JP4827435B2 - ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は下記のとおりである。
ポリアセタール樹脂(A)が、下記に示す不安定な末端部の分解除去処理を経て得られるポリアセタールコポリマーであって、
耐候安定剤(C)が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤であるポリアセタール樹脂組成物。
〔不安定な末端部の分解除去処理〕
下記一般式(1)で表わされる少なくとも一種の第4級アンモニウム化合物が、ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物の合計質量に対して、下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して0.05〜50質量ppm存在する条件下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理する。
[R 1 R 2 R 3 R 4 N+]nX−n 式(1)
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;または炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、またはアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、または炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
P×14/Q 式(2)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマー及び第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する量(ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
H2NHNOC−R5−CONHNH2 式(3)
(式中R5は炭素数2〜20の炭化水素)
〈3〉ヒドラジド化合物(B)の融点が160℃以上である前記〈1〉または〈2〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈4〉ヒドラジド化合物(B)がセバチン酸ジヒドラジドである前記〈1〉〜〈3〉の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈6〉200℃で成形して得られ、VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が1mg/kg以下である成形品を提供する、〈1〉〜〈5〉の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈7〉240℃で成形して得られ、VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が3mg/kg以下である成形品を提供する、前記〈1〉〜〈5〉の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈8〉VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が1mg/kg以下である、前記〈1〉〜〈7〉の何れかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
まず、本発明のポリアセタール樹脂組成物を構成する各成分について述べる。
本発明におけるポリアセタール樹脂(A)としては、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るポリアセタールホモポリマーや、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマーを代表例としてあげることができる。また、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
以上のように、本発明においては、ポリアセタールホモポリマー、コポリマーいずれも用いることが可能である。好ましいのはポリアセタールコポリマーである。
ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられる。具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。
また、プロトン酸、そのエステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。
[R1R2R3R4N+]nX−n 式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20の カルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
P×14/Q 式(2)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタール樹脂及び第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する量(ppm)を表し、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
次に本発明のヒドラジド化合物(B)について説明する。
本発明で用いられるヒドラジド化合物は下記一般式(3)で表されるジカルボン酸ジヒドラジドが好ましい。
H2NHNOC−R5−CONHNH2 (3)
(式中R5は炭素数2〜20の炭化水素を表す)
次に本発明の耐候安定剤(C)について説明する。
本発明で用いられる耐候安定剤(C)は、ベンゾトリアゾール系物質、蓚酸アニリド系物質、およびヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
ベンゾトリアゾール系物質の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミドなどがある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体、または化合物の例としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン12などのポリアミド樹脂、およびこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/66/610、ナイロン6/612などが挙げられる。またアクリルアミドおよびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体やアミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物を挙げることができる。
ギ酸捕捉剤としては、上記のアミノ置換トリアジンやアミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共重縮合物、例えばメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物などが挙げられる。他のギ酸捕捉剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩、またはアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、もしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物を挙げることができる。
〔(M2+)1−X(M3+)X(OH)2〕X +〔(An−)x/n・mH2O〕X −
(式中、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An−はn価(nは1以上の整数)のアニオンを表し、Xは、0<X≦0.33の範囲にあり、mは正の数である。)
M2+の例としてはMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等、An−の例としては、OH−、F−、Cl−、Br−、NO3 −、CO3 2−、SO4 2−、Fe(CN)6 3−、CH3COO−、シュウ酸イオン、サリチル酸イオン等をあげることができる。特に好ましい例としてはCO3 2−、OH−をあげることができる。具体例としてはMg0.75Al0.25(OH)2(CO3)0.125・0.5H2Oで示される天然ハイドロタルサイト、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3等で示される合成ハイドロタルサイトを挙げることができる。
離型剤としては、ポリアルキレングリコール、アミド基を有する脂肪族化合物から選ばれる1種類以上を挙げることができる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。ポリアルキレングリコールの分子量は目的に応じて選択することができ、一般には500〜20000の分子量を有するポリアルキレングリコールを用いることができる。アミド基を有する脂肪族化合物としては、エチレンビスパルチミン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、およびエチレンビスエルカ酸アミド等を挙げることができる。これらの離型剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜3質量部配合することが好ましい。
無機フィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維などに代表される補強剤、導電性カーボンブラック、金属粉末、繊維、などに代表される導電材、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、またはこれらの変性物、などに代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、などに代表される熱可塑性エラストマーを配合しても良い。これらは、ポリアセタール樹脂100質量部に対して10〜40質量部配合されることが好ましい。
(1)プリンターおよび複写機などに代表されるOA機器
(2)VTRおよびビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラなどに代表されるカメラ・ビデオ機器
(3)カセットプレイヤー、LD、DAT、MD、CD、DVD、その他の光ディスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム、およびモバイルパーソナルコンピュータ、などに代表される音楽、映像または情報機器
(4)携帯電話およびファクシミリなどに代表される通信機器
(5)ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ、などに代表される燃料廻り部品、ドアロック、ドアハンドル、ウィンドゥレギュレータ、スピーカーグリル、などに代表されるドア回り部品、シートベルト用スリップリング、プレスボタン、などに代表されるシートベルト周辺部品、コンビスイッチ部品、スイッチ類、クリップ類の自動車内外装部品
(6)使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器、および住宅設備機器などに代表される工業部品など
示差熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−2C)を用い、一旦200℃まで昇温させ融解させた試料を100℃まで冷却し、再度2.5℃/分の速度にて昇温する過程で発生する発熱スペクトルのピークの温度を融点とした。
ポリアセタール樹脂を1Nの塩酸で加熱分解後、フッ素イオン電極(HORIBA製)を用いてポリアセタール樹脂中のフッ素濃度を測定した。
窒素気流下(50NL/hr)において、ポリアセタール樹脂(ペレット)を200℃で50分間加熱溶融し、ポリアセタール樹脂から発生するホルムアルデヒドガスを水に吸収した後、亜硫酸ソーダ法により滴定して求めた。この条件下においては、発生するホルムアルデヒドの殆どは、ポリアセタール樹脂の不安定な末端(−(OCH2)n−OH基)からの分解による。
(株)東芝製IS−80A射出成形機を用いて、シリンダー温度:200℃、240℃、射出圧力:(1次圧力/2次圧力=63.7MPa/50.0MPa)射出時間:15秒、冷却時間:20秒、金型温度:77℃で試験片を作成し、VDA275法(下記条件)により測定し、成形品から放出されるホルムアルデヒド量を求めた。
<VDA275法>
1Lのポリエチレン容器に蒸留水50mLと規定されたサイズの試験片(縦100mm×横40mm×厚み3mm)を入れ密閉し、60℃で3時間加熱後、蒸留水に吸収させたホルムアルデヒドをアンモニウムイオン存在下においてアセチルアセトンと反応させ、その反応物をUV分光計にて412nmの吸収ピークを測定し、ホルムアルデヒド放出量(mg/kg)を求めた。
住友重機機械工業製SH−75射出成形機を用いて、シリンダー温度:200℃、射出圧力:54MPa、射出時間:25秒、冷却時間:15秒、金型温度:70℃で試験片を作製し、耐候性試験評価を行なった。耐候性試験条件は下記に示した条件で行なった。
試験機:スガ試験機製キセノンウェザーメーター耐候試験機 EL−2WL型
ブラックパネル温度:89℃
湿度:50%R・H
暴露時間:1000時間
ミノルタ製色彩色差計CR−200を用いて行なった。
〈ポリアセタール樹脂(a−1)〉
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.4g/h(トリオキサン1molに対して、3.9mol%)、連鎖移動剤としてメチラールをトリオキサン1molに対して0.7×10−3molを連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10−5molで連続的に添加し重合を行なった。
重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後120℃で乾燥した。水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行い、窒素量に換算して20質量ppmとした。
乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で不安定末端部分の分解除去を行なった。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押出され、ペレタイズされた。このようにして得られたポリアセタール樹脂(a−1)の融点は164.5℃、残存フッ素濃度は7.1ppm、ホルムアルデヒドの発生量は21ppmであった。
失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマーに第4級アンモニウム化合物を添加せずに120℃で乾燥し、乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水及び塩基性物質としてトリエチルアミンを各々2.5質量部及び0.1質量部添加した以外は、ポリアセタール樹脂(a−1)の製造と同様の操作を行いポリアセタール樹脂(a−2)を得た。このようにして得られたポリアセタール樹脂(a−2)の融点は164.3℃、残存フッ素濃度は7.5ppm、ホルムアルデヒド発生量は450ppmであった。
b−1:セバチン酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)
b−2:ドデカ二酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)
b−3:イソフタル酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)
b−4:ジナフタレン酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)
c−1:2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス (α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
d−1:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート
d−2:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9− [2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物
e−1:エチレンビスステアリン酸アミド
e−2:ポリエチレングリコール(分子量:6000)
ジステアリン酸カルシウム
ナイロン6,6
顔料:アセチレンブラック
ポリアセタール樹脂(a−1)100質量部に、蟻酸捕捉剤としてジステアリン酸カルシウム0.05質量部、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体としてナイロン6,6を0.05質量部、顔料としてアセチレンブラックを0.05質量部、表1に示した割合で各種のヒドラジド化合物、耐候安定剤、離型剤とを混合し、ベント付2軸押出機で溶融混錬することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。得られたポリアセタール樹脂ペレットを前述の成形条件にて試験片を成形し、耐候安定性、及び放出されるホルムアルデヒド量の評価を行なった。
ポリアセタール樹脂(a−1)100質量部に、蟻酸捕捉剤としてジステアリン酸カルシウム0.05質量部、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体としてナイロン6,6を0.05質量部、顔料としてアセチレンブラックを0.05質量部、表1に示した割合で各種の耐候安定剤、離型剤とを混合し、ベント付2軸押出機で溶融混錬することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。得られたポリアセタール樹脂ペレットを前述の成形条件にて試験片を成形し、耐候安定性、及び放出されるホルムアルデヒド量の評価を行なった。
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に、蟻酸捕捉剤としてジステアリン酸カルシウム0.05質量部、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体としてナイロン6,6を0.05質量部、顔料としてアセチレンブラックを0.05質量部、表1に示した割合で各種の耐候安定剤、離型剤とを混合し、ベント付2軸押出機で溶融混錬することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。得られたポリアセタール樹脂ペレットを前述の成形条件にて試験片を成形し、耐候安定性、及び放出されるホルムアルデヒド量の評価を行なった。
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に、蟻酸捕捉剤としてジステアリン酸カルシウム0.05質量部、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体としてナイロン6,6を0.05質量部、顔料としてアセチレンブラックを0.05質量部、表1に示した割合で各種のヒドラジド化合物、耐候安定剤、離型剤とを混合し、ベント付2軸押出機で溶融混錬することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。得られたポリアセタール樹脂ペレットを前述の成形条件にて試験片を成形し、耐候安定性、及び放出されるホルムアルデヒド量の評価を行なった。
本発明は上述のとおり、耐候安定性に優れ、且つ成形品から放出されるホルムアルデヒド量を著しく低減し、また成形温度依存性の影響が非常に少ないポリアセタール樹脂組成物及びその成形品を提供するものである。本発明のポリアセタール樹脂組成物及びその成形品は、その優れた耐候安定性、及び低ホルムアルデヒド放出特性が要求される部品、例えばVOC(揮発性有機化合物)低減規制が進んでいる環境下で使用される成形部品(自動車材料部品、住宅関連材料部品、家電OA関連材料部品等)としての用途で利用でき、これによりその優れた性能、効果を発揮できる。
Claims (8)
- (A)窒素雰囲気下、200℃で50分間加熱した時のホルムアルデヒド発生量が100ppm以下であるポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)ヒドラジド化合物を0.01〜5質量部及び(C)耐候安定剤0.1〜5質量部を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
ポリアセタール樹脂(A)が、下記に示す不安定な末端部の分解除去処理を経て得られるポリアセタールコポリマーであって、
耐候安定剤(C)が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤であるポリアセタール樹脂組成物。
〔不安定な末端部の分解除去処理〕
下記一般式(1)で表わされる少なくとも一種の第4級アンモニウム化合物が、ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物の合計質量に対して、下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して0.05〜50質量ppm存在する条件下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理する。
[R 1 R 2 R 3 R 4 N+]nX−n 式(1)
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;または炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、またはアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、または炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
P×14/Q 式(2)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマー及び第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する量(ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。) - ヒドラジド化合物(B)が下記一般式(3)で表される請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
H2NHNOC−R5−CONHNH2 式(3)
(式中R5は炭素数2〜20の炭化水素) - ヒドラジド化合物(B)の融点が160℃以上である請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ヒドラジド化合物(B)がセバチン酸ジヒドラジドである請求項1〜3の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂組成物100質量部に対し、更に(D)酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又は化合物、ギ酸捕捉剤及び離型(潤滑)剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜10質量部と(E)補強剤、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を0〜60質量部と(F)顔料0〜5質量部を含有する請求項1〜4の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 200℃で成形して得られ、VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が1mg/kg以下である成形品を提供する、請求項1〜5の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 240℃で成形して得られ、VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が3mg/kg以下である成形品を提供する、請求項1〜5の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- VDA275法に従って測定されるホルムアルデヒドの放出量が1mg/kg以下である、請求項1〜7の何れかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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