ストロンチウムより選ばれる。これらの金属の中でもカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウムが好ましく、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が特に好ましい。
脂肪族カルボン酸金属塩の添加量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜3.0重量部、好ましくは、0.01〜1.0重量部、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。該脂肪酸カルボン酸金属塩の添加量が0.01重量部よりも少ない場合は、耐熱エージング性が悪く、その添加量が3.0重量部を超える量であると、エージング後の変色が激しく、成型品外観不良の問題を招き、且つモールドデポジット防止性の低下を招く。
本発明に用いる所望の脂肪族カルボン酸金属塩の製造方法は特に限定されるものではなく、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をオクルードした状態で有しており、且つ、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をその表面に付着した状態で有しており、該オクルードされた金属化合物の量及び該表面に付着した金属化合物の量が、それぞれ、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して、1〜300重量ppm及び0〜20重量ppmである脂肪族カルボン酸金属塩が得られる製造方法であればよい。例えば、下記の式(I)によって表わされる脂肪族カルボン酸と金属水酸化物との中和反応や、下記式(II)によって表わされる脂肪族カルボン酸金属塩と金属塩化物との複分解反応や、下記の式(III)によって表わされる脂肪族カルボン酸と金属酸化物との中和反応によって粒子状粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を製造し、得られた粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を、脂肪族カルボン酸金属塩表面に付着した金属水酸化物が20重量ppm以下となり、且つ、オクルードされた金属水酸化物が1〜30重量ppmになるまで撹拌水洗、脱水を繰り返し行うことによって、本発明に用いる所望の脂肪族カルボン酸金属塩を得ることができる。
上記したように、本発明において用いる特定の脂肪族カルボン酸金属塩を水洗処理によって得るための粗脂肪族カルボン酸金属塩製品は、例えば、下記式(I)によって表わされる中和反応、下記式(II)によって表わされる複分解反応、下記式(III)によって表わされる中和反応等によって製造することができる。
xRCOOH+M(OH)x→(RCOO)xM+xH2O (I)
(式中Rはアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表わし、Mは1価以上の金属原子を表わし、xはMの原子価により定まる整数であって、1以上である。)
2RCOOM+M’Cl2→(RCOO)2M’+2MCl (II)
(式中Rはアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表わし、Mは1価の金属原子を表わし、M’は2価の金属原子を表わす。)
2RCOOH+M’’O→(RCOO)2M’’+H2O (III)
(式中Rはアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表わし、M’’は2価の金属原子を表わす。)
上記式(I)の反応においては、脂肪族カルボン酸と金属水酸化物との反応で粗脂肪族カルボン酸金属塩製品が製造される。上記式(I)の反応で粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を製造する場合、未反応のRCOOH(脂肪族カルボン酸)が残らないようにするため、M(OH)x(金属水酸化物)を過剰に仕込むので、未反応のM(OH)xが残留してRCOOM(得られる粗脂肪族カルボン酸金属塩製品)にオクルードされ、また、表面に付着することになる。
また、上記式(II)の反応においては、出発物質である脂肪族カルボン酸金属塩(RCOOM)と反応体である金属塩化物(M’Cl2)との反応により、粗脂肪族カルボン酸金属塩製品[(RCOO)2M’]が製造される。上記式(II)の反応で粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を製造する場合、未反応のRCOOM(出発物質としての脂肪族カルボン酸金属塩)が残らないようにするためM’Cl2(金属塩化物)を過剰に仕込むので、未反応のM’Cl2が残留して(RCOO)2M’(得られる粗脂肪族カルボン酸金属塩製品)にオクルードされ、また、表面に付着することになる。尚、式(II)の反応の場合、MClが副生成するので、M’Cl2の他にMClもオクルードされ、また、表面に付着することになる。例えば、出発物質である脂肪族カルボン酸金属塩(RCOOM)が脂肪族カルボン酸ナトリウムであり、反応体である金属塩化物(M’Cl2)が塩化カルシウムであると、生成する粗脂肪族カルボン酸金属塩製品は脂肪族カルボン酸カルシウムであり、塩化ナトリウムが副生成され、この塩化ナトリウムが未反応の塩化カルシウムとともにオクルードされ、また、表面に付着する。
また、上記式(III)の反応においては、脂肪族カルボン酸と金属酸化物との反応で粗脂肪族カルボン酸金属塩製品が製造される。上記式(III)の反応で粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を製造する場合、未反応のRCOOH(脂肪族カルボン酸)が残らないようにするため、M’’O(金属酸化物)を過剰に仕込む。RCOOHと反応しないM’’Oは、通常、反応系の水と反応して水酸化物[M’’(OH)x]となり、水酸化物が(RCOO)2M’’(得られる粗脂肪族カルボン酸金属塩製品)にオクルードされ、また、表面に付着することになるが、M’’Oの一部がそのまま残留することもある。
尚、式(I)の反応においては、M(OH)x(金属水酸化物)のM(金属)がn価の場合、M(OH)xの仕込み量は、RCOOH(脂肪族カルボン酸)nモルに対して、1.01〜1.1モル、好ましくは、1.01〜1.05モルである。
尚、式(II)の反応においては、M’Cl2(金属塩化物)の仕込み量は、RCOOM(脂肪族カルボン酸金属塩)2モルに対して、1.01〜1.1モル、好ましくは、1.01〜1.05モルである。
尚、式(III)の反応においては、M’’O(金属酸化物)の仕込み量は、RCOOH(脂肪族カルボン酸)2モルに対して、1.01〜1.1モル、好ましくは、1.01〜1.05モルである。
上記式(I)に示すように、水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品(RCOOM)を脂肪族カルボン酸(RCOOH)と金属水酸化物[M(OH)x]との反応で製造する場合、水洗処理に付される粗脂肪族カルボン酸金属塩製品(RCOOM)の金属[即ち、金属水酸化物[M(OH)x]の金属(M)]は1価以上の金属である。本発明においてこの式(I)中の1価以上の金属の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、ストロンチウムを挙げることができる。
上記式(II)に示すように、水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品[(RCOO)2M’]を出発物質である脂肪族カルボン酸金属塩(RCOOM)と反応体である金属塩化物(M’Cl2)との反応で製造する場合、出発物質としての脂肪族カルボン酸金属塩(RCOOM)の金属(M)[即ち、副生する金属塩化物(MCl)の金属(M)]は1価の金属であり、水洗処理に付される粗脂肪族カルボン酸金属塩製品[(RCOO)2M’]の金属(M’)[即ち、反応体としての金属塩化物(M’Cl2)の金属(M’)]は2価の金属である。本発明においてこの式(II)中の1価の金属(M)の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウムを挙げることができる。また、式(II)中の2価の金属(M’)の例としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウムを挙げることができる。
上記式(III)に示すように、水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属製品[(RCOO)2M’’]を出発物質である脂肪族カルボン酸(RCOOH)と反応体である金属酸化物(M’’O)との反応で製造する場合、水洗処理に付される粗脂肪族カルボン酸金属塩製品[(RCOO)2M’’]の金属(M’’)[即ち、反応体としての金属酸化物(M’’O)の金属(M’’)]は2価の金属である。本発明においてこの式(III)中の2価の金属(M’’)の例としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウムを挙げることができる。
式(I)の反応により水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品(RCOOM)を製造する場合は、まず、脂肪族カルボン酸(RCOOH)を、該脂肪族カルボン酸の融点以上〜95℃の水に添加して撹拌し、得られるエマルジョンを該脂肪族カルボン酸の融点未満まで冷却し、金属水酸化物[M(OH)x]の水溶液又は水性懸濁液と混合した後、混合液を該脂肪族カルボン酸の融点以上〜95℃まで昇温して、1〜3時間放置して反応させ、反応混合液を濾過、脱水して得る。
また、式(II)の反応により水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品(RCOOM’)を製造する場合は、出発物質としての脂肪族カルボン酸金属塩(RCOOM)を、50〜95℃の水に溶解し、得られる水溶液を金属塩化物(M’Cl2)の水溶液と混合して、50〜95℃で1〜3時間放置して反応させ、反応混合液を濾過、脱水して得る。
また、式(III)の反応により水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品[(RCOO)2M’’]を製造する場合は、式(I)の反応と同様の方法、即ち、まず、脂肪族カルボン酸(RCOOH)を該脂肪族カルボン酸の融点以上〜95℃の水に添加して撹拌し、得られるエマルジョンを該脂肪族カルボン酸の融点未満まで冷却し、金属酸化物(M’’O)の水溶液又は水性懸濁液と混合した後、混合液を該脂肪族カルボン酸の融点以上〜95℃まで昇温して、1〜3時間放置して反応させ、反応混合液を濾過、脱水して得る。
上記式(I)の反応によって得られた粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を、上記式(II)の反応の出発物質として用いることもできる。
尚、水洗処理に付すべき粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を得る方法は、上記式(I)、(II)、(III)の反応を用いる方法に限定されるわけではない。
このようにして得られた粗脂肪族カルボン酸金属塩製品の表面の金属化合物が20重量ppm以下となり、且つ、オクルードされた金属化合物が1〜300重量ppmになるまで撹拌水洗、脱水を繰り返し行うことによって、本発明に用いる所望の脂肪族カルボン酸金属塩が得られる。
本発明においては、例えば上記の式(I)、式(II)又は式(III)の反応で得られる粗脂肪族カルボン酸金属塩製品を水洗処理して得られる所望の脂肪族カルボン酸金属塩の金属は、2価の金属、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、及びストロンチウムより選ばれることが好ましい。
上記の所望の該脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされた、金属水酸化物及び金属塩化物より選ばれる金属化合物の金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、及びストロンチウムより選ばれることが好ましい。
本発明においては、水洗処理に付された所望の脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされている金属化合物が複数種類の金属化合物より成る場合は、オクルードされている金属化合物の量とはこのオクルードされた複数種類の金属化合物の合計量を意味する。同様にして、本発明においては、水洗処理に付された所望の脂肪族カルボン酸金属塩の表面に付着した金属化合物が複数種類の金属化合物より成る場合は、表面に付着した金属化合物の量とは表面に付着した複数種類の金属化合物の合計量を意味する。
本発明における水洗処理に付された所望の脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされている金属化合物と表面に付着した金属化合物は、以下に示すイオンクロマトグラフィーを用いる方法によって定量されるものである。
水洗処理に付された所望の脂肪族カルボン酸金属塩の同重量のサンプルを2つ用意し、第1のサンプルをサンプルの5倍量(v/w)以上の純水に投入し、室温で1時間超音波処理後、該脂肪族カルボン酸金属塩を濾過し、濾液中の金属イオンと対イオンをイオンクロマトグラフィーによって定量することによって、該脂肪族カルボン酸金属塩の表面に付着した金属化合物の量(W1)を求める。一方、水洗処理に付された所望の脂肪族カルボン酸金属塩の第2のサンプルをサンプルの5倍量(v/w)以上のメタノールに投入し、温度60℃で1時間、超音波処理し、該脂肪族カルボン酸金属塩を濾過する。濾液を純水と1:1の体積比で混合し、得られた混合液中の金属イオンと対イオンをイオンクロマトグラフィーによって定量することによって、該脂肪族カルボン酸金属塩の第2のサンプルの表面と内部に存在していた金属化合物の合計量(W2)を求める。該脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされた金属化合物の量は、(W2)の値から(W1)の値を引くことで求めることができる。
尚、上記の対イオンは水酸基イオンと塩素イオンより選ばれる少なくとも1種であるが、イオンクロマトクロマトグラフィーでは水酸基イオンを直接定量することができない。しかし、金属イオンと塩素イオンを直接定量することができるので、金属イオンの定量値、もしくは金属イオンと塩素イオンの定量値に基づいて水酸基イオンも定量することができる。
上記したように、本発明に用いる脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をオクルードした状態で含有しており、且つ、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をその表面に付着した状態で含有していないか極めて限定された量を含有し、該オクルードされた金属化合物の量及び該表面に付着した金属化合物の量が、それぞれ、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して、1〜300重量ppm及び0〜20重量ppmである。
この脂肪族カルボン酸金属塩0.01〜3.0重量部を末端安定化ポリアセタール樹脂100重量部に添加してなる本発明のポリアセタール樹脂組成物は、耐熱エージング性、耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の全てに優れている。オクルードされている金属化合物の量の範囲は、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して1〜300重量ppm、好ましくは1〜50重量ppm、更に好ましくは1〜10重量ppmである。オクルードされた金属化合物の量が300重量ppmを越える場合、ポリアセタール樹脂組成物の耐エージング変色性が著しく悪くなり、成型品の外観不良の問題を招く。また、モールドデポジット防止性が悪くなる。一方、オクルードされている金属化合物の量が1重量ppm未満の場合は、耐熱エージング性が低下する。一方、表面に付着した金属化合物の量は、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下であり、最も好ましくは0重量ppmである。この量が20重量ppmを越えると、モールドデポジット防止性が低くなる。
本発明においては、所望ならば、ポリアセタール樹脂に通常用いられている公知の各種添加剤を特に無限無く用いることができる。例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体、蟻酸捕捉剤、耐候安定剤(例えば、光安定剤)、離型剤等が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜5.0重量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の1種類以上を用いることができる。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。これらの酸化防止剤は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体の例としては、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体、例えば、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/6,12等を挙げることができる。また、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体としては、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られるポリ−β−アラニン共重合体等を挙げることができる。これらのホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。尚、ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体を用いると、150℃で1000時間加熱して耐熱エージング性を評価した際に、強度保持効果が顕著に発揮される。
蟻酸捕捉剤の例としては、アミノ置換トリアジン類化合物、アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物、若しくはアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物を挙げることができる。
アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、例えば、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミンを挙げることができる。
アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミンを挙げることができる。
アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド重縮合物を挙げることができる。
これらのアミノ置換トリアジン類化合物、アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物、若しくはアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の1種以上を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、ヒンダードアミン系光安定剤の例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また紫外線吸収剤と組み合わせて用いても良い。
離型剤の例としては、脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、アミド基を有する脂肪族化合物から選ばれる1種以上を挙げることができる。脂肪酸エステルは、多価アルコールと脂肪酸からなる脂肪酸エステル化合物で、好ましくは10以上の炭素原子を含有する少なくとも1種の飽和又は不飽和脂肪酸と、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールから誘導されたものである。脂肪酸エステル化合物を調製するのに使用する多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールの中から選ばれた1種以上を挙げることができる。又脂肪酸の例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸カルボン酸は、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸及びかかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。上記脂肪酸エステル化合物の内、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸から選ばれた脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトールから選ばれた多価アルコールとから誘導された脂肪酸エステルが好ましい。これらの脂肪酸エステル化合物には、水酸基が有っても良いし、無くても良く、特に制限はない。例えば、モノエステルであっても、ジエステルであっても、トリエステルであっても良い。また、ほう酸等で水酸基が封鎖されていても良い。好ましい脂肪酸エステル化合物を例示すると、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリントリパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジヘベネート、グリセリントリベヘネート、グリセリンモノモンタネート、グリセリンジモンタネート、グリセリントリモンタネート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールジパルミテート、ペンタエリスリトールトリパルミテート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジベヘネート、ペンタエリスリトールトリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールモノモンタネート、ペンタエリスリトールジモンタネート、ペンタエリスリトールトリモンタネート、ペンタエリスリトールテトラモンタネート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンジモンタネート、ソルビタントリモンタネート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールジパルミテート、ソルビトールトリパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールジステアレート、ソルビトールトリステアレート、ソルビトールモノベヘネート、ソルビトールジベヘネート、ソルビトールトリベヘネートソルビトールモノモンタネート、ソルビトールジモンタネート、及びソルビトールトリモンタネートである。また、ほう酸等で水酸基を封鎖した脂肪酸エステル化合物の例としては、グリセリンモノ脂肪酸エステルのほう酸エステル(日本国特開昭49−60762号参照)を挙げることができる。これらの脂肪酸エステル化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上の混合物であっても良い。ポリアルキレングリコールとしては、下記一般式
Figure 0003808101
(R1は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、置換アルキル基、アリル基、置換アリル基より選ばれ、各R1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。X=2〜6、Y=1000〜20000)
で表されるポリアルキレングリコールを用いることができる。このポリアルキレングリコールは、アルキレンオキシドの開環重合によって得ることができる。アルキレンオキシドの具体的な例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、オキセパンを挙げることができる。これらのポリアルキレングリコールは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。アミド基を有する脂肪族化合物としては、下記一般式
Figure 0003808101
(式中、R2、R4はC1〜C30のアルキル基、R3はC1〜C30のアルキレン基を示す。)
で表される脂肪族化合物を用いることができる。具体的な例としては、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスラウリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、及びエチレンビスエルカ酸アミドを挙げることができる。これらのアミド基を有する脂肪族化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
これら添加剤の添加時の形態は、粉体であっても溶融状態であっても構わない。
本発明のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法は特に制限されない。一般に、押出機で、必須成分である安定化ポリアセタール樹脂及びここに規定される特定の脂肪族カルボン酸金属塩と、更に所望ならば、任意成分である添加剤とを、溶融・混練することによって本発明の樹脂組成物の製造を行うことができる。この時の押出機は、1軸であっても2軸であっても構わない。又、ポリアセタール樹脂の重合時に添加剤を加えても構わない。
押出機の温度は、通常、170℃〜240℃の範囲内で適宜選択すればよく、特に制限はない。
本発明組成物を成形する方法については特に制限はなく、押出成形、射出成形、圧縮成形、真空成形、吹込成形、発泡成形等公知の成型方法のいずれによっても成形することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、参考例、実施例及び比較例中のppm、%及び部は、特にこだわりの無い限り、それぞれ重量ppm、重量%及び重量部を示す。本発明組成物の耐熱エージング性、耐エージング変色性、モールドデポジット防止性、及び脂肪族カルボン酸金属塩表面に付着している金属化合物及びオクルードされている金属化合物の定量方法は、以下に示した方法によって評価した。
(A)耐熱エージング性(ポリアセタール樹脂のホルムアルデヒドガス発生量):
3gの末端安定化したポリアセタール樹脂をアルミ製容器に入れ、窒素気流下(6リッター/時間)で230℃、60分間加熱溶融させ、その時に発生したホルムアルデヒドガスを1mol/リットルの亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させ、0.01規定の硫酸で滴定し、ホルムアルデヒドガス発生量を求め、ポリアセタール樹脂の重量当たりの重量ppmで表した。
(B)耐熱エージング性(引張強度保持率):
下記装置及び条件でダンベル型試験片(20mm×180mm×3mm)を成形した。
成形機:日本国東芝機械(株)製 IS−80A
シリンダー温度:200℃
射出圧力:60kg/cm2
射出時間:15秒
冷却時間:25秒
金型温度:70℃
日本国島津製作所(株)製オートグラフ AG−1000Bを用いて、得られた試験片の引張強度を、引張速度5mm/minで測定した。更に、同様にして成形した試験片を150℃のギャーオーブンで500時間加熱し、上記と同様にして引張強度を求め、上記の加熱していない試験片の引張強度に対する引張強度保持率を求めた。
(C)耐エージング変色性:
上記と同様にして作製した試験片を、150℃に加熱したギャーオーブン内に500時間放置し、その時の色調変化を、JIS Z−8730に準じ、日本国スガ試験機(株)製ハンディーカラーテスターHC−Tを用いて測定した。エージング変色度を、評価すべき脂肪族カルボン酸金属塩を添加したポリアセタール樹脂組成物の色調と、後述する比較例1で得られる、脂肪族カルボン酸金属塩を添加していないポリアセタール樹脂の色調との差(ΔbL値)で表した。
(D)脂肪族カルボン酸金属塩表面に付着している金属化合物量及びオクルードされている金属化合物量の測定:
脂肪族カルボン酸金属塩同重量のサンプルを2つ用意した。第1のサンプルを、サンプル1g当たり10mlの純水に投入し、室温で1時間超音波処理後、脂肪族カルボン酸金属塩を濾過して濾液を得、濾液中の金属イオンを、下記の装置を用いてイオンクロマトグラフィーによって定量し、脂肪族カルボン酸金属塩表面に存在する金属化合物量(W1)を求めた。
尚、脂肪族カルボン酸金属塩中にオクルードされているか又はその表面に付着している金属化合物の金属の対イオンは水酸基イオンと塩素イオンより選ばれる少なくとも1種であるが、イオンクロマトグラフィーでは水酸基イオンを直接定量することができない。しかし、金属イオンと塩素イオン(金属イオンと同様にイオンクロマトグラフィーで定量できる)を直接定量することができるので、金属イオンの定量値、もしくは金属イオンと塩素イオンの定量値に基づいて水酸基イオンも定量することができる。但し以下の参考例では、粗脂肪族カルボン酸金属塩の製造における出発物質としての脂肪族カルボン酸又は脂肪族カルボン酸金属塩と反応させる反応体としての金属化合物の負イオンの種類が分かっているので、金属イオンのみ定量した。
[1価の金属イオン(以下の参考例ではナトリウムイオン)の定量]
装置:電気伝導度検出器 Water 431(米国ウォーターズ社製)
カラム:Shim−pack IC−C1(150mm×5.0mm)(日本国島津製作所株式会社製)
カラムにかける濾液の量:10μl
移動相:5mmol HNO3(61% HNO3水溶液 0.51gを水1リットルに添加して調製した)1.0ml/min
[2価の金属イオン(以下の参考例ではカルシウムイオン、マグネシウムイオン及び亜鉛イオン)の定量]
装置:電気伝導度検出器 Water 431(米国ウォーターズ社製)
カラム:Shim−pack IC−C1(150mm×5.0mm)(日本国島津製作所株式会社製)
カラムにかける濾液の量:10μl
移動相:1mmol エチレンジアミン
1mmol 酒石酸
(エチレンジアミン 70μl、酒石酸 153.2mgを水に添加し、トータル1リットルとなるようにして調製した)1.0ml/min
一方、脂肪族カルボン酸金属塩の第2のサンプルを、サンプル1g当たり10mlのメタノールに投入し、温度60℃で1時間、超音波処理し、脂肪族カルボン酸金属塩を濾過して濾液を得た。得られた濾液を純水と1:1の割合で混合し、得られた混合液中の金属イオンを、上記と同様の装置を用いてイオンクロマトグラフィーによって定量し、脂肪族カルボン酸金属塩の第2のサンプルの表面に付着している金属化合物及びオクルードされている金属化合物の合計量(W2)を求めた。脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされている金属化合物量は、(W2)の値から(W1)の値を引くことで求めた。
(E)モールドデポジット防止性:
以下の成形機及び形成条件で、本発明のポリアセタール樹脂組成物を成形した。
成形機:日本国東芝機械(株)製 IS−100E
シリンダー温度:210℃
金型温度:40℃
射出圧力:70kg/cm2
射出時間:10秒
冷却時間:10秒
サックバック:2mm
次いで、モールドデポジット防止性を、以下の判定基準に基づき判定した(ショット数 500)。
モールドデポジットの発生なし:○
キャビテー、ガス抜き部に発生:×
以下の実施例で使用した添加剤は、次の通りである。
▲1▼ヒンダーフェノール系酸化防止剤
c−1:トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
c−2:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
▲2▼ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体(熱安定剤)としてのアミド化合物
d−1:ナイロン6,6
d−2:第1級アミド含有量が7ミリモル/ポリマー1gのポリ−β−アラニン共重合体
▲3▼蟻酸捕捉剤
e−1:メラミン
e−2:分子量700、平均粒径50μmのメラミン・ホルムアルデヒド重縮合物(60℃温水可溶、ジメチルスルホキシド可溶)
▲4▼光安定剤
f−1:2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
f−2:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セパケート
f−3:1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
f−4:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物
f−5:2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド
▲5▼離型剤
g−1:グリセリンモノステアレート
g−2:ポリエチレングリコール(分子量6000)
g−3:エチレンビスステアリルアミド
参考例1
〔ポリアセタール樹脂(a−1)の製造〕
熱媒を通すことのできるジャケット付の2枚の撹拌羽根を有する5リッター容ニーダーを80℃に調製し、15ppmの水を含んだトリオキサン3kgと、100ppmのテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを添加した1,3−ジオキソランを、トリオキサン1molに対して4.0mol%、分子量調節剤としてメチラール0.7×10-3molを添加、混合した。この混合物に重合触媒として3フッ化ホウ素ジブチルエーテルをトリオキサン1molに対して0.15×10-4mol加えて重合を行った。反応開始後、30分経過したところで、ジャケットに30℃の熱媒を通し、1%のトリエチルアミンを含有する水溶液2リッターを添加し、1時間触媒を失活させて反応を停止した。その後、ニーダーの内容物を取り出し濾過した後、濾塊を100℃で乾燥し、2.7kgのポリアセタール樹脂を得た。この操作を全量が10kgになるまで繰り返した。得られたポリアセタール樹脂を30mmのベント口を1ヶ所有する2軸押出機(L/D比:32)に供給した、押出機温度が200℃、押出機の反応帯域に注入する水及び塩基性物質として使用したトリエチルアミンの添加量が、樹脂に対してそれぞれ0.2重量%及び0.1重量%,ベント真空度が200Torrの条件でポリアセタール樹脂の末端安定化及び脱揮を行い末端安定化したポリアセタール樹脂(a−1)をペレットの形で得た。得られたポリアセタール樹脂(a−1)のホルムアルデヒドガス発生量は1100ppm、メルトインデックス値は10g/10分であった。
〔ポリアセタール樹脂(a−2)の製造〕
ポリアセタール樹脂を末端安定化する際の押出機ベント真空度を100Torrとする以外は、ポリアセタール樹脂(a−1)の製造と実質的に同様の操作を行い、末端安定化したポリアセタール樹脂(a−2)を得た。得られたポリアセタール樹脂(a−2)のホルムアルデヒドガス発生量は540ppm、メルトインデックス値は10g/10分であった。
〔ポリアセタール樹脂(a−3)の製造〕
ポリアセタール樹脂を末端安定化する際の押出機ベント真空度を30Torrとする以外は、ポリアセタール樹脂(a−1)の製造と実質的に同様の操作を行い、末端安定化したポリアセタール樹脂(a−3)を得た。得られたポリアセタール樹脂(a−3)のホルムアルデヒドガス発生量は260ppm、メルトインデックス値は10g/10分であった。
〔ポリアセタール樹脂(a−4)の製造〕
熱媒を通すことのできるジャケット付の2枚の撹拌羽根を有する5リッター容ニーダーを80℃に調製し、16ppmの水を含んだトリオキサン3kgと、100ppmのテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを添加した1,3−ジオキソランを、トリオキサン1molに対して4.0mol%、分子量調節剤としてメチラール0.7×10-3molを添加、混合した。この混合物に重合触媒として3フッ化ホウ素ジブチルエーテルをトリオキサン1molに対して0.15×10-4mol加えて重合を行った。反応開始後、30分経過したところで、ジャケットに30℃の熱媒を通し、1%のトリエチルアミンを含有する水溶液2リッターを添加し、1時間触媒を失活させて反応を停止した。その後、ニーダーの内容物を取り出し濾過した後、濾塊を100℃で乾燥し、2.7kgのポリアセタール樹脂を得た。この操作を全量が10kgになるまで繰り返した。得られたポリアセタール樹脂100部に対してトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3部添加し、30mmのベント口を1ヶ所有する2軸押出機(L/D比:32)に供給した。押出機温度が200℃、押出機の反応帯域に注入する水及び塩基性物質として使用したトリエチルアミンの添加量が、樹脂に対してそれぞれ0.2重量%及び0.1重量%,ベント真空度が100Torrの条件でポリアセタール樹脂の末端安定化及び脱揮を行い末端安定化したポリアセタール樹脂(a−4)をペレットの形で得た。得られたポリアセタール樹脂(a−4)のホルムアルデヒドガス発生量は560ppm、メルトインデックス値は10g/10分であった。
得られたポリアセタール樹脂(a−1)〜(a−4)のホルムアルデヒドガス発生量及びメルトインデックス値を、以下の表1に示す。
Figure 0003808101
参考例2
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造]
80℃に昇温した純水1000mlにステアリン酸57gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを50℃まで冷却し、次に20mlの純水に水酸化カルシウム7.8gを懸濁して得られる懸濁液を添加した。水酸化カルシウム添加量は、ステアリン酸2モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び80℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行って粗ステアリン酸カルシウム製品を得た。得られた粗ステアリン酸カルシウム製品の撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をW1(ステアリン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウム量)が10ppm、W2(ステアリン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウムとステアリン酸カルシウムにオクルードされている水酸化カルシウムの合計量)が275ppmの所望のステアリン酸カルシウムを得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−2)の製造]
1=0、W2=48ppmのステアリン酸カルシウムを得るまで上記の水洗処理を繰り返す以外は、脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造と実質的に同様の操作を行った。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−2)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の製造]
1=0、W2=4ppmのステアリン酸カルシウムを得るまで水洗処理を繰り返す以外は、脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造と実質的に同様の操作を行った。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−4)の製造]
1=0、W2=0のステアリン酸カルシウムを得るまで水洗処理を繰り返す以外は、脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造と実質的に同様の操作を行った。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−4)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−5)の製造]
80℃に昇温した純水1000mlにステアリン酸57gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを50℃まで冷却し、次に40mlの純水に水酸化ナトリウム8.4gを添加して得られる水酸化ナトリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム添加量は、ステアリン酸1モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び80℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行い、更に撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をこの後2回繰り返した。得られたステアリン酸ナトリウム40gを再び80℃に昇温した純水1000mlに添加し、撹拌しながら溶解させ、これに、7.5gの塩化カルシウムを20mlの純水に溶解して得られる水溶液を添加した。塩化カルシウムの仕込み量は、ステアリン酸ナトリウム2モルに対して1.05モルである。1時間後、濾過、脱水を行ない、粗ステアリン酸カルシウム製品を得た。得られた粗ステアリン酸カルシウム製品の水洗処理を、W1(ステアリン酸カルシウム表面に付着している塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの量)が7ppm、W2(ステアリン酸カルシウム表面に付着している塩化カルシウム及び塩化ナトリウムと、ステアリン酸カルシウムにオクルードされている塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの合計量)が112ppmの所望のステアリン酸カルシウムを得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−5)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−6)の製造]
50℃に昇温した純水1000mlにラウリン酸40gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを25℃まで冷却し、次に20mlの純水に水酸化カルシウム7.8gを懸濁して得られる懸濁液を添加した。水酸化カルシウム添加量は、ラウリン酸2モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び50℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行って粗ラウリン酸カルシウム製品を得た。得られた粗ラウリン酸カルシウム製品の撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をW1(ラウリン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウム量)が13ppm、W2(ラウリン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウムとラウリン酸カルシウムにオクルードされている水酸化カルシウムの合計量)が281ppmの所望のラウリン酸カルシウムを得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のラウリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−6)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−7)の製造]
90℃に昇温した純水1000mlにベヘン酸60gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを50℃まで冷却し、次に20mlの純水に水酸化カルシウム6.8gを懸濁して得られる懸濁液を添加した。水酸化カルシウム添加量は、ベヘン酸2モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び90℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行って粗ベヘン酸カルシウム製品を得た。得られた粗ベヘン酸カルシウム製品の撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をW1(ベヘン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウム量)が10ppm、W2(ベヘン酸カルシウム表面に付着している水酸化カルシウムとベヘン酸カルシウムにオクルードされている水酸化カルシウムの合計量)が294ppmの所望のベヘン酸カルシウムを得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のベヘン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−7)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−8)の製造]
80℃に昇温した純水1000mlにステアリン酸57gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを50℃まで冷却し、次に20mlの純水に水酸化マグネシウム6.1gを懸濁して得られる懸濁液を添加した。水酸化マグネシウム添加量は、ステアリン酸2モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び80℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行って粗ステアリン酸マグネシウム製品を得た。得られた粗ステアリン酸マグネシウム製品の撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をW1(ステアリン酸マグネシウム表面に付着している水酸化マグネシウム量)が17ppm、W2(ステアリン酸マグネシウム表面に付着している水酸化マグネシウムとステアリン酸マグネシウムにオクルードされている水酸化マグネシウムの合計量)が281ppmの所望のステアリン酸マグネシウムを得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のステアリン酸マグネシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−8)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−9)の製造]
80℃に昇温した純水1000mlにステアリン酸57gを添加撹拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを50℃まで冷却し、次に20mlの純水に水酸化亜鉛10.4gを懸濁して得られる懸濁液を添加した。水酸化亜鉛添加量は、ステアリン酸2モルに対して1.05モルである。得られた混合液を再び80℃まで昇温し、1時間熟成させて反応を行った。
その後、反応混合液を室温まで自然冷却し濾過、脱水を行って粗ステアリン酸亜鉛製品を得た。得られた粗ステアリン酸亜鉛製品の撹拌水洗を1時間行い、再び濾過、脱水を行った(水洗処理)。この水洗処理をW1(ステアリン酸亜鉛表面に付着している水酸化亜鉛量)が15ppm、W2(ステアリン酸亜鉛表面に付着している水酸化亜鉛とステアリン酸亜鉛にオクルードされている水酸化亜鉛の合計量)が263ppmの所望のステアリン酸亜鉛を得るまで繰り返した。W1及びW2は、上記項目(D)の方法により求めた。得られた所望のステアリン酸亜鉛を脂肪族カルボン酸金属塩(b−9)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)の製造]
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)500gに、水酸化カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)に対して260ppm添加し、これを3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、品温が40℃になるように小型ヘンシェルミキサーのジャケット温度を上げた。その後、860rpmで5分間ブレンドし排出することにより、脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に水酸化カルシウムの付着した、脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を得た。水酸化カルシウムが脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)内にオクルードされず、表面に付着する理由は、40℃の温度では脂肪族カルボン酸金属塩が融解しないからである。得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)表面に存在する水酸化カルシウムの量(W1)を測定したところ、250ppmであった。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−11)の製造]
1=0、W2=1ppmのステアリン酸カルシウムを得るまで水洗処理を繰り返す以外は、脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造と実質的に同様の操作を行った。得られた所望のステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−11)とした。
[脂肪族カルボン酸金属塩(b−12)の製造]
1=31ppm、W2=851ppmのステアリン酸カルシウムを得るまで水洗処理を繰り返す以外は、脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)の製造と実質的に同様の操作を行った。得られたステアリン酸カルシウムを脂肪族カルボン酸金属塩(b−12)とした。
得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−1)〜(b−12)それぞれについての表面に付着した金属化合物量(W1)、表面に付着した金属化合物とオクルードされている金属化合物の合計量(W2)、並びにオクルードされている金属化合物量(W2−W1)、を表2に示す。
Figure 0003808101
実施例1
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.1部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入した。品温が40℃になるように小型ヘンシェルミキサーのジャケット温度を上げ、その後860rpmの回転数で2分間混合し排出した。この操作を全量が10kgになるまで繰り返した。得られた混合物を30mmのベントロを1ヶ所有する2軸押出機(L/D比:32)に供給した。押出機温度200℃、吐出量5kg/hr、スクリュー回転数100rpm、ベント真空度30Torrの条件で押出、出てきたポリアセタール樹脂組成物をカッターでペレタイズした。このペレタイズしたポリアセタール樹脂組成物を80℃で5時間乾燥した後、日本国東芝機械(株)製成形機IS−80Aに投入し成形し、ダンベル型試験片(20mm×180mm×3mm)を得た。この時の成形条件はシリンダー温度200℃で、射出圧力60kg/cm2G、射出時間15秒、冷却時間25秒、金型温度70℃であった。得られた試験片を23℃、相対湿度50%の恒温室に2日間放置し、その後耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例2〜6及び比較例1、2
脂肪族カルボン酸金属塩の添加量を表3に示すように変える以外は、実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表3に示す。
実施例7〜13
脂肪族カルボン酸金属塩の種類を表3に示すように変えた以外は、実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表4に示す。
実施例14
ホルムアルデヒドガス発生量が540ppmのポリアセタール樹脂(a−2)を用いる以外は実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表4に示す。
実施例15
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表4に示す。
比較例3
金属化合物をオクルードしていない脂肪族カルボン酸金属塩(b−4)を用いる以外は、実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表4に示す。
比較例4
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表4に示す。
実施例16
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.03部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.2部、ナイロン6,6 0.025部、及びグリセリンモノステアレート0.1部を3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表5に示す。
実施例17
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例16と実質的に同様の操作を行った。結果を表5に示す。
比較例5
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例16と実質的に同様の操作を行った。結果を表5に示す。
実施例18
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.1部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.3部、及びエチレンビスステアリルアミド0.2部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表5に示す。
実施例19
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例18と実質的に同様の操作を行った。結果を表5に示す。
比較例6
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例18と実質的に同様の操作を行った。結果を表5に示す。
実施例20
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.2部、ヒンダードフェニル系酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3部、ナイロン6,6 0.05部、グリセリンモノステアレート0.2部、ポリエチレングリコール(分子量6000)0.6部、及びメラミン0.3部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表6に示す。
実施例21
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例20と実質的に同様の操作を行った。結果を表6に示す。
比較例7
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例20と実質的に同様の操作を行った。結果を表6に示す。
実施例22
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.05部、ナイロン6,6 0.05部、エチレンビスステアリルアミド0.35部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.5部、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート0.25部、及びメラミン0.3部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表7に示す。
実施例23
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例22と実質的に同様の操作を行った。結果を表7に示す。
比較例8
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例22と実質的に同様の操作を行った。結果を表7に示す。
実施例24
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.05部、ナイロン6,6 0.1部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3部、及び1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}2,2,6,6−テトラメチルピペリジン0.075部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表8に示す。
実施例25
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例24と実質的に同様の操作を行った。結果を表8に示す。
比較例9
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例24と実質的に同様の操作を行った。結果を表8に示す。
実施例26
ホルムアルデヒドガス発生量が1100ppmのポリアセタール樹脂(a−1)1.5kg、並びにポリアセタール樹脂(a−1)100部に対して脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)0.05部、ナイロン6,6 0.05部、エチレンビスステアリルアミド0.05部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.5部、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート0.25部、ポリエチレングリコール(分子量6000)1.0部、メラミン0.3部、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物0.25部を、3リッター容の小型ヘンシェルミキサーに投入し、実施例1と実質的に同様の方法でポリアセタール樹脂組成物の試験片を得た。得られた試験片の耐熱エージング性と耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性の評価を行った。結果を表9に示す。
実施例27
ホルムアルデヒドガス発生量が260ppmのポリアセタール樹脂(a−3)を用いる以外は実施例26と実質的に同様の操作を行った。結果を表9に示す。
比較例10
脂肪族カルボン酸金属塩(b−3)の表面に250ppmの水酸化カルシウムを付着させて得られた脂肪族カルボン酸金属塩(b−10)を用いる以外は実施例26と実質的に同様の操作を行った。結果を表9に示す。
実施例28
第1級アミド含有量が7ミリモル/ポリマー1gのポリ−β−アラニン共重合体0.1部をナイロン6,6 0.025部の代わりに用いた以外は、実施例17と実質的に同様の操作を行った。結果を表10に示す。
実施例29
分子量700、平均粒径50μmで、60℃温水可溶、ジメチルスルホキシド可溶のメラミン・ホルムアルデヒド重縮合物0.3部を、メラミン0.3部の代わりに用いた以外は、実施例27と実質的に同様の操作を行った。結果を表10に示す。
実施例30
2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド0.5部を2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.5部の代わりに用いた以外は、実施例23と実質的に同様の操作を行った。結果を表10に示す。
実施例31
ホルムアルデヒドガス発生量が560ppmのポリアセタール樹脂(a−4)を用いる以外は実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表10に示す。
実施例32
脂肪族カルボン酸金属塩(b−11)を用いる以外は、実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表11に示す。
比較例11
脂肪族カルボン酸金属塩(b−12)を用いる以外は実施例1と実質的に同様の操作を行った。結果を表11に示す。
表3〜表11から明らかなように、ポリアセタール樹脂、並びに金属化合物の特定量をオクルードした状態で有しており、且つ、金属化合物をその表面に付着した状態では有していないか又は極めて限定された特定量有している脂肪族カルボン酸金属塩を含む本発明の組成物は、耐熱エージング性、耐エージング変色性及びモールドデポジット防止性に優れていた。
耐光性の評価:
尚、実施例22、23、24、25、26、27、29、30で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレット100部に、カーボンブラック(アセチレンブラック)を0.2部ブレンドし、30mmの単軸押出機(ベント無し、L/D比:22)で溶融混練した。この時の押出温度は200℃、スクリュー回転数100rpm、吐出量3kg/hrであった。得られた着色ペレットを80℃で5時間乾燥させた後、射出成形機で長さ67mm、幅13mm、厚さ3mmの平板を成形した。この時用いた成形機及び成形条件を以下に示す。
成形機:日本国東芝機械(株)製 IS−100E−3A
シリンダー温度:200℃
射出圧力:40kg/cm2
射出時間:15秒
冷却時間:25秒
金型温度:70℃
上記で得られた平板を以下の条件で耐光試験し、耐光暴露後の色差(ΔE)を、以下の装置を用いてJIS Z8730に準拠して観察した。
(耐光試験)
試験機:日本国スガ試験機(株)製EL−SUN−HC−B・EM型フェードメーター
ブラックパネル温度:83℃
暴露時間:400時間
(色差)
試験機:日本国スガ試験機(株)製ハンデーカラーテスターHC−T
平板の光照射面を100倍の顕微鏡で観察し、クラックの有無を観た。
その結果、いずれのサンプルも色差(ΔE)変化がなく、またクラックの発生も観られなかった。
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産業上の利用可能性
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、優れた耐熱エージング性と耐エージング変色性を有するものであり、従来のポリアセタール樹脂組成物よりなる成形体を高温雰囲気下で使用した時の問題点であった物性低下と外観不良の問題を解決するものである。更に、本発明のポリアセタール樹脂組成物はモールドデポジット防止性にも優れるので、成形生産性をも同時に改善するものである。本発明のポリアセタール樹脂組成物は、様々な用途、特に、高温条件下で長時間使用される機構部品の製造に極めて好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 末端安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して、少なくとも1種の脂肪族カルボン酸金属塩0.01〜3.0重量部を添加してなるポリアセタール樹脂組成物にして、該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をオクルードした状態で有しており、且つ、該脂肪族カルボン酸金属塩は、金属水酸化物と金属塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をその表面に付着した状態で含有していないか極めて限定された量を含有しており、該オクルードされた少なくとも1種の金属化合物の量及び該表面に付着した少なくとも1種の金属化合物の量が、それぞれ、該脂肪族カルボン酸金属塩と該オクルードされた金属化合物と該表面に付着した金属化合物の合計重量に対して、1〜300重量ppm及び0〜20重量ppmであることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
  2. 該少なくとも1種の脂肪族カルボン酸金属塩の金属がカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウムよりなる群から選ばれる請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 該脂肪族カルボン酸金属塩にオクルードされた少なくとも1種の金属化合物の金属がナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウムよりなる群から選ばれる請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 該末端安定化ポリアセタール樹脂が、窒素気流下で230℃で60分加熱した時のホルムアルデヒドガス発生量が、該末端安定化ポリアセタール樹脂の重量に対して600重量ppm以下である請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体、蟻酸捕捉剤、光安定剤、離型剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤の0.1〜5.0重量部を更に含有してなる請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 酸化防止剤が少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤である請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体が、ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミドと他のビニルモノマーとの共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. 蟻酸捕捉剤が、アミノ置換トリアジン類化合物と、アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物と、アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. 光安定剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  10. 離型剤が脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、アミド基を有する脂肪族化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
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